Compaq OpenVMS
システム管理者マニュアル


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2.4.4 オペレータ・ターミナルとしての OPA0: の使用制御

SYS$MANAGER:SYLOGICALS.COM: に次の論理名を定義しておくと,オペレータ・ターミナルとしての OPA0: の使用を制限できます。これはノードが OpenVMS Cluster の一部であるかどうかには関係しません。

論理名 機能
OPC$OPA0_ENABLE TRUE または FALSE で定義する。 TRUE の場合は OPA0: がオペレータ・ターミナルとして有効になる。
OPC$OPA0_CLASSES オペレータ・クラスが OPA0 に対して有効になるように指定する。論理名は,使用できるクラスの検索リスト,コンマで区切られたリスト,この 2 つリストの組み合わせのいずれか。

論理名は次にシステムをブートするとき有効になります。

2.4.5 オペレータ・ターミナルの指定

通常,OpenVMS Cluster 環境のワークステーションを除くコンソール・ターミナル (装置名 OPA0:) は,自動的にオペレータ・ターミナルになります。しかし,オペレータ・ターミナルには任意のターミナルを指定することができます。また,現在のオペレータ・ターミナル機能を無効にすることもできます。

オペレータ・ターミナル機能を有効にする

ターミナルをオペレータ・ターミナルとして指定する場合は,そのターミナルから REPLY/ENABLE コマンドを入力します。次に例を示します。


$ REPLY/ENABLE
$ 
%%%%%%%%%%%  OPCOM  13-JUL-2000 11:30:30.56  %%%%%%%%%%% 
Operator _BHAK$FTA20: has been enabled, username SYSTEM

バッチ・コマンド・プロシージャまたはスタートアップ・コマンド・プロシージャでオペレータ・ターミナルを指定するためには, SYS$COMMAND に有効なターミナル装置を割り当てる必要があります。

コンピュータの環境が非常に大規模な場合,オペレータが何人かいて,担当している作業がそれぞれ異なることがあります。このような場合には,オペレータ・ターミナルが受信および応答するメッセージに対して,クラスを指定することができます。クラスを指定するためには,オペレータ・ターミナル機能を有効にするときに,次の形式を使います。


REPLY/ENABLE=(キーワード [,...]) 

次の表に,メッセージ・キーワードについて説明します。

キーワード 説明
CARDS カード・リーダに送信されたメッセージを表示する。
CENTRAL セントラル・システム・オペレータに送信されたメッセージを表示する。
CLUSTER 接続マネージャから送信された, OpenVMS Cluster の状態の変化に関するメッセージを表示する。
DEVICES ディスクのマウントに関するメッセージを表示する。
DISKS ディスク・ボリュームのマウントとディスマウントに関するメッセージを表示する。
LICENSE ライセンスにあったメッセージを表示する。
NETWORK ネットワークに関するメッセージを表示する。ネットワーク・メッセージの出力を禁止するためには, CENTRAL キーワードも指定する必要がある。
OPER1 〜 OPER12 OPER1 から OPER12 の ID で指定したオペレータに送信されたメッセージを表示する。
PRINTER プリント要求に関するメッセージを表示する。
SECURITY 機密保護イベントに関するメッセージを表示する。SECURITY 特権が必要。
TAPES テープ・ボリュームのマウントとディスマウントに関するメッセージを表示する。

例:


$ REPLY/ENABLE=(PRINTER,OPER3)

オペレータ・ターミナル機能を無効にする

オペレータ・ターミナルとして指定したターミナルは,オペレータがログアウトしてもその働きを失いません。ターミナルを通常のターミナルに戻すためには (つまりオペレータ・ターミナル機能を無効にするためには),そのターミナルから REPLY/DISABLE コマンドを入力します。


次の例では,まず,TTA3 をオペレータ・ターミナルに指定しています。同時に,このターミナルが,プリンタ,磁気テープ,およびディスク関連のメッセージと,セントラル・オペレータ宛のメッセージを受信できるようにしています。そのあと,テープ関連のメッセージを受信する機能が, TTA3 ターミナルから削除されています。したがって,現在 TTA3 ターミナルで受信または応答できるメッセージは,プリンタおよびディスク関連のメッセージと,セントラル・オペレータ宛のメッセージだけです。


$ REPLY/ENABLE=(PRINTER,DISKS,TAPES,CENTRAL)
$ 
%%%%%%%%%%%  OPCOM  13-JUL-2000 11:37:09.52  %%%%%%%%%%% 
Operator TTA3 has been enabled, username SYSTEM 
 
$ 
%%%%%%%%%%%  OPCOM  13-JUL-2000 11:37:09.53  %%%%%%%%%%% 
Operator status for operator TTA3 
CENTRAL, PRINTER, DISKS, TAPES 
$ REPLY/DISABLE=TAPES
%%%%%%%%%%%  OPCOM  13-JUL-2000 11:37:09.53  %%%%%%%%%%% 
Operator status for operator TTA3 
CENTRAL, PRINTER, DISKS
$ REPLY/DISABLE
%%%%%%%%%%%  OPCOM  13-JUL-2000 11:38:50.68  %%%%%%%%%%% 
Operator TTA3 has been disabled, username SYSTEM

2.4.6 オペレータへの要求の送信

ユーザの環境に,プリンタの用紙を補充したりテープを交換したりするオペレータがいる場合,REQUEST コマンドを使用してオペレータと通信できます。次の表に,REQUEST コマンドで使用できる修飾子を示します。

修飾子 説明
/REPLY 要求を送って,それに対する応答を求める。このコマンドで送信した要求には,オペレータが応答を送るべき相手ユーザの識別番号が付けられる。オペレータからの応答があるまで,ユーザはコマンドを入力できない。
/TO=(オペレータ [,...]) ユーザの環境が非常に大きな場合,複数のオペレータが異なる作業を担当していることがある。このような環境においては, /TO 修飾子を使用して,要求の送信先オペレータを指定することができる。指定できるオプションは,CARDS,CENTRAL,CLUSTER, DEVICES,DISKS,NETWORK,OPER1 〜 OPER12,PRINTER,SECURITY,および TAPES である。

DCL の MOUNT/ASSIST や BACKUP/ASSIST コマンドも,オペレータに要求を送信するコマンドです。詳細は次の項を参照してください。


あるオペレータが, PRINTER クラスが有効になっているターミナルを監視していると仮定します。次の PRINT コマンドで,特殊なプリント形式 (/FORM=LETTER) で出力するジョブを発行します。そして,REQUEST コマンドで,オペレータにメッセージを送信します。オペレータは要求を完了したら応答を送信します。応答については, 第 2.4.7 項 で説明します。


$ PRINT/COPIES=2/QUEUE=LQ_PRINT  REPORT.OUT/FORM=LETTER
Job REPORT (queue LQA1, entry 401) pending
$ REQUEST/REPLY/TO=PRINTER -
_$ "Have queued job 401 as FORM=LETTER;  can you print it?"
%OPCOM-S-OPRNOTIF, operator notified, waiting...10:42:16.10 
%OPCOM-S-OPREPLY, AFTER 11:00 
19-APR-2000 10:25:32.40, request 3 completed by operator OPA0

2.4.7 オペレータ要求に対する応答

オペレータは,REPLY コマンドを使用して,プリンタの用紙の補充や,テープの交換を依頼したユーザに対して応答することができます。次の表に,REPLY コマンドで使用できる修飾子を示します。

修飾子 説明
/ABORT=ID 番号 ID 番号で指定した要求に対して,その要求がキャンセルされたと通知する。
/PENDING=ID 番号 ID 番号で指定した要求に対して,その要求を完了またはキャンセルするまで,ユーザはコマンドを入力してはならないと通知する。このとき,現在のターミナルがオペレータ・ターミナルとして使用できることが前提となる。
/STATUS このコマンドが実行されたターミナルにおいて,有効なクラス名と,ユーザから発行されたすべての要求を表示する。このとき,現在のターミナルがオペレータ・ターミナルとして使用できることが前提となる。
/TO=ID 番号 ID 番号で指定した要求に対して,その要求が完了したと通知する。このとき,現在のターミナルがオペレータ・ターミナルとして使用できることが前提となる。

DCL の MOUNT/ASSIST や BACKUP/ASSIST コマンドも,オペレータに要求を送信するコマンドである。詳細は, 第 9.5.3 項 および 第 11.9.1 項 を参照。

磁気テープを扱うオペレータには,磁気テープ操作専用の修飾子もあります。詳細は 第 9.8.2.4 項 を参照してください。また,REPLY コマンドとその修飾子についての詳細は,『Compaq OpenVMS DCL ディクショナリ』を参照してください。


次の例は,ユーザ ROBINSON が発行した要求番号 5 番に対する REPLY/TO コマンドです。MOUNT 装置を DUA4 に切り換えたことをユーザに通知しています。


%%%%%%%%%%  OPCOM, 19-APR-2000 10:20:50.39  %%%%%%%%%%% 
           request 5 from user ROBINSON 
           Please mount volume GRAPHIC_FILES in device _DUA11: 
           Shelf 4 - slot B
$ REPLY/TO=5 "SUBSTITUTE  DUA4"

2.5 VMSKITBLD.COM によるシステム・ディスクの変更

VAX システムでは,コマンド・プロシージャ SYS$UPDATE:VMSKITBLD.COM を使用すれば,既存のシステム・ディスクのシステム・ファイルを別のディスクにコピーすることができます。

Alpha システムでは, VMSKITBLD.COM プロシージャ内にあるプロシージャと同様のプロシージャが, AXPVMS$PCSI_INSTALL.COM プロシージャによって実行されます。『OpenVMS Alpha Version 7.3 Upgrade and Installation Manual』を参照してください。

SYS$UPDATE:VMSKITBLD.COM プロジージャに指定できるオプションは次のとおりです。

オプション 説明 参照箇所
BUILD ディスク上のすべての既存ファイルを破壊してから,新しい共通システム・ディスクを作成する。 第 2.5.1 項
COPY ディスク上のシステム・ファイル以外のファイルを残したまま,オペレーティング・システム・ファイルをコピーする。 第 2.5.2 項
ADD 既存のシステム・ディスクに,新しいシステム・ルート・ディレクトリを追加する。 第 2.5.3 項

ディスク 説明
ソース・ディスク システム・ファイルをコピーする元のディスク。ソース・ディスクは既存のシステム・ディスクでなくてはならない。
ターゲット・ディスク システム・ファイルを移動する先のディスク。

重要

使用中のシステム・ディスクをターゲット・ディスクにしないでください。 VMSKITBLD.COM は動作中のシステムに必要なファイルを削除してしまいます。

2.5.1 新しいシステム・ディスクの作成

新しいシステム・ディスクを作成しなければならないこともあります。ここでは,既存のシステム・ディスクとして RA81 というディスクが存在すると仮定します。そして,この RA81 より容量の多い RA90 というディスクを購入し,RA90 のほうをシステム・ディスクとして使用するとします。このような場合,VMSKITBLD コマンド・プロシージャの BUILD オプションを使用すれば,RA90 に新しいシステム・ディスクを構築できます。

既存のシステム・ディスクがソース・ディスク,新たにシステム・ディスクにするディスクがターゲット・ディスクです。

重要

VMSKITBLD BUILD はターゲット・ディスクを初期化し,すでにあるすべての内容を削除します。ファイルを壊さずに既存のシステム・ディスクにコピーする方法については, 第 2.5.2 項 を参照してください。

ターゲット・ディスクのすべての内容を破壊してから,そこに新しいオペレーティング・システムを構築する場合,次の手順で BUILD オプションを使用します。

システム・ディスクの作成方法

  1. ソース・ディスクからオペレーティング・システムを起動していない場合は,ソース・ディスクからオペレーティング・システムを起動する。

  2. SYSTEM アカウントにログインする。

  3. ディスクが回転し,オンラインになっていることを確認する。着脱式のディスクを使用している場合は,忘れずにディスクをドライブに装着する。

  4. 次のコマンドを入力して VMSKITBLD を起動する。


    $ @SYS$UPDATE:VMSKITBLD
    

    VMSKITBLD は,オプションの選択を求める。オプションは 1 つしか選択できない。


    * Operation [BUILD,ADD,COPY]? 
    

  5. BUILD と入力して,Return キーを押す。 VMSKITBLD は,必要な情報の入力を求めるメッセージか,プロシージャのステータスを報告するメッセージを表示する。次に,表示されるプロンプトと,それに対する応答を説明する。

    1. 次のプロンプトに対しては,ソース・ディスク名を入力する。


      * Enter mounted SOURCE disk name (ddcu:): 
      

    2. 次のプロンプトに対しては,ソース・ディスクのトップ・レベルのシステム・ディレクトリを入力する。


      * Enter SOURCE disk top level system directory [default = SYS0]: 
      


      たいていの場合,省略時の値の [SYS0] のままで問題はない。

    3. 次のプロンプトに対しては,ターゲット・ディスク名を入力する。


      * Enter TARGET disk name (ddcu:): 
      

    4. 次のプロンプトに対しては,ターゲット・ディスクのボリューム・ラベルを入力する。


      * Enter the TARGET disk's label [default = VAXVMSRL5]: 
      

    5. 次のプロンプトに対しては,トップ・レベルのシステム・ディレクトリを入力する。


      * Enter TARGET disk top level system directory [default = SYS0]: 
      


      たいていの場合,省略時の値の [SYS0] のままで問題はない。

    6. ターゲット・ディスクを初期化するという警告メッセージが表示される。ここで,処理を中止するか,そのまま続行するか選択することができる。


          The target disk will be initialized.
      * Target disk, _DUA0:, ready to be initialized? (Y/N): Y
      


      ターゲット・ディスクのすべての内容を破壊してもよければ, Y を入力して処理を継続する。


    ドル記号 ($) プロンプトが表示されると,システム・ディスクの構築は完了である。 VMSKITBLD は,自動的にターゲット・ディスクをディスマウントする。この時点でターゲット・ディスクには,システム・ディスクに必要なすべてのオペレーティング・システム・ファイルが含まれている。

  6. 新たに作成したディスクは,そのままでは完全なシステム・ディスクではない。ライト・データベースとネットワーク代理データベースを作成し,適切なシステム・パラメータを使ってシステムを設定する必要がある ( 第 2.5.1.1 項 参照)。

  7. 新しいシステム・ディスクを使用する場合は,そのディスクからシステムを再ブートする。


次の例は,VMSKITBLD.COM を使って新しいシステム・ディスクを作成する例です。この例の VMSKITBLD は,DUA0: ディスクに現在のシステム・ディスクのすべてのファイルをコピーして,新しいシステムを作成しています。


* Enter mounted SOURCE disk name (ddcu:): SYS$SYSDEVICE:
* Enter SOURCE disk top level system directory [default = SYS0]: [Return]
* Enter TARGET disk name (ddcu:): DUA0: [Return]
* Enter the TARGET disk's label [default = VAXVMSRL5]: [Return]
* Enter TARGET disk top level system directory [default = SYS0]: [Return]
    The target disk will be initialized.
* Target disk, _DUA0:, ready to be initialized? (Y/N): Y
    Target disk, _DUA0:, has been initialized.
%MOUNT-I-MOUNTED, VAXVMSRL5   mounted on _DUA0:
    Creating system specific directories ... 
    Creating cluster common directories ... 
    Creating SYSGEN files ... 
%SYSGEN-I-CREATED, _DUA0:<SYS0.SYSEXE>SWAPFILE.SYS;1 created
%SYSGEN-I-CREATED, _DUA0:<SYS0.SYSEXE>PAGEFILE.SYS;1 created
%SYSGEN-I-CREATED, _DUA0:<SYS0.SYSEXE>SYSDUMP.DMP;1 created
    Copying files from source disk ... 
    Copying DECwindows file from source disk ... 
    Writing a boot block ... 
    System disk complete.
$


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