Compaq OpenVMS
システム管理者マニュアル


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4.2 システム・パラメータ値の変更

会話型ブートを使用すれば,システム・パラメータ値を変更することができます。

作業 参照箇所
システム・パラメータ値を表示または変更してからのブート 第 4.2.1 項
代替パラメータ・ファイルのシステム・パラメータ値によるブート 第 4.2.2 項
省略時のシステム・パラメータ値によるブート 第 4.4.1 項

会話型ブートでシステム・パラメータ値を表示または変更するにあたって,次の用語を理解しておく必要があります。

用語 定義
アクティブ値 メモリに格納されて,アクティブなシステムによって使用されているシステム・パラメータ値。
現在値 省略時のパラメータ・ファイルに格納されているシステム・パラメータ値。システムのブート時,システム・パラメータのアクティブ値を設定するために使用される値。
  +VAX システムの場合,省略時のシステム・パラメータ・ファイルは SYS$SYSTEM:VAXVMSSYS.PAR である。
  ++Alpha システムの場合,省略時のシステム・パラメータ・ファイルは SYS$SYSTEM:ALPHAVMSSYS.PAR である。
省略時の値 省略時のリストに格納されて,省略時に使用されるシステム・パラメータ値。


+VAX のみ
++Alpha のみ

システム・パラメータについての詳細は, 第 15.1 節 を参照してください。

4.2.1 システム・パラメータ値を表示または変更してからのブート

会話型ブートでは,実際にシステムをブートする前に,個々のパラメータ値を表示または変更することができます。 1

会話型ブートの場合,メモリ上とシステム・パラメータ・ファイルの両方の値が変更されます。

注意

1 システム・パラメータを変更する場合には,なるべく AUTOGEN を使用すること。会話型ブートを使用してシステム・パラメータを変更するのは,一時的な場合に限定する。変更したパラメータを恒久的に使用する場合には,MODPARAMS.DAT を編集してから AUTOGEN を実行する。変更したパラメータを恒久的に使用する方法については, 第 15.5 節 を参照。

作業方法

  1. 会話型ブートの手順については,次のマニュアルを参照。

  2. SYSBOOT> プロンプトに対して,SHOW または SET コマンドを入力して,システム・パラメータ値を表示または変更する。


    SYSBOOT> SET UAFALTERNATE 1
    


    SET コマンドと SHOW コマンドについては,『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』の SYSGEN の項目を参照。

  3. システムに未チューニングのレイヤード・プロダクトがあり,ハングが起る可能性があるために,システムのすべてのレイヤード・プロダクトを起動せずにシステムを起動したい場合があります。このためにはパラメータ STARTUP_P1 を次のように設定します。


    SYSBOOT> SET STARTUP_P1 "MIN"
    

  4. Enter the CONTINUE command to continue booting:


    SYSBOOT> SET STARTUP_P1 "MIN"
    SYSBOOT> CONTINUE
    

  5. CONTINUE コマンドを入力して,ブートを継続する。


    SYSBOOT> CONTINUE
    



SYSBOOT> SHOW UAFALTERNATE
Parameter Name            Current    Default     Min.     Max.     Unit 
Dynamic 
--------------            -------    -------    -------  -------   ---- 
UAFALTERNATE                    0          0         0         1   Boolean
SYSBOOT> SET UAFALTERNATE 1
SYSBOOT> CONTINUE

4.2.2 代替パラメータ・ファイルのシステム・パラメータ値によるブート

プログラミングの研究または開発を行う場合には,実験,テスト,またはデバッグのために動作条件を変更しなければならないことがあります。このような運用においては,一時的に,省略時以外のパラメータ・ファイルに格納された値を使用して,システムをブートすることがあります。会話型ブートを使用すれば,省略時以外のパラメータ・ファイルからアクティブ値を再設定することができます。

作業方法

  1. 会話型ブートの手順については,次のマニュアルを参照。

  2. SYSBOOT> プロンプトに対して USE コマンドを入力する。


    USE  ファイル指定 
    


    ファイル指定には,代替パラメータ・ファイルの名前とタイプを指定する。指定可能なファイルは SYS$SYSTEM に存在するファイルであり,装置名を指定することはできない。


    SYSBOOT> USE ALTPARAMS.DAT
    

  3. CONTINUE コマンドを入力して,ブートを継続する。


    SYSBOOT> CONTINUE
    



SYSBOOT> USE ALTPARAMS.DAT
SYSBOOT> CONTINUE

4.3 SYSBOOT によるポート割り当てクラスの割り当て

ポート割り当てクラスを定義する場合は,なるべく CLUSTER_CONFIG プロシージャを使用してください。このプロシージャを使用できない場合 (たとえば,プライベート・システム・ディスクを既存のクラスタにブートしている場合など) には,SYSBOOT SET/CLASS コマンドを使用して,ポート割り当てクラスを共有 SCSI ポートに割り当てることができます。たとえば,ポート PKB が SCSI バスに接続されており,別のノードがそのバスに対してポート割り当てクラス 152 をすでに割り当てている場合には,次のコマンドを入力します。


SYSBOOT> SET/CLASS PKB 152

この場合,DEVICE_NAMING パラメータを 1 に設定して,新しい装置名の指定を有効に設定してください。次の例を参照してください。


SYSBOOT> SET DEVICE_NAMING 1

ポート割り当てクラスの割り当てを解除するには,クラス番号を指定せずに,ポート名だけを入力します。次の例を参照してください。


SYSBOOT> SET/CLASS PKA

4.4 緊急ブート

システムに障害が発生したためにシステムがブートできない場合は,緊急ブートを行う必要があります。用途別緊急ブートのリストを 表 4-1 に示します。

表 4-1 緊急ブート方法
タイプ 用途 参照箇所
省略時のシステム・パラメータ値によるブート パラメータ・ファイルのパラメータ値を変更して,システムがブート不能になった場合 第 4.4.1 項
スタートアップ・プロシージャまたはログイン・プロシージャを使用しないブート スタートアップ・プロシージャまたはログイン・プロシージャにエラーがあって,ログインできない場合 第 4.4.2 項
ユーザ登録ファイルを使用しない緊急ブート パスワードを忘れて,特権付きアカウントにログインできない場合 第 4.4.3 項

4.4.1 省略時のシステム・パラメータ値によるブート

パラメータ・ファイルの現在値の設定を間違えると,システムがブートできなくなることがあります。このような場合は,会話型ブートで,すべてのシステム・パラメータのアクティブ値を省略時の値に戻します。

システム・パラメータを変更する場合には,なるべく AUTOGEN を使用すること。会話型ブートを使用してシステム・パラメータを変更するのは,一時的な場合に限定する。変更したパラメータを恒久的に使用する場合には,MODPARAMS.DAT を編集してから AUTOGEN を実行する。変更したパラメータを恒久的に使用する方法については, 第 15.5 節 を参照。

作業方法

  1. 会話型ブートの手順については,次のマニュアルを参照。

  2. SYSBOOT> プロンプトに対して,次のコマンドを入力する。


    SYSBOOT> USE DEFAULT
    


    このコマンドによって,すべてのパラメータに省略時の値が設定される。

  3. CONTINUE コマンドを入力して,ブートを継続する。


    SYSBOOT> CONTINUE
    

  4. ブートが終了したら,問題の原因となるパラメータを見つけて,そのパラメータ値を修正する。 AUTOGEN パラメータ・ファイル MODPARAMS.DAT に入っているパラメータ値の指定に誤りがある場合は,このファイル内のパラメータ値を訂正して, AUTOGEN を実行する ( 第 15.5 節 参照)。

  5. システムをシャットダウンして,再ブートする。



SYSBOOT> USE DEFAULT
SYSBOOT> CONTINUE
Username: SYSTEM
Password: 
$ EDIT SYS$SYSTEM:MODPARAMS.DAT
   .
   .
   .
[Insert the following line in MODPARAMS.DAT:] 
MIN_NPAGEDYN = 2999808 
   .
   .
   .
$ @SYS$UPDATE:AUTOGEN SAVPARAMS REBOOT

4.4.2 スタートアップ・プロシージャまたはログイン・プロシージャを使用しないブート

システムがスタートアップ・プロシージャの実行に失敗した場合,つまり,ログインできなかった場合,スタートアップ・プロシージャまたはログイン・プロシージャを無視する必要があります。コンパックが提供するスタートアップ・プロシージャやログイン・プロシージャは必ず動作します。しかし,スタートアップ・プロシージャやログイン・プロシージャを変更している場合,システムに入れないことがあります。このような場合は次の手順に従ってください。

作業手順

  1. 会話型ブートの手順については,次のマニュアルを参照。

  2. SYSBOOT> プロンプトに対して,次のコマンドを入力する。


    SYSBOOT> SET/STARTUP OPA0:
    

  3. CONTINUE コマンドを入力して,ブートを継続する。


    SYSBOOT> CONTINUE
    

  4. ブートが終了したら,オペレータのコンソールに DCL コマンド・プロンプトの ($) が表示される。これで,ユーザのログインは完了している。

  5. 次の DCL コマンドを入力する。


    $ SET NOON
    


    このコマンドが入力されると,オペレーティング・システムはエラーを無視する。このコマンドを入力せずにエラーが発生した場合は,強制的にログアウトさせられる。

  6. ログインの失敗の原因となっているエラー,すなわち,スタートアップ・プロシージャまたはログイン・プロシージャ,あるいは UAF 内のエラーを訂正する。
    ファイルの訂正にはテキスト・エディタを使用する。システム・コンソールの中には,スクリーン・エディタが用意されていないものがあるので注意が必要である。また,RENAME と DELETE の両方のコマンドを用いて正しいファイルをコピーして,間違ったファイルのバージョンを削除する方法もある。

  7. SYSMAN を起動し,そこから次のコマンドを入力して,スタートアップ・プロシージャを再設定する。


    $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
    SYSMAN> PARAMETERS USE CURRENT
    SYSMAN> PARAMETERS SET/STARTUP SYS$SYSTEM:STARTUP.COM
    SYSMAN> PARAMETERS WRITE CURRENT
    SYSMAN> EXIT
    $ 
    

  8. 次のコマンドを入力して,通常のスタートアップ・プロシージャを実行する。


    $ @SYS$SYSTEM:STARTUP
    



SYSBOOT> SET/STARTUP OPA0:
SYSBOOT> CONTINUE
$ SET NOON
$ SET DEFAULT SYS$SYSROOT:[SYSEXE]
$ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
SYSMAN> PARAMETERS USE CURRENT
SYSMAN> PARAMETERS SET/STARTUP SYS$SYSTEM:STARTUP.COM
SYSMAN> PARAMETERS WRITE CURRENT
SYSMAN> EXIT
$ @SYS$SYSTEM:STARTUP

4.4.3 利用者登録ファイルを使用しないブート

通常,コンパックが提供するスタートアップ・プロシージャとログイン・プロシージャは必ず動作します。しかし,ユーザが何らかの変更を行った場合,正しく動作しないことがあります。システムにログインできなくなる多くの原因は,設定したパスワードを忘れることです。このような場合には,標準の利用者登録ファイルを使用せずに,代替利用者登録ファイルを使用して,システムをブートします。

注意

この方法を使えるのは,コンソール・ターミナルからシステムにログインする場合だけです。他のターミナル回線の場合は使用できません。

システム・パラメータ UAFALTERNATE を設定すると,論理名 SYSUAF は SYS$SYSTEM:SYSUAFALT.DAT を指すよう定義されます。通常のログイン中にこのファイルが見つかると,システムはその内容を読み取ってアカウントを検証し,ユーザ名とパスワードの入力を求めます。

SYS$SYSTEM:SYSUAFALT.DAT ファイルが見つからない場合,システムは利用者登録ファイルが壊れたものと仮定し,コンソールからの任意のユーザ名とパスワード (2 つ) が認められ,システムにログインできます。他のターミナルからはログインできません。

この手順を実行した場合,システムは次の値をユーザのアカウントに割り当てます。

フィールド
名前 ユーザ名
UIC [001,004]
コマンド・インタプリタ DCL
ログイン・フラグ なし
優先順位 DEFPRI システム・パラメータの値
資源 PQL システム・パラメータの値
特権 すべて

通常,プロセス名は,ログインを行った装置の名前になります (_OPA0: など)。

作業方法

  1. 会話型ブートの手順については,次のマニュアルを参照。

  2. SYSBOOT> プロンプトに対して,次のコマンドを入力する。


    SYSBOOT> SET UAFALTERNATE 1
    

  3. DECwindows Motif for OpenVMS システムを実行している場合は,次のコマンドを入力して,ウィンドウ・システムの動作を停止する。


    SYSBOOT> SET WINDOW_SYSTEM 0
    

  4. CONTINUE コマンドを入力して,ブートを継続する。


    SYSBOOT> CONTINUE
    

  5. スタートアップ・プロシージャが完了したら,コンソール・ターミナルからログインする。このとき,Username: プロンプトと Password: プロンプトに対して,任意のユーザ名とパスワード (2 つ) が入力できる。

  6. 次のコマンドを入力して,省略時の UAF を使用する。


    $ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE_MODE SYSUAF SYS$SYSTEM:SYSUAF.DAT
    

  7. AUTHORIZE ユーティリティを使用して,システムにログインできなかった原因 (パスワードを間違えたなど) を修正する。パスワードの修正についての詳細は, UAF> プロンプトに対して HELP MODIFY と入力する。詳細は『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照。

  8. 次のコマンドを入力して,SYSMAN を起動し,ステップ 2 で設定した UAFALTERNATE システム・パラメータをクリアする。


    $ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
    SYSMAN> PARAMETERS USE CURRENT
    SYSMAN> PARAMETERS SET UAFALTERNATE 0
    


    システム・パラメータを変更する場合には,なるべく AUTOGEN を使用する。しかし,この例では一時的にパラメータを変更しているだけなので, SYSMAN または SYSGEN を使用している。

  9. ステップ 3 でウィンドウ・システムを無効にしている場合は,次のコマンドを入力して,ウィンドウ・システムを有効にする。


    SYSMAN> PARAMETERS SET WINDOW_SYSTEM 1
    

  10. 次のコマンドを入力して,変更したシステム・パラメータ値を保存する。


    SYSMAN> PARAMETERS WRITE CURRENT
    

  11. システムをシャットダウンして,再ブートする。



SYSBOOT> SET UAFALTERNATE 1
SYSBOOT> SET WINDOW_SYSTEM 0
SYSBOOT> CONTINUE
Username: [Return]
Password: [Return]
 
Password: [Return]
 
$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE_MODE SYSUAF SYS$SYSTEM:SYSUAF.DAT
$ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
$ RUN AUTHORIZE
AUTHORIZE> MODIFY SYSTEM/PASSWORD=FGLFTUTU
AUTHORIZE> EXIT
 
$ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN
SYSMAN> PARAMETERS USE CURRENT
SYSMAN> PARAMETERS SET WINDOW_SYSTEM 1
SYSMAN> PARAMETERS SET UAFALTERNATE 0
SYSMAN> PARAMETERS WRITE CURRENT
 
SYSMAN> EXIT
$ @SYS$SYSTEM:SHUTDOWN


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