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DECprint Supervisor ソフトウェアは印刷するファイルのデータ・タイプを自動的に検出できます。この章では,データ・タイプを自動的に検出するようにプリンティング・システムを設定する方法について説明します。
4.1 DCPS による自動的なデータ・タイプの検出方法
データ・タイプを指定しないでプリント・ジョブをキューに登録し,プリント・キューに省略時のデータ・タイプが割り当てられていない場合, DCPS はプリント・ジョブの各ファイルを調べ,ファイルの内容またはファイル名のファイル・タイプからファイルのデータ・タイプを判断します。
DECprint Supervisor ソフトウェアがこれらの方法によってファイルのデータ・タイプを判断できない場合には,そのファイルはテキスト・ファイルとして印刷されます。 DECprint Supervisor ソフトウェアのインストレーションによってシステムに設定される,省略時のテキスト・ファイルのデータ・タイプは ANSI です。
さらに,ファイルがテキスト・ファイルとして印刷される場合には, DECprint Supervisor ソフトウェアはテキストの後のPostScriptデータを検出できます。したがって,テキストの後にPostScriptデータが続くファイルを正しく印刷できます。
ファイルのデータ・タイプを判断する処理は,プリント・ジョブ内の各ファイルに対して繰り返されます。したがって,1つのプリント・ジョブに異なるファイル・タイプを含むことができます。
4.2 データ・タイプの自動検出の設定方法
DECprint Supervisor ソフトウェアが印刷するファイルのデータ・タイプを判断する方法は,システム管理者が制御できます。次のことを指定できます。
必要に応じて,省略時のデータ・タイプを定義したジェネリック・キューを作成し,このキューに登録される各ファイルがこのデータ・タイプであると指定することもできます。キューの省略時のデータ・タイプを変更できるのは,ユーザが PRINT コマンドに指定するパラメータだけです。
4.2.1 ファイル拡張子とデータ・タイプの対応付け
DECprint Supervisor ソフトウェアでは,データ・タイプとファイル拡張子の対応関係を定義するために,データ・ファイルを使用します。システムのファイル拡張子とそれに対応するデータ・タイプを登録したローカル・データ・ファイルを作成することができます。
$ COPY _From: SYS$LIBRARY:DCPS$FILE_EXTENSION_DATA_TYPE.DAT_DEFAULT _To: SYS$COMMON:[SYSLIB]DCPS$FILE_EXTENSION_DATA_TYPE.DAT |
.DAT ファイルが可変長形式あるいはストリーム形式でない場合,キューの起動時に DCPS がそのファイルを読み込むことができません。 OPCOM がエラーを通知し,そのシンビオント・プロセスは終了します。 .DAT ファイルを正しい形式で保存し, DCPS$STARTUP.COM ファイルを使用してプリンティング・システムを再起動しなければなりません。
POSTSCRIPT: EPS EPSF POST PS ; |
この例では,.EPS,.EPSF,.POST,.PSというファイル拡張子のファイルが PostScriptファイルとして処理されることを指定しています。
システム固有のファイル拡張子を追加したり,すでに定義されているファイル拡張子をローカルな意味に変更することも可能です。
AUTOMATICを除き,正しい値であれば,DATA_TYPEの値としてどの値も指定できます。データ・タイプ名を短く省略することはできません。指定できるデータ・タイプ名は次のとおりです。
ANSI
ASCII
DDIF
LIST
PCL
POSTSCRIPT
PROPRINTER
REGIS
TEK4014
4.2.2 システムおよびキューの省略時のテキスト・データ・タイプの指定
システム全体で有効な省略時のテキスト・データ・タイプと,キュー固有の省略時のテキスト・データ・タイプを指定することができます。 DCPS がファイルのデータ・タイプを判断できない場合には,そのファイルはユーザが指定した省略時のテキスト・データ・タイプとして処理されます。
システムの省略時のテキスト・データ・タイプは ANSI です。通常 ANSI ファイルではなく,PCL,Proprinter テキスト・ファイルを印刷している場合は,この省略時の設定を ANSI から PCL,Proprinter のいずれかに変更しなければなりません。
省略時のテキスト・データ・タイプを定義するには,次の論理名のどちらか一方または両方を定義します。
$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE DCPS$DEFAULT_TRANSLATOR text_data_type |
$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE DCPS$queuename_DEFAULT_TRANSLATOR text-data-type |
text-data-typeに対して指定できる値と,省略時のテキスト・データ・タイプの対応は次のとおりです。
データ・タイプ名を短く省略することはできません。
システム全体で有効なデータ・タイプがキュー固有のデータ・タイプと異なる場合は,キュー固有のテキスト・データ・タイプが優先されます。
特定のキューをPATHWORKSクライアントが使用する場合には,キュー固有の論理名を設定しておくと便利です。たとえば,PC から印刷されるテキスト・ファイルが PCL ファイルであるとします。次の例では,PATHWORKSという名前のキューに対して省略時のテキスト・データ・タイプとしてPCLを設定する方法を示しています。
$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE DCPS$PATHWORKS_DEFAULT_TRANSLATOR PCL |
DECprint Supervisor ソフトウェアは,PATHWORKSキューに送信された各ファイルごとにファイルのデータ・タイプを判断しようとします。ファイル・データ・タイプを判断できない場合には,そのファイルはPCLファイルとして処理されます。ファイルにPCLテキストとPostScriptデータが登録されている場合でも,そのファイルは正しく印刷されます。
4.2.3 ユーザがデータ・タイプの検出を制御する方法
プリント・ジョブが自動的なデータ・タイプ検出機能によって処理される方法は,ユーザが次のことを指定することにより制御できます。
INVDDIFDATA, Invalid DDIF data, flushing to end of file |
/PARAMETERS=DATA_TYPE=AUTOMATIC[=text-data-type] |
ユーザは/PARAMETERS=DATA_TYPE=AUTOMATIC修飾子を指定することにより,自動的なデータ・タイプ検出を指定できます(たとえば,プリント・キューに省略時のデータ・タイプが割り当てられている場合)。
ユーザがDATA_TYPE=AUTOMATICパラメータに省略時のテキスト・データ・タイプ (text-data-type)を指定した場合には, DECprint Supervisor ソフトウェアはプリント・ファイルのデータ・タイプを判断できないときに,その指定をファイルのデータ・タイプであると解釈します。
text-data-type
の値は省略可能です。省略時の設定については, 第 4.2.2 項 を参照してください。
DECprint Supervisor ソフトウェアは,省略時のテキスト・データ・タイプの後に PostScriptデータが続くファイルを印刷できます。たとえば,PCLテキストから始まり,その後にPostScriptデータの続くファイルを印刷しなければならない場合には,ユーザは次のPRINTコマンドを使用して省略時のテキスト・データ・タイプをPCLに設定できます。
$ PRINT/QUEUE=PS20$A10 PIC.MSG/PARAMETERS=(DATA_TYPE=AUTOMATIC=PCL) |
この機能は電子メール・システムで作成されたファイルを印刷するときに役立ちます。たとえば,メール・システムを使用して他のユーザから送信されたPostScriptファイルの先頭にテキスト・メッセージ・ヘッダがあり,その後にPostScriptデータが付加されている場合には,このファイルを印刷できます。
この章では,プリント・ジョブ,プリント・キュー,キュー・マネージャを管理し制御するためのコマンドについて説明します。
この章で説明する一部のコマンドでは,特権が必要です。
5.1 プリント・ジョブの状態の表示
SHOW ENTRYコマンドを使用すれば,プリント・ジョブの状態を表示できます。このコマンドを使用して自分のプリント・ジョブを表示する場合には,特権は必要ありません。しかし,他のユーザのプリント・ジョブを表示する場合は,特権が必要です。
SHOW ENTRYコマンドはすべての自分のプリント・ジョブを表示します。別のユーザのプリント・ジョブの状態を表示するには,SHOW ENTRYコマンドにジョブ番号を指定しなければなりません。あるいは,/USER 修飾子を使用してユーザを指定しなければなりません。ジョブ番号は,PRINTコマンドを入力したときに送信されるメッセージに表示されます。次に示すように,SHOW QUEUE/ALLコマンドを使用すれば,指定したキューに登録されているすべてのプリント・ジョブのジョブ番号を表示できます。
$ SHOW QUEUE/ALL PS40$A12 |
Printer queue PS40$A12, busy, on LEVEL::PS40, mounted form DCPS$DEFAULT (stock=DEFAULT) Entry Jobname Username Blocks Status ----- ------- -------- ------ ------ 304 MEMO MSMITH 5 Printing |
特定のプリント・ジョブに関する情報を表示するには,SHOW ENTRY/FULLコマンドを使用します。次の例を参照してください。
$ SHOW ENTRY 304/FULL |
Entry Jobname Username Blocks Status ----- ------- -------- ------ ------ 304 MEMO MSMITH 5 Printing On busy printer queue PS40$A12 Submitted 14-MAR-2002 10:41 /FORM=DCPS$DEFAULT (stock=DEFAULT) /NOTIFY /PRIORITY=100 File: _$1$DUA10:[MSMITH]MEMO.TXT;1 (printing) |
ファイルの印刷がプリンタで実際にまだ開始されていない場合でも,プリント・ジョブの状態として "Printing" と表示されることがあります。 |
プリント・ジョブはDELETE/ENTRYコマンドを使用して削除できます。このコマンドは特権を必要としません。したがって,プリント・ジョブの所有者は必要に応じてこのコマンドを使用し,自分のプリント・ジョブを削除できます。しかし,別のユーザのプリント・ジョブを削除する場合は,特権が必要です。
DELETE/ENTRYコマンドは引数としてプリント・ジョブ番号を受け付けます。次の例を参照してください。
$ DELETE/ENTRY=569 |
このコマンドでは,プリント・ジョブ569が削除されます。プリント・ジョブが正しく削除されると,そのことを示すメッセージが出力されます。
プリント・ジョブが終了する方法は,DELETE/ENTRYコマンドを入力したときにプリント・ジョブがどの状態であったかに応じて異なります。
DELETE/ENTRYコマンドを入力したときの状態 | DECprint Supervisor ソフトウェアの動作 |
---|---|
プリント・ジョブが印刷を実行している場合 | 数秒後にプリント・ジョブは停止する。プリンタはバッファに格納されているデータを印刷し,要求されたジョブ・トレーラ・ページとジョブ・ログ・ページも印刷する。この時点で,SHOW QUEUEコマンドはジョブの状態を Aborting (強制終了)として表示する。 |
ネットワーク・プリンタとの接続を確立する前 | 印刷はまったく実行されない。 |
接続が確立された後 | ジョブ・トレーラ・ページが印刷され,プリント・ジョブを削除したことを示すメッセージも表示される。 |
ジョブ・バースト・ページまたはジョブ・フラグ・ページを印刷する前 | ジョブ・バースト・ページまたはジョブ・フラグ・ページは印刷されない。しかし,ジョブ・トレーラ・ページとジョブ・ログ・ページを印刷するようにキューを設定した場合には,これらのページは印刷される。 |
プリント・ジョブが保留状態(Holding)の場合には,印刷のために保留を解除しなければなりません。ユーザはPRINT/AFTERコマンドを使用してジョブを保留状態に設定できます。一方,ユーザまたはシステム管理者はSET ENTRY/HOLDコマンドを使用してプリント・ジョブを保留状態に設定できます。
プリント・ジョブの保留を解除し,印刷を実行するには,SET ENTRY/RELEASEコマンドを使用します。SET ENTRYコマンドにはジョブ番号を指定しなければなりません。自分でキューに登録したプリント・ジョブの保留を解除する場合には,このコマンドを実行するために特権は必要ありません。他のユーザのプリント・ジョブの保留を解除するには,特権が必要です。
次の例を参照してください。
$ SET ENTRY/RELEASE 569 |
この例では,保留状態に設定されているプリント・ジョブ569が,印刷のために保留解除されます。
5.4 プリント・ジョブの転送
この節では,1つ以上のプリント・ジョブのプリント・キューの変更について説明します。
5.4.1 待ち状態のプリント・ジョブを別のキューに再登録する操作
まだ印刷を開始していないプリント・ジョブはSET ENTRY/REQUEUEコマンドを使用して別のキューに再登録できます。特権のないユーザは,そのユーザがキューに登録したプリント・ジョブだけを移動できます。特権を持つユーザの場合には,印刷をまだ開始していないすべてのプリント・ジョブを別のキューに移動できます。SET ENTRY コマンドにはジョブ・エントリ番号を指定しなければなりません。/REQUEUE修飾子には新しいプリント・キューの名前を指定しなければなりません。次の例を参照してください。
$ SET ENTRY/REQUEUE=POSTSCRIPT$DUPLEX 596 |
このコマンドはジョブ596のプリント・キューを変更します。プリント・ジョブは POSTSCRIPT$DUPLEXキューに送信されます。
5.4.2 現在印刷中のジョブを別のキューに移動する操作
プリンタで問題が発生したために,プリント・ジョブを最後まで正しく実行できない場合には,プリント・ジョブを別のプリンタに移動できます。プリント・ジョブを別のプリント・キューに送信するには,STOP/QUEUE/REQUEUEコマンドを使用します。このコマンドには,元のキュー名と新しいキュー名をどちらも指定しなければなりません。次の例を参照してください。
$ STOP/QUEUE/REQUEUE=POSTSCRIPT$DUPLEX POSTSCRIPT$SIMPLEX |
この例では,POSTSCRIPT$SIMPLEXキューで現在印刷中のプリント・ジョブが停止され, POSTSCRIPT$DUPLEXに移動されます。POSTSCRIPT$SIMPLEXキューは停止されず,キューに登録されている次のジョブの印刷を継続します。
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