日本語Compaq TCP/IP Services for OpenVMS
リリース・ノート


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1.2.14 TELNET の変更

TELNET コマンド SHOW DEVICE からの表示が変更され, IPv6 および完全ホスト名のアドレス文字列のサイズが反映されるようになりました。 SHOW DEVICE コマンドからの省略時の表示では,現在,各デバイスについて 2行の情報が含まれます。たとえば,次のとおりです。


TELNET>SHOW DEVICE 
TNA21:   BG6364:  Temporary Local:  hosta:23 
                            Remote: mynode.abc.com:1024 
TNA83:   BG5014:  Temporary Local:  hosta:23 
                            Remote: myalpha.abc.com:1079 
TNA88:            Temporary Local:  (none) 
                            Remote: (none) 

1.2.15 プログラミング例の変更

日本語 TCP/IP Services で提供されているサンプル・プログラムが強化されアップデートされています。プログラミング例のファイルは, TCPIP$EXAMPLES 論理名でポイントされるディレクトリにインストールされます。

日本語 TCP/IP Services で提供されるプログラミング例の使用についての情報は,『 Compaq TCP/IP Services for OpenVMS Sockets API and System Services Programming 』を参照してください。

1.2.16 SHOW DEVICE コマンドの変更

本リリースでは,TCP/IP 管理コマンド SHOW DEVICE の動作が変更されています。

これまでのリリースの日本語 TCP/IP Services では,ソフトウェアは常にローカル・ホスト・データベースを使用してインターネット・アドレスを解決しようとします。ホスト・データベース外でアドレスを解決するには, SHOW DEVICE コマンドに /NOLOCAL 修飾子を指定します。

現在のリリースでは,SHOW DEVICE コマンドは,ホスト・データベースを使用してアドレスを解決しようとしません。 /NOLOCAL 修飾子は,ローカルおよびリモート・ホスト名の両方の解決を制御するために使用できます。

1.2.17 サーバの非アクティビティ・タイマは強制されない

日本語 TCP/IP Services では,INETACP で作成されるプロセスの非アクティビティ・タイマをもう強制しません。つまり,サーバのプロセスが一度作成されると,サーバはサービスがシャットダウンされるまで持続します。 OpenVMS オペレーティング・システムの改善により,サーバ持続の費用対コストの割合が変更されて,それらが優先されるようになります。サーバを持続すると,低コストのシステム・リソースで,接続要求に対して,より予想が可能で迅速な応答ができるようになります。

TCP/IP 管理コマンド SHOW SERVICE /FULL では,Inactivity フィールドのエントリが表示されます。ただし,それらの値は何の効果もありません。 FTP サービスは,変更された動作を示すよい例です。

システム管理者の中には,FTP サービスの非アクティビティ・フィールドに指定された値の後に終了するように,FTP サーバ (TCPIP$FTP_SERVER) のようなプロセスを調整している管理者もいます。 FTP サーバ・プロセスは,FTP サービスが有効になる (通常はシステム・ブート時) と,作成されます。そのプロセスは,FTP サービスが無効になる (通常はシステム・リブート時) まで持続します。他のサービスは,同様の方法でサーバ・プロセスの作成および維持を処理します。

FTP サーバ・プロセス自身は,論理名 TCPIP$FTPD_IDLETIMEOUT をチェックし,その値または省略時の設定を使用して,実際の FTP 送信を実行するプロセス (TCPIP$FTP_CHILD プロセス) を満了させます。

1.3 V5.1 のドキュメント

TCP/IP Services for OpenVMS のドキュメントは,V5.1 をサポートするために改訂され,拡張されています。ドキュメント・セットには以下のマニュアルが追加されています。

このバージョンの TCP/IP Services を反映させて,以下に示すものを含むいくつかの既存のマニュアルが改訂されました。


第 2 章
インストレーション,コンフィギュレーション,およびスタートアップに関する注意事項

本章は,『日本語 Compaq TCP/IP Services for OpenVMS インストレーション/コンフィギュレーション・ガイド』を手元に置いて,読み進めてください。

2.1 IPv6 のコンフィギュレーション

以降の各項は,IPv6 が有効にされているシステムに固有の手順について説明します。

2.1.1 IPv6 EAK のユーザのための情報

いずれかのバージョンの TCP/IP Services V5.0 IPv6 EAK (アーリー・アダプターズ・キット) を実行している場合は,EAK を削除したのち,日本語 TCP/IP Services V5.1 ソフトウェアをインストールしてください。その後,TCPIP$IP6_SETUP.COM コマンド・プロシージャを実行します。詳細については,『 Compaq TCP/IP Services for OpenVMS Guide to IPv6 』を参照してください。

sockaddr構造体の定義には, TCP/IP Services V5.0 EAK を使ってコンパイルされた IPv6 アプリケーションのバイナリ互換性を損なう変更が加えられています。日本語 TCP/IP Services V5.1 をインストールした後に,アプリケーションを再コンパイルし,再リンクしなくてはなりません。

2.1.2 TCPIP$CONFIG.COM の警告メッセージ

TCPIP$IP6_SETUP.COM コマンド・プロシージャを実行してIPv6 を有効にしたのちに TCPIP$CONFIG.COM コマンド・プロシージャを実行した場合, Core environmentオプションを選択すると, TCPIP$CONFIG.COM は次のような警告メッセージを表示します。


                           WARNING 
 
This node has been configured for IPv6.  If you make any additional 
changes to the configuration of the interfaces, you must run 
TCPIP$IP6_SETUP again and update your host name information in 
BIND/DNS for the changes to take effect. 
 
(このノードは,IPv6 用にコンフィギュレーションされています。 
インタフェースのコンフィギュレーションに変更を加える場合には, 
TCPIP$IP6_SETUP を再度実行して,BIND/DNS 内のホスト名情報を 
更新し,変更を有効にする必要があります。) 

2.2 本製品の前のバージョンの削除

本節では,TCP/IP Services V5.1ソフトウェアをインストールする 前に確認しておくべき重要な情報を提供します。

2.2.1 アップグレード時のメール・メッセージの保存

新しいバージョンの SMTP には,これまでのバージョンとは異なる制御ファイルが含まれています。このバージョンの TCP/IP Services にアップグレードする前に,次のように ANALYZE ユーティリティを使って,システム上のデッド・レターを保存しておきます。


$ UCX ANALYZE MAIL/REPAIR 

2.2.2 OpenVMS VAX システムのアップグレード

コマンド・プロシージャSYS$UPDATE:UCX$CLEANUP.COMは,一般に, TCP/IP Services製品の前のバージョンをクリーンアップするために使用されます。しかし,TCP/IP Services V5.1がインストールされているときにこのプロシージャを実行すると,製品の動作に必要なファイルが削除されます。

警告

OpenVMS VAXシステム上にTCP/IP Services V5.1製品をインストールした後にUCX$CLEANUPを実行してはなりません。このコマンド・プロシージャを実行すると,TCP/IP Services V5.1のインストレーションが破壊されます。

TCP/IP Services V5.1キットをインストールした後に,このコマンド・プロシージャを削除しておくことを強く推奨します。

2.3 システム・ページ・テーブル・エントリ・パラメータ (VAX システムのみ)

VAX システム上では,AUTOGEN パラメータ SPTREQ が 6000 以上の値に設定されていることを確認します。SPTREQ が最小値よりも大きい値に設定されているかどうかをチェックするには,次のように SYSMAN を実行します。


$ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN 
 
SYSMAN> parameter show sptreq 
%SYSMAN, a USE ACTIVE has been defaulted on node VMSVAX 
 
Node VMSVAX:   Parameters in use: ACTIVE 
Parameter Name    Current    Default    Minimum    Maximum Unit  Dynamic 
--------------    -------    -------    -------    ------- ----  ------- 
SPTREQ               8000       3900       3000         -1 Pages 
 
SYSMAN> 

SPTREQ の最小値を変更するには,『 OpenVMS System Management Utilities Reference Manual: A-L 』の記述に従って,AUTOGEN コマンド・プロシージャを実行します。 SPTREQ の最小値を変更するには,次のように指定します。


MIN_SPTREQ = 6000 

2.4 インストレーション後に残る一部のUCXファイル

TCP/IP Services V5.1製品をインストールし,起動した後も,UCX$プレフィックスを持つファイルがいくつか残っています(本製品が提供する他のほとんどのファイルはTCPIP$プレフィックスを使用します)。これらのファイル ( 表 2-1 を参照)が存在することは正常であり,予想どおりです。これらのファイルは,TCP/IP Services の以前のバージョンとの下位互換性を維持するために必要です。

表 2-1 インストレーション後も残るUCXファイル
ファイル 説明
SYS$LIBRARY:UCX$IPC_SHR.EXE DEC C Run-Time Library (RTL) がTCP/IPソケットを使用できるようにします。
SYS$LIBRARY:UCX$INETDEF.ADA INETDEF ファイルは, TCP/IP Services V4.2 で作成されたアプリケーションとの互換性を保つために提供されています。これらのファイルは,V4.2 で提供されていたファイルと同じものです。
SYS$LIBRARY:UCX$INETDEF.BAS  
SYS$LIBRARY:UCX$INETDEF.FOR  
SYS$LIBRARY:UCX$INETDEF.H  
SYS$LIBRARY:UCX$INETDEF.MAR  
SYS$LIBRARY:UCX$INETDEF.PAS  
SYS$LIBRARY:UCX$INETDEF.PLI  
SYS$LIBRARY:UCX$INETDEF.R32  
SYS$COMMON:[SYSEXE]UCX$UCP.EXE 日本語 TCP/IP Services の存在を調べるサポート対象外のテストを使用している一部のレイヤード・プロダクトが動作を続けられるようにする,空の(ゼロ・ブロックの)マーカ・ファイル。
SYS$COMMON:[SYSEXE]UCX$SERVICE.DAT TCPIP$STARTUP.COMの実行時にこのファイルが存在していなければ,空の(ゼロ・ブロックの) マーカ・ファイルが作成される可能性があります。論理名TCPIP$SERVICEで指定されるファイル(省略時の設定では, SYS$COMMON:[SYSEXE]TCPIP$SERVICE.DAT)に,実際のサービス情報が含まれています。
SYS$STARTUP:UCX$STARTUP.COM
SYS$STARTUP:UCX$CONFIG.COM
これらのファイルは,SYS$OUTPUTに情報メッセージを出力した後に,対応するTCPIPファイルを実行します。これにより,日本語 TCP/IP Services 製品は,システム管理者が新しいTCPIPプレフィックスを使用するようにコマンド・ファイルを変更するまで,以前と同じように動作を続けることができます。
SYS$SYSTEM:UCX$LPD_SMB.EXE LPDプリント・キューのための下位互換性を維持します。
SYS$SHARE:UCX$ESNMP_SHR.EXE
SYS$SHARE:UCX$ACCESS_SHR.EXE
SYS$SHARE:UCX$RPCXDR_SHR.EXE
本製品の前のバージョン用に作成されたユーザ作成プログラムに必要な共用可能イメージ。
SYS$COMMON:[SYSEXE]UCX$TELNETSYM.EXE
  TELNET のプリント・シンビオント実行可能ファイル。このファイルは,TCPIP$TELNETSYM.EXE と同じものです。

2.5 OpenVMSミニマム・ブート後の本製品の起動

SYSGENパラメータSTARTUP_P1が省略時の空白文字列以外の値に定義されている状態でOpenVMSをブートすると,OpenVMSのいくつかの部分が起動されないことがあります。

TCP/IP Servicesのスタートアック・プロシージャ
SYS$STARTUP:TCPIP$STARTUP.COM には, OpenVMSが代替方式でブートされているかどうかを検出するチェック機能が追加されています。

スタートアップ・プロシージャSYS$STARTUP:TCPIP$STARTUP.COMがMIN,INST またはUPGRADEブートを検出すると,プロシージャはメッセージを出力し, $SEVERITYをERRORに設定して終了します。たとえば, MINブートが検出されると,次のメッセージが表示されます。


%TCPIP-E-STARTFAIL, failed to start TCP/IP Services 
-TCPIP-E-UNSUPPORTED, option boot not supported 

option は,開始したインストレーションのタイプ (MIN,INST,または UPGRADE) を示します。

このチェックにより,日本語TCP/IP Services が正常に動作するために必要な条件が満たされていることを確認することができます。

たとえば,OpenVMSと日本語TCP/IP ServicesをCD-ROMまたはサーバからインストールし,OpenVMS を同じメディアからブートした場合,ブート・タイプはINSTになります。この場合,TCPIP$CONFIGは, CD-ROMまたはサーバ・ディスク上のSYS$SYSTEM: 領域にコンフィギュレーション・ファイルを書き込むことができないため, TCP/IPスタートアップ・プロシージャは失敗します。

2.6 LPDのスタートアップとシャットダウンの動作の保存

LPDのスタートアップおよびシャットダウン・コマンド・プロシージャは,個々のサイトで編集されていることがあります。したがって,前のバージョンからTCP/IP Services V5.1にアップグレードするときには,これらの編集結果を手動で保存しなければなりません。編集結果を保存するための手順は,OpenVMS AlphaシステムとOpenVMS VAXシステムで異なります。サイト固有のスタートアップとシャットダウン・コマンド・プロシージャ・ファイルを保存するには,以下の指示に従います。

2.6.1 OpenVMS Alphaユーザ

TCP/IP Services V5.1を前バージョンに重ねてインストールするときに, LPDのスタートアップとシャットダウン・コマンド・プロシージャの編集結果を保存するには,画面に表示される指示に従います。

次に画面表示の例を示します。


 
The following product will be installed to destination: 
    DEC AXPVMS TCPIPJA V5.1-15                DISK$ALPHASYS:[VMS$COMMON.] 
 
UCX product already installed. 
 
*********************************************************************** 
Another version of TCP/IP is installed. You must execute the following 
three commands before continuing with this installation: 
$ BACKUP SYS$COMMON:[SYSMGR]UCX$LPD_STARTUP.COM; - 
     SYS$COMMON:[SYSMGR]TCPIP$LPD_STARTUP.COM; 
$ BACKUP SYS$COMMON:[SYSMGR]UCX$LPD_SHUTDOWN.COM; - 
     SYS$COMMON:[SYSMGR]TCPIP$LPD_SHUTDOWN.COM; 
$ PRODUCT REMOVE UCX 
*********************************************************************** 
 

これらの指示に従い,TCP/IP V5.1のインストレーションを完了すると,LPD のスタートアップおよびシャットダウン・ファイルのサイト固有の編集結果は以下のファイルに格納されています。

SYS$COMMON:[SYSMGR]TCPIP$LPD_STARTUP.COM_OLD
SYS$COMMON:[SYSMGR]TCPIP$LPD_SHUTDOWN.COM_OLD

その後,サイト固有の編集結果を以下のファイルにマージします。

SYS$COMMON:[SYSMGR]TCPIP$LPD_SYSTARTUP.COM
SYS$COMMON:[SYSMGR]TCPIP$LPD_SYSHUTDOWN.COM

2.6.2 OpenVMS VAXユーザ

サイト固有のスタートアップおよびシャットダウン情報を保存するには, TCP/IP Services V5.1をインストールした後に,以下のファイルからサイト固有の編集結果をコピーします。

SYS$COMMON:[SYSMGR]UCX$LPD_STARTUP.COM
SYS$COMMON:[SYSMGR]UCX$LPD_SHUTDOWN.COM

コピー先のファイルは以下のとおりです。

SYS$COMMON:[SYSMGR]TCPIP$LPD_STARTUP.COM
SYS$COMMON:[SYSMGR]TCPIP$LPD_SHUTDOWN.COM

2.6.3 SMTP と LPD のシャットダウンの問題のトラブルシューティング

SMTP または LPD のシャットダウンで,キュー・マネージャが実行されていないことを示すエラーが発生した場合には,サイト固有のシャットダウン・コマンド・プロシージャ (VMS_SYSHUTDOWN.COM) をチェックしてください。このプロシージャがキュー・マネージャを停止するコマンド (STOP/QUEUE/MANAGER) を含んでいる場合には,このコマンドが TCPIP$SHUTDOWN.COM プロシージャの呼び出しの後に置かれていることを確認してください。

注意

キュー・マネージャを明示的に停止する必要はありません。キュー・マネージャは自動的に停止され,システムの再起動の際に自動的に起動されます。

2.6.4 編集結果のマージ(すべてのユーザ)

編集結果をマージするときには,キューUCX$LPD_QUEUEの開始と停止を行うコマンドは追加しないようにしてください。このキューはTCPIP$LPD_QUEUE に置き換えられており,TCPIP$LPD_QUEUE用の全コマンドはすでにLPDのスタートアップおよびシャットダウン・コマンド・プロシージャ・ファイルに含まれています。

編集結果をマージした後に,追加した LPDクライアント・キュー・スタートアップ・コマンドの /PROCESSOR修飾子の値を,UCX$LPD_SMBではなく TCPIP$LPD_SMBをポイントするように設定します。


    LSE Command> SUBSTITUTE/ALL "ucx$lpd_smb" "tcpip$lpd_smb" 


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