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ライブラリ復元ユーティリティを実行するための基本的なコマンドは,次のとおりです。
@SYS$UPDATE:LIBDECOMP [parameters] |
ライブラリ復元ユーティリティでは,最大で 8 つのオプションのパラメータを使用できます。最初のパラメータは,このユーティリティの 3 つの機能のうち,どれを実行するかを制御します。他のパラメータは,このユーティリティがどのライブラリを処理するかを制御します。これら 3 つの機能については,この後のセクションで説明します。
簡単なオンライン・ヘルプを表示するには,次のコマンドを入力します。
$ @SYS$UPDATE:LIBDECOMP HELP |
ライブラリ復元ユーティリティが認識できるすべての VAX および Alpha ライブラリを,それらのサイズおよびシステムでの状態も共にリストするには,次のようにコマンドの中で LIST パラメータを指定します。
$ @SYS$UPDATE:LIBDECOMP LIST |
コマンドを実行した結果表示されるリストには, VAX または Alpha システムに付属していないため,または関連付けられている機能がシステムにインストールされていないために,現在使用しているシステムにはないライブラリがどれであるかが示されます。現在使用しているシステムにあるライブラリについては,そのサイズおよび現在の状態 (縮小されているか展開されているか) がリストに表示されます。次の例は, Alpha システムでの出力例を示しています (注: ファイル・サイズは変わる可能性があります。最も正確な情報については,現在使用しているシステムでの LIST の出力を参照してください)。
$ @SYS$UPDATE:LIBDECOMP LIST
OpenVMS Library Decompression Utility
List of all libraries known to LIBDECOMP
"Library not present" indicates not installed on this system
Libraries in SYS$SYSROOT:
Library Size
1) [SYSHLP]ACLEDT.HLB 70 Reduced format
2) [SYSHLP]BKM$HELP.HLB 156 Reduced format
3) [SYSHLP]DBG$HELP.HLB 1234 Reduced format
4) [SYSHLP]DBG$UIHELP.HLB 269 Reduced format
5) [SYSHLP]EDTHELP.HLB 154 Reduced format
6) [SYSHLP]EVE$HELP.HLB 676 Reduced format
7) [SYSHLP]EVE$KEYHELP.HLB 99 Reduced format
8) [SYSHLP]EXCHNGHLP.HLB 83 Reduced format
9) [SYSHLP]HELPLIB.HLB 9179 Reduced format
10) [SYSHLP]LANCP$HELP.HLB 119 Reduced format
11) [SYSHLP]LATCP$HELP.HLB 157 Reduced format
12) [SYSHLP]MAILHELP.HLB 211 Reduced format
13) [SYSHLP]NCPHELP.HLB 261 Reduced format
14) [SYSHLP]SDA.HLB 308 Reduced format
15) [SYSHLP]SHWCLHELP.HLB 103 Reduced format
16) [SYSHLP]SYSGEN.HLB 337 Reduced format
17) [SYSHLP]SYSMANHELP.HLB 492 Reduced format
18) [SYSHLP]TPUHELP.HLB 575 Reduced format
19) [SYSHLP]UAFHELP.HLB 241 Reduced format
20) [SYSLIB]LANIDEF.MLB 181 Reduced format
21) [SYSLIB]LIB.MLB 2715 Reduced format
22) [SYSLIB]STARLET.MLB 2335 Reduced format
23) [SYSLIB]SYSBLDMLB.MLB Library not present
24) [SYSLIB]DECCRTL.OLB Library not present
25) [SYSLIB]STARLET.OLB 27461 Reduced format
26) [SYSLIB]SYSBLDLIB.OLB Library not present
27) [SYSLIB]VAXCRTL.OLB 1163 Reduced format
28) [SYSLIB]VAXCRTLD.OLB 1587 Reduced format
29) [SYSLIB]VAXCRTLDX.OLB 1506 Reduced format
30) [SYSLIB]VAXCRTLT.OLB 1434 Reduced format
31) [SYSLIB]VAXCRTLTX.OLB 1449 Reduced format
32) [SYSLIB]VAXCRTLX.OLB 1285 Reduced format
33) [SYSLIB]ERFLIB.TLB 64 Reduced format
34) [SYSLIB]LIB_ADA_SUBSET.TLB
1839 Reduced format
35) [SYSLIB]NTA.TLB 34 Reduced format
36) [SYSLIB]STARLETSD.TLB 3940 Reduced format
37) [SYSLIB]SYS$LIB_C.TLB 9442 Reduced format
38) [SYSLIB]SYS$STARLET_C.TLB
5864 Reduced format
39) [SYSLIB]VMS$VOLATILE_PRIVATE_INTERFACES.OLB
445 Reduced format
40) [SYSLIB]STARLET_RECENT_ADA_SUBSET.TLB
1100 Reduced format
Total Libraries: 37 78568
|
LIBDECOMP.COM の省略時の処理は,展開機能です。 EXPAND をコマンド行の最初のパラメータとして指定することもできますが,特に必要はありません。最初のパラメータが LIST または REDUCE である場合を除いて,省略時には展開機能が使用されます。
展開機能が使用される場合には,残りのパラメータは,どのライブラリが展開されるかを指定します。 ALL を指定して,ライブラリ復元ユーティリティが認識できるすべてのライブラリを展開することもできますが,ライブラリ名を 8 つまで (EXPAND を指定した場合には 7 つまで) 指定することもできます。ワイルドカード文字は,許可されていません。指定されるライブラリは,このユーティリティが認識できるものでなければなりません (他のどのライブラリも,展開するには, 第 17.9.3 項 で説明するように, LIBRARY コマンドを使用しなければなりません)。 ALL またはライブラリのリストを指定しない場合, LIBDECOMP.COM は,展開するライブラリを選択するよう指示するプロンプトを表示します。このプロンプトに対しては,いくつでもライブラリを指定することができます。
LIBDECOMP.COM が認識できるすべてのライブラリを展開または縮小するには,通常およそ 5 〜 10 分かかります。ただし,現在使用しているシステムのハードウェアおよびソフトウェア構成,およびその他の実行状態によっては,最大で 30 分以上になる場合もあるなど,さらに長くかかることがあります。 |
展開機能を使用すると,次の OpenVMS Alpha の例で表示される内容に似たものが表示されます。ヘッダ行が表示された後,LIBDECOMP.COM がそれぞれのライブラリをチェックする間,一時停止します。
OpenVMS Library Decompression Utility
Candidate Libraries to be expanded
(Libraries not present and libraries already expanded are not listed)
1 ACLEDT.HLB 13 NCPHELP.HLB 25 VAXCRTLD.OLB
2 BKM$HELP.HLB 14 SDA.HLB 26 VAXCRTLDX.OLB
3 DBG$HELP.HLB 15 SHWCLHELP.HLB 27 VAXCRTLT.OLB
4 DBG$UIHELP.HLB 16 SYSGEN.HLB 28 VAXCRTLTX.OLB
5 EDTHELP.HLB 17 SYSMANHELP.HLB 29 VAXCRTLX.OLB
6 EVE$HELP.HLB 18 TPUHELP.HLB 30 ERFLIB.TLB
7 EVE$KEYHELP.HLB 19 UAFHELP.HLB 31 LIB_ADA_SUBSET.TLB
8 EXCHNGHLP.HLB 20 LANIDEF.MLB 32 NTA.TLB
9 HELPLIB.HLB 21 LIB.MLB 33 STARLETSD.TLB
10 LANCP$HELP.HLB 22 STARLET.MLB 34 SYS$LIB_C.TLB
11 LATCP$HELP.HLB 23 STARLET.OLB 35 SYS$STARLET_C.TLB
12 MAILHELP.HLB 24 VAXCRTL.OLB
36 VMS$VOLATILE_PRIVATE_INTERFACES.OLB
37 STARLET_RECENT_ADA_SUBSET.TLB
A ALL libraries to be expanded
H Display HELP information for LIBDECOMP
E EXIT this procedure
|
ALL を指定した場合,次のメッセージが表示され,ライブラリ復元ユーティリティは,リストされているすべてのライブラリを展開します。
"ALL" specified; all libraries will be processed |
ALL を指定しない場合,次のプロンプトが表示されます。
* Enter a letter or the number(s) of libraries to be expanded (Separate multiple numbers with a comma) |
A,H,E,または 1 つまたは複数の数字を入力して,展開するライブラリを指定します。指定できる数字の制限はありません。
展開する特定のライブラリを識別するパラメータを入力した場合, LIBDECOMP.COM が実行されても,例で示されているようなりストは表示されません。それぞれのライブラリは,処理されるたびにリストされます。
例
$ @SYS$UPDATE:LIBDECOMP ALL $ @SYS$UPDATE:LIBDECOMP EXPAND ALL |
$ @SYS$UPDATE:LIBDECOMP $ @SYS$UPDATE:LIBDECOMP EXPAND |
次に,以前の例で示さたとおり,すべてのライブラリを指定するか,または展開する個々のライブラリの番号をいくつでも指定するよう,プロンプトが表示されます。
$ @SYS$UPDATE:LIBDECOMP HELPLIB.HLB STARLET.MLB LIB.MLB $ @SYS$UPDATE:LIBDECOMP EXPAND HELPLIB STARLET.MLB LIB |
どちらのコマンドを実行しても,結果は同じです。 HELPLIB.HLB ライブラリ,STARLET.MLB ライブラリ,および LIB.MLB ライブラリが展開されます。
コマンド行で最初のパラメータとして REDUCE を指定して LIBDECOMP.COM を実行すると,展開されていたライブラリが縮小されます。
REDUCE の後に ALL を指定して,ライブラリ復元ユーティリティが認識できるすべてのライブラリを縮小することも,最大で 7 つまでのライブラリを指定することもできます。ワイルドカード文字は,許可されていません。
ALL または少なくとも 1 つのライブラリの名前を指定しないと,LIBDECOMP.COM は,縮小するライブラリの名前を入力するようプロンプトを表示します。このプロンプトに対してリストできるライブラリの数に制限はありません。
縮小機能を使用すると,展開機能を使用した場合に似た内容が表示されますが,縮小できるライブラリだけが表示される点が異なります。
例
$ @SYS$UPDATE:LIBDECOMP REDUCE ALL |
$ @SYS$UPDATE:LIBDECOMP REDUCE |
次に,展開機能のセクションで示されたとおり,すべてのライブラリを指定するか,または展開する個々のライブラリの番号をいくつでも指定するよう,プロンプトが表示されます。
17.9.2.3 バッチ・モードでの LIBDECOMP.COM の使用
次のように, DCL コマンド SUBMIT に /PARAMETERS 修飾子を使用することによって,ライブラリ復元ユーティリティをバッチ・キューに登録することができます。
SUBMIT SYS$UPDATE:LIBDECOMP /PARAMETERS=(p1[,p2,...]) |
バッチ・プロシージャを実行すると会話型プロシージャと同じ結果が生成されますが,バッチ・ジョブの場合,HELP,LIST, ALL または少なくとも 1 つのライブラリ名を指定する必要があります。バッチ・ジョブは,入力するようプロンプトを表示することができないためです。
パラメータは最大で 8 つまで指定することができます。複数のパラメータを指定した場合,それらのパラメータは丸括弧で囲み,それぞれをコンマで区切る必要があります。
例
$ SUBMIT SYS$UPDATE:LIBDECOMP /PARAMETERS=LIST |
$ SUBMIT SYS$UPDATE:LIBDECOMP /PARAMETERS=ALL |
$ SUBMIT SYS$UPDATE:LIBDECOMP - _$ /PARAMETERS=(EXPAND,HELPLIB.HLB,STARLET.MLB,LIB.MLB) |
17.9.3 LIBRARY コマンドでの /DATA 修飾子の使用
ライブラリ復元ユーティリティを使用せずに個々のライブラリを展開または縮小する方法としては, DCL コマンド LIBRARY に /DATA 修飾子を使用する方法があります。この方法では,1 つの LIBRARY コマンドで指定できるライブラリは 1 つだけです。
LIBDECOMP.COM は,データ縮小形式で付属する約 40 個のライブラリに対してのみ実行できますが, LIBRARY コマンドは,ほとんど どの ライブラリ・ファイルでも,展開または縮小することができます。ただし,ライブラリ・タイプ (ファイル拡張子) は,OpenVMS Librarian ユーティリティが認識できるものでなければなりません。以下のシステム・ライブラリは,縮小しないでください。
指定されたライブラリを展開するには,次のコマンド形式を使用します。
LIBRARY library-name.ext /DATA=EXPAND |
指定されたライブラリを縮小するには,次のコマンド形式を使用します。
LIBRARY library-name.ext /DATA=REDUCE |
ライブラリの拡張子 (.HLB,.MLB,.OLB,または .TLB) は,常に指定しなければなりません。
指定されたライブラリが現在の省略時のデバイスおよびディレクトリにない場合には,ライブラリ指定の中でデバイスおよびディレクトリも指定しなければなりません。ほとんどのシステム・ライブラリは,次の例のように, SYS$HELP ([SYSHLP]) または SYS$LIBRARY ([SYSLIB]) にあります。
$ LIBRARY [SYSHLP]HELPLIB.HLB /DATA=EXPAND |
LIBRARY コマンドのその他の修飾子についての詳細は, LIBRARY のオンライン・ヘルプまたは『OpenVMS Command Definition, Librarian, and Message Utilities Manual』を参照してください。
17.10 INSTALL による既知イメージのインストール
Install ユーティリティ (INSTALL) は,イメージに関する情報をメモリに格納します。 INSTALL は次の目的で使用します。
| 目的 | 参照箇所 |
|---|---|
| 同時に使用されるイメージが消費するメモリを節約する | 第 17.10.7 項 |
| システム性能を向上させる |
第 17.10.5 項
|
| ++Alpha システムにおいて,共用アドレス・データのあるイメージを使用することで性能を向上させる | 第 17.10.6 項 |
| 拡張特権が必要な実行可能イメージを一般的に利用可能にする | 第 17.10.8.1 項 |
| 非特権イメージが,共用イメージの特権機能を呼び出せるようにする | 第 17.10.8.2 項 |
| 強要イメージが特権実行可能イメージにより起動できるように保護マークを付ける | 第 17.10.9 項 |
サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャ STARTUP.COM により,システム・ブート時に INSTALL を使用していくつかのシステム・プログラムがインストールされます。それ以外のプログラムを必要に応じてインストールする場合は,INSTALL を使用します。
このようにメモリにインストールして使用するイメージ (インストール済みイメージ) は,システムの再ブートのたびにインストールしなおす必要があります。そのため,サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャ SYSTARTUP_VMS.COM に必要な INSTALL コマンドを追加します。詳細は 第 5.2.7 項 を参照してください。
Install ユーティリティ (INSTALL) は, /NOTRACEBACK 修飾子でリンクされたイメージだけをインストールします。
INSTALL コマンドの機能は SYSGEN ユーティリティの INSTALL コマンドと異なる点に注意してください。
次に,インストール済みイメージの概念と Install ユーティリティの使用法を説明します。
17.10.1 イメージおよび既知イメージについて
イメージとは,実行可能プログラムを形成するために Linker ユーティリティによって結合されたプロシージャとデータの集まりです。実行可能イメージはプロセス内で,あるいはコマンド・ライン・インタプリタ (CLI) または $CREPRC システム・サービスによって,実行できます。通常,実行可能プログラムのファイル・タイプは .EXE です。
| イメージ・ タイプ |
説明 |
|---|---|
| 実行可能 | リンカで /EXECUTABLE 修飾子を指定して (あるいは /SHAREABLE 修飾子を指定しないで) リンクされたイメージ。詳細は『OpenVMS Linker Utility Manual』を参照。 |
| 共用可能 | Linker ユーティリティで /SHAREABLE 修飾子を指定してリンクされたイメージ。共用可能イメージは,別のファイルのリンクの入力ファイルとして,暗黙的あるいは明示的に指定できることから,リンク可能イメージと呼ばれることもある。共用可能イメージは,それにリンクする実行可能イメージにはコピーされない。したがって,リンク実行可能イメージの数に関わらず,ディスク上には共用可能イメージが 1 つだけ存在すればよい。詳細は『OpenVMS Linker Utility Manual』を参照。 |
| システム | オペレーティング・システムの制御のもとで実行しないイメージ。スタンドアロン動作だけを目的とする。システム・イメージの内容と形式は,共用可能イメージおよび実行可能イメージと異なる。詳細は『OpenVMS Linker Utility Manual』を参照。 |
INSTALL によってイメージをインストールすると,そのイメージには属性が割り当てられ,システムにとって「既知」のものになります。このため,インストール済みイメージは 既知イメージとも呼ばれます。
イメージ・アクティベータは,既知イメージを優先するために,検索リストを2 つのパスで処理します。検索リストの 1 回目の検索で,イメージ・アクティベータは既知ファイルとしてイメージを探します。必要な場合,検索リストの 2 回目の検索で,イメージ・アクティベータはディスク上でイメージを探します。
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