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本章は,『 日本語DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMSインストレーション/ コンフィギュレーション・ガイド』を手元に置いて,読み進めてください。
本節では,TCP/IP Services V5.0製品をインストールする前に確認しておくべき重要な情報を提供します。
コマンド・プロシージャSYS$UPDATE:UCX$CLEANUP.COMは,一般に,TCP/IP Services製品の前のバージョンをクリーンアップするために使用されます。 しかし,TCP/IP V5.0がインストールされているときにこのプロシージャを実行すると, 製品の動作に必要なファイルが削除されます。
TCP/IP Services V5.0キットをインストールした後に,このコマンド・プロシージャを削除しておくことを推奨します。
すべてのインストレーション手順に従います。
TCP/IP Services V5.0製品をインストールし,起動した後も,UCX$プレフィックスを持つファイルがいくつか残っています( 本製品が提供する他のほとんどのファイルはTCPIP$ プレフィックスを使用します)。これらのファイル( 表 2-1を参照)が存在することは正常であり, 予想どおりです。これらのファイルは,UCXからTCP/IP Services V5.0への移行をよりスムーズにする役割を果たしています。
ファイル | 説明 |
---|---|
SYS$LIBRARY:UCX$IPC_SHR.EXE | DEC C Run Time Library (RTL)がTCPIPソケットを使用できるようにします。 |
SYS$LIBRARY:UCX$INETDEF.ADA | INETDEF ファイルは,TCP/IP Services V4.2で作成されたアプリケーションとの互換性を保つために提供されています。 これらのファイルは,V4.2 で提供されていたファイルと同じものです。 |
SYS$LIBRARY:UCX$INETDEF.BAS | |
SYS$LIBRARY:UCX$INETDEF.FOR | |
SYS$LIBRARY:UCX$INETDEF.H | |
SYS$LIBRARY:UCX$INETDEF.MAR | |
SYS$LIBRARY:UCX$INETDEF.PAS | |
SYS$LIBRARY:UCX$INETDEF.PLI | |
sys$library:UCX$INETDEF.R32 | |
SYS$COMMON:[SYSEXE]UCX$UCP.EXE | 日本語DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS の存在をテストするサポート対象外の操作を使用している一部のレイヤード・ プロダクトが動作を続けられるようにする, 空の(ゼロ・ブロックの)マーカ・ファイル。 |
SYS$COMMON:[SYSEXE]UCX$SERVICE.DAT | TCPIP$STARTUP.COMの実行時にこのファイルが存在していないと, 空の(ゼロ・ブロックの)マーカ・ファイルが作成される可能性があります。 論理名TCPIP$SERVICEで指定されるファイル( 省略時の設定では,SYS$COMMON:[SYSEXE]TCPIP$SERVICE.DAT) に,実際のサービス情報が含まれています。 |
SYS$STARTUP:UCX$STARTUP.COM SYS$STARTUP:UCX$CONFIG.COM | これらのファイルは, SYS$OUTPUTに情報メッセージを出力した後に,対応するTCPIPファイルを実行します。 これにより,日本語DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS 製品は,システム管理者が新しいTCPIPプレフィックスを使用するようにコマンド・ ファイルを変更するまで,以前と同じように動作を続けることができます。 |
SYS$SYSTEM:UCX$LPD_ SMB.EXE | LPDプリント・キューのための後方互換性を実現します。 |
SYS$SHARE:UCX$ESNMP_ SHR.EXE | 本製品の前のバージョン用に作成されたユーザ作成サブエージェントに必要な共有可能イメージ。 |
SYS$COMMON:[SYSEXE]UCX$TELNETSYM.EXE | TELNETのプリント・シンビオント実行可能ファイル。このファイルは,TCPIP$TELNETSYM.EXE と同じものです。 |
SNMP用のインストレーション検証プロシージャ(IVP)が存在します。コンフィギュレーションを検証するには, 以下の操作を行います。
$ @SYS$MANAGER:TCPIP$CONFIG
Internet IVPとは異なり,SNMPIVPではTCP/IP Servicesをシャットダウンする必要があることに注意してください。 この制約のため,TCPIP V5.0ではオプションA (Tests 1 - 2)を使用することはできません。
$ RUN SYS$COMMON:[SYSTEST.TCPIP]TCPIP$SNMPIVP.EXE
SYSGENパラメータSTARTUP_P1が省略時の空白文字列以外の値に定義されている状態でOpenVMS をブートすると,OpenVMSのいくつかの部分が起動されないことがあります。TCP/IP Services のファイルSYS$STARTUP:TCPIP$STARTUP.COM には,OpenVMSが代替方式でブートされているかどうかを検出するチェック機能が追加されています。 このチェック機能は次のように動作します。
スタートアップ・プロシージャSYS$STARTUP:TCPIP$STARTUP.COMがMIN, INSTまたはUPGRADEブートを検出すると,プロシージャはメッセージを出力し,$SEVERITY をFATALに設定してただちに終了します。たとえば,MIN ブートが検出されると,次のメッセージが表示されます。
%TCPIP-F-NONETSTART, Network not started due to MIN boot
このチェックにより,日本語DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMSが正常に動作するために必要な条件が満たされていることを確認することができます。 たとえば,OpenVMSと日本語DIGITAL TCP/IP ServicesをCD-ROMまたはInfoserver からインストールし,同じメディアからブートした場合, ブート・タイプはINSTになります。この場合,TCPIP$CONFIGは,現在のSYS$SYSTEM: (CD-ROM またはInfoserverデバイス)にコンフィギュレーション・ ファイルを書き込むことができません。
コンフィギュレーション・プロシージャTCPIP$CONFIGは,Client ComponentsメニューからFTP,LPD,またはNFSメニュー・オプションを選択すると, 誤解を招くような情報を表示します。
たとえば,Client Componentsコンフィギュレーション・メニューからFTP オプションを選択すると,次のスクリプトが表示され,FTPサーバ のコンフィギュレーションが行われていることを示します。
FTP SERVER Configuration Service is not enabled FTP SERVER configuration options:
この表示は誤解を招きます。実際にコンフィギュレーションが行われるのは,FTP サーバではなくFTPクライアントです。
LPDのスタートアップおよびシャットダウン・コマンド・プロシージャは, 個々のサイトで編集されていることがあります。したがって,前のバージョンからTCP/IP Services V5.0 にアップグレードするときには,これらの編集結果を手動で保存しなければなりません。 編集結果を保存するための手順は,OpenVMS Alpha システムとOpenVMS VAXシステムで異なります。 サイト固有のスタートアップとシャットダウン・コマンド・プロシージャ・ ファイルを保存するには,以下の指示に従います。
TCP/IP Services V5.0を前バージョンに重ねてインストールするときに, LPDのスタートアップとシャットダウン・コマンド・プロシージャの編集結果を保存するには, 画面に表示される指示に従います。
次に画面表示の例を示します。
The following product will be installed to destination: DEC AXPVMS TCPIPJA V5.0-9 Layered Product UCXJA product already installed. *********************************************************************** Another version of TCP/IP is installed. You must execute the following three commands before continuing with this installation: $ BACKUP SYS$COMMON:[SYSMGR]UCX$LPD_STARTUP.COM; - SYS$COMMON:[SYSMGR]TCPIP$LPD_STARTUP.COM; $ BACKUP SYS$COMMON:[SYSMGR]UCX$LPD_SHUTDOWN.COM; - SYS$COMMON:[SYSMGR]TCPIP$LPD_SHUTDOWN.COM; $ PRODUCT REMOVE UCXJA ***********************************************************************
これらの指示に従い,TCP/IP V5.0のインストレーションを完了すると, LPDのスタートアップおよびシャットダウン・ファイルのサイト固有の編集結果は以下のファイルに格納されています。
その後,サイト固有の編集結果を以下のファイルにマージします。
サイト固有のスタートアップおよびシャットダウン情報を保存するには, TCP/IP Services V5.0をインストールした後に,以下のファイルからサイト固有の編集結果をコピーします。
コピー先のファイルは以下のとおりです。
編集結果をマージするときには,キューUCX$LPD_QUEUEの開始と停止を行うコマンドは追加しないようにしてください。 このキューはTCPIP$LPD_ QUEUEに置き換えられており,TCPIP$LPD_QUEUE用の全コマンドはすでにLPD のスタートアップおよびシャットダウン・コマンド・プロシージャ・ ファイルに含まれています。
編集結果をマージした後に,追加したLPDクライアント・キュー・スタートアップ・ コマンドの/PROCESSOR修飾子の値を,UCX$LPD_SMBではなくTCPIP$LPD_SMB をポイントするように設定します。
LSE Command> SUB/ALL "ucx$lpd_smb" "tcpip$lpd_smb"
TCP/IP Services V5.0にアップグレードした後に,SNMPのスタートアップが正しく行われるように, 以下のいずれかの操作を実行する必要があります。
ファイルUCX$SNMP_STARTUP.COMとUCX$SNMP_SHUTDOWN.COMの別バージョンを( 拡張サブエージェントの起動と停止のために)カスタマイズしていた場合には, カスタマイズしたファイルを別のディレクトリに保存しておいてから,TCP/IP Services V5.0 へのアップグレードを行ってください。この保存操作を行わないと, カスタマイズした変更点は失われます。次の位置のファイルのバージョンをチェックしてください。
TCP/IP Servicesをインストールした後に,保存しておいた変更点を, インストレーション後に作成される新しいファイルに手動でマージします。 詳細については,『DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS Management』を参照してください。
DHCPの最初のコンフィギュレーションの終了後にBOOTPを再び使用するには, 次の操作を行います。
BOOTPコンフィギュレーション・データベース・ファイル(TCPIP$BOOTP.DAT) が存在していることを確認してください。
この方法では,DHCPファイルがそのまま残されるので,簡単にDHCPに戻すことができます。
TCP/IP Servicesデータベースは,TCP/IP Servicesをインストールしたときに,SYS$COMMON:[SYSHLP]TCPIP.MSGHLP$DATA にインストールされます。
このデータベースをOpenVMSメッセージ・データベースに取り込むには, 次の操作を行います。
$ DEFINE/SYSTEM MSGHLP$LIBRARY SYS$COMMON:[SYSHLP]*.MSGHLP$DATA
$ HELP/MESSAGE FTP SESDCN, FTPD: Session disconnection from 'host' at 'time' Facility: TCPIP, FTP Server Explanation: This message appears when a session is disconnected, stating the name of the client initiating the disconnection and the time of the disconnection. User Action: None. Press RETURN to continue ...
この例では,Help Messageは,メッセージIDの一部としてFTPを含んでいるすべてのメッセージを1 つずつ表示します。