はじめよう!日本語 OpenVMS


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付録

項目 参照箇所
システムの起動と停止 付録 A
日本語環境を設定する 付録 B
ネットワークを利用したファイル操作 付録 C
JMAIL ユーティリティを使用する 付録 D
レキシカル関数一覧 付録 E
Linux または UNIX,MS-DOS,日本語 OpenVMS コマンド対応表 付録 F
関連アプリケーション 付録 G
PC 関連製品 付録 H
日本語 OpenVMS クイック・リファレンス 付録 I
日本語 OpenVMS マニュアル・クイック・リファレンス 付録 J


付録 A
システムの起動と停止





ここでは,日本語 OpenVMS システムの起動と停止について簡単にまとめます。

A.1 システムを起動する

システムを起動するには,次の方法があります。(ここで ddcu はデバイス名を指定します。)

通常のブート・コマンドで起動

A.2 シャットダウン・コマンド・プロシージャでシステムを停止する

シャットダウン・コマンド・プロシージャでシステムを停止するには,次の手順を行います。

  1. シャットダウン・コマンド・プロシージャを実行します。


        $ @SYS$SYSTEM:SHUTDOWN.COM    
    


    次のようなシャットダウン時の質問事項に答えると,システムがシャット・ダウンされます。


        How many minutes until final shutdown [0]: 
        Reason for shutdown [Standalon]: 
        Do you want to spin down the disk volumes [NO]? 
        Do you want to invoke the site-specific shutdown procedure [YES]?    
        Should an automatic system reboot be performed [NO]? 
        When will the system be rebooted [later]: 
        Shutdown options(enter as a comma-separated list): 
            REBOOT_CHECK       Check existence of basic system files 
            SAVE_FEEDBACK      Save AUTOGEN feedback information from this boot 
            DISABLE_AUTOSTART  Disable autostart queues 
        Shutdown options [NONE]: 
    


  2. メッセージが出たら,シャットダウンは完了です。この後,必要であれば電源を切ります。


        SYSTEM SHUTDOWN COMPLETE - USE CONSOLE TO HALT SYSTEM    
    


付録 B
日本語環境を設定する

日本語 OpenVMS で日本語機能を使用するには,日本語機能を有効にする設定を行う必要があります。(通常はシステム管理者が設定します。)この設定によって,日本語のヘルプやファイル名,日本語ユーティリティ等が有効になります。ここでは,日本語 OpenVMS 上で日本語の環境を設定する方法について説明します。

B.1 日本語環境が有効かどうかを調べる

日本語環境が有効になっているかどうかを調べるには,日本語環境設定ユーティリティ(JSY$CONTROL)を使用します。以下の 2 行のコマンドを入力してください。


    $ JSYCP == "$ SYS$SYSTEM:JSY$CONTROL.EXE"    
    $ JSYCP SHOW ALL 

次のようなメッセージが表示された場合は,日本語機能が有効になっています。


    現在のロケールは JA_JP_SDECKANJI です。
    論理名 SYS$HELP の値は SYS$SYSROOT:[SYSHLP.JA_JP] です。
    論理名 HLP$LIBRARY の値は SYS$SYSROOT:[SYSHLP]HELPLIB.HLB です。   
    論理名 SYS$MESSAGE の値は SYS$SYSROOT:[SYSMSG.JA_JP] です。
    論理名 UTIL$SMGSHR の値は JSY$SMGSHR です。
    論理名 SMG$DEFAULT_CHARACTER_SET の値は SDK です。
    ターミナルの入力コードは KANJI に設定されています。
    ターミナルのマルチバイト行編集は ENABLE されています。
 
    ファイル名コードセットは sdeckanji に設定されています。
    ファイル名解析スタイルは EXTENDED に設定されています。
    $ 

各メッセージの詳しい意味については『日本語ユーティリティ利用者の手引き』を参照してください。メッセージ全体が英語で表示される場合には,ユーザの日本語環境は無効になっています。

B.2 日本語環境を有効にする

日本語環境を有効にするには,次のコマンドを入力します。


    $ JSYCP SET LOCALE ja_JP.sdeckanji    

このコマンドを実行すると,以下の日本語機能が有効になります。

ロケールとは

ロケールとは,日本,中国,フランスなど特定の地理的あるいは言語的領域で,文化的な慣習に正確に対応するソフトウェア環境のことのことです。

B.3 DCL コマンド・ラインでかな漢字変換を行う

VT ターミナルのような,日本語入力機能を持たないデバイスから日本語 OpenVMS システムにログインしている場合は,日本語 OpenVMS の持つかな漢字変換を使って日本語を入力することができます。

(PC(パーソナル・コンピュータ)から日本語 OpenVMS システムにログインしている場合は,PC の日本語入力機能(IME など)を使って日本語を入力することができます。)

DCL コマンド・ラインでかな漢字変換を行うには,次のようにします。

  1. DCL プロンプトに対して以下のコマンドを入力します。


        $ INPUT START /SUBPROCESS /CONVERSION_KEY="@"    
    

    コマンドを実行すると,次のようなメッセージが表示され,かな漢字変換ユーティリティが起動されたことを示します。


        Creating subprocess... 
        Process YAMADA_1 spawned 
        Enter LOGOUT command to exit. Type CTRL @ to enter Kanji.    
    

  2. [Ctrl] + []@ キーまたは [Ctrl] + [Space] キーを押します。

    画面の下方に以下のプロンプトが表示されるので,このプロンプト上で,かな漢字変換を行うことができます。

        変換入力 :     
    

    標準ではコントロール・キーを利用して漢字変換やカタカナ変換を行います。

  3. 入力したい文字列が確定したら [Return] キーを押します。

    変換結果が DCL コマンド・ライン上の元のプロンプトに入力されます。

  4. かな漢字変換ユーティリティを停止する

    かな漢字変換を行う必要がなくなったら,以下のコマンドを入力すると,かな漢字変換ユーティリティを停止できます。


        $ LOGOUT    
    

注意 1

日本語 EVE エディタなどの日本語を使うことを目的としたアプリケーションは,アプリケーション自身が日本語入力機能を持つため,かな漢字変換ユーティリティを終了してから起動してください。

注意 2

日本語用に設計されていないアプリケーションに日本語を入力した場合,意図しない動作をしたり,エラーが発生する場合があります。そのようなアプリケーションに対しては日本語を使わないでください。

B.4 カナ入力の設定を行う

VT ターミナル・デバイスや CDE の漢字端末エミュレータで,日本語 OpenVMS の持つかな漢字変換を使ってカナ入力モードで文字を入力するには,付録 B.2 節 に説明されている設定を行った上で,KANJIGEN ユーティリティの次のコマンドを使用して,かな入力を有効にします。


    $ KANJIGEN == "$ JSY$SYSTEM:KANJIGEN.EXE"    
    $ KANJIGEN SET /INPUT=KANA /EDIT=DISABLE 

(コマンドの詳しい説明については『フォント管理ユーティリティ利用者の手引き』をご覧ください。)

これで,かな入力が有効になります。同時に PC からの漢字入力は無効になり,IME やカット & ペーストによる漢字入力はできなくなります。

かな入力を無効に戻すには,次のようにします。


    $ KANJIGEN SET /INPUT=KANJI /EDIT=ENABLE    

なおローマ字入力は,この設定にかかわらず常に利用可能です。


付録 C
ネットワークを利用したファイル操作





日本語 OpenVMS は TCP/IP と DECnet の 2 種類のネットワークをサポートしています。ここでは,これらのネットワークを使用して他の日本語 OpenVMS システムにアクセスする方法を説明します。ネットワークを使用してアクセスされる他の日本語 OpenVMS システムのことをリモート・システムと呼びます。

C.1 TCP/IP を利用する

日本語 OpenVMS システムで TCP/IP を利用するには,あらかじめ TCP/IP ソフトウェアがシステムにインストールされ,動作している必要があります。TCP/IP が動作しているかどうかは,次のようにして知ることができます。


  $ SHOW NETWORK

  Product:  TCP/IP        Node:  tko.honsha.com       Address(es):  192.168.0.123  
  $

Product: の項目に TCP/IP と表示されれば,TCP/IP が動作しています。

C.2 TCP/IP を利用してリモート・システムへログインする

現在ログインしている日本語 OpenVMS システムから,リモート・システムにログインするには telnet コマンドや rlogin コマンドを使います。


  $ TELNET OSAKA.SHITEN.COM

  %TELNET-I-TRYING, Trying ... 192.168.0.124
  %TELNET-I-SESSION, Session 01, host osaka.siten.com, port 23
  -TELNET-I-ESCAPE, Escape character is ^]

   Welcome to OpenVMS(TM)Alpha Operating System, Version V7.3-1  

  Username:

リモート・システムでの作業が完了し,そのシステムをログアウトすると,元の日本語 OpenVMS システムに制御が戻ります。

C.3 TCP/IP を利用してリモート・システム間でファイルを転送する

DIRECTORY や COPY などの DCL コマンドはネットワークに対応しているので,簡単な操作でリモート・システムへアクセスできます。ユーザ名とパスワードは二重引用符(")で囲み,コマンド・ライン上で指定します。


    $ コマンド /FTP リモート・システム名"ユーザ名パスワード"::    

C.3.1 TCP/IP を利用してファイルの一覧を取得する

ファイルの一覧を取得するには,次のようにします。


  $ DIR /FTP OSAKA"YAMADA パスワード"::

  Directory osaka.shiten.com"yamada password"::
  LOGIN.COM;1                1   9-MAY-2001 15:59:46.53  
  MAIL.MAI;1                27  22-JAN-2002 10:41:56.21

  Total of 2 files, 28 blocks.
  $

C.3.2 TCP/IP を利用してファイルをコピーする

ファイルをコピーするには,次のようにします。


  $ COPY /FTP OSAKA"YAMADA パスワード"::LOGIN.COM []  
  $

コマンド・ライン上でパスワードを指定すると,第 3 者にパスワードを知られてしまう可能性があります。そのような危険を避けるには,FTP ユーティリティを使います。FTP ユーティリティはパスワードを画面に表示しないので,セキュリティが重要な場合に使うと便利です。

C.3.3 FTP ユーティリティを使ってファイルをコピーする

FTP ユーティリティを使ってファイルをコピーするには,次のようにします。


  $  FTP
  FTP> connect osaka
  220 osaka.shiten.com FTP Server(Version 5.1)Ready.
  Connected to osaka.
  Name(oska:yamada):
  331 Username system requires a Password
  Password:
  230 User logged in.
  FTP> ls login.com
  200 PORT command successful.
  150 Opening data connection for SYS$SYSROOT:[SYSMGR]login.com;*
                                            (192.168.0.124,49896)  
  SYS$COMMON:[SYSMGR]LOGIN.COM;1
  226 NLST Directory transfer complete
  96 bytes received in 00:00:00.00 seconds(46.87 Kbytes/s)
  FTP> get login.com
  200 TYPE set to IMAGE.
  200 PORT command successful.
  150 Opening data connection for SYS$COMMON:[SYSMGR]login.com;
                                           (192.168.0.124,49897)
  226 Transfer complete.
  local: SYS$COMMON:[SYSMGR]LOGIN.COM;2  remote: login.com
  992 bytes received in 00:00:00.00 seconds(322.91 Kbytes/s)
  FTP> exit
  221 Goodbye.
  $
 

C.4 TCP/IP を利用したファイル・アクセスの注意点

TCP/IP(おもに FTP )を使用してファイルをコピーする場合,そのファイルがテキスト・ファイルであるかバイナリ・ファイルであるか注意する必要があります。特に日本語 OpenVMS 以外のシステムとの間でファイルのコピーを行う場合には非常に重要になります。間違ったファイル形式でコピーを行うと,ファイルの内容は正しくコピーされません。

日本語のテキスト・ファイルをコピーする場合は,漢字コードにも注意する必要があります。日本語 OpenVMS では EUC に類似した Super DEC 漢字コードセットをサポートしています。Windows 等の Shift JIS を使うシステムとの間で日本語のファイルを転送する場合には,たとえば次のように漢字コードの変換を行う必要があります。


    $ ICONV CONVERT LIST.TXT /FROMCODE=SJIS LIST-1.TXT /TOCODE=SDECKANJI    

日本語 OpenVMS ではファイル名にも日本語を使うことができますが,リモート・システムに置かれた日本語のファイル名を持つファイルにはアクセスできません。このような場合は英語のファイル名を使用してください。

C.5 FTP とレコード・フォーマット

Windows と Linux との間で FTP を用いてファイルを転送する場合には,転送したいファイルがテキストなのかバイナリなのかに注意する必要があります。日本語 OpenVMS の場合も同様に,日本語 OpenVMS と Windows もしくは Linux との間で FTP を用いてファイルを転送する場合には,転送したいファイルがテキストなのかバイナリなのかに注意する必要があります。

日本語 OpenVMS のディスク上にある各ファイルは,それぞれレコード・フォーマットを持っています。OpenVMS では多数のレコード・フォーマットがサポートされていますが,一般的には以下のフォーマットが使用されます。

表 C-1 PC と互換性のあるレコード・フォーマット
ファイル形式 レコード・フォーマット レコード属性
テキスト・ファイル Variable length CRLF
  Stream_LF CRLF
バイナリ・ファイル Fixed length None

ファイルのレコード・フォーマットは DIR /FULL コマンドで知ることができます。ファイル転送の際にテキストとバイナリを間違えずに指定していれば,日本語 OpenVMS と Windows や Linux システムとの間で,ファイルは正しく転送されます。

テキストやバイナリの指定を間違えて転送してしまうと,実際のファイルの中身とファイル・フォーマットとが違い,ファイルの内容が壊れてしまいます。そのような場合には,再度正しく転送し直すことをおすすめしますが,再送しないで修正するには,以下の方法を試してみてください。


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