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本リリースの日本語 TCP/IP Services では,次のソケット・プログラミング・オプションをサポートしています。このオプションを使用すると,ネットワーク・アプリケーションの性能を向上させることができます。
以降の各項では,TCP/IP Services V5.0A から V5.1 にかけて変更された機能について説明します。
1.2.1 サポート対象外の管理コマンド
以下のコマンドは顧客用のコマンドではありません。これらのコマンドを使用すると,予期しない結果が生じる可能性があります。
さらに,以下のオプションと修飾子はサポートされなくなりました。
これらのコマンド,修飾子,およびオプションは,『 Compaq TCP/IP Services for OpenVMS Management Command Reference 』から削除されています。
1.2.2 管理コマンドの変更
TCP/IP 管理コマンドには以下の変更が加えられています。
TCPIP> SHOW VERSION Compaq TCP/IP Services/Japanese for OpenVMS ... |
START COMMUNICATION コマンドは Compaq 用に予約されています。 |
これまでのバージョンの TCP/IP Services では,NFS サーバの動作を以下の方法でコンフィギュレーションすることができます。
TCP/IP Services V5.1 では,NFS サーバのコンフィギュレーションは以下のものを使って行います。
以下に示す,これまでのバージョンの TCP/IP Services で使用されていた修飾子は,現在はサポートされていません。
NFS サーバの論理名はサポートされなくなりました。場合によっては,SYSCONFIG を使って,等価な属性を変更することができます。 SYSCONFIG の使用方法については, 第 1.2.3.2 項 を参照してください。
次の表は,NFS サーバの論理名と, (存在する場合は) 等価な属性を示しています。
論理名 | 属性 |
---|---|
TCPIP$NFS000000000_ERROR | 等価なものなし |
TCPIP$NFS000000000_OPCOM | 等価なものなし |
TCPIP$NFS000000000_HOSTS | 等価なものなし |
TCPIP$NFS000000000_UID | noproxy_uid |
TCPIP$NFS000000000_GID | noproxy_gid |
TCPIP$NFS000000000_INACTIVITY | vnode |
TCPIP$NFS000000000_SECURITY | noproxy_enabled |
TCPIP$NFS000000000_THREADS | tcp_threads |
TCPIP$NFS000000000_XID | 等価なものなし |
TCPIP$CFS_KEEP_ALLOC | 等価なものなし |
NFS と RPC の統計情報は,SHOW NFS_SERVER コマンドか, UNIX ユーティリティの NFSSTAT を使って表示することができます。 NFSSTAT フォーリン・コマンドを使用する際には,SYS$MANAGER:TCPIP$DEFINE_COMMANDS.COM プロシージャを必ず実行するようにしてください。 NFSSTAT の使用方法については,次の TCP/IP 管理コマンドを入力します。
TCPIP>HELP NFSSTAT |
次の表は,NFS および RPC コネクションに関する統計情報を表示するために使用できる SHOW NFS_SERVER の修飾子と等価な NFSSTAT のフラグを示しています。
SHOW NFS_SERVER の修飾子 | 意味 | NFSSTAT のフラグ |
---|---|---|
/CONTINUOUS= n | ディスプレイ上の統計情報を更新する間隔を指定する (秒単位)。 | nfsstat -i interval |
/RPC | RPC のみについての情報を表示する。 | nfsstat -r |
/SERVER | NFS と RPC に関する情報を表示する。 | nfsstat -s |
/VERSION=(V2|V3) | バージョン固有の NFS 統計情報を表示する。片方または両方の引数を指定することができる。例:
/VERSION=(V2,V3) 省略時の設定では,両方のバージョンの統計情報を表示する。 |
バージョン 2 のみの場合:
nfsstat -2 バージョン 3 のみの場合:
|
統計情報を 0 に再設定するには,ZERO NFS_SERVER コマンドか,次の NFSSTAT コマンドを使用します。
$ NFSSTAT -z |
1.2.3.2 SYSCONFIG による NFS サーバ属性の変更
NFS サーバ属性は,TCP/IP 管理コマンドの SET NFS_SERVER か, UNIX ユーティリティの SYSCONFIG を使って変更することができます。 SYSCONFIG フォーリン・コマンドを使用する際には, TCPIP$DEFINE_COMMANDS.COM プロシージャを必ず実行するようにしてください。 SYSCONFIG の使用方法については,次の TCP/IP 管理コマンドを入力します。
TCPIP>HELP SYSCONFIG |
次の表は,SYSCONFIG コマンドを使って変更できる NFS サーバ属性を示しています。この表は,属性の目的を説明し,等価な機能を実行する SET NFS_SERVER コマンドの修飾子を示しています。
属性 | 説明 | SET NFS_SERVER 修飾子 |
---|---|---|
noproxy_enabled |
noproxy_uid
および
noproxy_gid
属性の使用を可能にする。この属性が 1 に設定されていないと,サーバ・アクセスにはプロキシが必要となる。
この値が 0 ならば,プロキシ・データベースに含まれていないユーザが所有しているファイルは,UID=-2/GID=-2 によって所有されているものと見なされる。値が 1 ならば,プロキシ・データベースに含まれていないユーザが所有しているファイルは, noproxy_uid および noproxy_gid 属性の値によって所有されているものとして報告される。 |
等価なものなし。 |
noproxy_uid | ユーザがプロキシによって変換できないときに使用される省略時の UID を指定する。 | SET NFS_SERVER/UID_DEFAULT |
noproxy_gid | ユーザがプロキシによって変換できないときに使用される省略時の GID を指定する。 | SET NFS_SERVER/GID_DEFAULT |
tcp_threads | サーバ内の同時 TCP スレッドの数を指定する。 | 等価なものなし。 |
udp_threads | サーバ内の同時 UDP スレッドの数を指定する。この属性はゼロに設定してはならない。値 0 は TCP プロトコルを無効にする。 | SET NFS_SERVER/THREADS |
vnode_age | 最後のファイル・アクセス要求以降の時間間隔の秒数を指定する。
サーバは,オープン・ファイル・キャッシュの管理を支援するために,個々のオープンされたファイルのアクティビティ・タイムスタンプを保持している。この変数の省略時の設定は 120,すなわち 2 分である。この値を小さい間隔に設定すると,パフォーマンスが低下する可能性があるので注意する。 |
SET NFS_SERVER/INACTIVITY_TIMER |
1.2.3.3 SYSCONFIG によるパラメータ設定の表示
NFS パラメータ設定を表示するには,次の SYSCONFIG コマンドを使用します。
$ SYSCONFIG -q nfs |
vnode_ageのような VFS パラメータ設定を表示するには,次のコマンドを入力します。
$ SYSCONFIG -q vfs |
OpenVMS に移植された UNIX ネットワーク・コマンドは,UNIX 上と同じステータス・コードを返しません。このため,OpenVMS システム上で入力された UNIX ネットワーク・コマンドの結果である UNIX ステータス・コードに依存する関数やプロシージャを作成してはなりません。 |
SYSCONFIG による NFS サーバ属性の変更についての詳細は,『 Compaq TCP/IP Services for OpenVMS Management 』を参照してください。
1.2.4 TCP/IP プロセス名
サービスの起動時に作成されるプロセス名が拡張され,参照番号が追加されています。このため,SHOW SYSTEM コマンドを使ってシステム・プロセスのリストを表示すると,日本語 TCP/IP Services プロセスの名前には,各プロセスの起動されたプロセス数を示す数値が含まれています。次に例を示します。
$ SHOW SYSTEM OpenVMS V7.2-1 on node OVMS 31-AUG-2000 17:33:19.75 Uptime 0 00:22:13 Pid Process Name State Pri I/O CPU Page flts Pages 53200081 SWAPPER HIB 16 0 0 00:00:03.12 0 0 ... 5FA0021C TCPIP$BIND_1 LEF 9 362953 0 00:01:02.84 504 381 N 5FA0021D TCPIP$PORTM_1 LEF 10 878 0 00:00:00.30 300 284 N 5FA0021E TCPIP$FTP_1 LEF 10 1317 0 00:00:00.31 700 270 N ... 5FA00223 TCPIP$LPD_QUEUE HIB 4 49 0 00:00:00.10 263 130 5FA00224 TCPIP$METRIC_1 LEF 10 144 0 00:00:18.23 285 208 N 5FA00225 TCPIP$NFS_1 HIB 10 147 0 00:00:00.11 397 247 N 5FA00226 TCPIP$MOUNTD_1 LEF 10 1113 0 00:00:00.80 531 381 N 5FA00227 TCPIP$NTP_1 LEF 9 254946 0 00:00:41.21 355 270 N 5FA00228 TCPIP$PCNFSD_1 LEF 10 162 0 00:00:00.16 343 208 N 5FA00229 TCPIP$POP_1 HIB 10 41260 0 00:00:15.32 719 519 N ... |
プロセス名を参照するコマンド・プロシージャを使用している場合は,この変更に対応して修正してください。
1.2.5 FTP の変更
以降の各項では,日本語 TCP/IP Services の前回のリリース以降に FTP ユーティリティに対して行われた変更について説明します。
1.2.5.1 FTP パッシブ・モード
本リリースには,新しい FTP クライアント・コマンドの SET PASSIVE と SHOW PASSIVE,および UNIX コマンドの passiveが追加されています。パッシブ・モードは,ファイアウォールのせいで FTP サーバが発信データ・コネクションを確立できない場合に有効です。
SHOW STATUS と
statusコマンドの出力には,新しいパッシブ・パラメータの値が追加されています。詳細については,FTP> HELP SET PASSIVE の出力を参照してください。
1.2.5.2 FTP メッセージの機能強化
FTP STATUS コマンドが返す情報が改善されています。STATUS コマンドの,ファイル名の中の大文字と小文字の処理を報告するメッセージが,より詳しい情報を返すようになっています。たとえば,次の例の「Case:」で始まる行を参照してください。
$ FTP Error level is WARNING FTP> STATUS Local client's status: No connected VMS Plus mode disabled Mode = stream, Type = ascii, Form = non_print, Structure = file Error level is WARNING Reply display is on Parsing is on Prompting is off Port command is on Case: MPUT will preserve typographical case in destination filenames, if possible FTP> |
1.2.6 POP サーバ・スレッドのコンフィギュレーション
1 つの POP サーバが処理できるスレッドの数の最大値がコンフィギュレーション可能になりました。これをコンフィギュレーションするには,システム論理名 TCPIP$POP_MAXIMUM_THREADS を定義し,その値として,POP サーバに処理させたいスレッドの数の最大値を指定します。
最小値は 1 で,POP サーバは個々の新しい POP コネクションが新しいサーバ・プロセスを作成するシングルスレッド・サーバになります。最大値は 15 です。この論理名が定義されていなかった場合の省略時の設定は 15 です。
この論理名はリソースの問題を解決するために利用することができます。
1.2.7 LPD の変更
LPD の動作に影響を与える変更には以下のものがあります。
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