OpenVMS
OpenVMS Cluster 構成ガイド


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8.6.3 3 つの LAN セグメントの構成

図 8-3 は,異なる 3 つの LAN セグメントに接続した OpenVMS Cluster システムの構成例です。この構成には,Alpha ノードと VAX ノード,サテライト,複数のブリッジがあります。

図 8-3 3 LAN セグメントの OpenVMS Cluster構成


この図では,以下の点に着目してください。

関連項目: LAN におけるブート順序とサテライト依存の詳細については, 第 11.2.4 項 を参照してください。LAN ブリッジ・フェールオーバの詳細については,『OpenVMS Cluster システム』を参照してください。

8.7 DSSI OpenVMS Cluster における可用性

図 8-4 は,中程度のキャパシティで,高い可用性を備えた DSSI OpenVMS Cluster システムです。図の後の項で,以下の構成を検討します。

図 8-4 DSSI OpenVMS Cluster システム


8.7.1 構成要素

図 8-4 の DSSI OpenVMS Cluster 構成には,以下の構成要素があります。

パート 説明
1 ノード当たり 2 つの DSSI アダプタの DSSI インターコネクトが 2 本

解説: 冗長性を達成するため,最低 2 本のインターコネクトを使用し,全ノードを全 DSSI インターコネクトに関連付けます。

2 2 個から 4 個の DSSI 対応の OpenVMS ノード

解説: 定足数を満たすには,最低 3 個のノードを推奨します。 1 本の DSSI インターコネクトで,最高 4 個の OpenVMS ノードをサポートします。

代替法 1: 2 ノード構成では,ノードに障害が発生したときの定足数を満たすため,クォーラム・ディスクが必要です。

代替法 2: ノードが 4 個以上ある場合,2 本の LAN インターコネクトで接続された DSSI ノード・セットを 2 つ構成します。

3 2 本の Ethernet インターコネクト

解説: DECnet--Plus 通信には LAN インターコネクトを追加する必要があります。インターコネクトを 2 本使用して冗長性を強化しています。ネットワーク・キャパシティを上げるには,Ethernet ではなく FDDI を使用します。

4 システム・ディスク

DSSI インターコネクト上でシステム・ディスクにシャドウします。

解説: ディスクやインターコネクトが単一点障害の要因になるのを防ぐため,インターコネクト間にシステム・ディスクをシャドウ化します。

5 データ・ディスク

重要なデータ・ディスクは,DSSI インターコネクト上でシャドウ化します。

解説: ディスクとインターコネクトが単一点障害の要因になるのを防ぐため,インターコネクト上でデータ・ディスクをシャドウ化します。

8.7.2 長所

図 8-4 の構成には,以下の長所があります。

8.7.3 短所

この構成には,以下のような短所があります。

8.7.4 可用性の主な強化手法

図 8-4 の構成では,以下の手法により可用性を強化しています。

8.8 CI OpenVMS Cluster における可用性

図 8-5 は,ラージ・キャパシティと高い可用性を備えた CI OpenVMS Cluster システムの最適構成です。図の後の項で,以下の構成を検討します。

図 8-5 CI OpenVMS Cluster システム


8.8.1 構成要素

図 8-5 の CI OpenVMS Cluster 構成には,以下の構成要素があります。

パート 説明
1 2 本の LAN インターコネクト

解説: DECnet--Plus 通信には LAN インターコネクトを追加する必要があります。2 本の LAN インターコネクト---Ethernet または FDDI---により,冗長性を強化しています。ネットワーク・キャパシティを上げるには,Ethernet ではなく FDDI を使用します。

2 2 個から 16 個の CI 対応 OpenVMS ノード

解説: 定足数を満たすには,最低 3 個のノードを推奨します。 1 本の CI インターコネクトで,最大 16 個の OpenVMS ノードをサポートできます。

関連項目: CIPCA の全般的な説明については, 付録 C を参照してください。

代替法: ノードに障害が発生したときに定足数を満たすには, 2 ノード構成の場合,クォーラム・ディスクが必要です。

3 2 つのスター・カプラを備えた 2 本の CI インターコネクト

解説: 各ノードとの冗長接続を実現するには,2 つのスター・カプラを使用します。

4 重要なディスクは,CI ストレージ領域コントローラ間でデュアル・ポート化します。

解説:各ディスクを 2 つのコントローラに接続して冗長性を実現します。システム・ディスクは,CI ストレージ領域コントローラ間でシャドウ化し,デュアル・ポート化します。デュアル・ポート化ディスクのプライマリ・パスは定期的に切り替えてハードウェアをテストします。

5 データ・ディスク

解説: デュアル・ポーティングによる冗長化が不要な重要度の低いデータ・ディスクはシングル・ポートにします。

6 重要なデータ・ディスクは,コントローラ間でシャドウ化します。

解説: 重要なディスクはシャドウ化し,シャドウ・セット・メンバは異なる HSC に配置して,単一点障害の要因を排除します。

8.8.2 長所

この構成には,以下のような長所があります。

8.8.3 短所

この構成には,以下のような短所があります。

8.8.4 可用性の主な強化手法

図 8-5 の構成では,以下の手法で可用性を強化しています。

8.9 MEMORY CHANNEL OpenVMS Cluster における可用性

図 8-6 は,高い可用性を備えた MEMORY CHANNEL (MC) クラスタ構成です。 図 8-6 の後の項で,以下の構成を検討します。

図 8-6 MEMORY CHANNEL クラスタ


8.9.1 構成要素

図 8-6 に示す MEMORY CHANNEL 構成には,以下の構成要素があります。

パート 説明
1 2 個の MEMORY CHANNEL ハブ

解説: 2 個のハブとノードとの複数の接続により,単一点障害の要因を排除しています。

2 3 個から 8 個の MEMORY CHANNEL ノード

解説: 定足数を満たすには,3 ノードを推奨します。1 本の MEMORY CHANNEL インターコネクトで,最高 8 個の OpenVMS Alpha ノードをサポートします。

代替法: 2 ノード構成では,ノードに障害が発生したときの定足数を満たすために,クォーラム・ディスクが必要です。

3 FWD (Fast-wide differential) SCSI バス

解説: データ転送速度を強化し (20 百万/秒),2 つの HSZ コントローラをサポートするため FWD SCSI バスを使用します。

4 2 つの HSZ コントローラ

解説: 2 つの HSZ コントローラでコントローラ障害時の冗長性を確保しています。2 つのコントローラにより,2 本のシングル・エンド SCSI バスの接続が実装され,さらに多くのストレージ領域を利用できます。

5 重要なシステム・ディスクとデータ・ディスク

解説: 重要なディスクはシャドウ化し,シャドウ・セット・メンバは異なる SCSI バスに配置して,単一点障害の要因を排除します。

8.9.2 長所

この構成には,以下のような長所があります。

8.9.3 短所

この構成には,以下のような短所があります。

8.9.4 可用性の主な強化手法

図 8-6 の構成では,以下の手法により可用性を強化しています。

8.10 サテライトを持つ OpenVMS Clusterにおける可用性

サテライトとは,システム・ディスクや他の OpenVMS Cluster ストレージ領域に直接アクセスできないシステムです。サテライトは通常,ワークステーションですが,クラスタ内の他のノードによっては,ストレージ領域のサービスを受ける OpenVMS Cluster ノードもサテライトとして使用できます。

サテライト・ノードの可用性はサーバ・ノードによって大きく異なるので,この章の始めに紹介した構成例ではサテライト・ノードを使用していません。ただし,サテライト/サーバ構成には大きな長所があり,サテライト・ノードを構成に組み込むことで多少の可用性を犠牲にする場合もあります。

図 8-7 は,サテライトを持つ OpenVMS Cluster システムの最適な構成です。 図 8-7 の後の項で,以下の構成を検討します。

図 8-4図 8-5 に示すベース構成は, 図 8-7 に示すベース構成に代えることができます。言い換えると, 図 8-7 に示す FDDI セグメントとサテライト・セグメントは, 図 8-4図 8-5 に示す構成に容易に関連付けることができます。

図 8-7 サテライトを持つ OpenVMS Cluster


8.10.1 構成要素

図 8-7 に示すこのサテライト/サーバ構成には,以下の構成要素があります。

パート 説明
1 ベース構成

ベース構成は,サテライトのサーバ機能を実行します。

2 3 個から 16 個の OpenVMS サーバ・ノード

解説: 定足数を満たすには,少なくとも 3 ノードを推奨します。 16 ノードを超えると管理がたいへん煩雑になります。

3 ベース・サーバ・ノードとサテライト間の FDDI リング

解説: FDDI リングは,Ethernet を使用すればネットワーク・キャパシティが向上しますが,速度は低下します。

代替法: FDDI リングの代わりに 2 本の Ethernet セグメントを使用する。

4 重要な各サテライトを 2 つの Ethernet アダプタに接続している,FDDI リングから伸びた 2 本の Ethernet セグメント。これら重要なサテライトには,それぞれ専用のシステム・ディスクがあります。

解説: 専用のブート・ディスクを備えることで,重要なサテライトの可用性を強化しています。

5 重要度の低いサテライトの場合,ブート・サーバは Ethernet セグメントに配置します。

解説: 重要度の低いサテライトに,専用のブート・ディスクは不要です。

6 サテライト数は 1 セグメント当たり 15 に制限。

解説: 1 セグメント上のサテライト数が 15 を超えると I/O の輻輳が発生することがあります。

8.10.2 長所

この構成には,以下のような長所があります。

8.10.3 短所

この構成には,以下のような短所があります。

8.10.4 可用性の主な強化手法

図 8-7 の構成では,以下の手法により可用性を強化しています。


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