Compaq OpenVMS
システム管理者マニュアル


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14.2.2.5 汎用出力キュー

ライン・プリンタ 3 台というように,同一種のプリンタを複数台使用する場合は,汎用キューを使用して,プリンタ間のプリント負荷のバランスを取るべきです。 図 14-7 は,そうしたキューの構成例を表しています。

図 14-7 3 台の同種プリンタ使用時の汎用キュー構成


汎用キューの作成方法については, 第 14.4.3 項 で詳しく説明します。

14.2.2.6 OpenVMS Cluster キュー

図 14-8 は,OpenVMS Cluster 用の代表的な出力キュー構成例を表しています。クラスタのキュー構成については,『Compaq OpenVMS Cluster システム』を参照してください。

図 14-8 OpenVMS Cluster における出力キュー構成


14.2.2.7 スプールされたプリンタ

出力キューを使用せずにプリンタに直接出力を行うアプリケーションを使用する場合,または LAT キューを使用する場合は,プリンタをスプールすることをおすすめします。プリンタをスプールすると,アプリケーション・プログラムは中間記憶装置に出力を書き込むため,プログラムの動作中でも他のユーザがプリンタを使用することができます。

図 14-9 は,スプールされたプリンタを使用するときの出力キュー構成を表したものです。

図 14-9 スプールされた装置を使用するときのキュー構成


スプールされたプリンタについては, 第 8.8.2.1 項 を参照してください。

14.2.2.8 プリントの分散

OpenVMS バッチおよびプリント・キュー登録システムを使用すると,ローカル・システムや OpenVMS Cluster に接続された出力装置でファイルをプリントすることができます。

これに対し DQS (Distributed Queuing System: 分散キュー・システム) は, OpenVMS のキュー登録システムのプリント機能を分散環境に広げるレイヤード製品です。DQS を使用して,ネットワーク上の遠隔ノードに接続されている出力装置でファイルをプリントすることができます。

この DQS についての詳細は,DQS の資料を参照するか,弊社のサポート担当者にお問い合わせください。

14.3 キュー設定の計画

ジョブをキューに登録するためには,キューを作成する必要があります。つまり,ジョブが処理を開始できるようにキューを起動する必要があります。キューを設定し起動するには,次の順序で作業を行ってください。

ステップ 作業 参照箇所
1 キュー・マネージャの起動,キュー・データベースの作成を確認する。 第 13.5 節
2 出力キューを使用する場合は,出力装置を設定して,ブート時に装置を設定するコマンド・プロシージャを作成する。 第 14.3.1 項
3 フォーム,特性,バナー・ページなど,キュー・オプションを使用する場合には,これらのオプションの指定に必要な修飾子を決定する。さらに,キューを作成する前に使用するフォームと特性を定義する (この手順の説明は長くなるため,ステップ 5 を説明した節の後に,対応する節が設けられている)。 第 14.6 節
4 キューを作成して,起動する。 第 14.4 節
5 ブートのたびに必要な設定作業を実行するコマンド・プロシージャを作成する。 第 14.5 節

14.3.1 出力装置の設定

出力キューを作成するためには,それらキューが出力を送る装置を設定しておく必要があります。

作業方法

  1. ユーザがアクセスするプリンタやプロッタなどの出力装置をインストールする。インストール方法については,装置付属の資料を参照すること。

  2. LAT プリンタを使用する場合は,論理 LAT ポートを作成する。 LAT プリンタが使用可能なすべてのサービス・ノードに論理 LAT ポートを作成し,ターミナル・サーバ・ノードの物理ポートまたはサービスに対応付ける必要がある。このために使用するコマンドは, LATCP の CREATE PORT と SET PORT コマンド。詳細は『Compaq OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照すること。

  3. SET コマンドを使用して,ターミナル・ポートに接続されているライン・プリンタとプリンタに装置特性を設定する ( 第 8.8.1 項 を参照)。ステップ 5 では,システムのブートのたびに装置を設定するコマンド・プロシージャを作成する。装置特性を設定するためのコマンドは,コマンド・プロシージャに登録すること。

  4. プリンタをスプールする。LAT プリンタを使用する場合,またはプリンタに直接出力を行うアプリケーションを使用する場合は,プリンタをスプールすること。プリンタのスプールについては, 第 14.2.2.7 項 を参照。
    プリンタをスプールするためには,SET DEVICE/SPOOLED コマンドを使用する。詳細は 第 8.8.2.1 項 を参照すること。

  5. システムのブートのたびに装置特性の設定とプリンタのスプールを行うコマンド・プロシージャを作成する。ステップ 3 と 4 のコマンドをコマンド・プロシージャに登録すること。ステップ 2 の論理ポート設定用のコマンドは,サイト別 LAT スタートアップ・コマンド・プロシージャの SYS$MANAGER:LAT$SYSTARTUP.COM に登録すること。
    システム構成が単純な場合,そうしたコマンドは, SYSTARTUP_VMS.COM に登録する方法もあります。ただし大量のコマンドが必要になる場合は, DEVICE_SETUP.COM といった名前のコマンド・プロシージャ・ファイルを別に作成し,それを SYSTARTUP_VMS.COM から実行すること。コマンド・プロシージャ内において,SET TERMINAL コマンドは,同じ出力装置の SET DEVICE/SPOOLED コマンドより前に置く必要がある。



$ SET PRINTER/TAB/PAGE=66/WIDTH=132/LOWER/FF/NOCR  -
_$ /FALLBACK/NOWRAP/NOTAB LPA0:(1)
$ SET TERMINAL/SPEED=9600/PAGE=100/WIDTH=200/DEVICE=LN03/NOBROADCAST - 
_$ /NOECHO/HARDCOPY/NOTYPE_AHEAD/NOFORM/NOWRAP/PASTHRU/PERMANENT LTA3331:(2)
$ SET DEVICE/SPOOLED=(LPA0,SYS$SYSDEVICE) LPA0:(3)
$ SET DEVICE/SPOOLED=(LN03_1,SYS$SYSDEVICE) LTA3331:(4)

この例では,次の操作を実行します。

  1. ライン・プリンタ装置のパラメータを設定する。

  2. LAT プリンタ装置のパラメータを設定する。

  3. 装置をスプールし,LPA0 というキューを作成する。

  4. 装置をスプールし,LN03_1 というキューを作成する。

14.4 キューの作成と起動

キューは次の順序で作成します。

  1. 実行キュー

  2. 汎用キュー

キューの作成と起動についての詳細は,以降の項を参照してください。

作業 参照箇所
自動起動型実行キュー 第 14.4.1 項
非自動起動型実行キュー 第 14.4.2 項
汎用キュー 第 14.4.3 項

14.4.1 自動起動実行キューの作成と起動

自動起動実行キューを作成して起動するには,次の操作を実行します。

  1. 自動起動キューとしてキューを作成し,オプションとしてフェイルオーバ・リストを指定する。

  2. 自動起動のためにキューをアクティブにする。この操作は,キューを作成するとき,またはキューを作成した後で実行できる。

  3. ノードで自動起動機能を有効にする。この操作は,キューを作成する前または作成した後で実行できる。



$ INITIALIZE/QUEUE/START/DEFAULT=(NOBURST,FLAG=ALL,TRAILER=ONE) -
_$ /AUTOSTART_ON=(LILITH::LPA0:,SMITTN::LPA0:)  LPA0(1)
$ INITIALIZE/QUEUE/START/DEVICE=TERMINAL/ -
_$ /AUTOSTART_ON=(LILITH::LTA3331:,SMITTN::LTA555:) -
_$ /RECORD_BLOCKING/BLOCK_LIMIT=600/CHARACTERISTICS=(EAST)-
_$ /SEPARATE=(NOBURST,NOTRAILER,NOFLAG,RESET=ANSI$RESET) -
_$ /DEFAULT=(NOFEED,NOBURST,FLAG=ONE,NOTRAILER,FORM=MEMO) -
_$ /LIBRARY=LN03LIBRARY /PROCESSOR=LATSYM      LN03_1(2)
$ ENABLE AUTOSTART/QUEUES(3)
$ ENABLE AUTOSTART/QUEUES/ON_NODE=SMITTN(4)

この例では,次の操作を実行します。

  1. LPA0 という自動起動キューを作成し,それを自動起動のためにアクティブにする。これはフェイルオーバ・リストが指定された自動起動キューであるため,このキューは, LILITH::LPA0 または SMITTN::LPA0 で実行できる。

  2. LAT プリンタに対して LN03_1 という自動起動キューを作成し,それを自動起動のためにアクティブにする。これはフェイルオーバ・リストが指定された自動起動キューであるため, LILITH ノードの LTA3331: または SMITTN ノードの LTA555: という LAT ポートに接続されたプリンタで実行できる。

  3. プロセスが実行されているノードで自動起動機能を有効にする。このノードが LILITH であるとする。 LPA0 と LN03_1 は,いずれも LILITH ノードで実行できるアクティブな自動起動キューであるため,これらのキューはこのノードで起動する。

  4. SMITTN ノードで自動起動機能を有効にする。 LILITH が使用不可になると, LPA0 と LN03_1 はどちらも SMITTN ノードにフェイルオーバできる。

各作業についての詳細は,この後の節を参照してください。

14.4.1.1 自動起動キューの作成

自動起動型実行キューを作成するためには,次の表に示す形式で INTIALIZE/QUEUE コマンドに /AUTOSTART_ON 修飾子を指定します。

キューの種類 使用するコマンド
出力キュー INITIALIZE/QUEUE/AUTOSTART_ON= (ノード名::[装置名:] [,...]) キュー名

ノード名:: には , キューを実行するノード名を指定すること。

装置名: には , キューの出力先となる出力装置名を指定すること。自動起動キューを別のノードと装置にフェイルオーバするために,ノードと装置をコンマで区切って指定すること。

バッチ・キュー INITIALIZE/QUEUE/BATCH /AUTOSTART_ON=(ノード名:: [,...]) キュー名

/BATCH 修飾子はバッチ・キューを作成する。

ノード名:: には , キューを実行するノード名を指定すること。自動起動キューを別のノードと装置にフェイルオーバするために,ノードをコンマで区切って指定すること。

重要

ノード名:: に指定されたノード名が,既存のノード名であるかチェックされることはありません。したがって,誤ったノード名を指定することのないように注意してください。

フェイルオーバ・リストの指定方法

フェイルオーバ・リストを指定するには,次の操作を実行します。

14.4.1.2 自動起動型キューのアクティブ設定

自動起動型キューは,次のいずれかの方法で最初にアクティブにする必要があります。

アクティブになった自動起動型キューは, STOP/QUEUE/NEXT コマンド,または STOP/QUEUE/RESET コマンドで停止させられないかぎり,アクティブであり続けます。ノードをシャットダウンしても,それによってノードの自動起動型キューがアクティブでなくなることはありません。

非アクティブな自動起動型キューを起動する

STOP/QUEUE/NEXT コマンド,または STOP/QUEUE/RESET コマンドで非アクティブにした自動起動型キューを起動する場合は,START/QUEUE コマンドを入力します。これにより,キューは自動的にキュー・マネージャによって起動されます。この場合,次のいずれかになります。

14.4.1.3 自動起動キューの有効化

自動起動キューを起動するノードで自動起動機能を有効にしなければなりません。この操作は,自動起動キューを作成する前または作成した後で実行できます。自動起動機能を有効にするには,次の操作を実行してください。

  1. 自動起動キューを実行する各ノード (キューが後でフェイルオーバされる可能性のあるノードも含む) に対して,次のコマンドを入力する。


    $ ENABLE AUTOSTART/QUEUES
    


    ノードで自動起動機能を有効にすると,次の処理を自動的に実行するようキュー・マネージャに通知される。


    省略時の設定では,コマンドは,そのコマンドを入力したノードでのみ有効である。別のノードで自動起動機能を有効にするには, /ON_NODE 修飾子を指定する。

    注意

    ENABLE AUTOSTART/QUEUES コマンドは,ノードで動作可能な, アクティブな自動起動型キューしか起動しません。このコマンドを入力しても自動起動キューが起動しない場合には,そのキューは自動起動に対してアクティブになっていません。 第 14.4.1.2 項 で説明したように,自動起動型キューは最初にアクティブにしておく必要があります。

  2. 自動起動型キューを実行するすべてのノードのスタートアップ・コマンド・プロシージャに ENABLE AUTOSTART/QUEUES コマンドを登録して,ノードのブートのたびに自動起動が有効になるようにする。

停止した自動起動キューの起動

ノード上のアクティブな停止中の自動起動型キューはすべて, ENABLE AUTOSTART/QUEUE コマンドでキューの自動起動を有効にすることにより,まとめて起動することができます。したがって,キューごとに START/QUEUE コマンドを登録する必要はありません。

ノードが再ブートすると,ENABLE AUTOSTART/QUEUE コマンドが入力されないかぎり,自動起動は有効にはなりません。

14.4.1.4 スタートアップ・プロシージャにコマンドを追加する

ENABLE AUTOSTART/QUEUE コマンドは,ノードのすべてのスタートアップ・プロシージャに登録することをおすすめします。ENABLE AUTOSTART/QUEUE コマンドは,スタートアップ・コマンド・プロシージャ内の,プリンタ装置の設定用コマンドと重要なディスクのマウント用コマンドの後に登録してください。このようにしておけば,後で自動起動型キューを追加する必要が出てきたり,あるいは自動起動型キュー・フェイルオーバ・リストにノードを追加する必要が出てきたりしたときに,コマンドを登録する必要がなくなります。

次に,ノードの SYSTARTUP_VMS.COM プロシージャに登録するコマンドの例を示します。


$! Start the nonautostart batch queue 
$ START/QUEUE SYS$BATCH 
$! Start all autostart queues 
$ ENABLE AUTOSTART/QUEUES 

システム・ディスクの SYS$MANAGER:SYSTARTUP_VMS.COM テンプレートには,この他の例も含まれています。


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