OpenVMS
システム管理者マニュアル


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17.9.2.2 LIBDECOMP.COM の会話型での使用

ライブラリ復元ユーティリティを実行するための基本的なコマンドは,次のとおりです。


@SYS$UPDATE:LIBDECOMP [parameters] 

ライブラリ復元ユーティリティでは,最大で 8 つのオプションのパラメータを使用できます。最初のパラメータは,このユーティリティの 3 つの機能のうち,どれを実行するかを制御します。他のパラメータは,このユーティリティがどのライブラリを処理するかを制御します。これら 3 つの機能については,この後のセクションで説明します。

簡単なオンライン・ヘルプを表示するには,次のコマンドを入力します。


$ @SYS$UPDATE:LIBDECOMP HELP 

17.9.2.2.1 ライブラリのリスト

ライブラリ復元ユーティリティが認識できるすべての VAX および Alpha ライブラリを,それらのサイズおよびシステムでの状態も共にリストするには,次のようにコマンドの中で LIST パラメータを指定します。


$ @SYS$UPDATE:LIBDECOMP LIST 

コマンドを実行した結果表示されるリストには, VAX または Alpha システムに付属していないため,または関連付けられている機能がシステムにインストールされていないために,現在使用しているシステムにはないライブラリがどれであるかが示されます。現在使用しているシステムにあるライブラリについては,そのサイズおよび現在の状態 (縮小されているか展開されているか) がリストに表示されます。次の例は, Alpha システムでの出力例を示しています (注: ファイル・サイズは変わる可能性があります。最も正確な情報については,現在使用しているシステムでの LIST の出力を参照してください)。


$ @SYS$UPDATE:LIBDECOMP LIST 
 
                 OpenVMS Library Decompression Utility 
                List of all libraries known to LIBDECOMP 
      "Library not present" indicates not installed on this system 
 
Libraries in SYS$SYSROOT: 
 
     Library                     Size 
 
  1) [SYSHLP]ACLEDT.HLB            70   Reduced format 
  2) [SYSHLP]BKM$HELP.HLB         156   Reduced format 
  3) [SYSHLP]DBG$HELP.HLB        1234   Reduced format 
  4) [SYSHLP]DBG$UIHELP.HLB       269   Reduced format 
  5) [SYSHLP]EDTHELP.HLB          154   Reduced format 
  6) [SYSHLP]EVE$HELP.HLB         676   Reduced format 
  7) [SYSHLP]EVE$KEYHELP.HLB       99   Reduced format 
  8) [SYSHLP]EXCHNGHLP.HLB         83   Reduced format 
  9) [SYSHLP]HELPLIB.HLB         9179   Reduced format 
 10) [SYSHLP]LANCP$HELP.HLB       119   Reduced format 
 11) [SYSHLP]LATCP$HELP.HLB       157   Reduced format 
 12) [SYSHLP]MAILHELP.HLB         211   Reduced format 
 13) [SYSHLP]NCPHELP.HLB          261   Reduced format 
 14) [SYSHLP]SDA.HLB              308   Reduced format 
 15) [SYSHLP]SHWCLHELP.HLB        103   Reduced format 
 16) [SYSHLP]SYSGEN.HLB           337   Reduced format 
 17) [SYSHLP]SYSMANHELP.HLB       492   Reduced format 
 18) [SYSHLP]TPUHELP.HLB          575   Reduced format 
 19) [SYSHLP]UAFHELP.HLB          241   Reduced format 
 20) [SYSLIB]LANIDEF.MLB          181   Reduced format 
 21) [SYSLIB]LIB.MLB             2715   Reduced format 
 22) [SYSLIB]STARLET.MLB         2335   Reduced format 
 23) [SYSLIB]SYSBLDMLB.MLB                            Library not present 
 24) [SYSLIB]DECCRTL.OLB                              Library not present 
 25) [SYSLIB]STARLET.OLB        27461   Reduced format 
 26) [SYSLIB]SYSBLDLIB.OLB                            Library not present 
 27) [SYSLIB]VAXCRTL.OLB         1163   Reduced format 
 28) [SYSLIB]VAXCRTLD.OLB        1587   Reduced format 
 29) [SYSLIB]VAXCRTLDX.OLB       1506   Reduced format 
 30) [SYSLIB]VAXCRTLT.OLB        1434   Reduced format 
 31) [SYSLIB]VAXCRTLTX.OLB       1449   Reduced format 
 32) [SYSLIB]VAXCRTLX.OLB        1285   Reduced format 
 33) [SYSLIB]ERFLIB.TLB            64   Reduced format 
 34) [SYSLIB]LIB_ADA_SUBSET.TLB 
                                 1839   Reduced format 
 35) [SYSLIB]NTA.TLB               34   Reduced format 
 36) [SYSLIB]STARLETSD.TLB       3940   Reduced format 
 37) [SYSLIB]SYS$LIB_C.TLB       9442   Reduced format 
 38) [SYSLIB]SYS$STARLET_C.TLB 
                                 5864   Reduced format 
 39) [SYSLIB]VMS$VOLATILE_PRIVATE_INTERFACES.OLB 
                                  445   Reduced format 
 40) [SYSLIB]STARLET_RECENT_ADA_SUBSET.TLB 
                                 1100   Reduced format 
 
 Total Libraries:  37           78568 

17.9.2.2.2 ライブラリの展開 (復元)

LIBDECOMP.COM の省略時の処理は,展開機能です。 EXPAND をコマンド行の最初のパラメータとして指定することもできますが,特に必要はありません。最初のパラメータが LIST または REDUCE である場合を除いて,省略時には展開機能が使用されます。

展開機能が使用される場合には,残りのパラメータは,どのライブラリが展開されるかを指定します。 ALL を指定して,ライブラリ復元ユーティリティが認識できるすべてのライブラリを展開することもできますが,ライブラリ名を 8 つまで (EXPAND を指定した場合には 7 つまで) 指定することもできます。ワイルドカード文字は,許可されていません。指定されるライブラリは,このユーティリティが認識できるものでなければなりません (他のどのライブラリも,展開するには, 第 17.9.3 項 で説明するように, LIBRARY コマンドを使用しなければなりません)。 ALL またはライブラリのリストを指定しない場合, LIBDECOMP.COM は,展開するライブラリを選択するよう指示するプロンプトを表示します。このプロンプトに対しては,いくつでもライブラリを指定することができます。

注意

LIBDECOMP.COM が認識できるすべてのライブラリを展開または縮小するには,通常およそ 5 〜 10 分かかります。ただし,現在使用しているシステムのハードウェアおよびソフトウェア構成,およびその他の実行状態によっては,最大で 30 分以上になる場合もあるなど,さらに長くかかることがあります。

展開機能を使用すると,次の OpenVMS Alpha の例で表示される内容に似たものが表示されます。ヘッダ行が表示された後,LIBDECOMP.COM がそれぞれのライブラリをチェックする間,一時停止します。


                 OpenVMS Library Decompression Utility 
                   Candidate Libraries to be expanded 
   (Libraries not present and libraries already expanded are not listed) 
 
     1  ACLEDT.HLB           13  NCPHELP.HLB          25  VAXCRTLD.OLB 
     2  BKM$HELP.HLB         14  SDA.HLB              26  VAXCRTLDX.OLB 
     3  DBG$HELP.HLB         15  SHWCLHELP.HLB        27  VAXCRTLT.OLB 
     4  DBG$UIHELP.HLB       16  SYSGEN.HLB           28  VAXCRTLTX.OLB 
     5  EDTHELP.HLB          17  SYSMANHELP.HLB       29  VAXCRTLX.OLB 
     6  EVE$HELP.HLB         18  TPUHELP.HLB          30  ERFLIB.TLB 
     7  EVE$KEYHELP.HLB      19  UAFHELP.HLB          31  LIB_ADA_SUBSET.TLB 
     8  EXCHNGHLP.HLB        20  LANIDEF.MLB          32  NTA.TLB 
     9  HELPLIB.HLB          21  LIB.MLB              33  STARLETSD.TLB 
    10  LANCP$HELP.HLB       22  STARLET.MLB          34  SYS$LIB_C.TLB 
    11  LATCP$HELP.HLB       23  STARLET.OLB          35  SYS$STARLET_C.TLB 
    12  MAILHELP.HLB         24  VAXCRTL.OLB 
 
         36  VMS$VOLATILE_PRIVATE_INTERFACES.OLB 
         37  STARLET_RECENT_ADA_SUBSET.TLB 
 
          A  ALL libraries to be expanded 
          H  Display HELP information for LIBDECOMP 
          E  EXIT this procedure 

ALL を指定した場合,次のメッセージが表示され,ライブラリ復元ユーティリティは,リストされているすべてのライブラリを展開します。


"ALL" specified; all libraries will be processed 

ALL を指定しない場合,次のプロンプトが表示されます。


* Enter a letter or the number(s) of libraries to be expanded 
  (Separate multiple numbers with a comma) 

A,H,E,または 1 つまたは複数の数字を入力して,展開するライブラリを指定します。指定できる数字の制限はありません。

展開する特定のライブラリを識別するパラメータを入力した場合, LIBDECOMP.COM が実行されても,例で示されているようなりストは表示されません。それぞれのライブラリは,処理されるたびにリストされます。


17.9.2.2.3 ライブラリの縮小 (圧縮)

コマンド行で最初のパラメータとして REDUCE を指定して LIBDECOMP.COM を実行すると,展開されていたライブラリが縮小されます。

REDUCE の後に ALL を指定して,ライブラリ復元ユーティリティが認識できるすべてのライブラリを縮小することも,最大で 7 つまでのライブラリを指定することもできます。ワイルドカード文字は,許可されていません。

ALL または少なくとも 1 つのライブラリの名前を指定しないと,LIBDECOMP.COM は,縮小するライブラリの名前を入力するようプロンプトを表示します。このプロンプトに対してリストできるライブラリの数に制限はありません。

縮小機能を使用すると,展開機能を使用した場合に似た内容が表示されますが,縮小できるライブラリだけが表示される点が異なります。


17.9.2.3 バッチ・モードでの LIBDECOMP.COM の使用

次のように, DCL コマンド SUBMIT に /PARAMETERS 修飾子を使用することによって,ライブラリ復元ユーティリティをバッチ・キューに登録することができます。


SUBMIT SYS$UPDATE:LIBDECOMP /PARAMETERS=(p1[,p2,...]) 

バッチ・プロシージャを実行すると会話型プロシージャと同じ結果が生成されますが,バッチ・ジョブの場合,HELP,LIST, ALL または少なくとも 1 つのライブラリ名を指定する必要があります。バッチ・ジョブは,入力するようプロンプトを表示することができないためです。

パラメータは最大で 8 つまで指定することができます。複数のパラメータを指定した場合,それらのパラメータは丸括弧で囲み,それぞれをコンマで区切る必要があります。


17.9.3 LIBRARY コマンドでの /DATA 修飾子の使用

ライブラリ復元ユーティリティを使用せずに個々のライブラリを展開または縮小する方法としては, DCL コマンド LIBRARY に /DATA 修飾子を使用する方法があります。この方法では,1 つの LIBRARY コマンドで指定できるライブラリは 1 つだけです。

LIBDECOMP.COM は,データ縮小形式で付属する約 40 個のライブラリに対してのみ実行できますが, LIBRARY コマンドは,ほとんど どの ライブラリ・ファイルでも,展開または縮小することができます。ただし,ライブラリ・タイプ (ファイル拡張子) は,OpenVMS Librarian ユーティリティが認識できるものでなければなりません。以下のシステム・ライブラリは,縮小しないでください。

指定されたライブラリを展開するには,次のコマンド形式を使用します。


LIBRARY library-name.ext /DATA=EXPAND 

指定されたライブラリを縮小するには,次のコマンド形式を使用します。


LIBRARY library-name.ext /DATA=REDUCE 

ライブラリの拡張子 (.HLB,.MLB,.OLB,または .TLB) は,常に指定しなければなりません。

指定されたライブラリが現在の省略時のデバイスおよびディレクトリにない場合には,ライブラリ指定の中でデバイスおよびディレクトリも指定しなければなりません。ほとんどのシステム・ライブラリは,次の例のように, SYS$HELP ([SYSHLP]) または SYS$LIBRARY ([SYSLIB]) にあります。


$ LIBRARY [SYSHLP]HELPLIB.HLB /DATA=EXPAND 

LIBRARY コマンドのその他の修飾子についての詳細は, LIBRARY のオンライン・ヘルプまたは『OpenVMS Command Definition, Librarian, and Message Utilities Manual』を参照してください。

17.10 INSTALL による既知イメージのインストール

Install ユーティリティ (INSTALL) は,イメージに関する情報をメモリに格納します。 INSTALL は次の目的で使用します。

目的 参照箇所
同時に使用されるイメージが消費するメモリを節約する 第 17.10.7 項
システム性能を向上させる 第 17.10.5 項
++Alpha システムにおいて,共用アドレス・データのあるイメージを使用することで性能を向上させる 第 17.10.6 項
拡張特権が必要な実行可能イメージを一般的に利用可能にする 第 17.10.8.1 項
非特権イメージが,共用イメージの特権機能を呼び出せるようにする 第 17.10.8.2 項
強要イメージが特権実行可能イメージにより起動できるように保護マークを付ける 第 17.10.9 項


++Alpha のみ

サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャ STARTUP.COM により,システム・ブート時に INSTALL を使用していくつかのシステム・プログラムがインストールされます。それ以外のプログラムを必要に応じてインストールする場合は,INSTALL を使用します。

このようにメモリにインストールして使用するイメージ (インストール済みイメージ) は,システムの再ブートのたびにインストールしなおす必要があります。そのため,サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャ SYSTARTUP_VMS.COM に必要な INSTALL コマンドを追加します。詳細は 第 5.2.7 項 を参照してください。

Install ユーティリティ (INSTALL) は, /NOTRACEBACK 修飾子でリンクされたイメージだけをインストールします。

INSTALL コマンドの機能は SYSGEN ユーティリティの INSTALL コマンドと異なる点に注意してください。

次に,インストール済みイメージの概念と Install ユーティリティの使用法を説明します。

17.10.1 イメージおよび既知イメージについて

イメージとは,実行可能プログラムを形成するために Linker ユーティリティによって結合されたプロシージャとデータの集まりです。実行可能イメージはプロセス内で,あるいはコマンド・ライン・インタプリタ (CLI) または $CREPRC システム・サービスによって,実行できます。通常,実行可能プログラムのファイル・タイプは .EXE です。

イメージには次の 3 つのタイプがあります。

イメージ・
タイプ
説明
実行可能 リンカで /EXECUTABLE 修飾子を指定して (あるいは /SHAREABLE 修飾子を指定しないで) リンクされたイメージ。詳細は『OpenVMS Linker Utility Manual』を参照。
共用可能 Linker ユーティリティで /SHAREABLE 修飾子を指定してリンクされたイメージ。共用可能イメージは,別のファイルのリンクの入力ファイルとして,暗黙的あるいは明示的に指定できることから,リンク可能イメージと呼ばれることもある。共用可能イメージは,それにリンクする実行可能イメージにはコピーされない。したがって,リンク実行可能イメージの数に関わらず,ディスク上には共用可能イメージが 1 つだけ存在すればよい。詳細は『OpenVMS Linker Utility Manual』を参照。
システム オペレーティング・システムの制御のもとで実行しないイメージ。スタンドアロン動作だけを目的とする。システム・イメージの内容と形式は,共用可能イメージおよび実行可能イメージと異なる。詳細は『OpenVMS Linker Utility Manual』を参照。

INSTALL によってイメージをインストールすると,そのイメージには属性が割り当てられ,システムにとって「既知」のものになります。このため,インストール済みイメージは 既知イメージとも呼ばれます。

イメージ・アクティベータは,既知イメージを優先するために,検索リストを2 つのパスで処理します。検索リストの 1 回目の検索で,イメージ・アクティベータは既知ファイルとしてイメージを探します。必要な場合,検索リストの 2 回目の検索で,イメージ・アクティベータはディスク上でイメージを探します。


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