OpenVMS
OpenVMS Cluster 構成ガイド


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7.9 オンライン再構成

ホストで OpenVMS を実行中に FC インターコネクトは再構成できます。具体的には,次の機能があります。

ほとんどの FC 再構成は,OpenVMS で自動的に認識できません。 FC 再構成を安全に実行し,その初期データ構造を新しい状態に合わせて OpenVMS で確実に調整するには,次のように操作します。

  1. 再構成に必要なすべてのディスクのマウントを解除します。

  2. 再構成を実行します。

  3. Fibre Channel に接続されている各ホストに,以下のコマンドを入力します。


    SYSMAN> IO SCSI_PATH_VERIFY 
    SYSMAN> IO AUTOCONFIGURE 
    

SCSI_PATH_VERIFY コマンドの目的は,システムの IO データベース内の各 FC パスを調べて,関連付けられているデバイスが変更されていないか確認することです。デバイスの変更が見つかると,FC パスの接続は IO データベースで解除されます。これで,IO AUTOCONFIGURE コマンドにより,パスは新しいデバイスに合わせて再構成できます。

注意

現在のリリースでは, SCSI_PATH_VERIFY コマンドは FC ディスク装置にのみ使用できます。 HSG コマンド・コンソール LUN (CCL) などの汎用 FC デバイスには使用できません。 ( 汎用 FC デバイスとは, $1$GGAnnnnn のような名前を持つデバイスです。したがって,OpenVMS により,HSG の CCL を特定のデバイス識別子で構成したら,そのデバイス識別子は変更しないでください。

7.10 HSG ホスト接続テーブルと構成されないデバイス

Fibre Channel ホスト・バス・アダプタが (Fibre Channel スイッチ経由で) HSG コントローラに接続された場合,その HSG コントローラは HSG 接続テーブルにエントリを作成します。各ホスト・バス・アダプタ,およびそのアダプタが接続される各 HSG ポートに対しては個々の接続が存在します (詳細は,HSG CLI コマンドの SHOW CONNECTIONS を参照)。

HSG 接続が存在する場合,『HSG Array Controller ACS Configuration and CLI Reference Guide』に説明されているコマンドを使用してパラメータを修正することができます。接続は変更可能であるため,ホスト・バス・アダプタの接続を外した際に HSG はテーブルから接続情報を削除しません。その代りに,ユーザが接続を行った時に CLI コマンドで明示的に接続を削除する必要があります。

HSG コントローラは,限定された数の接続をサポートします。 ACS V8.5 は最大 64 の接続が可能で, ACS V8.4 は最大 32 の接続が可能です。接続制限は,シングル冗長コントローラ,デュアル冗長コントローラのどちらでも同じです。接続数が最大数に達すると,それ以上新しい接続は行われません。この状況が発生すると,OpenVMS は,その HSG 上でディスク・デバイス,あるいはディスク・デバイスへのパスを構成しません。

この問題に対する解決策は,必要のない古い接続を削除することです。ただし,Fibre Channel ファブリックが大きく,アクティブな接続の数が HSG の限界を超えている場合は,接続数を減らすためにファブリックを再構成するか,あるいは FC スイッチ・ゾーニングを使用していくつかのアダプタをいくつかの HSG ポートから隠す必要があります。

7.11 I/O パフォーマンス向上のための割り込みコアレス機能

OpenVMS Alpha バージョン 7.3-1 から, KGPSA ホスト・アダプタで割り込みコアレス機能がサポートされるようになりました。このサポートはデフォルトでオフになっています。割り込みコアレス機能を使用すると,ホストから確認できる割り込み数をアダプタで削減できるため, I/O 作業負荷量の多い環境でパフォーマンスを向上させることができます。この機能は KGPSA ファームウェアに実装されています。

割り込みコアレス機能の現在の設定を参照および変更するには, Fibre Channel Control Program (FC$CP) を使用します。 FC$CP を使用するには CMKRNL 特権が必要です。

FC$CP で応答回数と遅延時間 ( ミリ秒単位 ) を指定すると,アダプタでは,指定した応答回数になるまで,または指定した時間が経過するまで ( 先に指定した値になった方 ),割り込みを遅らせます。

割り込みコアレス機能によって,同期 I/O を実行しているアプリケーションのパフォーマンスが低下する場合があります。特定の KGPSA で他の I/O が処理されていない場合は,割り込みコアレス機能を有効にすると,単一の書き込みに対し,平均して 900 マイクロ秒遅延します ( 指定した応答間隔によっては,さらに長くなる場合があります )。

割り込みコアレス機能は KGPSA ごとに設定します。割り込みコアレス機能を有効にするには,特定の KGPSA で 1 秒につき 2000 以上の I/O が処理されている必要があります。

このコマンドの形式は次のとおりです。


RUN SYS$ETC:FC$CP FGx enable-value [delay][response-count] 

この形式では,次のように定義されます。

OpenVMS では,FC$CP コマンドを次のように設定することをお勧めします。


$  RUN SYS$ETC:FC$CP FGx 2 1 8 

7.12 Fast Path の使用

Fast Path のサポートは OpenVMS Alpha Version 7.3 で Fibre Channel に対して導入されており,デフォルトで有効になっています。シンメトリック・マルチプロセッサ・システム (SMP) で使用するように設計されています。 Fast Path が有効な場合,I/O 完了処理はプライマリ CPU だけでなく SMP システムのすべてのプロセッサで発生することが可能になります。 Fast Path は,SMP システムにおける潜在的な I/O スループットを実質的に向上させ,プライマリ CPU が飽和状態になるのを防ぎます。

Fast Path システム・サービスを使用して, Fast Path をプログラムで管理することができます。また,DCL コマンドを使用して Fast Path を管理することも,システム・パラメータ FAST_PATH および FAST_PATH_PORTS を使用して管理することもできます。 Fast Path の詳細は,『VMS I/O User's Reference Volume』を参照してください。

7.13 FIBRE_SCAN ユーティリティによるデバイス情報の表示

OpenVMS Alpha Version 7.3-2 で導入された FIBRE_SCAN.EXE ユーティリティは,システムの Fibre Channel に接続されたすべてのストレージ・デバイス (構成済みデバイスおよび未構成デバイスの両方) についての情報を表示します。表示される情報は, Fibre Channel ターゲット値および LUN 値,ベンダー ID および製品 ID,デバイス・タイプ,ポート WWID およびデバイス WWID,シリアル番号,ファームウェア・リビジョン・レベル,ポート・ログイン状態などのデータです。プログラムは主にディスクとテープ・デバイスについて表示し,コントローラやその他の汎用 ($n$GGAn) デバイスについても情報を表示します。

注意

FIBRE_SCAN は各システムでローカルに使用することができます。 OpenVMS Version 7.3-2 より古いバージョンのシステムでは使用できないだけでなく,クラスタ内の他のシステムに接続されたデバイスの情報を表示することもできません。

FIBRE_SCAN は次の 2 つのモードで起動できます。


$ MCR SYS$ETC:FIBRE_SCAN        ! Scans all ports on the Fibre Channel. 
$ MCR SYS$ETC:FIBRE_SCAN  PGx ! Scans only port x on the Fibre Channel. 

FIBRE_SCAN は CMKRNL および LOG_IO 特権を必要とします。

FIBRE_SCAN の出力をファイルに落すには, FIBRE_SCAN を実行する前に次のようなコマンドを実行してください。


$ DEFINE/USER SYS$OUTPUT xxx.log 

FIBRE_SCAN は表示専用のユーティリティで,デバイス・ドライバのローディング機能や Fibre Channel 上のデバイスの構成機能はありません。デバイスの構成には SYSMAN IO AUTOCONFIGURE コマンドを使用してください。


第 8 章
可用性を目的とした OpenVMS Cluster の構成

可用性 (Availability) とは,コンピューティング・システムがアプリケーション・サービスを提供する時間の比率です。OpenVMS Cluster のさまざまな特長を活かせば,ディザスタ・トレランスをはじめ,さまざまなレベルの可用性に OpenVMS Cluster システムを構成できます。

この章では,高い可用性を備えた OpenVMS Cluster システムを構築するための方法や最適な構成例を紹介します。これらの方法や構成例は,可用性の要件ごとの設定やトレードオフの選択に役立ててください。

8.1 可用性の要件

OpenVMS Cluster システムは要求に応じてさまざまなレベルの可用性に構成できます。 表 8-1 は,そのような可用性レベルの主な分類を示したものです。

表 8-1 可用性の要件
可用性の要件 説明
一般の用途 システムやアプリケーションが利用できなくてもほとんど,あるいはまったく影響なしで待機できるビジネス向け。
24 x 365 重要時間帯のみならず年間を通してほとんどの業務時間帯は,途切れることのないコンピューティング・サービスが必要なビジネス向け。最小限のダウン・タイムはあっても構わない。
ディザスタ・トレラント 可用性の要件が厳しいビジネス向け。このようなビジネスでは,地震,洪水,停電などに対する対策が必要となる。

8.2 OpenVMS Clusterによる可用性の提供方法

OpenVMS Cluster システムでは,以下の方式により可用性を強化しています。

8.2.1 ストレージ領域までの共用アクセス

OpenVMS Cluster 環境では,複数のシステム上のユーザとアプリケーションが,ストレージ・デバイスとファイルを透過的に共用できます。システムのどれかをシャット・ダウンしてもユーザは共用ファイルとデバイスに引き続きアクセスできます。ストレージ・デバイスの共用方法には,以下の 2 通りがあります。

8.2.2 構成要素の冗長性

OpenVMS Cluster システムでは,以下の構成要素をはじめ,多くの構成要素に冗長性を設定できます。

冗長構成要素を利用すれば,構成要素のどれかに障害が発生しても,ユーザやアプリケーションは別の構成要素を利用できます。

8.2.3 フェールオーバの仕組み

OpenVMS Cluster システムには,OpenVMS Cluster のどこかで障害が発生しても,それを回復できるフェールオーバのメカニズムがあります。 表 8-2 は,これらのメカニズムとそれによる回復レベルをまとめたものです。

表 8-2 フェールオーバのメカニズム
メカニズム フェールオーバ時の動作 回復方法
DECnet--Plus クラスタ・エイリアス ノードに障害が発生すると, OpenVMS Cluster ソフトウェアは新しい着信接続を他のノードに分散します。 手動。障害の発生したノードにログインするユーザは,残りのノードに再接続できます。

この方式に合わせて構成したアプリケーションでは自動処理。その場合,アプリケーションはクラスタ・エイリアス・ノード名で再接続し,その接続は残りのノードのどれかに直結されます。

I/O パス ストレージ・デバイスまでの冗長パスにより,パスのどれかに障害が発生しても OpenVMS Cluster ソフトウェアは,機能している作業パスがあれば,そこにフェールオーバします。 他の作業パスがあれば透過的
インターコネクト 冗長または複合インターコネクトにより, OpenVMS Cluster ソフトウェアは最速の作業パスを利用して他の OpenVMS Cluster メンバに接続します。インターコネクト・パスのどれかに障害が発生しても,機能している作業パスがあれば,そこにフェールオーバします。 透過的
ブート・サーバとディスク・サーバ 少なくとも 2 個のノードをブート・サーバとディスク・サーバに構成すると,サーバのどれかがシャット・ダウンしたり障害を起しても,引き続きサテライトからブートしたり,ディスクにアクセスできます。

ブート・サーバに障害が発生しても,MSCP サービス対象のディスクにアクセスできる代替パスがあれば影響はありません。

自動
ターミナル・サーバと LAT ソフトウェア ターミナルとプリンタをターミナル・サーバに接続します。ノードに障害が発生すると,LAT ソフトウェアは残ったノードのどれかに自動的に接続します。また,ユーザ・プロセスが LAT ターミナル・セッションから切り離されても,LAT セッションに再接続するとき,切り離されたセッションに LAT ソフトウェアが自動的に再接続します。

手動。ターミナル・ユーザが,障害の発生したノードにログインするには,残ったノードにログインしてアプリケーションを再起動する必要があります。
汎用バッチとプリント・キュー 汎用キューをセットアップすれば, 1 つ以上のノード上の (処理が発生した) 実行キューにジョブをフィードできます。ノードのどれかに障害が発生すると,汎用キューは,残ったノード上の実行キューにジョブを発行します。また,/RESTART 修飾子で発行されたバッチ・ジョブは,残ったノードのどれかで自動的に再起動します。

ディスパッチを待機中のジョブには透過的

障害の発生したノードで実行中のジョブには自動的,または手動

自動起動バッチとプリント・キュー フェールオーバ・リストで,実行キューを自動起動キューとしてセットアップすれば,可用性をフルに活用できます。ノードに障害が発生すると,自動起動キューとそのジョブがフェールオーバ・リストの次の論理ノードに自動的にフェールオーバし,別のノードで処理を続行します。自動起動キューは,ターミナル・サーバに接続されたプリンタに送信されたプリント・キューに特に適しています。 透過的

関連項目: クラスタ・エイリアス,汎用キュー,自動起動キューについては,『OpenVMS Cluster システム』を参照してください。


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