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16 DCPSバージョン1.4の情報

16.1 DCPSバージョン1.4のハイライト

DECprint Supervisorバージョン1.4に含まれる重要な変更点は次のとおりです。 詳細については,以降の各節を参照してください。

16.2 DCPSバージョン1.4で解決された問題

この節では,DCPS V1.4で解決された問題について説明します。

16.2.1 OUTPUT_TRAYを指定しないでソータを使用する場合,1 つのビンだけにセパレータ・ページが出力されること

LN17psの省略時の出力トレイがソータに設定されていて,プリント・ジョブのOUTPUT_TRAY=xxx パラメータを指定しないでSHEET_COUNT=nパラメータを指定した場合, セパレータ・ページ(ジョブのバースト・ページ,フラグ・ ページ,トレーラ・ページ)の1つのコピーだけが出力されていました。 さらに,それらのページはランダムな位置のビンに出力されていました。

16.2.2 "Processing"状態でのLN17psプリンタのハング

LN17psのソータが省略時の出力トレイに設定され,入力トレイがMANUAL_ FEEDに指定されていて,1よりも大きなSHEET_COUNTを指定した場合,プリンタがハングしていました。

このエラーは,トレーラ・ページ出力時に頻繁に発生しました。

また,プリンタがハングする直前にブランク用紙がソータに出力される場合がありました。

この問題は,LN17psプリンタのバグであると同時にDCPS V1.3のバグでもありました。DCPS V1.4 では,この問題が発生することはありません。

16.2.3 LN17psでの出力の制限

次のような状態の場合に,LN17psでのプリンタ出力が制限されることがありました。

このような制限を避けるには,INPUT_TRAY=MANUAL_FEEDを使用します。

LN17psの用紙サイズとともにINPUT_TRAY値をFRONTあるいはMULTIPURPOSE のいずれかに指定した場合,DCPS V1.4はコンソールで指定したマニュアル・ トレイのサイズに用紙サイズを一致させるよう要求するようになりました。

16.2.4 間違ったTRAYSUBSTメッセージ

次のプリンタの特定の出力トレイを指定した場合に,間違ったDCPS-I- TRAYSUBSTメッセージが発生する可能性がありました。

プリンタ 出力トレイ 通知される出力先
LN17ps Top OCT
LN17ps Upper OCT
LPS17 LCOS 2
LPS32 LCOS 4
LPS40 LCOS 4

間違ったTRAYSUBSTメッセージが通知されても,正しいトレイが選択されていました。

16.2.5 PrintServerプリンタの要求された装置制御モジュールが見つからない

DIGITAL PrintServerプリンタに出力された最初のジョブが不正なパラメータを含んでいた場合,"Required device control module LPS$$INITPSDEVICE not found"というエラー・メッセージが通知されて, プリント・キューが停止していました。このエラーは,最初に出力されたジョブが不正なパラメータを含んでいる場合にかぎり発生していました。

このエラーは,デスクトップ・プリンタでは発生しませんでした。

16.2.6 DEClaser 5100についての不正な接続終了エラー

DCPSはNICカードを介してDEClaser 5100と通信することができず,常にCONTERMINATED エラーが発生していました。

この問題は,第16.2.2項に記述されているようにDCPS V1.3 で解決されたものと報告されていましたが,実際はV1.4で解決されました。

16.2.7 ネットワーク接続が切断された場合にPrintServer プリンタがハングし,ジョブが"Pending"状態となること

次のようなすべての状態が発生した場合,DCPSプリント・キューがハングしていました。

この問題は,DCPS V1.4でTCP/IP接続についてKEEPALIVEオプションを有効とすることにより解決されます。 ただし,システムが異常に長いKEEPALIVE タイムアウトに設定されている場合,この問題は継続して発生する可能性があります。 問題が発生した場合は,ジョブを削除すること(DELETE/ENTRY) ,あるいはキューを停止させること(STOP/QUEUE/RESET)により回復できる可能性があります。

16.2.8 大きな制御領域を持つVFCファイルの問題

2バイトよりも大きな固定長制御領域を使用するVFC形式ファイルを出力した場合, アクセス違反(ACCVIO)あるいはその他のエラーを発生してDCPSシンビオントが強制終了する可能性がありました。

16.2.9 フォームを使用した場合,ANSIテキストが正しく改行されない

/WRAP修飾子を指定するフォームを使用してANSIテキストを出力した場合, 入力レコードが分割されて,フォームで指定された桁数を超える行として出力されることがありました。

16.3 DCPSバージョン1.4の変更点

この節ではDCPS V1.4での変更点を説明します。

16.3.1 raw TCP/IP接続のサポート

DCPS V1.4では,raw TCP/IPソケットを経由してプリンタと通信する機能が追加されました。raw TCP/IP は,TCPデータ・ストリームの解析を行うことなくTCP/IP プロトコルを直接使用するネットワーク・プロトコルです。raw TCP/IP は多くのプリンタのNIC (ネットワーク・インタフェース・ カード),プリント・サーバ,ターミナル・サーバでサポートされています。

CPAP (Common Printer Access Protocol),LPD,Telnetを含むTCP/IPに基づいたその他のプロトコルが存在します。DCPS はCPAPを使用してDIGITAL PrintServerプリンタと通信します。DCPSはLPDおよびTelnetはサポートしません。

raw TCP/IPを使用してプリンタと通信するには,プリンタをネットワークに接続するために使用しているNIC ,プリント・サーバ,ターミナル・ サーバがraw TCP/IPポートを持っている必要があります。さらに,そのraw TCP/IP ポートがプリンタとOpenVMSシステム間の双方向通信をサポートしている必要があります。DCPS は単方向ポートでは動作しません。 DEClaser 3500および5100プリンタのNIC,RapidPrint 200,Hewlett- Packard JetDirectプリンタと(MIOスロットではなく) XIOスロットを経由してインタフェースを行うJetDirect カードなどは単方向ポートです。

raw TCP/IP接続およびraw TCP/IPを使用するキューの作成についての詳細は, 『日本語DECprint Supervisor for OpenVMSシステム・マネージャーズ・ マニュアル』およびDCPS$STARTUP.COMのコメント行を参照してください。

16.3.2 "tcpip"接続タイプの"ip_cpap"への置換

DCPSの以前のバージョンでは,TCP/IPを経由したDIGITAL PrintServerプリンタとの通信を指定する場合,DCPS$STARTUP.COM 内で"tcpip/..."シンタックスを使用していました。

DCPS V1.4では,"tcpip"シンタックスを置き換える"ip_cpap/..."シンタックスが新しく導入されました。CPAP (Common Printer Access Protocol)はDIGITAL PrintServerプリンタでサポートされるネットワーク・ プロトコルであり,プリンタに関連したネットワーク・プロトコルの1 つです。DCPSは継続して"tcpip/..."シンタックスをサポートしますが, "tcpip/..."シンタックスを使用しないことを推奨します。

16.3.3 インストレーション時のキューの自動的な停止および再起動

DCPSのインストレーションを開始すると,ソフトウェアが既存のキューを検出して, 動作中のキューを確認します。動作中のキューとは,停止していないキューのことです( たとえば,アイドル状態,ビジー状態など)。

動作中のキューを検出すると,その名前と状態を表示し,インストレーション・ プロシージャでそのキューの自動的な停止および再起動を実行してよいかどうかをユーザに問い合わせます。

インストレーション・プロシージャでキューの自動的な停止を実行させない場合, インストレーションを中断するか,あるいはキューを動作中のままインストレーションを継続するかという選択肢があります。 後者の選択肢である, キューを動作中のままインストレーションを継続することは推奨されません。

インストレーション・プロシージャでキューの自動的な停止を選択した場合は, その他のインストレーションに関するすべての問い合わせが終了した後で, キューを停止します。

インストレーションが正常に終了した場合,停止されたキューはIVPの実行後に再起動されます。 インストレーション時に割り込みなどによりインストレーションが中断された場合, キューは再起動されません。

16.3.4 Process Software MultiNet for OpenVMSソフトウェアのサポート

現在DCPSは,DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMSソフトウェアあるいはProcess Software MultiNet for OpenVMS ソフトウェアのいずれかを使用したIP 接続をサポートします。DCPSバージョン1.3以前については, DIGITAL TCP/IP Services for OpenVMSソフトウェアだけをサポートしています。

詳細および特定のバージョンの要件については,『日本語DECprint Supervisor SPD』を参照してください。

16.3.5 新しい用紙サイズ

DCPSは次の表に示す新しい用紙サイズをサポートするようになりました。 任意のプリンタについて,論理PAGE_SIZE値に次の新しいサイズを指定することができます。 また,次に示す特定のプリンタについては,物理SHEET_SIZE 値に次の新しいサイズを指定することができます。

サイズ名 サイズ(mm) サイズ( インチ) プリンタ
9_ENVELOPE 98.4 x 225.4 3.875 x 8.875 Lexmark Optra Rt+
DOUBLEPOSTCARD 148 x 200 5.827 x 7.874 HP4MV,HP5SiMX
SUPER_B 297 x 432 11.7 x 17 HP4MV,HP5SiMX

16.3.6 すべてのプリンタについての装置制御モジュールの変更

PCおよびMacintoshで作成されたファイルについての動作の不具合を減少させるために, すべてのプリンタについての装置制御モジュールが変更されました。 これは,主にDCPSがプリンタ内のPostScript辞書を使用する方法についての変更です。 ただし,アプリケーションがPostScriptの"userdict" 辞書に多くの定義を記述している場合,装置制御モジュールの変更によりプリント・ ジョブに悪影響を与える可能性があります。

識別されないプリンタについての4つの装置制御モジュールも変更されました。 弊社で提供しているモジュールの以前のバージョンの装置制御モジュールに変更を加えている場合は, 新しいモジュールに対して同様の変更を加える必要があります。 詳細については,『日本語DECprint Supervisor for OpenVMSシステム・マネージャーズ・マニュアル』およびLPS$$UNRECOGNIZED_* 内のコメント行を参照してください。

16.3.7 索引編成ファイルおよび相対編成ファイルのサポート

現在DCPSでは,索引編成ファイル,相対編成ファイル,順編成ファイルなどの構成を使用したファイルを出力することが可能となっています。DCPS V1.1〜V1.3では,索引編成ファイルあるいは相対編成ファイルを出力しようとした場合,BADFILEORG エラーが発生していました。

索引編成ファイルあるいは相対編成ファイルは,その主インデックスおよび相対レコード番号によって順次アクセスされます。 この新しい機能はTYPE コマンドとも矛盾しません。


注意
多くの場合,索引編成ファイルおよび相対編成ファイルにはバイナリ・ データが含まれています。出力不可能なバイナリ・ データを含むファイルを出力しようとした場合,予想できない出力結果となります。

16.3.8 ALL-IN-1互換キットの削除

ALL-IN-1互換キットおよびそのインストレーションのためのオプションは,OpenVMS VAX システム用のDCPSキットには含まれなくなりました。 DCPSの以前のバージョンに含まれていた互換キットによるプリンタのサポートは, 現在ALL-IN-1製品で提供されています。

互換キットはOpenVMS Alphaシステムでは不要です。

16.3.9 DCPSユーザ・カードの削除

現在DCPSキットにはハードコピーおよびオンライン形式のいずれのユーザ・ カードも含まれていません。DCPSの以前のバージョンをインストールしている場合は,DCPS の例を含むディレクトリにオンライン形式のユーザ・ カード(SYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.DCPS]DCPS-USER-CARD.PS)が置かれています。 カードの情報は完全なものではありませんが,内容的には正しい情報です。


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