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15 ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ ファイルの管理

ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルは,自動的に作成されます。 しかし,これらのファイルがどういうものかを理解することは必要です。 また,実際の環境に合わせて,これらのファイルを変更しなければならない場合があります。

本章の内容

本章では,次の作業について説明します。

作業 参照箇所
ページ・ ファイルとスワップ・ファイルに関する情報の表示 第15.3節
各ファイルの適切なサイズの計算 第15.4節
ディスク空間が十分でない場合のダンプ・ ファイル・サイズの最小化 第15.5節
クラッシュ・ダンプの内容を分析するためのSDAの使用方法 第15.7節
++クラッシュ・ダンプ要約情報の入手と分析のためのSDA CLUE コマンドの使用方法 第15.8節
+クラッシュ・ダンプについての履歴情報の入手のためのCLUE の使用方法 第15.9節
システム障害発生後のシステム・ダンプ・ファイルの保存 第15.10 節
テープまたはディスクへのダンプ・ ファイルのコピー 第15.11節
ページ・ファイルからのダンプ情報の解放 第15.12 節
ページ・ファイルとスワップ・ ファイルのインストール 第15.13節
ページ・ファイル, スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルの削除 第15.14節
ページ・ ファイルとスワップ・ファイルの作成 第15.15節

+ VAXのみ

++ Alphaのみ

さらに,次の項目について説明します。

項目 参照箇所
ダンプ・ファイルについて 第15.1節
ページ・ファイルとスワップ・ ファイルについて 第15.2節
選択型システム・ダンプ中の情報の順序について 第15.5.1項
++SDA CLUEについて 第15.8.1 項
+CLUEについて 第15.9.1項

++ Alphaのみ

+ VAXのみ

15.1 ダンプ・ファイルについて

オペレーティング・システムは,修復不可能なエラー,あるいはシステム障害を発生させるような矛盾を内部で検出した場合, エラー・ログ・バッファ, プロセッサ,レジスタ,およびメモリの内容をシステム・ダンプ・ ファイルに書き込みます。システム・ダンプ・ファイルの以前の内容は, 上書きされます。

Alphaシステムでは,エラー・ログ・バッファの内容も,エラー・ログ・ ダンプ・ファイルに書き込まれます。作成されたもののシステム・ クラッシュ時には書き込まれていなかったエラー・ログ・エントリを含めて, 再ブート時にシステムを更新するために,エラー・ログ・ダンプ・ ファイルは提供されます。

システム・ダンプ・ファイル

システム・ダンプ・ファイルを書き込む場合,システムは,いくつかのコンソール・ メッセージとエラーまたは矛盾に関する情報を表示します。最後のメッセージは, ダンプ・ファイルが正常に書き込まれたことを示します。


重要
コンソール・ターミナルを使用してシステムを停止する前に, 終了メッセージが表示されるのを確認してください。 これを行わないと,完全なシステム・ダンプ・ファイルを保存できない場合があります。

コンソール・メッセージとシステム・ダンプ・ファイルは,システム障害の原因を調べるための重要な情報源です。 これらの情報は,次のように使用します。

オペレーティング・システムのディストリビューション・キットで提供されるシステム・ ダンプ・ファイルSYS$SPECIFIC:[SYSEXE]SYSDUMP.DMPは最初, 空になっています。オペレーティング・システムは,システム・ダンプ・ ファイルがなくても稼働します。しかし,システムがクラッシュしたときは, クラッシュの原因を突き止めるために,ダンプ・ファイルが必要となります。AUTOGEN は,実際のハードウェア構成とシステム・パラメータに従って, システム・ダンプ・ファイルの適切なサイズを自動的に決定します。 ディスク空間が十分でない場合のシステム・ダンプ・ファイル・ サイズの最小化については,第15.5節を参照してください。

ハードウェア構成が特殊な場合,あるいは作業負荷が変化する場合には, システム・ダンプ・ファイルのサイズを変更することができます。詳細は 第15.15.1項を参照してください。 システム・ディスク以外のディスクに,システム・ダンプ・ファイルを格納することができます。 詳細は第15.6節を参照してください。

エラー・ログ・ダンプ・ファイル

AUTOGENは,インストール時にエラー・ログ・ダンプ・ファイルを作成します。 ファイルのサイズは,システムの構成とシステム・パラメータによってことなります。AUTOGEN は,システム構成とシステム・パラメータに従って,Alpha システムとVAXシステム上のエラー・ログ・ダンプ・ファイルの違いは次のとおりです。

15.1.1 ページ・ファイルを使ってシステム・ クラッシュ・ ダンプを格納する方法

オペレーティング・システムは,SYS$SYSTEM:SYSDUMP.DMPの最新バージョンにシステム・ クラッシュ・ダンプを格納します。SYSDUMP.DMPがSYS$SYSTEM に存在した場合,オペレーティング・システムはシステム・ページング・ ファイルSYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYSの内容を書き換えます。

システム・パラメータSAVEDUMPが設定されている場合,クラッシュ・ダンプ・ ファイルはシステムのブート時,PAGEFILE.SYSに格納されます。 SAVEDUMPがクリアされている場合,システムは,ページ・ファイルをページングに使用し, そのページング・ファイルに書き込まれていたダンプはなくなります。

SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYSファイルにシステム・クラッシュ・ダンプを格納する場合には, その後で次のいずれかの方法を使って,システムのページングでダンプが占有している空間を使用できるように解放する必要があります。

詳細は第15.12節を参照してください。

適切なコマンドをSYSTARTUP_VMS.COMスタートアップ・コマンド・プロシージャに取り込んで, システムが再ブートされるたびにページ・ファイルからダンプ情報を解放します。


重要
ページ・ファイルを選択型ダンプに使用する場合は, 注意が必要です。選択型ダンプでは,利用できるすべての空間が使用されるので, ページ・ファイルが小さい場合,選択型ダンプ情報でページ・ ファイルがいっぱいになってしまい,システムのブート時にページング用の空間が残されていないことになります。 この結果, 再ブート時にシステムがハングすることがあります。

15.1.2 システム・ダンプの種類

システム・ダンプには,物理ダンプと選択型ダンプの2種類があります。 表 15-1に,それらの比較を示します。 また, 表 15-3に,物理システム・ ダンプ・ ファイルと選択型システム・ダンプ・ファイルで使用できる情報の比較を示します。

表 15-1 物理ダンプと選択型ダンプの比較

ダンプの種類 説明
物理ダンプ 物理メモリのすべての内容をシステム・ ダンプ・ファイルに書き込む。物理ダンプを確実に有効にするため, システム・ダンプ・ファイルには,物理メモリのすべての内容を含むのに十分なサイズが必要である。
選択型ダンプ メモリのクラッシュ・ダンプの分析に役立つと考えられる部分を保存する。 選択型システム・ダンプは, 物理メモリ全体を保持できるだけのディスク空間がない場合に有効。

有効なシステム・ダンプを作成するために必要な条件

オペレーティング・システムにとって有効となるシステム・ダンプ・ファイルを保存するためには, 次の条件が満たされている必要があります。

BACKUP使用上の留意点

システム・ダンプ・ファイルには,NOBACKUP属性が設定されています。 したがって,ダンプ・ファイルをコピーする場合には,BACKUPの起動時に/IGNORE=NOBACKUP 修飾子を使用する必要があります。SDAのCOPYコマンドを使用してシステム・ ダンプ・ファイルをコピーする場合,コピー先のファイルにNOBACKUP 属性は設定されません。コピーにNOBACKUP属性を設定したい場合には,SET FILE コマンドに/NOBACKUP修飾子を指定します( 詳細は『OpenVMS DCLディクショナリ』を参照してください) 。

機密保護の問題点

省略時の設定ではSYS$SYSTEM:SYSDUMP.DMPは,一般ユーザがアクセスできないようになっています。 システム・ダンプ・ファイルには特権情報が入っている可能性があるため, システム・ダンプ・ファイルのこの保護レベルはそのままにしておいてください。 同様に,第15.10節および第15.12節で説明するように, システム・ ダンプ・アナライザ・ユーティリティ(SDA)を使って,システム・ダンプ・ ファイルをコピーする場合は,このコピーに必ず保護を設定して, 一般ユーザがアクセスできないようにしてください。ファイル保護についての詳細は, 『OpenVMS Guide to System Security』を参照してください。

15.2 ページ・ファイルおよびスワップ・ファイルについて

メモリを有効に使用するため,オペレーティング・システムは,物理メモリからディスクへ, またはディスクから物理メモリへ,情報を移動します。 このようなメモリ管理は2種類あり,ページングとスワッピングと呼ばれます。 表 15-2に,ページングとスワッピングに関連する用語を示します。

表 15-2 ページングとスワッピングに関連する用語

用語 定義
ページング プロセスに割り当てられた物理メモリを効率よく利用するためのメモリ管理操作。 ページングによって,プロセス作業領域の使用頻度の低い部分が, 物理メモリからファイルに移動する。ページングについての詳細は, 『Guide to OpenVMS Performance Management』を参照。
ページ・ ファイル ページングされたメモリの部分が書き込まれるファイル。 ディストリビューション・キットには, SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYSという名前のページ・ファイルが入っている。 必要であれば,SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYSをシステム・クラッシュ・ダンプ・ ファイルの代わりに使用できる。詳細は第15.1.1 項を参照。
スワップ システム全体で使用できる物理メモリを効率よく利用するためのメモリ管理機能。 スワップによって,活動頻度の低いプロセスの作業領域全体が, 物理メモリからファイルに移動する。スワッピングについての詳細は, 『Guide to OpenVMS Performance Management』を参照。
スワップ・ファイル スワッピングされたメモリの部分が書き込まれるファイル。 ディストリビューション・キットには,SYS$SYSTEM:SWAPFILE.SYS という名前のスワップ・ファイルが入っている。
1次ページ・ファイルと
1次スワップ・ファイル
ディストリビューション・ キットで提供される省略時のページ・ファイル(SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS) とスワップ・ファイル(SYS$SYSTEM:SWAPFILE.SYS) 。
2次ページ・ファイルと
2次スワップ・ファイル
性能とディスク空間の理由により, ユーザによって作成される付加的なページ・ファイルとスワップ・ ファイル。1次ページ・ファイルと1次スワップ・ファイルをシステム・ ディスク上に保持している場合,システムは,1次ページ・ファイルと1 次スワップ・ファイルの空間に加え,ページングとスワッピングのための2 次ファイルの空間を使用する。2次ページ・ファイルと2次スワップ・ ファイルの作成法については,第15.15 節を参照。

ファイルのインストール

ページ・ファイルとスワップ・ファイルをインストールしてからでないと, システムはそれらのファイルを使用することはできません。スタートアップ時にシステムは自動的に,SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS とSWAPFILE.SYS の最新バージョンをインストールします。2次ページ・ファイルと2 次スワップ・ファイルを作成する場合は,スタートアップ時にシステムがそれらを確実にインストールするようにしなければなりません。 ページ・ファイルとスワップ・ファイルのインストールについての詳細は, 第15.13節を参照してください。

ファイルのサイズと記憶位置

AUTOGENは,実際のハードウェア構成とシステム・パラメータに従い,これらのファイルの適切なサイズを決定します。 しかし,特殊な構成のシステム, あるいは作業負荷の変化が大きいシステムでは,ページ・ファイルまたはスワップ・ ファイルのサイズを変更しなければならないことがあります。 詳細は第15.15.1項を参照してください。

システムにシステム・クラッシュ・ダンプを格納するためのページ・ファイルが必要ない場合は, システム・ディスクからページ・ファイルを削除することができます。 ただし,できればシステム・ディスクにページ・ファイルを1 つ残しておいて,ページ・ファイルを保持している別のディスクが使用できない場合に, システムをブートできるようにしておいた方がよいでしょう。 また,スワップ・ファイルもシステム・ディスクから削除することができます。

15.3 ページ・ファイルとスワップ・ファイルに関する情報の表示

DCLのSHOW MEMORY/FILESコマンドにより,システムに存在しているページ・ ファイルとスワップ・ファイルに関して,ファイル名,サイズ,使用している空間の量などの情報が表示できます。 次に例を示します。

     $ SHOW MEMORY/FILES
                   System Memory Resources on 12-MAY-1998 11:54:20.06

     Paging File Usage (pages):                      Free  Reservable       Total
       DISK$PAGE:[SYSEXE]SWAPFILE_IPL31.SYS;2       79992       79992       79992
       DISK$PAGE:[SYSEXE]PAGEFILE_IPL31.SYS;1       23263     -370027      249992

なお,"Reservable"というカラムに表示される数値は負の値になる場合もあります。 予約済みの全空間が一度に使用される可能性はないため,プロセスは使用可能な空間より多くの空間を予約することができます。

15.4 ダンプ・ファイル,ページ・ファイル,スワップ・ ファイルのサイズの机上計算

ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルのサイズは, オペレーティング・システムのインストールまたはアップグレード時に, AUTOGENによって自動的に計算されます。しかし,必要に応じて,これらのファイルのサイズを机上で計算することもできます。 次に,ページ・ファイル, スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルの適切なサイズを決定する方法を説明します。

15.4.1 システム・ダンプ・ファイルのサイズの計算

完全なクラッシュ・ダンプを保存するために,システム・ダンプ・ファイルのサイズが十分であることを確認してください。 ダンプ・ファイルの適切なサイズは,AUTOGEN コマンド・プロシージャにより計算されます。ただし, ダンプ・ファイル・サイズを机上で計算したい場合は,次の公式を使用してください。 この公式により,物理ダンプに保持する必要のあるサイズが計算できます。

SYSDUMP.DMPの場合

VAXシステムの場合には,次の公式を使用します。

     ファイルのブロック数(SYS$SYSTEM:SYSDUMP.DMP)
     = 物理メモリのページ数
     + (エラー・ログ・バッファ数 * バッファあたりのブロック数)
     + 1

Alphaシステムの場合には,次の公式を使用します。

     ファイルのブロック数(SYS$SYSTEM:SYSDUMP.DMP)
     = 物理メモリのページ数 * ページあたりのブロック数
     + (エラー・ログ・バッファ数 * バッファあたりのブロック数)
     + 2

ページ数 物理メモリのサイズ(ページ単位)。 システムの物理メモリ全体のサイズを決めるにはDCLのSHOW MEMORYコマンドを使用する。
ページあたりの
ブロック数
メモリのページあたりのブロック数。

Alphaシステムの場合,メモリの各ページのブロック数は,システムのページ・ サイズを512 (ブロック・サイズ)で割ることによって求める。次のコマンドを使用する。

     $ PAGESIZE==F$GETSYI ("PAGE_SIZE")
     $ BLOCKSPERPAGE=PAGESIZE/512
     $ SHOW SYMBOL BLOCKSPERPAGE
エラー・ログ・
バッファの数
システム・パラメータERRORLOGBUFFERSの値。このパラメータにより, エラー・ログ・バッファの数が設定され,メモリ内で永久的に割り当てられる。
バッファあたりの
ブロック数
システム・パラメータERLBUFFERPAGESの値。 このパラメータにより,各バッファ内のメモリのページ数が設定される。

メモリ・サイズが大きなシステム,あるいはディスク容量の小さなシステムでは, 完全メモリ・ダンプを行うのに十分な空間がとれないことがあります。 そのような環境では,特定の情報だけをダンプするように, システム・パラメータDUMPSTYLEの値を設定します。詳細は第15.5節を参照してください。

PAGEFILE.SYSの場合

SYS$SYSTEM:SYSDUMP.DMPがない場合,クラッシュ・ダンプは,1次ページ・ ファイルSYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYSに書き込まれます。ページ・ファイルの適切なサイズは,AUTOGEN コマンド・プロシージャにより計算されます。 ただし,クラッシュ・ダンプを保持するために必要なページ・ファイルの最小サイズを机上で計算したい場合は, 次の公式を使用します。

VAXシステムの場合には,次の公式を使用します。

     ファイルのブロック数 (SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS)
     = 物理メモリのページ数
     + (エラー・ログ・バッファ数 * バッファあたりのブロック数)
     + 1
     + 1000

Alphaシステムの場合には,次の公式を使用します。

     ファイルのブロック数 (SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS)
     = 物理メモリのページ数 * ページあたりのブロック数
     + (エラー・ログ・バッファ数 * バッファあたりのブロック数)
     + 物理メモリのページ数 / 512
     + 2
     + システム・パラメータ RSRVPAGCNT の値

ページ数 物理メモリのサイズ(ページ単位)。 システムの物理メモリ全体のサイズを決めるにはDCLのSHOW MEMORYコマンドを使用する。
ページあたりの
ブロック数
メモリのページあたりのブロック数。

Alphaシステムの場合,メモリの各ページのブロック数は,システムのページ・ サイズを512 (ブロック・サイズ)で割ることによって求める。次のコマンドを使用する。

     $ PAGESIZE==F$GETSYI ("PAGE_SIZE")
     $ BLOCKSPERPAGE=PAGESIZE/512
     $ SHOW SYMBOL BLOCKSPERPAGE
エラー・ログ・
バッファの数
システム・パラメータERRORLOGBUFFERSの値。このパラメータにより, エラー・ログ・バッファの数が設定され,メモリ内で永久的に割り当てられる。
バッファあたりの
ブロック数
システム・パラメータERLBUFFERPAGES の値。このパラメータにより,各バッファ内のメモリのページ数が設定される。
RSRVPAGCNT RSRVPAGCNT特殊システム・パラメータの値。


重要
この公式では,ダンプを保存するための1 次ページ・ファイルの最低限のサイズだけが求められます。 ほとんどのシステムでは,システムがハングしないようにページ・ファイルのサイズをこの値より大きくする必要があります。 ページ・ファイル・ サイズの計算についての詳細は,第15.4.3 項を参照してください。

15.4.2 エラー・ログ・ダンプ・ファイルのサイズの計算

これらの計算は,OpenVMSとAlphaシステムでは異なります。

Alphaシステム

Alphaシステムでは,AUTOGENコマンド・プロシージャはエラー・ログ・ダンプ・ ファイルの適切なサイズを計算します。ただし,エラー・ログ・ダンプ・ ファイルのサイズを机上で計算したい場合は,次の公式を使用してください。 この公式により,すべてのエラー・ログ・バッファを保持するために必要なサイズが計算できます。

     ファイルのブロック数(SYS$SYSTEM:SYS$ERRLOG.DMP)
     = エラー・ログ・バッファ数 * バッファあたりのブロック数
     + 2

エラー・ログ・バッファの数 システム・ パラメータERRORLOGBUFFERSの値。このパラメータは,メモリで永久的に割り当てられるエラー・ ログ・バッファの数を設定する。
バッファあたりのブロック数 システム・パラメータERLBUFFERPAGESの値。このパラメータは, 各バッファ内のメモリのページ数を設定する。

VAXシステム

VAXシステムでは,エラー・ログ・ダンプ・ファイルのサイズはダンプ・ オフ・システム・ディスク(DOSD)を使用しているかどうかで異なります。

15.4.3 ページ・ファイルのサイズの計算

システム性能を維持するためには,ページ・ファイルの空間が十分にあることが重要です。 ページ・ファイル空間の適切なサイズは,AUTOGENコマンド・ プロシージャにより計算されます。AUTOGENは十分なサイズを算出するはずですが, ページ・ファイル空間のサイズを机上で計算したい場合には, 次のいずれかの公式を使用します。

VAXシステム

VAXシステムの場合には,次の公式を使用して,ページ・ファイル空間のサイズを算出します。

     ブロックのサイズ
     (システム上のすべてのページ・ファイルの合計)
     = サイトの平均プロセス・サイズ (ページ数)
     * プロセスの最大数

調整の結果がVIRTUALPAGECNTより少ない場合には,代わりにVIRTUALPAGECNT の値を使用します。

システムの仮想ページの数を調べるには,次のコマンドを入力します。

     $ WRITE SYS$OUTPUT F$GETSYI ("VIRTUALPAGECNT")

Alphaシステム

Alphaシステムの場合は,次の公式を使用してページ・ファイル・サイズを算出します。

     ブロック・サイズ
     (システムのすべてのページ・ファイルの合計)
     = 物理メモリのサイズ(ページ単位)
     + 8192 (追加量)

物理メモリ・サイズをページレット単位で算出するには,次の手順に従ってください。

  1. 次のコマンドを入力します。
         $ SHOW MEMORY/PHYSICAL_PAGES
    

    物理ページ数は,合計欄にリストされます。

  2. ページ単位のページレット数を算出するには,システム・ページを512( ページレット・サイズ)で除算します。たとえば,ページ・サイズが8192 のシステムには,ページ単位に16のページレットがあります。

    システムのページ・サイズを決めるには,次のコマンドを入力します。

         $ WRITE SYS$OUTPUT F$GETSYI ("PAGE_SIZE")
    

  3. ページ単位のページレット数に物理ページ数を乗算します(物理ページの値は,SHOW MEMORY/PHYSICAL_PAGES ディスプレイの合計欄に示されます) 。

物理メモリ・サイズに8192を追加することにより,重いページング作業の際に特別に安全のための補足マージンが追加されます。

初期の算出が終わったら,作業中はシステムに注意を払うようにして,必要な場合には調整してください。

15.4.3.1 ページ・ファイル・サイズの表し方

算出したページ・ファイルは,次のいずれかの方法で表すことができます。

15.4.3.2 ページ・ファイル使用状況の監視

(AUTOGENを使って,あるいは机上の計算で)ページ・ファイルの初期のサイズが決まったら, 次のコマンドでAUTOGENを実行してページ・ファイルの使用状況を監視してください。

     $ @SYS$UPDATE:AUTOGEN SAVPARAMS TESTFILES FEEDBACK

このコマンドを実行すると,AUTOGENによりページ・ファイルの使用量とサイズの推奨値がフィードバック・ レポートAGEN$PARAMS.REPORTに書き込まれます。 なお,AUTOGENおよびフィードバック・レポートの詳細については, 第14.4節第14.4.2項を参照してください。 第15.3 節で説明したように,また,DCLのSHOW MEMORY/FILESコマンドを使用すると, ファイルの使用状況も表示されます。

ページ・ファイルの使用量が1次ページ・ファイルのサイズ(または1次ページ・ ファイルと2次ページ・ファイルのサイズを合計したサイズ)の半分以上にならないようにします。 ページ・ファイルの使用量がシステム性能に影響するレベルに近づくと, コンソール・ターミナルにメッセージが出力されます。 その場合は,ページ・ファイルのサイズを大きくするか,ファイルを追加してください。


注意
システムの資源と代表的な作業負荷は, ページ・ファイルの必要なサイズに影響します。そのため, これらの要素についてよく理解しておく必要があります。詳細は『Guide to OpenVMS Performance Management』を参照してください。

15.4.3.3 ページ・ファイル空間の制限

AUTHORIZEのADDおよびMODIFYコマンドに/PGFLQUOTA修飾子を指定して,ユーザ・ プログラムが使用するページ・ファイルの量を制限してください( 詳細は『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』のAUTORIZEの節を参照) 。/PGFLQUOTAの値は,必ず1024以上にしてください。ページ・ファイル空間の必要量は, ユーザのアプリケーションによって大きく異なります。

15.4.4 スワップ・ファイル・サイズの計算

システム性能を維持するためには,スワップ・ファイルの空間が十分にあることが重要です。 スワップ・ファイルの空間に適したサイズは, AUTOGENコマンド・プロシージャにより計算されます。スワップ・ファイルの空間のサイズを机上で計算したい場合は, 次の公式を使用してください。

     ファイルのサイズ
     (システム上のすべてのスワップ・ファイルの合計)
     = プロセスの最大数 (システム・パラメータ MAXPROCESSCNT)
     * システム上のプロセスの平均ワーキング・セット・クォータ

プロセスの最大数 MAXPROCESSCNTシステム・ パラメータの値。
システム上のプロセスの平均ワーキング・ セット・ クォータ システム上で動作しているプロセスのWSQUOTA 制限の平均値。

VAXシステムの場合は,ページ単位で指定する。

Alphaシステムの場合は,ページレット単位で指定する。

15.4.4.1 ページ・ファイル・サイズの表し方

AlphaシステムとVAXシステムでは,算出したサイズを次のような方法で表すことができます。

15.4.4.2 スワップ・ファイルの使用状況の監視

(AUTOGENを使って,あるいは机上計算によって)スワップ・ファイルの空間の適切なサイズが決まったら, 第15.3 節で説明したように,DCLのSHOW MEMORY/FILESコマンドを使って,スワップ・ ファイルの使用状況を監視してください。スワップ・ファイル空間の1/3 は未使用のままにしてください。そうしないと,システム性能が著しく低下します。


注意
システムの資源と作業負荷は, ページ・ファイルの必要なサイズに影響します。そのため, これらの要素についてよく理解しておく必要があります。詳細は『Guide to OpenVMS Performance Management』を参照してください。

15.5 ディスク空間が十分でない場合のシステム・ ダンプ・ファイル・サイズの最小化

システム構成によっては,ディスク・ファイルにメモリ全体の内容を保存できないことがあります。 たとえば,メモリ・サイズが大きなシステムでは, 完全メモリ・ダンプに十分なディスク空間が確保できないことがあります。 このような場合には,システム・ダンプ・アナライザ(SDA)でダンプを分析できません。

また,VAXシステムの場合,ダンプ空間の不足が原因で,クラッシュ・ログ・ ユーティリティ・エキストラクタ(CLUE)もダンプを分析できなくなります。

システム・ダンプ・ファイルのサイズ最小化のためのオプション

ディスク容量が不足しているときに,システム・ダンプ・ファイルのサイズを最小化するには, 次に示すオプションのいずれか1つを使用します。

第15.5.1項では,AlphaシステムとVAXシステムで選択型システム・ ダンプに情報が書き込まれる順序について説明しています。 第15.5.2項では,Alphaシステムでこの順序を細かく調整する方法について説明しています。

15.5.1 選択型システム・ダンプでの情報の順序

VAXシステムとAlphaシステムで選択型ダンプに情報が書き込まれる順序は次のとおりです。

VAXシステムでは,情報は次の順序で選択型ダンプに書き込まれます。

  1. システム・ページ・テーブル(SPT)

  2. システム空間(プロセス・ページ・テーブル,ページ・フレーム番号(PFN) データベース,およびグローバル・ページ・テーブル(GPT) を含む)

  3. プロセスのワーキング・セット内のグローバル・ページ

  4. クラッシュが発生した時点で常駐していたプロセス

    1. クラッシュしたCPUの現在のプロセス

    2. あらかじめ定義されたプロセス(BUGCHECKにハード・コーディングされる)

    3. 他のCPUでの現在のプロセス

    4. クラッシュが発生した時点で常駐していた他のプロセス(プロセス・ インデックスの順)

Alphaシステムでは,情報は次の順序で選択型システム・ダンプに書き込まれます。

  1. 共有アドレス(S0/S1/S2)のページ・テーブル(PT)

  2. S0/S1空間

  3. S2空間

  4. キー・プロセス

    1. クラッシュしたCPUの現在のプロセス

    2. スワッパ

    3. 他のCPUの現在のプロセス

    4. 使用しているシステム固有の優先プロセス(次の節を参照)

    5. コンパックが定義している優先プロセス(BUGCHECKにハード・ コーディングされる)
      MSCPmount
      AUDIT_SERVER
      NETACP
      NET$ACP
      REMACP
      LES$ACP

  5. キー・グローバル・ページ(キー・プロセスのワーキング・セット内のグローバル・ ページ)

  6. クラッシュが発生した時点で常駐していた他のプロセス(非キー・ プロセス)。ただしプロセス・インデックスの順。

  7. 非キー・プロセスのワーキング・セット内の残りのグローバル・ ページ

Alphaシステムでは,プロセスは2段階でダンプされます。最初にプロセスのページ・ テーブルがダンプされ,次にプロセスのボディがダンプされます。

VAXシステムとAlphaシステムでの使用法に関する注意

VAXプラットフォームとAlphaプラットフォームのどちらでも,プロセスが2 回ダンプされることはありません。たとえば,Alphaシステムでは,現在のプロセスがスワッパの場合, それは1回だけダンプされます。

同様に,Alphaシステムでグローバル・ページが2回ダンプされることはありません。 したがって,キー・プロセスのワーキング・セット内のページが" キー・グローバル・ページ"セクションでダンプされた場合には,それが非キー・ プロセスのワーキング・セットにも存在するからといって,後でもう一度ダンプされることはありません。

15.5.2 選択型システム・ダンプにプロセスが書き込まれる順序の微調整(Alpha のみ)

Alphaシステムでは,キー・プロセスと呼ばれる新しいカテゴリのプロセスは, 逆リンクする遷移ページも含めて,PT,S0/S1,S2の直後にダンプされます。 システム管理者は,キー・プロセスとして取り扱う追加プロセスを指定できます。 これらのプロセスには,ダンプで他のプロセスより高い優先順位が与えられます。 したがって,ダンプ・ファイルが小さすぎて, すべてのプロセスを格納できない場合でも,選択したプロセスは正しく書き込まれます。

作業方法

ダンプするプロセスの順序を指定するには,次の操作を実行してください。

  1. ファイルSYS$SYSTEM:SYS$DUMP_PRIORITY.TEMPLATEをSYS$SYSTEM:SYS$DUMP_PRIORITY.DAT にコピーする。

  2. ファイル内の指示に従って,ダンプの初期段階でダンプされるプロセスの一覧を含むように, .DAT ファイルを変更する。

  3. イメージSYS$SYSTEM:SYS$SET_DUMP_PRIORITY.EXEを実行する。 データ・ファイルSYS$SYSTEM:SYS$DUMP_PRIORITY.DATが存在する場合には, イメージはシステム・スタートアップ時に自動的に実行される。

データ・ファイルの編集とイメージの実行は,システムが稼動している間であれば, いつでも行うことができます。したがって,プロセスがハングしたり,RWAST などのように何らかの待ち状態になっていると考えられる場合には, システム管理者はプロセスを優先プロセスとして指定し,強制的にクラッシュを発生させることができます。

15.6 代替ディスクへのシステム・ダンプ・ファイルの書き込み

システム・ダンプ・ファイルは,OpenVMSシステムのシステム・ディスク以外の装置に書き込むことができます。 大きいメモリを装備したシステムや, 共通のシステム・ディスクを使用しているクラスタで,1つのディスクのディスク容量だけでは必要なダンプ・ ファイルのサイズを必ずしもサポートできないクラスタでは, この機能は特に便利です。

ダンプ・オフ・システム・ディスク(DOSD)を使用するための必要条件は, VAXシステムとAlphaシステムで多少異なります。しかし,どちらのシステムでも, バグチェック・コードがシステム・ダンプ・ファイルを代替装置に書き込むことができるように,DUMPSTYLE システム・パラメータを正しく有効に設定しなければなりません。

以降の節では,AlphaシステムとVAXシステムで,システム・ダンプ・ファイルをシステム・ ディスク以外の装置に書き込む場合の必要条件について説明します。

15.6.1 AlphaシステムでのDOSDの必要条件

AlphaシステムでDOSDを書き込むための必要条件は次のとおりです。

作業方法

DUMP_DEV環境変数を使用してダンプ装置を指定し,DUMPSTYLEシステム・ パラメータを有効に設定するには,次の操作を実行します。

  1. BOOTDEF_DEVの値を表示する。次の例を参照。
         >>> SHOW BOOTDEF_DEV
    
         BOOTDEF_DEV             dub204.7.0.4.3,dua204.4.0.2.3
    

  2. 次に示すように,システムの装置を表示する。
         >>> SHOW DEVICES
    
         Resetting IO subsystem...
    
         dua204.4.0.2.3     $4$DUA204 (RED70A)        RA72
         dua206.4.0.2.3     $4$DUA206 (RED70A)        RA72
         dua208.4.0.2.3     $4$DUA208 (RED70A)        RA72
    
         polling for units on cixcd1, slot 4, xmi0...
    
         dub204.7.0.4.3     $4$DUA204 (GRN70A)        RA72
         dub206.7.0.4.3     $4$DUA206 (GRN70A)        RA72
         dub208.7.0.4.3     $4$DUA208 (GRN70A)        RA72
         >>>
    

    この例で,次のことに注意する必要がある。

  3. システム・ディスクに対する2つのパスを指定し,ダンプ・ディスクをDUA208 として指定するには(やはり2つのパスを指定する),次のように DUMP_DEVを設定する。
         >>> SET DUMP_DEV dua208.4.0.2.3,dub208.7.0.4.3,dub204.7.0.4.3,dua204.4.0.2.3
    

    この例で,dua208.4.0.2.3とdub208.7.0.4.3はダンプ装置に対するパスである。dub204.7.0.4.3 とdua204.4.0.2.3はブート装置に対するパスである。


    注意
    システムはダンプ装置としてリストに指定されている装置のうち, 最初の有効な装置を選択する。したがって, リストにはシステム・ディスク・エントリより前にダンプ・ディスク・ パス・エントリを指定しなければならない。

  4. SHOW *コマンドを入力して,システムのすべての環境変数を表示する。 次の例を参照。
         >>> SHOW *
    
         auto_action             HALT
         baud                    9600
         boot_dev                dua204.4.0.2.3
         boot_file
         boot_osflags            0,0
         boot_reset              ON
         bootdef_dev             dub204.7.0.4.3,dua204.4.0.2.3
         booted_dev              dua204.4.0.2.3
         booted_file
         booted_osflags          0,0
         cpu                     0
         cpu_enabled             ff
         cpu_primary             ff
         d_harderr               halt
         d_report                summary
         d_softerr               continue
         dump_dev                dua208.4.0.2.3,dub208.4.0.4.3,dub204.7.0.4.3,dua204.4.0.2.3
         enable_audit            ON
         interleave              default
         language                36
         pal                     V5.48-3/O1.35-2
         prompt                  >>>
         stored_argc             2
         stored_argv0            B
         stored_argv1            dua204.4.0.2.3
         system_variant          0
         version                 T4.3-4740 Jun 14 1998 15:16:38
         >>>
    

  5. DUMPSTYLEシステム・パラメータのビット2をセットすることにより,DOSD ビットを有効にする。たとえば,SYSBOOT>プロンプトに対して4 という値を入力すると,完全ダンプを代替ディスクに書き込み, コンソール出力をできるだけ少なくすることを指定できる。
         >>> BOOT
         SYSBOOT> SET DUMPSTYLE 4
    

DUMPSTYLEシステム・パラメータについての詳細は,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』,およびオンライン・ヘルプを参照してください。


注意
システムの再ブート時にエラー・ ログ・バッファを復元できるように,エラー・ログ・ダンプ・ ファイルはシステム・ディスクに必ず作成されます。このファイルは, DUMPSTYLEシステム・パラメータの設定や,DUMP_DEV環境変数の設定の影響を受けません。

15.6.2 VAXシステムでのDOSDの必要条件

VAXシステムでDOSDを書き込むための必要条件は次のとおりです。


注意
システム・クラッシュが発生した後でシステムを再ブートするときにエラー・ ログ・バッファを復元するには, エラー・ログをシステム・ディスクに保存しておかなければなりません。AUTOGEN は,そのためにシステム・ディスクにSYSDUMP.DMPファイルを作成します。 このファイルは,エラー・ログ・バッファの最大サイズを格納できるだけの十分な大きさです。

15.7 SDAによるクラッシュ・ダンプの内容の分析

システム・ダンプ・アナライザ・ユーティリティ(SDA)を使用してシステム・ ダンプ・ファイルの内容を翻訳し,クラッシュの予想される原因を調べることができます。 クラッシュ・ダンプの分析については, 『OpenVMS VAX System Dump Analyzer Utility Manual』または『OpenVMS Alpha System Dump Analyzer Utility Manual』を参照してください。

システムに障害が発生した場合は,障害発生時のシステム・ダンプ・ ファイルのコピーを作成し,弊社のサポート担当者に連絡してください。 システム・ダンプ・ファイルのコピーの作成については第15.11節を参照してください。

15.8 SDA CLUEコマンドによるクラッシュ・ダンプ・ ファイルの分析(Alpha のみ)

SDA CLUE (Crash Log Utility Extractor)コマンドは,クラッシュ・ダンプの分析と, スタンドアロン・システムやクラスタで発生した重大なバグのチェックの履歴の管理を自動的に行います。SDA CLUE コマンドは,SDA とともに使用し,標準のSDAからアクセス困難なダンプ・ファイル補足情報を収集およびデコードすることができます。 また,SDA CLUEコマンドを,Dump Off System Disk (DOSD) とともに使用し,システム・ディスク以外のディスクにあるシステム・ ダンプ・ファイルを解析することができます。

15.8.1 CLUEについて(Alphaのみ)

Alphaシステムでは,システム障害後にシステムを再ブートするとき,SDA は自動的に呼び出されます(省略時の設定)。クラッシュ・ダンプの分析をより容易にするために,SDA CLUE コマンドは自動的にCLUEリスト・ファイルのダンプ・ ファイル要約情報を取得および保管します。

スタートアップ・コマンド・プロシージャは,次の動作を行うコマンドを起動します。

CLUE HISTORYコマンドは,履歴ファイルに要約エントリを1行だけ追加し,SDA CLUE コマンドの次の出力をリスト・ファイルに保存します。

このCLUEリスト・ファイルの内容は,システム障害を分析するときに便利です。

このようなファイルがしきい値(省略時5000ブロック)を超えるまで蓄積される場合,( しきい値の限界内になるまで) 古いファイルから削除されます。CLUE$MAX_BLOCK 論理名を使って,これをカスタマイズすることも可能です。

システムのスタートアップ時にCLUEを実行しないようにするには, SYLOGICALS.COMファイル中の論理名CLUE$INHIBITを/SYS TRUEと定義します。

CLUE$nodename_ddmmyy_hhmm.LISにはクラッシュ・ダンプの概要しか入っておらず, 常にクラッシュの原因を決定するのに十分な情報が入っているとは限りませんので注意してください。 システム・クラッシュの分析を詳細に行わなければならない場合は, 常にSDA COPYコマンドを使用して, ダンプ・ファイルを保存しておくことをおすすめします。

15.8.2 SDA CLUEコマンドによるデータの表示(Alpha のみ)

次のように,SDAプロンプトからCLUEコマンドを呼び出します。

     SDA> CLUE CONFIG

CLUEコマンドは,ダンプ・ファイルから取得したクラッシュ・ダンプの要約情報を提供します。 クラッシュ・ダンプを会話形式でデバッグするとき,SDA CLUE コマンドを使って,ダンプ・ファイルから取得情報を収集およびデコードすることができます。 このファイルは標準のSDAからでは簡単にアクセスすることができません。 一方,CLUEは詳細なXQP要約を即座に提供します。

実行中のシステム上でCLUEコマンドを会話形式で使用して,性能問題を識別することも可能です。

クラッシュ・ダンプを分析するときは,すべてのCLUEコマンドが使用できます。 しかし,実行中のシステムを分析するときには,CLUEコマンドのCLUE CRASH ,CLUE ERRLOG,CLUE HISTORY,およびCLUE STACKは使用できません。

SDA CLUEコマンドの使用について詳しくは, 『OpenVMS Alpha System Dump Analyzer Utility Manual』を参照してください。

15.8.3 ダンプ・オフ・システム・ディスクとSDA CLUE の使用(Alphaのみ)

ダンプ・オフ・システム・ディスク(DOSD)によって,システム・ダンプ・ ファイルをシステム・ディスク以外の装置に書き出すことができます。システム・ クラシュが発生したあと,SDA CLUEが解析するダンプ・ファイルを正しくみつけるために, 次の操作が必要です。

  1. コマンド・プロシージャSYS$MANAGER:SYLOGICALS.COMにダンプ・ ファイルを指すシステム論理名 CLUE$DOSD_DEVICEを加える。ファイル指定なしで物理装置名または論理装置名だけを指定する。

  2. ダンプ・ファイルのある装置をシステム単位の装置としてマウントするように SYS$MANAGER:SYLOGICALS.COM へコマンドを追加する。 これを行わないと,SDA CLUEはダンプ・ファイルにアクセスして解析をおこなうことができない。

次の例では,ダンプ・ファイルは装置$3$DUA25にあり,ラベルはDMP$DEV です。次のコマンドをSYS$MANAGER:SYLOGICALS.COMに追加しておく必要があります。

     $mount/system/noassist $3$dua25: dmp$dev dmp$dev
     $define/system clue$dosd_device dmp$dev

15.9 CLUEを使用して,クラッシュ・ダンプに関する履歴情報を得る方法(VAX のみ)

VAXシステムにおいて,クラッシュ・ログ・ユーティリティ・エキストラクタ(CLUE) は,クラッシュ履歴ファイルの内容を表示するために使用できるツールです。 クラッシュ履歴ファイルの内容を調べることにより, 障害(クラッシュ)の原因となった問題を理解して解決することができる場合があります。 また,場合によってはその他の有用なデータを得ることもできます。

15.9.1 CLUEについて(VAXのみ)

クラッシュ履歴ファイルは,CLUEにより作成,更新されるもので,主なパラメータはクラッシュ・ ダンプ・ファイルからとります。システムの障害が発生するたびに書き換えられ, そのため,通常は最も新しい障害に対してしか使用できないクラッシュ・ ダンプとは異なり,クラッシュ履歴ファイルはシステム障害の永久的な記録です。

システムに障害が発生し,物理メモリがクラッシュ・ダンプ・ファイルにコピーされると,CLUE はシステムのリスタート時,関連するパラメータを自動的にファイルCLUE$OUTPUT:CLUE$HISTORY.DATA に付加します。 ここでは,CLUEを使用して収集したデータをCLUEを使って表示する方法について説明します。CLUE については,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。


注意
履歴ファイルは各エントリごとに通常10 から15ブロックほどの割合で大きくなっていきます。バイナリ・ ファイル内のエントリ数は,論理名CLUE$MAX_ENTRIESを必要な最大数になるように定義することにより, 制限することができます。この最大数に達すると, 最も古いエントリが履歴ファイルから削除されます。

省略時の設定では, オペレータによるシャットダウンは履歴ファイルに記録されます。 論理名CLUE$EXCLUDE_OPERSをTRUEとして定義することにより, オペレータによるシャットダウンに関する情報を履歴ファイルから削除することができます。 たとえば,SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COMに次の行を含めます。

     $ DEFINE /SYSTEM CLUE$EXCLUDE_OPERS TRUE

15.9.2 CLUEを使用したデータの表示(VAXのみ)

CLUEを使用してデータを表示するには,まず,次のシンボルを定義する必要があります。

     $ CLUE :== $CLUE

シンボルを定義したら,次のコマンドを入力することにより,CLUEを使って情報を表示することができます。

     $ CLUE/DISPLAY
     CLUE_DISPLAY>

プロンプトCLUE_DISPLAY>に対してコマンドを発行し,次の作業を行うことができます。

CLUEコマンドについては,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・リファレンス・ マニュアル』を参照してください。

15.10 システム障害後のシステム・ ダンプ・ファイルの内容の保存

システム障害が発生すると,クラッシュ・ダンプ・ファイルの内容は上書きされ, 以前の内容が失われます。したがって,システムを再ブートするたびに, システム・ダンプ・ファイルを自動的に分析し,コピーするように設定しておく必要があります。

Alphaシステムでは,スタートアップ時にSDAが呼び出され(省略時の設定) ,CLUEリスト・ファイルが作成されます。CLUEリスト・ファイルは一連のコマンドで作成され, クラッシュの概要だけが含まれます。クラッシュの原因を決定するのに十分な情報を持っていません。 したがって,常にダンプ・ ファイルをコピーしておくことをおすすめします。

ユーザのサイト別コマンド・プロシージャに,システム障害後のスタートアップ時に実行させるコマンド(SDA COPY など)を追加する方法については, 第15.8.2項を参照してください。

VAXシステムでは,システムのブート時にシステム・ダンプ分析ユーティリティ(SDA) を呼び出すように,サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャSYSTARTUP_VMS.COM を変更します。

次の点に注意してください。

この例では,SDAのCOPYコマンドを使ってSYS$SYSTEM:SYSDUMP.DMPファイルの内容を保存し, そのファイルを分析しています。

     $ !
     $ !      Print dump listing if system just failed
     $ !
     $ ANALYZE/CRASH_DUMP SYS$SYSTEM:SYSDUMP.DMP
         COPY SYS$SYSTEM:SAVEDUMP.DMP        ! Save system dump file
         SET OUTPUT DISK1:SYSDUMP.LIS        ! Create listing file
         READ/EXECUTIVE                      ! Read in symbols for kernel
         SHOW CRASH                          ! Display crash information
         SHOW STACK                          ! Show current stack
         SHOW SUMMARY                        ! List all active processes
         SHOW PROCESS/PCB/PHD/REG            ! Display current process
        EXIT
     $ SET FILE/NOBACKUP SYS$SYSTEM:SAVEDUMP.DMP

15.11 システム・ダンプ・ファイルをテープまたはディスクへコピーする

システム障害が発生した場合は,システム・ダンプ・ファイルの内容のコピーを作成して, 弊社のサポート担当者にお知らせください。バックアップ・ ユーティリティ(BACKUP)を使用すると,システム・ダンプ・ファイルを含むセーブ・ セットを,磁気テープまたはディスクに作成できます。ただし,BACKUP を使用してシステム・ダンプ・ファイルをコピーする場合は, 次の理由から,/IGNORE=(NOBACKUP,INTERLOCK)修飾子を指定する必要があります。

BACKUPの使用方法については,第10 章を参照してください。また,BACKUPコマンドについては,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』のBACKUPの節を参照してください。

システム・ダンプ・ファイルをコピーする場合は,できるだけ次の手順に従ってください。

  1. SDA COPYコマンドを使用して,システム・ダンプ・ファイルのコピーを作成する。

  2. BACKUPユーティリティを使用して,作成したコピーをテープまたはディスクに保存する。

この方法で行えば,BACKUPの修飾子による問題を回避できます。またSDA COPYコマンドは,実際に使用されているブロックだけをシステム・ダンプ・ ファイルにコピーするので,テープに書き込まれるデータ量を減らすことができます。

15.12 ページ・ファイルからのダンプ情報の解放

システム・クラッシュ・ダンプをSYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYSに保存した場合, ページャのため,ダンプに占有された空間を後で解放する必要があります。 そうしないと,ページング空間が不足してシステムがハングすることがあります。

どんな場合に,システム・クラッシュ・ダンプをページ・ファイルに保存するのかについては 第15.1節を参照してください。

15.12.1 VAXシステムとAlphaシステムでのダンプ情報の解放

この節では,VAXシステムとAlphaシステムでページ・ファイルからダンプ情報を解放する方法について説明します。

作業方法

VAXシステムの場合は,次の手順に従ってください。

  1. PAGEFILE.SYSをターゲットにして,システム・ダンプ・アナライザ・ ユーティリティ(SDA)を起動する。
         $ ANALYZE/CRASH_DUMP SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS
    

  2. SDAのCOPYコマンドを次の形式で入力し,ダンプをSYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS から別のファイルにコピーする。

    COPYダンプ・ファイル指定

    たとえば,ダンプ・ファイルをシステム・ディスクからDISK$USER5上のSAVEDUMP.DMP というファイルにコピーするには,次のコマンドを入力する。

         SDA> COPY DISK$USER5:[DUMPS]SAVEDUMP.DMP
    

  3. EXITコマンドでSDAを終了する。

  4. ステップ1およびステップ2で入力したSDAコマンドを,サイト別スタートアップ・ コマンド・プロシージャSYSTARTUP_VMS.COMに追加する。 これにより,システムが再ブートするたびにページ空間が解放されるようになる。

また,ページング・ファイルのダンプが格納されているページを他にコピーしないで解放するには,ANALYZE/CRASH_DUMP/RELEASE コマンドを使用します。 このコマンドは,ダンプを効果的に削除し,システム・ページングのために使用されるページをただちに解放します。 ただし,このコマンドでは, 削除を行う前にダンプを分析することはできません

次のコマンドは,SYSTARTUP_VMS.COMコマンド・プロシージャに追加され, システムの再ブート時に,ページ・ファイルの内容をSAVEDUMP.DMPというファイルにコピーします。

     $ ANALYZE/CRASH_DUMP SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS
       COPY DISK$USER5:[DUMPS]SAVEDUMP.DMP
       EXIT
     $ SET FILE/NOBACKUP SYS$SYSTEM:SAVEDUMP.DMP

Alphaシステムでの作業方法

Alphaシステムでは,『OpenVMS Alpha System Dump Analyzer Utility Manual』で説明しているように, システム障害が発生した後でシステムを再ブートするときに,省略時の設定によりSDA は自動的に起動されます。

システム・ダンプ・ファイルを自動的に保存するには,次の操作を実行します。

  1. SYS$$MANAGER:SAVEDUMP.COMファイルを作成する。次の例を参照。
         !
         ! SDA command file, to be executed as part of the system
         ! bootstrap from within CLUE.  Commands in this file can
         ! be used to save the dump file after a system bugcheck, and
         ! to execute any additional SDA command.
         !
         READ/EXEC               ! Read in the executive images' symbol tables
         COPY SAVEDUMP.DMP       ! Copy and save system dump file
         SHOW STACK              ! Display the stack
         !
    

  2. 使用しているシステム固有のファイルを指すには,次のような行をファイルSYS$MANAGER:SYLOGICALS.COM に追加する。
         $ DEFINE/SYSTEM CLUE$SITE_PROC SYS$MANAGER:SAVEDUMP.COM
    

    この例では,使用しているシステム固有のファイルはSAVEDUMP.COMという名前である。

論理名CLUE$INHIBITが定義されており,システム・スタートアップ時にSDA が自動的に起動されなかった場合には,ダンプによって使用されたページ・ ファイル内のページは,ANALYZE/CRASH_DUMP/RELEASEコマンドを使用して解放できます。 このコマンドは,ダンプを効果的に削除し,システム・ ページングのために使用されるページをただちに解放します。このコマンドでは, ダンプを削除する前に分析することはできません

CLUEが使用する論理名については『OpenVMS Alpha System Dump Analyzer Utility Manual』を参照してください。

15.12.2 VAXシステムとAlphaシステムで情報を解放するための使用上の注意

システム・ダンプ・ファイルには特権情報が格納されている可能性があるため, ダンプ・ファイルのコピーがワールドから読み込みされないように保護してください。

システムがファイルの内容全体をバックアップしないようにするには, DCLのSET FILE/NOBACKUPコマンドを使用して,ファイルにNOBACKUP属性を割り当てます。

また,DCLのCOPYコマンドを使用してダンプ・ファイルをコピーすることもできますが, なるべくSDAのCOPYコマンドを使用してください。これは,SDA COPY コマンドが次の操作を実行するからです。

15.13 ページ・ファイルとスワップ・ファイルのインストール

SYS$SYSTEMにある1次ページ・ファイルと1次スワップ・ファイルは,システムによって自動的にインストールされます。 ただし,その他のファイルが自動的にインストールされることはありません。 このため,2次ページ・ ファイルまたは2次スワップ・ファイルを作成した場合には,システム生成ユーティリティ(SYSGEN) を使って,それらをインストールする必要があります。SYSGEN のINSTALLコマンドは,INSTALLユーティリティ・コマンドとは異なる働きをする点に注意してください。

15.13.1 会話型のインストール

  1. 次のコマンドを入力して,SYSGENを起動する。
         $ RUN SYS$SYSTEM:SYSGEN
    

  2. 次のように,SYSGENのINSTALLコマンドを入力する。

    ページ・ファイルの場合は,次の形式で入力する。

    INSTALLファイル指定/PAGEFILE

    次の例を参照。

         SYSGEN> INSTALL DUA2:[PAGE_SWAP]PAGEFILE_1.SYS/PAGEFILE
    

    スワップ・ファイルの場合は,次の形式で入力する。

    INSTALLファイル指定/SWAPFILE

    次の例を参照。

         SYSGEN> INSTALL DUA2:[PAGE_SWAP]SWAPFILE_1.SYS/SWAPFILE
    

  3. システムがブートするたびにファイルがインストールされるように,SYS$MANAGER:SYPAGSWPFILES.COM にステップ2で入力したコマンドを追加する。 詳細は第15.13.2 項を参照。

ページ・ファイルおよびスワップ・ファイルを会話形式でインストールします。

     $ RUN SYS$SYSTEM:SYSGEN
     SYSGEN> INSTALL DUA2:[PAGE_SWAP]PAGEFILE_1.SYS/PAGEFILE
     SYSGEN> INSTALL DUA2:[PAGE_SWAP]SWAPFILE_1.SYS/SWAPFILE

15.13.2 SYPAGSWPFILES.COMでのインストール

SYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS,SYS$SYSTEM:SWAPFILE.SYS以外のページ・ファイルおよびスワップ・ ファイルは,システムがブートするたびにインストールしなおす必要があります。 この作業は,スタートアップ・コマンド・ プロシージャSYS$MANAGER:SYPAGSWPFILES.COMにファイルをインストールするコマンドを追加することによって自動化できます。 テンプレート・ファイルSYS$MANAGER:SYPAGSWPFILES.TEMPLATE には,このファイルがどのように使用されているかを説明するコメントが含まれます。

この作業を行う前には,第15.15節で説明したように,2 次ファイルを作成しておく必要があります。

SYPAGSWPFILES.COMについての詳細は,第5.2.3 項を参照してください。

また,SATELLITE_PAGE.COMを使って,VAXclusterまたはOpenVMS Cluster サテライト・ノードのローカル・ディスク上に,ページ・ファイルおよびスワップ・ ファイルをインストールすることもできます。SATELLITE_ PAGE.COMは,CLUSTER_CONFIG.COMを実行すると作成されます。サテライト・ ノードのローカル・ディスク上にページ・ファイルおよびスワップ・ ファイルをインストールする方法については,『OpenVMS Cluster Systems』を参照してください。

作業方法

  1. SYS$MANAGER:SYPAGSWPFILES.COMを編集するために,任意のエディタを起動する。

  2. 必要に応じて,ページ・ファイルおよびスワップ・ファイルを保持するディスクをマウントするためのMOUNT コマンドを追加する。この作業が必要なのは,SYPAGSWPFILES.COM の起動時には,システム・ディスクしかインストールされていないためである。

    例:

         $ MOUNT/SYSTEM/NOASSIST DUA2: DISK_SYS2
    

    MOUNTコマンドについては,『OpenVMS DCLディクショナリ』を参照。

    次のコマンドは,MOUNTコマンドの前に挿入する。このコマンドも, マウント前にディスクが使用できるかどうかを判断するのに有用である。 ただし,ディスクが破損していてマウントできない場合は,これらのコマンドにより無限ループが発生する。

         $ LOOP1:
         $  ON WARNING THEN GOTO LOOP1
         $  WAIT 0000 00:00:00.50
         $  READY = F$GETDVI("device:","AVL")
         $  IF READY .EQS. "FALSE" THEN GOTO LOOP1
    

    ここで,device:には,装置名を指定する。

  3. SYSGENを起動する次のコマンドを追加する。
         $ RUN SYS$SYSTEM:SYSGEN
    

  4. 次の形式のコマンドをSYPAGSWPFILES.COMに追加する。これらのコマンドは, システムがブートするたびに該当するファイルをインストールする。

    ページ・ファイルの場合は,次の形式を使用する。

    INSTALLファイル指定/PAGEFILE

    例:

         INSTALL DUA2:[SYSTEM]PAGEFILE_1.SYS/PAGEFILE
    

    スワップ・ファイルの場合は,次の形式を使用する。

    INSTALLファイル指定/SWAPFILE

    例:

         INSTALL DUA2:[SYSTEM]SWAPFILE_1.SYS/SWAPFILE
    

  5. EXITコマンドを追加してSYSGENを終了する。
         EXIT
    

装置DUA2:上に存在する,PAGEFILE_1.SYSおよびSWAPFILE_1.SYSという名前のファイルをインストールする場合に,SYPAGSWPFILES.COM に追加するコマンドを示します。

     $ EDIT SYS$MANAGER:SYPAGSWPFILES.COM
       [add the following commands to SYPAGSWPFILES.COM:]
        .
        .
        .

     $ MOUNT/SYSTEM/NOASSIST DUA2: DISK_SYS2
     $ RUN SYS$SYSTEM:SYSGEN
       INSTALL DUA2:[SYSTEM]PAGEFILE_1.SYS /PAGEFILE
       INSTALL DUA2:[SYSTEM]SWAPFILE_1.SYS /SWAPFILE
       EXIT

15.14 ページ・ファイル,スワップ・ファイル, ダンプ・ファイルの削除


重要
ページ・ファイル,スワップ・ ファイル,ダンプ・ファイルを削除する場合には,単にファイルだけを削除しないでください。 ファイルだけを削除した後,システム・ディスクを継続して使用していると, システム・ディスクが破損することがあります。

作業方法

  1. RENAMEコマンドを使って,削除するファイルの名前を変更する。

  2. システムをシャットダウンし,再ブートする。

  3. ファイルを削除する。

  4. ファイルを削除する場合は,SYPAGESWPFILES.COMおよびMODPARAMS.DAT から,そのファイルに関連するすべてのコマンド行を確実に削除するようにする。

     $ RENAME DUA2:[SYSTEM]PAGEFILE_1.SYS; DUA2:[SYSTEM]JUNK.SYS;
     $ @SYS$SYSTEM:SHUTDOWN.COM
        .
        .
        .
     [SHUTDOWN.COM shuts down and reboots the system]
     [When the system reboots, log in]
        .
        .
        .
     $ DELETE DUA2:[SYSTEM]JUNK.SYS;

15.15 ページ・ファイル,スワップ・ファイル, ダンプ・ファイルの作成と変更

性能を向上させるため,あるいはディスク空間の制約から,システム・ディスク以外のディスクにページ・ ファイル,スワップ・ファイル,およびシステム・ ダンプ・ファイルを作成することがあります。ただし,エラー・ ログ・ファイルは,システム・ディスク上になければなりません。

次の項では,ページ・ファイル,スワップ・ファイル,およびシステム・ ダンプ・ファイルのさまざまな作成方法を説明します。

方法 参照箇所
AUTOGENを使用(標準的な方法) 第15.15.1項
SWAPFILES.COMを使用(1次ファイルのみ) 第15.15.2項
SYSGENを使用 第15.15.3 項

15.15.1 AUTOGENを使用(標準的な方法)

新しく作成しAUTOGENを起動するファイルの名前,格納場所,およびサイズを指定するように,MODPARAMS.DAT にシンボルを追加することにより, AUTOGENを使用して新しいシステム・ページ・ファイル,スワップ・ファイル, およびダンプ・ファイルを作成することができます。これらの作業を行う前に,AUTOGEN およびパラメータ・ファイルMODPARAMS.DATを理解しておく必要があります。 AUTOGEN については第14.4節,MODPARAMS.DATについては第14.4.4 項をそれぞれ参照してください。

AUTOGENはシステム・ページ・ファイル,スワップ・ファイル,およびダンプ・ ファイルの適切なサイズを自動的に計算します。また,ファイルを適切なサイズに変更し, インストールします。AUTOGENが計算するサイズは, ファイルMODPARAMS.DATでシンボルを定義することにより制御できます。 詳細は第15.15.1.2項を参照してください。

作業方法

ページ・ファイル,スワップ・ファイル,およびダンプ・ファイルのサイズを変更するには,AUTOGEN を2段階に分けて実行します。

  1. 次のコマンドを入力して,AUTOGENの第1段階を起動する。 AUTOGENは,システム・ファイルのサイズの計算結果をSYS$OUTPUTに表示する。
         $ @SYS$UPDATE:AUTOGEN SAVPARAMS TESTFILES
    

  2. ステップ1で表示されたファイルのサイズが十分ではない場合は, 第15.15.1.2項で説明したように, ファイルのサイズを制御するためにMODPARAMS.DATにシンボルを追加し, ステップ1に戻る。

  3. ステップ1で表示されたファイルのサイズで十分な場合は,次のコマンドを使用してAUTOGEN の第2段階を実行する。これにより,システムが再ブートする時に, 変更されたシステム・ファイルをインストールされる。
         $ @SYS$UPDATE:AUTOGEN GENPARAMS REBOOT
    

  4. システムがブートされるたびに,変更されたファイルがインストールされるように, サイト固有のスタートアップ・コマンド・ プロシージャSYPAGSWPFILES.COMにコマンドを追加する。詳細は第15.13節参照。

15.15.1.1 システム・ページ・ファイル,スワップ・ ファイル,ダンプ・ファイルの格納場所の制御

作成するページ・ファイルとスワップ・ファイルの名前と格納場所を指定するには, 次のシンボルをMODPARAMS.DATに追加します。

定義 ページ・ ファイル スワップ・ ファイル ダンプ・ ファイル
ファイル名と
格納場所
PAGEFILEn_NAME = ファイル指定 SWAPFILEn_NAME = ファイル指定 DUMPFILE_ DEVICE=装置

ただし,

15.15.1.2 MODPARAMS.DATでのページ・ ファイル, スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルのサイズの制御

AUTOGENパラメータ・ファイルMODPARAMS.DATに情報を追加すると, AUTOGENが計算するページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルのサイズを制御することができます。MODPARAMS.DAT にシステム・ ファイルのサイズ情報を指定しないと,AUTOGENは,ページ・ファイル, スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルの省略時のサイズ計算を行います。

次のいずれかを指定するシンボルを,MODPARAMS.DATで定義できます。

指定するサイズ 参照箇所
すべてのページ・ファイルまたはスワップ・ファイルで必要なサイズの 合計。(システム・ダンプ・ファイルに対しては無効) 。 表 15-4
ページ・ファイル,スワップ・ファイル,またはダンプ・ ファイルの個々のサイズ。 表 15-5


注意
ファイルの合計サイズと個々のサイズの両方を指定することはできません。MODPARAMS.DAT 中のシンボル定義が矛盾する場合は,AUTOGEN は警告メッセージを表示します。

ページ・ファイルとスワップ・ファイルに関しては,他にページ・ファイルおよびスワップ・ ファイルがない場合のみ,AUTOGENはSYS$SYSTEM:PAGEFILE.SYS およびSYS$SYSTEM:SWAPFILE.SYSを操作します。 2次ファイルがある場合は,AUTOGENは2次ファイルを操作し,1次ファイルは操作から除外されます。 ただしインスタンスによっては,1次ページ・ ファイルおよび1次スワップ・ファイルが変更されることがあります。

VAXシステムでは,システム・ダンプ・ファイルに対して,AUTOGENは1つのファイルだけのサイズを操作します。DUMPFILE_DEVICE が指定されていないときは, システム・ディスクのシステム・ダンプ・ファイルを操作し,DUMPFILE_DEVICE が指定されているときは,指定された装置のシステム・ ダンプ・ファイルを操作します。

VAXシステムでは,AUTOGENはエラー・ログ・バッファに対して常に最小のSYSDUMP.DMP ファイルを作成します。

Alphaシステムでは,AUTOGENはシステム・ディスクのエラー・ログ・ダンプ・ ファイルのサイズだけを操作します。

AUTOGENが1次ファイルのサイズを変更することが望ましくない場合には, MODPARAMS.DATに次のシンボルを指定してください。

     PAGEFILE =   0
     SWAPFILE =   0
     DUMPFILE =   0
     ERRLOGDUMP = 0 ! Alpha only

これらのシンボルは,サイズを計算するときに,1次ページ・ファイル, 1次スワップ・ファイル,および1次ダンプ・ファイルを無視するようにAUTOGEN に要求します。

システム・ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルの作成または拡張によって, ターゲット・ディスクの95パーセント以上が使用されると,AUTOGEN は警告を出し操作を実行しません。

しかし,Alphaシステムでは,95パーセントという規則はエラー・ログ・ ダンプ・ファイル,SYS$ERRLOG.DMPに適用されません。ディスクにファイルを格納できる場合には, このファイルが作成されます。

AUTOGENを使用すると,現在のページ・ファイル,スワップ・ファイル, ダンプ・ファイルよりも小さなファイルを作成できます。システムをブートして新しいファイルを使用したら, 必ずDCLコマンドのPURGEを実行してください。

現在インストールされているページ・ファイルおよびスワップ・ファイルのサイズを確認するには,DCL コマンドのSHOW MEMORY/FILESを実行します。 これらのファイルのサイズを増やしたものの再ブートしていない場合は, 変更前のサイズが表示されます。ダンプ・ファイルのサイズを確認するには,DIRECTORY コマンドを使用します。


注意
値0を指定した場合,または現在のサイズの10 パーセント以内のサイズを指定した場合,AUTOGENはファイルのサイズを変更しません。

ページ・ファイル,スワップ・ファイル,システム・ダンプ・ファイル, またはエラー・ログ・ダンプ・ファイルの全部の領域を制御するために,MODPARAMS.DAT で定義できるシンボルの一覧を表 15-4 に示します。

表 15-4 ページ・ファイル,スワップ・ファイル, ダンプ・ファイル,エラー・ログ・ダンプ・ファイル空間の合計サイズを制御するシンボル

操作 ページ・ファイル・
シンボル
スワップ・ファイル・
シンボル
ダンプ・ファイル・
シンボル
エラー・ログ・
ファイル・シンボル
空間の総量の定義 PAGEFILE = n[1] SWAPFILE = n [1] DUMPFILE = n[1] ERRLOGDUMP = n[1]
合計サイズの拡大 ADD_PAGEFILE = n ADD_SWAPFILE = n ADD_DUMPFILE = n ADD_ERRLOGDUMP = n
合計サイズの最大値
の指定
MAX_ PAGEFILE = n MAX_SWAPFILE = n MAX_DUMPFILE = n MAX_ ERRLOGDUMP = n
合計サイズの最小値
の指定
MIN_PAGEFILE = n MIN_ SWAPFILE = n MIN_DUMPFILE = n MIN_ERRLOGDUMP = n

[1] nはブロック単位の合計サイズ。nが0の場合, AUTOGENの対応するセクションはスキップされる。ページ・ファイルとスワップ・ ファイルに関しては,nが0でない場合,2次ファイルが存在しなければ,AUTOGEN はその値を1次ファイルに適用する。nが0 でない場合,2次ファイルが存在すれば,AUTOGENは変更値をページ・ファイルまたはスワップ・ ファイルのすべての2次ファイルに等分し,ほとんどの場合,1 次ファイルは変更しない。

表 15-5は,個々のファイルのサイズを制御する場合にMODPARAMS.DAT に定義できるシンボルの一覧です。

表 15-5 個々のページ・ファイルおよびスワップ・ ファイルのサイズを制御するためのシンボル

操作 ページ・ファイル・シンボル[1] スワップ・ファイル・シンボル[1]
ファイル・サイズの指定 PAGEFILEn_SIZE =ブロック・サイズ SWAPFILEn_SIZE =ブロック・サイズ
ファイル・サイズの拡大 ADD_PAGEFILEn_SIZE =ブロック・サイズ ADD_SWAPFILEn_SIZE =ブロック・サイズ
最大ファイル・ サイズの指定 MAX_PAGEFILEn_SIZE =ブロック・ サイズ MAX_SWAPFILEn_SIZE =ブロック・サイズ
最小ファイル・ サイズの指定 MIN_PAGEFILEn_SIZE =ブロック・ サイズ MIN_SWAPFILEn_SIZE =ブロック・サイズ

[1] nには,ページ・ファイルまたはスワップ・ファイル示す整数を指定する。1 は1次ページ・ファイルまたは1次スワップ・ ファイルを示し,それ以降のファイルでは値が増えていく。たとえば, 2次ページ・ファイルまたは2次スワップ・ファイルを指定する場合には, nの値を2にする。ブロック・サイズにはサイズをブロック単位で指定する。

  1. すべてのページ・ファイルの合計サイズを100,000ブロック以下にするには, 次の行をMODPARAMS.DATに追加します。
         PAGEFILE = 100000
    

    1次ページ・ファイルだけしか存在しない場合,そのファイルのサイズは,100,000 ブロックになります。ページ・ファイルが複数存在する場合には, 現在の合計サイズと新しい合計サイズとの差が2次ファイルに配分されます。 たとえば,PAGEFILE = 100000を指定すると,変更後のページ・ サイズは次のようになります。

    ファイル 元のサイズ( ブロック数) 変更後のサイズ( ブロック数)
    1次ページ・ファイル 10,000 10,000
    2次ページ・ファイル1 30,000 45,000
    2次ページ・ファイル2 30,000 45,000

  2. 1次ページ・ファイルのサイズを10,000ブロックに設定するよう,AUTOGEN に指示するためには,シンボルを次のように定義します。
         PAGEFILE1_SIZE = 10000
    

  3. サイズが30,000ブロックの新しい2次スワップ・ファイルPAGED$:[PAGESWAP]SWAPFILE.SYS を作成するよう,AUTOGENに指示するためには, シンボルを次のように定義します。
         SWAPFILE2_NAME = "PAGED$:[PAGESWAP]SWAPFILE.SYS"
         MIN_SWAPFILE2_SIZE = 30000
    

15.15.2 SWAPFILES.COMの使用方法

ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルのサイズを変更する場合は, できるだけAUTOGENを使用するようにしてください。 ただし,1次ページ・ファイル,1次スワップ・ファイル, 1次ダンプ・ファイルのサイズは,コマンド・プロシージャSYS$UPDATE:SWAPFILES.COM を使用して変更することができます。 SWAPFILES.COMにより,サイズを変更する前に,ページ・ファイル,スワップ・ ファイル,ダンプ・ファイルの現在のサイズを見ることができます。

ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルのサイズを変更する場合は, 第15.15.1.2項で説明したように,MODPARAMS.DAT を編集して新しいサイズを指定する必要があります。 新しいサイズをMODPARAMS.DATに指定しなかった場合, AUTOGENは次回実行されたときにファイルのサイズを変更します。

このプロシージャにより,SYS$SYSTEM内の現在のページ・ファイル,スワップ・ ファイル,ダンプ・ファイルのサイズと,システム・ディスクに残っている空間の量が表示され, 新しいサイズを入力したり,既存のサイズを保持したりすることができるようになります。 既存のファイル・サイズよりも大きいサイズを指定すると, このプロシージャにより,ページ・ファイルまたはダンプ・ ファイルのサイズが自動的に増やされます。また, システムのページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルに, 小さいサイズを指定すると,新しくファイルが作成されます。

作業方法

  1. 次のコマンドを入力して,コマンド・プロシージャを起動する。
         $ @SYS$UPDATE:SWAPFILES.COM
    

    システムはSYS$SYSTEM内にある現在のファイルおよびそのサイズを表示する。 次の例を参照。

         Current file sizes are:
    
         Directory SYS$SYSROOT:[SYSEXE]
    
         PAGEFILE.SYS;1    16384
         SYSDUMP.DMP;1      4128
         SWAPFILE.SYS;1     3072
    
         Total of 3 files, 23584 blocks.
    
         There are 128741 available blocks on SYS$SYSDEVICE.
    

  2. 次のプロンプトに対して,ページ・ファイルに必要なサイズをブロック単位で入力する。 サイズを変更しない場合はReturnを押す。
         Enter new size for page file:
    

  3. 次のプロンプトに対して,ダンプ・ファイルに必要なサイズをブロック単位で入力する。 サイズを変更しない場合はReturnを押す。
         Enter new size for system dump file:
    

  4. 次のプロンプトに対して,スワップ・ファイルに必要なサイズをブロック単位で入力する。 サイズを変更しない場合はReturnを押す。
         Enter new size for swap file:
    

  5. システムをシャットダウンしてから再ブートし,新しいファイルを使用できるようにする。

  6. システムを再ブートした後,使用しなくなったファイルのコピーをパージする。 システムを再ブートするまでは,古いファイルを削除しないこと。

  7. MODPARAMS.DATを編集して,新しいファイル・サイズを取り込む( 第15.15.1.2項参照)。 MODPARAMS.DATに新しいサイズを指定していない場合は,AUTOGENが次回実行されるとき, 自動的にファイルのサイズを変更する。

     $ @SYS$UPDATE:SWAPFILES
     To leave a file size at its current value type a
     carriage return in response to its size prompt.
     Current file sizes are:

     Directory SYS$SYSROOT:[SYSEXE]

     PAGEFILE.SYS;1    100000
     SYSDUMP.DMP;1      28000
     SWAPFILE.SYS;1     33000

     Total of 3 files, 161000 blocks.

     There are 128741 available blocks on SYS$SYSDEVICE.

     Enter new size for page file: <Return>

     Enter new size for system dump file: 30000

     %SYSGEN-I-EXTENDED, SYS$SYSROOT:[SYSEXE]SYSDUMP.DMP;1 extended

     Enter new size for swap file: <Return>

     ***********************************************************************
     *  Please reboot in order for the new files to be used by the system. *
     *  After rebooting, purge obsolete copies of the files.               *
     *  DO NOT delete the old files until after the reboot.                *
     ***********************************************************************

15.15.3 SYSGENの使用法

ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルを作成する場合には, できるだけAUTOGENを使用してください。AUTOGENは,システム生成ユーティリティ(SYSGEN) を起動して,ファイルを作成または変更します。 ただし,緊急時には,システム生成ユーティリティ(SYSGEN)を使用して, ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ファイルのサイズを直接変更することができます。 たとえば,ページ・ファイルの空間が危険なほど少なくなっていることが分かった場合には,SYSGEN を利用して, ページ・ファイルの空間をすぐに追加し,システムのハングを防ぐことができます。


注意
SWPFILCNTおよびPAGFILCNT システム・パラメータはそれぞれ,システムがインストールするスワップ・ ファイルおよびページファイルの数を制限します。詳細は『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照してください。

作業方法

  1. ファイルの位置と適切なサイズを調べる(第15.4節を参照)。

  2. SYSGENを起動し,次の形式でCREATEコマンドを入力する。

    CREATEファイル指定/SIZE=ブロック・サイズ

    ファイル指定には,完全ファイル指定を行う。

    ブロック・サイズには,ファイルのサイズをブロック数で指定する。

    指定したファイルがすでに存在する場合,指定したサイズが既存のファイルのサイズより大きければ, 既存のファイルが拡大される。指定したファイルがすでに存在する場合, 指定したサイズが既存のサイズより小さければ, 指定したサイズのファイルが新しく作成される。

    たとえば,次のコマンドは既存のページ・ファイルPAGEFILE.SYSを拡大する。

         SYSGEN> CREATE PAGEFILE.SYS/SIZE=100000
    

    SYSGENのCREATEコマンドについての詳細は,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』のSYSGENの節を参照。


    注意
    ファイルの作成および削除を頻繁に行うと, ディスク上の空き空間が著しくフラグメンテーションする場合があります。 システム・ファイルの作成または拡張によって,そのファイルがフラグメンテーションされ, システムがブートできなくなると判断した場合,SYSGEN はHEADERFULL警告メッセージを出します。そのような場合には, ボリューム上の空き空間を1つの連続領域にまとめるため, システム・ボリュームをいったんバックアップしてから復元し(第10.17節参照)します。

    その後,SYSGENの操作を再試行します。SYSGEN が警告メッセージを出す場合には,ファイルのサイズは多少大きくなりますが,CREATE コマンドで指定したサイズまでにはなりません。


  3. 新しいファイルまたは変更したファイルを使用するために,再ブートする必要があるかどうかを判断する。 次の表を参照。

    種類 変更形態 再ブート
    1次ページ・ファイル1 次スワップ・ファイル1 次システム・ダンプ・ファイルエラー・ ログ・ダンプ・ファイル[1] 作成 必要

    拡大 必要
    2次ページ・ ファイル2 次スワップ・ファイル 作成 不要 [2]

    拡大 必要

    [1] 1次ページ・ファイル,スワップ・ファイル,ダンプ・ ファイルは,それぞれSYS$SPECIFIC:[SYSEXE]PAGEFILE.SYS, SWAPFILE.SYS,SYSDUMP.DMP。

    [2]システムを再ブートする必要はないが,システムが利用する前に2 次ファイルをインストールしなければならない。詳細は第15.13節を参照。

  4. ファイルの新しいバージョンを作成した場合には,システムの再ブート後, 古いバージョンをパージする。

  5. システムがブートされるたびに,ファイルが確実にインストールされるように, サイト固有のスタートアップ・コマンド・プロシージャSYPAGSWPFILES.COM にコマンドを追加する。操作手順については, 第15.13節を参照。

  6. AUTOGENが計算に従ってファイルのサイズを変更することが望ましくない場合には,MODPARAMS.DAT を変更して,これらのファイルのサイズを指定する。 第15.15.1.2 項を参照。

既存のファイルPAGEFILE.SYS,SWAPFILE.SYS,およびSYSDUMP.DMPを指定したサイズに拡大します。

     $ RUN SYS$SYSTEM:SYSGEN
     SYSGEN> CREATE PAGEFILE.SYS/SIZE=100000
     %SYSGEN-I-EXTENDED, SYS$SYSROOT:[SYSEXE]PAGEFILE.SYS;1 extended
     SYSGEN> CREATE SWAPFILE.SYS/SIZE=30000
     %SYSGEN-I-EXTENDED, SYS$SYSROOT:[SYSEXE]SWAPFILE.SYS;1 extended
     SYSGEN> CREATE SYSDUMP.DMP/SIZE=33000
     %SYSGEN-I-EXTENDED, SYS$SYSROOT:[SYSEXE]SYSDUMP.DMP;1 extended
     SYSGEN> EXIT


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