Compaq OpenVMS Alpha
V7.3-1 リリース・ノート【翻訳版】


前へ 次へ 目次 索引


4.26 レジストリ・サーバと COM の複合バージョン・クラスタの制限事項

V7.3-1

ここでは,複合バージョン・クラスタにおけるレジストリと COM に関するリリース・ノートをまとめます。

4.26.1 複合バージョン・クラスタ内の OpenVMS レジストリ・サーバ

V7.2-2

Version 7.3-1 では,このリリース・ノートが更新されています。

OpenVMS Version 7.2-2 またはそれ以降では,レジストリ・コンポーネント($REGISTRY サービスとレジストリ・サーバ)が変更され,拡張プロセス間通信ソフトウェアを使用できるようなりました。そのため,レジストリのバージョン間で互換性がない場合があります。特に,Version 7.2-2 より前のレジストリ・コンポーネントと Version 7.2-2,7.3,および 7.3-1 の拡張レジストリ・コンポーネントでは,互換性がありません。OpenVMS の複合バージョン・クラスタを使用する場合,レジストリ・コンポーネントを実行中または使用中のすべてのクラスタ・メンバで互換性がある OpenVMS バージョンを実行する必要があります。クラスタで複合バージョンがサポートされるのは,移行のためです。レジストリ・コンポーネントを同時に使用できる製品バージョンの組み合わせは,次のとおりです。

レジストリ・サーバは,次の製品を実行中のクラスタ・メンバにより使用されます。

OpenVMS Version 7.2,Version 7.2-1,または Version 7.2-1H1 を実行中の OpenVMS Cluster システムでレジストリ・コンポーネントを実行している場合にこれらのメンバを OpenVMS Version 7.2-2,7.3,または 7.3-1 にアップグレードする手順については, 第 1.9 節 を参照してください。

OpenVMS Alpha Version 7.2-2,7.3,または 7.3-1 を実行するノードと OpenVMS Alpha Version 7.2,7.2-1,または 7.2-1H1 を実行するノードを含むクラスタでレジストリ・サービスを実行する方法については,弊社のサービス担当者にお問い合わせください。

4.26.2 一部の複合バージョンのクラスタに関する COM for OpenVMS(Alpha のみ)の制限事項

V7.3-1

OpenVMS レジストリ・プロトコルが変更されたため,同じクラスタ内のOpenVMS Alpha Version 7.2-2 またはそれ以降のシステムと Version 7.2-1 およびそれ以前のシステムで COM for OpenVMS ソフトウェアを実行することはできません。

複合バージョンの OpenVMS Cluster システムでレジストリ・サーバが Version 7.3-1,7.3,または 7.2-2 のノードに存在する場合,COM アプリケーションを実行できるのは,このクラスタ内で Version 7.3-1,7.3,または 7.2-2 を実行中のノードだけです。レジストリ・サーバがクラスタ内の Version 7.2-1 およびそれ以前のノードに存在する場合,COM アプリケーションを実行できるのは,このクラスタ内で Version 7.2-1 およびそれ以前のバージョンを実行中のノードだけです。

OpenVMS レジストリ・プロトコルの変更の詳細については,第 4.25 節 を参照してください。

COM for OpenVMS のインストールと設定の詳細については,『COM, Registry, and Events for OpenVMS Developer's Guide』を参照してください。

4.27 RMS Journaling

ここでは,RMS Journaling for OpenVMS のリリース・ノートをまとめます。

4.27.1 変更されたジャーナル・ファイルの作成

V7.2

Version 7.2 より前には,リカバリ・ユニット(RU)ジャーナルは,ジャーナリングされたファイルと同じボリュームの [SYSJNL] ディレクトリに一時的に作成されていました。リカバリ・ユニット・ジャーナルのファイル名は RMS$process_id(process_id はプロセス ID の 16 進表現)という形式であり,ファイル・タイプは RMS$JOURNAL でした。

OpenVMS Version 7.2 では,RU ジャーナル・ファイルの作成に関して,次の点が変更されました。

これらの変更により,ジャーナル・ファイルの作成と削除で発生するディレクトリのオーバーヘッドが削減されます。

次の例に,以前のバージョンと現在のバージョンの両方のジャーナル・ファイルの作成を示します。

以前のバージョン: [SYSJNL]RMS$214003BC.RMS$JOURNAL;1
現在のバージョン: [SYSJNL.NODE1]CB300412.;1

RMS が [SYSJNL] ディレクトリまたはノード固有のディレクトリを見つけることができない場合は,RMS は自動的にそのディレクトリを作成します。

4.27.2 カーネル・スレッドと互換性のないリカバリ・ユニット・ジャーナリング

V7.3

DECdtm Services は複数カーネル・スレッド環境でサポートされず,RMS リカバリ・ユニット・ジャーナリングは DECdtm Services に依存しているため,RMS リカバリ・ユニット・ジャーナリングは,複数カーネル・スレッドが有効になっているプロセスではサポートされません。

4.27.3 順方向(AI)ジャーナリング

V6.0

順方向(AI)ジャーナリングを使用すれば,使用不能またはアクセス不能になったデータ・ファイルを回復することができます。AI リカバリでは,AI ジャーナル・ファイルを使用して,データ・ファイルのバックアップ・コピーをロール・フォワードすることで,障害が発生した時点でのデータ・ファイルの新しいコピーが作成されます。

プロセスが削除されたりシステム障害が発生したりした場合には,更新情報を AI ジャーナル・ファイルに書き込むことができますが,データ・ファイルに書き込むことはできません。AI ジャーナリングだけが使用されている場合は,データ・ファイルとジャーナルの一貫性は自動的には維持されません。データ・ファイルに対して追加更新を行い,AI ジャーナルに記録すると,その後のロール・フォワード操作で一貫性のないデータ・ファイルが作成されることがあります。

リカバリ・ユニット(RU)ジャーナリングを AI ジャーナリングと組み合わせて使用した場合には,自動的なトランザクション・リカバリにより,AI ジャーナルとデータ・ファイルの間の一貫性が復元されます。

特定の状況では,AI ジャーナリングだけを使用するアプリケーションは,プロセスの削除やシステム障害の後でデータの不整合が発生しないように,予防措置をとることができます。たとえば,AI ジャーナリングされているファイルの手動ロール・フォワードを行うと,非共有 AI アプリケーション(シングル・アクセッサ)やスタンドアロン・システムで実行中の共有AI アプリケーションなどが関連するシステム障害の発生後に,ファイルの一貫性を維持できます。

しかし,共有 AI アプリケーションでは,クラスタ内でプロセスの削除やシステム障害が発生した後で,AI ジャーナル・ファイルと同期のとれていないデータ・ファイルに対してこれ以上の操作が実行されないようにするための措置はとられません。このような状況では,データ・ファイルと AI ジャーナル・ファイルの間の一貫性は,AI ジャーナリングと RU ジャーナリングを組み合わせて使用することで維持できます。

4.27.4 OSI 環境でのリカバリ・ユニット・ジャーナリングされたファイルへのリモート・アクセス

V6.1

ネットワーク内の他のノードからリモート・アクセスされるリカバリ・ユニット・ジャーナリング・ファイルのホストである OSI ノードでは,SYS$NODE をフェーズ IV 形式のノード名として定義しなければなりません。SYS$NODE によって指定されるノード名は,ホスト・ノードのリカバリ・ユニット・ジャーナリング・ファイルにアクセスしようとするすべてのリモート・ノードから認識されなければなりません。また,リモート・ノードがこのノード名を使用して,ホスト・ノードとの間で DECnet 接続を確立できるように,ノード名は固有の名前でなければなりません。この制限は,OSI または複合 OSI 環境と非 OSI 環境でネットワークを介してアクセスされる,リカバリ・ユニット・ジャーナリング・ファイルにだけ適用されます。

4.27.5 VFC 形式の順編成ファイル

VAX V5.0
Alpha V1.0

逆方向ジャーナリングやリカバリ・ユニット・ジャーナリングを使用している場合,固定長制御部付可変長(VFC)順編成ファイルを更新することはできません。VFC 順編成ファイル形式は,FAB のFAB$B_RFM フィールドのシンボリック値 FAB$C_VFC によって示されます。

4.28 セキュリティ---DIRECTORY コマンド出力の変更

V7.3-1

OpenVMS Version 7.1 またはそれ以降では,PATHWORKS アクセス制御エントリ(ACE)を含むファイルに対して DCL コマンド DIRECTORY/SECURITY または DIRECTORY/FULL を実行すると,PATHWORKS ACE それぞれの 16 進表現は表示されなくなりました。その代わりに,各ファイルに対して検出された PATHWORKS ACE の総数が "Suppressed n PATHWORKS ACE" というメッセージに要約されます。

抑制されている PATHWORKS ACE を表示するには,DCL DIRECTORY コマンドに /NOSUPPRESS 修飾子と /FULL,/SECURITY,または /ACL 修飾子のいずれかを指定します。

4.29 システム・パラメータの変更

V7.3-1

ここでは,廃止されたシステム・パラメータ,変更されたシステム・パラメータ,および新しいシステム・パラメータについて説明します。

4.29.1 廃止されたシステム・パラメータ

V7.3

OpenVMS Version 7.3 から,次のパラメータが廃止されます。

MAXBOBS0S1 および MAXBOBS2

当初,パラメータ MAXBOBS0S1 および MAXBOBS2 は,ユーザがサイズの大きいバッファ・オブジェクトを作成することによってシステムに悪影響を与えないためのものでした。しかし,ユーザがバッファ・オブジェクトをより幅広く使用し始めると,これらのパラメータの組み合わせの管理は複雑すぎます。

ユーザがバッファ・オブジェクトを作成するには,VMS$BUFFER_OBJECT_USER 識別子を保持するか,エグゼクティブ・モードまたはカーネル・モードで実行しなければなりません。したがって,これらのユーザは特権を持つアプリケーションであるとみなされるため,これらのパラメータが提供する追加の予防措置は不要です。

システム・メモリ・リソースの現在の使用状況を判断するには,次のコマンドを入力します。


    $ SHOW MEMORY/BUFFER_OBJECT 

4.29.2 変更されたシステム・パラメータ

V7.3-1

OpenVMS Version 7.3-1 では,次のシステム・パラメータの定義が変更されています。

これらのパラメータの定義の変更内容については,オンライン・ヘルプを参照してください。

4.29.3 新しいシステム・パラメータ

V7.3-1

OpenVMS Version 7.3-1 で導入された新しいシステム・パラメータは,次のとおりです。

これらのパラメータの定義については,オンライン・ヘルプを参照してください。

4.30 TCP/IP Services for OpenVMS Version 5.3 の修正キット

V7.3-1

TCP/IP Services for OpenVMS Version 5.3(本リリースに含まれている)を実行している場合,OpenVMS NFS Server が管理しているファイル・システムに NFS Client がアクセスすると,アプリケーションで浮動小数点エラーが発生する場合があります。

この問題を解決するには,TCP/IP Services for OpenVMS Version 5.3 Mandatory Update(MUP)キットをインストールします。このキットは,弊社のサポート担当者から入手できます。

NFS Server を使用していない場合は,この問題は発生しません。

4.31 Terminal Fallback Facility(TFF)

OpenVMS Alpha システムの Terminal Fallback Facility(TFF)には,フォールバック・ドライバ(SYS$FBDRIVER.EXE),共有可能イメージ(TFFSHR.EXE),Terminal Fallback ユーティリティ(TFU.EXE),フォールバック・テーブル・ライブラリ(TFF$MASTER.DAT)が含まれます。

注意

TFFSHR は,ドキュメントに説明されているユーザ呼び出し可能インタフェースではないので,IMAGELIB から削除されています。ただし,イメージは現在でも SYS$LIBRARY: ディレクトリにあります。

TFF を起動するには,次のように SYS$MANAGER にある TFF スタートアップ・コマンド・プロシージャを起動します。


$ @SYS$MANAGER:TFF$SYSTARTUP.COM

フォールバックを有効にしたり,フォールバック属性を変更するには,次のように Terminal Fallback ユーティリティ(TFU)を起動します。


$ RUN SYS$SYSTEM:TFU
TFU>

端末に対するデフォルトのフォールバックを有効にするには,次の DCL コマンドを入力します。


$ SET TERMINAL/FALLBACK

Compaq OpenVMS TFF は,次の点で OpenVMS VAX TFF と異なります。

RT 端末は TFF ではサポートされません。

Terminal Fallback Facility の詳細については,『OpenVMS Terminal Fallback Utility Manual』を参照してください。このマニュアルは,OpenVMS Documentation CD-ROM(の中のアーカイブ・マニュアルのディレクトリ)からオンラインで利用することもできます。

4.32 VCC 入出力キャッシュ・サイズの拡張

V7.2-2

VCC でキャッシュする入出力データ転送の最大サイズが 35 ブロックから 64 ブロックへ拡張されました。

4.33 Volume Shadowing for OpenVMS

ここでは,Volume Shadowing for OpenVMS のリリース・ノートをまとめます。

4.33.1 すべてのクラスタ・ノードに必要なミニコピー・バージョン

V7.3

OpenVMS Alpha Version 7.3 では,Compaq Volume Shadowing for OpenVMS のミニコピー機能が導入されました。

OpenVMS Cluster システムでボリューム・シャドウイング機能を使用するには,クラスタ内でこの機能をサポートするバージョンだけを使用する必要があります。この制限事項は,OpenVMS を使用してディスクにサービスする HS121 などのすべてのストレージ・コントローラに関係します。

4.33.2 マルチパス HSG/HSZ ディスク・パーティションとボリューム・シャドウイング---修正済み

V7.3-1

以前は,HSG80,HSG60,HSZ80,またはHSZ70 コントローラのマルチパス・ディスクのパーティションは,ディスクをそのパーティション専用に使用する場合 だけに ホスト・ベースのボリューム・シャドウ・セット(HBVS)のメンバとして使用できました。具体的には,パーティション化されたディスクの残りの領域を,HBVS メンバのパーティションからも同時にアクセスできる他の論理ユニットに使用することはできませんでした。

注意

この問題は,システムで実行する OpenVMS オペレーティング・システムのバージョンに関係なく,HSV コントローラでは発生しません。

以前は,この制限を守らない場合に次の状態が発生しました。

この制限はなくなりました。


前へ 次へ 目次 索引