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キューの設定を終えたら,キューを監視および制御し,必要ならば変更も行います。
また,キューの設定はスタートアップ時に制限されません。通常の操作を行っている間,必要に応じてキューを作成し,起動することができます。後でキューを設定する場合には, 第 14.4 節 の説明を参照してください。
後で追加出力キューを作成する場合には,次のことを確実に行ってください。
キューの作成と制御に使用される基本的なコマンドを 表 14-4 に示します。自動起動型であるか非自動起動型であるかの区別によって効果が異なるかどうかも説明しています。
コマンド | 効果 | |
---|---|---|
自動起動キュー | 非自動起動キュー | |
ASSIGN/MERGE | ジョブを別のキューに移す。 | ジョブを別のキューに移す。 |
ASSIGN/QUEUE | 論理キューのジョブを実行キューに送る。 | 論理キューのジョブを実行キューに送る。 |
DELETE/QUEUE | キューを削除する。 | キューを削除する。 |
DISABLE AUTOSTART/QUEUES | ジョブの終了を待ってから,ノード・リストに登録されていて次に使用可能なノードに,各自動起動型キューをフェールオーバさせる。リストが指定されていない場合,そのキューは停止させられる。 | なし |
ENABLE AUTOSTART/QUEUES | ノードで動作可能な,アクティブな停止中の自動起動型キューをすべて起動する。 | なし |
INITIALIZE/QUEUE | キューを作成する。 /AUTOSTART_ON 修飾子は,キューを実行できるノード(1 または複数) および装置を指定する。 | キューを作成する。キューを動作させるノード,またはノードと装置の指定には,/ON 修飾子を使用する。 |
INITIALIZE/QUEUE/START | キューを作成して,その自動起動機能をアクティブにする。 /AUTOSTART_ON 修飾子はキューを実行できるノード (1 または複数) および装置を指定する。 | キューを作成して,起動する。キューを動作させるノード,またはノードと装置の指定には,/ON 修飾子を使用する。 |
SET QUEUE | キューを変更する。 | キューを変更する。 |
SHOW QUEUE | キュー情報を表示する。 | キュー情報を表示する。 |
START/QUEUE | キューの自動起動機能をアクティブにする。 | キューを起動する。 |
STOP/QUEUE | キューを一時停止させる。 | キューを一時停止させる。 |
STOP/QUEUES/ON_NODE | キュー・マネージャを停止させることなく,ノードの現在のジョブを終了させ,すべてのキューを停止させる。 | キュー・マネージャを停止させることなく,ノードの現在のジョブを終了させ,すべてのキューを停止させる。 |
STOP/QUEUE/NEXT | 現在のジョブの終了を待ってから,キューを停止させ,その自動起動機能を非アクティブする。 | 現在のジョブの終了を待ってから,キューを停止させる。 |
STOP/QUEUE/RESET | ただちにキューを停止させ,その自動起動機能を非アクティブにする。 | ただちにキューを停止させる。 |
以降の節では,キューの管理におけるこれらの作業について説明しています。
作業 | 参照箇所 |
---|---|
キューの監視 | 第 14.7.1.1 項 |
キューの変更 | 第 14.7.1.2 項 |
キューの一時停止 | 第 14.7.1.3 項 |
キューのクローズ | 第 14.7.1.4 項 |
キューの停止 | 第 14.7.1.5 項 |
自動起動型キューの起動禁止 | 第 14.7.1.6 項 |
ノード上の自動起動の禁止 | 第 14.7.1.7 項 |
ノード上のすべてのキューの停止 | 第 14.7.1.8 項 |
システムのシャットダウン前のキューの停止 | 第 14.7.1.9 項 |
論理キューの割り当て | 第 14.7.1.10 項 |
別のキューへのすべてのジョブの移動 | 第 14.7.1.11 項 |
キューの削除 | 第 14.7.1.12 項 |
DCL の SHOW QUEUE コマンドを使用して,キューの状態を表示し,監視することができます。次の形式で SHOW QUEUE コマンドを入力します。
SHOW QUEUE [/ 修飾子 ,...] [ キュー名 ] |
修飾子とキュー名のどちらも省略された場合,システムは,そこに存在するすべてのキューと,コマンド実行者が所有するすべてのジョブの状態を表示します。修飾子には,キューのタイプや表示する情報量を指定することができます。
修飾子 | 説明 |
---|---|
/BY_JOB_STATUS
[= キーワード・リスト] |
指定された状態のジョブを保持しているキューを表示する。指定可能なキーワードは次のとおり。
EXECUTING キーワードが省略された場合,省略時の設定ではすべての状態のキューが表示される。ジョブ状態については, 表 14-6 を参照。 |
/BATCH | バッチ実行キューの状態を表示する。 |
/DEVICE[=
キーワード
・リスト ] |
出力実行キューを表示する。次のキーワードを指定することによって,表示する実行キューのタイプが選択可能。
PRINTER キーワードが省略された場合は,すべてのタイプの出力キューが表示される。 |
/GENERIC | 汎用キューの状態を表示する。 |
修飾子 | 説明 |
---|---|
/ALL_JOBS | 選択されたキューのすべてのジョブに関する情報を表示する。 |
/BRIEF | キューのジョブに関する情報を簡単なリスト形式で表示する。この形式は SHOW QUEUE コマンドの省略時の表示形式。 |
/FILES | 各ジョブに関係するファイルのリストも表示する。 |
/FULL | キューとジョブに関するすべての情報とともに,キューに設定されている ACL も表示する。 |
/SUMMARY | 動作中と保留中,保持中,保持,そして指定時刻解放ジョブの合計を表示する。ジョブ自体は表示されない。 |
いくつかの修飾子を組み合せることによって,表示するキューをもっと細かく指示することもできます。
SHOW QUEUE コマンドによって返されるキュー状態は, 表 14-5 に示すとおりです。
キュー状態 | 説明 |
---|---|
Aligning | キュー・マネージャが START/QUEUE/ALIGN コマンドを処理中である。 |
Autostart inactive | 停止しており,アクティブにする必要がある ( 第 14.8.4 項 を参照)。 |
Available | 少なくとも 1 つのジョブを処理中であるが,さらに同時に処理可能。 |
Busy | ジョブの処理中のため,これ以上ジョブは処理不可能。 |
Closed | クローズされており,オープンするまでジョブを受け付けられない ( 第 14.7.1.4 項 を参照)。 |
Device unavailable | 割り当てられている装置は使用不可。 |
Idle | ジョブ処理を行っておらず,処理可能な状態。 |
Paused | キュー・マネージャが STOP/QUEUE コマンドを処理中。 |
Pausing | キュー・マネージャが STOP/QUEUE コマンドを処理中。 |
Remote | 割り当てられている物理装置がローカル・システムに接続されていない。 |
Resuming | キュー・マネージャが休止中の START/QUEUE コマンドを処理中。 |
Server | キュー処理はサーバ・シンビオントに切り換え可能。 |
Stalled | 装置関連の問題でシンビオント処理が一時的に停止中。 |
Starting | 起動されたが,シンビオント・プロセスがアクティブではない。 |
Stopped | 停止中であり,起動されるまで処理は行われない。 |
Stop pending | 現在のジョブが実行終了すると,停止状態になる。 |
Stopping | 停止処理中。 |
システムで使用可能なフォームや特性を確認したい場合は,それぞれ DCL の SHOW QUEUE/FORM と SHOW QUEUE/CHARACTERISTIC コマンドを使用します。
コマンド・プロシージャで F$GETQUI レキシカル関数を使用すると,表示するキュー情報をさらに細かく指定することができます。F$GETQUI 関数は $GETQUI システム・サービスを起動し,キュー・データベースに保持されている情報を返します。
F$GETQUI レキシカル関数を使用して情報を得ることが可能なオブジェクトのタイプは次のとおりです。
特性
フォーム
キュー
キューに登録されているジョブ
キューに登録されているジョブのファイル
たとえば,すべてのプリンタ・キューにおける保留状態のジョブの総ブロック数を表示するコマンド・プロシージャを作成することができます。ジョブ情報やファイル情報を得るためには,ジョブに対する読み込みアクセス権,SYSPRV 権,OPER 権のいずれかを所有している必要があります。
F$GETQUI レキシカル関数が起動するシステム・サービス ($GETQUI) については,『OpenVMS System Services Reference Manual』を参照してください。
$ SHOW QUEUE/SUMMARY/DEVICE=(PRINTER,TERMINAL) Printer queue HERA_LPA0, busy, on HERA::LPA0, mounted form DEFAULT <Printer queue on node HERA for a line printer> Job summary: 1 executing Printer queue HERA_LPB0, busy, on HERA::LPB0, mounted form DEFAULT <Printer queue on node HERA for a line printer> Job summary: 1 executing Generic printer queue CLUSTER_PRINT <Generic printer queue for LPA0: and LPB0:> Job summary: 1 holding Terminal queue LQ_PRINT, stopped, on HERA::TXA7:, <Letter quality printer in Bob's office> mounted form PORTRAIT_INDENTED (stock=DEFAULT) Job summary: 2 pending (445 blocks), 1 holding |
$ SHOW QUEUE/FULL/ALL/BY_JOB_STATUS=EXECUTING Batch queue HERA_BATCH, available, on HERA:: /AUTOSTART_ON=(HERA::) /BASE_PRIORITY=3 /JOB_LIMIT=25 /OWNER=[SYSTEM] /PROTECTION=(S:M,O:D,G:R,W:R) Entry Jobname Username Status ----- ------- -------- ------ 700 VUE SMITH Executing Submitted 25-FEB-2000 14:46 /KEEP /NOLOG /NOPRINT /PRIORITY=100 File: _$333$DISK1:[SMITH.COM]VUE.COM;19 (executing) Batch queue ZZ_BATCH, available, on ZZ:: /AUTOSTART_ON=(ZZ::) /BASE_PRIORITY=3 /JOB_LIMIT=25 /OWNER=[SYSTEM] /PROTECTION=(S:M,O:D,G:R,W:R) Entry Jobname Username Status ----- ------- -------- ------ 874 PIPE FITZGERALD Executing Submitted 26-FEB-2000 11:25 /KEEP /NOTIFY /NOPRINT /PRIORITY=100 /RESTART=CLUSTER_BATCH /RETAIN=UNTIL="0 01:00" File: _$333$DISK1:[FITZGERALD]PIPE.COM;2 (executing) Server queue NM$QUE01, available, on HERA::, mounted form DEFAULT /BASE_PRIORITY=4 /DEFAULT=(FEED,FORM=DEFAULT) /OWNER=[DOC,SMITH] /PROCESSOR=NM$DAEMON /PROTECTION=(S:M,O:D,G:R,W:R) /RETAIN=ERROR Entry Jobname Username Blocks Status ----- ------- -------- ------ ------ 236 NM ROSENBERG 12 Processing Submitted 23-FEB-2000 08:42 /FORM=DEFAULT /PRIORITY=100 File: _$5$DISK3:[FOLK$.NM]NM$J1991072308340647.WRK;1 |
INITIALIZE/QUEUE,START/QUEUE,SET QUEUE のいずれかのコマンドを使用して,キュー・オプションを変更することができます。このとき,キュー・データベースのキュー情報は,変更に合わせて更新されます。 3 つのコマンドのうち,SET QUEUE コマンドを停止中のキューに対して使用することはできません。
SET QUEUE コマンドを使用すると,キューを停止させることなく,多くのキュー・オプションを変更することができます。動作中のバッチ・キュー SYS$BATCH を変更するコマンドの例を次に示します。
$ SET QUEUE/JOB_LIMIT=4/DISABLE_SWAPPING SYS$BATCH |
このコマンドでは,キューのジョブ制限を変更し,SYS$BATCH で処理されるすべてのジョブについてスワッピングを禁止しています。これ以外のキュー・オプションが変更されることはありません。変更したオプションが現在実行中のジョブに作用することはありませんが,以降のジョブはすべて,新しいオプションを有効にした状態で実行されます。
SET QUEUE コマンドで変更不可能なキュー・オプションは,次の手順で変更することができます。
既存のキューを初期設定することによって,キューに現在存在するジョブが削除されることはありません。INITIALIZE/QUEUE コマンドによって新たに設定したキュー・オプションは,キューで待ち状態になっているすべてのジョブ,あるいは以降キューに登録されたすべてのジョブに作用します。
バッチ・キューと出力キューに使用可能なオプションについては, 表 14-1 を参照してください。
14.7.1.3 キューの一時停止
DCL コマンド STOP/QUEUE を(修飾子を何も指定せずに)使用すると,キューに登録されているすべての現在のジョブの実行を一時的に停止させ,キューを一時停止状態にすることができます。 出力キューの場合は,一時停止させることによって,プリント・ジョブの配置コマンドや位置調整コマンドを,プリント・シンビオントに対して発行することが可能です。 SET/QUEUE コマンドによるプリント・ジョブの制御については, 第 14.7.2.7 項 で詳しく説明します。
一時停止させたキューの実行を再開する場合は,DCL の START/QUEUE コマンドを入力します。
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