OpenVMS
システム管理者マニュアル


前へ 次へ 目次 索引


14.4.2 非自動起動型実行キューの作成と起動

ここでは非自動起動型実行キューの作成と起動の方法について説明します。


次の例は,SYS$BATCH という名前でバッチ・キューを作成し,ノードLILITH: で起動する例です。


$ INITIALIZE/QUEUE/START/BATCH/ON=LILITH::SYS$BATCH

14.4.2.1 非自動起動キューの作成

非自動起動実行キューを作成するには,次の表に示すように, INITIALIZE/QUEUE コマンドに /ON 修飾子を指定します。

キューの種類 コマンド
出力キュー INITIALIZE/QUEUE /ON=ノード名:: 装置名: キュー名

ノード名:: には,キューを実行するノード名を指定すること。

装置名: には,キューの出力先となる出力装置名を指定する。

バッチ・キュー INITIALIZE/QUEUE/BATCH /ON=ノード名:: キュー名

バッチ・キューを作成するためには,/BATCH 修飾子を指定する必要がある。

ノード名:: には,キューを実行するノード名を指定すること。

14.4.2.2 非自動起動キューの起動

非自動起動キューは,次のいずれかの方法で起動しなければなりません。

14.4.3 汎用キューの作成と起動

この節では汎用キューの作成と起動の方法について説明します。

14.4.3.1 汎用キューの作成

汎用キーを作成するには,次の表に示すように, INITIALIZE/QUEUE コマンドに /GENERIC 修飾子を指定します。

キューの種類 コマンド
出力キュー INITIALIZE/QUEUE /GENERIC[=(キュー名[,...])] キュー名

/GENERIC 修飾子はキューが汎用キューであることを指定する。

最初の キュー名に対しては,汎用キューがジョブを送信する送信先の実行キューを指定する。

2 番目の キュー名に対しては,出力が送信される汎用キューを指定する。

バッチ・キュー INITIALIZE/QUEUE/BATCH /GENERIC[=(キュー名[,...]) キュー名

バッチ・キューを作成するには,/BATCH 修飾子を指定しなければならない。

キュー名に対しては,汎用キューがジョブを送信する送信先の実行キューを指定する。実行キューはバッチ・キューでなければならない。

上記の INITIALIZE/QUEUE コマンドの中のジョブを送る実行キュー・リストは省略することもできます。その場合は,INITIALIZE/QUEUE,START/QUEUE, SET QUEUE のいずれかのコマンドに /ENABLE_GENERIC 修飾子を指定することによって,汎用キューからジョブを受け取る実行キューを有効にします。ただし通常は,この方法はおすすめできません。システムの構成が単純な場合のみ,この方法を使用してください。


次の例では,汎用キュー (LN03_PRINT) を作成します。このコマンドには, LN03_PRINT がジョブを送信する送信先の実行キューが指定されています。


$ INITIALIZE/QUEUE/GENERIC=(LN03_1,LN03_2,LN03_3) LN03_PRINT

14.4.3.2 汎用キューの起動

汎用キューは,次のいずれかの方法で起動しなければなりません。

14.5 再ブート時の実行キューの再起動

フォーム,特性,キューに関する情報はキュー・データベースに格納されます。この理由から,ノードや OpenVMS Cluster システムが再ブートするたびに,フォーム,キュー,特性を作成する必要はありません。しかし,ノードを再ブートするたびに,非自動起動実行キューを起動し,自動起動機能を有効に設定しなければなりません。そのために,コマンド・プロシージャを作成します。

システム構成が単純な場合,一般にこのようなコマンドは,汎用的なサイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャ SYSTARTUP_VMS.COM に登録する方法もあります。ただし大量のコマンドが必要になる場合は,コマンド・プロシージャ・ファイルを別に作成し,それを SYSTARTUP_VMS.COM から実行するようにしてください。

ノードがシャットダウンされると,汎用キューは自動的に停止されます。したがって,スタートアップ・コマンドプロシージャに汎用キューの起動コマンドを入れる必要はありません。

14.6 キュー・オプションの使用

次の表は,キューに対して使用できるオプションを示しています。

オプション キューの種類 参照箇所
キュー・アクセス制御オプション バッチと出力 第 14.6.1 項
ジョブ保持オプション バッチと出力 第 14.6.2 項
キュー特性オプション バッチと出力 第 14.6.3 項
バッチ処理オプション バッチ 第 14.6.4 項
ジョブ・スケジューリング・オプション 出力 第 14.6.5 項
バナー・ページ・オプション 出力 第 14.6.6 項
フォーム・オプション 出力 第 14.6.7 項
ページあふれ制御オプションと行あふれ制御オプション 出力 第 14.6.7.8 項
初期改ページの抑制 出力 第 14.6.7.9 項
装置制御ライブラリ・オプション 出力 第 14.6.8 項

各オプションは次のいずれかの方法で指定します。

表 14-1 は,キュー・オプションを指定するために使用できる修飾子と,各オプションを指定できるキューのタイプを示しています。

表 14-1 キュー・オプション設定用の修飾子
修飾子 キュー
・タイプ
説明 参照箇所
/AUTOSTART_ON バッチと出力 自動起動型実行キューを作成して,キューが動作可能なノードを (出力キューの場合は装置も)指定する。 第 14.4.1 項
/BASE_PRIORITY バッチと出力 ジョブ・スケジューリング優先順位と異なる基本プロセス優先順位を指定する。 バッチ・キューの場合は,キューのジョブを実行するプロセスの基本優先順位,出力キューの場合は,シンビオント・プロセスの基本優先順位を指定する。 第 14.6.4.1 項
/BLOCK_LIMIT 出力 出力実行キューで処理可能なプリント・ジョブのサイズを制限する。 第 14.6.5.1 項
/CHARACTERISTIC
/CHARACTERISTICS
バッチと出力 キューの特性を指定する。 第 14.6.3 項
/CPUDEFAULT バッチ キューから実行されるバッチ・ジョブに対する省略時の CPU 時間割り当ての基本値を定義する。 第 14.6.4 項
/CPUMAXIMUM バッチ キューから実行されるバッチ・ジョブに対する最大 CPU 時間制限を定義する。 第 14.6.4 項
/DEFAULT 出力 PRINT コマンドのいくつかのオプションに対する省略時の値を設定する。この修飾子を使用してキューのオプションを設定しておくと,ユーザが PRINT コマンドでオプションを指定する必要がなくなる。ただし,ここで設定した省略時の値は PRINT コマンドで変更可能。設定可能な省略時のオプションは次のとおり。  
    BURST 第 14.6.6 項
    FEED 第 14.6.7.8 項
    FLAG 第 14.6.6 項
    FORM 第 14.6.7 項
    TRAILER 第 14.6.6 項
/DESCRIPTION バッチと出力 キューに関する情報をユーザに提供する文字列を定義する。  
/DEVICE 出力 出力実行キューのタイプを指定する。指定可能なキーワードは次のとおり。

PRINTER (省略時の設定)

TERMINAL

SERVER

第 14.7.1.1 項
/DISABLE_SWAPPING バッチ キューから実行するバッチ・ジョブをスワップ・イン,スワップ・アウトするかどうか指定する。 第 14.6.4 項
/FORM_MOUNTED 出力 出力実行キューに対するマウント・フォームを指定する。 第 14.6.7 項
/GENERIC バッチと出力 汎用キューを作成し,それがジョブを送り込む実行キュー名を指定する。 第 14.4.3.1 項
/JOB_LIMIT バッチ バッチ・キューから同時並行で実行可能なバッチ・ジョブ数を指定する。 第 14.6.4 項
/LIBRARY 出力 装置制御ライブラリのファイル名を指定する。 第 14.6.8 項
/NAME_OF_MANAGER バッチと出力 キューと関係のあるキュー・マネージャ名を指定する。 第 13.8 節
/NO_INITIAL_FF 出力 出力実行キューの識別子を指定し,出力実行キューに送られる初期改ページを抑制する。 第 14.6.7.9 項
/ON バッチと出力 非自動起動型実行キューを作成して,キューが動作可能なノードを (出力キューの場合は装置も) 指定する。 第 14.4.2.1 項
/OWNER_UIC バッチと出力 キューに対する UIC (利用者識別コード) を指定する。 第 14.6.1.2 項
/PROCESSOR 出力 出力実行キューで使用するシンビオントを指定する。省略時の設定は,標準オペレーティング・システムの標準プリント・シンビオント PRTSMB。 第 14.4.1 項
/PROTECTION バッチと出力 キューの保護コードを指定する。 第 14.6.1.2 項
/RAD バッチ キューに割り当てられたバッチ・ジョブを実行する RAD 番号を指定する。 第 14.6.4.8 項
/RECORD_BLOCKING 出力 出力装置に出力レコードを転送するときに,シンビオントによるレコード連結またはブロック化を許可するかどうか指定する。 第 14.4.1 項
/RETAIN バッチと出力 ジョブの実行後もキューにジョブを保持する。 第 14.6.2 項
/SCHEDULE 出力 キューに保留中のジョブのスケジューリングを,ジョブの大きさに基づいて行うかどうか指定する。 第 14.6.5 項
/SEPARATE 出力 出力実行キューに対するジョブ区切りまたはジョブ再設定オプションを指定する。ここで指定したオプションは,PRINT コマンドで変更可能。設定可能なオプションは次のとおり。  
    BURST 第 14.6.6 項
    FLAG 第 14.6.6 項
    RESET 第 14.6.8 項
    TRAILER 第 14.6.6 項
/WSDEFAULT バッチと出力 バッチ・キューの場合は,そこから実行されるバッチ・ジョブに対するワーキング・セット・サイズ,出力キューの場合は,シンビオント・プロセスに対するワーキング・セット・サイズを指定する。

この修飾子を使って値を設定した場合,キューにジョブを登録したユーザの UAF に定義されている値は無効になる。

第 14.6.4 項
/WSEXTENT バッチと出力 バッチ・キューの場合は,そこから実行されるバッチ・ジョブに対するワーキング・セット超過値,出力キューの場合は,シンビオント・プロセスに対するワーキング・セット超過値を指定する。

この修飾子を使って値を設定した場合,キューにジョブを登録したユーザの UAF に定義されている値は無効になる。

第 14.6.4 項
/WSQUOTA バッチと出力 バッチ・キューの場合は,そこから実行されるバッチ・ジョブに対するワーキング・セット・クォータ,出力キューの場合は,シンビオント・プロセスに対するワーキング・セット・クォータを指定する。

この修飾子を使って値を設定した場合,キューにジョブを登録したユーザの UAF に定義されている値は無効になる。

第 14.6.4 項

14.6.1 キューのアクセス制御

キューは永続的に機密保護管理をするオブジェクトです。キューはキューのセキュリティ・プロファイルとともにシステム・キュー・データベースに格納されます。

ファイルやディレクトリ同様,キューに対するアクセスを, UIC または ACL に基づく保護機構を使って制御することができます。

システムの機密保護を確立する方法については,『OpenVMS Guide to System Security』を参照してください。


前へ 次へ 目次 索引