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単一ストリームの DCPS シンビオント・プロセスについては,変更する内容にもよりますが, DCPS 論理名および DCPS 環境のその他の状態を変更した場合,対応したキューについて STOP /QUEUE /RESETコマンド,続いて START /QUEUEコマンドを実行するまでは,その変更は有効となりません。
マルチストリーム・プロセスに対応した単一の DCPS キューについての動作を変更するには,そのシンビオント・プロセスに対応したすべての DCPS キューを停止した後に再起動して,変更を有効とする必要があります。これは,環境のいくつかの状態は DCPS シンビオント・プロセスが起動した場合にかぎって決定され,対応するすべてのキューが停止するまでそのシンビオント・プロセスが停止しないためです。
3.4.1.3 DCPS$MAX_STREAMS に対する適切な値の決定
DCPS シンビオント・プロセスあたりの適切なキューの数を決定する際に,考慮すべきいくつかの要因があります。
3.4.2 ジョブ起動時の "Busy" 状態のプリンタへの割り込み
通常 DCPS は,raw TCP/IP,LAT,シリアル・プリンタのいずれかに新しいジョブを送信する前に,そのプリンタが "Idle" 状態となるまで待ちます。これは, DECserver 装置あるいはその他のネットワーク・ターミナル・サーバを介して接続しているプリンタを, DCPS キュー,LATSYM キュー,Windows および UNIX ホストなどで共有することができるネットワーク環境で本質的に重要なことです。
バージョン 1.2 より前のバージョンでは, DCPS はアグレッシブ同期シーケンスを使用してプリンタの PostScript インタプリタの制御を取得していました。この方式は DCPS のみの環境では正しく動作していましたが,複数のホスト環境では,プリント・ジョブが別のシステムによって出力が完了しないうちに終了させられてしまう場合がありました。
別のキュー上のジョブを起動することで 1 つのキュー上の不正な PostScript ジョブを強制終了させるという DCPS の以前の動作を期待している場合は,次のようなシステム全体で有効な論理名を定義することによってアグレッシブ方式の動作を復元することができます。
$ DEFINE /EXECUTIVE_MODE /SYSTEM DCPS$queuename_INTERRUPT_WHEN_BUSY TRUE |
3.4.3 ジョブ起動時の PostScript 同期の制限
DCPS は, PostScript インタプリタと同期して raw TCP/IP,LAT,シリアル・プリンタ上のジョブを起動することにより,インタプリタがコマンドを受け付ける準備ができていることを保証しています。ただし,いくつかの PostScript は同期制御文字を常に識別できる状態にあるとはかぎりません。特に,PCL などの付加的なプリンタ言語をサポートしているいくつかのプリンタの場合,特定の状況ではこのシーケンスに正しく対応することができません。たとえば DEClaser 3500 が PS/PCL 識別モードである場合, DCPS がそのシリアル・ポートに Ctrl/T 文字を送信すると,間違って PCL モードに切り替わります。このプリンタは続いて PostScript モードを抜けて応答しなくなり,プリント・ジョブは "Starting" 状態となります。
論理名を定義することにより, raw TCP/IP,LAT,シリアル接続を使用するプリンタについて, DCPS シンビオントが通常の同期シーケンスの使用を避けることができます。 raw TCP/IP,LAT,シリアル接続以外で接続されたプリンタを使用している場合,この論理名はなんらの影響も与えません。プリンタ固有の情報については, 第 10 章 を参照してください。
プリンタ・キューの同期シーケンスを無効とするには,次のコマンドを使用します。
$ DEFINE /EXECUTIVE_MODE /SYSTEM DCPS$queuename_NO_SYNC TRUE |
最近のほとんどのシリアル接続プリンタについては,同期手順を行わないことが問題となることは一般的にありません。これは,インタプリタがデータを受け付けられる状態にない場合,このようなプリンタはフロー制御を使用してデータ受信を待つことができるからです。ただし,ボー・レートあるいはストップ・ビットなどの通信パラメータが正しく設定されていない場合は,プリンタが不要なものを出力してジョブを消失する可能性があります。また,構成によっては,プリンタのデータ・ケーブルが接続されていない場合,あるいはプリンタの電源が落ちている場合,プリント・ジョブが消失する可能性があります。
3.4.4 シンビオント・プロセスのワーキング・セットの削除
DCPS シンビオントがアイドル状態のまま一定の時間が経過すると,システム資源を節約するためにそのワーキング・セットを削除します。この遅延時間は,多くの作業要求がある場合にシステムがプログラムを物理メモリに保持したままでいることを避けるためです。
省略時の設定では, DCPS は 10 分間のアイドル状態の後にそのワーキング・セットを削除します。必要に応じてシステム全体で有効な論理名を定義することで,この値を増やすことができます。
$ DEFINE /EXECUTIVE_MODE /SYSTEM DCPS$PURGE_TIME "0 hh:mm:ss.00" |
ここで hh:mm:ss.00 は,必要な遅延時間を指定する OpenVMS のデルタ時間です。この値が省略時の値である 10 秒よりも小さい場合は,省略時の値が使用されます。
3.4.5 OPCOM メッセージ USERNOTFOUND の制限
利用者登録ファイル (UAF) が複数ある OpenVMS クラスタで DCPS が実行されている場合,プリント・ジョブをキューに登録しているユーザが DCPS キューを実行しているシステムに UAF レコードを持っていない可能性があります。 DCPS はジョブを印刷しますが,USERNOTFOUND というオペレータ・メッセージを発行します。
%%%%%%%%%%% OPCOM 1-MAR-2002 18:43:55.87 %%%%%%%%%%% Message from user SYSTEM on LITERA Queue SHARIE: %DCPS-W-USERNOTFOUND, user name FOO not found, no log files created -RMS-E-RNF, record not found |
ユーザ名を見つけることができないため, DCPS は MESSAGES=KEEPあるいは MESSAGES=PRINTパラメータ要求を実行することができません。
すべてのジョブについて,この OPCOM メッセージが表示されないようにするには, 1 つのプリント・キューについてメッセージを抑制したいか,あるいはすべてのキューについてメッセージを抑制したいかによって,次のいずれかの論理名を定義します。
$ DEFINE /EXECUTIVE_MODE /SYSTEM DCPS$queuename_IGNORE_UNKNOWN_USER TRUE $ DEFINE /EXECUTIVE_MODE /SYSTEM DCPS$IGNORE_UNKNOWN_USER TRUE |
3.4.6 A4 ランドスケープでの古い ANSI トランスレータのページ・サイズの使用
DCPS V1.1A よりも前のすべての ANSI トランスレータのバージョンでは, A4 用紙にランドスケープ・モードで 66 行のテキストを出力する場合に問題があります。特定のプリンタでは,A4 用紙を使用した場合,印字領域が平均よりも若干小さいため, PAGE_SIZE=A4,PAGE_ORIENTATION=LANDSCAPEというプリント修飾子を使用すると, 66 行目が消失するか途中で切れてしまいます。
現在 ANSI トランスレータは, A4 用紙にランドスケープ・モードで 66 行のテキストを正しく出力することができます。この修正には,使用されているフォントの行間のスペースの変更 (SGR 15), A4 用紙での最大印字領域の訂正が含まれます。
古いトランスレータの動作に依存したあらかじめ用意されたフォームを使用している場合は,次の DCPS 論理名を定義することにより以前の動作に戻すことができます。
$ DEFINE /EXECUTIVE_MODE /SYSTEM DCPS$queuename_OLD_ANSI_PAGE_SIZES TRUE |
ジェネリック・キューは特定のプリンタに対応付けられたものではなく,実行キューに対応しているものです。ジェネリック・キューを複数の実行キューに対応付けておくと,プリント・ジョブを複数のキューに分散することができます。また,特定の DECprint Supervisor 機能をプリント・ジョブに対応させるためにジェネリック・キューを使用することもできます。ジェネリック・キューは省略可能です。
例 3-3 に,レイアップ定義ファイルを使用した出力用のジェネリック・キューの設定方法を示しています。このジェネリック・キューは,2 つの ScriptPrinter の実行キューのいずれかにプリント・ジョブを送信します。
例 3-3 ジェネリック・キューの設定 |
---|
$ @SYS$STARTUP:DCPS$GENERIC_QUEUE - DRAFT_DOCS - ! P1 - Generic queue name "LN03R_TTB4,LN03R_TTB7" - ! P2 - Execution queue name(s) "LAYUP=LPS$SINGLEHOLES" ! P3 - Default queue parameters |
パラメータ | 値 |
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P1 (必須) | ジェネリック・キュー名です。
例 3-3 では, DRAFT_DOCS がプリント・ジョブを送信するジェネリック・キューです。 |
P2 (必須) | ジェネリック・キューがジョブを送信する実行キュー名です。各ジェネリック・キューの定義について,少なくとも 1 つの実行キューを指定しなければなりません。
例 3-3 では,ジェネリック・キューはプリント・ジョブを LN03R_TTB4 および LN03R_TTB7 という 2 つの実行キューに送信します。 |
P3 (省略可能) | 省略時の PRINT 修飾子です。
例 3-3 では, LAYUP=LPS$SINGLEHOLES がジェネリック・キューの省略時のレイアップ定義を提供します。 |
P4 (省略可能) | INITIALIZE/QUEUE 修飾子の指定です。 |
P5 (省略可能) | SET VERIFY コマンドの設定です。省略時の設定は SET NOVERIFY です。 |
DCPS$STARTUP.COM ファイルを作成または変更した場合,新しいキュー定義を使用するために DECprint Supervisor に加えた変更を有効としなければなりません。変更結果を有効とするには,システムを停止させた後に再起動するか,または次の方法で DCPS$STARTUP.COM ファイルを実行してください。
$ STOP /QUEUE /NEXT queuename |
$ @SYS$STARTUP:DCPS$STARTUP |
システム・スタートアップ・ファイル内に上記のコマンドが含まれていない場合は,次のガイドラインに従ってこのコマンドを追加してください。
$ @SYS$STARTUP:DCPS$STARTUP |
キューが VMScluster システム上にある場合は,上記のコマンドをクラスタ内のすべてのノードから実行しなければなりません。
プリンタ・スタートアップ・コマンド・ファイルによってプリント・キューが起動されます。新しいキュー定義をテストする場合は,
第 3.7 節 を参照してください。
3.7 プリンティング・システムのテスト
IVP ( @SYS$TEST:DCPS$IVP) を実行しても,プリンタには影響を与えません。 |
SYS$COMMON:[SYSTEST.DCPS] にある IVP ファイルを出力することで,プリンティング・システムをテストすることができます。 IVP ファイルは,DCPS がサポートするデータ・タイプに対応しています。 表 3-4 に IVP ファイルの一覧を示します。
ファイル名 | ファイル・タイプ |
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DCPS$IVP_ANSI.DAT | ASCII ファイル |
DCPS$IVP_LIST.DAT | 単純な ASCII |
DCPS$IVP_PCL.DAT | PCL Level 4 ファイル |
DCPS$IVP_POST.DAT | PostScript ファイル |
DCPS$IVP_PROPRINTER.DAT | Proprinter ファイル |
DCPS$IVP_REGIS.DAT | ReGIS ファイル |
DCPS$IVP_TEK4014.DAT | Tektronix 4010/4014 ファイル |
DCPSはファイルのデータ・タイプを自動的に検出することができます。コマンド行にデータ・タイプを指定する必要がなくなります。たとえば,次の PRINT コマンドを実行することができます。
$ PRINT/QUEUE=queuename/NOTIFY DCPS$IVP_data-type.DAT |
プリント・キューが特定のデータ・タイプに対応している場合,あるいは LIST データ・タイプをテストしている場合は,ファイルのデータ・タイプを指定してください。
たとえば DCPS$IVP_POST.DAT を出力する場合は,次の PRINT コマンドを使用します。
$ PRINT /QUEUE=queuename - /PARAMETERS=DATA_TYPE=POSTSCRIPT /NOTIFY - SYS$COMMON:[SYSTEST.DCPS]DCPS$IVP_POST.DAT |
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