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1 DECprint Supervisorの概要

1.1 DECprint Supervisorソフトウェアの目的

DECprint Supervisorソフトウェアを使用することにより, ネットワークに接続されたPostScriptプリンタの使用および管理が可能となります。 たとえば,ユーザは次のことが可能となります。 システム管理者は次のものを準備することにより,プリンティング・システムを使用しやすくすることができます。

1.2 オプションとして提供されるDECprint Supervisorライセンス

オプションとして提供される次のDECprint Supervisorライセンスのどちらか一方, または両方をインストールしなければならない場合があります。 ライセンス機能を使用する場合は,ライセンスをあらかじめインストールしておかなければなりません。 ライセンスをインストールする前にその機能を使用しようとした場合, プリント・ジョブは何も印刷せずに終了し,プリント・ キューは停止され,次のメッセージが表示されます。
NOLICENSE, DCPS-Plus license required to use feature
NOLICENSE, DCPS-Open license required to use printer-name
適切なライセンスがシステムにインストールされているかどうかを確認するには, 次のコマンドを使用します。
$ SHOW LICENSE DCPS*
オプションとして提供されるライセンスがインストールされている場合には,PAK 名が画面に表示されます。 必要なライセンスを注文する場合は,弊社の担当者にご連絡ください。

1.2.1 DCPS-Plusの機能

DCPS-Plusライセンスは次の機能を提供します。

1.2.2 DCPS-Openの機能

DCPS-Openライセンスをインストールしている場合,ユーザはDECprint Supervisor SPD に記述されているサード・ パーティ・プリンタ(Hewlett-Packard LaserJetおよびApple LaserWriter プリンタを含む)に出力することができます。保証もサポートもされておらずSPD に記述されていないプリンタであっても,出力できる可能性があります。DCPS-Open ライセンスがインストールされていない場合は, 弊社のPostScriptプリンタにしか出力することはできません。

1.3 DECprint Supervisorソフトウェアの構成要素

DECprint Supervisorソフトウェアは次の要素で構成されています。 DECprint SupervisorシンビオントはOpenVMS プリント・シンビオントであるPRTSMBの代わりに使用されます。ソフトウェアは実行可能イメージ・ ファイル,テキスト,およびヘルプ・ファイルから構成されます。 図 1-1は,プリント・ジョブがOpenVMSシステムで作成され, プリンタに送信される処理を示しています。

図 1-1 DECprint Supervisorソフトウェアの構成要素

この後の節では,DECprint Supervisorプリンティング・システムのソフトウェア構成要素について説明します。

1.3.1 プリント・シンビオント

ユーザはDCLのPRINTコマンドを使用してジョブをプリンタに送信するか, またはOpenVMS システム・サービス・コールSYS$SNDJBCを発行するアプリケーション・ プログラムを使用してジョブをプリンタに送信します。プリント・ シンビオントはプリント・ジョブを管理します。DECprint Supervisorソフトウェアは次の操作を実行します。 たとえば,ユーザが次のPRINTコマンドを入力したとします。
$ PRINT/QUEUE=POST3/NOTIFY THORNTON.TXT
PRINTコマンド行はシステム・サービス・コールに変換され,ジョブ・コントローラに送信されます。 引数はジョブ・コントローラ・データ構造に変換され, その後,処理のためにシンビオントに渡されます。シンビオントは処理した引数とファイル・ データをプリンタに送信し,プリント・ジョブの状態を示すメッセージを表示して, ユーザに通知します。 PRINTコマンドとその修飾子についての説明は『日本語DECprint Supervisor for OpenVMS ユーザーズ・ ガイド』を参照してください。

1.3.2 装置制御ライブラリ

装置制御ライブラリはセットアップ・モジュールを登録したOpenVMSテキスト・ ライブラリです。シンビオントは装置制御ライブラリに登録されているモジュールを使用して, さまざまなPRINTパラメータを実現します。DECprint Supervisorソフトウェアは, PRINTコマンド行に指定された修飾子またはプリント・キューに割り当てられている修飾子に応じて, 適切なモジュールを取り出し,そのモジュールをデータ・ ストリームに挿入します。

また,装置制御ライブラリには,シンビオントが自動的には使用しないモジュールも登録されています。 これらの一部のモジュールにはPostScriptプロシージャが登録されており, たとえば,プリント・ジョブにエラー処理プログラムを追加したり, 代替文字エンコーディングを認識するように findfont プロシージャを拡張したりするために使用します。 詳しくは『日本語DECprint Supervisor for OpenVMSユーザーズ・ガイド』を参照してください。

各システムで使用するために独自のセットアップ・モジュールを作成することもできます。 セットアップ・モジュールを作成する場合には,それらのモジュールはDCPS$DEVCTL ライブラリ以外の装置制御ライブラリに登録しなければなりません。 第7章の説明に従って装置制御ライブラリを作成し,DCPS$STARTUP.COM に定義されている装置制御ライブラリ検索リストに, 新しいライブラリを追加してください。

独自のセットアップ・モジュールを登録するためにシステム固有の装置制御ライブラリを作成した場合, ライブラリの内容はDECprint Supervisorソフトウェアの現在のバージョンから次のバージョンに移行したときは, そのまま保存されます。標準装置制御ライブラリ,DCPS$DEVCTL は新しいものに置き換えられます。

1.3.3 トランスレータ

プリント・ジョブがPostScript以外のプリント・ファイルをキューに登録した場合には, シンビオントはトランスレータを起動し,ユーザの入力ファイルをPostScript に変換します。DECprint Supervisorソフトウェアがテキスト・ ファイル以外のデータ・タイプの変換機能を備えているかどうかは,DCPS-PLUS ライセンスがシステムにインストールされているかどうかに応じて異なります( 各ファイル・タイプを印刷するためにプリンティング・システムを設定する方法については, 第4章を参照してください)。

DCPS-Plusライセンスがインストールされていない場合には,テキスト・ ファイルとPostScript ファイルを印刷できます。データ・タイプを指定しなかった場合には, DECprint Supervisorソフトウェアは, 漢字テキスト・ファイルが印刷されるものと解釈します。したがって, 漢字テキスト・ファイルを印刷する場合は,PRINTコマンドだけを入力すればよく, データ・タイプを指定する必要はありません。

$ PRINT MYFILE.MEM/QUEUE=PS40$A14
PostScriptファイルを印刷する場合には,ファイルのデータ・タイプを指定しなければなりません。 次の例を参照してください。
$ PRINT/PARAMETERS=(DATA_TYPE=POSTSCRIPT) MYFILE.PS/QUEUE=PS40$A14
システム管理者は省略時のデータ・タイプをジェネリック・プリント・ キューに対応づけることができ,このようにすれば,ユーザはジェネリック・ キュー名を指定するだけでファイルを印刷できます。詳しくは第3章を参照してください。

DCPS-Plusライセンスがインストールされている場合には,DECprint Supervisorソフトウェアはファイルのデータ・ タイプを自動的に検出できます。したがって通常は, PRINTコマンド行にデータ・タイプを指定する必要はありません。印刷のためにPostScript に変換する操作は自動的に実行されます。このライセンスがインストールされている場合には, ジェネリック・プリント・キューに省略時のデータ・ タイプを定義しておく必要はありません。


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