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システム管理者は,ターミナルやプリンタなどの周辺装置を設定し管理します。 本章では,このような周辺装置に関連する作業について説明します。 ディスクやテープなどの記憶媒体の管理については, 第8章を参照してください。
本章では,次の作業について説明します。
作業 | 参照箇所 |
---|---|
システム上の装置についての情報の取得 | 第7.2節 |
装置の機密保護特性の設定 | 第7.3 節 |
装置の接続とデバイス・ドライバのロード | 第7.4 節 |
OpenVMS Alphaシステムに対する装置の自動構成 | 第7.5 節 |
ターミナルの管理 | 第7.6節 |
モデムの管理 | 第7.7 節 |
プリンタの管理 | 第7.8節 |
テープ・ ドライブの管理 | 第7.9 節 |
+カード・リーダの管理 | 第7.10節 |
+ VAXのみ |
さらに,次の項目について説明します。
項目 | 参照箇所 |
---|---|
装置名 | 第7.1節 |
装置の構成 | 第7.5.1 項 |
プリンタのスプール | 第7.8.2項 |
一部のシステムでは,装置名はddcuの形式を取ります。 ddはデバイス・コード,cはコントローラ指定, uはユニット番号です。
ローカルDSA (Digital Storage Architecture)装置は,どの物理コントローラに置かれているかに関係なく, コントローラ名として"A"を取ります。
一文字のコントローラ名を使用するためには,すべてのローカルDSA装置のユニット番号を一意にする必要があります。 ローカル・ディスクが置かれているコントローラが異なれば, 同じユニット番号を使用することができます。
システムがOpenVMS Cluster環境のメンバの場合,装置名の形式は次のような方法で決定します。
割り当てクラスは1〜255の数値である。この値を使用して,$割り当てクラス$ 装置名という形式の装置名が作成される。たとえば,$11$DUA8 という割り当てクラス装置名は,ともに割り当てクラスが11 である2台のコンピュータまたHSCサブシステムからアクセスされるディスクを示す。
VAXcluseterまたはOpenVMS Cluster環境における装置名の形式についての詳細は, 『OpenVMS Cluster Systems』を参照してください。
システムに接続されている装置に関する情報が必要な場合は,DCLのSHOW DEVICESコマンドを使用します。
装置や修飾子を指定せずに,SHOW DEVICESとだけ入力した場合,システムは, 認識するすべての装置情報を表示します。
SHOW DEVICEコマンドで装置名を指定した場合は,その装置の情報のみ表示します。 修飾子を指定した場合は,現在ボリュームをマウントしているかどうか, またはプロセスに割り当てられているかどうかなど,装置の情報を表示します。SHOW DEVICES コマンドで使用可能な修飾子については, 『OpenVMS DCLディクショナリ』を参照してください。
次に,SHOW DEVICESコマンドの様々な使い方を示します。装置保護は, RWPL (read, write, physical, logical)です。
SHOW DEVICES/FULLの場合は,ボリューム保護と装置保護が表示されます。 さらに,ボリュームが保護されたサブシステムを有効にしていた場合はそれも表示されます。
$ SHOW DEVICES Device Device Error Volume Free Trans Mnt Name Status Count Label Blocks Count Cnt $11$DUA9: (SNAP) Online 0 $11$DUA10: (SNAP) Mounted 2 PAGE 83643 3 26 $11$DUA13: (SNAP) Mounted 0 WORK1 192297 36 26 $11$DUA23: (SNAP) Online 0 $11$DUA24: (SNAP) Mounted 0 MONITORPLUS 776808 86 26 DAD0: (TULIP) Online 0 DAD9: (TULIP) Online 0 DAD44: (TULIP) Mounted wrtlck 0 CDBIN06JUL23 97947 1 1 ROSE$MUA0: Online 0 LAVNDR$MUA0: Online 0 TULIP$MUA1: Online 0 IRIS$MUA1: HostUnavailable 0 OPA0: Online 0 DBA0: Offline 0 FTA0: Offline 0 FTA239: Online 0 LTA0: Offline 0 LTA3401: Online spooled 0 LTA3402: Online spooled 0 RTA0: Offline 0 RTA1: Mounted 1 RTA2: Mounted 0 RTB0: Offline 0 TXA0: Online 0 TXA1: Online 0 XT0: Offline 0
$ SHOW DEVICES/FULL DAD42: Disk DAD42: (IRIS), device type RRD40, is online, mounted, software write- locked, file-oriented device, shareable, error logging is enabled. Error count 0 Operations completed 146 Owner process "" Owner UIC [SYSTEM] Owner process ID 00000000 Dev Prot S:RWPL,O:RWPL,G:RWPL,W:RWPL Reference count 1 Default buffer size 512 Total blocks 1218000 Sectors per track 4 Total cylinders 50750 Tracks per cylinder 6 Allocation class 11 Volume label "CDBIN06JUL21" Relative volume number 0 Cluster size 3 Transaction count 1 Free blocks 15153 Maximum files allowed 152083 Extend quantity 5 Mount count 1 Mount status System Cache name "_$11$DUA21:XQPCACHE" Extent cache size 64 Maximum blocks in extent cache 1515 File ID cache size 64 Blocks currently in extent cache 0 Quota cache size 0 Maximum buffers in FCP cache 1330 Volume status: ODS-2, subject to mount verification, file high-water marking, write-through caching enabled.
$ SHOW DEVICES/FULL DU Disk $11$DUA8: (SNAP), device type RA90, is online, mounted, file-oriented device, shareable, served to cluster via MSCP Server, error logging is enabled. Error count 0 Operations completed 334 Owner process "" Owner UIC [SYSTEM] Owner process ID 00000000 Dev Prot S:RWED,O:RWED,G:RWED,W:RWED Reference count 1 Default buffer size 512 Total blocks 2376153 Sectors per track 69 Total cylinders 2649 Tracks per cylinder 13 Host name "SNAP" Host type, avail HS70, yes Alternate host name "DRAGON" Alt. type, avail HS70, yes Allocation class 11 Volume label "DOCRES" Relative volume number 0 Cluster size 3 Transaction count 1 Free blocks 1211964 Maximum files allowed 297019 Extend quantity 5 Mount count 26 Mount status System Cache name "_$11$DUA21:XQPCACHE" Extent cache size 64 Maximum blocks in extent cache 121196 File ID cache size 64 Blocks currently in extent cache 0 Quota cache size 0 Maximum buffers in FCP cache 1330 Volume status: ODS-2, subject to mount verification, write-through caching enabled. Volume is also mounted on TANGO, WHOCRS, SIRE, BARKIN, SALT, SNEEZY, ARTIC, HEMMING, ROCKUP, HUTZPA, HAPPY, TOSIR, CHAIN, BOXER, SPELLN, WAYLND, ADAM, PINE, MONA, PALMER, WLDWND, ERICA, VALLEY. Disk $11$DUA9: (SNAP), device type RA90, is online, file-oriented device, shareable, served to cluster via MSCP Server, error logging is enabled. Error count 0 Operations completed 544 Owner process "" Owner UIC [SYSTEM] Owner process ID 00000000 Dev Prot S:RWED,O:RWED,G:RWED,W:RWED Reference count 0 Default buffer size 512 Total blocks 2376153 Sectors per track 69 Total cylinders 2649 Tracks per cylinder 13 Host name "SNAP" Host type, avail HS70, yes Alternate host name "DRAGON" Alt. type, avail HS70, yes Allocation class 11
ボリュームが適切にディスマウントされなければ,リビルドが必要になる場合があります。 ボリュームのディスマウントが不適切というのは, たとえばシステムがクラッシュした場合です。SHOW DEVICESコマンドに/REBUILD_STATUS 修飾子を指定して,ボリュームのリビルドが必要であるかどうかを判断します。/REBUILD_STATUS 修飾子は,/OUTPUT修飾子以外のいかなるSHOW DEVICES 修飾子とも一緒に使用しないでください。
SHOW DEVICES/REBUILD_STATUSは,各ボリュームに対して,次のいずれかの値を返します。
値 | 意味 |
---|---|
Yes | リビルドが必要 |
No | リビルドは不要 |
Not applicable | ボリュームはリビルドできない。ボリュームがディスクでないか, 書き込み禁止に設定されている。 |
Information unavailable | リビルドの情報が得られない。 ボリュームがマウントされていないか,マウント・チェックを実行中である。 |
ボリュームのリビルドには,次のいずれかの操作を行います。
次の例の装置EMUL$DKB500は,リビルドが必要です。
$ SHOW DEVICES/REBUILD_STATUS Device Name Rebuild needed? ADU15$DKA300: Information unavailable EDIV$DKA300: Information unavailable EMUL$DKB200: No EMUL$DKB300: No EMUL$DKB500: Yes FTA0: Not applicable OPA0: Not applicable
SHOW DEVICEコマンドを使用すれば,ISO 9660形式の装置についての情報を表示することができます。 次の例では,SHOW DEVICES/FULLコマンドを使って,ISO 9660 形式のCD-ROMについての情報を出力します。ACPプロセス名が指定されていることと, ボリューム状態がISO 9660と表示されていることに注意してください。 この表示は,マウントされたボリューム・セットのメンバが, 相対ボリューム番号(RVN) 1,64,65535であることを示しています。
$ SHOW DEVICE DKA1/FULL
Disk $1$DKA1: (VMSRMS), device type RRD40, is online, allocated, deallocate on dismount, mounted, software write-locked, file-oriented device, shareable, served to cluster via MSCP Server. Error count 0 Operations completed 9 Owner process "_FTA5:" Owner UIC [FIN,USER] Owner process ID 20200066 Dev Prot S:RWPL,O:RWPL,G:R,W Reference count 2 Default buffer size 512 Total blocks 256 Sectors per track 32 Total cylinders 1 Tracks per cylinder 8 Allocation class 1 Volume label "VOLUME_1" Relative volume number 1 Cluster size 0 Transaction count 1 Free blocks 0 Maximum files allowed 0 Extend quantity 0 Mount count 1 Mount status Process ACP process name "DKA1CACP" Volume status: ISO 9660. Members of this volume set are $1$DKA1: (rvn 1), $1$DKA7: (rvn 64), $1$DKA16: (rvn 65535).
次のDCLコマンドを使って,装置に機密保護特性を設定できます。
これらのコマンドについての詳細は,『OpenVMS DCLディクショナリ』を参照してください。
省略時の設定では,テープまたはディスク装置の割り当てにはVOLPRO特権が必要です。 ただし,特権のないユーザには次の2通りでアクセスを許可できます。
VOLPRO特権についての詳細は,第8.3.4項を参照してください。
個々の装置へのアクセスを付与するには,SET SECURITYコマンドを,次のいずれかの方法で使用します。
$ SET SECURITY/CLASS=DEVICE DKA300/PROT=W:RWC
上記の例では,DKA300装置のワールド読み込み,書き込み,および制御アクセスを付与します。
$ SET SECURITY/CLASS=DEVICE DKA300/ACL=(IDENTIFIER=CHEKOV, ACCESS=CONTROL)
上記の例では,CHEKOV識別子を持つユーザへのDKA300装置の制御アクセスを付与します。
次の方法を使用すれば,特定のクラスのユーザに,すべての装置へのアクセスを付与できます。
$ SET SECURITY/CLASS=SECURITY_CLASS/PROFILE=TEMPLATE=DISK - _$ DEVICE/ACL=(ID=CHEKOV, ACCESS=R+W+D+C)
このアクアセスは,将来はすべての指定の初期化装置に適用されます。
SYS$EXAMPLES:RESET_DEVICE_PROTECTION.COM
このコマンド・プロシージャは,機密保護テンプレートですべての現在の装置に指定された保護に適用されます。
システムは,デバイス・ドライバというソフトウェア・コンポーネントを使用して, 特定のタイプの装置の入出力操作を制御します。 OpenVMSシステムで装置を使用するためには,その装置を接続して,対応するデバイス・ ドライバをメモリにロードする必要があります。
AUTOCONFIGUREコマンドはシステムに物理的に接続されているすべての装置を接続して, 対応するデバイス・ドライバをロードします。このコマンドを利用することによって, そうした作業が簡単になり,間違いを犯す可能性が少なくなります。
汎用スタートアップ・コマンド・ファイルSTARTUP.COMにはAUTOCONFIGURE コマンドが入っているので,装置を自動的に構成します。
VAXシステムのSTARTUP.COMには,次の自動構成用コマンドが入っています。
$ SYSGEN := $SYSGEN $ SYSGEN AUTOCONFIGURE ALL
AlphaシステムのSTARTUP.COMには,次の自動構成用コマンドが入ってます。
$ SYSMAN := $SYSMAN $ SYSMAN IO AUTOCONFIGURE
STARTUP.COMによる自動構成のCONFIGUREフェーズでは,次の操作を行う独立プロセスを作成します。
ある装置にはAUTOCONFIGUREコマンドで接続できないものもあります。このような装置は手動で接続し, そのデバイス・ドライバをロードしなければなりません。 たとえば,VAXまたはAlphaシステムに直接接続されているStorageWorks BA353 またはBA350に新規ディスクを追加するたびに,自動構成を手動で実行する必要があります。
また,システム起動時の装置の自動構成を禁止したい場合もあります。詳細は, 次の表に示す項を参照してください。
項目 | 参照箇所 |
---|---|
+手動による装置の接続とドライバのロード | 第7.4.1項 |
++手動による装置の接続とドライバのロード | 第7.4.2項 |
自動構成の禁止 | 第7.4.3項 |
+ VAXのみ ++ Alphaのみ |
VAXシステムでは,可能であれば,SYSGENコマンドAUTOCONFIGUREコマンドを使って標準装置を接続し, デバイス・ドライバをロードしてください。 しかし,コンパック以外の装置などの場合,AUTOCONFIGUREコマンドを使用できません。 また,次の装置についても,AUTOCONFIGUREでは,装置の接続とデバイス・ ドライバのロードが実行されません。
これらの装置のほかにも,AUTOCONFIGUREで接続やロードができない装置やドライバがあります。VAX システムの場合,SYSGENユーティリティを使用して手動で装置を接続したり, デバイス・ドライバをロードしたりできます。
詳細は,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』のSYSGENの項目と, 『OpenVMS VAX Device Support Manual』を参照してください(このマニュアルは,OpenVMSマニュアルCD-ROM に保管されており,PostScriptおよびDECW$BOOK (Bookreader)形式で利用できます) 。
システム・スタートアップのたびに手動で特殊装置を接続するには,該当するSYSGEN コマンドをサイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャSYCONFIG.COM に追加します。詳細は第5.2.4.1 項を参照してください。
VAXシステムにコンソール記憶装置を接続する場合は,次のCONNECTコマンドを使用します。
$ RUN SYS$SYSTEM:SYSGEN SYSGEN> CONNECT CONSOLE SYSGEN> EXIT
VAXシステムにネットワーク通信用論理装置を接続する場合は, SYS$MANAGER:STARTNETを使用します。
$ @SYS$MANAGER:STARTNET
仮想ターミナルの接続とそのデバイス・ドライバのロードについては,第7.6.2項を参照してください。
コンパックが提供するSYS$SYSTEM:CONINTERR.EXEは,リアルタイム・ プロセスが割り込みベクトルに接続して,リアルタイム・イベントに速やかに応答し, 特別な処理を行えるようにするデバイス・ドライバです。 このドライバは特定のタイプの装置には対応していません。詳細は, 『OpenVMS VAX Device Support Manual』を参照してください(このマニュアルは,OpenVMSマニュアルCD-ROM に保管されており,PostScriptおよびDECW$BOOK (Bookreader)形式で利用できます) 。
次は,VAXシステムに接続されている装置を自動構成して,コンソール・ ブロック記憶装置とネットワーク・ソフトウェア・デバイスを接続している例です。
$ RUN SYS$SYSTEM:SYSGEN SYSGEN> AUTOCONFIGURE ALL SYSGEN> CONNECT CONSOLE SYSGEN> EXIT $ @SYS$MANAGER:STARTNET
Alphaシステムの場合,装置の接続とデバイス・ドライバのロードを行うコマンドは,SYSMAN ユーティリティに含まれています。Alphaシステム上で入出力構成の制御または表示を行うSYSMAN コマンドには,IOという接頭辞が付いています。
標準の装置の接続とデバイス・ドライバのロードには,できるかぎりIO AUTOCONFIGUREコマンドを使用してください。
IO AUTOCONFIGUREは,ネットワーク通信の論理装置に対しては装置を接続したり, デバイス・ドライバをロードしたりしません。また,この他にもIO AUTOCONFIGURE が接続やロードをしない装置やドライバもあります。
SYSMANのIO CONNECTとIO LOADコマンドを使えば,接続されていない装置や標準でない名前の装置を接続したり, デバイス・ドライバをロードしたりできます。
詳細は,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』および 『Writing OpenVMS Alpha Device Drivers in C』のSYSMANに関する記述を参照してください。
Alphaシステムにネットワーク通信用論理装置を接続する場合は, SYS$MANAGER:STARTNETを使用します。
$ @SYS$MANAGER:STARTNET
次は,物理的にAlphaシステムに接続されている装置を自動構成して,ドライバをロードし, ネットワーク・ソフトウェア・デバイスを接続します。
SYSMAN> IO AUTOCONFIGURE ALL SYSMAN> EXIT $ @SYS$MANAGER:STARTNET
装置の自動構成は,労力を軽減し,エラーの発生を防ぎます。しかし,次のような理由で自動構成を禁止したい場合もあります。
自動構成を禁止したい場合は,SYS$MANAGER:SYCONFIG.COMの最後に次のコマンド行を追加してください。
$ STARTUP$AUTOCONFIGURE_ALL == 0
自動構成を禁止し,遠隔ノードのHSCとMSCPサービス・デバイスの設定を行う場合は,SYCONFIG.COM の最後に次の行を追加します。
$ STARTUP$AUTOCONFIGURE_ALL == 0 $ @SYS$SYSTEM:STARTUP CONFIGURE $ EXIT
これらのコマンドは,自動構成を禁止し,STARTUP.COMのCOFIGUREフェーズの実行を行います。
しかし,コマンド@SYS$SYSTEM:STARTUP CONFIGUREをSYCONFIG.COMに追加している場合,AUTOGENは次のエラーを表示し失敗します。
%RUN-F-CREPRC, process creation failed -SYSTEM-F-DUPLNAM, duplicate name
このエラーの原因は,SYCONFIG.COMがSTARTUP.COMとAUTOGENの両方から呼び出されたためです。AUTOGEN を実行するとき,CONFIGUREプロセスがすでに存在しています( このプロセスは,SYCONFIG.COMがSTARTUP.COMによって実行されたとき起動されます) 。AUTOGENがSYCONFIG.COMを呼び出したとき, 追加したコマンドは2番目のCONFIGUREプロセスを起動しようとします。 このコマンドは失敗し,その結果AUTOGENも失敗します。
自動構成は,システム上のハードウェア装置の検出とそれに対する適切なデバイス・ ドライバのロードを行う処理です。ファイル・ベースの自動構成は,OpenVMS Alpha がサードパーティ・ハードウェア装置を自動的に構成できる機能です。
OpenVMS Alphaバージョン7.1以降,装置構成テーブルはOpenVMS Alphaオペレーティング・ システム・ディスク上のASCIIテキスト・ファイルから構築されるようになりました。 適切なASCIIテキスト・ファイルにサードパーティ装置の簡単な記述を追加すると, サードパーティとエンド・ユーザは, コンパックがサポートする以外の装置を構成し,ユーザが作成したデバイス・ ドライバをロードすることができます。
これ以降の項では,装置の構成方法を簡単に説明し,また,コンパックがサポートしない装置を構成するための新しいファイル・ ベースの自動構成の方法を説明します。
装置は,システム・コードがバス上にある装置の位置を特定し,その装置に名前を付け, デバイス・ドライバをロードすると,構成されます。装置が自動構成されると, これらのすべてのステップはユーザからの介入なしに行われます。
OpenVMSは,ブート処理中にバス固有の手法で装置を検出します。検出処理には, 検出した装置についてのデータをバス固有のデータ構造で格納することも含まれています。 これらのデータ構造は,既知装置の構成テーブルを検出するために後で使用されます。 構成テーブルは,適切なドライバをロードし, 接続するためのドライバ名,装置名,その他のパラメータを判断するために必要な情報を提供します。
OpenVMS Alphaの7.1よりも前のバージョンでは,構成テーブルは, OpenVMSカーネル内に構築されていたので,システム・イメージを置き換えないと変更することができませんでした。OpenVMS Alpha バージョン7.1 で,構成テーブルはシステム・ディスクの ASCIIテキスト・ファイルから構築されるようになりました。OpenVMS がサポートするすべての装置に対してシステム・ ファイル(SYS$SYSTEM:SYS$CONFIG.DAT) が提供され, また,サードパーティ,レイヤード製品,ユーザ作成のすべてのデバイス・ ドライバに対しては,ユーザ・ファイル(SYS$SYSTEM:SYS$USER_ CONFIG.DAT)が提供されます。システムは,ブート処理中にこれらのファイルを読み込み, これらのファイルを使って構成テーブル群を作成します。 構成テーブルは,この後に続くハードウェア装置の自動構成に使用されます。 構成テーブルは2つのファイルから構築され,バス・タイプごとに収集されるのですが, これらは既知装置の1つの論理的な構成テーブルとみなすことができます。
SYS$SYSTEM:SYS$USER_CONFIG.DATファイルによる装置の自動構成方法については, 第7.5.2項を参照してください。
ファイル・ベースの自動構成は,システムのブート時に次の2つのファイルを読み込んで既知装置の構成テーブルを構築します。
両方のファイルは同じ形式を使用し,両方のファイルにあるデータはシステム上のバスそれぞれに対する構成テーブルを作成するために結合されます。SYS$USER_CONFIG.DAT ファイルが先に読み込まれ,両方のファイルに重複した装置記述が含まれていないかがあらかじめ確認されます。 単一のファイルに複数の装置記述が存在した場合, 最初にある記述が使われます。
構成ファイルは装置記述ブロックから構成されており,そのそれぞれが装置に対する正しいデバイス・ ドライバを構成するために必要な情報を提供しています。
装置記述ブロックは,それぞれ,DEVICEキーワードで始まり,END_DEVICE キーワードで終わる一連の文から構成されています。この2つのキーワードの間に, ハードウェアID,装置名,ドライバ名,バス・タイプ,その他, 必須情報または省略可能情報を定義する追加のキーワードがあります。
SYS$USER_CONFIG.DATファイルはASCIIテキスト・ファイルなので,可変長レコード・ ファイルを取り扱う任意のユーティリティ (例えばテキスト・ エディタやDCLコマンド)で処理できます。
SYS$SYSTEM:SYS$USER_CONFIG.DAT内の文は,次の一般形式を取ります。
KEYWORD = 値
ここで,値は,文字列,引用符で囲まれた文字列,数値のいずれかになります。END_DEVICE キーワードに関連する値はありません。例えば,ディスク以外の装置の最低限の記述は次のようになるでしょう。
DEVICE = "My device" NAME = UU DRIVER = USER$UUDRIVER ID = 0x0005111 ADAPTER = PCI FLAGS = NOVECTOR END_DEVICE
この例で,装置記述は,PCIバス上でハードウェアID 5111 (16進)の装置が見つかったとき,UU という名前の装置を構成し,USER$UUDRIVERデバイス・ ドライバをロードすることを示しています。また,この例は,デバイス・ ドライバが割り込みベクタに接続しないことも指定しています(バス情報にベクタがある場合には, 無視されます)。
上記の例が示す値に加えて,次の暗黙の値も指定できます。
UNITS = 1 NUM_VECTORS = 1
これらの値は,通常,単一のユニット・コントローラの省略値になります。
SYS$USER_CONFIG.DATファイルには次に示す構文規則が当てはまります。
最低限の装置記述には,DEVICE,NAME,DRIVER,ADAPTER,END_DEVICE文があります。 次に示すキーワードはファイル・ベースの自動構成装置記述で定義されます。
DEVICEキーワードは装置記述を開始する。DEVICEキーワードは 文字列引数を取り, この文字列引数が,定義される装置についての任意の記述になる。
例: DEVICE = "NI (Tulip)"
文字列引数は,$ANALYZE/SYSTEMの CLUE CONFIGコマンドのようなユーティリティで使用される。 正しく表示されるようにできるだけ短くすること。
SDA> CLUE CONFIG . . . Adapter Configuration: ---------------------- TR Adapter ADP Hose Bus BusArrayEntry Node Device Name/HW-Id -- ----------- -------- ---- -------------------- ---- ----------------- . . . 4 PCI 80949900 60 PCI 80949B50 1 MERCURY 80949BC0 GQA: 3 S3 Trio32/64 80949C30 EWA: 5 NI (Tulip)
END_DEVICEは現在の装置記述を終了させるもので, すべての必須キーワードが指定された場合には パーサが新しいテーブル・エントリを作成する。 パラメータは必要ない。
IDキーワードは,装置のハードウェアIDを指定する。ハードウェア ID は64ビットであり,1組の32ビット値(下位,上位)で指定することも, あるいは,最大8文字のASCII文字列として指定することもできる。 1 つの数値だけが指定された場合には,上位の32ビットは0に設定される。
例: ID = 0x00051000 ! NCR810の16進数のハードウェアID
例: ID = FLOPPY ! ASCIIでのフロッピーのハードウェアID
例: ID = 0x906010B5, 0x113310DF ! 64ビットID =>下位32,上位32
システムで使用されるビットの数値は,アダプタ・タイプに依存する。EISA とPCIは32ビットを使用する。ISAは64ビットを使用する。PCI はFLAGS=EXTENDED_IDキーワードを使って64ビットまで拡張できる。
NAMEキーワードは装置に対するニーモニックを指定する。 これは,通常は2 文字の名前であるが,それより多くすることもできる。
例: NAME = PK
DRIVERキーワードは装置に対するデバイス・ドライバのファイル名を指定する。
例: DRIVER = SYS$PKEDRIVER
ADAPTERキーワードは,装置のバス・タイプを示す。 現在のアダプタは, PCI,EISA,ISA,TC (TURBOchannel)である。
例: ADAPTER = PCI
UNITSキーワードは,コントローラに対して作成されたユニット(UCB) の数 を示す。指定されないと省略値は1になる。
例: UNITS = 1
FLAGSキーワードは,ドライバのロード方法についてのオプション情報を示す。 1 つ以上のフラグをコンマ(,)で区切って指定できる。
例: FLAGS = NOVECTOR, CASE_BLIND, EXTENDED_ID, ISA_ON_ EISA
NOVECTOR | 装置には割り込みベクタがない。 |
CASE_BLIND | IDがASCII 文字列として取り扱われ, 大文字に変換される。さらに,ハードウェアからのID も比較の前に 大文字に変換される。このフラグは, コンソールのISACFGコマンド がHANDLEを大文字に変換しないので, ISA装置文字列には便利である。 このフラグが指定された場合,ID は,数値としてではなく,文字列 として記述に入力する必要がある。 数値として入力した場合には, エラーが表示され,記述は無視される。 |
EXTENDED_ID | このフラグはPCI
バス上の装置に対してだけ有効である。通常, 32ビット・
ハードウェアIDだけがPCIに使用される。 V2.1 PCIバス仕様をサポートするPCI
ボードがある場合には, このフラグを設定する。ハードウェアID
の上位32ビットは, サブシステムIDとサブシステム・ベンダID
を含む必要がある。 例えば,次の例で,1133はサブシステムIDであり,10DF
は サブシステム・ベンダIDである。
FLAGS = EXTENDED_ID ID = 0x906D1OB5, 0 x 113310DF特殊なドライバをロードするためにEXTENDED_IDフラグを 使用すると同時に,EXTENDED_ID ビットを持たない同一のIDが 汎用ドライバをロードするために定義されている場合, EXTENDED_ID を伴う記述を 汎用記述よりも前に置く必要がある。 |
ISA_ ON_EISA | このフラグは,値EISAがADAPTERキーワードに与えられ, 装置がISA装置であるときにだけ有効である。 ISA装置には,ID キーワードに与えられた値が 正しく解釈されることを保証するためにこのフラグを設定する。 ISA 装置に対して,システムはASCII 文字列 としてID値を保持する。 これがEISA装置であるとシステムが解釈したとき, ID 値はバイナリ形式に圧縮される。 |
このキーワードは,値ISAがADAPTERキーワードに与えられたときにだけサポートされる。 文を複数行に継続することはできない。文字列に複数の単語が含まれる場合には引用符で囲むこと。 引用符を文字列の一部として渡すことはできない。ISA ドライバはIOC$NODE_DATA を呼び出し,機能コードIOC$K_ISA_USER_PARAMを渡すことでこの文字列を取り出すことができる。
このキーワードは,値ISAがADAPTERキーワードに与えられたときにだけサポートされる。BEGIN_PRIVATE キーワードとEND_PRIVATEキーワードはPRIVATE_DATA の代わりに使用できる。これらは,PRIVATE_ DATA文の一部としては使用されない。BEGIN_PRIVATEとEND_PRIVATEを使用する際, この2つのキーワードの間に含まれるすべてのデータがドライバに渡される。 データには引用符などの特殊な文字を含めることもできる。 データは複数行にすることができる。複数行が使用された場合, ドライバは新しい行を示すライン・フィード文字を検出する。
BEGIN_PRIVATEとEND_PRIVATEは,ISA_CONFIG.DATにあるいくつかのエントリをファイルに変換する際に使う必要がある。 例えば,ISA_ CONFIG.DATの文が次の場合,
USER_PARAM = "some data"
次に変換される必要がある。
BEGIN_PRIVATE "some data" END_PRIVATE
ISA_CONFIG.DATにあるUSER_PARAMキーワードは引用符を渡すので,この変換を行うときにPRIVATE_DATA は使用できない。
ISAドライバは,関数コードIOC$K_ISA_USER_PARAM付きでIOC$NODE_ DATAを呼び出すことで,BEGIN_PRIVATEとEND_PRIVATEの間にあるデータを取り出すことができる。
END_PRIVATEキーワードは,BEGIN_PRIVATE文の後に追加されたデータを終了させるためだけに使用する。
NUM_VECTORSキーワードは,装置が使用するベクタの数を指定する。 指定されていない場合,省略値は1になる。
例: NUM_VECTORS = 4
表 7-1は,構成ファイルに入れられるキーワードを示しています。
キーワード | 必須 | 説明 |
---|---|---|
DEVICE | 必須 | 装置記述を開始する |
END_DEVICE | 必須 | 装置記述を終了する |
ID | 必須 | ハードウェアIDを指定する |
NAME | 必須 | 装置名 |
DRIVER | 必須 | ドライバ名 |
ADAPTER | 必須 | アダプタ・タイプ |
UNITS | 必須ではない | ユニット 省略値: 1 |
FLAGS | 必須ではない | 装置フラグ: 省略値:フラグなし |
PRIVATE_DATA | 必須ではない | プライベート・データを指定する |
BEGIN_PRIVATE | 必須ではない | プライベート・データの開始を指定する |
END_PRIVATE | 必須ではない | プライベート・データの終了を指定する |
NUM_VECTORS | 必須ではない | ベクタの数省略値: 1 |
REBUILDキーワードは,SYSMANに対して,SYS$SYSTEM:SYS$USER_ CONFIG.DATとSYS$SYSTEM:SYS$CONFIG.DATを再読み込みし,解析して,アダプタ・ ブロックのそれぞれに付加された構成テーブルを再構築することを要求します。REBUILD コマンドは,バスのタイプに関係なく,常にすべての構成テーブルを再構築します。 そして,次のように,AUTOCONFIGURE コマンドを再実行して,新しく定義された装置すべてに対してデバイス・ ドライバをロードする必要があります。
$ MC SYSMAN IO REBUILD $ MC SYSMAN IO AUTOCONFIGURE
ドライバは,特定の装置に対してロードされた後は,再ロードできないことに注意してください。
MC SYSMAN IO REBUILD/VERIFYコマンドを実行すると,SYS$SYSTEM:SYS$USER_CONFIG.DAT ファイルとSYS$SYSTEM:CONFIG.DAT ファイルをSYSMANが読み取り,処理することになりますが,OpenVMS用の構成ファイルの再構築は行いません。 エラーが検出されたときには,メッセージが表示されます。 このコマンドは,開発者が,現在のシステムを変更せずに SYS$SYSTEM:SYS$USER_CONFIG.DAT への新しい変更をテストするときに使用できます。
ファイル・ベースの自動構成は,PCI,ISA,EISA,TURBOchannelのバスに対して, ユーザが作成したデバイス・ドライバ用にサポートされています。 この項では,構成に特化した追加情報を含んでいます。
ISA装置は,バス・プロービング中に検出できる読み込み可能な装置IDを提供しません。 ユーザはコンソールでこの装置の存在を明示的に示し,なおかつコンソールでこの装置に対するリソース(IRQ ,入出力ポートなど) を予約する必要があります。装置がコンソールに認識されると,OpenVMS は次にファイル・ベースの自動構成を使ってこの装置を自動構成します。
ISA装置はISAバスまたはEISAバスのどちらかで使用されます。システムにISA バスがある場合,ISA装置はISACFGを使ってコンソールで構成されます。 システムにEISAバスがある場合,ISA装置はECUを使って構成されます。 両方のコンソール・ユーティリティで装置リソースを予約することができます。
OpenVMS Alphaの以前のバージョンでは,ISAバス上のISA装置は,ISAを定義していたSYS$MANAGER:ISA_CONFIG.DAT ファイルにエントリを持つことと, コンソール・コマンドISACFGを使用して IRQなどのシステム・リソースを予約することが必要でした。
ISA装置は,コンソールから実行されるEISA Configurationユーティリティ(ECU) を使用して手動で構成する必要があります。装置には,DOSフロッピーで提供されるCFG ファイルがあるはずです。このCFGファイルは,装置ID である文字列(最大7文字)を提供します。
CFGファイル形式の詳細については,そのカードの製造業者に問い合わせるか,EISA バス仕様を参照してください。
ECUフロッピー(DOS形式)には,新しい構成ファイル用のモデルとして使用できるサンプルのISA CFG ファイル(ISA000.CFG)が含まれています。詳細については, 『Writing OpenVMS Alpha Device Drivers in C』の「EISA Bus Support 」の章を参照してください。
ECUが起動されると,装置はファイル・ベースの自動構成を使用して構成することができます。
SYS$MANAGER:ISA_CONFIG.DATファイルを使用したISA装置のサポートは, OpenVMS Alphaバージョン7.2からは行われなくなりました。このファイルを使用している場合は, コンソールからのISACFGユーティリティと,以下の項で説明するファイル・ ベースの自動構成手法を使用する方法に変えてください。
表 7-2 には,ISA_CONFIG.DATからのキーワードと, それに相当するファイル・ベース自動構成またはISACFGユーティリティのリストを示しています。
ISA_CONFIG.DAT | ファイル・ベースの自動構成 | ISACFG |
---|---|---|
未使用 | ID | -handle |
NAME | NAME | |
DRIVER | DRIVER | |
IRQ | irqx | |
NODE | slot | |
DMA | dmachanx | |
PORT | iobasex | |
MEM | membasex | |
FLAGS | ビット1 (未サポート) | |
ビット2 (FLAG=NOVECTOR) | ||
USER_PARAM | PRIVATE_DATA |
ISA_CONFIG.DATのエントリは,NODEキーワードで指定された番号を使用するISA 装置用の内部データに照合されます。ただし,SYS$USER_CONFIG.DAT ファイルを使用してISA装置を構成するとき,装置を定義するブロックと, コンソールからISACFGコマンドで入力されるデータを照合するためにID キーワードが使われます。IDキーワードに示される値は, ISACFG-handleキーワードで指定される値と同じである必要があります。
ISA装置には任意の識別文字列を使用できます。文字列は8文字以内にします。ISACFG コマンドは,-handle値を大文字に設定しないので,構成キーワードID を使用して指定された値とこの値を照合させるには,2つの手法を使用できます。 つまり,大文字への変換を行わないように引用符でID値を囲むこともできますし(-handle 値で使用した文字の照合),また,構成キーワードFLAGS=CASE_BLIND を使用すれば,大文字小文字を区別しない比較を行うこともできます。
例えば,ISACFGで次のものを使用した場合,
>>>isacfg -slot 3 -dev 0 -mk -enadev 1 -type 1 -handle MyDevice
SYS$USER_CONFIG.DATにある次のエントリと照合することができます。
DEVICE = "My Device" ID = MYDEVICE FLAGS = CASE_BLIND . . . END_DEVICE
ISA_CONFIG.DATで使用した各パラメータに対する変換の説明は,次のとおりです。
例: NAME = ER
例: DRIVER = SYS$ERDRIVER
例:
この例は,装置にIRQ 10と5を割り当てます。
>>>isacfg -slot 3 -dev 0 -mk -handle MYDEV -enadev 1 -etyp 1 -irq0 10 -irq1 5
例:
>>>isacfg -slot 3 -dev 0 -mk -enadev 1 -etyp 1 -handle MYDEV -dmachan0 1 -irq0 10
この例は,スロット3で表される装置に値を割り当てます。このコマンドを実行するマシンには少なくとも3 つのスロットが存在する必要があります。 使用される論理スロットがどれであるかを確認するには,次のコマンドを入力します。
>>>isacfg -all
例:
>>>isacfg -slot 3 -dev 0 -mk -enadev 1 -etyp 1 -handle MYDEV -irq0 10 -dmachan0 1 -dmachan1 3
この例は,2つのdmaチャネル,1と3を装置に割り当てます。
例:
>>>isacfg -slot 3 -dev 0 -mk -enadev 1 -etyp 1 -handle AAA321 -irq0 10 -iobase0 2F8
この例はポート2F8を装置に割り当てます。
例:
>>>isacfg -slot 3 -dev 0 -mk -enadev 1 -etyp 1 -handle MYDEV -irq0 10 -membase0 80000 -memlen0 20
ビット0はSCSIアダプタで構成される装置を示しています。
ビット1は装置には必要な割り込みがないことを示しています。
ビット0が使用可能になることはありえなかったので,ビット0はファイル・ ベースの自動構成では現在サポートされていません。ビット1は,ファイル・ ベースの自動構成では,FLAGS=NOVECTOR文で表すことができます。
ISACFGを使用しているときには,次に示すコマンドも知っている必要があります。
構成をその初期状態に戻すには,次のものを使用します。
>>>isacfg -init
変更を保存するには,次のものを使用します。
>>>init
エントリを削除するには,次のものを使用します。
>>>isacfg -slot 1 -dev 0 -rm
現在構成されている装置をすべて確認するには,次のものを使用します。
>>>isacfg -all
装置を変更するには,-modを使用します。
>>>isacfg -slot 2 -dev 0 -mod (など)
次に示すキーワードは,ISA_CONFIG.DATには相当するものがありません。
-enadev a_number | 数値0 (無効)と1 (有効) を取る。 これによって,リソース割り当て計算で装置を 使用しないよう装置を無効にすることができる。 |
-etyp a_number | このエントリ用のエントリ・タイプを定義する。OpenVMS
は値0と1だけをサポートする。これは常に1と 指定すべきである。
次に示す値を取る。
0エントリを削除する 1単一オプション 2埋め込み型マルチポート装置 3マルチポート・オプション装置 |
ターミナルの管理では次の作業を行います。
以降の項では,これらの作業のうち,ターミナル特性の設定と仮想ターミナルの設定について説明します。
ターミナル装置の特性とは,1行に何文字表示するかなど,ターミナルの性質のことです。 このターミナル装置の特性には,それぞれ省略時の値が設定されています。 使用するターミナルに合わせて,ターミナルの特性の値を変更する必要があります。
ターミナル装置の特性を変更する場合は,次の形式に適切な修飾子を付けて,SET TERMINAL コマンドを使用します。
SET TERMINAL/[修飾子,...] [装置名[:]]
たとえば,次に示すコマンドは,ターミナルの行幅を132文字に,1ページの大きさを60 行に設定するよう指示しています。/NOBROADCASTは,ブロードキャスト・ メッセージの受信を禁止する修飾子です。/PERMANENT修飾子は, 現在のターミナル・セッションの終了後もターミナル特性を保持するよう指示します。 システムをブートするたびにこれらの特性を再設定するためには, 次のコマンドをサイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャに追加する必要があります。
$ SET TERMINAL/WIDTH=132/PAGE=60/NOBROADCAST/PERMANENT
SET TERMINALコマンドとその修飾子についての詳細は,『OpenVMS DCLディクショナリ』を参照してください。
ノード上のすべてのターミナルの省略時のターミナル特性を変更するには, システム・パラメータTTY_DEFCHARとTTY_DEFCHAR2 に値を指定します。これらのパラメータについての詳細は,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照してください。システム・ パラメータの設定については,第14.5 節を参照してください。
システムをブートするたびにSET TERMINALコマンドを実行する場合は, サイト別スタートアップ・コマンド・プロシージャにコマンドを登録します。 システムの構成が簡単な場合は,SYSTARTUP_VMS.COMにコマンドを登録します。 システムの構成が複雑で,たくさんのコマンドが必要な場合, 別のコマンド・プロシージャ(TERM_SETUP.COMなど)を作成し,その装置構成コマンド・ プロシージャをSYSTARTUP_VMS.COMから実行します。装置構成コマンド・ プロシージャの実行が終了すると,制御はSYSTARTUP_ VMS.COMに戻ります。
次の例に示すように,SET TERMINALコマンドには,ターミナルの所有者名などの注釈を付けることができます。
次は,スタートアップ・プロシージャで使用可能なターミナル装置設定コマンドの例です。
$ SET TERMINAL TTC2:/SPEED=300/DEVICE_TYPE=LA36/PERMANENT !JONES $ SET TERMINAL TTD1:/SPEED=9600/PERMANENT !WRENS $ SET TERMINAL TTD4:/SPEED=1200/PERMANENT !JRSMITH $ SET TERMINAL TTG4:/SPEED=1200/MODEM/PERMANENT !DIALUP1
仮想ターミナル機能を使用することにより,ユーザはプロセスを終了することなく, つまり,仮想ターミナルでプロセスをアクティブにしたまま, 物理ターミナルを切り離すことができます。仮想ターミナルの用途は次のとおりです。
VAXシステムで仮想ターミナルを設定するためには,次のコマンドを入力します。
$ RUN SYS$SYSTEM:SYSGEN SYSGEN> CONNECT VTA0/NOADAPTER/DRIVER=TTDRIVER SYSGEN> EXIT
Alphaシステムで仮想ターミナルを設定するためには,次のコマンドを入力します。
$ RUN SYS$SYSTEM:SYSMAN SYSMAN> IO CONNECT VTA0/NOADAPTER/DRIVER=SYS$TTDRIVER SYSMAN> EXIT
仮想ターミナルの装置名はVTAn:です。SYSGENまたはIOGENコマンドの入力後, ログイン前に TT2$M_DISCONNECT特性が設定されたターミナルはすべて仮想ターミナルと見なされます。
TT2$M_DISCONNECT特性は,次のいずれかの方法で設定することができます。
仮想ターミナル・セッションは,次の方法で制御することができます。
動的な非同期DECnet通信を行うためには,仮想ターミナルが必要です。動的な非同期回線は, 静的な非同期回線や他のDECnet回線など,通常,2つのノード間のダイアルアップ接続中はネットワーク専用に切り替えられるものとは異なります。 ターミナル回線が動的に非同期DDCMP回線に切り換えられるのは, 次の条件が満たされる場合です。
動的な非同期DECnet回線を設定する手順についての詳細は,『DECnet-Plus for OpenVMS Applications Installation and Advanced Configuration』を参照してください。
仮想ターミナルに関連付ける物理ターミナル・タイプを決定する必要が出てくることがあります。 これは,直接接続回線とLAT回線の両方が仮想型の場合, システムのスタートアップ時にLATターミナルのターミナル特性が判らないことがあるためです。 直接接続回線の特性は,システムのスタートアップ時に設定することができます。 しかし,LAT回線の特性を決定するためには,SET TERMINAL/INQUIRE コマンドを入力する必要があります。LAT ソフトウェアについては,第24.1 節を参照してください。
次は,システムのスタートアップ時に直接接続回線とLAT回線の両方の物理ターミナル特性を決定するコマンド・ プロシージャです。次の行をシステム単位のログイン・ プロシージャ(SYLOGIN.COM)に登録しておきます。 このプロシージャでは,スタートアップ・プロシージャがすべてのスイッチをセットし,LAT 回線を"unknown"と設定していると仮定しています。
$ DEVCLASS = 'F$GETDVI ("SYS$COMMAND","DEVCLASS")' $ IF DEVCLASS .ne. 66 then goto alldone !Not a terminal $ DEVTYPE = 'F$GETDVI ("SYS$COMMAND","DEVTYPE")' $ IF DEVTYPE .ne. 0 then goto got_devtype $ SET TERMINAL/INQUIRE !Try to determine the device type $ DEVTYPE = 'F$GETDVI ("SYS$COMMAND","DEVTYPE")' $ got_devtype: $! Can now dispatch on 'devtype' to do different things depending $! on the type of terminal. $ alldone:
LATターミナルを識別するためには,F$GETDVIレキシカル関数にTT_ ACCPORNAMを指定します。この関数は,ターミナル・サーバのノード名とポート名を戻します。
モデムは電気的信号をあるデータ形式から別のデータ形式に変換する装置です。 モデムは通常,双方向に対してこの変換を行います。 具体的にはモデムは,ローカル・データを他のデータ形式に変換し結果を送信することができ, 一方データを受信し,データをローカル・データの形式に変換し戻すことができます。 ほとんどのモデムはデータをデジタル形式からアナログ形式に変換し, アナログデータをデジタル形式に変換し直します。
1組のモデムがあれば,デジタル・データによる交信を電話回線などのアナログ・ メディアを介して送信し,遠隔地で再び交信内容をデジタル・データに戻して受信ことができます。 モデムはターミナルやローカル・コンピュータを遠隔地のコンピュータ・ システムに互いに接続するために使用されます。
以降の節では,次のトピックについて説明します。
モデムはキャリア信号上のデジタル情報を変調することによって,デジタル信号をアナログ信号に変換します。 逆に,モデムはアナログ信号をデジタル信号に逆変調する, すなわち展開することによって,アナログ送信機器( 例えば電話回線)上のアナログ信号をデジタル信号に変換します。2つの用語, 変調(MOdurator)と逆変調(DEModurator)からモデム(Modem)という名前がつきました。
図 7-1はターミナルと遠隔コンピュータ・ システム間の交信を示しています。 これは通常コンピュータ・システム間の交信にも適用されます。 一方のモデムは,アナログ電話接続のローカルな終端点でデジタル信号をアナログ信号に変換し, もう一方のモデムはアナログ電話接続の遠隔の終端点でアナログ信号をデジタル信号に変換します。
モデムは通常ペアで使用されます。それぞれのモデムは送信装置としてと受信装置としての両方の動作をします。
モデムを構成する場合,次の事項に注意します。
いったんモデムの接続が確立されると,接続した回線にデータの交信を重ね合わせて載せることができます。 ほとんどのモデムが提供している基本的な非同期シリアルASCII 通信プロトコル上で,広範な交信プロトコルを最低1つ, 場合によっては複数重ねることができます。ポイント・ツー・ ポイント・プロトコル(PPP)と,非同期DECnetはモデム・リンク上で操作できるプロトコルの例です。
表 7-3は,モデムに関連する通信プロトコルについてのOpenVMS 文献です。
文献 | 説明 |
---|---|
『DECnet-Plus for OpenVMS Network Management』 | 2ノード間での動的非同期DECnet 接続を確立するためのモデムの使用法を説明。非同期DECnetはモデム・ データ・リンクを介して操作できるプロトコル。 |
『OpenVMS Guide to System Security』 | DECnetモデム・コネクションとダイアルイン・ モデム・ラインの保守について説明。 |
本書『TCP/IP Networking on OpenVMS Systems』 | 遠隔システム間と交信するため,OpenVMS Alpha とOpenVMS VAX上でのPPPの使用法について説明。 |
第7.6.2 項 | 仮想ターミナルの構成と管理の方法について説明。 |
『OpenVMS DCLディクショナリ』とオンライン・ヘルプ | DCLコマンドSET HOST/DTEについて,遠隔システムへモデムを接続する方法を説明。
DCLコマンドCONNECTと DISCONNECTについて,仮想ターミナルを設定,切断する方法を説明。 |
モデムをコンピュータまたはターミナルに構成するには,モデムをどんなタイプのアクセス方法でユーザのコンピュータ環境に接続するのかと, どのシリアル通信ポートが一番ユーザの要求に適するかを決めることが必要です。
モデムを直接ホスト・システムに接続することも,間接的に中間ネットワーク・ サーバに接続することもできます。ネットワーク・サーバの例としてはDECserver 等があります。この2つの接続タイプを以下に説明します。
直接接続は特定のホスト・システム向けにモデムを専有します。モデム呼び出し側への可能なアクセス量を削減し, モデムを介しての未許可アクセスに対して保護すべきシステム数を減らすことができます。
これは小規模コンピュータ環境や,モデムを単一のコンピュータやターミナルに接続する場合に選択される構成です。
間接接続は,LAN内で多様なコンピュータ・システム用にモデム群を接続する方法です。 これにはLATやTelnet等のプロトコルを使用するホスト・ コンピュータと通信するサーバを含みます。このタイプの接続は空いている電話回線を効率よく使用することができますが, 機密保持面で満たすべき要件が増します。
これは比較的大規模なコンピュータ環境で用いられます。間接接続は通常,LAT やTelnetプロトコルを使用し,モデム・プール と呼ばれる多数のモデムを接続して多数のコンピュータ・システムでアクセスを共有します。
いずれのタイプの接続の場合でも,モデムが接続されているホスト,あるいは, サーバが機能していない場合は使用できません。
図 7-2は,モデムの間接構成と直接構成を表わしています。Terminal 1 とTerminal 2は,DECserverとLATプロトコルを介して Host 1 とHost 2にそれぞれ間接接続されています。Terminal 3 は,Host 3に直接接続されています。
どのシリアル通信ポートを使用するかと,ホストかターミナル・サーバのいずれに接続するか決めた後は, 使用するポートのピンアウトとコネクタ, およびモデムをポートにどのように配線するかを決めます。 モデムとポートについては関連マニュアルを参照してください。第7.7.2項も参照してください。
モデムの設定は次の手順で行います。
コネクタとピンアウトにより,モデムとポートを接続するために必要な特定の配線アダプタやケーブルが決まります。 モデムのコネクタとピンアウト, およびモデムを接続するポートのコネクタとピンアウトを決定するにはモデムとポートの関連マニュアルを参照してください。
表 7-4は,EIA-232 DB25接続の2つの共通ピンアウトです。
ピンアウト | 説明 |
---|---|
データ・ターミナル装置(DTE) | 送信情報はピン2 ,受信情報はピン3,他は標準ピン割り当て。 |
データ通信装置(DCE) | 送信情報はピン3,受信情報はピン2, 他はEIA-232ピン割り当て。 |
ストレートスルー,クロスオーバ配線について次に説明します。
クロスオーバ配線ケーブルは,ヌル・モデム・ケーブルとも呼ばれます。 これは適当な長さのヌル・モデム・ケーブルは,モデム・ベースの通信接続のいずれのコンポーネントをも論理的に置き換えることができるため, 具体的には,ローカル・シリアル・ケーブル, ローカル・モデム,介在電話回線,リモート・モデム,リモート・ シリアル・ケーブルとヌル・モデム・ケーブルを置き換えることができるためです。
表 7-5は,モデムを配線するために使用される最も一般的なコネクタを説明しています。
コネクタ[1] | 説明 |
---|---|
DB9 | 9-ピン・コネクタは4ピン1列と5ピン1列からなる。DB9 はEIA-574を持っており,PCシステムまたはMicroVAXコンソールで使用された旧標準接続で通常使用される。 |
DB25 | 25-ピン・コねクタ, 12ピン1列と13 ピン1列からなる。DB25は通常,EIA-232ピンアウトを使用し,データ・ ターミナル装置(DTE),またはデータ通信装置(DCE)に配線されます。 |
MMJ | 6-ピン・モジュラ・ ジャック。DEC-423信号線を使用し通常DECconnect配線と呼ばれる。DECconnect 配線は装置の配線を大きく簡素化する。装置接続に適合するアダプタを用意するだけでよい。 対応するBC16Eケーブルは障害なく配線できる。 |
[1]この表のすべてのコネクタはオス/メスいずれでも使用できます。 |
共通コネクタ用ピンアウトとアプリケーションを表 7-6 に掲げます。
コネクタとピンアウト | 例 | アダプタ[1] |
---|---|---|
EIA-574 PC互換ピンアウトつきDB9 9 ピン・コネクタ | DB9コネクタはほとんどのPC, AlphaStation, AlphaServer システムに装備されている。 | H8571-Jまたは互換MMJアダプタを使用する。 |
EIA-574ピンアウト以前のDB9 9 ピン・コネクタ | 各種MicroVAXシステムのコンソール・ コネクタはEIA-574ピンアウト以前のピンアウトを使用する。 | H8575-Bまたは互換MMJアダプタを使用する。 |
EIA-232接続のDB25 25ピン・コネクタ | 多くのターミナルの通信ポート | 次のリストから適切なアダプタを使用する,[2]あるいは次のリスト
に掲載されていないアダプタについては弊社の営業担当または弊社の販売代理店に
問い合わせる。
|
8ピンDIN (丸型)コネクタ | H8584-ABまたは互換MMJアダプタを使用。 | |
MMJ(変更モジュラ・ ジャック) DECconnectソケット | ||
[1]この表は使用できるDECconnectアダプタのサブセットのみを表示。 この表のアダプタは特定のアプリケーションの要件を満たすものではありません。 この他のDECconnectアダプタがコンパックから提供されています。 [2]掲示されたオスメスの区別は,アダプタ上のコネクタについて。 [3] ストレートスルーは,EIA-232送信データ信号がDEC-423 送信データ信号に配線されており,以下も同様に配線されていることを表わす。 [4] クロスオーバは, EIA-232送信データ信号がDEC- 423受信データ信号に配線されており,逆もまた同様に配線されており,DTR とDSRも同様に接続されている。 |
ユーザ・アプリケーションが次に掲げたシリアル配線接続のいずれも使用していない場合, その装置特有のピンアウトと要件を決定する必要があります。 また,そのアプリケーションに適切なケーブル接続も決定します。 ハードウェア・サポート担当者,弊社のサポート要員, 弊社の代理店のいずれかに問い合わせます。
表 7-7は,コンパックが提供するDECconnect アクセサリの製品番号と説明です。
製品番号 | 説明 |
---|---|
BC16E-02 BC16E-10 BC16E-25 BC16E-50 BC16E-A0 | DEC-423 (EIA-423に準拠) MMJオフィス・ ケーブル。各種サイズ対応 |
H8571- C | 25ピンオスEIA-232 = DEC-423 DECconnectアダプタ |
H8571-E | DEC-423 DECconnect 25ピンアダプタ。ネジつき。 |
H8571-J | 9ピンMMJアダプタ。PC互換EIA-574 DB9 配線とともに使用 |
H8572-00 | MMJケーブル延長器。2つのBC16Eケーブルを直接接続 |
H8575-A | メス25ピンDEC-423 DECconnect MMJ = EIA-232汎用アダプタ。 |
H8575-B | メス9ピンDEC-423 DECconnectプリンタ接続アダプタ。 一部のMicroVAXコンソール・ポートのDB9配線で使用される。 |
H8584-AB | 8ピンDIN = DEC-423 DECconnect アダプタ。各種Apple製コンピュータで最も使用される |
モデムを装置に接続する際,ホスト・ポートとモデム間の配線を追加することができます。 これらの配線は,モデム制御信号と呼ばれる信号を送るために使用されます。
モデムをダイヤル・アウト用にローカル・ターミナルへ接続する際, モデム制御信号は特別に重要ではありません。モデムは,モデム制御信号を無視するように配線するか構成します。 あるいは,配線をターミナルからモデムへのモデム制御信号を通過させるように設定します。
モデムをコンピュータに接続する場合は,はるかに重要性が増します。 ホスト・コンピュータはモデム制御信号を使用してモデムに入力電話コールを受け取るように指示するからです。 モデム制御信号はこの他にも, モデムに受信があったこと,そのコールが終了したことをホストに知らせることができます。 これらの信号により,モストとモデムは特定のイベントに対して適切な対応をすることができます。
表 7-8は,装置がサポートすることができるモデム制御信号のタイプを説明します。
モデム制御のタイプ | 説明 |
---|---|
モデム制御なし | ホストとモデムは,
ホストまたはモデムの状態を互いに通信することはできない。このポートのモデムを使用することはできるが,
このタイプのポートはモデム用に推奨できない。
さらにモデム制御なしでは,電話コールが切断されたことと,そしてホストが適切な対処( 対応するユーザ・プロセスの中断またはログアウト) を行う必要があることを,モデムはホストに知らせることができない。( 機密保持問題については,手順5を参照ください)。 加えて,モデム制御なしでは,モデムはホストが応答可能であるかを知ることができないため, 受信コールを常に応答できるようにモデムを設定あるいは配線しておく必要がある。( この2項目は,機密保持とモデム制御と密接な関係がある。) |
制限つきモデム制御 | ホストとモデムは,他の装置の状態に基き, 通信し,対処することができる。制限つきモデム制御はほとんどのアプリケーションにとって最善の選択肢である。 |
完全モデム制御 | ホストとモデムは通信することができ,
広範な分量の制御情報,状態情報を送ることができます。
ホストとモデムは両方とも,他の装置の状態に基いて対処を取ることができます。
制限つきモデム制御では同じような機能があるが,この構成を大きく変更したものである。 制限つきモデム制御では接続時の配線を少なくできる。 このためこの方法は経済的な方法である。 |
装置とモデムがサポートするモデム制御のタイプについては,装置のドキュメントを参照ください。 参照した情報により,通信に必要な配線や配線接続の数が分かります。 次の例は,モデム制御のタイプの種類と必要な配線を示しています。
モデム・コマンドまたは専用配線ケーブルを使用し,モデム制御をサポートしていない装置とともにモデムを動作させることができます。 しかし,この方法はホスト・システム上での一般的な使用には推奨できません。 これは配線に潜在的に機密保持の問題があるためです。
コマンド・セットには,モデムに電話呼び出しをかけさせコマンド, 呼び出しをする電話番号を求めるコマンド,モデムを構成するコマンドがあります。
次にコマンド・セットの例を掲げます。
ATDT 電話番号
意味:
Ctrl/B <Return> Ready DIAL T 電話番号
意味:
コマンド・セットは,モデムと通信して電話番号をダイアルし,遠隔モデムと接続するなど, モデムに何かの対処を要求するものです。直接接続されたターミナルから直接にモデム・ コマンドを入力することができ, あるいはSET HOST/DTEのように間接的にDCLコマンドでモデムを使用することもできます。
モデムをOpenVMSコンピュータまたはDECserverのコネクタへ接続し終えたら次にポートを構成します。 ポートの構成により,モデムを認識させ, 正しくモデムが操作できるようになり,自動ボー・レート検出機能が有効になります。
入力するコマンドはOpenVMSホスト・システムをしようしているかDECserver を使用しているかによって異なります。
$ SET TERMINAL /MODEM /AUTOBAUD /PERMANENT TTAO:
TTA0:は,モデムが配線されているターミナル装置の名前です。
このコマンドは特権が必要です。
DECserver> SET PORT n MODEM ENABLE DECserver> SET PORT n FLOW CONTROL XON ENABLE DECserver> SET PORT n AUTOBAUD ENABLE
nはポート番号です。
コマンドはモデムのXON,と自動ボー・レートを有効にします。これらのコマンドの実行にはDECserver 上で特権が必要です。
ダイアル・イン回線により,遠隔サイトからの登録されていないユーザがシステムへのアクセスが可能になります。 登録されていないユーザからシステムを安全に保つため, 管理者は一貫した機密保護を行いシステムを良好に保ちユーザ・ パスワード管理を行う必要があります。
次のリストは,システムの機密保護を保つための方法を紹介しています。
システムを登録されていないアクセスから守るこれらの方法,あるいはここに掲げられていない他の方法については詳しくは『OpenVMS Guide to System Security』を参照ください。
シリアル・コミュニケーション問題,特にモデムに関する問題のトラブルシューティングにおいては, 1つ1つのコンポーネント,配線,装置を1度に1つづつテストし, 可能な限り問題の切りわけを行います。
表 7-9に,一般的なトラブルシューティングのヒントを掲げています。 ただし,これはすべてのヒントを掲げているわけではありません。 シリアル回線-ブレイクアウト・ボックスなど基礎的なシリアル通信テスト装置は通信問題や配線問題を解決する手助けとなるでしょう。 さらに手助けが必要な場合には,その部署のハードウェア・サポートの担当者に要請してください。
問題 | 考察 |
---|---|
モデムが応答しない | 呼び出している電話番号が正しいかどうか確認する。
モデムに電源がはいっているか確認する。 システムまたは装置に電源が入っており,動作中であるか確認する。 可能なら,モデムと入れ替えてターミナルを直接接続する。 ホストのモデム制御信号がでているか,正しく配線されているかを確認する。 SET TERMINAL, SET PORTコマンドまたはその他の適切なホスト・コマンドを使用して, ホスト装置がモデム用に正しく構成されているか,どうかを確認する。 配線を確認する。配線の破損,誤配線切断などがないか確認する。 コネクタが,外れていないか,破損していないか,紛失していないか,ピンが折れ曲がっていないかを調べる。 |
電話故障 | 通常の電話受話器を使用し電話回線上で人間の音声の通話ができるかを試す。
電話回線上で関知される干渉,または他に何か障害の原因がないか。 |
モデムのインジケータ・ライトが点灯していない | 電源の接続を確認する。
モデムのスイッチがオンになっているか確認する。 モデムがアプリケーションの自己診断テストをパスしているか確認する。 モデムを他のモデムと取り替えてみる。 |
応答なし, あるいはタイプの応答がおかしい | モデムの状態ライトを確認し,
送信ライン上に受信データを表示していないか,受信ライン上に送信データを表示していないか確認する。
この場合,送信受信データの配線誤りが考えられる。
シリアル・ケーブルとアダプタをストレートスルーあるいはクロスオーバのいずれにも配線できる。
信号線が交錯していないか確認する。 不適切な通信速度検出が行なわれていないか確認する。自動ボー・レート検出は不適切な通信速度を設定する場合がある。 自動ボー・レート検出が許可されていないラインでは, 適切な通信速度が設定されているか確認する。 自動ボー・レート検出がサポートされているラインでは,データ送信と受信の双方の速度を確認する。 ポートに,自動ボー・レート検出が許可されているかどうか確認する。ポートとモデムが同じ通信速度で構成されているか確認する。 干渉または配線の接続断が起っていないか確認する。 配線に問題がないか確認する。 シリアル通信に干渉する可能性のあるあらゆる隣接する配線,電源,ビデオ信号を確認する。 |
プリンタの管理では,次の作業を行います。
作業 | 参照箇所 |
---|---|
プリンタ特性の設定 | 第7.8.1 項 |
プリンタのスプール指定 | 第7.8.2.1項 |
プリンタのスプール指定の解除 | 第7.8.2.2項 |
スプールした装置のテスト | 第7.8.2.3項 |
プリンタの特性は,プリンタ用のキューを開始する前に設定してください。DCL コマンドSET PRINTERコマンドは,ライン・プリンタの特性を設定します。SET TERMINAL コマンドは,ターミナルまたはLATポートに接続されたプリンタの特性を設定します。
さらに,プリンタのスプールは,スプールするプリンタ用のキューを開始する前に行ってください。 プリンタのスプールについての詳細は,第7.8.2項を参照してください。
システムをブートするたびにプリンタ特性を設定する場合は,サイト別スタートアップ・ コマンド・プロシージャにコマンドを登録します。システムの構成が簡単な場合は,SYSTARTUP_VMS.COM にコマンドを登録します。 システムの構成が複雑で,たくさんのコマンドが必要な場合,別のコマンド・ プロシージャ(PRINTER_SETUP.COMなど)を作成し,そのコマンド・ プロシージャをSYSTARTUP_VMS.COMから実行します。プリンタ設定コマンド・ プロシージャの実行が終了すると,制御はSYSTARTUP_VMS.COMに戻ります。
次は,プリンタ特性を設定するコマンドをスタートアップ・コマンド・プロシージャに登録する例です。 この例には,プリンタをスプールするコマンドも含まれています。 このように,通常,プリンタ特性を設定するコマンドは, プリンタをスプールするコマンドと一緒に登録します。
$! Set up line printer devices $! $ SET PRINTER/PAGE=60/LOWERCASE/TRUNCATE LPA0: $ SET PRINTER/LA11/UPPERCASE/WRAP LPB0: $ SET DEVICE/SPOOLED=(LINE_PRINT,SYS$SYSDEVICE) LPA0: $ SET DEVICE/SPOOLED=(SYS$PRINT,SYS$SYSDEVICE) LPB0: $! $! Set up LAT printers $! $ SET TERMINAL LTA331:/SPEED=9600/DEVICE=LN03 - /NOBROADCAST/NOECHO/HARDCOPY/NOTYPE_AHEAD/PERMANENT $ SET DEVICE LTA331:/SPOOLED=(MKTG$LN03_1,SYS$SYSDEVICE) $! $ SET TERMINAL LTA332:/DEVICE=LA210/PAGE=66 - /NOBROADCAST/PERMANENT $ SET DEVICE LTA332:/SPOOLED=(LA210$PRINT,SYS$SYSDEVICE)
アプリケーションの中には,プリント出力をキューに登録せずに,直接プリンタに書き込みまたは複写するものがあります。 プリンタのスプール とは,このようなアプリケーション・プログラムからの入出力をディスクなどの中間記憶装置に書き込ませるための技術です。 この結果, アプリケーション・プログラムの実行中でも,他のシステム上のユーザがプリンタを利用できます。
プリンタをスプールするためには,そのプリンタに関連する記憶装置と出力キューを指定します。 アプリケーションを実行しているプロセスが,アプリケーションの出力をスプールされたプリンタに送ると, 実際には,その出力は記憶装置の一時ファイルに送られます。 そのファイルがクローズされると, システムはそのファイルを,関連付けられた出力キューに登録します。 出力ファイルを中間記憶装置にスプールしたり,そのファイルをキューに登録したりする作業に, ユーザが手を加えることはありません。
プリンタに直接出力を書き込むようなアプリケーションを使用する場合, プリンタをスプールすることをおすすめします。また,特権付きユーザが間違って直接LAT プリンタに書き込まないように,LATプリンタをスプールすることをおすすめします。LAT プリンタに直接書き込みを行った場合, そのプリンタを使用するキューが何らかの問題を起します。
図 13-9は,プリンタのスプールを使った構成の例です。 第7.8.2.1項で,どのようにプリンタをスプールするか説明します。
プリンタをスプールするためには,DCLのSET DEVICE/SPOOLEDコマンドを使用します。 このコマンドは,プリンタをディスクなどの記憶装置と出力キューに関連付けます。
プリンタのスプールは,関連するキューを開始する前に行う必要があります。
SET DEVICE/SPOOLEDコマンドの形式は次のとおりです。
SET DEVICE/SPOOLED[=(キュー名[:],中間ディスク名[:])] 出力装置名
中間ディスクとキューは必ず明示的に指定してください。スプール出力装置に関連付けたキューが汎用キューの場合, 装置に書き出されたファイルはそのキューに送られ, そのキューからターゲット・キューの1つにジョブとして書き込まれます。 このため,たとえばLPA0:装置にコピーされたジョブは必ずしもプリンタLPA0: でプリントされないことがあります。この場合は, 汎用キューの送り先である他のプリンタでプリントが行われます。
中間記憶装置を選択するとき,スプール出力量に見合う十分な未使用空間がその装置にあるか確認してください。 また,ディスク・クォータを設定する場合は, そのプリンタを使用すると予想されるすべてのユーザが,その中間装置に許可されたクォータを持っているか確認します。 中間装置をマウントしていないと, ファイルは書き込めません。
出力装置をスプール指定したら,その装置をテストします。これは,実際にスプールを行わないかぎり, ディスク名やキュー名のエラーが検出されないためです。 こうしたテストについては,第7.8.2.3 項で説明します。
システムをブートするたびに出力装置を設定したい場合は,そのためのコマンド・ プロシージャを作成することをおすすめします。コマンド・プロシージャにスプール・ デバイスを設定するコマンドを登録してください。 詳細は第7.8.1項を参照してください。
次は,プリンタをスプールするコマンドをスタートアップ・コマンド・プロシージャに登録する例です。 この例には,装置特性を設定するコマンドも含まれています。 このように,通常,プリンタをスプールするコマンドは, 装置特性を設定するコマンドと一緒に登録します。
$! Set up and spool line printer devices $! $ SET PRINTER/PAGE=60/LOWERCASE/TRUNCATE LPA0: $ SET PRINTER/LA11/UPPERCASE/WRAP LPB0: $ SET DEVICE/SPOOLED=(SYS$PRINT,SYS$SYSDEVICE) LPA0: 【1】 $ SET DEVICE/SPOOLED=(SYS$PRINT,SYS$SYSDEVICE) LPB0: $! $! Set up and spool LAT printers $! $ SET TERMINAL LTA331:/SPEED=9600/DEVICE=LN03 - /NOBROADCAST/NOECHO/HARDCOPY/NOTYPE_AHEAD/PERMANENT $ SET DEVICE LTA331:/SPOOLED=(MKTG$LN03_1,SYS$SYSDEVICE) 【2】 $! $ SET TERMINAL LTA332:/DEVICE=LA210/PAGE=66 - /NOBROADCAST/PERMANENT $ SET DEVICE LTA332:/SPOOLED=(LA210$PRINT,SYS$SYSDEVICE) 【3】
装置に対するスプールを解除する必要があることもあります。たとえば,SET TERMINAL コマンドは,スプールを解除した出力装置にしか実行できません。 出力装置のスプールを解除するときは,SET DEVICEコマンドに/NOSPOOLED 修飾子を指定します。
スプールを変更するためには,前もって対応するキューを停止しておく必要があります。
SET DEVICE/NOSPOOLEDコマンドについての詳細は,『OpenVMS DCLディクショナリ』を参照してください。
出力装置をスプールとして設定したら,その装置をテストしてみてください。 これは,実際にスプールを行わないかぎり,ディスク名やキュー名の間違いが検出されないためです。 スプールした装置のテストには,次のようなコマンド・ プロシージャを使用します。
$! *****TESTING SPOOLED DEVICE*** $! $! set the device spooled $ SET DEVICE/SPOOLED=(SYS$PRINT,SYS$SYSDEVICE:) LPA0: $! $! create a test file $ CREATE TEST.LIS !Add the first test record here. !Ctrl/Z to exit the file $! $! write the file to the output device $ COPY TEST.LIS LPA0: $ EXIT
テープ装置の管理では,次の作業を行います。
作業 | 参照箇所 |
---|---|
磁気テープ装置情報の取得 | 第7.9.1項 |
磁気テープ装置特性の変更 | 第7.9.2項 |
テープ装置上のボリュームの管理については,第8.2 節で説明します。
システムで使用可能な磁気テープ装置を知りたい場合は,SHOW DEVICESコマンドを使用してください。SHOW DEVICE/FULL コマンドを使うと,特定の磁気テープ装置の詳しい特性情報を得ることができます。
以降のファイル操作において磁気テープ装置の省略時の特性を変更する場合は,DCL のSET MAGTAPEコマンドを使用します。現在他のユーザに割り当てられている装置は指定できません。
次は,MOUNTコマンドとSET MAGTAPEコマンドを組み合せた例です。
$ MOUNT MTB1:/FOREIGN $ SET MAGTAPE MTB1:/DENSITY=800MOUNTコマンドでMTB1:装置にテープをマウントしている。/FOREIGN修飾子は, そのテープがOpenVMSオペレーティング・システムの標準形式ではないことを示している。 たとえば,BACKUPユーティリティの中には, /FOREIGN修飾子を付けてテープをマウントする必要のある操作がある。
SET MAGTAPEコマンドは,磁気テープへの書き込み密度を800 bpiと定義する。 磁気テープに書き込みを行った後で,密度を変更することはできない。
$ MOUNT MTA0:/FOREIGN $ SET MAGTAPE MTA0:/SKIP=FILES:4MOUNTコマンドでMTA0:装置にフォーリン磁気テープをマウントし,SET MAGTAPEコマンドで4つのファイルをスキップした位置に磁気テープを位置付けるよう入出力サブシステムに指示している。
$ MOUNT MTA1:/FOREIGN $ SET MAGTAPE/REWIND MTA1:MOUNTコマンドでMTA1:装置にフォーリン磁気テープをマウントし,SET MAGTAPE/REWINDコマンドでボリュームを巻き戻している。
VAXシステムでは,コンピュータのカード・デックの読み取りに,Compaq CR-11カード・リーダを使用します。ユーザが処理することが可能なカード・ デックは次の2種類です。
カード・デックを効率良く処理するためには,カード・リーダの特性と使い方をよく理解しておく必要があります。 以降の項では,デックをカード・ リーダにかける前に調べておくべきことと,カードの問題について調べる方法を説明します。
カード・リーダにカード・デックをロードするにあたっては,次のことを行ってください。
以降の項では,この2つの事項について説明します。
バッチ・ジョブ・カード・デックは,次のセグメントから構成されます。
バッチ・ジョブ・カード・デックの最初の2枚のカードは$JOBと$PASSWORD カードです。これらのカードはシステムにユーザをログインさせ,バッチ・ ジョブをキュー登録します。2枚の初期カードに続くのは,プログラム・ カードです。プログラム・カードには,バッチ・ジョブの処理に必要なライブラリ, ルーチン,およびデータをシステムに指示する命令から構成されます。 最終カードは,$EOJコマンドか,EOFカードのいずれかである必要があります。 どちらのカードも,ジョブの終わりをシステムに告げます。
$JOBと$PASSWORDカードがない場合,システムはジョブを実行することができません。 それらのカードがないカード・デックをユーザから受け取った場合は, 返却し,両カードを加えてもらってください。
カード・デックにはユーザのパスワードが含まれますから,ユーザのアカウントの秘密が保たれるよう, デックは常に注意して扱う必要があります。
デックの最終カードは,$EOJコマンドかEOFカードのいずれかである必要があります。
最終カードが上記のいずれかでない場合は,システム管理者がカード穿孔装置でカラム1 に12-11-0-1-6-7-8-9とオーバパンチして終了カードを作成し, デックの最後に追加することも可能です。
カード・リーダがバッチ・ジョブ用に作成するログ・ファイルは,省略時の設定では, システム・プリンタ・キューSYS$PRINTに登録されます。 このログ・ファイルを別のキューに登録したい場合は,$JOBカードに/PRINTER 修飾子を指定します。
システムが $JOBと$PASSWORDカードの検証を試みているときにエラーが発生した場合は, オペレータ通信マネージャ(OPCOM)からカード・ オペレータに,ジョブ・カードとエラーを示すエラー・メッセージが送られます。
データ・デックに入っているデータは,プログラムが読み込んだり,後で処理するためファイルにコピーされたりします。 通常,データ・デックを読み取るプロセスは, ターミナルにいる会話型ユーザか,会話型ユーザがキュー登録したバッチ・ ジョブです。ユーザもプロセスもすでにシステムにログインしているので, 最初のカードには任意のデータを指定できます。 それ以上データを指定する場合は,あらかじめ読み取る枚数を指定しておくか, 最後のカードにEOFカードを入れるかのいずれかの方法で,プログラムにデータの終わりを知らせる必要があります。
あるユーザがデータ・デックを読み込みたい場合,システム管理者は必ず, そのユーザがカード・リーダの割り当てを行うよう確認してください。 割り当てられなかった場合,システムはデータ・デックをバッチ・ジョブとしてキュー登録しようとします。 この結果,そのデータ・デックはカード・ リーダからフラッシュされ,ジョブは拒否されます。
プログラムが指定された枚数を正確に読み取らなかった場合(COPYコマンドと同様) ,EOFカードをデータ・デックの最後のカードにする必要があります。 これは,プログラムにデータ・デックの最後を知らせるためです。 EOFカードがなければ,プログラムは半永久的に次のカードを待ちます。 そして,オペレータ・ターミナルに"card reader off line"というメッセージを出します。 カード・デックにEOFカードがない場合は,システム管理者がカード穿孔装置でEOF カードを作成し,データ・デックの最後のカードとしてカード・ リーダに入れてください。
システムが入力を正しく読み取るためには,カード・リーダが正しい変換モード, すなわち,デックの作成に使用されたカード穿孔装置のモードと同じモードに設定されている必要があります。OpenVMS システムは,026と029 のカード穿孔装置をサポートしています。
カード・リーダを正しい変換モードに設定するには,次の条件が確実に満たされているようにしてください。
同じタイプの大部分のデックについて,カード・リーダの変換モードの設定には,SET CARD_READER コマンドを使用することができます。 SET CARD_READERコマンドについての詳細は,『OpenVMS DCLディクショナリ』を参照してください。 システムをブートしたときの省略時の変換モードは029 です。
OpenVMSレコード管理サービス(RMS)ファイルからカード・イメージ入力を受け取る入力シンビオントを会話形式で実行することができます。 手順は次のとおりです。
DEFINE/USER_MODE SYS$INPUT ファイル名
たとえば,次のように入力する。
$ DEFINE/USER_MODE SYS$INPUT SPECIAL_FILE.DAT
$ RUN SYS$SYSTEM:INPSMB
入力シンビオントを会話形式で実行するためには,次の権利が必要。
すべてのメッセージは,カード・オペレータではなくターミナルに送られる。
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