日本語Compaq TCP/IP Services for OpenVMS
リリース・ノート


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この例は,特定のサブシステムの状態を照会する方法を示しています。


sysconfigdb

サブシステム・コンフィギュレーション・データベースを管理します。


形式

sysconfigdb {-a | -u} [-t target] -f file subsystem-name

sysconfigdb {-m | -r} [-t target] -f file [subsystem-name]

sysconfigdb -d [-t target] subsystem-name

sysconfigdb -l [-t target] [subsystem-name,...]

説明

sysconfigdbユーティリティは,サブシステム・コンフィギュレーション・テーブル (TCPIP$ETC:SYSCONFIGTAB.DAT) の管理に使用されます。ただし,SYSCONFIGTAB.DAT ファイルと同じ形式を持つ任意のテキスト・ファイルの保守にも使用することができます。 sysconfigdbユーティリティで管理されているファイルは,ターゲット・ファイルと呼ばれます。省略時の設定では,ターゲット・ファイルは SYSCONFIGTAB.DAT ファイルです。ターゲット・ファイルとして別のファイルを指定するには, -tフラグを使用します。

ターゲット・ファイルを変更するには,スタンザ・ファイルを作成します。このスタンザ・ファイルには, 1 つ以上のサブシステムの名前を,属性およびその値のリストとともにそれぞれ指定します ( 第 1.6.2.1 項 で説明)。

ターゲット・ファイルが SYSCONFIGTAB.DAT ファイルの場合,そのファイルに対する変更は,サブシステム・コンフィギュレーション・テーブルと同期がとられますが,サブシステムは,次にロードされるまで変更されません。

ターゲット・ファイルが別のファイルの場合は,サブシステム・コンフィギュレーション・データベースと同期がとられることはありません。

制限事項

sysconfigdbユーティリティを実行して,システム・コンフィギュレーション・テーブルを変更するには,システム管理特権を持っていなければなりません。

パラメータ

subsystem-name

変更したい属性を含むサブシステムを指定します。サブシステムの名前と属性はスタンザ入力ファイルに記述します。

サブシステムの削除 ( -d),追加 ( -a),または置換 ( -u) を行う場合は,サブシステムの名前を指定する必要があります。

それ以外の場合にサブシステムの名前を指定しなければ,入力ファイルに指定されたすべてのサブシステムおよび属性に対して操作が行われます。


フラグ

-a

指定されたサブシステム・エントリをターゲット・ファイルに追加します。

-d

指定されたサブシステム・エントリをターゲット・ファイルから削除します。

-f file

入力ファイル,つまり 1 つ以上のサブシステムに対するエントリを含むスタンザ・ファイルを指定します。省略時のターゲット・ファイルは SYSCONFIGTAB.DAT ファイルです。 -tターゲット・フラグを使用して別のターゲット・ファイルを指定します。

-l

ターゲット・ファイル内の指定されたサブシステムのエントリをリストします。サブシステム名を指定しなければ,ターゲット・ファイル内のすべてのサブシステムのエントリがリストされます。 SYSCONFIGTAB.DAT ファイルは省略時のターゲット・ファイルです。

-m

入力ファイル内の指定されたサブシステム属性を,ターゲット・ファイル内のサブシステム属性とマージします。サブシステム名を指定しなければ,入力ファイル内のすべてのサブシステムのエントリがマージされます。 SYSCONFIGTAB.DAT ファイルが省略時のターゲット・ファイルです。

-r

入力ファイル内の指定されたサブシステムのエントリをターゲット・ファイルから削除します。削除されるエントリは,入力ファイル内の属性名および値と完全に一致するエントリだけです。サブシステム名を指定しなければ,一致する属性を持つ入力ファイル内のすべてのサブシステムのエントリがターゲット・ファイルから削除されます。 SYSCONFIGTAB.DAT ファイルは省略時のターゲット・データベース・ファイルです。

-t file

操作のターゲット・ファイルを指定します。このフラグを指定しない場合,省略時のターゲット・ファイルは SYSCONFIGTAB.DAT ファイルです。

-u

ターゲット・ファイル内のサブシステムのエントリを,入力ファイルに指定されているサブシステムのエントリと置き換えます。

次の例は, sysconfigdbユーティリティの使用方法を示しています。

#1

$ TCPIP 
TCPIP> sysconfigdb -u -f table_mgr.stanza table_mgr_1 

このコマンドは,SYSCONFIGTAB.DAT ファイル内の table_mgr_1エントリを,TABLE_MGR.STANZA ファイル内の table_mgr_1サブシステムに関する情報と置き換えます。このコマンドは,変更された SYSCONFIGTAB.DAT ファイルと一致するように,メモリ内にあるサブシステム・コンフィギュレーション・データベースのコピーを更新します。

#2

TCPIP> sysconfigdb -m -f table_mgr.stanza tbl_mgr_2 

このコマンドは, table_mgr.stanzaファイル内の tbl_mgr_2情報を,SYSCONFIGTAB.DAT ファイル内にすでにある tbl_mgr_2エントリ情報とマージします。そして,変更された SYSCONFIGTAB.DAT ファイルと一致するように,メモリ内にあるサブシステム・コンフィギュレーション・データベースのコピーを更新します。

#3

TCPIP> sysconfigdb -l table_mgr_1 
table_mgr_1: 
              size = 10 
              name = Ten-Element-Table 

このコマンドは,サブシステム table_mgr_1のエントリをリストします。このコマンドでは,メモリ内にあるサブシステム・コンフィギュレーション・データベースのコピーは更新されません。

#4

TCPIP> sysconfigdb -d table_mgr_1 

このコマンドは,SYSCONFIGTAB.DAT ファイルから table_mgr_1エントリを削除して,変更された SYSCONFIGTAB.DAT ファイルと一致するように,メモリ内にあるサブシステム・コンフィギュレーション・データベースのコピーを更新します。

1.7 エラー・メッセージのオンライン・ヘルプ

TCP/IP Services の本リリースでは,エラー・メッセージのための追加のオンライン・ヘルプが提供されています。構成要素の起動やシャットダウンのような,製品およびサービスの操作中に発行されたメッセージのヘルプにアクセスできるようになりました。

TCP/IP Services のヘルプ・メッセージ・データベースの設定および使用についての情報は, 第 2.8 節 を参照してください。

1.8 LPD サーバ・クラスタのサポート

TCP/IP Services の本リリースは,OpenVMS Cluster 環境におけるネットワーク・プリンティングの改善のための LPD サーバに対する機能強化を特長としています。この節では,管理手順に対する変更について説明します。

1.8.1 クラスタ単位のプリント・キューの実装

クラスタ単位のプリント・キューを実装するには,次の汎用プリント・キューおよび実行キューを設定します。

1.8.2 クラスタ単位のプリント・キューの使用

プリント・ジョブは TCPIP$LPD_OUT プリント・キューに登録されます。 PRINTPRINT コマンド行にプリンタを指定するには,次の修飾子を指定します。

たとえば,LOGIN.COM ファイルを LPDSVR.XYZ.ORG というホスト上の XYZPRINT という名前のプリンタで印刷するには,次のコマンドを入力します。


$ PRINT/QUEUE=TCPIP$LPD_OUT/PARAMETER=(HOST=LPDSVR.XYZ.ORG,PRINTER=XYZPRINT)- 
_$ SYS$LOGIN:LOGIN.COM 

覚えやすいコマンド名を作成して,DCL シンボルをデスティネーション・プリンタと対応付けたいことがあります。新しいコマンド名は,システムの SYLOGIN.COM ファイルに記述すると,システム単位で使用できるようになります。

前述の例で指定されたプリンタは,次のコマンドで定義することができます。


$ XYZPRINT :== $ PRINT/QUEUE=TCPIP$LPD_OUT- 
_$ /PARAMETER=(HOST=LPDSVR.XYZ.ORG,PRINTER=XYZPRINT) 

論理名がシステム単位で定義されると,XYZPRINT コマンドは,指定されたホスト上の指定されたプリンタに必ず印刷します。

1.8.3 LPD スプーラ・ディレクトリの定義

TCPIP$LPD_SPOOL 論理名は,TCPIP$LPD_ROOT 論理名で置き換えられます。新しい論理名は LPD ルート・ディレクトリを定義します。指定されていない場合,この論理名は,省略時の設定により,古い TCPIP$LPD_SPOOL 論理名と同じディレクトリ SYS$SPECIFIC:[TCPIP$LPD] をポイントします。次のように TCPIP$LPD_ROOT を定義することにより,LPD ルート・ディレクトリを再定義することができます。


$ DEFINE/SYSTEM/EXECUTIVE_MODE/TRANSLATION_ATTRIBUTES=- 
_$ (CONCEALED,TERMINAL) TCPIP$LPD_ROOT dev:[directory.]

LPD ルート・ディレクトリを定義する場合は, printcapファイルを変更する必要はありません。ルート・ディレクトリは,次のエントリを使用して, printcapファイルに定義されます。


:sd= /TCPIP$LPD_ROOT/000000/MYQUEUE:\

入力実行キューには printcapエントリはなく,代わりに,プリント・ジョブが登録されるローカル・キューの特性を持ちます。

1.8.4 LPD サーバのコンフィギュレーション

LPD コンフィギュレーション情報の変更に使用される論理名は,通常,TCPIP$LPD.CONF ファイルのエントリで置き換えられます。このファイルは,任意のテキスト・エディタで変更できるテキスト・ファイルです。

表 1-2 に,TCPIP$LPD.CONF オプションについて説明します。

表 1-2 LPD コンフィギュレーション・オプションおよび説明
コンフィギュレーション・
オプション
説明
1st-VFC-Prefix-Special プリント・ファイルの冒頭に余分な改行文字を挿入しないことを指定します。
Droptime 度重なるタイムアウトの後,接続を終了するまでに,接続が維持される時間を示します。値は秒で指定します。

ドロップ・タイマは,リンクが確立された後にだけ有効になり, Keepalive コンフィギュレーション・オプションが設定されている場合にだけ効力を生じます。ドロップ・タイマの省略時の値は 300 秒です。

Idle-Timeout LPD サーバが着信 LPD 接続を待機する時間を OpenVMS のデルタ時間形式で指定します。省略時の設定は 5 分です。この動作では, Persistent-Server オプションが指定されている必要があります。
Inbound-Queues-Per-Node LPD サーバの起動時に各クラスタ・ノードについて作成される入力実行キューの数を指定します。省略時の設定は 1 です。
Keepalive アイドル状態に見えるリンクのもう一方の端をチェックするまでに待機する秒数を指定します。キープアライブ・タイマは,リモート・ホストに障害が発生したかダウンした場合,または論理接続が切断された場合にそれを検出します。
Loop-Max LPD サーバが接続の再試行を行う最大数を指定します。省略時の設定は,最大値なしです (このオプションを 0 にセットした場合と同様)。この動作では, Persistent-Server オプションが指定されている必要があります。
Persistent-Server LPD サーバの永続性を有効にします。この動作は,省略時の設定では無効です。
Probetime 接続がタイム・アウトになるまでの秒数を指定します。

Probetime オプションの値は,常に Droptime オプションと同等かそれより小さい値でなければなりません。 Probetime オプションの省略時の値は 75 秒です。

プローブ・タイマは次の事項を制御します。

  • 初期接続が確立されたとき,タイムアウトになるまでに TCP/IP Services が応答を待機する秒数。 Keepalive コンフィギュレーション・オプションがセットされているかどうかにかかわらず,タイマはアクティブです。

  • TCP/IP Services がアイドル接続をチェックするまでの時間 (秒単位)。これには, Keepalive コンフィギュレーション・オプションが設定されている必要があります。

PS-Extensions Compaq PrintServer の拡張サポートを制御します。省略時の設定では,PrintServer の拡張は, LPD によってサポートされます。このサポートを無効にするには,このオプションに NON_PS キーワードを指定します。このサポートを有効にするには, LPS キーワードを指定します。
Retry-Interval TCP 接続の喪失などのソフト・エラーのために失敗したプリント・ジョブをキューに再登録する前に待機する期間を指定します。省略時の設定は 5 分です ( 0 00:05:00.00 )。
Retry-Maximum LPD シンビオントが,ソフト・エラーで失敗したプリント・ジョブをキューに再登録し続ける OpenVMS デルタ時間を指定します。省略時の設定は 1 時間です ( 001:00:00.00 )。
Setup-NoLF 省略時の設定では,LPD サーバは, SETUP モジュールの後で実際のプリント・ファイルの前のバイト・ストリームに改行を挿入します。このオプションを使用すると,この動作を制御することができます。LPD が改行文字を挿入しないようにするには,このオプションを TRUE に設定します。 printcap ファイルを使用してこの動作を制御する方法についての情報は, 第 1.8.5 項 を参照してください。
Stream-Passall LPD が,キャリッジ制御が埋め込まれている (省略時の設定) ファイルに余分の改行文字を追加するかどうかを制御します。このオプションは, TCP/IP Services の以前のバージョンの動作を保持するために設定します。これは,ユーザが Compaq PATHWORKS Client ソフトウェアから印刷する場合に便利です。
Utility-Queues-Per-Node LPD サーバの起動時に各クラスタ・ノードに対して作成する出力実行キューの数を指定します。省略時の設定は 0 です。
Synchronize-All-Jobs 入力実行キュー (TCPIP$LPD_IN_ nodename_ nn) で動作中の LPD プリント・シンビオント・プロセスが,最終的な宛先のプリント・キューに登録された各ジョブの完了時に同期をとられるかどうかを制御します。

TCP/IP 管理コマンドの SET SERVICE/LOG を使用して LPD サービス・ログ・オプション LOGOUT が設定されている場合に,シンビオント・プロセスによってキュー登録されたプリント・ジョブが完了すると,LPD サーバは同期をとり,ジョブ番号,キュー名,実行依頼者のユーザ名およびホスト名を含む OPCOM メッセージを送信します。

各同期化では,1 スロットのシンビオント・プロセスの AST クォータと動的メモリが消費されます。 LPD シンビオント・プロセスによってキュー登録された多数のジョブが保留状態になっているような状況 (たとえば,ジョブがキュー登録されたプリント・キューが停止しているため) では,シンビオント・プロセスは AST クォータまたは仮想メモリを使い切ってしまうかもしれません。

Synchronize-All-Jobs オプションが FALSE に設定されている場合は,ジョブの印刷で使用する LPD クライアントから送信された LPD メールバック完了通知または一時レイアップ・ファイルのいずれかを持っているプリント・ジョブについてのみ同期がとられます。

ほとんどのプリント・ジョブはメールバック完了 (/PARAMETERS=MAIL) またはレイアップ・ファイル (/PARAMETERS=LAYUP_DEFINITION) を使用しないため,オプションを FALSE に設定すると,多くのプリント・ジョブが未処理の場合に動的メモリや AST クォータを使い切るのを制限します。

Synchronize-All-Jobs オプションの省略時の設定は TRUE であり,これはほとんどのサイトに適しています。多くのプリント・キューに渡る重い入力処理を行うシステムでは,このオプションを FALSE に設定する必要がある場合があります。

VMS-Flagpages 『 Compaq TCP/IP Services for OpenVMS Management 』で説明されている OpenVMS フラグ・ページ・プリント・オプションを有効にします。


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