OpenVMS
システム管理者マニュアル


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8.4.1 手動による装置の接続とデバイス・ドライバのロード (VAX のみ)

VAX システムでは,可能であれば,SYSGEN コマンド AUTOCONFIGURE コマンドを使って標準装置を接続し,デバイス・ドライバをロードしてください。しかし,コンパック以外の装置などの場合,AUTOCONFIGURE コマンドを使用できません。また,次の装置についても, AUTOCONFIGURE では,装置の接続とデバイス・ドライバのロードが実行されません。

これらの装置のほかにも,AUTOCONFIGURE で接続やロードができない装置やドライバがあります。 VAX システムの場合,SYSGEN ユーティリティを使用して手動で装置を接続したり,デバイス・ドライバをロードしたりできます。

詳細は,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の SYSGEN の項目と,『OpenVMS VAX Device Support Manual』を参照してください (このマニュアルは,OpenVMS マニュアル CD-ROM に保管されています)。

重要

SYSGEN CONNECT と LOAD に対するエラー・チェックはほとんど行われません。これらのコマンドは十分注意して使用してください。たとえば,ベクトル・アドレスや装置名を間違えると,入出力データベースが破壊されて,システムが正しく動作しないことがあります。

システム・スタートアップのたびに手動で特殊装置を接続するには,該当する SYSGEN コマンドをサイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャ SYCONFIG.COM に追加します。詳細は 第 5.2.4.1 項 を参照してください。

コンソール記憶装置

VAX システムにコンソール記憶装置を接続する場合は,次の CONNECT コマンドを使用します。


$ RUN SYS$SYSTEM:SYSGEN
SYSGEN> CONNECT CONSOLE
SYSGEN> EXIT

注意

このコマンドは,プラットフォームによって異なることがあります。特定のプラットフォームで利用可能なコンソール・コマンドの詳細については,VAX のインストールとアップグレードのマニュアルを参照してください。

ネットワーク通信用装置

VAX システムにネットワーク通信用論理装置を接続する場合は,使用するネットワーク・プロトコルに対応するスタートアップ・ファイルを実行します。次に,一般的なネット・スタック・スタートアップを示します。

@SYS$STARTUP:TCPIP$STARTUP ! TCP/IP Services
@SYS$STARTUP:NET$STARTUP ! DECnet-Plus
@SYS$STARTUP:STARTNET ! DECnet Phase IV

仮想ターミナル

仮想ターミナルの接続とそのデバイス・ドライバのロードについては, 第 8.6.2 項 を参照してください。

TCP/IP Services Telnet で使用するように仮想ターミナルを構成する方法については, 『Compaq TCP/IP Services for OpenVMS Management』 を参照してください。

イベント処理デバイス・ドライバ

コンパックが提供する SYS$SYSTEM:CONINTERR.EXE は,リアルタイム・プロセスが割り込みベクトルに接続して,リアルタイム・イベントに速やかに応答し,特別な処理を行えるようにするデバイス・ドライバです。このドライバは特定のタイプの装置には対応していません。詳細は,『OpenVMS VAX Device Support Manual』を参照してください (このマニュアルは, OpenVMS マニュアル CD-ROM に保管されています。


次は,VAX システムに接続されている装置を自動構成して,コンソール・ブロック記憶装置とネットワーク・ソフトウェア・デバイスを接続している例です。


$ RUN SYS$SYSTEM:SYSGEN
SYSGEN> AUTOCONFIGURE ALL
SYSGEN> CONNECT CONSOLE
SYSGEN> EXIT
$ @SYS$MANAGER:STARTNET

8.4.2 手動による装置の接続とデバイス・ドライバのロード (Alpha のみ)

Alpha システムの場合,装置の接続とデバイス・ドライバのロードを行うコマンドは, SYSMAN ユーティリティに含まれています。Alpha システム上で入出力構成の制御または表示を行う SYSMAN コマンドには,IO という接頭辞が付いています。

標準の装置の接続とデバイス・ドライバのロードには,できるかぎり IO AUTOCONFIGURE コマンドを使用してください。

IO AUTOCONFIGURE は,ネットワーク通信の論理装置に対しては装置を接続したり,デバイス・ドライバをロードしたりしません。また,この他にも IO AUTOCONFIGURE が接続やロードをしない装置やドライバもあります。

SYSMAN の IO CONNECT と IO LOAD コマンドを使えば,接続されていない装置や標準でない名前の装置を接続したり,デバイス・ドライバをロードしたりできます。

詳細は,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』および『Writing OpenVMS Alpha Device Drivers in C』の SYSMAN に関する記述を参照してください。

重要

IO CONNECT と IO LOAD コマンドを使用する際は十分注意してください。間違った使い方をすると,システムが正しく動作しないことがあります。

ネットワーク通信装置

Alpha システムにネットワーク通信用論理装置を接続する場合は,使用するネットワーク・プロトコルに対応するスタートアップ・ファイルを実行します。次に,一般的なネット・スタック・スタートアップを示します。

@SYS$STARTUP:TCPIP$STARTUP ! TCP/IP SERVICES
@SYS$STARTUP:NET$STARTUP ! DECnet-Plus
@SYS$STARTUP:STARTNET ! DECnet Phase IV


次は,物理的に Alpha システムに接続されている装置を自動構成して,ドライバをロードし,ネットワーク・ソフトウェア・デバイスを接続します。


SYSMAN> IO AUTOCONFIGURE ALL
SYSMAN> EXIT
$ @SYS$MANAGER:STARTNET

仮想ターミナル

仮想ターミナルの接続とそのデバイス・ドライバのロードについては, 第 8.6.2 項 を参照してください。

TCP/IP Services Telnet で使用するように仮想ターミナルを構成する方法については, 『Compaq TCP/IP Services for OpenVMS Management』 を参照してください。

8.4.3 装置の自動構成の禁止

装置の自動構成は,労力を軽減し,エラーの発生を防ぎます。しかし,次のような理由で自動構成を禁止したい場合もあります。

自動構成を禁止したい場合は, SYS$MANAGER:SYCONFIG.COM の最後に次のコマンド行を追加してください。


$ STARTUP$AUTOCONFIGURE_ALL == 0 

重要

SYCONFIG.COM の最終行で STARTUP$AUTOCONFIGURE_ALL を 0 に設定すると, STARTUP.COM の CONFIGURE フェーズが実行されません。その結果として,遠隔ノードの DSSI コントローラまたは HSC コントローラ (システム・ブート時に使用されるコントローラは除く) と MSCP サービス装置が使用できず,サテライト・ノードがネットワーク・デバイスとブート・ディスクにアクセスできなくなります。このために,サテライト・ノードのブートが不可能になることがあります。

自動構成を禁止し,遠隔ノードの HSC と MSCP サービス・デバイスの設定を行う場合は, SYCONFIG.COM の最後に次の行を追加します。


$ STARTUP$AUTOCONFIGURE_ALL == 0 
$ @SYS$SYSTEM:STARTUP CONFIGURE 
$ EXIT 

これらのコマンドは,自動構成を禁止し,STARTUP.COM の COFIGURE フェーズの実行を行います。

しかし,コマンド @SYS$SYSTEM:STARTUP CONFIGURE を SYCONFIG.COM に追加している場合,AUTOGEN は次のエラーを表示し失敗します。


%RUN-F-CREPRC, process creation failed 
-SYSTEM-F-DUPLNAM, duplicate name 

このエラーの原因は,SYCONFIG.COM が STARTUP.COM と AUTOGEN の両方から呼び出されたためです。AUTOGEN を実行するとき, CONFIGURE プロセスがすでに存在しています (このプロセスは,SYCONFIG.COM が STARTUP.COM によって実行されたとき起動されます)。AUTOGEN が SYCONFIG.COM を呼び出したとき,追加したコマンドは 2 番目の CONFIGURE プロセスを起動しようとします。このコマンドは失敗し,その結果 AUTOGEN も失敗します。

8.5 OpenVMS Alpha システムに対する装置の自動構成

自動構成 は,システム上のハードウェア装置の検出とそれに対する適切なデバイス・ドライバのロードを行う処理です。ファイル・ベースの自動構成は, OpenVMS Alpha がサードパーティ・ハードウェア装置を自動的に構成できる機能です。

OpenVMS Alpha バージョン 7.1 以降,装置構成テーブルは OpenVMS Alpha オペレーティング・システム・ディスク上の ASCII テキスト・ファイルから構築されるようになりました。適切な ASCII テキスト・ファイルにサードパーティ装置の簡単な記述を追加すると,サードパーティとエンド・ユーザは,コンパックがサポートする以外の装置を構成し,ユーザが作成したデバイス・ドライバをロードすることができます。

これ以降の項では,装置の構成方法を簡単に説明し,また,コンパックがサポートしない装置を構成するための新しいファイル・ベースの自動構成の方法を説明します。

8.5.1 装置構成とは

装置は,システム・コードがバス上にある装置の位置を特定し,その装置に名前を付け,デバイス・ドライバをロードすると,構成されます。装置が自動構成されると,これらのすべてのステップはユーザからの介入なしに行われます。

OpenVMS は,ブート処理中にバス固有の手法で装置を検出します。検出処理には,検出した装置についてのデータをバス固有のデータ構造で格納することも含まれています。これらのデータ構造は,既知装置の構成テーブルを検出するために後で使用されます。構成テーブルは,適切なドライバをロードし,接続するためのドライバ名,装置名,その他のパラメータを判断するために必要な情報を提供します。

OpenVMS Alpha の 7.1 よりも前のバージョンでは,構成テーブルは,OpenVMS カーネル内に構築されていたので,システム・イメージを置き換えないと変更することができませんでした。 OpenVMS Alpha バージョン 7.1 で,構成テーブルはシステム・ディスクの ASCII テキスト・ファイルから構築されるようになりました。 OpenVMS がサポートするすべての装置に対してシステム・ファイル (SYS$SYSTEM:SYS$CONFIG.DAT) が提供され,また,サードパーティ,レイヤード製品,ユーザ作成のすべてのデバイス・ドライバに対しては,ユーザ・ファイル (SYS$SYSTEM:SYS$USER_CONFIG.DAT) が提供されます。 システムは,ブート処理中にこれらのファイルを読み込み,これらのファイルを使って構成テーブル群を作成します。構成テーブルは,この後に続くハードウェア装置の自動構成に使用されます。構成テーブルは 2 つのファイルから構築され,バス・タイプごとに収集されるのですが,これらは既知装置の 1 つの論理的な構成テーブルとみなすことができます。

SYS$SYSTEM:SYS$USER_CONFIG.DAT ファイルによる装置の自動構成方法については, 第 8.5.2 項 を参照してください。

8.5.2 ファイル・ベースの自動構成の使用

ファイル・ベースの自動構成は,システムのブート時に次の 2 つのファイルを読み込んで既知装置の構成テーブルを構築します。

SYS$SYSTEM:SYS$USER_CONFIG.DAT
SYS$SYSTEM:SYS$CONFIG.DAT

両方のファイルは同じ形式を使用し,両方のファイルにあるデータはシステム上のバスそれぞれに対する構成テーブルを作成するために結合されます。 SYS$USER_CONFIG.DAT ファイルが先に読み込まれ,両方のファイルに重複した装置記述が含まれていないかがあらかじめ確認されます。単一のファイルに複数の装置記述が存在した場合,最初にある記述が使われます。

構成ファイルは装置記述ブロックから構成されており,そのそれぞれが装置に対する正しいデバイス・ドライバを構成するために必要な情報を提供しています。

装置記述ブロックは,それぞれ, DEVICE キーワードで始まり, END_DEVICE キーワードで終わる一連の文から構成されています。この 2 つのキーワードの間に,ハードウェア ID,装置名,ドライバ名,バス・タイプ,その他,必須情報または省略可能情報を定義する追加のキーワードがあります。

SYS$USER_CONFIG.DAT ファイルは ASCII テキスト・ファイルなので,可変長レコード・ファイルを取り扱う任意のユーティリティ (例えばテキスト・エディタや DCL コマンド) で処理できます。

注意

SYS$CONFIG.DAT ファイルは,読み込み専用であり,ユーザやサードパーティはこれを変更しないでください。このファイルはコンパックだけが変更できるものであり, OpenVMS のアップグレードによって置き換えられる可能性もあります。このファイルに不適切な編集を行うと,システムがブートできなくなることもあります。

8.5.2.1 SYS$USER_CONFIG.DAT への記述の追加

SYS$SYSTEM:SYS$USER_CONFIG.DAT 内の文は,次の一般形式を取ります。


KEYWORD =   値 

ここで,値は,文字列,引用符で囲まれた文字列,数値のいずれかになります。 END_DEVICE キーワードに関連する値はありません。例えば,ディスク以外の装置の最低限の記述は次のようになるでしょう。


DEVICE          = "My device" 
 NAME           = UU 
 DRIVER         = USER$UUDRIVER 
 ID             = 0x0005111 
 ADAPTER        = PCI 
 FLAGS          = NOVECTOR 
END_DEVICE 

この例で,装置記述は, PCI バス上でハードウェア ID 5111 (16 進) の装置が見つかったとき, UU という名前の装置を構成し,USER$UUDRIVER デバイス・ドライバをロードすることを示しています。また,この例は,デバイス・ドライバが割り込みベクタに接続しないことも指定しています (バス情報にベクタがある場合には,無視されます)。

上記の例が示す値に加えて,次の暗黙の値も指定できます。


UNITS           = 1 
NUM_VECTORS     = 1 

これらの値は,通常,単一のユニット・コントローラの省略値になります。

8.5.2.2 構成ファイルの構文

SYS$USER_CONFIG.DAT ファイルには次に示す構文規則が当てはまります。

8.5.2.3 装置記述

最低限の装置記述には,DEVICE,NAME,DRIVER,ADAPTER,END_DEVICE 文があります。次に示すキーワードはファイル・ベースの自動構成装置記述で定義されます。


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