Compaq OpenVMS Alpha
V7.3-1 リリース・ノート【翻訳版】


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4.21.2 OPC$ALLOW_INBOUND と OPC$ALLOW_OUTBOUND の変更点

V7.3

以前,OPC$ALLOW_INBOUND と OPC$ALLOW_OUTBOUND が FALSE に設定されたときに OPCOM が使用していたアルゴリズムは,あまりにも制限が多すぎるということがわかりました。この論理名の設定では,OPCOM プロセスがメッセージを受信することも,送信することもできないためです。

これらの論理名を同時に OpenVMS Cluster で使用すると,クラスタ内の異なるシステムで OPCOM プロセスが通信を停止する可能性がありました。その結果,OPERATOR.LOG ファイルが次のようなメッセージでいっぱいになっていしまう恐れがありました。


%%%%%%%%%%%  OPCOM  29-APR-2000 11:33:31.73  %%%%%%%%%%% 
    
OPCOM on AAAAA is trying again to talk to BBBBB, csid 00010001, system 00001 
    
    

この問題を修正するために,OpenVMS Cluster 内の複数の OPCOM プロセスの間で相互に通信メッセージをやりとりできるように,アルゴリズムの制限が緩やかにされました。

それでも引き続き,これらの論理名を使用する場合には注意が必要です。これらの論理名を使用するのは,OPCOM メッセージが 1 方向または両方向で無効化された場合にシステム全体が受ける影響を本当に理解しているユーザだけにしてください。

4.21.3 OpenVMS Cluster 内のワークステーション

V7.3

OPCOM のデフォルトの動作では,OpenVMS Cluster 内のワークステーションで OPA0: を有効化しません。さらに OPCOM は,これらのシステムにあるログファイル OPERATOR.LOG についても,有効化しません。唯一の例外は,ワークステーションがクラスタに追加される最初のシステムである場合です。

OPCOM は,あるシステムがワークステーションであるかどうかを,グラフィック・デバイスがあるかどうかによって判断します。このテストは,通常次のように実行します。


 F$DEVICE("*", "WORKSTATION", "DECW_OUTPUT")

OPCOM は,グラフィック・デバイスがあるシステムを,ワークステーションとして扱います。そのため,OPA0: と OPERATOR.LOG は,デフォルトでは有効化されません。

このデフォルトの動作を変更するには,SYS$MANAGER:SYLOGICALS.COM の中の次の論理名を TRUE に定義します。

4.22 OpenVMS Cluster システム

ここでは,OpenVMS Cluster システムに関するリリース・ノートをまとめます。

4.22.1 MSCP アクセス専用のディスクへの SET PREFERRED_PATH---修正済み

V7.3-1

次の問題(V7.2-2 のリリース・ノートで説明)は,修正されました。

以前は,MSCP サーバ・アクセス専用のディスク(ローカル・ディスク以外)に対して優先パスを指定し(コマンド SET PREFERRED_PATH を使用),指定したホストがシャットダウンまたは異常終了した場合,代替パスへフェールオーバされませんでした。

4.22.2 複合バージョンのクラスタにおける FDDI 経由のサテライトのブート

V7.3

OpenVMS Version 7.3 またはそれ以降での変更により,旧バージョンの OpenVMS の FDDI 経由でサテライトをブートする場合に影響が出る可能性があります。NISCS_LAN_OVRHD システム・パラメータを 6 未満の値に設定し(デフォルト値は 18),NISCS_MAX_PKTSZ システム・パラメータを FDDI パケットの最大サイズ(4468)に設定すると,問題が発生することがあります。NISCS_LAN_OVRHD によって,DESNC(イーサネットの暗号化デバイス)などのデバイスを調整する LAN 通信で使用する最大パケット・サイズが減ります。OpenVMS Version 7.3 またはそれ以降では,NISCS_LAN_OVRHD が使用されないため,最大パケット・サイズは減りません。

問題は,FDDI ブート・ドライバで使用するバッファ・サイズが 12 バイト少ないことです。サテライトのブートの FDDI ブート・ドライバにより,12 バイトの不正データ(通常は 0)が SYSBOOT 中にロードされたイメージ内に挿入されます。そのため,早い段階で(数秒程度で)不明なシステム・エラーやシステム停止が発生します。

この問題を解決するには,修正用ブート・ドライバ・パッチ・キットを入手して,サテライト・システムのルートにインストールします。または,サテライトにシステム・ディスクをサービスするシステムで NISCS_MAX_PKTSZ システム・パラメータの値が FDDI の最大パケット・サイズより 12 バイト以上少ないことを確認してください。

影響を受けるシステムは,次のとおりです。

4.22.3 マルチパス・テープ・フェールオーバの制限事項

V7.3-1

Fibre Channel マルチパス・テープ・セット内の 1 つのデバイスで INITIALIZE コマンドを実行している間は,そのセットの別のメンバへマルチパス・フェールオーバを実行できません。別のマルチパス・テープ・デバイスが初期化されている間に,現在のパスで障害が発生した場合は,テープ・デバイスが機能しているパスへフェールオーバした後に,INITIALIZE コマンドを再試行してください。

この制限は,今後のリリースで無くなる予定です。

4.22.4 Fibre Channel でのテープの圧縮または密度に関する正しいステータスの取得

V7.3-1

Fibre Channel などの共用イニシエータ環境で SHOW DEVICE/FULL 出力にノードの圧縮ステータスまたは密度ステータスが正しく表示されるのは,ノードからドライブに対して INITIALIZE コマンド,MOUNT コマンド,または QIO 関数 IO$_PACKACK を実行した場合だけです。これらの操作では,SHOW DEVICE で出力される値が更新されます。

共用イニシエータ環境では,別々のクラスタ・ノード上のユーザが同時に同じモード(圧縮モードまたは密度モード)の SCSI テープ・ドライブを使用することができません。たとえば,ノード A のユーザがドライブを割り当てて圧縮モードで使用してからテープ・ドライブの割り当てを解除したと仮定します。その後で,ノード B のユーザがドライブを割り当てて,非圧縮モードを要求したと仮定します。

この段階では,ドライブが非圧縮モードで運用されているにもかかわらず,ノード A の SHOW DEVICE/FULL 出力では圧縮モードが有効になっているため,この表示は古くなっています。表示されている密度の値も同様に古くなっています。

そのため,SHOW/DEVICE 出力で圧縮と密度の値を正しく表示するには,ノードからドライブに対して INITIALIZE コマンド,MOUNT コマンド,または QIO 関数 IO$_PACKACK を実行して,出力を更新します。

4.22.5 テープの /DENSITY キーワードの短縮形の使用の中止

V7.3-1

OpenVMS Alpha Version 7.3-1 では,/DENSITY 修飾子に指定するテープ密度のキーワードを簡略化できなくなりました。/DENSITY 修飾子は,テープを管理するために複数のコマンド(INITIALIZE,BACKUP,MOUNT,および SET MAGTAPE)に指定します。

テープの /DENSITY キーワードの例は,DLT8000 です。このキーワードは,次のように指定します。


$ INITIALIZE/DENSITY=DLT8000 $2$MGA1: MYTAPE 

ただし,/DENSITY 密度修飾子自体は,/DENS と簡略化することが可能です。

4.22.6 パケット損失に関する新エラー・メッセージ

V7.3

OpenVMS Version 7.3 より前のバージョンでは,LANのパスが使えなくなると,まず SCS 仮想サーキット閉塞が最初に発生します。OpenVMS Version 7.3 またはそれ以降では,最後に使用可能な LAN パスで超過レートによりパケットを損失すると,PEDRIVER により次のコンソール・メッセージが表示されます。


%PEA0, Excessive packet losses on LAN Path from local-device-name - 
 _  to device-name on REMOTE NODE node-name 

このメッセージは,PEDRIVER により LAN パス(ローカル・デバイス,中継ネットワーク,およびリモート・ノードのデバイスで構成される)で過度のレートでパケットの再転送が行われた直後に表示されます。このメッセージは,LAN パスの品質低下や,リモート・ノードと通信の信頼性が失われそうな場合,または失われている場合に表示されます。損失が継続すると,リモート・ノードへの仮想サーキットが閉じる可能性があります。さらに,LAN パケットの損失が継続すると,パケット損失検知のタイムアウトとパケットの再送信により通信が遅延するため,パフォーマンスに重大な影響が出ます。

次の修復手順を実行してください。

  1. デバイスに問題がある場合は,ローカルとリモートの LAN デバイス・エラー数を確認します。各ノードで次のコマンドを実行します。


    $ SHOW DEVICE local-device-name 
    $ MC SCACP 
    SCACP> SHOW LAN device-name 
    $ MC LANCP 
    LANCP> SHOW DEVICE device-name/COUNT 
    

  2. ローカル・デバイスのデバイス・エラー数が通常の境界内である場合,ネットワーク管理者に連絡して,デバイス間の LAN パスの診断を依頼してください。

    必要な場合,弊社のサポート担当者に連絡の上,LAN パスの問題を診断するためのサポートを受けてください。

PEDRIVER のトラブルシューティング情報については,『OpenVMS Cluster システム』の付録 F を参照してください。

4.22.7 複合バージョン・クラスタのClass Scheduler

V7.3

OpenVMS Alpha Version 7.2x を実行するノードが含まれる複合バージョン・クラスタ環境で新しい固定 Class Scheduler を使用する場合,これらのノードに対して SYSMAN CLASS_SCHEDULE サブコマンドを実行すると,これらのノードの SMISERVER プロセスが中断します。

この場合,次のコマンドを実行すると,これらのノードの SMISERVER プロセスを再起動できます。


@SYS$SYSTEM:STARTUP SMISERVER 

次の修正キットでこの問題を修正できます。

VMS721_MANAGE V2.0(またはそれ以降)
VMS721H1_MANAGE V2.0(またはそれ以降)

これらの修正キットは,次の web サイトからダウンロードできます。


    http://www.support.compaq.com/patches/     

この問題は,OpenVMS Alpha Version 7.2x を実行する Alpha プラットフォームだけに発生します。

4.22.8 クラスタの互換に必要な修正キット

V7.3-1

OpenVMS Version 7.3-1 システムを既存の OpenVMS Cluster システムに導入する前に,特定の修正キットを,旧バージョンの OpenVMS を実行しているシステムに適用しなければなりません。Fibre Channel,XFC,Volume Shadowing,または Volume Shadowing のミニコピーを使用する場合には,追加修正キットが必要です。これらのキットは,バージョンに固有です。

注意

OpenVMS Alpha Version 7.2-1 および Version 7.2-1H1 向けの Volume Shadowing 修正キットには,障害に強い構成をサポートする 修正サポートとすべての修正をサポートする新機能サポートの 2 種類のインストール方法があります。

表 4-1 は,修正キットを必要とする機能とその修正キットの名前をまとめた表です。各修正キットには,キット名と同じ名前の ReadMe ファイル(ファイル拡張子は .README)が用意されています。

修正キットは,次の Web サイトからダウンロードしてください。または,弊社のサポート担当者に連絡の上,システムに適した媒体で受領してください。


    http://www.support.compaq.com/    

注意

修正キットは,必要に応じて定期的にアップデートされます。キットの ReadMe ファイルに示されているように,機能に対応した最新の修正キットを使用してください。それぞれのキットの最新バージョンは,web サイトに記載されています。

表 4-1 クラスタの互換に必要な修正キット
機能 ファイル名
OpenVMS Alpha Version 7.3
次のキットを除くすべての修正キットを含む更新キット DEC-AXPVMS-VMS73_UPDATE-V0100--4.PCSI
Cluster DEC-AXPVMS-VMS73_CLUSTER-V0200--4.PCSI
DCL DEC-AXPVMS-VMS73_DCL-V0200--4.PCSI
Shadowing DEC-AXPVMS-VMS73_SHADOWING-V0200--4.PCSI
SYSINI DEC-AXPVMS-VMS73_SYSINI-V0100--4.PCSI
XFC VMS73_XFC-V0200
OpenVMS VAX Version 7.3
Audit Server VAXAUDS01_073
DECwindows Motif VAXDWMOTMUP01_073
MAIL VAXMAIL01_073
Shadowing VAXSHAD01_073
OpenVMS Alpha Version 7.2-2
Audit Server DEC-AXPVMS-VMS722_AUDSRV-V0100--4.PCSI
CLI Utility DEC-AXPVMS-VMS722_CLIUTL-V0100--4.PCSI
DECwindows Motif DEC-AXPVMS-VMS722_DW_MOT-V0100--4.PCSI
Driver DEC-AXPVMS-VMS722_DRIVER-V0100--4.PCSI
Fibre Channel/SCSI DEC-AXPVMS-VMS722_FIBRE_SCSI-V0200--4.PCSI
IPC DEC-AXPVMS-VMS722_IPC-V0100--4.PCSI
LAN DEC-AXPVMS-VMS722_LAN-V0200--4.PCSI
RMS DEC-AXPVMS-VMS722_RMS-V0200--4.PCSI
SYSLOA DEC-AXPVMS-VMS722_SYSLOA-V0100--4.PCSI
Shadowing DEC-AXPVMS-VMS722_SHADOWING-V0100--4.PCSI
OpenVMS Alpha Version 7.2-1H1
次のキットを除くすべての修正キットを含む更新キット DEC-AXPVMS-VMS721H1_UPDATE-V0500--4.PCSI
Backup utility DEC-AXPVMS-VMS721H1_BACKUP-V0100--4.PCSI
Driver DEC-AXPVMS-VMS721_DRIVER-V0300--4.PCSI
Fibre Channel/SCSI DEC-AXPVMS-VMS721H1_FIBRE_SCSI-V0500--4.PCSI
Files 11 DEC-AXPVMS-VMS721H1_F11X-V0200--4.PCSI
RMS DEC-AXPVMS-VMS721H1_RMS-V0700--4.PCSI
XFC/VCC 互換サポートを備えたシステム DEC-AXPVMS-VMS721H1_SYS-V0500--4.PCSI
OpenVMS Alpha Version 7.2-1
すべての修正キットを含む更新キット(7 月中旬より配布開始) DEC-AXPVMS-VMS721_UPDATE-V400-4.PCSI
OpenVMS VAX Version 7.2
次のキットを除くすべての修正キットを含む更新キット VAXUPDATE01_072
Audit Server VAXAUDS01_072
Backup utility VAXBACK02_072
CLI Utility VAXCLIU03_072
C RTL VAXACRT02_072
DCE DEC-VAXVMS-VAX_DCEECO_015_1-v0100--4.PCSI
DECnet OSI DEC-VAXVMS-DNVOSIECO02-V0702--4.PCSI
DECwindows Motif VAXDWMOTMUP01_072
Files 11 VAXF11x03_072
Fibre Channel VAXDRIV02_072
LAT VAXLAT01_072
LIBRTL VAXLIBR01_072
MIME VAXMIME02_072
ODS1 VAXODS1_01_072
PCSI DEC-VAXVMS-VMS72_PCSI-V0101--4.PCSI
PThreads VAXPTHR01_072
RMS VAXRMS01_072
MANAGE VAXMANA01_072
XFC/VCC 互換性サポートを備えたシステム VAXSYS02_072
Volume Shadowing VAXSHAD03_072


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