日本語トランスレータ
リファレンス・マニュアル


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  1. CMGRユーティリティが設定されているシステム上では,CMGRデータベースに登録されているユーザ定義文字を使用します。

  2. CMGRユーティリティが設定されていないシステム上では,その時の漢字フォントに対応した,以下のフォント・ファイルを使用します。
    JSY$SYSTEM:TRN$KANJI_FONT_MINCHO40.DAT
    明朝体40×40ドット
    JSY$SYSTEM:TRN$KANJI_FONT_MINCHO32.DAT
    明朝体32×32ドット
    JSY$SYSTEM:TRN$KANJI_FONT_GOTHIC40.DAT
    ゴシック体40×40ドット

注意

  1. 日本語VMS V5.4で堤供されているCMGR V1.0は,テキスト・トランスレータからは利用できません。

  2. JSY$SYSTEMは,日本語VMSのシステム・ディレクトリの一つを指すシステム論理名です。もしも旧システムの論理名SYS$KANJIを使用している場合には,JSY$SYSTEMが SYS$KANJIも参照するように定義してください。

テキスト・トランスレータが遭遇したユーザ定義文字の文字コードに対応する字形が登録されていれば,その文字が印字されます。該当する文字が登録されていないか,該当するフォント・ファイルが存在しない場合,逆クエスチョンマークが印字されます。

ユーザ定義文字の作成は,CMGRユーティリティか,またはFEDITユーティリティを使用します。CMGRユーティリティの使用方法に関しては,『フォント管理ユーティリティ利用者の手引き』第5章および付録Aを参照してください。また,FEDITユーティリティの使用方法に関しては,『日本語VMS 漢字フォント・ユーティリティ利用者の手引き』第9章または,『フォント管理ユーティリティ利用者の手引き』付録Cを参照してください。

1. CMGRユーティリティによるユーザ定義文字の使用方法

CMGRユーティリティでは,システム・フォント・データベースとして CMGR_DEFAULTとGOTHICの2つが提供されます。テキスト・トランスレータは,明朝体としてCMGR_DEFAULTデータベース(40×40ドット,32×32ドット)を,またゴシック体としてGOTHICデータベース(40×40ドット)を使用します。これ以外のデータベース名およびサイズで登録されているユーザ定義文字を使用することはできません。

2. FEDITユーティリティによるユーザ定義文字の使用方法

FEDITユーティリティで作成したフォント・ファイルはシーケンシャル・ファイルですが,テキスト・トランスレータで利用するためには,CONVERTユーティリティで漢字コードをキーとしたインデクス・ファイルに変換する必要があります。日本語DECprintプリンティング・サービスでは,この変換のための FDLファイルを提供します。ファイル名は
SYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.CPS]TRN$KANJI_CONVERT.FDL
です。以下に,ユーザ定義文字を使用できるようにするまでの流れを,例をとって説明します。

  1. FEDITユーティリティを用いて,ユーザ定義可能領域の文字コードの中から適当な文字コードを割り当ててユーザ定義文字を作成します。ここでは,40×40ドットの明朝体文字を作り,出力ファイルをKANJI_FILE.TMPとします。

  2. CONVERTユーティリティで,KANJI_FILE.TMPをインデクス・ファイルに変換し, JSY$SYSTEM:TRN$KANJI_FONT_MINCHO40.DATを作成します。


    $ CONVERT/FDL=SYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.CPS]TRN$KANJI_CONVERT - 
      KANJI_FILE.TMP JSY$SYSTEM:TRN$KANJI_FONT_MINCHO40.DAT 
    


    これだけで,定義した文字が使えるようになります。

  3. さらに文字を追加したいときは,KANJI_FILE.TMPをFEDITユーティリティの入力ファイルとして , を繰り返してください。

つぎに,FEDITユーティリティによる外字機能から,CMGRユーティリティによる外字機能への移行方法について説明します。

  1. JSY$SYSTEMディレクトリにある以下のフォント・ファイルを,インデクス・ファイルからシーケンシャル・ファイルに変換します。
    JSY$SYSTEM:TRN$KANJI_FONT_MINCHO40.DAT
    明朝体40×40ドット
    JSY$SYSTEM:TRN$KANJI_FONT_MINCHO32.DAT
    明朝体32×32ドット
    JSY$SYSTEM:TRN$KANJI_FONT_GOTHIC40.DAT
    ゴシック体40×40ドット
    日本語DECprintプリンティング・サービスでは,この変換のためのFDLファイルを堤供します。ファイル名は,
    SYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.CPS]TRN$CMGR_CONVERT.FDL
    です。この例では,明朝体40×40ドットのフォント・ファイルをシーケンシャル・ファイルに変換し, KANJI_FILE.TMPに出力します。


    $ CONVERT/FDL=SYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.CPS]TRN$KANJI_CONVERT.FDL - 
      JSY$SYSTEM:TRN$KANJI_FONT_MINCHO40.DAT KANJI_FILE.TMP 
    

    注意

    FEDITユーティリティの出力であるシーケンシャル・ファイルを保存してある場合は,この操作は必要ありません。

  2. CMGR ユーティリティの CONVERT FONT_FILE コマンドを使用して,フォント・ファイルをプリロード・ファイルに変換します。この例では,KANJI_FILE.TMPをフォント・ファイルとし,プリロード・ファイルとしてKANJI_FILE.PREを作成します。


    $ CHARACTER_MANAGER CONVERT FONT_FILE KANJI_FILE.TMP KANJI_FILE.PRE 
    

  3. CMGRデータベースとして,CMGR_DEFAULTを指定します。


    $ CHARACTER_MANAGER SET DATABASE CMGR_DEFAULT 
    

  4. CMGRデータベースのアップデートを行います。


    $ CHARACTER_MANAGER UPDATE/SIZE=40 KANJI_FILE.PRE 
    

2.2.1.8.2 ULTRIX


日本語ULTRIX/UWSでは,テキスト・トランスレータはDEC拡張漢字領域の文字コードに遭遇すると,そのときの漢字フォントに対応して,以下のフォント・ファイルを探します。

/usr/jsy/etc/trn_kanji_font_mincho40.{dir,pag}
明朝体40×40ドット

/usr/jsy/etc/trn_kanji_font_mincho32.{dir,pag}
明朝体32×32ドット

/usr/jsy/etc/trn_kanji_font_gothic40.{dir,pag}
ゴシック体40×40ドット

このファイルの中に,該当する文字コードの字形が登録されていればその文字を印字します。該当する文字が登録されていないか,該当するフォント・ファイルが存在しない場合,逆クエスチョンマークが印字されます。

ユーザ定義文字の作成は日本語ULTRIXでサポートされているfeditユーティリティを用います。feditユーティリティの使用方法に関しては,『日本語ULTRIX リファレンス・マニュアル』fedit(1)を参照してください。feditユーティリティで作成したフォント・ファイルはシーケンシャル・ファイルですが,テキスト・トランスレータで利用するためには,lpsfgen(8)ユーティリティで漢字コードをキーとしてハッシュをかける必要があります。以下に,ユーザ定義文字を使用できるようにするまでの流れを,例をとって説明します。

  1. fedit(1)ユーティリティを用いて,ユーザ定義可能領域の文字コードの中から適当な文字コードを割り当ててユーザ定義文字を作成します。ここでは40×40ドットの明朝体文字を作り,出力ファイルをkanji_file.tmpとします。

  2. lpsfgen(8)ユーティリティで,kanji_file.tmpから /usr/jsy/etc/trn_kanji_font_mincho40.{dir,pag}を作成します。


    # /usr/jsy/etc/lpsfgen kanji_file.tmp mincho40 
    

  3. これだけで,定義した文字が使えるようになります。文字をさらに追加したいときは,kanji_file.tmpをfedit(1)ユーティリティの入力ファイルとして , を繰り返してください。

2.2.1.9 sixelグラフィックス


既存の日本語プリンタとの互換性のために,sixelモードのマクロパラメータ (Ps1)として,グリッド・サイズ 0.0056, 0.0167, 0.0111が追加されています。


DCS  Ps1 ; Ps2 ; Ps3 q picture_definition ST 


9/0     3/11        7/1                  9/12 

表 2-3 sixelのマクロパラメータ
Ps1 水平グリッド・サイズ 解像度
縦:横
垂直グリッド・サイズ
0 0.0067インチ 200:100 0.0133インチ
1 0.0067インチ 200:100 0.0133インチ
2 0.003 インチ 450:100 0.0133インチ
3 0.0045インチ 300:100 0.0133インチ
4 0.0053インチ 250:100 0.0133インチ
5 0.0075インチ 183:100 0.0133インチ
6 0.009 インチ 150:100 0.0133インチ
7 0.0105インチ 130:100 0.0133インチ
8 0.0120インチ 112:100 0.0133インチ
9 0.0153インチ 100:100 0.0133インチ
10 0.0056インチ 100:100 0.0056インチ
11 0.0167インチ 100:100 0.0167インチ
12 0.0111インチ 150:100 0.0167インチ

2.2.2 KANJIデータ・タイプ

KANJIデータ・タイプは,DEClaser2300レーザ・プリンタの基本モードであるLN05モードとの互換性を保つように,日本語拡張版ANSIトランスレータの初期状態を変更したものです。使用できる命令(コントロール・コード,コントロール・シーケンス,エスケープ・シーケンス)およびその機能においては,拡張ANSIデータ・タイプとの違いはありません。

注意

テキスト・トランスレータのリセット命令(DECSTR,RIS)は,トランスレータを,そのデータ・タイプ固有の初期状態に復帰させます。これに対して命令表示モード,CRM (Control Rendition Mode)をセットした場合,および適合レベル選択命令,DECSCL (Select Conformance Level)を使用すると,ANSIデータ・タイプで,紙サイズをレターサイズ,ポートレート・オリエンテーションで指定した場合と同じ初期状態にリセットされます。

表 2-4 に初期状態での主な相違点を示します。詳しくは, 付録 C "テキスト・トランスレータの初期設定値" を参照してください。

表 2-4 拡張ANSIとKANJIの違い
  ANSI KANJI
文字セット    
    GL, ASCII JISローマ字
    GR, DECサプリメンタル DEC漢字指示
    G0, ASCII JISローマ字
    G1, ASCII VT100ラインドローディング
    G2, DECサプリメンタル JISカタカナ
    G3, DECサプリメンタル
(厳密には,DECサプリメンタルは User Preference セットとして指定されている)
DEC漢字指示
フォント SGR 10 =DEC BUILTIN 1 SGR 10 =DEC BUILTIN 1
(同じタイプ・ファミリだが,初期文字ピッチが異なるので使用されるフォントも異なる。実際はANSIではクーリエ書体になり,KANJIでは明朝体になる)
SGR17 DEC BUILTIN 1 ファミリ 明朝体10ポイント
SGR18 DEC BUILTIN 1 ファミリ 明朝体8ポイント
(パラメータ17,18以外のフォント割当ての初期設定値は同じ)
ポートレートでの
文字ピッチ
10 cpi(フォントの値) 12.77 cpi(固定)
DECSHORP 11 17.1 cpi 6.38 cpi

2.2.3 KANJI78データ・タイプ

KANJI78データ・タイプは,1978年版DEC漢字コードをサポートするために,提供しているものです。DEC漢字コード以外の機能に関しては, KANJIと変わりありません。以下の文字セット指示シーケンスは,すべてDEC漢字 1978 年版をG3コード・テーブルに指示します。

ESC $ + 1
1/11 2/4 2/11 3/1

ESC $ + @
1/11 2/4 2/11 4/0

ESC + " 0
1/11 2/11 2/2 3/0

ESC $ + 3
1/11 2/4 2/11 3/3

ESC $ + B
1/11 2/4 2/11 4/2

KANJI78データ・タイプは,DEC漢字1983年版文字セットを用いて,DEC漢字1978年版文字セットを表現しています。1983年版で文字コードが変わったものについては,1978年版のコードを変換して,同じ文字が出力されるようにしていますが, 1983年版で字形が変わった文字もあるため,完全には 1978年版と同一にならない場合があります。 付録 E "JIS漢字1978年版と1983年版の違い" を参照してください。

注意

  1. DEC罫線(コードFE21〜FE2B(16進))は,1983年版罫線を使用してサポートされます。

  2. DEC漢字 1978年版は,将来サポートされなくなる可能性があります。現在1978年版を使用している利用者の方には,できるだけ早く,1983年版に移行することをお勧めします。

2.2.4 LA_KANJIデータ・タイプ

LA_KANJIデータ・タイプは,漢字LA86/LA280/LA380プリンタおよび漢字LN03/LN05レーザプリンタのLA86モードとの互換機能を提供します。この節ではANSIおよびKANJIとの相違点を説明します。

注意

LA_KANJIでは拡張ANSIやKANJIデータ・タイプで使用できる命令は,この節で述べる例外を除いてすべて利用できますが,他製品との互換性および将来のバージョンアップでの互換性を維持するためには,本来のLA86/280/380プリンタでサポートされていない機能を使用することは避けてください。

LA_KANJIデータ・タイプは,すでに LA86/280/380用に作成された日本語文書がある場合を想定して提供されたものです。はじめから日本語トランスレータでの印刷を考えるなら,KANJIデータ・タイプを使用してください。

2.2.4.1 DEC漢字


KANJIデータ・タイプと同様に,LA_KANJIデータ・タイプでは,DEC漢字 1983 年版のみをサポートします。

2.2.4.2 縦書き


LA_KANJIでの縦書きは,文字属性指定命令(SGR)のパラメータ10/11で行います。縦書き指定命令(DECKVPM)はLA_KANJIでは無視されます。初期状態は横書き(SGR パラメータ=10)です。

Ps 意味
10 縦書き解除
11 縦書き
12から19 無視されます

注意

SGRの10〜19以外のパラメータの意味は,拡張ANSIおよびKANJIと同じです。

このSGRでの縦書き指定/解除は,DECKVPMとは異なり,印字方向も印字開始位置も変えません。DEC漢字(2バイト・コード)だけが,左に90度回転させられたようにみえます。さらに,DECKVPMと異なり,命令指定時点からすぐに有効になります。 図 2-2 を参照してください。

図 2-2 DECKVPMによる縦書き(2)


注意

LA_KANJIでは,SGRの10〜19はフォントの選択に使用することはできません。したがって,LA_KANJIではゴシック体フォントを表示することはできません。


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