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8 AlphaServer 4100システムでのOpenVMS Galaxyの構築

この章では,AlphaServer 4100でOpenVMS Galaxyコンピューティング環境を構築するための要件と手順について説明します。

8.1 はじめに

最初に本書の「リリース・ノート」の章を参照してください。

AlphaServer 4100でOpenVMS Galaxyを構築するには,構成およびハードウェアに関して, 次の要件を十分理解しておく必要があります。

最大2つのインスタンス

AlphaServer 4100では,OpenVMSのインスンタスを最大2つ実行できます。

コンソール・ファームウェア

OpenVMSバージョン7.2-1のCD-ROMパッケージに含まれている「Alpha Systems Firmware Update Version 5.4 CD-ROM」に格納されているAlphaServer 4100 コンソール・ファームウェアが必要です。ファームウェアを実際にインストールする前に, パッケージに同梱されているリリース・ ノートを参照してください。

コンソール・コマンド

第6章に示したコンソール・ヒントの他に, 次のことにも注意してください。

AlphaServer 4100のクロック

AlphaServer 4100には1つのクロックがあります。OpenVMS Galaxyの場合, このことは2つのインスタンスを異なる時刻に実行できないことを意味します。 また,SET TIMEコマンドは両方のインスタンスに影響します。 しかし,かなり時間が経過するまで,このことは明らかにならない可能性があります。

コンソール・ポート

COM1 (上)はインスタンス0のコンソール・ポートです。 COM2 (下)はインスタンス1のコンソール・ポートです。

AlphaServer 8400でOpenVMS Galaxyを構築する場合と異なり,2つ目のコンソール用に追加ハードウェアは必要ありません。 この目的でCOM-2が使用されます。

CPU

CPU0はインスタンス0のプライマリでなければなりません。 CPU1はインスタンス1のプライマリでなければなりません。 CPU2と3はオプションのセカンダリCPUであり,マイグレードすることができます。

I/Oアダプタ

下の4つのPCIスロットはIOD0に属しています。これはインスタンス0用のI/O アダプタです。 上の4つのPCIスロットはIOD1に属しています。これはインスタンス1用のI/O アダプタです。

ストレージ・コントローラ

KZPSAなどのストレージ・コントローラが2つ必要です。これらのコントローラは個別のStorageworks ボックスに収納することができ,SCSIクラスタとして稼動するために, 同じボックスに収納することもできます。各コントローラはそれぞれIOD0 とIOD1に接続されます。

ネットワーク・カード

各インスタンスでネットワーク・アクセスが必要な場合は,各インスタンスに対してネットワーク・ カード(DE500など)が必要です。

カードは1枚ずつ,IOD0とIOD1に接続されます。

物理メモリ

AlphaServer 4100のOpenVMS Galaxyでは,メモリ・ホールがサポートされないため,OpenVMS Galaxy 環境用の物理メモリは連続していなければなりません。AlphaServer 4100 でこのことを実現するには,次のいずれかの条件を満たさなければなりません。

AlphaServer 4100システムでOpenVMS Galaxyを構築するには,この後の節の操作を行います。

8.2 ステップ1: AlphaServer 4100構成を確かめる

SHOW CONFIGコマンドを使用して,OpenVMS Galaxy環境を構築するために使用するAlphaServer 4100 が,第8.1節で説明した要件を満たしているかどうか確認します。

コンソール・プロンプトに対して次のコマンドを入力します。

     P00>>>show config

コンソールに次の情報が表示されます。

     Console G53_75  OpenVMS PALcode V1.19-16, Digital UNIX PALcode V1.21-24

     Module                          Type     Rev    Name
     System Motherboard              0        0000   mthrbrd0
     Memory  512 MB EDO              0        0000   mem0
     Memory  256 MB EDO              0        0000   mem1
     CPU (Uncached)                  0        0000   cpu0
     CPU (Uncached)                  0        0000   cpu1
     Bridge (IOD0/IOD1)              600      0021   iod0/iod1
     PCI Motherboard                 8        0000   saddle0
     CPU (Uncached)                  0        0000   cpu2
     CPU (Uncached)                  0        0001   cpu3

     Bus 0  iod0 (PCI0)
     Slot   Option Name              Type     Rev    Name
     1      PCEB                     4828086  0005   pceb0
     4      DEC KZPSA                81011    0000   pks1
     5      DECchip 21040-AA         21011    0023   tulip1

     Bus 1  pceb0 (EISA Bridge connected to iod0, slot 1)
     Slot   Option Name              Type     Rev    Name

     Bus 0  iod1 (PCI1)
     Slot   Option Name              Type     Rev    Name
     1      NCR 53C810               11000    0002   ncr0
     2      DECchip 21040-AA         21011    0024   tulip0
     3      DEC KZPSA                81011    0000   pks0

8.3 ステップ2: OpenVMS Alpha Version 7.2-1をインストールする

OpenVMS Galaxyソフトウェアを実行するために,特別なインストール手順は必要ありません。Galaxy 機能は基本オペレーティング・システムに組み込まれており, この章で後述するコンソール・コマンドとシステム・パラメータ値を使用して, 有効または無効に設定することができます。

AlphaServer 4100がSCSIクラスタに属していない場合は,各インスタンスに対して1 つずつ,2つのシステム・ディスクにOpenVMSバージョン7.2-1をインストールしなければなりません。

AlphaServer 4100がクラスタで共通のシステム・ディスクを持つSCSIクラスタの一部である場合は,1 つのシステム・ディスクにOpenVMSバージョン7.2 をインストールします。

OpenVMS Alphaオペレーティング・システムのインストールの詳細については, 『OpenVMS Alpha Version 7.2 Upgrade and Installation Guide』を参照してください。

8.4 ステップ3:ファームウェアをアップグレードする

ファームウェアをアップグレードするには,OpenVMSバージョン7.2-1 のCD-ROMパッケージに含まれている「Alpha Systems Firmware Update Version 5.4 CD-ROM」を使用します。ファームウェアを実際にインストールする前に, パッケージに同梱されているリリース・ノートを参照してください。

8.5 ステップ4:環境変数を設定する

インスタンス0に対してプライマリ・コンソールを構成します。

CPU0はインスタンス0のプライマリです。

Galaxy環境変数を作成します。Galaxy環境変数と各変数の一般的な値については, 第6章を参照してください。

次の例はCPU 3つと256 MB + 192 MB + 64 MBに分割された512 MBのメモリを装備したAlphaServer 4100 の場合の例です。

     P00>>> create -nv lp_count            2
     P00>>> create -nv lp_cpu_mask0        1
     P00>>> create -nv lp_cpu_mask1        6
     P00>>> create -nv lp_io_mask0         10
     P00>>> create -nv lp_io_mask1         20
     P00>>> create -nv lp_mem_size0        10000000
     P00>>> create -nv lp_mem_size1        c000000
     P00>>> create -nv lp_shared_mem_size  4000000
     P00>>> set auto_action halt

CPUが4つあり,すべてのセカンダリCPUをインスタンス1に割り当てる場合は,lp_cpu_mask1 変数がEになります。2つのインスタンスでCPUを分割する場合は,CPU 0 がインスタンス0のプライマリCPUになり,CPU 1がインスタンス1 のプライマリCPUにならなければなりません。

mem_size変数は,システム構成とメモリの分割方法に応じて異なります。


galaxy_io_mask0は10に設定しなければなりません。
galaxy_io_mask1は20に設定しなければなりません。

コンソール環境変数AUTO_ACTIONはHALTに設定しなければなりません。 これにより,システムはブートされず,Galaxyコマンドを入力できるようになります。

8.6 ステップ5:システムを初期化し,コンソール装置を起動する

  1. 次のコマンドを入力して,システムを初期化し,Galaxyファームウェアを起動します。
         P00>>> init
         P00>>> galaxy
    

    自己診断テストを完了した後,Galaxyコマンドはインスタンス1でコンソールを起動します。

    Galaxyが初めて起動されると,次のような複数のメッセージが表示されます。

         CPU0 would not join
    
         IOD0 and IOD1 did not pass the power-up self-test
    

    これらのメッセージが表示されるのは,2組の環境変数があり, galaxy変数は最初にインスタンス1に存在しないからです。

    I/Oバスが2つのGalaxyパーティション間で分割される場合は,装置のポート名が変化することに注意してください。 たとえば,AlphaServer 4100がシングル・システムの場合に,DKC300として指定されるディスクは,OpenVMS Galaxy のパーティション0として構成した場合は, DKA300になります。

  2. インスタンス1のコンソールを構成します。

    手順2と同じコマンドを使用して,同じGalaxy環境変数を作成します。

         P01>>> create -nv lp_cpu_mask0        1
         P01>>> create -nv lp_cpu_mask1        6
         P01>>> create -nv lp_io_mask0         10
         P01>>> create -nv lp_io_mask1         20
         P01>>> create -nv lp_mem_size0        10000000
         P01>>> create -nv lp_mem_size1        c000000
         P01>>> create -nv lp_count       2
         P01>>> create -nv lp_shared_mem_size  4000000
         P01>>> set auto_action halt
    

  3. 次のコマンドを入力して,システムを初期化し,Galaxyファームウェアを再起動します。
         P00>>> init
    

    コンソールに次の確認メッセージが表示されたら,Yと入力します。

         Do you REALLY want to reset the Galaxy (Y/N)
    

  4. システム・ルート,ブート装置,他の関連変数を構成します。

    次の設定名はOpenVMS Engineeringシステムの場合の例です。それぞれの環境の要件に適合するように, これらの変数は適宜変更してください。

         P00>>> set boot_osflags 12,0
         P00>>> set bootdef_dev dka0
         P00>>> set boot_reset off             !!! must be OFF !!!
         P00>>> set ewa0_mode twisted
    
         P01>>> set boot_osflags 11,0
         P01>>> set bootdef_dev dkb200
         P01>>> set boot_reset off             !!! must be OFF !!!
         P01>>> set ewa0_mode twisted
    

  5. 次のように,インスタンス1をブートします。
         P01>>> boot
    

    インスタンス1がブートされた後,システム・アカウントにログインし,SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT ファイルに次の行を挿入します。

         GALAXY=1
    

    SCSノードとSCSシステムIDの行が正しいことを確認してください。次のようにAUTOGEN を実行して,インスタンス1をGalaxyメンバとして構成し, システムを停止したままの状態にします。

         $ @SYS$UPDATE:AUTOGEN GETDATA SHUTDOWN INITIAL
    

  6. 次の手順を実行して,インスタンス0をブートします。
         P00>>> boot
    

    インスタンス0がブートされた後,システム・アカウントにログインし,SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT ファイルに次の行を追加します。

         Add the line GALAXY=1
    

    SCSノードとSCSシステムIDの行が正しいことを確認してください。次の手順でAUTOGEN を実行して,インスタンス0をGalaxyメンバとして構成し, システムを停止したままの状態にします。

         $ @SYS$UPDATE:AUTOGEN GETDATA SHUTDOWN INITIAL
    

  7. 初期化またはシステムのパワー・サイクルで自動的に起動されるように,Galaxy を準備します。両方のインスタンスでAUTO_ACTION環境変数をRESTART に設定します。
         P00>>> set auto_action restart
    
         P01>>> set auto_action restart
    

  8. プライマリ・コンソールから次のコマンドを入力して,Galaxy を再び初期化します。
         P00>>> init
    

    コンソールに次の確認メッセージが表示されたら,Yと入力します。

         Do you REALLY want to reset the Galaxy (Y/N)
    

    また,システムの電源をいったんオフにした後,オンにすることもできます。 このようにすると,両方のインスタンスでGalaxyが自動的にブートストラップされます。

操作はこれで終了です。OpenVMS Galaxyが構築されました。


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