OpenVMS Alpha
V7.3-2 リリース・ノート【翻訳版】


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4.26.1 デバイス名の必要条件

V7.3-2

Volume Shadowing for OpenVMSは,完全デバイス名 $alloclass$ddcu: の ddc 部分が 3 文字のデバイス名をサポートしています。

このリリースより前では,完全デバイス名の ddc 部分が長いデバイス名 (たとえば,$1$DECRAM10:) を作成でき,これらのデバイスを正しくマウントできました。ただし,このようなデバイスをシャドウ・セットの一部としてマウントすると,操作上の問題 (たとえば,他のディスクをシャドウ・セットに追加した場合の %MOUNT-F-XSMBRS エラー) が発生します。

OpenVMS Alpha Version 7.3-2 からは,Mount ユーティリティは,デバイスを最初にマウントする際に,完全デバイス名の ddc 部分に対し 3 文字という必要条件を強制するようになりました。この必要条件を満たしていない名前のデバイスをマウントしようとすると,次のエラー・メッセージが表示されます。


MOUNT-F-NOTSHDWDEV, not a valid shadow set member 

4.26.2 DCL コマンド・プロシージャ内での SET SHADOW と SHOW SHADOW の使用についての警告

V7.3-2

新しい DCL コマンド SET SHADOW および SHOW SHADOW は,今後も進化します。将来のリリースでは, SHOW SHADOW/FULL 表示のデフォルトの表示および実装により,現在の表示フォーマットが変更されます。このため,DCL コマンド・プロシージャ内で現在の出力フォーマットを解析することでシャドウ・セットの情報を取得することは避けるようにお勧めします。 SHOW SHADOW コマンドが表示する項目の大部分は, F$GETDVI レキシカル関数を使用して取得することができます。

さらに,SET SHADOW コマンドの動作も変更されます。 SET SHADOW を使用してシステム上のすべてのシャドウ・セットの特性を同時に設定する場合は,他の新しい修飾子に加え,新しい /ALL 修飾子が必要です。

これらの新しいコマンドを使用する DCL コマンド・プロシージャを作成する場合は,これらの変更を念頭に置いてください。

4.26.3 異種デバイス・シャドウイング (DDS): 最初の異種メンバ追加での制限事項

V7.3-2

異種デバイス・シャドウイング (DDS) は, OpenVMS Version 7.3-2 で導入された新しい機能です。ここでは,クラスタ内に現在マウントされているシャドウ・セットへ最初の異種メンバを追加する時期に関する,一時的な制限事項について説明します。

異種メンバは,MOUNT コマンドを使用して,既存のシャドウ・セットに追加されます。たとえば,次のコマンドは,シャドウ・セット DSA22 に $1$DGA221 を追加します。


$ MOUNT DSA22:/SHADOW=($1$DGA221) VOL22  

既存の非 DDS シャドウ・セットへの異種デバイスの追加は,次のいずれかの条件を満たしている場合にだけ,シャドウ・セットが現在マウントされているノードからのみ行うことをお勧めします。

シャドウ・セットは,異種メンバが追加された後は,クラスタ内の他の Version 7.3-2 システムに安全にマウントまたは再マウントできます。 (異種メンバが構成されたシャドウ・セットにアクセスするには, Version 7.3-2 でなければなりません。) 現在のマウントのライフタイム内で,シャドウ・セットへ一旦異種メンバが追加されると,シャドウ・セットがマウントされたままであれば,何の制限もなく異種メンバの追加や削除を行うことができます。

この制限事項を守らないと,シャドウ・セットが現在マウントされているノード間で, OpenVMS 分散ロック動作が定常的に実行されてしまいます。一旦このロック動作が始まると,すべてのノード,または 1 ノードを除くすべてのノードからシャドウ・セットがディスマウントされるまで,止まりません。このロック動作により,他のノードにシャドウ・セットをマウントできなくなり,システム・リソースも消費されることがあります。ただし,この問題により,ディスク上のデータを損なうことはありません。

この問題は,Version 7.3-2 の修正キットで修正される予定です。

4.26.4 書き込みビットマップと異種デバイス・シャドウイング (DDS) の注意事項

V7.3-2

Volume Shadowing for OpenVMS を使用するときには,書き込みビットマップと異種デバイス・シャドウイング (DDS) の間に相互作用があります。

DDS (OpenVMS Version 7.3-2 の新機能) を使用すると,異なるサイズのディスク・デバイスからなるシャドウ・セットを構築できます。 (DDS についての詳細は,『HP OpenVMS Alpha Version 7.3--2 新機能説明書』と『Volume Shadowing for OpenVMS 説明書』を参照してください。)

書き込みビットマップは,完全コピーのオーバヘッドなしでメンバを仮想ユニットに戻せるように,シャドウ・セットの仮想ユニットに対して行われたアプリケーションの書き込みを追跡します。ユーザがシャドウ・セット・メンバに対して DISMOUNT/POLICY=MINICOPY コマンドを実行した場合や, MOUNT/POLICY=MINICOPY コマンドを使用してシャドウ・セットをマウントした場合に,書き込みビットマップが作成されます。このビットマップが作成されるときのサイズは,ボリュームの現在のサイズに依存します。

シャドウ・セットがマウントされるとき,そのシャドウ・セットの仮想ユニットの論理サイズは,最小のメンバ・ユニットのサイズになります。シャドウ・セットのメンバが削除された場合,仮想ユニットの論理サイズは,セット内に残っているメンバのサイズを基にして,再計算されます。その結果,仮想ユニットの論理サイズは,大きくなることがあります。

シャドウ・セットに書き込みビットマップが作成されるとき,そのサイズは,シャドウ・セットの仮想ユニットの現在のサイズによって決まります。仮想ユニットのサイズが後で大きくなると,ビットマップは仮想ユニット全体をカバーできなくなります。その後,ビットマップを使用してミニコピー操作でシャドウ・セット・メンバを戻すと,仮想ユニット内でビットマップがカバーしていない部分は,フル・コピー操作でコピーされます。

この問題を,次の例で示します。

小さいシャドウ・セット・メンバの削除を予定している場合は,ミニコピー・ビットマップ付きで大きなシャドウ・セット・メンバを削除する前に小さいメンバを削除すれば,大きなビットマップが作成され,短いビットマップで性能へ悪影響を及ぼすのを避けることができます。 (上記の例では,$1$DGA22: を削除する前に $1$DGA20: を削除します。)

4.26.5 KZPDC (Smart Array 5300) の制限事項

V7.3-2

すべてのシャドウ・セット・メンバが,次のようなフォルト・トレラント・デバイスからなるデバイスを使用して形成されているという前提で,Volume Shadowing for OpenVMS は, KZPDC コントローラ (Smart Array 5300) とともに使用できます。

KZPDC (Smart Array 5300) コントローラでのフォルト・トレラント・デバイスは,基礎となる LUN のいずれかでメディア障害が発生した場合に,データ・エラーを修復できるデバイスです。

OpenVMS Alpha Version 7.3-2 は,トータル・ブロック数が異なるメンバからなるシャドウ・セットをサポートしています。この新しい機能は,異種デバイス・シャドウイング (DDS) と言います。 DDS を使用すると,KZPDC デバイスは,サポートされている任意のコントローラ下のデバイスとシャドウ化できます。

以前のすべてのバージョンの OpenVMS では,HBVS で複数メンバのシャドウ・セットを作成するためには,すべてのデバイスは,総ブロック数が同じでなければなりませんでした。構成ユーティリティは, KZPDC デバイスや MSA1000 デバイス上のブロックの総数として,作成可能で,要求されたサイズに最も近い値を設定します。 KZPDC と MSA1000 は同じ計算方法を使用するため,同じ要求サイズで両者に作成されたデバイスには,同じサイズが設定されます。これにより,HBVS で複数メンバのシャドウ・セットを作成できます。

注意

フォルト・トレラント・デバイスが使用されていない場合は, HBVS を使用して複数メンバのシャドウ・セットを作成できないこともあります。たとえば,単一メンバのシャドウ・セットが, 1 つのデバイス (物理ディスクまたは非フォルト・トレラント・デバイス) を使用して形成されたとします。その後このデバイスで回復不可能なデータ・エラーが発生した場合, HBVS を使用してこのシャドウ・セットに他のメンバを追加することはできません。 2 つ目のメンバがシャドウ・セットに追加されると, HBVS はソース・デバイス全体を読み取り,ターゲット・デバイスへコピーします。基本シャドウ・セット・メンバ (つまりソース・シャドウ・セット・メンバ) からデータ・エラーが読み取られると, HBVS は,現在のすべてのシャドウ・セット・メンバ (ソース・メンバとコピー・ターゲット) に,「バッド・スポット」を作成しようとします。いずれかのシャドウ・セット・メンバで,バッド・スポットを作成する要求が失敗すると,シャドウ・セットは,1 メンバに縮小されます。

4.26.6 SHOW DEVICE/BITMAP コマンドで SYSTEM-F-INTDIV エラーが発生することがある

V7.3-2

ローカル・ノードにマウントされていないシャドウ・セットのビットマップを表示しようとすると,このシャドウ・セットがミニコピー・ビットマップを使用していた場合に, SYSTEM-F-INTDIV エラーが発生することがあります。

このエラーを回避するには,シャドウ・セットがマウントされていないかぎり,ビットマップ情報を表示しようとしないでください。または,このコマンドを,クラスタ内の他のノードで実行してみてください。

この制限事項は,OpenVMS の将来のリリースでは削除されます。

4.26.7 SHOW DEVICE/BITMAP には LOG_IO 特権が必要

V7.3-2

OpenVMS Version 7.3-2 では, SHOW DEVICE/BITMAP コマンドを実行するには,LOG_IO 特権が必要です。 LOG_IO 特権がない場合,このコマンドは,アクティブなビットマップを表示しません。

この制限事項は一時的なもので,近い将来パッチで修正されます。

4.26.8 シャドウ・セット・マージ遅延の算出方法の変更

V7.3-2

シャドウ・セットの補助なしマージ操作の実行中には,アプリケーションの読み込み I/O の性能が,次の 2 つの理由で低下します。

シャドウ・セット・マージ操作では,アプリケーションへのマージ I/O の影響を少なくするために,絞り込みメカニズムを採用しています。マージ処理は,システムの負荷が検出されたときにマージ I/O 操作間に遅延を入れることにより,絞り込まれます。この遅延を算出するロジックが, OpenVMS Alpha Version 7.3-2 用に再設計されました。新しいマージ遅延の計算では,デフォルトのパラメータ設定で, HSG-80 などの一部の I/O コントローラでのマージ速度が速くなります。詳細は,『Volume Shadowing for OpenVMS 説明書』を参照してください。

4.26.9 コントローラ・ペアからの Fibre Channel デバイスの削除

V7.3-2

既存の Fibre Channel デバイスがコントローラ・ペアから削除されると,ユーザ指定のデバイス識別子 (UDID) も削除されます。同じ UDID が後で他のコントローラ・ペア上の LUN に割り当てられ,そのデバイスがホスト・ベース・シャドウ・セットのメンバとして使用された場合,そのデバイスは,最初のシステムのシャドウ・セットにだけ追加されます。そのシャドウ・セットをマウントしている他のすべてのシステムは,そのデバイスを追加できません。

この問題は,OpenVMS Version 7.3-2 用の,ホスト・ベースの Volume Shadowing 修正キットで修正されます。修正キットの入手方法については, 第 1.6 節 を参照してください。

4.26.10 ANALYZE/DISK/SHADOW コマンドの動作

V7.3-2

ANALYZE/DISK_STRUCTURE コマンドに /SHADOW 修飾子 (OpenVMS Version 7.3-2 での新修飾子) を指定すると,シャドウ・セット全体の内容,またはシャドウ・セット内の指定された範囲のブロックが,矛盾していないかチェックされます。

何らかの理由でシャドウ・セットのメンバに接続上の問題が発生すると, ANALYZE/DISK_STRUCTURE コマンドは受け取ったエラーを表示してから, DCL プロンプトに戻ります。

接続上の問題を解消し,同じシャドウ・セット上でこのユーティリティを再度実行するには, ANALYZE/DISK/SHADOW コマンドを再実行する前に,仮想ユニット上に一時ファイルを作成する必要があります。

また,作成後一度もフル・マージが行われていないシャドウ・セットの場合,このユーティリティは,シャドウ・セット・メンバ間の,説明可能な矛盾について報告することがあります。このような矛盾は, /ERASE 修飾子なしで DCL コマンド INITIALIZE/SHADOW を使用してシャドウ・セットが作成され,各ディスク・デバイスが異なる内容を持っていた場合に発生します。この矛盾はディスク破壊ではないということを認識することが重要です。異なると報告されたブロックは,まだ書き込みが行われておらず,古いデータが入っている可能性があります。矛盾が報告されたブロックも,ファイルに割り当てられていることがあります。これは,ファイルのエンド・オブ・データの位置と,割り当てられたスペースの終わりとの間に,書き込まれていないスペースが存在することがあるためです。

フル・マージを行うと,このような矛盾をなくすことができます。フル・マージを開始するには, DCL コマンド SET SHADOW/DEMAND_MERGE DSAxxx を実行します。コントローラ・ベースのミニマージをサポートしているコントローラ (HSJ50 など) がサービスを行っているデバイスの場合,このコマンドは,シャドウ・セットがクラスタ内の 1 つのノードにのみマウントされている間に実行しなければなりません。そうしないと,ミニマージが発生し,矛盾は解決できなくなります。単一メンバのシャドウ・セットにメンバを追加する場合は,フル・コピー操作を行うことでも,ファイル・システムの内部と外部の両方でディスクの一貫性が保たれます。

フル・マージ実行後に ANALYZE/DISK/SHADOW コマンドがエラーを報告した場合は,これらのエラーについて調査する必要があります。

ANALYZE/DISK/SHADOW コマンドの動作については, 第 4.26.11 項 も参照してください。

4.26.11 異種デバイス・シャドウ・セットでの ANALYZE/DISK/SHADOW コマンドの動作

V7.3-2

ANALYZE/DISK/SHADOW コマンドは,新しいメンバの追加後にシャドウ・セットが論理的に拡張されてからフル・マージが発生していない場合にも,説明可能な矛盾を報告することがあります。この問題を,次の例で説明します。

ANALYZE/DISK/SHADOW が報告する矛盾は,問題となっているスペースにアプリケーションがまだ書き込んでいないので,無害です。

ANALYZE/DISK/SHADOW コマンドの動作については, 第 4.26.10 項 も参照してください。


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