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一般的に,OpenVMS Cluster 内の OpenVMS Alpha バージョン 7.2-2 またはそれ以降のノードが NSR (あるいは MDR) と同じ Fibre Channel ファブリックに接続されている場合は,それらのノードすべてに Fibre Channel テープ・デバイスへの直接パスがあります。 TMSCP クライアントとして OpenVMS の旧バージョンを実行している VAX ノードと Alpha ノードは, OpenVMS Alpha バージョン 7.2-2 またはそれ以降のノードによって, Fibre Channel テープ・デバイスのサービス対象とすることができます。この機能を実行する場合,バージョン 7.3 の前の VAX ノードには, TUDRIVER.EXE 用の最新のアップデート・キットが必要です。また,バージョン 7.2-2 の前の Alpha ノードには, SYS$TUDRIVER.EXE 用の最新のアップデート・キットが必要です。
媒体チェンジャは, Fibre Channel とパラレル SCSI のどちらに接続されている場合でも, TMSCP のサービス対象にすることはできません。
7.5.9 Fibre Channel テープ・デバイスの交換
テープ・ドライブを,MDR または NSR 内の同じ FC LUN 位置にある別のテープ・ドライブと物理的に交換する必要がある場合は,該当のデータ構造を IO REPLACE_WWID コマンドを使用して更新します。
たとえば,欠陥のあるテープ・ドライブを,クラスタを再ブートせずに新しいドライブと交換する必要があり,このドライブは,その位置にあった前のテープのデバイス名を保持する必要があるとします。
交換用デバイスには,元のデバイスと同じ SCSI ターゲット ID であることが必要です。デバイスを使うすべての処理を終了させてから,次のコマンドを入力して,新しいテープ・デバイスの WWID で,必要なすべてのファイルとメモリ・データ構造を更新します。
$ MCR SYSMAN IO REPLACE_WWID $2$MGA1 |
クラスタ環境内の各 Alpha ノードでこのコマンドを実行します。これは,次のコマンドを使用して実行します。
$ MCR SYSMAN SYSMAN> SET ENVIRONMENT/CLUSTER SYSMAN> IO REPLACE_WWID $2$MGA1 |
場合によっては,デバイス名 $2$MGA1 は SHOW DEVICE の表示にもはや存在しないためこのコマンドは失敗します。これは,ドライブが誤動作した後,システムが何回かリブートされている場合に発生します。このような場合は,次の例に示すように,デバイス名と WWID の両方を指定す必要があります。
WWID は,置き換えるデバイスと同じ Port/Target/LUN の場所に存在する新しいデバイスの WWID でなければなりません (特定の Port/Target/LUN 位置の WWID の値を調べるには, SYSMAN IO LIST_WWID コマンドを使用します)。
$ MCR SYSMAN SYSMAN> SET ENVIRONMENT/CLUSTER SYSMAN> IO REPLACE_WWID $2$MGA1/WWID=02000008:500E-09E0-0009-4E44/b old |
このコマンドは,デバイス名の変更あるいは WWID 相関関係の再定義には使用すべきではありません。特定の WWID は,クラスタ内の他のデバイス名と関連付けるべきではありません。 |
Fibre Channel テープ・デバイスの名前を指定すると, Fibre Channel テープ・デバイスの位置を確認するのに役立ちます。これを行うには,以下の手順を実行します。
7.5.11 スタンドアロン環境での Fibre Channel テープ・デバイスへのアクセス
Fibre Channel テープ・デバイスは,バージョン 7.3 の CDROM 配布キットからブートする際に構成できます。構成手順は, 第 7.5.4 項 で説明した手順と同じです。特に,テープ・デバイスを使用する前に SYSMAN の IO FIND_WWID および IO AUTOCONFIGURATION コマンドを使用して構成しておく必要があります。
SYS$DEVICES.DAT ファイルは,スタンドアロン環境では作成されません。このため,関連するすべての命名情報はメモリ・データ構造に保存されます。 CDROM をブートするたびに,IO FIND_WWID と IO AUTOCONFIGURE コマンドを実行し,テープ・デバイスの命名と構成を行う必要があります。
CDROM ブート環境における Fibre Channel テープ・デバイスの名前は,リブート中には保持されず,読み込み/書き込みシステム・ディスクからのブート時に割り当てられる名前と異なる場合があります。
7.5.12 V7.3-1 より前のデュアル Fibre ポートでの NSR あるいは MDR の使用
Fibre Channel テープのサポートが,OpenVMS Alpha バージョン 7.3 およびバージョン 7.2-2 で導入された時点では,複数のパスはサポートされていませんでした。この節で説明する内容は,OpenVMS Alpha バージョン 7.3 とバージョン 7.2-2 にのみ適用されます。
MDR の各 Fibre Channel ポートでは,最大 8 つのデバイスをサポートしています (NSR 構成ではより多くのデバイスのサポートが可能です)。このため,デュアル Fibre Channel ポート・モジュールを使用すると, 16 のデバイス (8 つのデバイスが 2 セット) のサポートが可能です。 OpenVMS Alpha バージョン 7.3 を実行しているシステムのデュアル・ポート・モジュールの 2 つのポートに負荷を適切に分散するには, Selective Storage Presentation (SSP) の使用に関する手順を MDR のマニュアルで参照して,特定の MDR ポートに特定のデバイスを割り当てます。 NSR は,カスタム・マップを使用して同様の機能を提供します (NSR のマニュアルを参照)。
デュアル Fibre ポート・モジュールが存在する,またはホストに複数の KGPSA アダプタがあるために,複数のパスが存在する場合でも,自動構成中に認識された最初のパスだけが使用されます。このため,SYSMAN コマンド IO AUTOCONFIGURE を発行する前に, SSP 負荷分散コマンドを実行することが重要です。また,以下のことに注意してください。 Fibre Channel テープ・デバイスへの複数のパスが存在する場合, SYSMAN コマンド IO FIND_WWID は,継続してそのような外部のパスにデバイスが存在するかどうか検出およびレポートしますが,IO AUTOCONFIGURE は,その後構成を行わないか,それらのパスのデバイスへのアクセスを許可しません。
7.5.13 マルチパス・テープのサポート
OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 でマルチパス・テープがサポートされています。 NSR (あるいは MDR) により SCSI テープ・デバイスが Fibre Channel に接続されている Fibre Channel 構成では,Alpha ホストから SCSI テープまでの間に複数のパスを存在させることができます。たとえば,4 つの KGPSA アダプタを持つ AlphaServer ホストの場合,Fibre Channel の 1 つのテープまで異なる 4 つのパスを存在させることができます。また,NSR 自体がデュアル・ポートの場合は,NSR へ 2 つのパスを使用できます。つまり, 4 つの KGPSA がデュアル・ポート NSR へつながれている AlphaServer システムには,AlphaServer システムから特定のテープ・ドライブへ異なる 8 つのパスが存在します。
OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 以降では,Alpha システムから SCSI テープまでのあらゆるパスを構成し,利用することができますが, OpenVMS Alpha バージョン 7.3 では,自動構成中に検出された 1 つのパスのみ使用できます。DCL コマンド SET DEVICE/SWITCH を使用すると,特定のパスを指定できます。また,接続が切断された場合は,自動フェールオーバが発生します。
テープ・デバイスでは,直接パスと MSCP サービス対象パスとの間のマルチパス・フェールオーバがサポートされていません ( 本リリースから導入された,SCSI ディスクや Fibre Channel ディスクでの直接パスと MSCP サービス対象パスとの間のマルチパス・フェールオーバとは異なります)。 ただし,マルチパス・セットの TMSCP クライアント についてはサポートされています。この場合は,サービス対象のマルチパス・セットのすべてのメンバを Fibre Channel に直接接続する必要があります。マルチパス・セットの 1 つのメンバで障害が発生すると,別のメンバが,デバイスへのローカル・パスを提供し,クライアントはそのパスを使用します。 |
AlphaServer コンソールは,FC インターコネクトの状態を確認するときに利用します。これにより,インターコネクトが正しくセットアップされているかをブート前に確認できます。 FC ディスク・デバイスでブートやダンプするときには, FC ディスク・デバイスのセットアップのためにコンソールから追加作業が必要です。次にこの作業内容を説明します。
7.6.1 コンソールによる FC 構成の確認
コンソールの SHOW コマンドは,コンソールから前回システムのI/O アダプタを調べたときに検出されたデバイスに関する情報を表示できます。他のインターコネクトと異なり,FC ディスク・デバイスは, SHOW DEVICE 出力に自動的には組み込まれません。 FC デバイスが WWID で識別され, WWID は SHOW DEVICE の出力に組み込むには大きすぎるためです。代わりに,コンソールには WWID を操作するコマンドが用意されています。これを wwidmgr コマンドといいます。このコマンドでは,FC デバイスに関する情報を表示したり,ブートやダンプに使用する FC デバイスのデバイス名を定義することができます。
wwidmgr コマンドの使用時には以下の点に着目してください。
wwidmgr コマンドの詳細については,『Wwidmgr Users' Manual』を参照してください。 (『Wwidmgr Users' Manual』は, Alpha Systems Firmware Update CD-ROM の [.DOC] ディレクトリにあります。)
以下の例は,AlphaServer 4100 システムで作成したものですが,wwidmgr コマンドの典型的な用例を示しています。他の環境では,さらに追加作業が必要であり,他のシステムにおける出力は少し異なる場合があります。
例 7-1 については,以下の点に着目してください。
例 7-1 wwidmgr -show wwid の使用 |
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P00>>>set mode diag Console is in diagnostic mode P00>>>wwidmgr -show wwid polling kgpsa0 (KGPSA-B) slot 2,bus 0 PCI,hose 1 kgpsaa0.0.0.2.1 PGA0 WWN 1000-0000-c920-a7db polling kgpsa1 (KGPSA-B) slot 3,bus 0 PCI,hose 1 kgpsab0.0.0.3.1 PGB0 WWN 1000-0000-c920-a694 [0] UDID:10 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0016 (ev:none) [1] UDID:50 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0026 (ev:none) [2] UDID:51 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0027 (ev:none) [3] UDID:60 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0021 (ev:none) [4] UDID:61 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0022 (ev:none) |
例 7-2 は,FC デバイスに関する情報と接続情報を wwidmgr show wwid -fullコマンドで表示したものです。この表示は 2 つに分かれています。
例 7-2 wwidmgr -show wwid -full の使用 |
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P00>>>wwidmgr -show wwid -full kgpsaa0.0.0.2.1 - Port: 1000-0000-c920-a7db kgpsaa0.0.0.2.1 - Port: 2007-0060-6900-075b kgpsaa0.0.0.2.1 - Port: 20fc-0060-6900-075b kgpsaa0.0.0.2.1 - Port: 5000-1fe1-0000-0d14 - dga12274.13.0.2.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0016 - dga15346.13.0.2.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0026 - dga31539.13.0.2.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0027 - dga31155.13.0.2.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0021 - dga30963.13.0.2.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0022 kgpsaa0.0.0.2.1 - Port: 5000-1fe1-0000-0d11 - dga12274.14.0.2.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0016 - dga15346.14.0.2.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0026 - dga31539.14.0.2.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0027 - dga31155.14.0.2.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0021 - dga30963.14.0.2.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0022 kgpsab0.0.0.3.1 - Port: 1000-0000-c920-a694 kgpsab0.0.0.3.1 - Port: 2007-0060-6900-09b8 kgpsab0.0.0.3.1 - Port: 20fc-0060-6900-09b8 kgpsab0.0.0.3.1 - Port: 5000-1fe1-0000-0d13 - dgb12274.13.0.3.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0016 - dgb15346.13.0.3.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0026 - dgb31539.13.0.3.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0027 - dgb31155.13.0.3.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0021 - dgb30963.13.0.3.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0022 kgpsab0.0.0.3.1 - Port: 5000-1fe1-0000-0d12 - dgb12274.14.0.3.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0016 - dgb15346.14.0.3.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0026 - dgb31539.14.0.3.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0027 - dgb31155.14.0.3.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0021 - dgb30963.14.0.3.1 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0022 [0] UDID:10 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0016 (ev:none) - current_unit:12274 current_col: 0 default_unit:12274 via adapter via fc_nport Con DID Lun - kgpsaa0.0.0.2.1 5000-1fe1-0000-0d14 Yes 210013 10 - kgpsaa0.0.0.2.1 5000-1fe1-0000-0d11 No 210213 10 - kgpsab0.0.0.3.1 5000-1fe1-0000-0d13 Yes 210013 10 - kgpsab0.0.0.3.1 5000-1fe1-0000-0d12 No 210213 10 [1] UDID:50 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0026 (ev:none) - current_unit:15346 current_col: 0 default_unit:15346 via adapter via fc_nport Con DID Lun - kgpsaa0.0.0.2.1 5000-1fe1-0000-0d14 Yes 210013 50 - kgpsaa0.0.0.2.1 5000-1fe1-0000-0d11 No 210213 50 - kgpsab0.0.0.3.1 5000-1fe1-0000-0d13 Yes 210013 50 - kgpsab0.0.0.3.1 5000-1fe1-0000-0d12 No 210213 50 [2] UDID:51 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0027 (ev:none) - current_unit:31539 current_col: 0 default_unit:31539 via adapter via fc_nport Con DID Lun - kgpsaa0.0.0.2.1 5000-1fe1-0000-0d14 Yes 210013 51 - kgpsaa0.0.0.2.1 5000-1fe1-0000-0d11 No 210213 51 - kgpsab0.0.0.3.1 5000-1fe1-0000-0d13 Yes 210013 51 - kgpsab0.0.0.3.1 5000-1fe1-0000-0d12 No 210213 51 [3] UDID:60 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0021 (ev:none) - current_unit:31155 current_col: 0 default_unit:31155 via adapter via fc_nport Con DID Lun - kgpsaa0.0.0.2.1 5000-1fe1-0000-0d14 Yes 210013 60 - kgpsaa0.0.0.2.1 5000-1fe1-0000-0d11 No 210213 60 - kgpsab0.0.0.3.1 5000-1fe1-0000-0d13 Yes 210013 60 - kgpsab0.0.0.3.1 5000-1fe1-0000-0d12 No 210213 60 [4] UDID:61 WWID:01000010:6000-1fe1-0000-0d10-0009-8090-0677-0022 (ev:none) - current_unit:30963 current_col: 0 default_unit:30963 via adapter via fc_nport Con DID Lun - kgpsaa0.0.0.2.1 5000-1fe1-0000-0d14 Yes 210013 61 - kgpsaa0.0.0.2.1 5000-1fe1-0000-0d11 No 210213 61 - kgpsab0.0.0.3.1 5000-1fe1-0000-0d13 Yes 210013 61 - kgpsab0.0.0.3.1 5000-1fe1-0000-0d12 No 210213 61 |
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