[ 前のページ ]
[ 次のページ ]
[ 目次 ]
[ 索引 ]
[ DOC Home ]
この章では,日本語OpenVMS VAX V7.2のインストレーションをする前の準備について説明します。
日本語OpenVMS VAX V7.2オペレーティング・システムで提供されるキットはイニシャル・ キットであり,標準版OpenVMS VAX V7.2を日本語化するためのモジュールのみを含んでいます。 次のユーザは,このキットを使用してください。
日本語OpenVMS VAXは,標準版OpenVMSと同様に, 一部のシステムのみをインストールして使用できるように,以下の4 個のセーブセットから構成されています。
個々のセーブセットはさらに,数個の機能あるいはユーティリティからなるテーラリング・ クラスで構成されており,ユーザはテーラリングするかどうかを選択できます。
ただし,通常の場合,すべてのセーブセットは無条件にインストールされます。 システム・ディスクに必要なディスク・スペースがない場合,または明示的にセーブセットを指定した場合に, 個々のセーブセットを選択し, インストールします。しかし,その場合にも必須セーブセットは必ず選択されます。 もし,必須セーブセット以外のファイルで不要なものがある場合は, インストール後にテーラリング・ユーティリティを使用してファイルを削除(テーラ・ オフ)してください。テーラリング・ユーティリティの使用法については, 本書の第6章を参照してください。
それぞれのセーブセットをインストールすることで使用できる機能を,以下に示します。 個々の機能の詳細は,各ユーティリティの利用者の手引きを参照してください。
日本語OpenVMS VAXの初期設定を行うプロシージャ群です。
日本語文字列操作ルーチンや日本語汎用ライブラリ,かな漢字変換ライブラリ, 日本語画面制御ライブラリ(SMG),ユーザ・キー定義ライブラリ(IMLIB) ,日本語COBOLランタイム・ライブラリなどのプログラム開発用の各種ライブラリです。
漢字ビデオ・ターミナルや漢字プリンタなどの属性の表示および設定を行うユーティリティです。
DECTPUに日本語処理機能を追加したもので,日本語EVEエディタが標準で用意されています。
日本語OpenVMS VAXのファイルの部分的な追加, 削除を行います。
日本語メール・ユーティリティなどの,以下のユーティリティが含まれます。
KCODE | 漢字コード変換 |
KCONVERT | DEC漢字コード変換 |
KINQUIRE | ローマ字・かな漢字変換型 INQUIREコマンド |
JDICEDIT | 辞書編集ユーティリティ |
JMAIL | 日本語メール・ユーティリティ |
SORT,MERGE | 日本語ソート・ 日本語マージ |
ユーザ定義文字の管理及びユーザ定義文字のプリンタでの印字などをサポートするユーティリティが含まれています。
Kanji font database | 漢字フォント・データ |
Kanji utility Help | 漢字ユーティリティのHELP |
Kanji print symbiont | 漢字プリンタ用プリント・シンビオント |
Kanji terminal driver | 漢字端末用ドライバ |
CMGR | ユーザ定義文字管理ユーティリティ |
日本語OpenVMS VAX上の端末(VT284, VT382など)上で動いているアプリケーションに,日本語を入力するためのフロントエンド・ システムです。
日本語ライブラリを使用したプログラム用のインクルード・ファイルなどが含まれています。
日本語OpenVMS VAXの付加的機能を提供します。
IVP | インストレーションの検証プロシージャ |
サンプル・プログラム | 日本語ユーティリティ,DEC XTPUなどのプログラム例 |
古いファイル | JTPUの共有イメージなど |
日本語DECwindows Motif for OpenVMSが使用するフォント・ファイル,キーマップ・ ファイルなどを提供します。標準版OpenVMSでDECwindowsファイルをインストールしている場合にのみ必要となります。
キーマップ・ファイル | 日本語キーボードに対応したキーマップ・ ファイル |
フォント別名ファイル | 指定されたファイルがない場合に使用する別名フォントを記述するファイルの例 |
75dpiフォント | 75dpiの日本語フォント |
100dpiフォント | 100dpiの日本語フォント |
新規に日本語OpenVMS VAXを使用するユーザは, 日本語OpenVMS VAXをインストールする際に, 必ずソフトウェア・ライセンスを登録しなければなりません。 ライセンスを登録するための情報は,日本語OpenVMS VAX と一緒に出荷される,プロダクト・オーソライゼーション・ キー(PAK)に含まれています。PAKはライセンス情報が記載されている用紙です。
日本語OpenVMS VAXのライセンスは, インストレーションの前でも後でも登録できますが,インストレーションの前に行うことをお勧めします。 日本語OpenVMS VAX ではインストレーション中にライセンスを登録し,キーをロードしたかどうかを確認するようになっています。 ライセンスの登録とキーのロードを行っていない場合は, インストレーションを行うことはできますが, 日本語OpenVMS VAXを使用したり,IVP を実行したりすることはできません。ライセンスを登録し, キーをロードして初めて,日本語OpenVMS VAXを使用したり,IVPを実行したりすることができます。
ライセンスを登録する方法には次の2つがあります。
詳細は『OpenVMS License Management Utility Manual』を参照してください。
日本語OpenVMS VAX V7.2は,VAXアーキテクチャの各機種で動作します( 一部の機種を除く)。また,日本語OpenVMS VAX V7.2 が動作するためには以下の環境が必要です。
システムをインストールするのに充分な容量を持った,RD,RA,RF, RZシリーズのディスク装置。
キットの提供媒体に対応するテープ・ドライブまたはCD-ROMドライブ。
最小4MB以上のメインメモリ
詳細は『日本語OpenVMSオペレーティング・システムV7.2ソフトウェア仕様書』(SPD)を参照してください。
日本語OpenVMS VAX V7.2をインストールするためには, 標準版OpenVMS VAXがV7.2であることが必要です。インストレーションの方法については『OpenVMS VAX Version 7.2 Upgrade and Installation Manual』を参照してください。
標準版OpenVMS VAX V7.2のインストール後,XPG4 ロケール・データ・ファイル・キットのインストレーションが必要です。 ロケール・データ・ファイルは,V6.2から標準版OpenVMS VAX で提供されるようになった,XPG4ランタイム・ライブラリおよびユーテリティで使用されるもので, 独立したキットで提供されています。
キット名はVMSI18N072です。このキットはCD-ROMの場合は標準版OpenVMS VAX & Alpha V7.2 Associated Layered Products CD-ROMおよび日本語OpenVMS VAX V7.2 CD-ROMの両方に含まれています。 またTK50 あるいは9トラック1600 BPI磁気テープの場合は,日本語OpenVMS VAX V7.2キットの2巻目に含まれていますので, いずれの提供媒体からでもインストールすることができます。
$ MOUNT/OVER=ID ddcu:
ここでddcu:は,CD-ROMドライブの装置名を指定します。
$ @SYS$UPDATE:VMSINSTAL VMSI18N072 ddcu:[VMSI18N_VAX072.KIT]
$ @SYS$UPDATE:VMSINSTAL VMSI18N072 ddcu:
ここでddcu:は,テープ・ドライブの装置名を指定します。
VMSINSTALを起動すると,VMSINSTALの初期メッセージが表示された後,各国語サポートに関する4 つの質問が表示されます。このうち,日本語サポートについて"YES" と入力してください。日本語サポート以外のインストレーションは必須ではありませんので,"NO" を入力します。実際の質問は次のとおりです。
* Do you want European and US support [YES]? * Do you want Chinese support [YES]? * Do you want Japanese support [YES]? * Do you want Korean support [YES]? * Do you want Thai support [YES]? * Do you want the Unicode converters [YES]?
日本語サポートのみを選択した場合,インストール時に必要なディスク容量は約10,000 ブロックです。
インストレーションの例を付録 Bに示しますので, 参照してください。
日本語OpenVMS V7.2でサポートされる日本語DECwindows Motifはバージョン1.2-3 以上です。ただし,日本語DECwindows Motif V1.2-3またはV1.2-4 を使用する場合は修正キットのインストレーションが必要です。
詳しくは,第1.11節の日本語DECwindows Motifのインストレーションの項を参照してください。
日本語OpenVMS VAX V7.2すべてをインストールするためには(VAXstation 4000-60 でTK50を使用した場合),約40分かかります。
インストレーションには,次の特権が必要です。
なお,VMSINSTALはインストレーション開始のときにBYPASS特権をはずしますので注意してください。
日本語OpenVMS VAX V7.2をインストールするために必要なディスク容量は, 次の表のとおりです。
必要とするディスク容量のサイズは,インストールするモジュールを選択することによって, 次の表より小さくなります。
必要なシステム・ディスクのサイズ | ||
---|---|---|
インストール時 | インストール後 | |
必須セーブセットのみ | 約19,000ブロック | 約16,000ブロック |
必須+ユーティリティセーブセット | 約44,000ブロック | 約37,000ブロック |
必須+ユーティリティ+ オプショナルセーブセット | 約50,000ブロック | 約43,000ブロック |
必須+ ユーティリティ+ オプショナル+DECwindowsサポート | 約77,000ブロック | 約69,000ブロック |
現在の空きブロック数は,次のようにしてみることができます。
$ SHOW DEVICE device-name
値が十分でないときは,不必要なファイルを消すなどの処置をとってください。 日本語OpenVMS VAXファイルの削除については, 本書の第6章,ならびに付録 E を参照してください。
日本語システムのユーティリティは,インストレーション後に次表の値のグローバル・ ページ,グローバル・セクションを必要とします。
ユーティリティとイメージ | グローバル・ページ | グローバル・セクション |
---|---|---|
|
114 88 |
3 3 |
224 118 122 26 |
3 1 3 1 | |
340 16 |
5 4 | |
396 | 2 | |
120 536 132 198 |
1 2 2 2 | |
46 | 3 | |
8 | 1 | |
28 84 |
2 2 | |
82 8 |
3 1 | |
90 4 |
1 1 | |
174 6 60 10 20 28 4 4 4 136 20 18 |
2 1 4 2 3 2 1 1 1 3 3 1 | |
2,662 4 138 156 226 756 148 |
1 1 1 1 1 1 1 | |
合計 | 7,354 | 77 |
日本語OpenVMS VAX V7.2のインストレーション・プロシージャは, 最低限必要なグローバル・ページ,グローバル・セクションの空きをそれぞれ 8,500 ページ,78セクションとしています。現在のシステムの設定がこの値に満たない場合, またシステムのDCLTABLES.EXEが1,000ページ以上あるような場合, インストレーションは失敗します。
現在のシステムで使用可能なグローバル・ページとグローバル・セクションの空きは, 次のようにして調べることができます。
$ WRITE SYS$OUTPUT F$GETSYI("FREE_GBLPAGES") $ WRITE SYS$OUTPUT F$GETSYI("FREE_GBLSECTS")
インストレーション中には,DCLTABLES.EXEなどの再インストールが行なわれるために, 上の表の合計値よりさらに大きなグローバル・ページ,グローバル・ セクション空きが必要となります。
グローバル・ページ,グローバル・セクションの値は,次のようにして変更することができます。
次の行をSYS$SYSTEM:MODPARAMS.DATに加えてください。
GBLPAGES = <グローバル・ページの値> GBLSECTIONS = <グローバル・セクションの値>
あるいは次の行でもかまいません。
ADD_GBLPAGES = <追加するグローバル・ページの値> ADD_GBLSECTIONS = <追加するグローバル・セクションの値>
次のようにAUTOGENを実行してください。
$ @SYS$UPDATE:AUTOGEN GETDATA REBOOT NOFEEDBACK
システムがシャット・ダウンされリブートされます。グローバル・ページとグローバル・ セクションの数は,SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DATに書かれた数に変更になります。
インストレーションの最初に,システム・ディスクをバックアップしたかどうかを尋ねてきます。 インストレーション中に問題が発生したときのために, システム・ディスクのバックアップをとっておくことをお勧めします。
バックアップ実行の詳細については,『OpenVMSシステム管理者マニュアル』を参照してください。
日本語OpenVMS VAX V6.1, V6.2,V7.0またはV7.1から日本語OpenVMS VAX V7.2にアップグレードする場合は,必ず以下の手順で行うようにしてください。
日本語DECwindows Motifを実行していない場合は,この作業は必要ありませんので2 の作業へ進んでください。
日本語OpenVMS V7.2でサポートされる日本語DECwindows MotifのバージョンはV1.2-3 以上です。次の表に従って,必要な作業を決定してください。
現在の日本語DECwindowsMotifのバージョン | 日本語OpenVMS V7.2アップグレード前に必要な作業 |
---|---|
V1.2-3より前 | 日本語DECwindows Motif V1.2-3以上のバージョンへのアップグレード |
V1.2-3 | 英語版DECwindows V1.2-3の2000
年対応キット(VAXDWMW02_U3012)のインストールが必要です
日本語DECwindows V1.2-3 修正キットのインストールをお勧めします |
V1.2-4 | 英語版DECwindows V1.2-4
の2000年対応キット(VAXMOTF02_U4012)のインストールが必要です
日本語DECwindows V1.2-4 修正キットのインストールをお勧めします |
SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COMをエディタで編集して,日本語OpenVMS 関係の初期化処理を行っている箇所(たとえばJSY$STARTUP.COM ,KANJIUP.COMを呼び出している部分や漢字プリンタの装置ddcu を割り当てている部分)を,次のようにコメント・アウトしてください。
$! @SYS$STARTUP:JSY$STARTUP $! ASSIGN ddcu: JSY$PRINT $! @JSY$SYSTEM:KANJIUP
日本語OpenVMS VAX V6.1で実行していたXPG$STARTUP.COMは日本語OpenVMS VAX V6.2 以降では使用されませんので,XPG$STARTUP.COMを実行している部分はSYSTARTUP_VMS.COM から削除してください。
ワークステーションで日本語DECwindows Motifを実行していない場合は, この作業は必要ありませんので4の作業へ進んでください。
ワークステーションで日本語DECwindows Motifを実行しており, SYSTEMアカウントのセッション・マネージャの言語設定が「日本語」になっている場合は「US English 」に変更してください。
日本語OpenVMS VAXを標準版OpenVMS VAXにもどすためには,SYSGENパラメータのTTY_CLASS をTTにするなどいくつかの設定の変更が必要となります。 この作業を行うために以下のコマンド・プロシージャを実行してください。
$ @JSY$SYSTEM:JSY$RESETPARAMS.COM
AUTOGENが実行されシステムは自動的にシャット・ダウンされます。これで標準版OpenVMS VAX V7.2 へのアップグレードが可能な状態になっています。
標準版OpenVMS VAX V7.2のキットを用いて,標準版OpenVMS VAXのアップグレードを行ってください。 アップグレードの方法については『OpenVMS VAX Version 7.2 Upgrade and Installation Manual 』を参照してください。
ロケール・データ・ファイル・キットVMSI18N072のインストレーションを行ってください。 インストレーションの手順は第1.5.2項を参照してください。
日本語OpenVMS VAX V7.2のインストレーションを行ってください。以後の作業については, 第2章 "日本語インストレーション" およびそれ以降の章を参照してください。
[ 前のページ ]
[ 次のページ ]
[ 目次 ]
[ 索引 ]
[ DOC Home ]