日本語Compaq TCP/IP Services for OpenVMS
リリース・ノート


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2.7 SNMP のインストレーションおよびセットアップ

以降の各項では,SNMP のインストールおよびセットアップのための手順について説明します。

2.7.1 SNMPインストレーションの検証

SNMP用のインストレーション検証プロシージャ(IVP)が存在します。コンフィギュレーションを検証するには,以下の操作を行います。

  1. プロセスがSYSTEM特権を持っていることを確認します。
  2. 次のコマンド・プロシージャを実行します。


    $ @SYS$MANAGER:TCPIP$CONFIG 
    

  3. オプション7 (Run tests)を入力し, Compaq TCP/IP Services for OpenVMS のTESTメニューからオプション2を入力します。
  4. コンフィギュレーション・プロシージャの終了後にSNMPIVPを実行するには,次のコマンドを使用します。


    $ RUN SYS$COMMON:[SYSTEST.TCPIP]TCPIP$SNMPIVP.EXE 
    

2.7.2 SNMPのスタートアップとシャットダウンの動作の保存

TCP/IP Services V5.1 にアップグレードした後に,SNMPのスタートアップが正しく行われるように,以下のいずれかの操作を実行する必要があります。

ファイルUCX$SNMP_STARTUP.COMとUCX$SNMP_SHUTDOWN.COMの別バージョンを (拡張サブエージェントの起動と停止のために)カスタマイズしていた場合には,カスタマイズしたファイルを別のディレクトリに保存しておいてから, TCP/IP Services V5.1へのアップグレードを行ってください。この保存操作を行わないと,カスタマイズした変更点は失われます。次の位置のファイルのバージョンをチェックしてください。

TCP/IP Servicesをインストールした後に,保存しておいた変更点を,インストレーション後に作成される新しいファイルに手動でマージします。詳細については,『 Compaq TCP/IP Services for OpenVMS Management 』を参照してください。

2.8 TCP/IP Servicesメッセージ・データベースの設定

TCP/IP Servicesメッセージ・データベースは, TCP/IP Servicesをインストールしたときに, SYS$COMMON:[SYSHLP]TCPIP.MSGHLP$DATAにインストールされます。

TCP/IP メッセージに関する情報を取得するには,次のように,このデータベースをOpenVMSメッセージ・データベースに取り込みます。

  1. 論理名MSGHLP$LIBRARYを,ディレクトリ内のすべてのデータベースをポイントするように定義します。


    $ DEFINE/SYSTEM MSGHLP$LIBRARY SYS$COMMON:[SYSHLP]*.MSGHLP$DATA 
    

  2. TCP/IPメッセージ・データベースが認識されているかどうかを確認する DCL コマンド HELP/MESSAGEを入力します。次に例を示します。


    $ HELP/MESSAGE FTP 
     
     SESDCN,  FTPD: Session disconnection from 'host' at 'time' 
     
      Facility:     TCPIP, FTP Server 
     
      Explanation:  This message appears when a session is disconnected, stating 
                    the name of the client initiating the disconnection and the 
                    time of the disconnection. 
     
      User Action:  None. 
     
    Press RETURN to continue ... 
    


    この例では,Help Messageは,メッセージIDの一部としてFTPを含んでいるすべてのメッセージを表示します。

2.9 スタートアップ時の PROXYERROR メッセージ

日本語 TCP/IP Services を起動したときにプロキシ・データベースが空の場合,次のエラー・メッセージが表示されます。


%TCPIP-E-PROXYERROR, error processing proxy request 
-TCPIP-W-NORECORD, information not found 
-RMS-E-RNF, record not found 
%TCPIP-E-PROXYERROR, error processing proxy request 
-TCPIP-W-NORECORD, information not found 
-RMS-E-RNF, record not found 

これらのメッセージは,TCP/IP 管理コマンド LOAD PROXY を入力した場合にも表示されますが,無視してかまいません。


第 3 章
問題点と制限事項

本章では,本バージョンの日本語 TCP/IP Services の問題点と制限事項について説明示します。

3.1 NFS の問題点と制限事項

以降の各項では,NFS の問題点と制限事項について説明します。

3.1.1 NFS ロック要求の失敗

NFS サーバと NFS クライアントが異なるドメインにあるとき,要求で修飾されていないホスト名が使用されると,ロック・サーバ (LOCKD) は要求の受け入れに失敗し,ファイルはアンロックのままになります。

サーバが,完全に修飾されたホスト名 (たとえば, johnws.abc com) ではなく,修飾されていないホスト名 (たとえば, johnws) を使用してホストを検索しようとしたとき,ホストがサーバと同じドメインにない場合,その要求は失敗します。

このタイプの問題を解決するため,次のいずれかの処置を行うことができます。

3.1.2 NFS クライアントの問題点と制限事項

DST (Daylight Savings Time) のためにシステム時間が変更されたとき,正しいタイムスタンプにするには,すべての DNFS デバイスをディスマウントします (TCP/IP 管理コマンド SHOW MOUNT でマウント済みのデバイスがゼロと表示されるはずです)。その後,デバイスを再マウントします。

3.2 DHCP クライアントの問題点と制限事項

TCP/IP 管理コマンドの SET [NO]INTERFACE コマンドは,DHCP クライアントに対し, DHCP によってコンフィギュレーションされた IP アドレスの重ね書きを行ったり,インタフェースを削除する際に IP アドレスを解放するように命じません。このため,次の問題が生じます。

このような問題を回避するには,DHCP 制御下のインタフェースの IP アドレスを変更するようなコマンドを発行する際に,まず,次の DCL コマンドを入力することをお奨めします。


$ DHCPCONF ifname RELEASE 

DHCPCONF ユーティリティの使用についての詳細は,『 Compaq TCP/IP Services for OpenVMS Management 』を参照してください。

3.3 IPv6 の問題点と制限事項

以降の各項では,IPv6 対応の環境ですでに知られている問題について説明します。

3.3.1 IPv6 プロキシの検索

通信プロキシは IPv6 ではサポートされていません。日本語 TCP/IP Services に含まれているクライアント・アプリケーションは,プロキシ要求を IPv4 アドレスに解決するようにプログラミングされています。ただし,IPv6 アドレスを要求するクライアントは実行に失敗します。

3.3.2 IPv6 では BIND リゾルバが必要

第 1.1.2 項 で説明しているように IPv6 を使用している場合には, BIND リゾルバを有効にする必要があります。 BIND リゾルバをコンフィギュレーションしていない場合は, TCPIP$CONFIG.COM プロシージャを使って有効にすることができます。「Core」メニューから「BIND Resolver」を選択してください。 BIND サーバにアクセスできない場合は,BIND サーバとしてノード・アドレス 127.0.0.0 を指定します。 BIND リゾルバを有効にするためには BIND サーバを指定する必要があります。

3.4 RLOGIN が仮想ターミナルを作成しない

プロキシ・ログインでは,RLOGIN サービスは仮想ターミナルを作成しません。詳細については,『 Compaq TCP/IP Services for OpenVMS Management 』を参照してください。

3.5 TELNET デバイスがシャットダウン後も残る

シャットダウンの際に,次のメッセージが表示されることがあります。


      WARNING - The following TN devices are still active: 
    
      TNA8: 

TN デバイスが次のスタートアップ時まで残り,同じメッセージが表示されることがあります。これらのメッセージは無視してかまいません。これらのメッセージが表示されるのは,TN デバイスが,シャットダウン・プロシージャの過程で非アクティブ化されるタイマを使って削除されるためです。

3.6 OpenVMS クラスタの中の TELNETSYM の自動起動キュー

自動起動可能な TELNETSYM キューは,クラスタ内のメンバ・ノードがダウンした場合に自動的に再起動することができます。キュー・マネージャは,キューが定義されているすべてのノード上で,TELNETSYM キューの起動を試みます。いずれかのノードが日本語 TCP/IP Services を実行していない場合,キュー・マネージャは,そのノード上で TELNETSYM キューを起動しようと試みて失敗したことを報告します。

3.7 ファイル・ロッキングには Compaq C RTL ECO3 またはそれ以上が必要

ファイル・ロッキング ( 第 1.1.13.5 項 で説明) を使用するためには,Compaq C RTL の ECO3 またはそれ以上のバージョンが必要です。それより前のバージョンでは,TCPIP$STATD サービスが起動しません。これは VAX システムと OpenVMS Alpha V7.1 に固有の問題です。

3.8 PRODUCT REMOVE TCPIP エラー・メッセージ

次のコマンドを使用すると


$ PRODUCT REMOVE TCPIP 

次のようなエラーが発生することがあります。


%PCSI-W-OPTREF, product DEC AXPVMS TCPIP T5.1-9R is referenced by DEC AXPVMS OPENVMS V7.2-1 

これは,TCP/IP 製品がオペレーティング・システムと同時にインストールされたシステム上でのみ起こります。このエラーは無視してもかまわず,TCPIP の削除を続行することができます。これは UCX 製品にも当てはまります。

次にサンプル・スクリプトを示します。


$ PRODUCT REMOVE TCPIP 
 
The following product has been selected: 
    DEC AXPVMS TCPIP T5.1-9R               Layered Product 
 
Do you want to continue? [YES] YES 
 
%PCSI-W-OPTREF, product DEC AXPVMS TCPIP T5.1-9R is referenced by DEC AXPVMS 
OPE 
NVMS V7.2-1 
-PCSI-W-OPTRF1, this software dependency is expressed within a configuration 
-PCSI-W-OPTRF2,   option that is currently selected for the referencing 
product 
-PCSI-W-OPTRF3, if you want to reconfigure the referencing product or review 
-PCSI-W-OPTRF4,   its configuration requirements, answer NO to the following 
-PCSI-W-OPTRF5,   question to terminate this operation; if you are sure you 
want 
-PCSI-W-OPTRF6,   to remove the referenced product, then answer YES to 
proceed 
Do you want to continue? [YES] YES 
 
The following product will be removed from destination: 
    DEC AXPVMS TCPIP T5.1-9R               DISK$ALPHASYS:[VMS$COMMON.] 
 
Portion done: 
0%...10%...20%...30%...40%...50%...60%...70%...80%...90%...100% 
 
The following product has been removed: 
    DEC AXPVMS TCPIP T5.1-9R               Layered Product 
%PCSIUI-I-COMPWERR, operation completed after explicit continuation from 
errors 

3.9 DUPLNAM スタートアップ・メッセージ

日本語 TCP/IP Services を起動すると,次の DUPLNAM メッセージが表示されることがあります。


%TCPIP-S-STARTDONE, TCPIP$TELNET startup completed 
%TCPIP-E-DYNPROXERR, cannot add record to proxy database  (TCPIP$PROXY) in dynamic memory 
-SYSTEM-F-DUPLNAM, duplicate name 
%TCPIP-E-DYNPROXERR, cannot add record to proxy database  (TCPIP$PROXY) in dynamic memory 
-SYSTEM-F-DUPLNAM, duplicate name 
%TCPIP-I-LOADSERV, loading TCPIP server proxy information 
%TCPIP-I-SERVLOADED, auxiliary server loaded with 0 proxy records 
-TCPIP-I-SERVSKIP, skipped 0 communication proxy records 
-TCPIP-I-SERVTOTAL, total of 8 proxy records read 
%TCPIP-S-STARTDONE, TCP/IP Services startup completed at  7-JUN-2000 16:03:51.48 

これらのメッセージは無視してもかまいません。これらは,現在のバージョンの日本語 TCP/IP Services で行われた変更の結果によるものです。

これまでのバージョンの日本語 TCP/IP Services では,プロキシ・データベースは,特定のホストに関するすべての名前がホスト・データベースに入力されていることを必要としました。たとえば,ホスト名 johnwsおよび johnws.abc.comは,NFS 要求がこれらのホスト名のいずれかを使用して行われた場合,ホスト・データベースに入力されている必要があります。

本リリースの日本語 TCP/IP Services では,ロードされるプロキシ情報に,すべてのサーバのアドレスと別名が自動的に含まれます。このため,ロードされるホストの最初のエントリは成功し,以降の一致するエントリでホストの別名だけが異なるものは, DUPLNAM メッセージが生成されます。

2 つ (またはそれ以上) のホスト名の下にあるホストのプロキシ・レコードは,すべての名前 (重複を含む) が実際にロードされているため,以前と同様に成功します。

現在,各ホストに対して 1 つのレコードしかないため,いずれかのホスト名の下のプロキシ・エントリを削除すると,そのホストのすべてのアドレスと別名が削除されます。その後,そのホストのいずれか他の名前で削除しようとしても,エラーが返されます。

3.10 セキュリティ・ドライバ

セキュリティ・ドライバはサポートされなくなりました。

3.11 コマンドの制限事項

管理制御プログラム・コマンドには以下の制限が適用されます。

サポートされていない TCP/IP 管理コマンドの情報については, 第 1.2.1 項 を参照してください。


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