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10 Proprinterファイルの印刷

DCPS-Plusプロダクトには,Proprinterファイルのためのトランスレータが含まれており, 弊社のPostScriptプリンタでIBMのProprinter XL24をエミュレートすることができます。ProprinterファイルがDECprint Supervisor ソフトウェアで自動的に認識されない場合には,DATA_TYPE パラメータを使用してProprinter データ・タイプを明示的に指定することができます。次の例を参照してください。

     $ PRINT/PARAMETERS=DATA_TYPE=PROPRINTER MYFILE.PRO

注意
Proprinterプリンタの各モデルには互換性がないため,XL24 プリンタ以外のProprinterモデルを対象に作成されたファイルは正しく印刷されない可能性があります。 最適な結果を得るためには,Proprinter トランスレータを使用して印刷するファイルを作成する場合に, アプリケーションで指定するプリンタ・モデルとしてXL24 を選択してください。

10.1 ProprinterトランスレータとProprinterプリンタ

Proprinterファイル用のDCPSトランスレータは次の点でProprinter XL24 プリンタと異なります。

Proprinter言語に関する解説書はIBMから提供されます。ProprinterおよびXL24 固有の解説書は次のとおりです。

『Proprinter Family Technical Reference』 IBMパーツ番号SC31-2587-3
『Proprinter X24E and XL24 Guide to Operations』 IBMパーツ番号SA34-2106-0

10.2 DECprint SupervisorによるProprinterファイルの識別

DECprint Supervisorソフトウェアは, ファイルが次の特性を持っている場合にProprinterファイルを認識することができます。

Proprinterファイルがこの基準を満足しない場合には,PRINTコマンドにDATA_TYPE=PROPRINTER パラメータを指定することにより,データ・タイプを明示的に指定することができます。

10.3 Proprinterトランスレータの省略時の状態の変更

XL24の省略時の状態はフロント・パネルから変更することができ,またディップ・ スイッチから変更することもできます。これらの設定はPRINTパラメータとトランスレータ固有のフロント・ パネル・エスケープ・シーケンスを使用して, プリント・ジョブでエミュレートしてください。表 10-1 は,PRINTパラメータを使用して変更できるプリント属性を示しています。

表 10-1 Proprinterの設定に影響を与えるPRINT パラメータ

プリント属性 PRINTパラメータ 参照項目
方向 /PARAMETERS=PAGE_ORIENTATION 第2.4節
トレイ選択 /PARAMETERS=INPUT_TRAY[1] 第5.1節
用紙サイズ /PARAMETERS=PAGE_SIZE 第12.7節

[1] データ・ファイルに登録されている命令はPRINTパラメータより優先されます。

XL24のフロント・パネルおよびディップ・スイッチを使用して変更することができるプリント属性はすべて,Proprinter トランスレータで適切なフロント・ パネル・モード・エスケープ・シーケンスを使用して変更することができます。

フロント・パネル・モード・エスケープ・シーケンスの形式は次のとおりです。

エスケープ・シーケンスの形式:

     ESC   `   count-low count-high item-id new-value-low [new-value-high]

10進数の値:

     027   096

注意
この形式では,わかりやすくするためにコマンドの要素間にスペースを表示しています。 実際のコマンドではスペースを入力しないでください。

このエスケープ・シーケンスを使用すれば,次のことを指定することができます。

エスケープ・シーケンスでカウント・バイト,item-id および new-value を指定するために,ASCIIでエンコードした数字(1,2, 3, . . . )を使用しないでください。このような場合には,数字コードの適切な値を表現するASCII 文字を使用してください。たとえば,0はNULL コードによって表現され,126は波ダッシュ文字(~)によって表現されます。

このエスケープ・シーケンスを使用して変更できるプリント属性は 表 10-2に示すとおりです。 item-id が最初に示されており,その後にプリント属性の説明が示されています。3 番目の欄は,このプリント属性に対する省略時のProprinter トランスレータの動作を示しています。最後の欄は各項目の値を指定する方法を示しています。

表 10-2 Proprinterプリント属性

Item-Id 説明 トランスレータの省略時の値 指定方法
2 スラッシュ付き0 省略時の設定: 0 1または0
3 自動NL 省略時の設定: 0 1または0
4 フォーム長 省略時の設定:論理ページ長にもとづく(第10.4.2項を参照) ポイント数で表現したページ長(1インチは72ポイント)任意の値を指定できる
5 文字セット 省略時の設定:セット1 1は文字セット1を示す
2は文字セット2を示す
6 自動CR 省略時の設定: 0 1または0
7 マージン 省略時の設定:論理ページ幅にもとづく(第10.4.2項を参照) ポイント数で指定したページ幅(1インチは72ポイント)任意の値を指定できる
8 FFを無視する これはフォームの先頭でフォーム・フィードが無視されるかどうかを決定する,省略時の設定: 1 1または0
12 12 cpi comp 3つのオプションを選択可能: 12,17.1,または20cpi省略時の設定: 12 2は12 cpiを示す
3は17.1 cpiを示す
4は20 cpiを示す
13 コード・ページ 省略時の設定: 437 コード・ページ値: 437または850
14 AGM 省略時の設定:禁止 1または0
16 左オフセット 省略時の設定: 18ポイント(1/4インチ) ポイント数で指定した左オフセット,任意の値を指定できる
17 上部オフセット 省略時の設定: 36ポイント(1/2インチ) ポイント数で指定した上部オフセット, 任意の値を指定できるこれはファイルの1行目の底辺の位置である
19 1インチの文字数 省略時の設定: 10 cpi 1は10 cpiを示す
2は12 cpiを示す
3は17.1 cpiを示す
4は20 cpiを示す
5はプロポーショナルを示す
20 Emphasize 省略時の設定: 0 1または0
21 2倍幅 省略時の設定: 0 (通常幅) 1または0
22 2倍の高さ 省略時の設定: 0 (通常の高さ) 1または0
23 プリンタId ERDPRと組み合わせて使用するための番号,省略時の設定: 23 プリンタID番号
24 9ワイヤまたは24ワイヤのダウンロードされたフォント 9ワイヤ(0)または24ワイヤ(1)・エミュレーションを示すフラグESC I を使用してダウンロードされた適切なフォントを選択するには, この属性が必要である省略時の設定: 24ワイヤ 1または0
25 グレイ・ビットマップ ビットマップがダーク・グレイ(85%の黒)で印刷されるときに真になるフラグ, 省略時の設定: 0 1または0
26 プリンタID ERSICと組み合わせて使用するための番号,省略時の設定: 3 プリンタID番号
27 1つおきのドット 特定のグラフィックス・モードで1つおきのドットを印刷しないかどうかを指定するフラグ省略時の設定: 0 1または0

10.3.1 Proprinterコマンド用のセットアップ・モジュールの作成

フロント・パネル・モード・コマンドがセットアップ・モジュールに登録されており, そのセットアップ・モジュールがPRINTコマンドにファイルとともに指定されている場合には, これらのコマンドはファイルの印刷方法に影響を与えます。 プリント・ジョブを制御するためにフロント・パネル・ コマンドを使用するには,次の操作を実行してください。

  1. 必要なフロント・パネル・モード・コマンドを登録したセットアップ・ モジュールを作成します。

  2. そのセットアップ・モジュールをProprinter装置制御ライブラリに登録するように, システム管理者に要求してください。

  3. セットアップ・モジュールとファイルを指定してファイルを印刷します。 次の例を参照してください。
    $ PRINT/QUEUE=PS$A14/PARAMETERS=DATA_TYPE=PROPRINTER/SETUP=module-name file-namee.DAT
    

システム管理者はフォーム定義にセットアップ・モジュールを指定し,そのフォーム定義を省略時の設定によりキューに対応付けることができます。 この場合には,ユーザはPRINTコマンドにデータ・ファイル名とキュー名を指定するだけで十分です。

たとえば,トランスレータの省略時の文字セットをコード・ページ437, 文字セット1からコード・ページ850,文字セット2に変更するには,次のエスケープ・ シーケンスを登録したセットアップ・モジュールを作成します。

エスケープ・シーケンスの形式:

     ESC `    ETX NUL CR  R   ETX ESC `   STX NUL ENQ STX

10進数の値:

     027 096  003 000 013 082 003 027 096 002 000 005 002

注意
この例では,わかりやすくするためにコマンドの要素間にスペースを表示しています。 実際のコマンドにはスペースを入力しないでください。

レター・サイズ用紙の10インチだけに印刷する設定から用紙の11インチ全体に印刷する設定にトランスレータを変更するには, 次のエスケープ・シーケンスを登録したセットアップ・ モジュールを作成します。

エスケープ・シーケンスの形式:

     ESC '   STX NUL DC1 LF  ESC '   ETX NUL EOT CAN ETX

10進数の値:

     027 096 002 000 017 010 027 096 003 000 004 024 003

このフロント・パネル・コマンドは,上部オフセットを10ポイントに変更し, テキスト長を11インチに設定します。大部分のレーザ・プリンタは用紙上のすべての領域に印刷できるようになっていないため, 印刷可能領域内に収まるように,NUMBER_UP パラメータまたはLAYUPパラメータを使用してページを縮小する必要があります。

10.4 Proprinterの印刷可能領域の変更方法

Proprinterファイルを作成するアプリケーションでは,ページ全体を印刷のために使用できことを想定しています。Proprinter 装置などのドット・ マトリクス・プリンタでは,ページ全体が使用されます。一方,DECprint Supervisor for OpenVMS ソフトウェアでサポートされるレーザ・ プリンタでは,印刷可能領域はページ全体より小さく, 印刷可能領域の周囲に余白が残されています。

ProprinterファイルをPostScript形式に変換するソフトウェアでは,レーザ・ プリンタの印刷可能領域の内部だけに印刷されるように,テキストがフォーマットされます。 特に,ページの左右の1/4インチおよびページの下部の1/2 インチには印刷することができません。ファイルの最初の行はページの上端から1/2 インチにベース・ラインが印刷されるように設定されます。 図 10-1を参照してください。

図 10-1 Proprinterの省略時の印刷可能領域

10.4.1 1ページに印刷できないProprinterファイル

Proprinterファイルを印刷するときに,1ページに印刷しなければならないページが2 ぺーシに印刷されてしまうことがあります。図 10-2 を参照してください。

図 10-2 2ページのPostScriptページに印刷されたProprinterページ

この問題を解決するには,トランスレータが1ぺージにより多くの行を印刷するようなセットアップ・ モジュールを使用します。

たとえば,10インチのレター・サイズの用紙に印刷する設定から11インチの用紙に印刷する設定にトランスレータを変更するには, ページを拡大/ 縮小するためのセットアップ・モジュールを作成します。以下のエスケープ・ シーケンスを使用してください。

Proprinterエスケープ・シーケンスの形式

          ESC '   STX NUL DC1 LF  ESC '   ETX NUL EOT CAN ETX

10進数

          027 096 002 000 017 010 027 096 003 000 004 024 003

注意
これらの例では,わかりやすくするためにコマンドの要素の間にスペースを表示しています。 しかし, 実際のコマンドにはスペースを指定しないでください。

この例を実行すると,上部オフセットは10ポイントに変更され,テキストの長さは11 インチに設定されます。

テキストの印刷はぺージの下部からあふれるため,新しい出力も拡大/縮小しなければなりません( 図 10-3を参照)。

図 10-3 長すぎるProprinterページ

この問題はページ・イメージを拡大/縮小することにより解決することができます。 ページ・イメージを拡大/縮小するには,プリント・ジョブに対して, 以下のいずれかを指定します。

     /PARAMETERS=NUMBER_UP=1

     /PARAMETERS=LAYUP_DEFINITION=BORDERS

     /PARAMETERS=LAYUP_DEFINITION=layup-file-name

DECprint Supervisor for OpenVMSソフトウェアには, 通常のレーザ・プリンタのマージン設定におさまるように論理ページのサイズを縮小する, レイアップ定義ファイルの例が添付されています。 サンプル・ファイルPROPRINTER-FULL-PAGE.LUPはSYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.DCPS] に格納されています。まだコピーしていない場合には, システム管理者に依頼して,DCPS$LAYUP領域にこのサンプル・ ファイルをコピーしてもらってください。その後,以下に示すようにPRINT コマンドにレイアップ定義ファイルを指定できます。

$ PRINT file.PRO/PARAMETERS=LAYUP_DEFINITION=PROPRINTER-FULL-PAGE/NOTIFY

最終的な出力は,図 10-4に示すとおりです。

図 10-4 PostScriptページにおさまるように調整されたProprinterページ

10.4.2 Proprinterプリント・ジョブのためのページ・ サイズの指定

ページ・サイズは/PARAMETERS=PAGE_SIZE修飾子を使用して選択することができます。Proprinter トランスレータでは,すべてのページ・サイズ値がサポートされます。 トランスレータはページの端の領域を除き,PAGE_SIZE パラメータに指定されたページ領域内に印刷します。ページの端の領域は上部オフセットと左オフセットによって指定します( 表 10-2を参照)。

上部オフセットはページの1行目のベース・ラインの位置を指定し,同時にページの下部の省略時のマージンも設定します。 省略時の上部オフセットは1/2 インチです。

左オフセットはページの左端の領域を指定し,同時にページの右端の省略時のマージンも指定します。 省略時の左オフセットは1/4インチです。

アプリケーションでページの周囲にマージンを確保できる場合には,これらのオフセットの値を小さくしてもかまいません。

DECprint Supervisorでサポートされないページ・ サイズが必要な場合には,Form LengthとMargins に対するフロント・パネル・モード・エスケープ・シーケンスを使用してページ・ サイズを明示的に指定することができます。(表 10-2 を参照)。これらのエスケープ・ シーケンスは,オフセットから測定されたページの長さと幅を指定します。

10.5 Proprinterプリント・ジョブの給紙トレイの指定

Proprinterファイルには,Proprinterのプリンタ給紙トレイを選択するための命令が登録されている可能性があります。 このファイルを別の種類のプリンタで印刷するときに, 指定した給紙トレイをそのプリンタで使用できない場合には, プリント・ジョブは異常終了します。その場合には,適切なPostScript オペレータを再定義するPostScriptセットアップ・モジュールを作成して, 選択される給紙トレイを変更することができます。次の例では, 上段給紙トレイに対してトレイ3を選択し,下段給紙トレイに対してトレイ1 を選択するためのPostScriptセットアップ・モジュールを示しています。

     /settoptray {statusdict begin 3 setpapertray end} def
     /setbottomtray {statusdict begin 1 setpapertray end} def

給紙トレイの値はプリンタ固有の値です。PostScriptプリンタの給紙トレイ番号を判断する場合は, 各プリンタ付属のマニュアルを参照してください。

給紙トレイ選択コマンドと,Proprinterトランスレータがそれらのコマンドを変換した後のPostScript オペレータは表 10-3に示すとおりです。 setpapertray の省略時の値は,他の値が定義されていないときにトランスレータが使用する値です。 異なる値を指定したセットアップ・ モジュールを定義した場合には,省略時の値は無効になります。

表 10-3 ProprinterからPostScript への給紙トレイ・コマンドの変換

ビット 意味 PostScript拡張オペレータ setpapertrayの省略時の値
0 変更されない
1 上部トレイ settoptray 1
2 下部トレイ setbottomtray 2
3 封筒トレイ setenvelopefeedertray 3

10.6 Proprinterプリント・ジョブでのソフト・ フォントの指定

Proprinterファイルを印刷するためにソフト・フォントをプリンタにロードしておかなければならない場合には,Proprinter セットアップ・モジュールを使用してフォントをダウンロードすることができます。

システム管理者はProprinterセットアップ・モジュールを登録するための装置制御ライブラリを作成しなければならず, 『日本語DECprint Supervisor for OpenVMSシステム・マネージャーズ・ガイド』の説明に従って,そのライブラリをDCPS$STARTUP.COM の検索リストに登録しなければなりません。

Proprinter装置制御ライブラリからのProprinterセットアップ・モジュールは,ANSI およびPostScriptセットアップ・モジュールとは異なる方法で処理されます。Proprinter セットアップ・モジュールからのレコードには, 最後にキャリッジ制御文字(<CR><LF>)が追加されません。これは, Proprinterセットアップ・モジュールにProprinterフォントやラスタ・グラフィックスなどのバイナリ・ データを登録できるようにするためです。 Proprinterセットアップ・モジュールにキャリッジ制御文字で区切らなければならないテキスト行が含まれる場合には, これらのキャリッジ制御文字をProprinter セットアップ・モジュールに明示的に指定しなければなりません。

Proprinterセットアップ・モジュールを処理する場合には,最後に排紙コマンドは実行されません。 したがって,セットアップ・モジュールによって印刷された結果はファイルの1 ページ目に表示されます。


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