日本語Compaq TCP/IP Services for OpenVMS
リリース・ノート
3.8.6 SNMP のアップグレード
現在のバージョンの TCP/IP Services にアップグレードした後には, TCPIP$CONFIG コンフィギュレーション・コマンド・プロシージャを使って SNMP を無効にし,再び有効にする必要があります。"this node" と "all nodes" のどちらかを指定するように求められた場合には,以前のコンフィギュレーションを反映するオプションを選択します。
3.8.7 通信コントローラ・データが完全に更新されない
日本語 TCP/IP Services をアップグレードした後に,既存の通信コントローラを変更すると,通信コントローラを使用するプログラムは更新された情報にアクセスできない場合があります。
MIB ブラウザ (SNMP_REQUEST) などのプログラムが通信コントローラに関する新しいデータにアクセスできるようにするには,以下の操作を行います。
- TCP/IP 管理コマンド DELETE COMMUNICATION_CONTROLLER を使って通信コントローラを削除します。
- TCPIP$CONFIG.COM コマンド・プロシージャを実行し,終了することによって,通信コントローラを再設定します。
- 次のコマンドを入力して,プログラム (SNMP など) を再起動します。
$ @SYS$STARTUP:SNMP_SHUTDOWN.COM
$ @SYS$STARTUP:SNMP_STARTUP.COM
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- TCP/IP 管理コマンドの LIST COMMUNICATION_CONTROLLER を使って,情報を表示します。
3.8.8 SNMP MIB ブラウザの使用方法
-l(ループ・モード) または
-t(ツリー・モード) フラグを使用した場合には,
-m(最大繰り返し回数) フラグや
-n(非反復) フラグを同時に指定することはできません。後者のフラグは,ループ・モードとツリー・モードのどちらとも互換性を持っていません。
-nおよび
-mフラグの使い方を間違えると,次のようなメッセージが表示されます。
$ snmp_request mynode.co.com public getbulk -v2c -n 20 -m 10 -t 1.3.6.1.2.1
Warning: -n reset to 0 since -l or -t flag is specified.
Warning: -m reset to 1 since -l or -t flag is specified.
1.3.6.1.2.1.1.1.0 = mynode.company.com
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3.8.9 重複するサブエージェント識別子
本バージョンの日本語 TCP/IP Services では,2 つのサブエージェントが同じ識別子パラメータを持つことができます。ただし,同じ名前のサブエージェントが 2 つあると,ログ・ファイルに報告される問題の原因を判断するのが難しくなることに注意してください。
3.9 eSNMPプログラミングとサブエージェントの開発
以下に,eSNMPプログラミングとサブエージェントの開発に関する注意事項を示します。
- マニュアルで使われている拡張サブエージェント,
カスタム・サブエージェント,およびユーザ作成サブエージェントという言葉は,TCP/IP Services製品に付属しているMIB-IIおよびHost Resources MIB用の標準サブエージェント以外のすべてのサブエージェントを指します。
- TCPIP$EXAMPLESの[.SNMP]サブディレクトリにある.C,.H,.COM,.MY および.AWK拡張子を持つファイルにもコメントとドキュメントが含まれています。
- TCPIP$SNMP_REQUEST.EXE,TCPIP$SNMP_TRAPSND.EXEおよび TCPIP$SNMP_TRAPSND.EXEプログラムは,拡張サブエージェントの開発の際のテストに役立ちます。
- eSNMP APIのルーチンのプロトタイプと定義については, TCPIP$SNMP:ESNMP.Hファイルを参照してください。
3.10 日本語機能についての制限事項および注意事項
この節では, TCP/IP Services を日本語環境で使用する場合の制限事項および注意事項について説明します。
3.10.1 日本語ファイル名のサポートについて (Alphaのみ)
本バージョンではFTPでのファイル転送でODS-5ディスクに対する Extended File Specifications (長いファイル名,深いディレクトリ階層,拡張文字セット)がサポートされています。しかし,日本語OpenVMS V7.2で提供される日本語ファイル名の使用はサポートされません。
3.10.2 VIEWコマンドの日本語サポートの終了
FTPクライアントのVIEWコマンドは日本語化されなくなりました。 VIEWコマンドで正しく扱えるのはASCIIテキストのみで,漢字のテキストの表示はサポートされません。
3.10.3 漢字フィルタの互換性について
本バージョンでは既存の漢字フィルタに関して下位互換性を保ちます。以前のバージョン用に作成された漢字フィルタは,ファイル名や,指定する際の論理名を変更することなくそのまま使用することができます。
3.10.4 POPクライアントを日本語環境で使用する場合の注意事項
POPクライアントを日本語環境で使用する場合,以下の点に注意する必要があります。
- SMTPサーバに漢字フィルタが設定されている場合,漢字コードが変換されたメールがOpenVMS NEWMAILフォルダに格納されます。POPサーバは,OpenVMS NEWMAIL フォルダからメールを取り出し,メール中の漢字コードの変換を行うことなく POPクライアントに送信します。したがってPOPクライアントが受信するメールには, 第 3.10.5 項 「SMTPにおける漢字フィルタに関する注意事項」に記述する内容がそのまま適用されます。
- POPサーバが動作する環境で,OpenVMS Mailユーティリティを使用してメールの交換が行われている場合,DEC漢字を含んだメールもPOPクライアントに送信されます。この場合,日本語EUCをサポートするPOPクライアントを使用する必要があります(日本語EUCは,DEC拡張漢字文字を除き,DEC漢字と互換性があります)。
3.10.5 SMTPにおける漢字フィルタに関する注意事項
- 漢字フィルタが漢字コードの変換対象として扱うのは,メール本文だけです。メール・ヘッダ部は漢字コードの変換対象外です。
- 漢字フィルタは,メール本文全体を漢字コードの変換対象として扱います。たとえば,MIME (Multipurpose Internet Mail Extensions)標準(RFC1521) のメールであっても,MIMEは解釈されずに漢字コードの変換が行なわれます。
3.10.6 SMTPにおける日本語に関する制限及び注意事項
- SMTP では,メール・ヘッダ部での日本語の使用をサポートしていません。そのため,OpenVMS Mail ユーティリティにおけるパーソナル・ネームの設定は,特に注意が必要です。OpenVMS Mail ユーティリティを使用して, SMTP によるメールの送信を行う場合,パーソナル・ネームに日本語文字列を設定しないようにしてください。パーソナル・ネームに日本語文字列が設定されていると,問題が発生する可能性があります。
- OpenVMS Mail ユーティリティ(V7.0 より古いバージョン)には,アドレス内のネストした二重引用符を処理できないという制限があるため,SMTP は,二重引用符をセント記号に変換しています。ただし,セント記号は,DEC 漢字の一部の漢字コードと重複するため,日本語環境では,セント記号を表示することができません。
- 8ビットの漢字コードを含んだメールを送信する場合,SMTP サーバに対して,8ビット文字の転送を指定する必要があります。SMTP システム・パラメータの詳細については,『Compaq TCP/IP Services for OpenVMS Management』を参照してください。
- SMTP サーバが受信したメールを OpenVMS NEWMAIL フォルダに格納する際,メール本文の1行の大きさを 255 バイトに分割します。このため,日本語文字列を含むメール本文の1行の大きさが,255 バイトを越えている場合,文字化けを起こすことがあります。また,漢字フィルタにより文字列のバイト数が増減することがあります。漢字フィルタによる変換後の1行の大きさが 255 バイトを越えると,SMTP サーバは,OpenVMS NEWMAIL フォルダにメールを格納することができず,エラーのメールが返されます。
3.10.7 IMAPクライアントを日本語環境で使用する場合の注意事項
IMAPクライアントを日本語環境で使用する場合,以下の点に注意する必要があります。
- SMTPサーバに漢字フィルタが設定されている場合,漢字コードが変換されたメールがOpenVMS NEWMAILフォルダに格納されます。 IMAPサーバは,OpenVMS NEWMAILフォルダからメールを取り出し,メール中の漢字コードの変換を行うことなくIMAPクライアントに送信します。したがってIMAPクライアントが受信するメールには, 第 3.10.5 項 「SMTPにおける漢字フィルタに関する注意事項」に記述する内容がそのまま適用されます。また,MIMEヘッダを使用して漢字コードを指定している場合には, MIMEヘッダの漢字コードの指定と実際にエンコードされている漢字コードとの不整合から,正常に文字が表示されない場合があります。
- IMAPサーバが動作する環境で,OpenVMS Mailユーティリティを使用してメールの交換が行われている場合, DEC漢字を含んだメールもIMAPクライアントに送信されます。この場合,日本語EUCをサポートするIMAPクライアントを使用する必要があります (日本語EUCは,DEC拡張漢字文字を除き,DEC漢字と互換性があります)。
- サーバ上のフォルダ名では,漢字や仮名などの2バイト文字はサポートされません。 2バイト文字を使用すると,フォルダ名がまったく違った文字列に変換されてしまい, IMAPクライアントからの操作ができなくなることがあります。
第 4 章
修正箇所
この章では,本バージョンの TCP/IP Services で修正された問題点について説明します。この章には,次の節があります。
- 第 4.1 節 では,本リリースでのソフトウェアの修正について説明します。
- 第 4.2 節 では,本リリースで修正されたカスタマから報告のあった問題点について説明します。
4.1 ソフトウェアの修正箇所
以降の各項で,本リリースの TCP/IP Services に含まれ,構成要素に組み込まれているソフトウェアの修正事項について説明します。
4.1.1 本リリースで修正された管理コマンド・インタフェースの問題点
- ROUTE コマンドは,インタフェース名が小文字で入力されても異常終了しなくなりました。もう,インタフェース名を引用符で囲む必要はありません。インタフェース名は必ず受け付けられて,大文字として処理されます。
- SHOW HOST/NOLOCAL コマンドの実行中に Ctrl/C を押すと, ACCVIO エラーが生じることがありました。
また,返された
errno状態のいくつかは,管理コマンド・インタフェースに戻され,解釈することができませんでした。
- 管理コマンド・インタフェースは,DCL コマンドとして実行されたものも TCP/IP 管理コマンドとして実行されたものも,一貫して UNIX 管理ユーティリティ・コマンドの処理に失敗していました。場合によっては,小文字を引用符で囲む必要がありました。また,引用符が必要ないこともありました。
DCL コマンドを入力して TCP/IP Services を管理する場合に, UNIX ユーティリティ・コマンドを引用符で囲む必要がなくなりました (たとえば,
TCPIP "ifconfig -a")。大文字のオプションだけは引用符で囲む必要があります (たとえば,
TCPIP ifconfig "-Q" inet)。
- 次の TCP/IP 管理コマンドが BIND Version 9 をサポートするように拡張されています (Alpha システムのみ)。
- SET NAME /INITIALIZE コマンドはすべての BIND データベースと BIND コンフィギュレーション・ファイルを再ロードするようになりました。このコマンドは,BYPASS,READALL,または SYSPRVプロセス特権のうちの 1 つ以上を必要とします。さらに,ユーザと BIND サーバ間の安全な通信が可能になるように TCPIP$ETC:RNDC.CONF または TCPIP$ETC:RNDC.KEY のいずれかがセットアップされている必要があります。
- SHOW NAME /STATISTICS コマンドは,現在では統計情報を SYS$SPECIFIC:[TCPIP$BIND]TCPIP$BIND.STATS ファイルに書き込みます。このコマンドは,BYPASS,READALL,または SYSPRV プロセス特権のうちの 1 つ以上を必要とします。さらに,ユーザと BIND サーバ間の安全な通信が可能になるように TCPIP$ETC:RNDC.CONF または TCPIP$ETC:RNDC.KEY のいずれかがセットアップされている必要があります。
4.1.2 本リリースで修正された BIND の問題点
-
ndcコマンドの
start,
stop,および
restartは壊れていました。この修正は VAX システムだけに関係します。 Alpha システムでは,
ndcユーティリティは
rndcユーティリティに置き換えられています。
- 検索パスが定義されている場合,
nslookupユーティリティおよび TCP/IP 管理コマンドの SHOW HOST は,検索パス・リスト全体を調べる前に,"host-not-found" メッセージを返すことがありました。
- TCPIP$BINDSETUP.COM で BIND が適切に再起動されませんでした。
4.1.3 本リリースで修正された BIND リゾルバの問題点
BIND リゾルバが有効になっていない場合,ローカル・ホスト・データベースでアドレスが定義されていなければ, IP アドレスを使用するサプリケーションはエラーで終了していました。
4.1.4 本リリースで修正された IPC の問題点
send()および
recv()関数では, 64 ビット・アドレスが使用できませんでした。
現在では,
send()および
recv()関数で, 64 ビット・アドレスを使用することができます。
sendto(),
sendmsg(),
recvfrom(),および
recvmsg()関数は, 32 ビット・アドレスだけをサポートします。
この変更は Alpha システムだけに影響します。
4.1.5 本リリースで修正された SMTP の問題点
TCP/IP Services および OpenVMS のバージョン情報が,SMTP ソフトウェアによって漏れていました。これはセキュリティ上の問題となる可能性があります。
情報は,次のところで漏れていました。
- SMTP クライアントからの最初の接続に対する SMTP サーバの応答
- SMTP サーバによって Received ヘッダのリストに付加された Received ヘッダ。
- Send-From-File 機能によって Received ヘッダのリストに挿入された Received ヘッダ。
SMTP ソフトウェアに TCP/IP Services または OpenVMS のバージョン情報を漏らさないように通知するには, TCPIP$SMTP_SUPPRESS_VERSION_INFO 論理名を設定します。
論理名を定義するには,次のコマンドを入力します。
$ DEFINE /SYSTEM TCPIP$SMTP_SUPPRESS_VERSION_INFO
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4.1.6 本リリースで修正された SNMP の問題点
SNMP プロトコルは,次のように修正されてアップデートされています。
4.1.7 本リリースで修正された FTP の問題点
FTP プログラムは,次の修正が行われてアップデートされています。