OpenVMS Alpha
V7.3-2 リリース・ノート【翻訳版】


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1.4 アップグレード・パス

V7.3-2

バージョン 7.3-2 へのアップグレード

OpenVMS Alpha Version 7.3-2 に 直接アップグレードできるのは, OpenVMS Alpha の次のバージョンだけです。

Version 7.3-1
Version 7.3
Version 7.2-2
Version 7.2-1
Version 7.2-1H1
Version 7.2

現在,OpenVMS Alpha Version 6.2x 〜 7.1x を実行している場合は, 2 段階の手順でアップグレードしなければなりません (まず Version 7.2-2 または 7.3 にアップグレードし,次に Version 7.3-2 にアップグレードします)。これ以外のサポートされていないバージョンの OpenVMS を実行している場合は,以前のバージョンのドキュメントに記載されているアップグレード・パスを使用して,複数のアップグレードを行わなければなりません。

クラスタの同時アップグレード

クラスタを一度にアップグレードする場合には,クラスタ全体をシャットダウンして,各システム・ディスクをアップグレードします。各コンピュータでアップグレードとその後のリブートが完了するまでクラスタを使用することはできません。各コンピュータがリブートされると,各コンピュータではアップグレード後のオペレーティング・システムが実行されます。

クラスタのローリング・アップグレード

クラスタをローリング・アップグレードする場合は,各システム・ディスクを個別にアップグレードします。この場合,新旧バージョンのオペレーティング・システムを同じクラスタ内で同時に実行できます (複合バージョン・クラスタ)。ただし,システム・ディスクが複数必要です。アップグレード中でないシステムは,使用可能です。

OpenVMS Alpha Version 7.3-2 を含む複合バージョン・クラスタでサポートされる OpenVMS Alpha と OpenVMS VAX のバージョンは,次のとおりです。

Version 7.3-1 (Alpha)
Version 7.3 (Alpha と VAX)
Version 7.2-2 (Alpha)
Version 7.2 (VAX)

クラスタ環境でアップグレードを行う場合は, OpenVMS Alpha オペレーティング・システムの Version 7.2-2,7.3,および 7.3-1 からのローリング・アップグレードがサポートされています。クラスタ内にこの他のバージョンが存在する場合,それらのバージョンを,サポートされているバージョンにアップグレードするまで,ローリング・アップグレードはできません。

これらのバージョンの一部では,レジストリ・サーバや,レジストリ・サービスを使用するアプリケーションを実行中のクラスタ・メンバに対して,複合バージョンのサポートに制限が課せられます。 第 1.9.10 項 を参照してください。

これらすべてのバージョンで複合バージョンをサポートするには,修正キットをインストールする必要があります。詳細は, 第 4.13.1 項 を参照してください。

注意

現在 1 つのクラスタでは,アーキテクチャにかかわらず,一度に 2 つのバージョンの OpenVMS の実行のみがサポートされます。

OpenVMS オペレーティング・システムでアップグレードが保証される組み合わせ,移行可能な組み合わせ,OpenVMS Alpha Version 7.3-2 のインストール/アップグレード手順などの詳細は,『HP OpenVMS Alpha Version 7.3--2 Upgrade and Installation Manual』を参照してください。

1.4.1 クラスタのローリング・アップグレード: 『HP OpenVMS Alpha Version 7.3--2 Upgrade and Installation Manual』の訂正

V7.3-2

『HP OpenVMS Alpha Version 7.3--2 Upgrade and Installation Manual』の第 5 章の「Cluster Rolling Upgrades」の項に漏れがあります。 OpenVMS Alpha Version 7.3-2 での複合バージョン・クラスタがサポートされるバージョンのリストが不完全です。このリストには,OpenVMS Version 7.2 (VAX) も含まれます。

1.5 ネットワーク・オプション

V7.3-2

OpenVMS では,使用するネットワーク・プロトコルを柔軟に選択できます。 DECnet が必要な場合も,TCP/IP が必要な場合も, OpenVMS ではネットワークにとって最適なプロトコルあるいはプロトコルの組み合わせを選択できます。 OpenVMS では,弊社のネットワーキング製品とサード・パーティのネットワーキング製品のどちらも使用できます。

OpenVMS Version 7.3-2 のインストール手順で,次のサポートされている HP ネットワーキング・ソフトウェアをインストールすることができます。

または,OpenVMS をインストールした後で, OpenVMS Version 7.3-2 で動作するサード・パーティ・ネットワーキング製品をインストールすることもできます。

インストールの後で HP ネットワーキング・ソフトウェアを構成したり管理したりする方法については,TCP/IP,DECnet-Plus,または DECnet の各マニュアルを参照してください。オンライン形式のマニュアルは,OpenVMS Documentation CD-ROM で提供されます。印刷物が必要な場合は,弊社へご注文ください。

1.6 修正キットの入手方法

V7.3-2

弊社製品の修正キットは, HP IT リソース・センタ (ITRC) からオンラインで入手できます。 ITRC パッチ・ダウンロード・サイトを使用するには,ユーザ登録とログインが必要です。すぺてのユーザが登録可能で,サービス契約は不要です。次の URL で,登録とログインができます。


http://www2.itrc.hp.com/service/patch/mainPage.do 

また,FTP を使用して,次の場所からパッチを入手することもできます。


ftp://ftp.itrc.hp.com/openvms_patches 

1.7 クラスタでのシステム・スタートアップの障害

V7.3-2

システムのスタートアップ中,システム・ディスクに対して SET VOLUME/SUBSYSTEM が実行されます。この操作は,クラスタ環境でシステム・ディスクがロックされていた場合 (たとえば,再構築操作中),何も表示せずに失敗することがあります。 SET VOLUME/SUBSYSTEM が失敗した場合は,サブシステムを使用可能にするために, SYSTARTUP_VMS.COM の呼び出し後に再試行されます。それでもロックが解放されず,操作が失敗した場合は,次の警告が出力されます。


%STARTUP-W-SUBSYSNOTENA, failed to enable subsystem ACEs on system disk 

1.8 SHADOW_MAX_UNIT のデフォルト設定とメモリ使用量

V7.3-2

この注意事項は,以前の注意事項を更新するものです。以前の注意事項は,このシステム・パラメータのデフォルト設定について説明していましたが,デフォルト設定で消費されるメイン・メモリの量については説明していませんでした。

OpenVMS Alpha Version 7.3 で, HP Volume Shadowing for OpenVMS でのミニコピーがサポートされました。ミニコピー機能の一環として,新しいボリューム・シャドウイング・システム・パラメータ, SHADOW_MAX_UNIT が導入されました。 OpenVMS Alpha システムでは,このシステム・パラメータのデフォルト値は 500 で,メイン・メモリを 24 KB 消費します。 OpenVMS VAX システムでは,デフォルト値は 100 で,メイン・メモリを 5 KB 消費します。

Volume Shadowing for OpenVMS を使用する予定がない場合は,この設定を最小値の 10 に変更することができます (この場合,消費するメイン・メモリは 480 バイトです)。デフォルト値から最小値に変更すると, OpenVMS Alpha システムでは 23.5 KB のメイン・メモリ, VAX システムでは 4.5 KB のメイン・メモリを解放することができます。

注意

SHAD_MAX_UNIT は,静的なシステム・パラメータです。新しい設定値を有効にするには,システムをリブートしなければなりません。

ボリューム・シャドウイングの SHADOW_MAX_UNIT 設定の推奨値については,『Volume Shadowing for OpenVMS 説明書』を参照してください。

1.9 OpenVMS のインストールおよびアップグレードに影響を与える関連製品

この章の残りの部分では,OpenVMS オペレーティング・システムのインストールまたはアップグレードに影響を与える関連製品について説明します。その他の関連製品のリリースノートについては, 第 2 章 を参照してください。

1.9.1 圧縮形式で出荷される製品キット

V7.3-2

OpenVMS Version 7.3-2 から,オペレーティング・システムの POLYCENTER ソフトウェア・インストール・ユーティリティ・キットと,レイヤード・プロダクト CD-ROM の一部に,圧縮形式で提供されるものがあります。圧縮形式のキットは,ファイル・タイプで識別することができます。

圧縮形式のキットは,CD-ROM 上のスペースを節約するために開発されました。その他に,CD-ROM ドライブのスピードが遅いユーザ・システムでは,圧縮キットのインストール時間が少し短縮されるというメリットがあります。これは,CD-ROM ドライブから転送するデータが少なくてすむためです。

ユーザは圧縮キットのインストールを意識する必要はありません。修飾子の指定や,特別な操作は必要ありません。 POLYCENTER ソフトウェア・インストール・ユーティリティは,製品のインストール時に,レコードをその場で展開 (圧縮解除) します。したがって,余分な作業ディスク・スペースは必要ありません。

OpenVMS Version 7.3-2 (およびこれ以降のバージョン) で用意されている POLYCENTER ソフトウェア・インストール・ユーティリティは,圧縮キットと非圧縮キットを交互に扱うことができます。ただし,7.3-2 より前のバージョンの OpenVMS では,適切な POLYCENTER ソフトウェア・インストール・ユーティリティ修正キットがインストールされていなければ,圧縮キット (.PCSI$COMPRESSED) を読み取ることはできません。この修正キットは,OpenVMS Version 7.3-2 の最終版がリリースされる前に,利用可能になる予定です。

圧縮キットの,非圧縮キットへの変換

POLYCENTER ソフトウェア・インストール・ユーティリティ修正キットを以前のシステムにインストールする方法の他に,圧縮キットを非圧縮形式に簡単に変換することができます。 OpenVMS Version 7.3-2 上で PRODUCT COPY コマンドを使用すると, .PCSI$COMPRESSED キットから標準の .PCSI キットを作成して,インストール用としてターゲット・システムに転送することができます。次のようなコマンドを使用して,変換を実行できます。


$ PRODUCT COPY product-name /SOURCE=device:[dir] - 
_$ /DESTINATION=device:[dir] /FORMAT=SEQUENTIAL 

OpenVMS Version 7.3-2 オペレーティング・システムおよびレイヤード・プロダクト CD-ROM で用意されているすべてのキットが,以前のバージョンの OpenVMS にインストールできるわけではありません。製品を以前のバージョンの OpenVMS にインストールする前に,製品のドキュメントを参照してそのキットのインストールがサポートされているかどうかを確認してください。

1.9.2 ACMS キット: ファイル削除の問題

V7.3-1

次のキットのいずれかがインストールされているとします。

VMS73_ACMS-V0100
VMS722_ACMS-V0100
VMS721H1_ACMS-V0100
VMS721_ACMS-V0100

この場合,Version 7.3-1 以降にアップグレードすると,次の ACMS ファイルが削除されることがあります。

ACMSTART.COM
ACMSBOOT.EXE

これにより,アップグレード後に ACMS で障害が発生します。この問題を回避するには (または,この問題から復旧するには),古い ACMS キットを削除してから (インストール CD のメイン・メニューでオプション 6 "Remove installed products" を選択します),オペレーティング・システムのアップグレード前または後に, ACMS_U1_044 キットをインストールします。このキットは,前述のリストのキットを置き換えます。

最新の ACMS キットは,次の Web サイトから入手できます (バージョン番号のリンクをたどって ACMS_U1_044 キットにアクセスしてください)。


http://ftp1.support.compaq.com/public/vms/axp/  

1.9.3 OpenVMS Version 7.2-1 または 7.2-1H1 が稼働しているクラスタでの,COM for OpenVMS のアップグレード

V7.3-1

OpenVMS Alpha Version 7.2-1 または Version 7.2-1H1 が稼働しているクラスタで COM for OpenVMS を実行しているときに,ローリング・アップグレードを実施する場合は, 第 1.9.10 項 でクラスタのアップグレード方法を参照してください。

1.9.4 一部のシステムでは DECevent Version 3.1 以降が必要

V7.3-1

古いハードウェア・プラットフォームの分析

サポートされている特定の古いハードウェア・プラットフォーム (1200,8400,GS60,GS140 などのプラットフォーム) では,ハードウェア・エラー・ログ・ファイルを分析する場合に DECevent Version 3.1 以降のバージョンが必要です。

インストールまたはアップグレードを行って, OpenVMS Version 7.3以降にすると, DECevent DCL コマンド DIAGNOSE が無効になります。 DECevent とその DIAGNOSE コマンドを必要とするハードウェア・プラットフォームに OpenVMS をインストールする場合は,次の手順を実行してください。

  1. OpenVMS Version 7.3 以降のインストール/アップグレード

  2. DECevent ソフトウェア (HP System Tools CD-ROM に格納されている DECevent キットにあります) のインストール

この操作を実行しないで DIAGNOSE コマンドを実行しようとすると,次のシステム・メッセージが出力されます。


$ DIAGNOSE [parameters]
%DIA-E-NOINSTAL, DIAGNOSE has not been installed on this system

最新バージョンのプラットフォームの分析

System Event Analyzer (SEA) は,OpenVMS と最新のハードウェア・プラットフォーム (DSnn,ESnn,GS80,GS160,GS320 などのプラットフォーム) でサポートされるエラー・ログ分析ツールです。

さらに,新しい Error Log Viewer (ELV) ユーティリティを使用して,これらの新しいハードウェア・プラットフォーム上で作成されたエラー・ログ・ファイルを素早く調べることができます。 ELV は,OpenVMS Version 7.3-2 に統合されており, DCL コマンド ANALYZE/ERROR_LOG/ELV を入力することでアクセスできます。

ELV についての詳細は,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の ELV についての章を参照してください。

2 つのプラットフォームの分析

DECevent でサポートされるプラットフォームと SEA でサポートされるストレージ・デバイスの両方を使用している場合は, DECevent と System Event Analyzer (SEA) の両方が必要です。同様に,SEA でサポートされるプラットフォームと DECevent でサポートされるストレージまたは他のデバイスの両方を使用している場合は,両方のツールが必要です。

SEA をインストールする場合は,最新バージョンの WEBES (Version 4.2 以降) をインストールしなければなりません。 DECevent キットの現在のバージョンは Version 3.4 です。

DECevent のオペレーティング・システム要件とサポートされるハードウェアの詳細については,『DECevent Release Notes』を参照してください。このマニュアルは,次の web サイトで入手できます。


http://h18023.www1.hp.com/support/svctools/decevent/ 

「Download the documentation」のリンクをクリックしてください。

SEA のオペレーティング・システム要件とサポートされるハードウェアの詳細については,『WEBES Installation Guide』を参照してください。このマニュアルは,他の WEBES マニュアルとともに次の web サイトで入手できます。


http://h18023.www1.hp.com/support/svctools/webes/ 

DECevent の詳細については,『OpenVMS システム管理者マニュアル (下巻)』を参照してください。

1.9.5 DECnet-Plus と DECwindows は新しいバージョンが必要

V7.3-2

インストールまたはアップグレードを行って OpenVMS Alpha Version 7.3-2 にするときには, DECwindows と DECnet-Plus の新しいバージョンもインストールしなければなりません。このインストールが必要な理由の 1 つに,AUTOGEN の動作の変更があります ( 第 4.2 節 を参照)。

以前のバージョンの動作と異なり, DECnet-Plus for OpenVMS Version 7.3-2 では,AUTOGEN が必要としているように,製品情報を NEWPARAMS.DAT レコードに格納するようになりました。 AUTOGEN は, DECnet-Plus にこの変更が行われていることを前提としているため, CLU$PARAMS.DAT から「不正」レコードを削除する際に,警告を出力しません。 AUTOGEN は,これらのレコードは古い DECnet-Plus キットが作成したものなので,新しい DECnet-Plus キットが置き換えるものと見なします。このため通常の状態では, OpenVMS Version 7.3-2 のインストールまたはアップグレードの際に,動作に大きな違いは見られません。

ただし,他の製品が NEWPARAMS.DAT レコードに製品情報を格納しない場合, AUTOGEN は,レポートと,ユーザの SYS$OUTPUT デバイスの両方に警告メッセージを出力します。これは,AUTOGEN がこの製品情報を必要とするようになったためです。この警告は,(製品名が付加されていないため) NEWPARAMS.DAT にあるパラメータ割り当てを AUTOGEN が受け入れられないことと,レコードが CLU$PARAMS.DAT に追加されないことを示します。レコードが追加されないため,期待されている追加や変更が SYSGEN パラメータに行われず,リソースが足りなくなる可能性があります。ソフトウェア製品の開発者とテスト者は,この要件を意識しなければなりません。また,システム管理者にも関係する場合があります。

この新しい動作は,レイヤード・プロダクトのユーザと提供者の両方を守ることを目的としています。適切にアップデートされるようにこの情報を適切な順序にすると,不正なアップデートによって起こる問題を最小限にできます。

NEWPARAMS.DAT と CLU$PARAMS.DAT の説明は,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の AUTOGEN の章を参照してください。


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