OpenVMS
システム管理者マニュアル


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14.7.1.4 キューのクローズ

プリンタの修理などの理由でキューが長い時間使用不能になる場合は, SET QUEUE,INITIALIZE/QUEUE,START/QUEUE のいずれかのコマンドに /CLOSE 修飾子を指定すると,新しいジョブがキューに登録されるのを防ぐことができます。 すなわち,/CLOSE 修飾子は,ユーザが PRINT コマンドや SUBMIT コマンドでキューにジョブを登録するのを禁止します。ユーザがジョブをプリントしようとする,またはクローズされたキューにジョブを登録しようとすると,ジョブが拒否され,ユーザはキューがクローズされている旨の通知を受けます。


$ PRINT/QUE=$PRINTER_1 REPORT.TXT;
%PRINT-F-CREJOB, error creating job 
-JBC-E-QUE_CLOSED, queue closed, jobs not accepted

キューに現在あるジョブが影響を受けることはありません。

キューが使用可能になったら,/OPEN 修飾子を使用してキューをオープンし,ジョブのキュー登録を可能にします。

14.7.1.5 キューの停止

キューを停止させたい場合は,次のいずれかのコマンドを使用します。

コマンド 説明
STOP/QUEUE/NEXT 実行中のすべてのジョブの終了を待ってから,キューを停止する。このコマンドが入力された場合,新しいジョブは実行されない。
STOP/QUEUE/RESET キューをただちに停止させて,システムに制御を戻す。現在実行中のジョブはただちに停止する。

エラー終了したジョブの保持を設定していない場合は,このコマンドを使ってキューを停止する前に SET QUEUE/RETAIN=ERRORコマンドを入力すること。これにより,エラー終了したジョブに関する情報をキューに残すことができる。

プリント・ジョブに対してエラー発生時の保持を指定している場合は, SET ENTRY/RELEASE/NOCHECKPOINT コマンドを使用して,中断したジョブを最初から再起動できる。省略時の設定では,プリント・ジョブは再起動可能,バッチ・ジョブは再起動不可能。バッチ・ジョブを再起動可能にするためには, /RESTART 修飾子を指定してジョブをキュー登録しておくこと。

第 14.7.1.6 項 で説明するように,これらのコマンドは,自動起動キューに対してキューの自動起動を非アクティブ化します。停止中の非自動起動キューを再起動,または非アクティブ化されている自動起動キューのアクティブ化には START/QUEUE コマンドを入力してください。

14.7.1.6 自動起動型キューの起動禁止

自動起動型キューが存在するシステムで STOP/QUEUE/NEXT または STOP/QUEUE/RESET コマンドを実行すると, START/QUEUE コマンドを入力するまでキューが停止し,自動起動機能が非アクティブになります。

14.7.1.7 ノードの自動起動の禁止

DISABLE AUTOSTART/QUEUES コマンドは,ノードに対して次のことを行うようキュー・マネージャに指示します。

省略時の設定では,DISABLE AUTOSTART/QUEUES コマンドは,このコマンドが入力されたノードでのみ有効です。別のノードで自動起動機能を禁止するには,/ON_NODE 修飾子を指定します。

DISABLE AUTOSTART/QUEUES コマンドは,ノードをシャットダウンする前に使用します。詳細は 第 14.7.1.9 項 を参照してください。

14.7.1.8 ノードのすべてのキューの停止

キュー・マネージャを停止させずにノードのすべてのキューを停止したい場合は,DCL の STOP/QUEUES/ON_NODE コマンドを使用します。省略時の設定ではこのコマンドは,それが入力されたノードにしか作用しません。別のノードのキューを停止させたい場合は,次に示すように,/ON_NODE 修飾子の後に停止したいノード名を指定します。


STOP/QUEUES/ON_NODE=ノード名 

STOP/QUEUES/ON_NODE コマンドが入力されると,非自動起動型キューと,フェールオーバ・リストのない自動起動型キューが停止します。そしてフェールオーバ・リストを指定して作成または起動された自動起動型キューは,そのリストに登録されていて,自動起動機能が有効なノードのうちの次に使用可能なノードにフェールオーバします。

自動起動型キューで現在実行中のジョブを最後まで実行させたい場合は,DISABLE AUTOSTART/QUEUES コマンドを入力して,ジョブの終了を待ち,それから STOP/QUEUES/ON_NODE コマンドを入力してください。詳細は 第 14.7.1.9 項 を参照してください。

14.7.1.9 システムのシャットダウン前のキューの停止

シャットダウン・コマンド・プロシージャ SYS$SYSTE:SHUTDOWN.COM には次のコマンドが含まれており,SHUTWOND.COM を使用してノードをシャットダウンすると,自動的に実行されます。

ジョブ終了後の自動起動型キューの停止

STOP/QUEUES/ON_NODE コマンドはジョブを途中で終了させ,ノードのすべてのキューを停止します。一方,DISABLE AUTOSTART コマンドは自動起動型キューのジョブの終了を待ち,それから,フェールオーバか自動起動型キューの停止のいずれかの処理を行います。システムで自動起動型キューを使用している場合は,ジョブを終了させてから,それらキューを停止することをおすすめします。

SHUTDOWN.COM では,STOP/QUEUES/ON_NODE コマンドがノードのシャットダウンのすぐ前に実行されます。そして, DISABLE AUTOSTART/QUEUES コマンドとシャットダウンまでの間隔を指定することにより,自動起動型キューを停止する前にジョブが終了する猶予時間を与えることができます。

方法は次のいずれかです。

タイミング 方法
SHUTDOWN.COM の実行前 次の形式で論理名 SHUTDOWN$DISABLE_AUTOSTART を定義し,時間間隔 (単位: 分) を設定する。

DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE_MODE SHUTDOWN$DISABLE_AUTOSTART 分数

SHUTDOWN.COM の実行中 次の形式でシャットダウン・オプションに時間間隔 (単位: 分) を指定する。
Shutdown options [NONE]:DISABLE_AUTOSTART=分数

自動起動型キューのジョブ数やジョブ・タイプに基づいて適当な時間間隔を決定してください。

SHUTDOWN.COM を使用せずにノードをシャットダウンする場合は, DISABLE AUTOSTART/QUEUES コマンドを入力して,数分ほどジョブが終了するのを待ち,それから STOP/QUEUES/ON_NODE コマンドを入力することをおすすめします。

14.7.1.10 論理キューの割り当て

プリント装置に問題が発生した場合は,その装置に対応付けられているキューの内容を,正しく動作する装置に対応付けられているキューに移し換えることができます。この操作を実行するには,論理キューを作成します。ジョブを別のキューに移動するために論理キューを作成するには,次の手順に従ってください。

  1. 次の形式で STOP/QUEUE/NEXT コマンドを入力して,誤動作しているプリント装置に対応付けられているキューを停止させる。


    STOP/QUEUE/NEXT   キュー名[:] 
    


    このコマンドは新しいジョブの処理を禁止し,プリント装置が動作不能でないならば,現在のジョブが最後まで処理されるのを可能にする。装置が動作不能な場合は,STOP/QUEUE/RESET コマンドを使用してキューを停止し,ただちに装置へのすべての出力を取り消す。

  2. プリント装置をオフライン状態にする。

  3. 次の形式で ASSIGN/QUEUE コマンドを入力して,誤動作しているプリント装置の既存のジョブを別のプリント装置に移す。


    ASSIGN/QUEUE   キュー名[:]   論理キュー名[:] 
    


    新しいプリント装置のオプションに新しいジョブの処理に問題となるものがないか調べること。

論理キューの割り当て解除

論理キューを割り当て解除する場合は,次のコマンドを使用します。


DEASSIGN/QUEUE   論理キュー名[:] 

14.7.1.11 別のキューへのすべてのジョブの移動

キューを削除する前に,そこに登録されているすべてのジョブを別のキューに再登録したい場合があります。そうした場合は,次の形式の ASSIGN/MERGE コマンドを使用します。


ASSIGN/MERGE   ターゲット・キュー   ソース・キュー 

ターゲット・キューはジョブの移動先のキュー, ソース・キューは削除するキューです。

ASSIGN/MERGE コマンドは,ソース・キューに現在存在するすべてのジョブをターゲット・キューに移動します。削除前にソース・キューに新しいジョブが登録された場合,そのジョブはソース・キューに残り,ターゲット・キューに転送されません。したがって,ASSIGN/MERGE コマンドを入力する場合は, 第 14.7.1.4 項 で説明するように,キューをクローズして,新しいジョブがキューに登録されないようにしてください。

ジョブの出力先を変更する場合は, 第 14.7.1.10 項 で説明した ASSIGN/QUEUE コマンドを使用します。

14.7.1.12 キューの削除

キューを削除する手順は次のとおりです。

  1. STOP/QUEUE/NEXT コマンドを入力して,キューを停止させる (実行中のすべてのジョブを途中で終了したい場合は, STOP/QUEUE/RESET コマンドを使用すること)。

  2. 実行中のジョブが終了するのを待つ。

  3. キューで保留中のエントリを別のキューに再登録する。このステップを省略すると,キューと一緒にジョブも削除される。

  4. 削除するキューに対する汎用キューまたはジョブからの参照をすべて削除する。キューの参照の削除については, 第 14.8.5 項 を参照すること。

  5. DELETE/QUEUE コマンドを入力して,キューを削除する。

14.7.2 キューに登録されたジョブの管理

システム管理者は,バッチ・ジョブやプリント・ジョブの流れを制御したり,効率的なジョブ処理のパフォーマンスを維持する操作を行います。そうしたジョブ管理のために行う日常的な作業として,次の作業があります。

作業 参照箇所
ジョブの監視 第 14.7.2.1 項
ジョブ処理オプションの変更 第 14.7.2.2 項
ジョブの保持と解放 第 14.7.2.3 項
実行中のジョブのキュー再登録 第 14.7.2.4 項
保留中のジョブのキュー再登録 第 14.7.2.5 項
ジョブの削除 第 14.7.2.6 項
ジョブのプリント位置と位置調整の制御のための出力キューの一時停止 第 14.7.2.7 項

14.7.2.1 ジョブの監視

バッチおよびプリント・ジョブの状態を監視する場合は, DCL の SHOW ENTRY コマンドを使用します。ジョブの状態については, 表 14-6 を参照してください。

次の形式で SHOW ENTRY コマンドを入力します。


SHOW ENTRY   [ エントリ番号 [,...]],   [ ジョブ名 [,...]] 

エントリ番号もジョブ名も省略された場合,システムは,コマンドを入力したユーザまたは /USER_NAME 修飾子に指定されたユーザが所有するすべてのジョブの状態を表示します。また,ジョブ名が指定された場合は,コマンドを入力したユーザあるいは /USER_NAME 修飾子に指定されたユーザが所有するジョブのうち,指定された文字列に一致するジョブの状態を表示します。コマンド行にエントリ番号またはジョブ名のリスト,あるいはその両方を指定することによって,複数のジョブの状態を表示することもできます。

SHOW ENTRY コマンドには,表示するジョブ情報のタイプを指示する修飾子を指定することもできます。詳細は『Compaq OpenVMS DCL ディクショナリ』を参照してください。

表 14-6 は,SHOW ENTRY コマンドによって返されるジョブ状態をまとめたものです。

表 14-6 SHOW ENTRY が返すジョブ状態
状態 説明
Aborting 実行中のジョブが正常終了の前に停止し,処理が継続されない。
Executing バッチ・キューから実行中。
Holding 明示的に解放指示があるまで保持 ( 第 14.7.2.3 項 を参照)。
Pending 実行待ち ( 第 14.8.2 項 を参照)。
Printing プリンタまたはターミナル・キューから実行中。
Processing サーバ・キューから実行中。
Retained 実行終了までキューに残されているジョブ( 第 14.6.2.3 項 を参照)。
Stalled or Suspended 処理中にジョブが停止した。ただし,原因が解決されれば処理は継続される。
Starting ジョブの処理が開始されるところ。
Timed_release ジョブは指定された時間だけ実行前にキューで保持される。


  1. 次の例では,GARDNER というユーザが所有するジョブの状態を表示している。


    $ SHOW ENTRY/USER_NAME=GARDNER
      Entry  Jobname         Username     Blocks  Status 
      -----  -------         --------     ------  ------ 
          4  TEST            GARDNER              Holding 
             On available batch queue OPAL_BATCH 
     
        611  SET             GARDNER         140  Pending 
             On stopped printer queue LQPRINT
    

  2. 次の例では,/FULL 修飾子を指定して,ジョブ状態情報とジョブのキュー登録時刻,ファイル指定,ジョブ処理オプションを表示するよう指示している。


    $ SHOW ENTRY/FULL 4,611
      Entry  Jobname         Username     Blocks  Status 
      -----  -------         --------     ------  ------ 
          4  TEST            GARDNER              Holding 
             On available batch queue OPAL_BATCH 
             Submitted 15-JAN-2000 16:12 /LOG=_$5$DUA1:[GARDNER]TEST.LOG; 
             /PRIORITY=100 
             File: _$5$DUA1:[GARDNER]TEST.COM;8 
     
        611  SET             GARDNER         140  Pending (queue stopped) 
             On stopped printer queue LQPRINT 
             Submitted 21-JAN-2000 16:23 /FORM=DEFAULT /PRIORITY=200 
             File: _$5$DUA1:[GARDNER]SET.TXT;5 
             File: _$5$DUA1:[GARDNER]WAIT.TXT;1
    

14.7.2.2 ジョブ処理オプションの変更

多くのジョブ処理オプションは,次の形式で SET ENTRY コマンドを使用することによって変更することができます。


SET ENTRY/ 修飾子 [,...]   エントリ番号 

表 14-7 は,ジョブ処理オプションの変更でよく使用される修飾子をまとめたものです。 SET ENTRY コマンドで変更可能なすべての処理オプションについては,『Compaq OpenVMS DCL ディクショナリ』を参照してください。

表 14-7 ジョブ変更用の SET ENTRY 修飾子
修飾子 説明 参照箇所
/[NO]AFTER= 時刻 指定時刻になるまでジョブを保持するかどうか指示する 第 14.7.2.3 項
/CHARACTERISTICS
=( 特性[,...])
バッチまたはプリント・ジョブに割り当てられている特性の名前または番号を指定する 第 14.6.3 項
/FORM= フォーム名 プリント・ジョブに対応付けるフォームの名前または番号を指定する 第 14.6.7 項
/[NO]HOLD ジョブをただちに処理可能な状態にするか,または解放要求があるまで保持するかを指示する 第 14.7.2.3 項
/PRIORITY= n ジョブのスケジューリング優先順位を指定する 第 14.6.5.2 項
/RELEASE 保持されていたジョブを解放する 第 14.7.2.3 項
/REQUEUE= キュー名[:] ジョブを指定キューに移すように要求する。 STOP/QUEUE/REQUEUE/ENTRY と同様。 第 14.7.2.5 項
/RESTART システム障害の発生後,または STOP/QUEUE/REQUEUE コマンドの実行後に,バッチまたはプリント・ジョブを再起動するかどうかを指定する。プリント・ジョブは省略時の設定で再起動可能。バッチ・ジョブは, /RESTART 修飾子をキュー登録されるか,または変更された場合にだけ再起動できる。  


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