OpenVMS
システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル


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7.5 BACKUP の修飾子

この項では,BACKUP の修飾子について,例を挙げて説明します。 BACKUP 修飾子の位置が BACKUP 処理にどのように影響するかを,充分理解するようにしてください。BACKUP コマンド行の形式については, 第 7.2 節 を参照してください。 表 7-2 は,BACKUP 修飾子の一覧です。

表 7-2 BACKUP の修飾子の要約
修飾子 説明
/ALIAS 別名ファイル・エントリと 1 次ファイル・エントリの複数回の処理に関して,前バージョンの動作を使用するかどうかを指定する。
/ASSIST BACKUP 処理時に磁気テープをマウントできなかった場合,オペレータやユーザによる操作を可能とする。
/BACKUP BACKUP/RECORD コマンドでファイル・ヘッダ・レコードに書き込んだ BACKUP 日付をもとにファイルを選択する。
/BEFORE 指定した日時より前の日付のファイルを選択する。
/BLOCK_SIZE BACKUP セーブ・セット内のデータ・レコードの出力ブロック・サイズをバイト数で指定する。
/BRIEF セーブ・セット内の各ファイルについて,ファイル指定,ブロック数によるサイズ,作成日付を /LIST 修飾子に表示させる。
/BUFFER_COUNT 現在使用されておらず,効果はない。
/BY_OWNER 入力ファイル選択修飾子とした場合,指定した UIC が所有するファイルを処理する。

出力ファイル修飾子とした場合,復元するファイルの所有者 UIC (ユーザ識別コード) を再定義する。

出力セーブ・セット修飾子とした場合,セーブ・セットの所有者UIC (ユーザ識別コード) を指定する。

/COMMENT 出力セーブ・セットの BACKUP 要約レコードとする文字列を入力する。
/COMPARE 第 1 パラメータの内容を第 2 パラメータの内容と比較する。
/CONFIRM 各ファイルを処理する前に,確認プロンプトをターミナル上に表示する。
/CONVERT ODS-5 ファイル名を ODS-2 ファイル名に変換する。
/CRC 入力セーブ・セット修飾子とした場合,セーブ・セットのデータ・ブロックにコード化されているソフトウェア巡回冗長チェック (CRC) をチェックする。

出力セーブ・セット修飾子とした場合,CRC を実行し,出力セーブ・セットのデータ・ブロックに結果を格納することを指定する。

/CREATED 各ファイル・ヘッダ・レコードの作成日付フィールド値をもとに,ファイルを選択する。
/CREATED 各ファイル・ヘッダ・レコードの作成日付フィールド値をもとに,ファイルを選択する。
/DELETE BACKUP のセーブ処理やコピー処理において,すべてのファイルの処理が正常終了したとき,選択した入力ファイルを入力ボリュームから削除することを指定する。
/DENSITY 出力磁気テープの記録密度を指定する。
/EXACT_ORDER BACKUP操作で使用するテープ・ボリューム・ラベルの正確な順序を指定する。
/EXCLUDE セーブ処理やコピー処理の選択基準を満たすファイルを処理対象から除外する。
/EXPIRED 各ファイル・ヘッダ・レコードの満了日付フィールド値をもとに,ファイルを選択する。
/FAST 高速ファイル検索で入力指定子を処理し,処理時間を短縮する。
/FILES_SELECTED セーブ・セットの復元時に選択される予定のファイルのリストを含むファイルを指定する。
/FULL /LIST コマンド修飾子が出力する情報を, DCL の DIRECTORY/FULL コマンドの表示形式で表示する。
/GROUP_SIZE 各冗長グループのブロック数を定義する。
/HEADER_ONLY BACKUP が shelved ファイルおよび preshelved ファイルのファイル・ヘッダのみを保存するかどうかを制御する。
/IGNORE BACKUP のセーブ処理やコピー処理において,ファイルに対する制約を変更すること,またはラベル処理チェックを行わないことを指定する。
/IMAGE ボリューム全体またはボリューム・セット全体を処理する。
/INCREMENTAL 一連の追加型セーブ・セットから 1 つのディスク・ボリュームを復元する。
/INITIALIZE 出力ディスク・ボリュームを初期化し,以前のすべての内容を使用不能とする。
/INPUT_FILES ファイルのリストのファイル名として入力指定子を扱うように BACKUP に指示する。このファイルは BACKUP 操作の入力ファイルを指定する。
/INTERCHANGE BACKUP セーブ・セットの読み込みを他のユーティリティやシステムに禁止する情報を除外することにより,データ交換 (ソフトウェア配布) に適した方式でファイルを処理する。
/JOURNAL BACKUP セーブ処理で BACKUP ジャーナル・ファイルを作成すること,または BACKUP ジャーナル・ファイルに情報を付加することを指定する。
/LABEL セーブ・セットの書き込み先である磁気テープまたはディスクに対し,それぞれ 6 文字または 12 文字以内のボリューム・ラベルを指定する。
/LIST BACKUP セーブ・セットとセーブ・セット内ファイルに関する情報をリストする。
/LOG 処理するファイルのファイル指定をSYS$OUTPUT に表示する。
/MEDIA_FORMAT データ・レコードを自動的に圧縮しブロッキングするかどうかを制御する。
/MODIFIED 各ファイル・ヘッダ・レコードの変更日付フィールド値 (ファイルを最後に変更した日付) をもとに,ファイルを選択する。
/NEW_VERSION ファイルの復元先やコピー先に,同じファイル指定のファイルがすでに存在している場合,新しいバージョンのファイルを作成する。
/NOINCREMENTAL セーブ操作で保存されるデータの量を制御する。
/OVERLAY 復元処理において,同名のファイルが存在する場合,既存ファイルを上書きする。
/OWNER_UIC /OWNER_UIC修飾子は/BY_OWNER修飾子に変更された。コマンド・プロシージャとオペレータ命令で使用しているOWNER_UICは/BY_OWNERに変更することが望ましい。詳しくは/BY_OWNER修飾子の説明を参照。
/PHYSICAL 入力ボリュームのファイル構造を無視し,論理ブロック単位で入力ボリュームを処理することを指定する。
/PROTECTION ディスク上にセーブ・セットを作成する場合,出力セーブ・セットに適用する保護を定義する。磁気テープ上にセーブ・セットを作成する場合,磁気テープ・ボリュームに適用する保護を定義する。
/RECORD ファイルのセーブ処理やコピー処理が正常終了したとき,各ファイル・ヘッダの BACKUP 日付フィールドに現在の日時を記録する。
/RELEASE_TAPE BACKUPセーブ操作でセーブ・セットを書き込み,チェックした後,またはテープの最後に到達した後,テープをディスマウントし,アンロードする。
/REPLACE 出力指定子のファイルを,入力指定子の同名ファイルと置換する。
/REWIND 入力セーブ・セット修飾子とした場合,入力ボリュームを読み込む前に,入力テープ・リールをテープの先頭マーカまで巻き戻す。出力セーブ・セット修飾子とした場合,出力テープをテープの先頭マーカまで巻き戻し,出力テープを初期化する。
/SAVE_SET 入力セーブ・セット修飾子とした場合,入力ファイルを BACKUP セーブ・セットとして扱う。

出力セーブ・セット修飾子とした場合,出力ファイルを BACKUP セーブ・セットとして扱う。

/SELECT 指定したファイルを処理対象として選択する。
/SINCE 指定した日時以降の日付のファイルを選択する。
/TAPE_EXPIRATION 現在の日付以外の日付を,セーブ・セットのファイル・ヘッダ・ラベルに満了日付として書き込む。
/TRUNCATE コピー処理や復元処理において,順編成出力ファイル作成時に,ファイルの終端 (EOF) でファイルを切り捨てるかどうかを制御する。
/VERIFY セーブ処理,復元処理,またはコピー処理が終了した後,出力指定子の内容を入力指定子の内容と比較することを指定する。
/VOLUME ディスク・ボリューム内の特定のディスク・ボリュームを処理対象とすることを指定する。

/ALIAS

コマンド修飾子

別名ファイル・エントリと 1 次ファイル・エントリの複数回の処理に関して,前バージョンの動作を使用するかどうかを指定します。

注意

OpenVMS バージョン 6.2 またはそれより前の非常に古いセーブ・セットを復元しているときには, /ALIAS 修飾子のみを使用してください。現在の省略時の動作は,ほとんどすべての他の状況で有効です。この修飾子を使用してよいかどうかがわからない場合には,弊社のサポート担当にお問い合わせください。


説明

/ALIAS 修飾子は,以前のバージョンの BACKUP の,別名ファイル・エントリと 1 次ファイル・エントリを同じものとして扱うという動作を使用します。このため,1 つまたは複数の別名ファイル・エントリが同じ 1 次ファイル・エントリを参照する場合,BACKUP は同じ 1 次ファイルを複数回処理することがあります。

/NOALIAS を指定すると,別名ディレクトリ・エントリと別名ファイル・エントリは無視されます。このため,1 次ファイルが複数回処理されることはなくなり,時間とセーブ・セット・ファイルのスペースが節約できます。セーブ・セットの作成時に /NOALIAS 修飾子が使用されたのに,復元操作の際に /ALIAS 修飾子が使用された場合は,/ALIAS 修飾子が無視されることを示すメッセージが表示されます。


形式

/ALIAS セーブ・セット指定 (省略時の設定)

/NOALIAS

/ASSIST

コマンド修飾子

磁気テープ・マウント要求が失敗した場合や,操作で別のボリュームが必要な場合, BACKUP操作でオペレータまたはユーザの介入を可能にします。


形式

/[NO]ASSIST 入力指定子 出力指定子


説明

/ASSIST 修飾子は,磁気テープの BACKUP マウント要求で障害が発生したときや,別のボリュームが必要なときに,オペレータ・ターミナルにメッセージを送ります。メッセージが送られるターミナルは, TAPES と CENTRAL のメッセージの受信が許可されているターミナルです。オペレータ・ターミナルの許可または禁止については,『OpenVMS DCL ディクショナリ』に記述された REPLY コマンドを参照してください。障害が発生した場合,オペレータは,処理を強制終了したり,エラーを修正して処理を続行したりできます。

TAPES と CENTRAL のメッセージを受信してマウント支援要求に応えられるオペレータ・ターミナルがない場合,ユーザにその状況を知らせるメッセージが表示されます。マウント要求したドライブにボリュームが挿入されている場合,オペレータが応答する必要はありません。マウント要求に対するオペレータの応答は,すべて SYS$OUTPUT に書き込まれます。BACKUP を会話形式で実行する場合, SYS$OUTPUT はユーザのターミナルです。BACKUP をバッチ・モードで実行する場合,SYS$OUTPUT はバッチ・ジョブ・ログ・ファイルです。

/NOASSIST を指定すると,マウント・メッセージは使用中のターミナルには表示されますが,オペレータには送られません。

省略時の値は,/ASSIST です。論理名 SYS$COMMAND がターミナル以外の装置を指している場合,/NOASSIST 修飾子の効果はありません。 BACKUP をバッチ・モードで実行する場合,/NOASSIST を指定しても効果はありません。



$ BACKUP/NOASSIST [PAYROLL]*.*;* MTA1:PAYROLL.BCK/LABEL=WKY101

この例では,ボリューム WKY101 をテープ・ドライブ MTA1 にマウントし,ディレクトリ [PAYROLL] のすべてのファイルをセーブ・セット PAYRROLL.BCK にコピーしています。/NOASSIST 修飾子により,マウント・メッセージは,オペレータ・ターミナルではなくユーザのターミナルに送られます。 WKY101 というラベルは,ボリューム番号 01,グループ 1 の週単位の BACKUP テープであることを意味します。テープのボリューム・ラベルが WKY101 以外である場合, BACKUP> プロンプトに対して OVERWRITE オプションを指定することにより,セーブ・セットをテープに書き込めます。

/BACKUP

入力ファイル選択修飾子

BACKUP/RECORD コマンドでファイル・ヘッダ・レコードに書き込んだ BACKUP 日付をもとにファイルを選択します。


形式

入力指定子/BEFORE=日時 /BACKUP 出力指定子

入力指定子/SINCE=日時 /BACKUP 出力指定子


説明

/BACKUP 修飾子を使用できる対象は Files-11 構造レベル 2 および 5 のボリュームだけです。また,/BEFORE または /SINCE の修飾子を必ず併用してください。イメージ処理や物理処理において, /CREATED,/MODIFIED,/EXPIRED のいずれかの修飾子と /BACKUP 修飾子を併用することはできません。

/BACKUP 修飾子は,ファイル・ヘッダ・レコードの BACKUP フィールドに記録されている日時を,/BEFORE 修飾子または /SINCE 修飾子で指定した日時と比較することによってファイルを選択します。ファイル・ヘッダ・レコードに記録される日時は,/RECORD コマンド修飾子でファイルを最後にセーブまたはコピーした日時です。

/BACKUP と /BEFORE を使用した場合,指定した日時よりBACKUP 日付が前の(古い)ファイルが選択されます。BACKUP 日付がないファイル,つまり /RECORD を指定せずにセーブまたはコピーしたファイルも選択されます。

/BACKUP と /SINCE を使用した場合,指定した日時より BACKUP 日付が後のファイルが選択されます。 BACKUP 日付がないファイル,つまり /RECORD を指定せずにセーブまたはコピーしたファイルは 選択されません


#1

$ BACKUP/RECORD
_From: [PAYROLL]*.*;*/BEFORE=01-SEP-2002/BACKUP
_To: MTA1:SEP01.BCK

/BACKUP 修飾子と /BEFORE 修飾子により,ディレクトリ [PAYROLL] 内で, BACKUP 日付が 2002 年 9 月 1 日より前のすべてのファイルについて,すべてのバージョンがセーブされます。コマンド修飾子 /RECORD が,セーブした日時を各セーブ対象ファイルのファイル・ヘッダ・レコードに書き込みます。

#2

$ BACKUP/RECORD [ACCOUNTS...]/SINCE=YESTERDAY/BACKUP MTA1:ACC.BCK
 

/BACKUP 修飾子と /SINCE 修飾子により,[ACCOUNTS] のすべてのサブディレクトリ内で,BACKUP 日付が昨日 (昨夜午前 0 時より前の 24 時間) 以降のすべてのファイルがセーブされます。コマンド修飾子 /RECORD が,セーブした日時を各セーブ対象ファイルのファイル・ヘッダ・レコードに書き込みます。

/BEFORE

入力ファイル選択修飾子

日付が指定した日時より前のファイルを選択します。


形式

入力指定子/BEFORE=日時 出力指定子


説明

/BEFORE 修飾子は,各ファイル・ヘッダ・レコードの指定したフィールドの日時を,コマンド行に指定した日時と比較することにより,ファイルを選択します。次に,/BEFORE 修飾子と併用できる入力ファイル選択修飾子(および機能)を示します。これらの修飾子は,一度に 1 つだけ使用するようにしてください。

/BACKUP BACKUP/RECORD で最後にセーブまたはコピーした日付が,指定した日付より前であるファイルを選択する。BACKUP 日付がないファイルも選択する。
/CREATED 指定した日付より前に作成したファイルを選択する。
/EXPIRED 指定した日付に満了しているファイルを選択する。
/MODIFIED 最後に変更した日付が指定した日付より前であるファイルを選択する。他の修飾子を指定せずに /BEFORE を指定した場合, /MODIFIED が仮定される。

日時は,[dd-mmm-yyyy[:]][hh:mm:ss.cc] の形式によるデルタ時間または絶対時刻で指定してください。次は,日時の指定に使用できる予約語です。

BACKUP 以前の BACKUP/RECORD 処理が書き込んだファイルの BACKUP 日付 (Files-11 構造レベル 2 または 5 ボリューム専用)
TODAY 00:00:00.0 時における,現在の日,月,年
TOMORROW 昨夜午前 0 時より 24 時間後
YESTERDAY 昨夜午前 0 時より 24 時間前

/BEFORE 修飾子は,追加型復元処理では無効です。



$ BACKUP [POLICIES]*.*;*/BEFORE=TODAY/EXPIRED  DMA1:OLDPOL.BCK/SAVE_SET

ディレクトリ [POLICIES] 内で,満了日付が今日の日付より前であるすべてのファイルをセーブします。


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