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17 UETPによるシステムのテスト

本章では,UETP (ユーザ環境テスト・パッケージ)を使って,OpenVMSオペレーティング・ システムが正しくインストールされているかどうかを調べる方法について説明します。

17.1 概要

ここでは,UETPが何を行うか,またUETPをどのように使用するかについて説明します。 さらに,テストのためのシステムの設定,テストの実行,およびトラブルシューティングについての具体的な指示を行います。

本章の内容

本章では,次の作業について説明します。

作業項目 参照箇所
UETPの実行(要約) 第17.1.2 項
UETPを使用するための準備 第17.2節
テストの対象となる装置の設定 第17.3節
UETPの起動 第17.4 節
UETPの動作の停止 第17.5節
トラブルシューティング-問題の識別と解決 第17.7節

さらに,次の項目について説明します。

項目 参照箇所
UETPについて 第17.1.1 項
トラブルシューティング(概要) 第17.6 節
UETPテストおよびフェーズ 第17.8 節

17.1.1 UETPについて

UETPは,OpenVMSオペレーティング・システムが正しくインストールされているかどうかをテストするソフトウェア・ パッケージです。UETPは,日常の使用で発生し得る要求と同等の要求をシステムに対して行うことによって, 通常のユーザ環境をシミュレートする一連のテストを行います。

UETPは診断プログラムではありません。つまり,すべての機能を徹底的にテストするわけではありません。UETP が回復不可能なエラーに遭遇せず, その実行を終えたということは,テストされたシステムが一応使用できるということを表しているだけです。

UETPは,すべてのOpenVMSシステムに共通な装置と機能を調べます。高水準言語コンパイラのようなオプションの機能についてはテストしません。 次に,UETPがテストするシステム・コンポーネントを示します。

17.1.2 UETPの使用方法(概要)

この節では,UETPのすべてのフェーズを省略時の値を使用して実行する手順を要約して説明します。 すでにこのテスト・パッケージを使用したことのある方は, この節を参照してください。より詳細な情報が必要な方は, 第17.2節を参照してください。


注意
OpenVMS AlphaシステムでUETP を使用する場合,次の手順を行う前にCREATE_SPECIAL_ACCOUNTS.COMコマンド・ プロシージャを実行し,SYSTESTおよびSYSTEST_CLIGアカウントを作成しておいてください。CREATE_SPECIAL_ACCOUNTS.COM コマンド・ プロシージャについての詳細は,第6.4 節を参照してください。

  1. 次のように,SYSTESTアカウントにログインする。
         Username: SYSTEST
         Password:
    


    重要
    SYSTESTおよびSYSTEST_CLIGアカウントは特権を持っているので, 権限のないユーザがこのアカウントを使用すると, システムの機密保護上,問題が発生することがあります。

  2. ユーザ・プログラムが実行されていないこと,およびユーザ・ ボリュームがマウントされていないことを確認する。


    重要
    設計上,UETPはシステム資源を排他的に使用することを想定し, また,そのように要求します。この制約を無視すると,UETP は当該資源に依存するアプリケーションに影響を与えることがあります。

  3. ログイン後,すべての装置が次の状態であることをチェックする。

    通信装置の中には弊社のサポート担当者が設定しなければならないものもあるので注意する( 第17.3節を参照) 。

    UETPのための準備中になんらかの問題が発生した場合は,次に進む前に 第17.3節を参照する。

  4. UETPを起動するには,次のコマンドを入力し,Returnを押す。
         $ @UETP
    

    UETPは次の質問を行う。

         Run "ALL" UETP phases or a "SUBSET" [ALL]?
    

    Returnを押して,大括弧で囲まれた省略時の応答を選択する。UETPは次の質問を行う。

         How many passes of UETP do you wish to run [1]?
         How many simulated user loads do you want [4]?
         Do you want Long or Short report format [Long]?
    

    各プロンプトに対してReturnを押す。最後の質問に答えた後,UETPは一連のテストをすべて開始する。 以降,完了するまで入力することはない。 最後に,次のようなメッセージが表示される。

         *****************************************************
         *                                                   *
            END OF UETP PASS 1 AT 22-JUN-1998 16:30:09.38
         *                                                   *
         *****************************************************
    


    注意
    省略時の応答を使用せずにUETP を実行する場合については,第17.4 節を参照してください。ここにはオプションが説明されています。

  5. UETPの実行後,ログ・ファイルでエラーをチェックする。テストが成功終了した場合,OpenVMS オペレーティング・システムは適切に動作する状態である。

    UETPが異常終了した場合は,トラブルシューティングの情報について 第17.6節を参照する。


    注意
    UETPの実行後,エラー・ログ・ ユーティリティを実行して,UETP実行中に発生したハードウェア障害をチェックしてください。 エラー・ログ・ユーティリティの実行についての詳細は, 『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照してください。

17.2 UETPを使用するための準備

この節では,UETPを実行するための詳細な情報について説明します。

17.2.1 ログイン

システム管理者からSYSTESTのパスワードを教えてもらいます。次のように入力し, コンソール・ターミナルからSYSTESTアカウントにログインします。

     Username: SYSTEST
     Password:


注意
SYSTESTには特権があるので, 権限のないユーザがこのアカウントを使用すると,システムの機密保護上, 問題が発生することがあります。

SYSTESTアカウントからテストを実行しないと,UETPは失敗します。また, コンソール・ターミナル以外のターミナルからUETPを実行しようとすると, 現在使用しているターミナルはテストには使用できないというエラー・ メッセージが装置テスト・フェーズで表示されます。このメッセージは無視してもかまいません。

SYSTESTアカウントにログインした後,コマンドSHOW USERSを入力して, ユーザ・プログラムが実行されていないことと,ユーザ・ボリュームがマウントされていないことを確認してください。UETP は,システム資源を排他的に使用することを想定しています。 この制約を無視すると,UETPはその資源に依存するアプリケーションに影響を与えることがあります。


注意
UETPを実行するときに発生し得る, クォータ,特権,またはアカウントの間違いなどの問題を識別および解決するための情報については, 第17.7.2 項を参照してください。UETPを実行する前に,この節に目を通しておいてください。

17.2.2 SYSTESTディレクトリの使用方法

ログインに成功すると,省略時のディレクトリはシステム・ディスク上の[SYSTEST] となります。UETPは,UETPコマンド・プロシージャ(UETP.COM) が使用するファイル,およびUETPがテスト中に使用する一時ファイルをこのディレクトリに格納します。

典型的なシステムでは,論理名SYS$TESTは次のように定義されています。

     $ SHOW LOGICAL SYS$TEST
        "SYS$TEST" = "SYS$SYSROOT:[SYSTEST]"  (LNM$SYSTEM_TABLE)

スクラッチ・ディスクなどの特定のディスクをUETPでテストするには, そのディスクに[SYSTEST]ディレクトリまたは[SYS0.SYSTEST]ディレクトリを作成します。 スクラッチ・ディスクのテストのための設定については, 第17.3.3項を参照してください。

17.3 テストを行う装置の設定

この節の説明に従って,ログイン後にシステム上の装置をUETPテスト用に設定します。 なお,この節で述べられているすべての装置がユーザのシステムにも接続されているとは限らないので注意してください。

17.3.1 装置のチェック

UETPが使用するすべての装置が次の状態であるかチェックしてください。

この節で述べる通信装置の中には弊社のサポート担当者が設定しなければならないものもあるので注意してください。

17.3.2 必要なシステム・ディスク領域

UETPを実行する前に,システム・ディスクの少なくとも1200ブロックが使用できることを確認してください。 ロード・テスト・プロセスを20より多く実行するシステムでは, 少なくとも2000ブロック必要です。UETPの複数パスを実行する場合, ログ・ファイルは省略時のディレクトリに蓄積され, 後続のパスで使用できるディスク領域が減少します。

ディスク・クォータがシステム・ディスクに対して使用可能に設定されている場合は,UETP を実行する前に,ディスク・クォータを使用不能に設定しておいてください。

17.3.3 UETPのディスク上での動作

UETPのディスク・テスト・フェーズでは,テストを行うすべてのディスク上で使用できるほとんどの空き領域は, 次のような方法で使用されます。

このように,断片化されたファイルを作成および拡張することによって, UETPはディスクを調査します。この調査によって,クォータを超過しているか, またはディスクがいっぱいになっているかをチェックでき,使用できるディスク領域の大きさも調整できます。

他のディスクと同様に,シャドウ・セットやボリューム・セットもUETPでテストできますが,UETINIDEV (UETP の初期化)の間に,個々のメンバがテスト不能としてリストされることが予想されます。UETINIDEV は,システム・ ディスク(UETDISK00)のパス中にシャドウ・セットでテストすると, エラーを表示しますが,シャドウ・セットはテスト可能とリストされます。 ボリューム・セットでテストすると,相対ボリューム番号1以外ではエラーが出て,UETINIDEV の最後にテスト不能とリストされます。

17.3.4 ディスク・ドライブの準備

次の手順に従って,システム上の各ディスク・ドライブをUETPテスト用に準備してください。

  1. スクラッチ・ディスクをドライブに入れ,ドライブを回転させる。 スクラッチ・ディスクが使用できない場合は,空き領域が十分にあるディスクで代用する。 どのボリューム上においても,UETPは既存のファイルを上書きしない。 スクラッチ・ディスクの中に保管しておきたいファイルがある場合は, ディスクを初期化しないで,ステップ3 に進む。

  2. 保存したいファイルがディスクに存在しない場合には,そのディスクを初期化する。 次に例を示す。
         $ INITIALIZE DUA1: TEST1
    

    このコマンドは,DUA1を初期化し,TEST1というボリューム・ラベルをそのディスクに割り当てる。 同じラベルのボリュームが存在してはならない。

  3. ディスクをマウントする。次に例を示す。
         $ MOUNT/SYSTEM DUA1: TEST1
    

    このコマンドは,TEST1というラベルのボリュームをDUA1上にマウントする。/SYSTEM 修飾子は,システム上のすべてのユーザが使用できるボリュームを作成していることを示している。

  4. ディスクのテスト時,UETPは[SYSTEST]ディレクトリを使用する。 ディレクトリ[SYSTEST]がボリュームに存在しない場合,このディレクトリを作成しなければならない。 次に例を示す。
         $ CREATE/DIRECTORY/OWNER_UIC=[1,7] DUA1:[SYSTEST]
    

    このコマンドは[SYSTEST]ディレクトリをDUA1上に作成し,利用者識別コード(UIC) として[1,7]を割り当てる。UETPを実行するためには,ディレクトリのUIC は[1,7]でなければならない。

マウントしたディスクにルート・ディレクトリ構造が存在する場合には,[SYS0.] ツリーの中に[SYSTEST]ディレクトリを作成することができます。

17.3.5 磁気テープ・ドライブ

次の手順に従って,テストを行う磁気テープ・ドライブを設定します。

  1. 少なくとも600フィートの磁気テープを持つスクラッチ磁気テープをテープ・ ドライブに入れる。書き込み可能リングが装着されていることを確認する。

  2. 磁気テープの位置をBOT (テープの開始)に合わせ,そのドライブをオンラインにする。

  3. すべてのスクラッチ磁気テープをラベルUETPで初期化する。たとえば, スクラッチ磁気テープをMUA1上に物理的にマウントしている場合, 次のコマンドを入力し,Returnを押す。
         $ INITIALIZE MUA1: UETP
    

    テストを行うテープにはUETPというラベルが付いていなければならない。 安全のため,UETPはMOUNTコマンドでマウントしたテープはテストしない。

磁気テープの初期化中に問題が発生した場合,または磁気テープへのアクセスに問題がある場合は, 『OpenVMS DCLディクショナリ』のDCLのINITIALIZEコマンドの説明を参照してください。

17.3.6 テープ・カートリッジ・ ドライブ

次の手順に従って,テストを行うテープ・カートリッジ・ドライブを設定します。

  1. スクラッチ・テープ・カートリッジをテープ・カートリッジ・ ドライブに入れる。

  2. テープ・カートリッジを初期化する。次に例を示す。
         $ INITIALIZE MUA0: UETP
    

    テストを行うテープ・カートリッジにはUETPというラベルが付いていなければならない。 安全のため,UETPはMOUNTコマンドでマウントしたテープ・ カートリッジはテストしない。

テープ・カートリッジの初期化中に問題が発生した場合,またはテープ・ カートリッジへのアクセスに問題がある場合は,『OpenVMS DCLディクショナリ』のDCL のINITIALIZEコマンドの説明を参照してください。

TLZ04テープ・ドライブ

初期化フェーズ中,TLZ04ユニットがUETTAPE00テストを完了するまでの時間は6 分に設定されます。この時間内にUETTAPE00テストが完了しなければ,UETP は次のようなメッセージを表示します。

     -UETP-E-TEXT, UETTAPE00.EXE testing controller MKA was stopped ($DELPRC)
             at 16:23:23.07 because the time out period (UETP$INIT_TIMEOUT)
             expired or because it seemed hung or because UETINIT01 was aborted.

このタイムアウト値を増やすには,UETPを実行する前に,次のようなコマンドを入力します。

     $  DEFINE/GROUP UETP$INIT_TIMEOUT "0000 00:08:00.00"

この例では,初期化タイムアウト値を8分に定義しています。

17.3.7 コンパクト・ディスク・ドライブ

UETPをRRD40またはRRD50コンパクト・ディスク・ドライブ上で実行する場合には, まず,ユーザのコンパクト・ディスク・ドライブ・ユニットに添付されているテスト・ ディスクをロードしなければなりません。

17.3.8 光ディスク・ドライブ

UETPをRV60ドライブ上で実行するには,次の手順に従って,RV64光ディスク記憶システムを設定します。

  1. Jukebox Control Software (JCS)を使って,光ディスクをすべてのRV60 ドライブにロードする。JCSは,RV64に添付されているOpenVMS オペレーティング・システム上のレイヤード製品で,ディスクをロードおよびアンロードするロボット・ アームを制御するものである。

  2. 光ディスクをラベルUETPで初期化する。マウントは行わない。

UETPは,RV64に存在するすべてのRV60を同時にテストします。テープ・テストと異なり,UETP はテスト終了時に光ディスクを再初期化しません。

17.3.9 ターミナルおよびライン・プリンタ

UETPでテストを行うターミナルおよびライン・プリンタは,電源が入っており, システムに対してオンラインでなければなりません。ライン・プリンタおよびハードコピー・ ターミナルに,十分な用紙が用意されていることを確認します。 用紙の量は,実行するUETPパスの数によって異なります。 パスごとに2枚の用紙がライン・プリンタおよびハードコピー・ターミナルに必要です。

すべてのターミナルについて,ボー・レートが正しく設定されており,特性が適切に割り当てられていることをチェックします( 各ターミナルのユーザ・ ガイドを参照してください)。

装置をスプールしたり,キューに割り当てると,UETPの初期化フェーズで失敗し, テストが行われません。

17.3.10 イーサネット・アダプタ

UETPを実行するときには,他のプロセスがイーサネット・アダプタ装置を共有していないことを確認してください。


注意
DECnet for OpenVMSなどの他のアプリケーションが装置を割り当てている場合,UETP はイーサネット・ アダプタをテストしません。

DECnet for OpenVMSまたはLATターミナル・サーバはイーサネット・アダプタ( 共有可能装置)を使用しようとするので,イーサネット・アダプタをテストするときには, 装置テスト・フェーズを実行する前にDECnetおよびLAT ターミナル・サーバをシャットダウンしてください。

17.3.11 DR11-Wデータ・インタフェース(VAXのみ)

DR11-Wデータ・インタフェースは,内部論理ループバック・モードを使って, モジュール・コネクタ,ケーブル,トランシーバを除くすべての機能をテストします。


重要
DR11-Wデータ・インタフェースをUETP テスト用に設定できるのは弊社のサポート担当者だけです。

この動作中にはランダムな外部パターンが作成されるので,テストを行うユーザ装置または他のプロセッサは, 場合によっては,テストが完了するまでDR11-W データ・インタフェースから分離しておく必要があります。

DR11-Wデータ・インタフェースを適切にテストするには,E105スイッチパックを次のように設定しておかなければなりません。

スイッチ1 スイッチ2 スイッチ3 スイッチ4 スイッチ5
オフ オン オフ オフ オン

UETPのテストが完了したら,DR11-Wデータ・インタフェースを適切な動作構成に戻します。

17.3.12 DRV11-WAデータ・インタフェース(VAXのみ)

DRV11-WAデータ・インタフェースは,汎用の16ビット・パラレルのダイレクト・ メモリ・アクセス(DMA)データ・インタフェースです。


重要
DRV11-WAデータ・インタフェースをUETP テスト用に設定できるのは弊社のサポート担当者だけです。

MicroVAXコンピュータ上のDRV11-WAドライバをUETPテスト用に準備するためには, 次の状態を確認してください。

UETPテストが完了したら,DRV11-WAを適切な動作構成に戻します。

17.3.13 DR750またはDR780 (DR32インタフェース) (VAXのみ)

DR32 (DR750またはDR780)装置は,VAXプロセッサの内部メモリ・バスを, DR32装置間接続(DDI)と呼ばれるユーザ・アクセス可能バスに接続するインタフェース・ アダプタです。


重要
DR750またはDR780をUETPテスト用に設定できるのは弊社のサポート担当者だけです。

次の手順に従って,DR750またはDR780をUETPテスト用に準備してください。

  1. DR780マイクロコード・ファイルXF780.ULDを診断媒体からSYS$SYSTEM にコピーする。DR780マイクロコード・キットに添付されたドキュメントに記載されている手順に従うこと。

  2. DR780の電源を切る。

  3. 次のDR780背面ジャンパを変更する。

    1. W7およびW8からジャンパを外す。

    2. E04M1からE04R1までにジャンパを追加する。

    3. E04M2からE04R2までにジャンパを追加する。

  4. DDIケーブルをDR780から外す。このケーブルは,BC06V-nnケーブルの場合とBC06R-nn ケーブルの場合がある。前者はそのまま外すことができるが, 後者を外すときは,DR780の背面からパドル・カードを取り外さなければならない。

  5. もう一度,DR780の電源を入れる。

UETPテストが完了したら,DR750またはDR780を適切な動作構成に戻します。

17.3.14 2台目のLPA11-K装置

LPA11-K装置が2台存在する場合は,各装置のシステム単位の論理名がSYS$MANAGER:LPA11STRT.COM ファイルに指定されていることを確認してください。 最初のLPA11-K装置に対する論理名はLPA11$0で,2番目のLPA11-K 装置に対する論理名はLPA11$1でなければなりません。

17.3.15 テストを行わない装置

UETPは,次の装置に関してはテストを行いません。これらの装置の状態はUETP の実行にまったく影響を与えません。

UETPは,UDA,HSC,またはCI装置についてはテストを行いません。これらの装置は, ディスク,磁気テープ,およびDECnet for OpenVMSのテストで暗黙にテストされます。

また,UETPはコンソール・ターミナルまたはコンソール・ドライブについてもテストを行いません。 システムをブートし,ログインして,UETPを起動すれば, これらの装置が使用できるかどうかを確認できます。

17.3.16 OpenVMS Clusterのテスト

OpenVMS Cluster環境でUETPを実行する前には,SYSTEST_CLIGアカウントをチェックしてください。SYSTEST_CLIG アカウントは,SYSTESTアカウントに似ていますが, クラスタ統合テストのみ行います。次に,SYSTEST_ CLIGアカウントの要件を示します。

クラスタ統合テスト・フェーズの場合,通常のUETPテスト・フェーズの要件に加えて, さらに準備することがあります。次に,クラスタ統合テストのために必要な追加の要件を示します。

  1. ユーザのシステムがクラスタのメンバであること。メンバでない場合,UETP はメッセージを表示し,テストを実行しない。

  2. ユーザのシステムが,クラスタ中の他のシステムと同じデッドロック検出インターバルを使用していること( デッドロック検出インターバルは,SYSGEN パラメータのDEADLOCK_WAITで設定する。通常は,省略時の設定(10 秒)から変更されていない)。

  3. テストを行うすべてのシステムのSYS$TEST中に,ファイルUETCLIG00.COM およびUETCLIG00.EXEが存在すること。

  4. DECnet for OpenVMSがクラスタ・ノード間で設定されていること。UETP は,DECnet for OpenVMSを使って,上記ノード上にプロセスを作成する。 テストで行われるチェックは,SYSTEST_CLIGプロセスを作成する能力, および,DECnet for OpenVMSソフトウェアを使って上記プロセスと通信する能力によって異なる。

  5. すべてのオペレータ・ターミナル(OPA0:)は,ブロードキャスト・ メッセージを受信できなければならない。BROADCAST特性を設定するには, 次のコマンドを入力する。
         $ SET TERM/BROADCAST/PERM OPA0:
    

    オペレータ・ターミナル(OPA0)にNO BROADCASTターミナル特性が設定されているノードでは, クラスタ・テスト中に,次のメッセージが表示される。

         **********************
         *  UETCLIG00master   *
         *  Error count =  1  *
         **********************
         -UETP-E-TEXT, 0 operator consoles timed out on the cluster test warning
                and 1 operator console rejected it.
         -UETP-E-TEXT, Status returned was,
               "%SYSTEM-F-DEVOFFLINE, device is not in configuration or not
               available"
    

  6. クラスタ内の各ノード(OpenVMSおよびHSC)において,[SYSTEST] または[SYS0.SYSTEST]ディレクトリが,クラスタで使用できるディスク上に存在しなければならない。 テストは,UETPディスク・ テストと同じディレクトリを使って,各クラスタ・ノード上にファイルを作成し, そのクラスタ中の他のOpenVMSノードがそのファイルに共用アクセスできるかどうかを調べる。 このようなディレクトリは, ノードごとに1つずつ必要である。テストは,1つのファイルが処理されるたびに, 次のクラスタ・ノードに続く。

  7. 省略時の設定で,UETPクラスタ・フェーズは,デッドロック・ テスト,ディスク・テスト,およびファイル・アクセス・テスト用に, 実行中のクラスタから3つのノードを選択する。しかし,すべてのクラスタ・ ノードをテストしたい場合は,UETPを起動する前に,次のコマンドを入力する。
         $ DEFINE/GROUP UETP$CTMODE ALL
    

17.3.17 小規模ディスク・ システムのテスト方法

小規模なシステム・ディスク(RZ23Lなど)にOpenVMS VAXオペレーティング・ システムをインストールすると,UETPを実行するのに必要な1200ブロックの空きディスク領域がありません。 システム・ディスクに1200ブロックの空き領域がない場合は,UETP を実行する前に,VMSTAILORを使って, いくつかのファイルをシステム・ディスクから削除します。VMSTAILORの使用方法についての指示は, ご使用のシステムのOpenVMSのアップグレードおよびインストール・ マニュアルを参照してください。

17.3.18 DECnet for OpenVMSフェーズ

UETPのDECnet for OpenVMSフェーズは,他のテストより多くのシステム資源を使用します。 しかし,最も負荷の低いノード上でテストを行うことで, 他のユーザへの影響を最小限に抑えることができます。

省略時の設定で,ファイルUETDNET00.COMは,DECnetテストを行うノードを指定します。 異なるノードでDECnetテストを行う場合は,UETPを実行する前に, 次のコマンドを入力します。

     $ DEFINE/GROUP UETP$NODE_ADDRESS node_address

このコマンドは,グループ論理名UETP$NODE_ADDRESSに,UETPのDECnetフェーズを実行したいユーザの領域内にあるノードのノード・ アドレスを割り当てます。

次に例を示します。

     $ DEFINE/GROUP UETP$NODE_ADDRESS 9.999

UETPを実行する前に次のコマンドを入力すると,異なるノード上でDECnet for OpenVMSテストを行うことができます。

     $ DEFINE/GROUP UETP$NODE_NAME "node""username password"


注意
論理名UETP$NODE_ADDRESSを使用すると,UETP はNCP (ネットワーク制御プログラム)で最初に見つかったアクティブなサーキットだけをテストします。 使用しなかった場合,UETP はアクティブでテスト可能なサーキットをすべてテストします。

UETPの実行時,ルータ・ノードは,UETP$NODE_ADDRESSまたはUETP$NODE_ NAMEで定義されたノードとユーザのノードとの間で接続を確立しようとします。 ユーザのノードとルータ・ノード間の接続がビジー状態であったり, 存在しないことがあります。このような場合には,システムは次のようなエラー・ メッセージを表示します。

      %NCP-F-CONNEC, Unable to connect to listener
      -SYSTEM-F-REMRSRC, resources at the remote node were insufficient

      %NCP-F-CONNEC, Unable to connect to listener
      -SYSTEM-F-NOSUCHNODE, remote node is unknown

17.3.19 ベクタ・プロセッサおよびVVIEF (VAXのみ)

UETPは,ロード・フェーズ中に,インストールされて使用可能なベクタ・ プロセッサを自動的にロードし,装置テスト・フェーズ中に,インストールされた使用可能なベクタ・ プロセッサを自動的にテストします。

ベクタ・プロセッサがシステムで使用可能な場合,次のようなコマンドを入力して,VP 番号をチェックしてください。

     $ x = F$GETSYI ("VP_NUMBER")
     $ SHOW SYMBOL x

xの値に3をかけます。その結果がアカウントのPRCLM値より大きい場合, 戻された結果に一致するように,SYSTESTアカウントのPRCLMクォータを増やさなければなりません。 詳細は第26 章を参照してください。

しかし,UETPは,ロード・フェーズ中に,VAXベクタ命令エミュレーション機能(VVIEF) をロードすることができないので,VVIEFを自動的にテストできません。VVIEF をテストするには,UETPを実行する前に,次の手順を行わなければなりません。

  1. ファイルUETCONT00.DATを編集し,次の行を追加する。
         Y   Y  UETVECTOR.EXE  "DEVICE_TEST"
    

  2. システムをブートしたときにVVIEFが起動されたかどうかを確認する。VVIEF が起動されたかどうかを確認するには,次のDCLコマンドを入力する。
         $ X = F$GETSYI("VECTOR_EMULATOR")
         $ SHOW SYMBOL X
    

    システムが1という値を表示した場合,VVIEFはロードされている。システムが0 という値を表示した場合,VVIEFはロードされていない。

RUNコマンドを使って,VVIEFテストを個々のテストとして実行することができます( 第17.8.2項を参照)。

17.4 UETPの起動

ログイン後,システムと装置の準備が終わったら,テストを開始することができます。

UETPを起動するには,次のコマンドを入力し,Returnを押します。

     $ @UETP

UETPは次のプロンプトを表示します。

     Run "ALL" UETP phases or a "SUBSET" [ALL]?

スタートアップ・ダイアログにおいて,大括弧の中の値は省略時の値,つまり,Return を押したときに選択できる値を示します。

初めてUETPを実行する場合は,省略時の値(ALL)を選択して,すべてのフェーズを実行することをおすすめします。ALL を選択すると, UETPはさらに3つの質問を表示します。この質問については,第17.4.2項から第17.4.4項までを参照してください。 すべてのテスト・フェーズを実行する場合は,次の項は関係ありません。

17.4.1 フェーズのサブセットの実行方法

フェーズを1つだけ実行するには,次のプロンプトにSUBSETまたはSを入力します。

     Run "ALL" UETP phases or a "SUBSET" [ALL]?

SUBMITまたはSを入力した場合,UETPは,次のように,実行したいフェーズの入力を求めてきます。

     You can choose one or more of the following phases:

             DEVICE, LOAD, DECNET, CLUSTER

     Phases(s):

省略時の値はないので,上記リストの中から1つまたは複数の名前を入力してください。 複数のフェーズを入力する場合には,それぞれをスペースまたはコンマで区切ります。

LOADフェーズが選択の中にある場合,UETPは3つのプロンプトを表示します。

     How many passes of UETP do you wish to run [1]?
     How many simulated user loads do you want [n]?
     Do you want Long or Short report format [Long]?

LOADフェーズを選択しなかった場合,1番目と3番目のプロンプトの2つしか表示されません。

次の3つの項は,これらの質問にどう答えるかを説明しています。質問に答えた後, 選択したフェーズの実行が始まります。

17.4.2 1つのフェーズの実行と複数のフェーズの実行

最後のプロンプトに省略時のALLまたはフェーズのサブセットを指定した場合,UETP は次のようなメッセージを表示します。

     How many passes of UETP do you wish to run [1]?

テストは,何度でも繰り返して実行することができます。プロンプトに1 を入力すれば(または省略時の設定でReturnを押せば),UETPはテストを1 回実行して終了します。1より大きな数を指定すれば,UETPは指定した回数だけテストを繰り返します。

システムが動作しているかどうかをチェックする場合は,UETPを1回だけ実行します。 連続使用におけるシステムのレスポンスを評価する場合は, UETPを複数回実行します。たとえば,サービス技術者などが新しくインストールしたシステムが動作するかを確認するのであれば,1 回か2回だけUETP を実行すれば十分です。また,製造技術者などはシステム統合およびテストの一部としてシステムを何時間も実行することがあります。

UETPを複数回実行するように指定した場合は,コンソール・ログを短く表示させることもできます( 第17.4.4 項を参照)。1回の実行ごとに2ページずつ出力されるので,ライン・ プリンタおよびハードコピー・ターミナルには十分な用紙を用意しておいてください。

17.4.3 ロード・テスト用のユーザ負荷の定義

フェーズの回数を指定した後,UETPは次のプロンプトを表示します。

     How many simulated user loads do you want [n]?


注意
UETPがこのプロンプトを表示するのは,LOAD フェーズを選択したときだけです。たとえば,(すべてのフェーズを実行して) 暗黙に選択した場合も,(フェーズのサブセットを実行するときにLOAD フェーズを)明示的に指定した場合も含まれます。

ロード・テストは,複数のユーザ(独立プロセス)がシステム資源をめぐって競合する状況をシミュレートします。 このプロンプトに対して,このテストでシミュレートするユーザ数を入力します。 大括弧の中の数は,UETP がユーザのシステムから算出した省略時の値です。したがって,省略時の値は, ユーザのシステムが割り当てたメモリの量,ページング領域,およびスワップ領域によって異なります。

省略時の値が最も適切な選択ですが,このプロンプトにユーザが値を指定することにより, 省略時の値を増やしたり減らしたりすることができます。 しかし,あまり数を増やし過ぎると,資源が不十分になり,テストが失敗することがあるので注意してください。

UETP実行時にユーザ負荷を求める公式を表示する方法については,第17.6.2項を参照してください。

17.4.4 レポート形式

次のプロンプトでは,長いレポート形式を使用するか短いレポート形式を使用するかを選択できます。

     Do you want Long or Short report format [Long]?

17.4.4.1 長いレポート形式

長いレポート形式(省略時の設定)を選択した場合,UETPはコンソール・ターミナルに次の情報を送信します。

上記質問への応答にかかわらず,UETPはすべての出力をUETP.LOGファイルに記録します。

ほとんどの場合,大量の出力をターミナルに書き込むというのは有効であるとは言えません。 たとえば,UETPをハードコピー・ターミナルから実行する場合, 出力のプリントに時間がかかってしまい,テスト自身の進行が遅くなる可能性があります。 実行が1回だけなら,この遅延も気にならないかもしれませんが, ハードコピー・ターミナルからUETPを複数パス実行する場合は, 短いレポート形式の方がいいでしょう。

17.4.4.2 短いレポート形式

短いレポート形式を要求すると,UETPは,エラー・メッセージやフェーズの開始と終了時の通知などの状態情報だけをコンソールに表示します。 この情報は,UETP が正常に処理しているかどうかを判断する材料となります。 短い形式のコンソール・ログがなんらかの問題を示した場合は,ファイルUETP.LOG を見れば,より詳細な情報を入手できます。UETP.LOGには, コンソールに表示された状態情報に加えて,さまさまなフェーズで作成されたすべての出力も入っています。

レポート形式の選択後,UETPは一連のテストを開始し,実行を始めます。 UETPが異常終了した場合は,トラブルシューティングの情報について,第17.6節を参照してください。

17.5 UETPの動作の停止

UETPパスの最後に,マスタ・コマンド・プロシージャUETP.COMはパスの終了時刻を表示します。 さらに,UETP.COMは再起動すべきUETPを決定します。 テスト・パッケージを起動するとき,複数のパスを要求することも可能です( 第17.4.2項を参照) 。

UETPの実行が完全に終了すると,UETP.COMは一時的ファイルの削除などのクリーンアップ作業を行います。

Ctrl/YまたはCtrl/Cを押すと,UETPが正常終了する前に,UETPの実行を中断することができます。 ただし,UETPの実行が正常終了した場合は, UETPがテストのために作成したさまざまなファイルの削除も行われます。 Ctrl/YまたはCtrl/Cを押してUETPの実行を中断した場合,これらのクリーンアップ手続きが中断されたり, まったく行われなかったりする可能性もあります。

このような制御文字の影響は,実行しているUETPの部分によって異なります。UETP の編成およびその構成要素については,第17.8節を参照してください。

17.5.1 Ctrl/Yの使用方法

Ctrl/Yを押すと,UETPの実行を強制終了します。ただし,[SYSTEST]中のファイルおよびネットワーク・ プロセスのクリーンアップは完了しないので注意してください。

個々のテスト・イメージを実行している場合にCtrl/Yを押すと,現在のUETP テストを中断し,一時的に制御をコマンド・インタプリタに戻します。 テストが中断されている間は,コマンド・インタプリタ内で実行され, 現在のイメージを終了させないDCLコマンドのサブセットを入力することができます。

17.5.2 DCLコマンドの使用方法

『OpenVMSユーザーズ・マニュアル』に, コマンド・インタプリタ内で使用できるコマンドの表が掲載されています。 さらに,次のコマンドも入力できます。

コマンド・インタプリタ内で実行されないDCLコマンドを入力すると,クリーンアップ処理が行われ, テストが完全に終了してから,そのDCLコマンドが実行されます。

17.5.3 Ctrl/Cの使用方法

Ctrl/Cを押すと,UETPの実行を中断されます。Ctrl/Cを押した後は,同じテスト・ フェーズを継続することはできません。UETPは自動的に,マスタ・ コマンド・プロシージャの次のフェーズに移ります。

UETPフェーズの中には,Ctrl/Cを押すと,すべてのアクティビティをクリーンアップし, 即座に終了するものもあります。これらのフェーズは,開始時に, 次のようなメッセージが表示されます。

     %UETP-I-ABORTC, 'testname' to abort this test, type ^C

上記メッセージを表示しないフェーズは,そのフェーズ内で起動されたすべてのプロセスを終了します。 これらのプロセスでは,通常のクリーンアップ処理が行われないことがあります。

しかし,個々のテスト・イメージを実行している場合,Ctrl/Cを使ってそのイメージの実行を終了し, クリーンアップ処理を完了させることができます。

クラスタ・テストの場合,Ctrl/Cはクリーンアップ処理を行わないので注意してください。

17.6 トラブルシューティング:概要

この節では,OpenVMSオペレーティング・システムでの動作エラーの解釈におけるUETP の役割を説明します。UETPの実行時における通常のエラーおよびその修正方法については, 第17.7 節を参照してください。

17.6.1 エラーの記録と診断

エラーが発生すると,UETPはユーザ・プログラムと同じように反応します。UETP はエラー・メッセージを返して継続するか,回復不可能なエラーを報告してイメージまたはフェーズを終了します。 どちらの場合でも, UETPはハードウェアが適切に動作しているということを想定しているので, エラーの診断は行いません。

エラーの原因が直ちに解明できない場合は,次の方法を使ってエラーを診断してください。

17.6.2 UETP出力の中断

UETPテストの進行状況を,テストを起動したターミナルから監視することができます。 このターミナルは,各フェーズの開始および終了時の通知およびエラーを知らせるメッセージなどの状態情報を常に表示します。

テストは,状態情報以外の出力をさまざまなログ・ファイルに送信します。 ログ・ファイルの種類は,どのようにテストを起動したかによって異なります( 第17.6.7項を参照)。ログ・ファイルには, テスト・プロシージャが作成した出力が入っています。UETPが正常終了し, ターミナルにエラーが表示されなかった場合でも,このようなログ・ ファイルにエラーがないかチェックすることが大切です。さらに,ターミナルにエラーが表示された場合には, ログ・ファイルをチェックし, そのエラーの原因と性質の詳細を調べるようにしてください。

各テストは終了メールボックスを使って,最終完了状態をテスト・コントローラ・ イメージUETPHAS00へ返します。この完了状態は,符号なしロングワード整数で, 状態値を表します。トラブルシューティングの助けとなるように,UETPHAS00 は$FAOおよび$GETMSGシステム・サービスを使って, テストの最終完了状態を表示します。

ただし,$FAOサービスは,終了メールボックスを使っても提供できない追加の情報を必要とすることがあります。 このような事態が発生すると, UETPは次のようなエラー・メッセージを表示します。

     UETP-E-ABORT, !AS aborted at !%D

UETPがこのようなエラー・メッセージを表示するときは,ログ・ファイルをチェックし, 詳細な情報を入手してください。個々のテストを実行し, 問題を診断することも可能です。

ターミナルに表示されるエラー・メッセージ,およびログ・ファイルに格納されるエラー・ メッセージは,基本的に次の2つから発行されたものです。

このメッセージが理解できないときには,OpenVMSヘルプ・メッセージ・ ユーティリティ(Help Message)を使用するか,『OpenVMS System Messages and Recovery Procedures Reference Manual』または個々のシステム・コンポーネントについて記述されたマニュアルを参照してください。

17.6.3 画面に情報を表示する方法

装置テストUETINIT00.EXE,UETCLIG00.EXE,およびUETDNET00.COMなどのいくつかのUETP の部分では,テスト実行の進行に関する追加情報,またはテスト中に発生した問題に関する追加情報を入手できるものもあります。 通常,この情報は重要ではないので,画面には表示されません。

この情報を見るためには,次のコマンドを入力して論理名MODEを定義し, プログラムを実行します。

     $ DEFINE MODE DUMP

17.6.4 画面表示の例(VAXのみ)

次の例は,MicroVAX 3600システム上でのUETINIT00.EXEの出力例です。

     $ RUN UETINIT00

             Welcome to VAX/VMS UETP Version 7.1

     %UETP-I-ABORTC, UETINIT00 to abort this test, type ^C

     You are running on a MicroVAX 3600 Series CPU with 65536 pages of memory.
     The system was booted from _DUA0:[SYS0.].

     Run "ALL" UETP phases or a "SUBSET" [ALL]?
     How many passes of UETP do you wish to run [1]?

     The default number of loads is the minimum result of

     1) CPU_SCALE * ((MEM_FREE + MEM_MODIFY) / (WS_SIZE * PER_WS_INUSE))
             2.50 * ((   28126 +        312) / (    1024 *         0.20))  = 347

     2) Free process slots                                                = 197

     3) Free page file pages / Typical use of page file pages per process
                       96920 /                                       1000 = 96

     How many simulated user loads do you want [96]?
     Do you want Long or Short report format [Long]?

     UETP starting at  22-JUN-1998 09:08:26.71 with parameters:
     DEVICE LOAD DECNET CLUSTER  phases, 1 pass, 96 loads, long report.
     $

このプログラムは,いかなるフェーズも起動しません。このプログラムは, ユーザ負荷およびUETPが現在の実行中に使用する特定の要素を決定するのに使用される公式を表示します。

質問にReturnを押して応答します。最初のプロンプトに応答した後,プログラムは同時プロセスの省略時の数を決定する公式を表示します。 次の定義が適用されます。

また,UETINIT00は公式が示す特定の値も表示します。上記の例では, UETPはシミュレートするユーザ負荷の省略時の値として96を選択しています。 これは,96は3つの公式の最低の結果だからです。

UETPの実行ごとに上記詳細を見るつもりがないのであれば,UETPの実行前に, 論理名MODEの割り当てを解除します。

17.6.5 画面表示の例(Alphaのみ)

次の例は,Alphaシステム上でのUETINIT00.EXEの出力例です。

     $ RUN UETINIT00.EXE

             Welcome to OpenVMS Alpha UETP Version 7.1

     %UETP-I-ABORTC, UETINIT00 to abort this test, type ^C

     You are running on a DEC 4000 Model 610 CPU.
     The system was booted from _COB3$DKA0:[SYS0.].

     Run "ALL" UETP phases or a "SUBSET" [ALL]?
     How many passes of UETP do you wish to run [1]?

     The default number of loads is the minimum result of

     1) (MEM_FREE + MEM_MODIFY) / ( WS_SIZE )
        (  215696 +      11136) / (   4000)                         = 56

     2) Free process slots                                          = 281

     3) Free page file pages / Typical use of blocks per process
                      199936 /                                 1000 = 199
     How many simulated user loads do you want [56]?
     Do you want Long or Short report format [Long]?

     UETP starting at 22-APR-1998 12:20:01.32 with parameters:
     DEVICE LOAD DECNET CLUSTER  phases, 1 pass, 56 loads, long report.

     $

このプログラムは,いかなるフェーズも起動しません。このプログラムは, ユーザ負荷およびUETPが現在の実行中に使用する特定の要素を決定するのに使用される公式を表示します。

質問にReturnを押して応答します。最初のプロンプトに応答した後,プログラムは同時プロセスの省略時の数を決定する公式を表示します。 次の定義が適用されます。

また,UETINIT00は公式が示す特定の値も表示します。上記の例では, UETPはシミュレートするユーザ負荷の省略時の値として56を選択しています。 これは,56は3つの公式の最低の結果だからです。

UETPの実行ごとに上記詳細を見るつもりがないのであれば,UETPの実行前に, 論理名MODEの割り当てを解除します。

17.6.6 UETPイーサネット・テスト用の遠隔ノードの定義

UETUNAS00テスト中,障害報告がテスト中の装置に関連するのか,または遠隔装置に関連するのかを決定するのが困難な場合があります。 適切なエラー報告を行うための最も簡単な方法は, 適切な転送場所を定義することです。 適切な転送場所というのは,イーサネット・パケットを正しく転送し, 起動していて,レディ状態で待機しているということが判明している遠隔ノードのことです。

UETUNAS00テストで,適切な転送場所を使用するためには,次のような操作を行います。 次のコマンドでは,適切な装置がノードBETA上にあり, そのノードBETAがすでにネットワーク・データベースで定義されているということを仮定しています。

  1. ネットワーク制御プログラム(NCP)を使って,適切なイーサネット・ ノードのアドレスを見つける。NCPを使用するには,次の条件を満たしていなければならない。

    次のコマンドを入力し,Returnを押す。

         $ RUN SYS$SYSTEM:NCP
         NCP> TELL BETA SHOW EXECUTOR STATUS
    

    ノードBETAがネットワーク・データベースで定義されていない場合, NCPはエラー・メッセージを表示する。この場合,他の適切なノードを指定し, もう一度上記コマンドを実行する。このノードが定義されている場合は, システム管理者またはネットワーク管理者に問い合わせる。

    NCPは,次のような情報を表示する。

         Node Volatile Status as of  22-JUN-1998 16:13:02
    
         Executor node = 19.007 (BETA)
    
         State                    = on
         Physical address         = AA-00-03-00-76-D3
         Active links             = 6
         Delay                    = 1
    

  2. 表示されたphysical address (この場合, AA00030076D3)を使って,論理名TESTNIADRが適切な転送場所を指すように定義する。 ハイフン(-)は指定しない。

    まず,SYSTESTアカウントにログインする。その後,次のコマンドを入力する。

         $ DEFINE/SYSTEM TESTNIADR AA00030076D3
    

  3. UETPを実行する。

  4. UETPが完了したとき,次のコマンドを入力し,論理名TESTNIADR の割り当てを解除する。
         $ DEASSIGN/SYSTEM TESTNIADR
    

17.6.7 ログ・ファイル

UETPは,現在の実行中のすべてのUETPテストおよびフェーズによって作成されたすべての情報を, 1 つまたは複数のUETP.LOGファイルに格納します。 そして,前回の実行の情報を,1つまたは複数のOLDUETP.LOGファイルに格納します。UETP の実行が複数パスを呼び出す場合,パスごとに, UETP.LOGまたはOLDUETP.LOGファイルが1つずつ作成されます。

実行を開始すると,UETPはすべてのOLDUETP.LOGファイルを削除し,すべてのUETP.LOG ファイルの名前を,そのファイルのバージョンに相当するOLDUETP.LOG ファイルの名前に変更します。次に,UETPは新しいUETP.LOG ファイルを作成し,現在のパスの情報をその中に格納します。UETPのその後のパスでは, より高いバージョンのUETP.LOGが作成されます。したがって, 複数パスを呼び出すUETPの実行終了時には,パスごとに,UETP.LOGファイルが1 つずつ作成されます。ファイルUETP.LOGおよびOLDUETP.LOGの作成にあたり,UETP は最新2回の実行からの出力を使用します。

クラスタ・テストは,実行に含まれる各システム上のパスごとに, NETSERVER.LOGファイルをSYS$TESTに作成します。テストがエラーを報告できない場合( たとえば,他のノードへの接続が失われた場合),そのノード上のNETSERVER.LOG ファイルに,そのノード上で実行されたテスト結果が格納されます。UETP はNETSERVER.LOGファイルを削除またはパージしません。 したがって,ときどきNETSERVER.LOGを削除して,ディスク領域を回復するようにしてください。

UETPの実行が正常終了しなかった場合,SYS$TESTには他のログ・ファイルが格納されています。 通常,これらのファイルは連結され,UETP.LOGの中に格納されます。 システム・ディスク上のログ・ファイルはすべてエラー・ チェック用に使用できますが,新しいテストを実行する前には,これらのファイルをすべて削除しておかなければなりません。 これらログ・ファイルはユーザが削除することもできますが, 完全なUETPをもう一度実行すれば, 古いUETP.LOGファイルは自動的にチェックされ,削除されます。

17.7 トラブルシューティング:考えられるUETP エラー

この節では,UETP実行時に発生する可能性のある問題の識別および解決に役に立つ情報を示します。 システム障害を理解し,その原因を特定するときに, この節を参照してください。この節は,システムを回復したりユーザのシステムの欠陥を診断するためのマニュアルではありませんが, エラー・ メッセージ中の情報を解釈し,それに対処する際に参考となります。

この節で述べる手順に従ってもエラーを回復できなかった場合は,弊社のサポート担当者に相談してください。 この時,問題を特定しようとして行った処置はすべてお知らせください。 問題を診断する手掛かりになります。

17.7.1 一般的な障害の概要

次に,UETPの実行中に発生する最も一般的な障害を示します。

以降の項では,これらのエラーおよびその最善の対処方法を説明します。

17.7.2 クォータ,特権,アカウントの間違い

割り当てたクォータまたは特権がSYSTESTアカウントの標準のクォータおよび特権と一致しない場合,UETP は次のエラー・メッセージを表示します。

     **********************
     *  UETINIT00         *
     *  Error count =  1  *
     **********************
     -UETP-W-TEXT,   The following:

             OPER privilege,
             BIOLM  quota,
             ENQLM  quota,
             FILLM  quota,

     are nonstandard for the SYSTEST account and may result in UETP errors.

このメッセージは,OPER特権,およびBIOLM,ENQLM,FILLMの各クォータが正しく割り当てられていないか, または,まったく割り当てられていないことを示しています。


注意
クラスタ統合テスト・フェーズを実行していて,SYSTEST_CLIG アカウントの特権およびクォータが間違っている場合,UETP はこのようなメッセージを表示します。SYSTESTおよびSYSTEST_CLIG アカウントには,同じ特権およびクォータが必要です。どちらの場合も, ここで述べる対処方法を適用してください。

解決策

問題を修正するには,次の手順に従ってください。

  1. 次のように,Authorizeユーティリティ(AUTHORIZE)を使って, SYSTESTアカウントに対して有効なすべての特権およびクォータを表示する。
         $ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
         $ RUN SYS$SYSTEM:AUTHORIZE
         UAF> SHOW SYSTEST
    
         Username: SYSTEST                          Owner:  SYSTEST-UETP
         Account:  SYSTEST                          UIC:    [1,7] ([SYSTEST])
         CLI:      DCL                              Tables: DCLTABLES
         Default:  SYS$SYSROOT:[SYSTEST]
         LGICMD:   LOGIN
         Login Flags:
         Primary days:   Mon Tue Wed Thu Fri Sat Sun
         Secondary days:
         No access restrictions
         Expiration:            (none)    Pwdminimum:  8   Login Fails:     0
         Pwdlifetime:         14 00:00    Pwdchange:   22-JUN-1998 10:12
         Last Login:            (none) (interactive),          (none) (non-interactive)
         Maxjobs:         0  Fillm:       100  Bytlm:        65536
         Maxacctjobs:     0  Shrfillm:      0  Pbytlm:           0
         Maxdetach:       0  BIOlm:        12  JTquota:       1024
         Prclm:          12  DIOlm:        55  WSdef:          256
         Prio:            4  ASTlm:       100  WSquo:          512
         Queprio:         0  TQElm:        20  WSextent:      2048
         CPU:        (none)  Enqlm:       300  Pgflquo:      20480
         Authorized Privileges:
           CMKRNL CMEXEC SYSNAM GRPNAM DETACH DIAGNOSE LOG_IO GROUP
           PRMCEB PRMMBX SETPRV TMPMBX NETMBX VOLPRO PHY_IO SYSPRV
         Default Privileges:
           CMKRNL CMEXEC SYSNAM GRPNAM DETACH DIAGNOSE LOG_IO GROUP
           PRMCEB PRMMBX SETPRV TMPMBX NETMBX VOLPRO PHY_IO SYSPRV
         UAF> SHOW SYSTEST_CLIG
            .
            .
            .
         UAF> EXIT
    

  2. このアカウントに割り当てられた省略時の特権およびクォータが, 次の値と一致しているかどうか確認する。

    特権

    CMKRNL CMEXEC NETMBX DIAGNOSE
    DETACH PRMCEB PRMMBX PHY_IO
    GRPNAM TMPMBX VOLPRO LOG_IO
    SYSNAM SYSPRV SETPRV GROUP

    クォータ

    BIOLM: 18 PRCLM: 12
    DIOLM: 55 ASTLM: 100
    FILLM: 100 BYTLM: 65536
    TQELM: 20 CPU:制限なし
    ENQLM: 300 PGFLQUOTA: 20480
    WSDEFAULT: 256 WSQUOTA: 512
    WSEXTENT: 2048

  3. 特権またはクォータのいずれかが間違っている場合, AUTHORIZEを実行して修正する。

間違ったアカウントにログインした場合は,次のエラー・メッセージが表示され,SYSTEST アカウントにログインするかどうか尋ねられます。

     $ @UETP

     **********************
     *  UETINIT00         *
     *  Error count =  1  *
     **********************
     -UETP-E-ABORT, UETINIT00 aborted at  22-JUN-1998 14:24:10.13
     -UETP-E-TEXT, You are logged in to the wrong account.
                   Please log in to the SYSTEST account.
     $

UETPはSYSTESTアカウントから実行しなければなりません。

17.7.3 UETINIT01障害

UETINIT01障害は,周辺機器装置に関連します。このタイプのエラー・メッセージは, 次のいずれかを示します。

エラー・メッセージの中には,その修正方法が示されているものもあります。 たとえば,問題および推奨する修正方法を明示的に知らせるメッセージを, オペレータ通信マネージャ(OPCOM)から受け取ることがあります。

     %OPCOM,  22-JUN-1998 14:10:52.96, request 1, from user SYSTEST
     Please mount volume UETP in device _MTA0:
     %MOUNT-I-OPRQST, Please mount volume UETP in device _MTA0:

解決方法が暗黙に示されているメッセージもあります。

     %UETP-S-BEGIN, UETDISK00 beginning at 22-JUN-1998 13:34:46.03

     **********************
     *  DISK_DRA          *
     *  Error count =  1  *
     **********************
     -UETP-E-TEXT, RMS file error in file DRA0:DRA00.TST
     -RMS-E-DNR, device not ready or not mounted
     %UETP-S-ENDED, UETDISK00 ended at  22-JUN-1998 13:34:46.80

このメッセージは,ディスク・ドライブがレディ状態でないか,マウントされていないことを示しています。 この情報から,(ディスク・ドライブの) どの場所に障害の原因があるかを知ることができます。即座に問題の原因を知ることができない場合は, 第17.3 節の設定指示を参照してください。

また,障害の原因の手掛かりがまったくないメッセージもあります。問題は, ソフトウェアでなく,ハードウェアに原因があることもあります。たとえば, イーサネット・アダプタ・テストでは,UETPがイーサネット・アダプタに対して排他的アクセスを行えない場合, 次のメッセージのいずれかが表示されることがあります。

自己テスト診断をイーサネット・アダプタ上で正常に実行するには, UETPは,そのアダプタに対して排他的にアクセスする必要があります。第17.3.10項で述べているように, イーサネット・ アダプタをテストする場合は,UETP装置テスト・フェーズを実行する前に,DECnet およびLATターミナル・サーバをシャットダウンしなければなりません。

解決策

UETPの実行中,いつまたはどこで障害が発生したかを判断するには,次の手順に従ってください。

17.7.4 UETVECTOR障害(VAXのみ)

UETPは,次のようなメッセージを表示して,ベクタ・プロセッサ障害を通知します。

          **********************
          *  UETVECTOR         *
          *  Error count = 1   *
          **********************
          %PPL-S-CREATED_SOME, created some of those requested - partial success
          -UETP-E-SUBSPNERR, Error spawning subordinate process.
          -UETP-E-SCHCTXERR, Error scheduling vector context test subprocess.
          -UETP-E-VECCTXERR, Error encountered during vector context testing.
     %UETP-I-ENDED, UETVECTOR_0000 ended at 22-JUN-1998 07:37:00.59

解決策

ベクタ・プロセッサのテストのための正しい設定については,第17.3.19項を参照してください。

17.7.5 他のアプリケーションによる装置の割り当てまたは使用

DEVICEフェーズ中にDECnet for OpenVMSソフトウェアまたはLATソフトウェアが動作している場合,UETUNAS00 テストは次のメッセージを表示します。

     -UETP-W-TEXT, Device is in use by DECnet or another application

他のUETP通信装置テストは,次のメッセージを表示します。

     SYSTEM-W-DEVALLOC, device already allocated to another user

解決策

イーサネット・アダプタ上で装置テストを実行する場合,テストを開始する前に,DECnet およびLATソフトウェアをシャットダウンしてください。

17.7.6 ディスク領域の不足

UETPのパスを連続して実行すると,UETPを実行したディスク上にログ・ファイルが蓄積されます。 これらのファイルによって,後続のパスで使用できる空きディスク領域が減少します。 現在のロードに対して使用できるディスク領域が少なくなった場合は, 次のエラー・メッセージが表示されます。

     %UETP-S-BEGIN, UETDISK00 beginning at  22-JUN-1998 08:12:24.34
     %UETP-I-ABORTC, DISK_DJA to abort this test, type ^C

     **********************
     *  DISK_DJA          *
     *  Error count = 1   *
     **********************
     -UETP-F-TEXT, RMS file error in file DJA0:DJA00.TST
     -RMS-F-FUL, device full (insufficient space for allocation)

     **********************
     *  DISK_DJA          *
     *  Error count = 2   *
     **********************
     -UETP-F-TEXT, RMS file error in file DJA0:DJA01.TST
     -RMS-F-FUL, device full (insufficient space for allocation)
     %UETP-E-DESTP, DISK_DJA stopped testing DJA unit 0 at 08:12:36.91
     %UETP-S-ENDED, UETDISK00 ended at  22-JUN-1998 08:12:37.98

解決策

ディスク上の使用できる領域を増やしてください。領域を増やすには,次に挙げる1 つまたは複数の方法を使用します。

ディスク領域についての詳細は,第17.2.2 項および第17.3.3 項を参照してください。

17.7.7 OpenVMS Clusterシステムの設定の間違い

クラスタ統合テスト中に発生する問題のほとんどの原因は,OpenVMS ClusterかOpenVMS Cluster上のUETPの設定の誤りです。これらの問題のほとんどは, クラスタ・テストの次の段階で発生するようです。

クラスタ・テスト・フェーズでは,ユーザのクラスタ中のさまざまなOpenVMS ノードが,クラスタ内の選択したノード上のファイルに同時にアクセスしている様子を見ることができます。UETP は,最初に,クラスタ内の選択した他のノードからアクセス可能なディスク・ ドライブ上にファイルを作成しようとします。 クラスタ・テスト・フェーズ中にファイルを作成するための要件を次に示します。

UETPがどこかのノード上に適切な装置を見つけることができなかった場合は, 警告メッセージが表示され,次のクラスタ・ノードに進みます。

オペレータのターミナル(OPA0)にNO BROADCASTターミナル特性が設定されているノードでは, クラスタ・テスト中に次のエラー・メッセージが表示されます。

     **********************
     *  UETCLIG00master   *
     *  Error count =  1  *
     **********************
     -UETP-E-TEXT, 0 operator consoles timed out on the cluster test warning
            and 1 operator console rejected it.
     -UETP-E-TEXT, Status returned was,
           "%SYSTEM-F-DEVOFFLINE, device is not in configuration or not
           available"

OPA0にNO BROADCASTが設定されていない場合は,このメッセージを無視してください。

解決策

問題の疑いがある場合は,SYSTEST_CLIGプロセスが作成されたときに作成されたSYS$TEST:NETSERVER.LOG ファイルを調べてください。このファイルには, テストを実行しているノードに転送できなかった追加のエラー情報が入っていることもあります。 いくつかのノード上でSYSTEST_CLIGプロセスを作成できなかった場合, そのノードに対するシステム会計情報ファイルのプロセス終了レコードには, 最後のプロセス状態が入っていることがあります。

次の問題は,クラスタ・テスト中に発生する可能性があるものです。

17.7.8 ロード・テスト中の問題

ロード・テスト中にはさまざまなエラーが発生します。これは,テスト中に起動されるコマンド・ プロシージャは,複数のユーティリティを実行し, さまざまな機能を行うからです。UETPはロード・テスト中に作成したログ・ ファイルを削除するので,問題の追跡が困難なことがあります(第17.8.3項を参照してください)。

解決策

ロード・テスト中に問題が発生し,その原因が分からない場合は,次のようにUETP.COM を変更して,ログ・ファイルを保持するようにします。

  1. 次の行に/NODELETE修飾子を追加する。
         $ TCNTRL UETLOAD00.DAT/PARALLEL_COUNT='LOADS/REPORT_TYPE='REPORT
    

  2. 次の行を削除するか,コメントにする。
         $ DELETE UETLO*.LOG;*
    

変更後,もう一度ロード・テストを行い,問題が再現するかどうか確かめます。

問題が再現する場合は,適切なログ・ファイルの内容を調べます。どのログ・ ファイルを読むべきかを判断するには,ロード・テストがそのプロセスとログ・ ファイルに名前を付けた流れを理解します(ログ・ファイル名はプロセス名を継承します) 。

ロード・テストは,作成したプロセスに,次の形式の名前を付けます。

UETLOADnn_nnnn

次に例を示します。

     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD00 beginning at 22-JUN-1998 15:45:08.97
     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD02_0000 beginning at 22-JUN-1998 15:45:09.42
     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD03_0001 beginning at 22-JUN-1998 15:45:09.63
     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD04_0002 beginning at 22-JUN-1998 15:45:10.76
     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD05_0003 beginning at 22-JUN-1998 15:45:11.28
     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD06_0004 beginning at 22-JUN-1998 15:45:12.56
     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD07_0005 beginning at 22-JUN-1998 15:45:13.81
     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD08_0006 beginning at 22-JUN-1998 15:45:14.95
     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD09_0007 beginning at 22-JUN-1998 15:45:16.99
     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD10_0008 beginning at 22-JUN-1998 15:45:19.32
     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD11_0009 beginning at 22-JUN-1998 15:45:19.95
     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD02_0010 beginning at 22-JUN-1998 15:45:20.20
     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD03_0011 beginning at 22-JUN-1998 15:45:21.95
     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD04_0012 beginning at 22-JUN-1998 15:45:22.99

10以上のプロセスが作成されている場合,プロセス名のUETLOAD nn部分の連番は,UETLOAD02から始まります。しかし, _nnnn部分の 4けたの数字は,そのまま増え続けます。

ロード・テストのプロセスごとに,2つのログ・ファイルが作成されます。 最初のログ・ファイルは,テスト・コントローラによって作成されます。2 番目のログ・ファイルは,そのプロセス自身によって作成されます。 ロード・テストのプロセスについてのエラー情報を調べるときには, テスト・コントローラが作成したログ・ファイル(最初のログ・ファイル) を調べます。

ロード・テストのログ・ファイルの名前はプロセス名を継承し,UETLOにプロセス名の最後の4 けたの数字(_nnnn部分)を追加します。各プロセスのテスト・ コントローラのログ・ファイルおよびプロセスのログ・ファイルは同じファイル名です。 ただし,プロセスのログ・ファイルの方が,より高いバージョン番号を持っています。 たとえば,プロセスUETLOAD05_0003 が作成したログ・ファイルの名前は次のようになります。<blockquote>

UETLO0003.LOG;1 (テスト・コントローラのログ・ファイル)

UETLO0003.LOG;2 (プロセスのログ・ファイル) </blockquote>

ログ・ファイルを見るときには,ロード・テストのコマンドおよびエラー情報の入った, バージョン番号の低いほうを見るようにしてください。

問題を解決したら,UETP.COMを元の状態に戻し,ロード・テストのログ・ ファイルを削除します(UETL0*.LOG;*)。このファイルを削除しなければ, ディスク領域の問題が発生する可能性があります。

17.7.9 DECnet for OpenVMSエラー

DECnetエラー・メッセージは,ネットワークが使用不可であることを示すことがあります。

解決策

他のDECnetに関するエラーが発生した場合は,次の作業を行ってください。

17.7.10 記録されるが表示されないエラー

コンソール・ターミナルにエラーが表示されない場合,または, UETP.LOGファイルにエラーが報告されない場合,ERROR LOGを実行して, ERRLOG.SYSファイルになんらかのエラーが記録されているかどうかを確認します。ERROR LOG の実行については,『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・リファレンス・ マニュアル』を参照してください。

17.7.11 PCBまたはスワップ・スロットの欠如

次のエラー・メッセージは,PCBまたはスワップ・スロットが使用できないことを示しています。

     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD00 beginning at  22-JUN-1998 07:47:16.50
     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD02_0000 beginning at  22-JUN-1998 07:47:16.76
     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD03_0001 beginning at  22-JUN-1998 07:47:16.92
     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD04_0002 beginning at  22-JUN-1998 07:47:17.13
     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD05_0003 beginning at  22-JUN-1998 07:47:17.35
     %UETP-I-BEGIN, UETLOAD06_0004 beginning at  22-JUN-1998 07:47:17.61
     %UETP-W-TEXT, The process -UETLOAD07_0005- was unable to be created,
       the error message is
     -SYSTEM-F-NOSLOT, no pcb or swap slot available
     %UETP-W-TEXT, The process -UETLOAD08_0006- was unable to be created,
       the error message is
     -SYSTEM-F-NOSLOT, no pcb or swap slot available
     %UETP-W-TEXT, The process -UETLOAD09_0007- was unable to be created,
       the error message is
     -SYSTEM-F-NOSLOT, no pcb or swap slot available
     %UETP-W-TEXT, The process -UETLOAD10_0008- was unable to be created,
       the error message is
     -SYSTEM-F-NOSLOT, no pcb or swap slot available
     %UETP-W-TEXT, The process -UETLOAD11_0009- was unable to be created,
       the error message is
     -SYSTEM-F-NOSLOT, no pcb or swap slot available
     %UETP-W-ABORT, UETLOAD00 aborted at  22-JUN-1998 07:47:54.10
     -UETP-W-TEXT, Aborted via a user Ctrl/C.
      ***************************************************
      *                                                 *
         END OF UETP PASS 1 AT  22-JUN-1998 07:48:03.17
      *                                                 *
      ***************************************************

解決策

この問題を解決するには,次の手順に従います。

  1. エラー・メッセージの原因となったフェーズを個々に実行し( 上記例ではLOADフェーズ),エラーが再現するか確認する。

  2. コマンド・プロシージャSYS$UPDATE:SWAPFILES.COM (第15章を参照)またはSYSGEN ( 『OpenVMSシステム管理ユーティリティ・ リファレンス・マニュアル』を参照)を使って,ページ・ ファイルのサイズを増やす。

  3. 必要であれば,システム・パラメータMAXPROCESSCNTを増やす。

  4. システムを再ブートする。

17.7.12 キーボードの応答がない,またはシステム・ ディスクが動作しない

キーボードの応答がなかったり,システム・ディスクが動作していない場合, システムがハングアップしている恐れがあります。

解決策

システム・ハングアップの場合,障害追跡が困難です。参照のために, ダンプ・ファイルをセーブしておいてください。 システムがハングアップした原因を特定するためには,『OpenVMS VAX System Dump Analyzer Utility Manual』と『OpenVMS Alpha System Dump Analyzer Utility Manual』のシステム・ダンプ・ アナライザを参照してください。

システム・ハングアップの理由には,次のようなものがあります。

17.7.13 FALオブジェクトに対する省略時のアクセス権の欠如

UETPのDECnetテストにより選択された遠隔ノード(アクティブな各サーキット上の隣接ノード, またはグループ論理名UETP$NODE_ADDRESSで定義されたノード) で,省略時のFALアクセスが無効になっている場合は,次のようなメッセージが表示されます。

     %UETP-W-TEXT, The process -SVA019841_0001- returned a final status of:
     %COPY-E-OPENOUT, error opening !AS as output

上記メッセージは次のように続きます。

     %COPY-E-OPENOUT, error opening 9999""::SVA019841.D1; as output
     -RMS-E-CRE, ACP file create failed
     -SYSTEM-F-INVLOGIN, login information invalid at remote node
     %COPY-W-NOTCOPIED, SYS$COMMON:[SYSTEST]UETP.COM;2 not copied
     %UETP-E-TEXT, Remote file test data error

このメッセージは無視してかまいません。

17.7.14 バグ・チェックおよびマシン・チェック

システムがその実行を強制終了するとき,バグ・チェック・メッセージがコンソールに表示されます。

解決策

弊社のサポート担当者に連絡してください。バグ・チェックやマシン・チェックの原因は, たいていはハードウェア障害ですが,バグ・チェックやマシン・ チェックは,簡単には解決できません。ただし,検査に使えるよう,SYS$SYSTEM:SYSDUMP.DMP ファイルとERRLOG.SYSファイルを保存しておくことが重要です。 この障害が再現できるかどうかも確認しておいてください。 もう一度UETPを実行して,障害をチェックすることができます。

17.8 UETPテストおよびフェーズ

この節では,UETPの編成およびテスト・パッケージの個々の構成要素を詳しく説明します。UETP を実行するには,各テスト・フェーズを起動するコマンドの入ったマスタ・ コマンド・プロシージャを起動します。 このプロシージャは,開始時に,さまざまなテスト・フェーズに必要な情報を入力するよう求めてきます(UETP の起動についての詳細は,第17.4節を参照してください)。

マスタ・コマンド・プロシージャUETP.COMには,各テスト・フェーズを起動するコマンドが入っています。 また,UETP.COMには,論理名の定義やテストによって作成されるファイルの操作などを行うコマンドも入っています。

UETP.COMプロシージャは,順番に各テスト・フェーズを制御する,テスト制御プログラムUETPHAS00.EXE を起動するコマンドを発行します。このテスト・ コントローラは,複数の独立プロセスを起動します。さらに,これら独立プロセスの完了状態を報告し, 独立プロセスが報告した情報も報告します。

以降の項では,さまざまなUETPテスト・フェーズについて説明します。

17.8.1 初期化フェーズ

初期化フェーズでは,次のことが行われます。

UETINIDEV.DATの要約は常にUETP.LOG中に存在します。そして,長いレポート形式が要求されたときに,UETINIT01.EXE はこの要約をコンソールに送ります。

17.8.2 装置テスト・フェーズ

装置テスト・フェーズには,ディスク,磁気テープ,ライン・プリンタ, およびターミナルなどの装置のタイプ別のテストが含まれます。この項では, 装置テスト・フェーズについて説明し,単一の装置をテストするための指示を示します。 装置テスト・フェーズ全体を独立させて実行するための情報については, 第17.4.1項を参照してください。

17.8.2.1 装置フェーズの動作

UETP装置テスト・フェーズは,実行可能イメージであるフェーズ・コントローラUETPHAS00 を起動します。このイメージは,テストを行う装置コントローラごとに, 独立プロセスを1つずつ作成します。たとえば,システムに3 つのターミナル・コントローラ,1つのライン・プリンタ,および2 つのディスク・コントローラが存在する場合,このイメージは6つの独立プロセスを作成します。 同時に,独立プロセスは,さまざまなタイプの装置をテストするイメージを実行します。

UETPの初期化フェーズでは,UETINIDEV.DATと呼ばれるファイルとUETCONT00.DAT と呼ばれるファイルが作成されます。UETINIDEV.DATには,OpenVMS がサポートするシステム中のコントローラおよび関連装置に関するデータが入っています。UETCONT00.DAT は,装置テスト・イメージをテスト可能な各コントローラに関連付けます。

UETPHAS00はUETCONT00.DAT中の情報を使って,作成した各装置プロセスに渡す装置コントローラ名を見つけます。UETPHAS00 は,個々のテストへのSYS$INPUT であるメールボックスにコントローラ名を書き込みます。各独立プロセスはそのデータを使って, テストを行うコントローラを決定します。 次に,テスト・イメージはUETINIDEV.DATから装置コントローラおよびそのコントローラ上でテスト可能なすべてのユニットを探します。 すべてのコントローラ上のすべての装置のテストが完了すると, フェーズ・コントローラは終了します。

UETCONT00.DATはUETPの実行終了時に自動的に削除されるので,UETP.COM を起動しなければ装置フェーズは実行できません。しかし,個々のテスト・ イメージだけなら実行できます。UETINIDEV.DATは,ユーザが削除するまでSYS$TEST に存在します。

17.8.2.2 単一装置テストの実行

この項で述べる個々のテストを実行するには,まず,SYSTESTアカウントにログインしなければなりません。 また,UETINIDEV.DATのコピーが存在しなければなりません。 前回の実行によるこのファイルのコピーが存在しなければ, このファイルを作成してください(UETINIDEV.DATは,完全なUETP の実行または装置テスト・フェーズの実行によって作成されます)。 単一装置テストを実行するときには,ログ・ファイルは作成されないので注意してください。 このテストはすべての出力をユーザのターミナルに送ります。

特定の装置タイプに対してだけテストを行う場合は,表 17-1 (VAXシステムの場合)または表 17-2 (Alphaシステムの場合)からテスト・ イメージ名を選択し,そのイメージを実行することによって,特定のコントローラだけをテストすることができます。 次に例を示します。

     $ RUN UETTTYS00
     Controller designation?: TTB

UETPは,コントローラ指示子および装置コードの入力を求めます。ユーザ自身のターミナルをテストするのでなければ, コントローラ名を明示的に示さなければなりません。 ターミナル・テストを実行する場合,Returnを押せば, ユーザ自身のターミナルだけをテストできます。

何回も実行を繰り返す場合は,論理名CTRLNAMEを定義する方が便利です。

     $ DEFINE CTRLNAME TTB
     $ RUN UETTTYS00

このようにコントローラ名を定義すると,テスト完了後も論理名CTRLNAME は割り当てられたままになります。論理名の割り当てを解除するには,次のように,DCL のDEASSIGNコマンドを使用します。

     $ DEASSIGN CTRLNAME

17.8.2.3 UETINIDEV.DATの形式

UETINIDEV.DATファイルはASCII順編成ファイルなので,必要に応じて入力したり編集したりすることができます。 このファイルの内容は,次のコマンドを入力することによって表示することができます。

     $ TYPE UETINIDEV.DAT

     DDB x ddd
     UCB y uuuuu nnnnnnnnn.nnn
     END OF UETINIDEV.DAT

この例では,次のようにシンボルが定義されています。

シンボル
x 当該コントローラにテスト可能なユニットがある場合はT 。当該コントローラでテストを行わない場合はN 。
y ユニットがテスト可能な場合はT 。ユニットがテスト可能でない場合はN。
ddd 装置コントローラ名。たとえば,DUA 。
uuuuu 装置ユニット番号。たとえば,25。
nnnnnnnnn.nnn ユニットに対するUETP装置テスト名。 たとえば,UETDISK00.EXE。

UETINIDEV.DATには,ユーザのシステムに接続されている,またはユーザのシステムから見ることができる各コントローラに対するDDB ( 装置データ・ ブロック)行が入っています。DDB行の後には,当該コントローラに接続された各ユニットに対するUCB ( ユニット制御ブロック)行があります。 DDB行とUCB行の両方がその装置がテスト可能であることを示すときに限り, 装置テストは特定の装置をテストできます。

17.8.2.4 ループ・モードによるテストの実行

ある装置に対して特に負荷をかけてテストしたい場合は,ループ・モードで装置テストを実行します。 このモードでは,テストが無限に実行されます。 次に例を示します。

     $ DEFINE MODE LOOP
     $ RUN UETDISK00
     Controller designation?: DRA
     %UETP-I-TEXT, End of pass 1 with 980 iterations at 22-JUN-1998 16:18:51:03

     ^C

ループ・モードのテストを終了するには,Ctrl/Cを使用しなければなりません。Ctrl/Y を使用すると,UETPはクリーンアップ処理を行いません。

17.8.2.5 個々の装置テストの機能

ディスク・テストは,システム中のディスクごとにファイルを2つずつ割り当て, そのファイルにランダムなデータ・ブロックを書き込みます。次に, テストはそのデータをチェックし,エラーがあればSYS$OUTPUTに報告し, 最後に,そのディスク・ファイルを削除します。

クラスタ環境でディスク・テスト・フェーズを実行する場合,テストを行うシステムにマウントされているすべてのディスクがアクセスされます。 このとき,テストされるディスクのユーザにとってディスク領域の不足という問題が発生するかもしれません。 したがって,遠隔ノード上のユーザ( ローカル・システムのユーザとディスクを共有しているユーザ)には,使用中のディスクがUETP によってテストされるということを警告しておくべきです。

磁気テープ・テストは,システム中のすべての磁気テープ・ドライブをテストします。 このテストは,マウントされているすべての磁気テープ上に大きなファイルを作成し, その中にさまざまなサイズの順次レコードを複数書き込みます。 さらに,レコードの書き込み後,磁気テープを巻き取り, 書き込んだレコードを検査し,最後に,磁気テープを再初期化します。

ターミナルおよびライン・プリンタ・テストでは,数ページまたは数画面かの出力が作成され, 各ページまたは画面にヘッダ行およびASCII文字によるテスト・ パターンが出力されます。ヘッダ行には,テスト名,装置名, データ,および時間が出力されます。

実験周辺機器アクセラレータ(LPA11-K)の場合,テスト・イメージによってLPA11-K のI/Oバスの構成が決定されます。テスト・イメージはすべてのタイプのマイクロコードをLPA11-K にロードし,LPA-KのI/Oバス上のすべての装置に対してデータの読み込みまたは書き込みを行います。

通信装置テストは,転送メッセージ・バッファをランダムなデータでいっぱいします。 次に,ループバック・モードを使って,メッセージを何度か転送および受信します。 ループ・バックされたデータが正しいかどうかをチェックするために,AST ルーチンが$QIO読み込みと関連付けられ,受信したメッセージと転送したメッセージが比較されます。 この手順は,異なる長さのメッセージを使って繰り返されます。

インタフェース装置テストは,装置を保守モードでテストし,ランダムなデータを書き込み, 最後にそのデータを検査します。

イーサネット・アダプタ・テストは,装置に対して自己テスト診断を行います。 また,このテストは,さまざまなアダプタ・モード(内部ループバックおよび外部ループバックなど) を使用するテスト・データを使って, 読み込みおよび書き込み作業を行います。

ベクタ・プロセッサ装置テストは,単純なベクタ・スカラ算術演算およびベクタ・ ベクタ算術演算を行い,その結果と予期された値を比較します。 このテストは,また,ベクタ関連拡張システム・サービスを使って,強制的に算術例外条件およびメモリ管理例外条件をシステムに発生させます。

表 17-1に,装置テスト・ イメージおよびVAX システム上でテストされる装置のリストを示します。

表 17-1 装置テスト(VAXのみ)

テスト・イメージ名 テストされる装置
UETDISK00.EXE ディスク
UETTAPE00.EXE 磁気テープ・ドライブおよびテープ・カートリッジ・ドライブ
UETTTYS00.EXE ターミナルおよびライン・プリンタ
UETLPAK00.EXE LPA11-K
UETCOMS00.EXE DMC11, DMR11
UETDMPF00.EXE DMF32, DMP11
UETDR1W00.EXE DR11-W
UETDR7800.EXE DR780, DR750
UETCDRO00.EXE RRD40, RRD42, RRD50
UETUNAS00.EXE イーサネット・アダプタ
UETVECTOR.EXE ベクタ・プロセッサ, VVIEF

表 17-2に,装置テスト・ イメージおよびAlpha 上でテストされる装置のリストを示します。

表 17-2 装置テスト(Alphaのみ)

テスト・イメージ名 テストされる装置
UETDISK00.EXE ディスク
UETTAPE00.EXE 磁気テープ・ ドライブおよびテープ・カートリッジ・ドライブ
UETTTYS00.EXE ターミナルおよびライン・ プリンタ
UETCDRO00.EXE RRD42
UETUNAS00.EXE イーサネット・アダプタ

17.8.3 システム・ロード・テスト・フェーズ

システム・ロード・テストの目的は,システム資源を同時に要求する複数のターミナル・ ユーザをシミュレートすることです。システム・ロード・ テストは,さまざまなコマンド・プロシージャを実行する独立プロセスを複数作成します。 この結果は,ファイルUETLOAD00.DATに出力されます。 各プロセスは,ターミナルにログインしたユーザをシミュレートします。 つまり,各プロシージャ内のコマンドは,ターミナルからユーザが入力したコマンドと同じタイプのコマンドです。 ロード・テストは連続して複数の独立プロセスを作成し, 各独立プロセスがそれぞれのコマンド・プロシージャを同時に実行します。 つまり,独立プロセスと同じ数のユーザが同時にターミナルからコマンドを入力するのと同じような影響をシステムに与えます。 このようにして,ロード・テストは,通常のシステムにおける使用と同じような環境を作り出します。

ロード・テストは,論理名LOADSを使って,作成する独立プロセスの数を決定します。UETP コマンド・プロシージャを起動すると,シミュレートするユーザの人数, つまり,作成する独立プロセスの数を尋ねてきます(第17.4.3項を参照)。 この数は,使用しているシステムのメモリ量, スワップ領域,およびページング領域を考慮して決める必要があります。 このときのユーザの応答によって,グループ論理名LOADS が定義されます。

UETPマスタ・コマンド・プロシージャは,終了フェーズにおいて,テストによって行われたグループ論理名の割り当てを解除します。UETP パッケージが正常終了しなかった場合のみ, グループ論理名LOADSの割り当ては解除されません。

作成する独立プロセスの数にもよりますが,ロード・テストによって実行されるコマンド・ プロシージャは大量の出力を生成します。各独立プロセス( すなわちユーザ)に対して,テストはUETLOnnnn.LOGと呼ばれる出力ファイルのバージョンを作成します( nnnnは数値文字列)。コンソールには, ロード・テストの進行を表す状態情報だけ表示されます。

ロード・テストが完全なUETPの一部として実行される場合も,独立したフェーズとして実行される場合も,UETP はUETLOnnnn.LOGファイルを結合し, 出力をファイルUETP.LOGに書き込み,最後に,個々の出力ファイルを削除します。

システム・ロード・テストを独立したフェーズとして実行するには, スタートアップ・ダイアログの中からLOADを選択します(第17.4.1項を参照)。

17.8.4 DECnet for OpenVMSテスト・フェーズ

DECnet for OpenVMSソフトウェアがユーザのOpenVMSシステムに組み込まれている場合, 完全なUETPの実行によって,DECnetハードウェアおよびソフトウェアが自動的にテストされます。 通信装置はDECnetに割り当てられ,DECnet 装置はUETP装置テストでテストできないので,DECnet for OpenVMSまたは他のアプリケーションがその装置を割り当てている場合, UETPはイーサネット・アダプタをテストしません。DECnetテストの開始時,DECnet ノードおよびサーキット・カウンタはゼロにされ,実行時の障害監視が可能になります。

他のUETPフェーズと同様に,DECnet for OpenVMSフェーズを独立させて実行することもできます。 第17.4.1 項を参照してください。

17.8.4.1 環境

DECnet for OpenVMSテストは,DECnetがサポートするすべてのノード・タイプ( ルーティング・ノードおよび非ルーティング・ノードを含む)に接続されたOpenVMS システム,および若干異なるタイプのオペレーティング・ システム(RSTS,RSX,TOPS,RTなど)上で正常に動作します。遠隔システムには, システム間でファイルをコピーするための省略時のアクセス権が必要です。DECnet フェーズでは,次のテストを行います。

テストがサポートする通信回線の数には制限はありません。ある隣接ノードにおけるテストを, 通常の通信転送率で2分以上継続してはなりません。


注意
UETPは,ユーザのシステムがFAL オブジェクトに対して省略時のアクセス権を持っていることを想定しています。 しかし,ネットワーク構成コマンド・プロシージャNETCONFIG.COM は,省略時の設定で,FALオブジェクトに対するアクセス権を提供しません。 NETCONFIG.COM が提供する省略時の設定でDECnetソフトウェアをインストールする場合,UETP DECnet フェーズでエラー・メッセージが表示されることがあります。 このエラー・メッセージは無視してかまいません。 詳細は第17.7.13項を参照してください。

17.8.4.2 DECnetフェーズの動作

UETP (UETPHAS00.EXEの制御下において)は,ファイルUETDNET00.DATを読み込み,DECnet for OpenVMS フェーズ中に次の手順を行います。

  1. ネットワーク制御プログラム(NCP)のLOOP EXECUTORコマンドを複数回実行し,UETP が動作しているノードをテストする。

  2. NCPを使って,コマンドSHOW ACTIVE CIRCUITSを実行する。この結果は,UETININET.TMP に書き込まれ,そこからUETPはデータ・ファイルUETININET.DAT を作成する。UETININET.TMPファイルには,ON状態であるが遷移状態でないサーキットについての次の情報が入っている。

    UETININET.TMPファイルは,テストする装置を決定するために,DECnet フェーズ全体で使用される。

  3. UETININET.TMPファイルを使って,テスト可能なサーキットごとにNCP コマンド・プロシージャを1つ作成する。各コマンド・プロシージャには, サーキット・カウンタおよびノード・カウンタをゼロにし, ファイルのコピーによってサーキットおよび隣接ノードをテストする複数のNCP コマンドが入っている。


    注意
    カウンタをゼロにしたくない場合は,DECnet for OpenVMS ソフトウェアをテストしないでください。

  4. 手順3のコマンド・プロシージャを並行して実行し,ユーザ負荷が高い状態をシミュレートする。 シミュレートされるユーザ負荷は, 以下の値のうち少ない方である。

  5. プログラムUETNETS00.EXEを実行する。このプログラムはUETININET.DAT ファイルを使って,テスト可能な各サーキットに対するサーキット・ カウンタおよびノード・カウンタをチェックする。カウンタが劣化を示している場合( つまり,ゼロではない場合),その名前と値がコンソールに報告される。 ログ・ファイルには,すべてのカウンタが報告されるが, 劣化を示すカウンタだけはコンソールにも報告される。 次に,UETNETS00出力の例を示す。
         %UETP-S-BEGIN, UETNETS00 beginning at  22-JUN-1998 13:45:33.18
         %UETP-W-TEXT, Circuit DMC-0 to (NODENAME1) OK.
         %UETP-I-TEXT, Node  (NODENAME2) over DMC-1 response timeouts = 1.
         %UETP-I-TEXT, Circuit DMC-1 to (NODENAME2) local buffer errors = 34.
         %UETP-I-TEXT, Node  (NODENAME3) over DMP-0 response timeouts = 3.
         %UETP-S-ENDED, UETNETS00 ended at 22-JUN-1998 13:45:36.34
    

    カウンタの劣化が必ずしもエラーの原因となるわけではないので,テストが成功したかどうかは, システムではなく,ユーザが判断することである。 次のカウンタは劣化を示す。

    サーキットの場合

    ノードの場合

17.8.5 クラスタ統合テスト・フェーズ

クラスタ統合テスト・フェーズは,DECnet for OpenVMSソフトウェアに大きく依存する1 つのプログラムおよび1つのコマンド・ファイルから構成されます。 このフェーズは,DECnet for OpenVMSソフトウェアを使って,クラスタ中の各OpenVMS ノード上にSYSTEST_CLIGプロセスを作成し,各ノードと通信します。SYSTEST_CLIG はSYSTESTに類似するアカウントです。しかし,SYSTEST_CLIG はクラスタ統合テストでしか使用されません。クラスタ・ テスト・フェーズを正しく実行するには,次のSYSTEST_CLIGアカウントの制限が必要です。

これらの項目は,システムの機密保護およびプライバシーを守るために必要です。SYSTEST_CLIG プロセスがOpenVMSノード上に作成できない場合は, 障害の原因が示され,ファイル・テスト中にはロック・テストおよび共用アクセス用のノードが無視されます。 また,このテストでは, SYSTEST_CLIGプロセスが作成されなかったノードからのログ・ファイルのコピーは行われません。SYSTEST_CLIG プロセスの作成後,SYSTEST_CLIGプロセスとの通信に問題が発生した場合, それ以降のロック・テストおよびファイル共用テストでは, このノードは除外されます。クラスタ統合テストの終了時, 当該ノードでエラーが発生したかどうかが報告されます。

UETCLIG00.EXEは,1次スレッドと2次スレッドという,2つの実行用スレッドを持っています。1 次スレッドは,クラスタ構成(OpenVMSノード,HSCノード, およびテストを実行するノードで使用できる取り付けディスク)をチェックします。 選択されたOpenVMSノードの場合,1次スレッドはDECnet ソフトウェアを使ってSYSTEST_CLIGプロセスを起動しようとします。1次スレッドがSYSTEST_CLIG プロセスをノード上で起動できた場合,そのノードはコマンド・ ファイルUETCLIG00.COMを起動します。このコマンド・ファイルは,UETCLIG00.EXE を起動し,2次実行スレッドを実行します。

1次スレッドを実行しているプロセスは,2次スレッドを実行しているプロセスと通信できるかどうかチェックします。 次に,ロックを外し,デッドロック状態が作成されるよう,2 次スレッドに命令します。

1次スレッドは,クラスタ中で選択したOpenVMSおよびHSCノード上の同じディスクにファイルを作成しようとします。1 次スレッドはブロックを書き込み, そのブロックを再び読み取り,最後に,そのブロックを確認します。 次に,OpenVMSノードを1つランダムに選択し,そのブロックの読み込みと確認を行うよう指示します。 次に,1次スレッドは他のブロックを書き込むことによって, ファイルを拡大し,2次ブロックは2番目のブロックを読み込み, 確認します。このファイルは削除されます。

2次プロセスは終了します。2次プロセスは,自身のSYS$ERRORファイルの内容を1 次プロセスにコピーするので,UETPログ・ファイルおよびコンソール・ レポートはすべての問題を1つの場所に表示することができます。 DECnet for OpenVMSソフトウェアは,テストの実行時に自動的にSYS$TEST の中にNETSERVER.LOGを作成します。したがって,必要であれば,後でこのノードのファイルを読むことができます。

テストの実行中,1次プロセスはシステム・サービスSYS$BRKTHRUを使って, テストの開始と終了を各OpenVMSノードのコンソール・ターミナルに知らせます。

グループ論理名MODEを文字列DUMPと同等に定義することによって,ほとんどのイベントの発生を追跡することができます。 論理名の定義は,定義されたノード上でしか適用されません。MODE は,イベントを追跡したいクラスタ中の各ノード上で定義しなければなりません。


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