日本語Compaq TCP/IP Services for OpenVMS
リリース・ノート


前へ 次へ 目次


1.1.15 TCP パフォーマンス・オプション

本リリースの日本語 TCP/IP Services では,次のソケット・プログラミング・オプションをサポートしています。このオプションを使用すると,ネットワーク・アプリケーションの性能を向上させることができます。

1.2 V5.1 の変更点

以降の各項では,TCP/IP Services V5.0A から V5.1 にかけて変更された機能について説明します。

1.2.1 サポート対象外の管理コマンド

以下のコマンドは顧客用のコマンドではありません。これらのコマンドを使用すると,予期しない結果が生じる可能性があります。

さらに,以下のオプションと修飾子はサポートされなくなりました。

これらのコマンド,修飾子,およびオプションは,『 Compaq TCP/IP Services for OpenVMS Management Command Reference 』から削除されています。

1.2.2 管理コマンドの変更

TCP/IP 管理コマンドには以下の変更が加えられています。

1.2.3 NFS サーバ・コンフィギュレーションの変更

これまでのバージョンの TCP/IP Services では,NFS サーバの動作を以下の方法でコンフィギュレーションすることができます。

TCP/IP Services V5.1 では,NFS サーバのコンフィギュレーションは以下のものを使って行います。

以下に示す,これまでのバージョンの TCP/IP Services で使用されていた修飾子は,現在はサポートされていません。

NFS サーバの論理名はサポートされなくなりました。場合によっては,SYSCONFIG を使って,等価な属性を変更することができます。 SYSCONFIG の使用方法については, 第 1.2.3.2 項 を参照してください。

次の表は,NFS サーバの論理名と, (存在する場合は) 等価な属性を示しています。

論理名 属性
TCPIP$NFS000000000_ERROR 等価なものなし
TCPIP$NFS000000000_OPCOM 等価なものなし
TCPIP$NFS000000000_HOSTS 等価なものなし
TCPIP$NFS000000000_UID noproxy_uid
TCPIP$NFS000000000_GID noproxy_gid
TCPIP$NFS000000000_INACTIVITY vnode
TCPIP$NFS000000000_SECURITY noproxy_enabled
TCPIP$NFS000000000_THREADS tcp_threads
TCPIP$NFS000000000_XID 等価なものなし
TCPIP$CFS_KEEP_ALLOC 等価なものなし

1.2.3.1 NFSSTAT による統計情報の表示

NFS と RPC の統計情報は,SHOW NFS_SERVER コマンドか, UNIX ユーティリティの NFSSTAT を使って表示することができます。 NFSSTAT フォーリン・コマンドを使用する際には,SYS$MANAGER:TCPIP$DEFINE_COMMANDS.COM プロシージャを必ず実行するようにしてください。 NFSSTAT の使用方法については,次の TCP/IP 管理コマンドを入力します。


TCPIP>HELP NFSSTAT 

次の表は,NFS および RPC コネクションに関する統計情報を表示するために使用できる SHOW NFS_SERVER の修飾子と等価な NFSSTAT のフラグを示しています。

表 1-1 NFSSTAT による統計情報の表示
SHOW NFS_SERVER の修飾子 意味 NFSSTAT のフラグ
/CONTINUOUS= n ディスプレイ上の統計情報を更新する間隔を指定する (秒単位)。 nfsstat -i interval
/RPC RPC のみについての情報を表示する。 nfsstat -r
/SERVER NFS と RPC に関する情報を表示する。 nfsstat -s
/VERSION=(V2|V3) バージョン固有の NFS 統計情報を表示する。片方または両方の引数を指定することができる。例:
/VERSION=(V2,V3)

省略時の設定では,両方のバージョンの統計情報を表示する。

バージョン 2 のみの場合:
nfsstat -2

バージョン 3 のみの場合:
nfsstat -3

統計情報を 0 に再設定するには,ZERO NFS_SERVER コマンドか,次の NFSSTAT コマンドを使用します。


$ NFSSTAT -z 

1.2.3.2 SYSCONFIG による NFS サーバ属性の変更

NFS サーバ属性は,TCP/IP 管理コマンドの SET NFS_SERVER か, UNIX ユーティリティの SYSCONFIG を使って変更することができます。 SYSCONFIG フォーリン・コマンドを使用する際には, TCPIP$DEFINE_COMMANDS.COM プロシージャを必ず実行するようにしてください。 SYSCONFIG の使用方法については,次の TCP/IP 管理コマンドを入力します。


TCPIP>HELP SYSCONFIG 

次の表は,SYSCONFIG コマンドを使って変更できる NFS サーバ属性を示しています。この表は,属性の目的を説明し,等価な機能を実行する SET NFS_SERVER コマンドの修飾子を示しています。

表 1-2 SYSCONFIG による NFS サーバ属性の変更
属性 説明 SET NFS_SERVER 修飾子
noproxy_enabled noproxy_uid および noproxy_gid 属性の使用を可能にする。この属性が 1 に設定されていないと,サーバ・アクセスにはプロキシが必要となる。

この値が 0 ならば,プロキシ・データベースに含まれていないユーザが所有しているファイルは,UID=-2/GID=-2 によって所有されているものと見なされる。値が 1 ならば,プロキシ・データベースに含まれていないユーザが所有しているファイルは, noproxy_uid および noproxy_gid 属性の値によって所有されているものとして報告される。

等価なものなし。
noproxy_uid ユーザがプロキシによって変換できないときに使用される省略時の UID を指定する。 SET NFS_SERVER/UID_DEFAULT
noproxy_gid ユーザがプロキシによって変換できないときに使用される省略時の GID を指定する。 SET NFS_SERVER/GID_DEFAULT
tcp_threads サーバ内の同時 TCP スレッドの数を指定する。 等価なものなし。
udp_threads サーバ内の同時 UDP スレッドの数を指定する。この属性はゼロに設定してはならない。値 0 は TCP プロトコルを無効にする。 SET NFS_SERVER/THREADS
vnode_age 最後のファイル・アクセス要求以降の時間間隔の秒数を指定する。

サーバは,オープン・ファイル・キャッシュの管理を支援するために,個々のオープンされたファイルのアクティビティ・タイムスタンプを保持している。この変数の省略時の設定は 120,すなわち 2 分である。この値を小さい間隔に設定すると,パフォーマンスが低下する可能性があるので注意する。

SET NFS_SERVER/INACTIVITY_TIMER

1.2.3.3 SYSCONFIG によるパラメータ設定の表示

NFS パラメータ設定を表示するには,次の SYSCONFIG コマンドを使用します。


$ SYSCONFIG -q nfs 

vnode_ageのような VFS パラメータ設定を表示するには,次のコマンドを入力します。


$ SYSCONFIG -q vfs 

注意

OpenVMS に移植された UNIX ネットワーク・コマンドは,UNIX 上と同じステータス・コードを返しません。このため,OpenVMS システム上で入力された UNIX ネットワーク・コマンドの結果である UNIX ステータス・コードに依存する関数やプロシージャを作成してはなりません。

SYSCONFIG による NFS サーバ属性の変更についての詳細は,『 Compaq TCP/IP Services for OpenVMS Management 』を参照してください。

1.2.4 TCP/IP プロセス名

サービスの起動時に作成されるプロセス名が拡張され,参照番号が追加されています。このため,SHOW SYSTEM コマンドを使ってシステム・プロセスのリストを表示すると,日本語 TCP/IP Services プロセスの名前には,各プロセスの起動されたプロセス数を示す数値が含まれています。次に例を示します。


$ SHOW SYSTEM 
OpenVMS V7.2-1  on node OVMS  31-AUG-2000 17:33:19.75  Uptime  0  00:22:13 
Pid    Process Name    State  Pri      I/O       CPU       Page flts  Pages 
53200081 SWAPPER         HIB     16        0   0 00:00:03.12       0      0 
...
5FA0021C TCPIP$BIND_1    LEF      9   362953   0 00:01:02.84     504    381  N 
5FA0021D TCPIP$PORTM_1   LEF     10      878   0 00:00:00.30     300    284  N 
5FA0021E TCPIP$FTP_1     LEF     10     1317   0 00:00:00.31     700    270  N 
...
5FA00223 TCPIP$LPD_QUEUE HIB      4       49   0 00:00:00.10     263    130 
5FA00224 TCPIP$METRIC_1  LEF     10      144   0 00:00:18.23     285    208  N 
5FA00225 TCPIP$NFS_1     HIB     10      147   0 00:00:00.11     397    247  N 
5FA00226 TCPIP$MOUNTD_1  LEF     10     1113   0 00:00:00.80     531    381  N 
5FA00227 TCPIP$NTP_1     LEF      9   254946   0 00:00:41.21     355    270  N 
5FA00228 TCPIP$PCNFSD_1  LEF     10      162   0 00:00:00.16     343    208  N 
5FA00229 TCPIP$POP_1     HIB     10    41260   0 00:00:15.32     719    519  N 
...

プロセス名を参照するコマンド・プロシージャを使用している場合は,この変更に対応して修正してください。

1.2.5 FTP の変更

以降の各項では,日本語 TCP/IP Services の前回のリリース以降に FTP ユーティリティに対して行われた変更について説明します。

1.2.5.1 FTP パッシブ・モード

本リリースには,新しい FTP クライアント・コマンドの SET PASSIVE と SHOW PASSIVE,および UNIX コマンドの passiveが追加されています。パッシブ・モードは,ファイアウォールのせいで FTP サーバが発信データ・コネクションを確立できない場合に有効です。

SHOW STATUS と statusコマンドの出力には,新しいパッシブ・パラメータの値が追加されています。詳細については,FTP> HELP SET PASSIVE の出力を参照してください。

1.2.5.2 FTP メッセージの機能強化

FTP STATUS コマンドが返す情報が改善されています。STATUS コマンドの,ファイル名の中の大文字と小文字の処理を報告するメッセージが,より詳しい情報を返すようになっています。たとえば,次の例の「Case:」で始まる行を参照してください。


$ FTP 
Error level is WARNING 
FTP> STATUS 
 
Local client's status: 
No connected 
VMS Plus mode disabled 
Mode = stream, Type = ascii, Form = non_print, Structure = file 
Error level is WARNING 
Reply display is on 
Parsing is on 
Prompting is off 
Port command is on 
Case: MPUT will preserve typographical case in destination filenames, 
if possible 
 
FTP> 

1.2.6 POP サーバ・スレッドのコンフィギュレーション

1 つの POP サーバが処理できるスレッドの数の最大値がコンフィギュレーション可能になりました。これをコンフィギュレーションするには,システム論理名 TCPIP$POP_MAXIMUM_THREADS を定義し,その値として,POP サーバに処理させたいスレッドの数の最大値を指定します。

最小値は 1 で,POP サーバは個々の新しい POP コネクションが新しいサーバ・プロセスを作成するシングルスレッド・サーバになります。最大値は 15 です。この論理名が定義されていなかった場合の省略時の設定は 15 です。

この論理名はリソースの問題を解決するために利用することができます。

1.2.7 LPD の変更

LPD の動作に影響を与える変更には以下のものがあります。


前へ 次へ 目次