[ 前のページ ] [ 次のページ ] [ 目次 ] [ DOC Home ]
本章では,日本語DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS V5.0および日本語DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS V5.0A の変更点,問題点,および制限事項について説明します。
REUSEADDRソケット・オプションを使用すると,TCP/IP Services V4.2とTCP/IP Services V5.0 で異なる結果が得られます。
V4.2では,パッシブ(リッスン)・ソケットを使用したTCP/IPサーバが,同じIP アドレスとポート番号を使う複数のプロセスで動作できましたが, V5.0では,同じ状況下で次のような回復不可能なエラーが発生します。
Failed to bind socket %SYSTEM-F-DUPLNAM, duplicate name
TCP/IP Services V5.0のポスト・オフィス・プロトコル(POP)サーバには, 以下の問題があります。
Auxiliary(補助)サーバのノーリッスン・サービスの処理に問題があるため, 各ホストのPOPポート(ポート110)への同時接続数は最大31となっています。 呼び出し可能なOpenVMS Mailユーティリティは,ユーザ・ プロセスの同時メール・スレッドの数を31に制限しています。このため,1 つのPOPサーバ・プロセスは31個のスレッドしか処理できません。 システムは,複数のPOPサーバ・プロセスを実行すれば,31個よりも多くの同時POP 接続を提供きるはずです。しかし,Auxiliary(補助) サーバの問題のために,1つのプロセスが上限に達したときに,新たなPOP サーバ・プロセスを作成することはできなくなっています。この問題が修正されれば, 複数のPOPサーバ・プロセスを作成することで,31 個よりも多くの同時POP接続を提供できるようになります。
POPクライアントを日本語環境で使用する場合,以下の点に注意する必要があります。
TCP/IP Services V5.0では,SMTP制御ファイルが損傷する可能性があります。
SMTPシンビオントは,特定の制御ファイルで断続的にエラーを発行します。
最もよく返されるエラー・メッセージはSYSTEM-F-
BADPARAM
ですが,この問題のためにアクセス違反メッセージ
SYSTEM-F-ACCVIO
が発生することもあります。ほとんどの場合,
シンビオント・プロセスはクラッシュし,ダンプ・ファイルが残されます。
制御ファイルの中のクラッシュを引き起こした問い合わせエントリを削除しなければ,
そのエントリはクラッシュ後にキューが起動されたときに処理される最初のエントリとなり,
キューは再びクラッシュします。
ジョブが保留され,管理コマンドSHOW MAIL/FULLが発行されると,
SHOW MAILコマンドはエラーを発行するかハングします。
この問題の原因は,SMTP制御ファイルに定期的に起こる損傷であり,メールの処理量が少ないシステムよりも多いシステム(1 日に処理される制御ファイル数が1,000 以上)でより頻繁に起こります。
この問題を回避するには,SMTPキュー・ウォッチャ・コマンド・ファイルTCPIP$EXAMPLES:TCPIP$RESTART_SMTPQ.COM を実行します。このファイルのヘッダ・ コメントに,ファイルの使用と操作の方法が記されています。
以下に,その他の問題点と回避方法を示します。
回避方法:
クラスタ別名の名前をローカル別名ファイルに追加します。
回避方法:
制御ファイルを手動でSMTPキューにサブミットします。
間接的なSMTP転送は,ポストマスタ・アカウントで使用する場合に特に危険です。
MAIL> SET FORW/USER=UCX_SMTP POSTMASTER MAIL> SET FORW/USER=TCPIP$SMTP POSTMASTER MAIL> SET FORW/USER=POSTMASTER SMTP%"jones@some.place, smith@some.place"
この問題は,メールの無限ループが生じる可能性があります。メールが送信元に配信またはバウンスできない場合,SMTP はバウンスしたメールをポストマスタに配信しようと試みます。 メール・メッセージをポストマスタに配信できない場合には, デッド・レターとして残され, シンビオント・ログにエラー・メッセージが記録されます。 しかし,上記のような転送設定では,バウンスしたメール・メッセージをTCPIP$SMTP (UCX の場合はUCX_SMTP)に戻せなかった場合,ループするメールが作成され, そのヘッダがループするたびに1つずつ増えていきます。
回避方法1:
SMTPへの転送を,間接にではなく直接設定します。
MAIL> SET FORW/USER=UCX_SMTP SMTP%"jones@some.place, smith@some.place" MAIL> SET FORW/USER=TCPIP$SMTP SMTP%"jones@some.place, smith@some.place" MAIL> SET FORW/USER=POSTMASTER SMTP%"jones@some.place, smith@some.place"
回避方法2:
この手順は,問題の概要で説明したPOSTMASTERのケースにのみ当てはまる回避方法です。
TCPIP$SMTP_POSTMASTER_ALIAS論理名を使用して,POSTMASTER(またはその他の適当な名前) をポイントするように設定します。その後,このユーザ名からSMTP に直接転送が行われるように設定します。
$ DEF/SYS TCPIP$SMTP_POSTMASTER_ALIAS "Postmaster" $ MAIL MAIL> SET FORW/USER=POSTMASTER SMTP%"jones@some.place, smith@some.place"
この方法はTCP/IP Services V5.0製品でのみ使用でき,TCP/IP Servicesの以前のバージョンおよびUCXでは使用できません。
RSHおよびREXECコマンド・ファイルは,リモート・コマンド実行のステータスでは なく,RSHまたはREXECの実行のステータスを返します。 INETACPはこのリターン・ステータスを使用して,INETACPエラー・メッセージを追加すべきかどうかを判断します。
実行されたリモート・コマンドは,SYS$OUTPUTまたはSYS$ERRORを通して, 自分のエラー・メッセージを返します。
関数IO$_WRITEVBLKは,以下の状況でエラーSS$_EXQUOTAを返します。
この状況では,エラーが返され,書き込もうとしているデータ全体が伝送用キューに投入されません( データ全体が拒否されます)。
また,このエラーはデータの伝送に使用されるsend()
,sendto()
,
sendmsg()
などの各種のソケット・
ルーチンに影響を与えます。C RTLは,現時点では呼び出しの際にエラーを返し,'errno'
をEVMSERR(65535)に設定します。
また,OpenVMS固有の'vaxc$errno'には下位のエラーであるSS$_EXQUOTAが格納されます。
サンプル・プログラムTCPIP$TCP_SERVER_QIO.EXEはチャネルの割り当てに失敗します。
これはinet_dev
構造体の定義(130行と131行)
が間違っているためです。この定義では,文字列リテラルTCPIP$DEVICE
に,正しい長さである12ではなく10を割り当てています。
このサンプルを修正するには,以下の行の値10を12に変更します。
struct dsc$descriptor inet_dev = {10, DSC$K_CLASS_S, DSC$K_DTYPE_T, "TCPIP$DEVICE"};
次に正しい定義を示します。
struct dsc$descriptor inet_dev = {12, DSC$K_CLASS_S, DSC$K_DTYPE_T, "TCPIP$DEVICE"};
本節では,本リリースのSNMP構成要素の制限について詳しく説明します。
既存のSNMPv1 MIBサブエージェントの実行可能ファイルは,以下の例外を除いて, 再コンパイルと再リンクを行わなくても新しいSNMPv2マスタ・エージェントとの互換性があるはずです。
TCP/IP Services V5.0のインストレーションは,SYS$SHAREディレクトリにあるUCX$ESNMP_SHR.EXE との後方互換性のあるバージョンを提供します。 このイメージは削除しないでください。古いバージョンのUCX$ESNMP_SHR.EXE に対してリンクされているイメージの実行に問題が生じた場合には, 次のDCLコマンドを発行して, SYS$SHAREの中のバージョンが最新のバージョンであることを確認します。
$ DIRECTORY/DATE SYS$SHARE:*$ESNMP_SHR.EXE
プレフィックスTCPIP$とUCX$のファイルの作成日は数秒以内の範囲に含まれており, 個々のファイルについてバージョンは1つしか存在していないはずです。 両方のイメージにファイル保護W:REが含まれていることを確認してください。
オブジェクト・ライブラリ(.OLB)ファイルに対してリンクされているイメージは, 再リンクの必要はないかもしれませんが,本バージョンの共有可能イメージに対して再リンクを行うことでイメージ・ サイズを減らせる可能性があります。 共有可能イメージに対する再リンクにより,再リンクを必要とすることなくeSNMP API の改訂されたバージョンの利点を得ることができます。TCP/IP Services V5.0 SNMP 共有可能イメージに対してリンクされたいくつかのイメージは, 上記のV4.1およびV4.2の環境で実行できる可能性があります。 ただし,この下位互換性はサポートされておらず,TCP/IP Services の将来のバージョンでは実行できない可能性があります。
既存のサブエージェントが正しく動作しない場合には,本バージョンのTCP/IP Services に対して再リンクして,動作するイメージを作成します。 一部のサブエージェント(OpenVMS Server MIBなど)には,動作に必要な最低限のOpenVMS バージョンがあることに注意してください。
ipRouteMetric1 - ipRouteMetric5 tcpMaxConn
hrPartitionTable hrPrinterTable hrSWInstalled hrSWInstalledTable
set
要求は実装されていません。
ipDefaultTTL ipRouteAge ipRouteDest ipRouteIfIndex ipRouteMask ipRouteNextHop ipRouteType
set
要求は実装されていません。
hrFSLastFullBackupDate hrFSLastPartialBackupDate hrStorageSize hrSWRunStatus hrSystemDate hrSystemInitialLoadDevice hrSystemInitialLoadParameters
TCP/IP Services V5.0では,SNMPに関して以下の問題点と制限があります。
select()
ソケット呼び出しからのエラーで終了します。
ほとんどの場合,ループは起こりません。ループの繰り返し回数を制御するには,
『DIGITAL
TCP/IP Services for OpenVMS Management』の説明に従って,
TCPIP$SNMP_SELECT_ERROR_LIMIT論理名を定義してください。
Getnext
処理をサポートしています。ただし,
他のMIBブラウザはこれをサポートしていない可能性があります。
たとえば,以下のOIDと値はOpenVMS上でサポートされています。
1.3.6.1.2.1.25.4.2.1.1.1321206828 = 1321206828 1.3.6.1.2.1.25.4.2.1.1.1321206829 = 1321206829 1.3.6.1.2.1.25.4.2.1.1.1321206830 = 1321206830
これらの例はhrSWRunTable
からとったものです。
hrSWRunPerfTable
も影響を受ける可能性があります。
sysObjectID
は次の書式で返されます(DIGITAL
UNIXと同じ)。
1.3.6.1.2.1.1.2.0 = 1.3.6.1.4.1.36.2.15.13.7.1
1.3.6.1.4.1.36.2.15.13.7.1は次に対応しています。
iso.org.dod.internet.private.enterprises.dec.ema.sysobjectids. openvms.- major-version-id.minor-version-id
sysORTable
が実装されています(詳細については,RFC 1907
を参照)。要素にはOIDプレフィックス1.3.6.1.2.1.1.9.1
が付けられます。
TCPIP$OS_MIBSおよびTCPIP$HR_MIBの両サブエージェントが実行されている場合,
sysORTable
に対するget
要求は次のようになります。
特に指示がない限り,OIDはRFC 1907に従います。
1.3.6.1.2.1.1.9.1.2.1 = 1.3.6.1.4.1.36.15.3.3.1.1 1.3.6.1.2.1.1.9.1.2.2 = 1.3.6.1.4.1.36.15.3.3.1.2 1.3.6.1.2.1.1.9.1.3.1 = Base o/s agent (OS_MIBS) capabilities 1.3.6.1.2.1.1.9.1.3.2 = Base o/s agent (HR_MIB) capabilities 1.3.6.1.2.1.1.9.1.4.1 = 31 = 0 d 0:0:0 1.3.6.1.2.1.1.9.1.4.2 = 36 = 0 d 0:0:0
この例はMIBブラウザ(TCPIP$SNMP_REQUEST.EXE)からとったものです。
hrDeviceTable
はテンプレート・デバイスを含んでいます(
たとえば,NFSのDNFS0と,仮想デバイスのDAD0)。
hrDeviceTable
には,以下の特性を持つものを除き,OpenVMS
ホストが認識しているすべてのデバイスが含まれます。
hrDevTable
グループ内のデータ項目には以下の制限があります。
hrDeviceID
:つねにnull OID(0.0)です。
hrDeviceErrors
は次のコードを持ちます。
コード | 条件 |
---|---|
警告(3) | エラー・ロギングが実行中(OpenVMS UCB 値UCB$M_ERLOGIP) |
実行中(2) | ソフトウェアが有効であり,エラー・ロギングが実行中でない(OpenVMS UCB 値UCB$M_VALID) |
不明(1) | 他のすべてのOpenVMSステータス |
ifTable
のカウンタは,RFC 1155
で定義されているように,最大値(
232 - 1 )に達した後に9に戻りません。その代わりに,ゲージ・
タイプのように動作し,システム・リブートなどの外部イベントによってクリアされるまで最大値のまま残されます。
影響を受けるカウンタは以下のとおりです。
ifInDiscards ifInErrors ifInNUcastPkts ifInOctets ifInUcastPkts ifInUnknownProtos ifOutErrors ifOutNUcastPkts ifOutOctets ifOutUcastPkts
SNMPv2では,これらのカウンタはデータ型Counter32です。
以下のifTable
メンバは,OpenVMS
ではつねに-1です:ifOutDiscards
(Counter32),ifOutQLen
(Gauge32)
sysORTable
に重複するエントリを作成します。次に例を示します。
1.3.6.1.2.1.1.9.1.2.1 = 1.3.6.1.4.1.36.15.3.3.1.1 1.3.6.1.2.1.1.9.1.2.2 = 1.3.6.1.4.1.36.15.3.3.1.2 1.3.6.1.2.1.1.9.1.2.1 = Base o/s agent (OS_MIBS) capabilities 1.3.6.1.2.1.1.9.1.2.2 = Base o/s agent (OS_MIBS) capabilities 1.3.6.1.2.1.1.9.1.4.1 = 3256 = 0 d 0:0:32 1.3.6.1.2.1.1.9.1.4.2 = 3256 = 0 d 0:0:32
この例で,TCPIP$OS_MIBSサブエージェントは,異なる
sysORUpTime
(1.3.6.1.2.1.1.9.1.4)を表示する可能性のある異なるID
番号を持つ2つのエントリを作成しています(プレフィックス1.3.6.1.2.1.1.9.1.2
のOID)。snmp_request
プログラムは,
センチセコンドの値を日(d)に時:分:秒を加えた表記に変換し,1
秒未満は切り捨てます。HR_MIBサブエージェントはまだ起動しておらず,
自分の能力を登録していません。起動時に,この例のエントリは,
次に使用可能なインデックス番号を使用します。
hrFSMountPoint
(1.3.6.1.2.1.25.3.8.1.2)はDNFS
nです。このデバイスは,再起動やディスマウント/マウント操作を行うと変更される場合があります。
hrFSTable
グループで,NFSを通してファイル・
システムがマウントされていないか,アクセス可能な情報がない場合には,
get
要求に対して"no such
instance"
ステータスが返されます。このメッセージに対する対応は,
ブラウザによって異なります。たとえば,TCPIP$SNMP_
REQUEST.EXEは出力を返さず,DCLプロンプトに直接戻ります。
NFSマウントを実行後,get
要求に対しては次の情報が返されます。OpenVMS
で実装されているデータ項目を以下に示します(RFC
1514を参照)。
hrFSIndex
hrFSMountPoint
:ローカルDNFSデバイス名
hrFSRemoteMountPoint
:UNIXの書式でのリモート・
ファイル・システム名
hrFSType
:リモート・システムが日本語DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS
を実行しており,ファイル・
システムがUNIX形式のコンテナ・ファイル・システムでない場合は,OID 1.3.6.1.2.1.25.3.9.1
。OpenVMS TCP/IP
コンテナ・ファイル・システムまたはUNIXホストである場合は,
hrFSNFS
, OID 1.3.6.1.2.1.25.3.9.14。
hrFSAccess
(RFC 1514の定義に従う)
hrFSBootable
:つねにHRM_FALSE(整数2)
hrFSStorageIndex
:つねに0
hrFSLastFullBackupDate
:未知の時刻。RFC
1514に従って,16進値00 00 01 01 00 00 00 00 (0000年1月1日)としてコード化されます。
hrFSLastPartialBackupDate
:未知の時刻。OpenVMS
システムでは使用できません。その代わりに,16進値00-00-01-01-00-00-00-00 (0000
年1月1日)が適用されます。
hrProcessorFrwID
(OIDプレフィックス1.3.6.1.2.1. 25.3.3.1.1):
1.3.6.1.2.1.25.3.3.1.1.1 = 0.0
1.3.6.1.2.1.25.3.3.1.1.1 = 1.3.6.1.2.1.25.3.3.1.1.1.5.56.7
hrDiskStorage
テーブルの中のデータ項目には,
以下の制限があります。
hrDiskStorageMedia
:つねに"unknown" (2)
hrDiskStorageRemoveble
:つねに"false"
(2)。hrDiskStorageRemoveble
でRemovebleという誤ったスペルが使用されていることに注意(RFC 1514
による)。
hrStorageType
の値は,つねに
hrStorageFixedDisk
(1.3.6.1.2.1.25.2.1.4)です。
{executable-image-name} WARNING {source-file-name} line {nnn}: Default esnmp timeout hrSWRunStatusset to 3 seconds.
get
,getnext
または
getbulk
コマンドへの応答として,null OID値(0.0)
が返された場合:
{executable-image-name} WARNING {source-file-name} line {nnn}: Null Varbind or object, or, bad object type
以下に,eSNMPプログラミングとサブエージェントの開発に関する注意事項を示します。
TCP/IP Services V5.0のマニュアルには,以下のものを含めて,eSNMPプログラミングとサブエージェントの開発に関する詳しい情報が含まれていません。
MIBCOMP
コマンドの詳しい例
以下に,eSNMPプログラミングとサブエージェントの開発に役立つ一般的な情報を示します。
http://www.unix.digital.com/faqs/publications/base_doc/DOCUMENTATION- /V40F_HTML/APS2WETE/SNMPCHXX.HTM
OpenVMS用のeSNMPソフトウェアはDIGITAL UNIX製品をベースにしています。
『DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS eSNMP Programming and Reference』の4.3.2項(Processing Input Files)は,次の内容に差し替えてください。
次のステップでは,DCLコマンドMIBCOMP
により,ASN.1
ソース・ファイルをMIBコンパイラで処理します。このコマンドは,実行可能なサブエージェント・
コードの作成に使用される2つのテンプレートC
プログラミング・モジュールを作成します。コンパイラを実行するときには,
そのサブエージェント用のすべてのASN.1ソース・ファイルを指定してください。
これらのソース・ファイルのいずれかが更新されたら,
コンパイル・プロセスを繰り返す必要があります。
次にMIBCOMP
コマンドの構文を示します。
$ MIBCOMP MIB-source-file "subtree" [/PREFIX=prefix-name] - _$ [/PRINT_TREE] [/SNMPV2]
以下にMIBCOMP
コマンドのパラメータと修飾子を示します。
パラメータ/修飾子 | 定義 |
---|---|
MIB-source-file |
MIB定義ファイルのコンマ区切りのリスト。標準の拡張子は.MY ですが,任意の有効なOpenVMSファイル名を指定することができます。 完全なファイル名を指定する必要があります。 |
subtree | MIB定義のルートのテキスト名。 引用符で囲む必要があります。この名前は, テンプレートCモジュールで使われる名前と,ファイルそのものの名前(<subtree>_tbl.c と<subtree>_tbl.h)の生成に使用されます。 |
/PREFIX=prefix-
name | MIBコンパイラは,すべての生成された名前の先頭に,
prefix-name という文字列を追加します。
|
/PRINT_TREE | MIBサブツリー全体を表示します。 |
/SNMPV2 | SNMPv2の解析規則を使用することを指定します。 |
次に,/PRINT_TREE修飾子を使ってChessサンプル・ファイルを処理する例を示します。
$ MIBCOMP RFC1442.MY,CHESS_MIB.MY "chess" /PRINT_TREE Processing RFC1442.MY Processing CHESS_MIB.MY Dump of objects in lexical order -- This file created by program 'snmpi -p' ccitt 0 iso 1 internet 1.3.6.1 directory 1.3.6.1.1 mgmt 1.3.6.1.2 experimental 1.3.6.1.3 private 1.3.6.1.4 enterprises 1.3.6.1.4.1 dec 1.3.6.1.4.1.36 ema 1.3.6.1.4.1.36.2 sysobjectids 1.3.6.1.4.1.36.2.15 decosf 1.3.6.1.4.1.36.2.15.2 chess 1.3.6.1.4.1.36.2.15.2.99 chessProductID 1.3.6.1.4.1.36.2.15.2.99.1 ObjectID read-only chessMaxGames 1.3.6.1.4.1.36.2.15.2.99.2 INTEGER read-only chessNumGames 1.3.6.1.4.1.36.2.15.2.99.3 INTEGER read-only gameTable 1.3.6.1.4.1.36.2.15.2.99.4 gameEntry 1.3.6.1.4.1.36.2.15.2.99.4.1 indexes: gameIndex gameIndex 1.3.6.1.4.1.36.2.15.2.99.4.1.1 INTEGER read-write gameDescr 1.3.6.1.4.1.36.2.15.2.99.4.1.2 DisplayString read-write range: 0 to 255 gameNumMoves 1.3.6.1.4.1.36.2.15.2.99.4.1.3 INTEGER read-write gameStatus 1.3.6.1.4.1.36.2.15.2.99.4.1.4 INTEGER read-write enum: complete 1 enum: underway 2 enum: delete 3 moveTable 1.3.6.1.4.1.36.2.15.2.99.5 moveEntry 1.3.6.1.4.1.36.2.15.2.99.5.1 indexes: gameIndex moveIndex moveIndex 1.3.6.1.4.1.36.2.15.2.99.5.1.1 INTEGER read-write moveByWhite 1.3.6.1.4.1.36.2.15.2.99.5.1.2 DisplayString read-write range: 0 to 255 moveByBlack 1.3.6.1.4.1.36.2.15.2.99.5.1.3 DisplayString read-write range: 0 to 255 moveStatus 1.3.6.1.4.1.36.2.15.2.99.5.1.4 INTEGER read-write enum: ok 1 enum: delete 2 security 1.3.6.1.5 snmpV2 1.3.6.1.6 snmpDomains 1.3.6.1.6.1 snmpProxys 1.3.6.1.6.2 snmpModules 1.3.6.1.6.3 joint_iso_ccitt 2 -------------------------- 11 objects written to chess_tbl.c 11 objects written to chess_tbl.h
『DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS eSNMP Programming and Reference』の第4.4節「Including the Routines and Building the Subagent」は,次の内容に差し替えてください。
get
,set
,およびその他のSNMP要求を処理するためのコードや,
トラップを生成するためのコード)。このコードは自分で書く必要があります。
コード・サンプルについてはCHESS_MIB.C
モジュールを参照してください。
実行可能なサブエージェント・コードを生成するには,まずMIBコンパイラが生成したC モジュールを,実装コードとともにコンパイルします。 次の書式のコマンドを使用します(TCPIP$BUILD_CHESS.COMの, Chessサンプルの構築用のサンプルから)。
$ CC /INCLUDE=TCPIP$SNMP /PREFIX=ALL /STANDARD=VAX CHESS_METHOD.C, - _$ CHESS_MIB.C, CHESS_TBL.C
使用しているDEC Cコンパイラのバージョンによっては,無視してかまわない警告が表示されることがあります。 これらの警告の一部を以下に示します。
%CC-I-SIGNEDKNOWN In this declaration, DEC C recognizes the ANSI keyword "signed". This differs from the VAX C behavior. %CC-I-INTRINSICINT In this statement, the return type for intrinsic "strlen" is being changed from "size_t" to "int".
最後に,次の書式のコマンドとオプションを使って,オブジェクト・ モジュールをリンクします(Chessサンプルから)。
$ LINK SYS$INPUT/OPTIONS CHESS_METHOD.OBJ CHESS_MIB.OBJ CHESS_TBL.OBJ SYS$SHARE:TCPIP$ESNMP_SHR.EXE/SHARE
eSNMPオブジェクト・ライブラリをリンクするには,次のコマンドを使用します。
$ LINK SYS$INPUT/OPTIONS CHESS_METHOD.OBJ CHESS_MIB.OBJ CHESS_TBL.OBJ TCPIP$SNMP:TCPIP$ESNMP.OLB/LIBRARY TCPIP$LIBRARY:TCPIP$LIB.OLB/LIBRARY
代わりに,サブエージェントをeSNMP API共有可能イメージ(TCPIP$ESNMP_SHR.EXE) とリンクすることができます。作成された実行可能イメージのサイズはより小さいものとなり, 将来のバージョンの共有可能イメージと再リンクすることなく実行することができます。 サンプル・オブジェクトを共有可能イメージとリンクするには, 次のコマンドを使用します。
$ LINK SYS$INPUT/OPTIONS CHESS_METHOD.OBJ CHESS_MIB.OBJ CHESS_TBL.OBJ SYS$SHARE:TCPIP$ESNMP_SHR.EXE/SHARE
ここでは,TCP/IP Services V5.0に付属するマニュアルで見つかった問題を取り上げます。
正しい例は次のようになります。
TCPIP> CREATE CONTAINER DSA101:[TEST] /USER_NAME=SYSTEM - /ROOT_MODE=751/HOST="june"
ROOT_MODE修飾子は,マニュアルにも説明されているように次の値をとります。
Owner: RWE (7) Group: RE (5) World: E (1)
この2つのコマンドは廃止されています。正しいコマンドは次のとおりです。
TCPIP> SET SERVICE servicename /LIMIT=n
このコマンドを有効にするためには,サービスをいったん使用不可(DISABLE SERVICE) にした後に,再び使用可能(ENABLE SERVICE)にしなければなりません。
TCPIP管理コマンド・インタフェースのヘルプ・ファイルでは, この変更に伴う修正が行われています。ところが,『DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMS Management Command Reference』では,一部修正の手違いにより, この新しい情報が反映されていません。
冒頭の次の文は誤りです。
Confirm that the virtual terminal driver SYS$SYSTEM:SYS$TTDRIVER.STB is installed on your host.
正しくは次のようになります。
Confirm that the virtual terminal driver SYS$loadable_images:sys$ttdriver.exe is installed on your host.
したがって後に続く例も,/DRIVER=SYS$LOADABLE_ IMAGES:SYS$TTDRIVER.EXEのようになります。
:fm=CENTER:\
印刷ジョブは,次のDCLコマンドを入力した場合と同様に処理されます。
PRINT X.X /FORM=CENTER
フォームは,印刷イメージの縦横のサイズや用紙などの属性を持ち, プリント・シンビオントは,ジョブを処理する際にこの属性とジョブを関連付けます。SHOW QUEUE/FORM コマンドを実行すると,使用しているシステムで定義されているフォームの種類が表示されます。 特定のキューに現在マウントされているフォームの種類や, そのキューの省略時のフォームとして指定されているフォームを知りたい場合には, SHOW QUEUE/FULLコマンドを使用します。
p1-p8シンボルは,DCL PRINTコマンドの/PARAMETERS修飾子と等価な機能を持ち, 特定のプリント・シンビオントに固有の1から8までのオプション・ パラメータを指定できます。
DECprint Supervisorソフトウェア(DCPS)を使用して,PostScriptプリンタに出力する際に利用できるパラメータについての詳細は,DCL ヘルプのPRINT_Parameter トピックを参照してください。
第18.3.1項のrpシンボルの使用に関する記述で,一部説明が抜けています。 次の説明を追加してください。
JetDirectネットワーク・カードを装備したHP LaserJetプリンタを出力先として,LPD クライアント・キューをコンフィギュレーションする場合には,rp printcap フィールドの値を"text"に設定してください。 たとえば,次のようになります。
:rp=text:\
手順7 "PRODUCT LIST TCPIP/VERSION=5.0"は,手順7 "PRODUCT LIST TCPIP"の誤りです。
FDDIを使用するシステムでは,省略時の設定では,TCP/IPソケットのバッファに割り当てられるサイズが自動的に増加します。 これは, FDDIを利用してローカルTCP接続を行う場合のスループットを向上させるための処置です。
MAP DSA301: "/vmsdisk"
ところが,第16.8節「Setting Up and Exporting a UNIX-Style File System」に示されている例では,次のようにパラメータの順序が逆になっています。
MAP "/test_dsk" DSA101:
MAPコマンドでは,OpenVMSボリューム名を第1パラメータではなく第2 パラメータとして指定する必要があるため,MAPコマンドの構文としては, 第16.8節の例が正しいことになります。
TCPIP管理コマンド・インタフェースのヘルプ・ファイルでは,この変更に伴う修正が行われています。
/PASSWORD=password Optional. Default: your password on the local system.
この定義の,"Default:"に続く省略時の記述が誤っています。パスワードの入力がないと, 相応の時間が経過した後,ローカル・システムによってパスワードの入力を要求するプロンプトが表示されます。
この項の3番目の段落に次のような記述があります。
By default, TCPIP$CONFIG creates an account on the root directory SYS$SYSDEVICE:[ANONYMOUS]. The usual OpenVMS file protection restrict file access for inbound anonymous FTP sessions to this directory, its subdirectories, and files with the UIC [ANONYMOUS,ANONYMOUS]. When you use TCPIP$CONFIG to establish an anonymous account, a new account is created with the UIC: alphanumeric: [TCPIP,ANONYMOUS] and numeric: [3375,xx], user name: ANONYMOUS, account ANONY, default directory: SYS$SYSDEVICE:[ANONYMOUS] and the following login types of access: network full access batch no access local no access dialup no access local no access
この3番目の段落の最後の文を次のように訂正してください。
The usual OpenVMS file protection restrict file access for inbound anonymous FTP sessions to this directory, its subdirectories, and files with an owner attribute of [TCPIP,ANONYMOUS].
TCP/IP Servicesは,これらのディレクトリを作成することも,使用を推奨することもしません。 公開ディレクトリは,読み込み専用のアクセスであればセットアップすることができます。 ディレクトリを読み込みと書き込みの両方を許可するようにセットアップする場合には, セキュリティ上の対策が必要になります。
TRAGOPAN asks for ubird's password, which is not echoed.
これを次のように訂正してください。
TRAGOPAN asks for ubird's password, which is not echoed. In response to this request, the user should supply their local system username for identification purposes.
手順1:
ここでは,TCPIP$CONFIGを使用してANONYMOUSアカウントをセットアップする方法が示されていません。
$ DEFINE/SYSTEM TCPIP$FTP_ANONYMOUS_WELCOME - _$ "@sys$sysdevice:[TCPIP$FTP]welcome.txt"
テキスト・ファイルに対するファイル保護はworld readでなければなりません。
$ DEFINE/EXECUTIVE_MODE/SYSTEM TCPIP$FTP_SERVER_ANNOUNCE - _$ "@sys$sysdevice:[TCPIP$FTP]announce.txt"
プロセス名は現在次のように変更されています。
ログ・ファイル名は次のように変更されています。
本バージョンではFTPでのファイル転送でODS-5ディスクに対するExtended File Specifications(長いファイル名,深いディレクトリ階層,拡張文字セット)がサポートされています。 しかし,日本語OpenVMS V7.2で提供される日本語ファイル名の使用はサポートされません。
FTPクライアントのVIEWコマンドは本バージョンからは日本語化されなくなりました。VIEW コマンドで正しく扱えるのはASCIIテキストのみで,漢字のテキストの表示はサポートされません。
本バージョンでは既存の漢字フィルタに関して下位互換性を保ちます。以前のバージョン用に作成された漢字フィルタは, ファイル名や,指定する際の論理名を変更することなくそのまま使用することができます。