日本語Compaq DECprint Supervisor for OpenVMS
ユーザーズ・ガイド


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17.6 エラー発生箇所の判定

PostScriptストリームのどこでエラーが発生したかを正確に判断することは困難であり,不可能な場合もあります。これは,実行スタックがコンテキストを一意的に識別できない可能性があるからです。この場合には,診断情報をPostScriptファイルに追加することができます。たとえば,エラーが showpage 定義に関連しているように思われる場合には,次に示すようにPostScriptコードを変更します。


/myshowpage 
   { 
   (At the top of my showpage\n) print flush 
   % some PostScript code 
   (Just before real showpage call\n) print flush 
   showpage 
   } def 


第 18 章
印刷に関する問題の解決

この章では, PostScriptプリンタで印刷するときに出力されるメッセージの解析方法と,発生する可能性のある問題の解決方法について説明します。問題を解決するために特権を必要とする場合には,システム管理者に連絡してください。

18.1 エラー・メッセージの表示と保存

プリント・ジョブに関する問題を検出し,問題を理解し,問題を解決するには,処理中のプリント・ジョブに関する情報を入手しなければなりません。次に,情報を収集する方法について説明します。

18.2 メッセージの解析

プリント・ジョブ・メッセージを解析することにより,プリント・ジョブに関する問題を解決し,より効率よくプリント・ジョブをキューに登録することができます。

まず,メッセージがどこから出力されたかを判断しなければなりません。一部のメッセージはプリンタのPostScriptコードから出力されます ( 第 18.2.1 項 を参照)。

また, DECprint Supervisor ソフトウェアからも多くのメッセージが出力されます。さらに,印刷中のファイルやOpenVMSシステムからメッセージが出力されることもあります( 第 18.2.2 項 を参照)。

PrintServerプリンタで印刷する場合には, PrintServer Supporting Host ソフトウェアからメッセージが出力されることもあります( 第 18.2.3 項 を参照)。

18.2.1 PostScriptエラー

PostScriptエラーは," offending command is name" という表現によって識別することができます。

PostScriptプリンタにはPostScriptインタプリタが含まれており, PostScriptコードをハードウェア機能に変換し,マーキング機能を通じてデータを物理ページに転送します。

多くのアプリケーションによってPostScriptファイルが作成され,また多くのプリンタで,それらのPostScriptファイルが印刷されています。しかし,ファイルとプリンタの間に完全に互換性があるとはかぎりません。

PostScriptの印刷に関する一部の問題は, 第 5.6 節 で説明する手法に従って解決することができます

アプリケーションでPostScript レベル 2ファイルが作成される場合には, PostScript レベル 2をサポートするプリンタが必要です。 PostScript レベル 1ファイルは, PostScript レベル 1プリンタとレベル 2プリンタの両方で印刷することができます

PostScriptエラーがPostScript以外のファイルを印刷することによって発生した場合には,そのファイルを作成したアプリケーションを変更しなければなりません。

仮想メモリ・エラー

すべての PostScript プリンタですべての PostScript イメージと文書を印刷できるわけではありません。使用しているプリンタのタイプに応じて,特定の PostScript ファイルがプリンタの仮想メモリの制限を超える場合と,超えない場合があります。これらのファイルを正しく印刷できるかどうかは,主に次の要素によって左右されます。

ファイルを印刷できず,次のエラー・メッセージが表示された場合には,プリント・ジョブはプリンタの仮想メモリの容量を超えています。


%DCPS-W-VMERROR, vmerror: PostScript virtual memory exhausted - 
offending command is string. 

次のいずれかの操作を実行することにより,問題を解決することができます。

18.2.2 DECprint Supervisorメッセージ

DECprint Supervisor ソフトウェアからのメッセージは, DCPSという接頭辞から始まります。これらのメッセージと,メッセージで問題が示されたときに実行しなければならない処置については, 付録 A を参照してください。

OpenVMSシステムでは,OpenVMS batch/printキューイング・システムを対象にしてキュー・マネージャが提供されます。プリント・ジョブが停止した場合や,キュー・マネージャによってプリント・ジョブが終了した場合には,ターミナルに OpenVMSメッセージが送信されます。PRINTコマンドに/NOTIFYを指定することにより,メッセージが通知されるように設定した場合には,OpenVMSキュー・マネージャと DECprint Supervisor ソフトウェアの両方からメッセージが出力されます。

18.2.3 PrintServer ソフトウェアに関する問題の解決

PrintServer ソフトウェアはPrintServerプリンタの管理機能を提供し,プリント・ジョブで問題が発生した場合に,そのことを示すメッセージを送信します。リモート・コンソール機能あるいはプリンタ・ステータス・モニタを使用すれば,プリンタの現在の状態を確認することができます。

18.2.4 PC あるいは Macintosh で作成されたファイルの問題

PC あるいは Macintosh アプリケーションで作成したファイルは,プリンタあるいは DCPS との互換性を持たない可能性があります。詳細については, 第 3.3 節 を参照してください。

18.3 オンライン・ヘルプの表示

PRINTパラメータに関するエラー・メッセージが出力された場合には, HELPコマンドを使用してパラメータ値が正しいかどうかを確認することができます。 PRINTパラメータに関するヘルプ情報は, HELP PRINT_PARAMETERコマンドを入力することにより表示することができます。

プリンタ固有の機能を制御するパラメータの場合には, HELPファイルは受け付けることができるパラメータを表示します。 HELP PRINT_PARAMETERの後にパラメータ名(たとえばINPUT_TRAY)を指定してください。続いて,プリンタ・モデルの名前を入力します。

たとえば,PrintServerプリンタの給紙トレイの値の一覧を表示するには,次のコマンドを入力します。


$ HELP PRINT_PARAMETER INPUT_TRAY PRINTSERVER


PRINT_Parameter 
 
  INPUT_TRAY 
 
    PrintServer_Printers 
 
 
           +-------------------------------------+ 
           | Input tray      |    PrintServer    | 
           | Values          | 20 | 32 | 40 | 17 | 
           +-------------------------------------+ 
           | MANUAL_FEED     |    |    |    | X* | 
           | NOMANUAL_FEED   |    |    |    | X* | 
           +-------------------------------------+ 
           | BOTTOM          |  X |  X |    |  X | 
           +-------------------------------------+ 
           | TOP             |  X |  X |  X |  X | 
           +-------------------------------------+ 
           | ENVELOPE_FEEDER |    |    |    |  X | 
           +-------------------------------------+ 
           | LCIT            |  X |  X |  X |  X | 
           +-------------------------------------+ 
           | MIDDLE          |  X |  X |  X |    | 
           +-------------------------------------+ 
 
              * With PrintServer Supporting Host V5.0 


第 19 章
プリンタ固有の情報

この章では,特定のプリンタで DCPS を使用する場合の,一般的なユーザ情報を提供します。プリンタ固有の情報についての詳細は,『日本語 Compaq DECprint Supervisor for OpenVMS システム・マネージャーズ・ガイド』および『日本語DECprint Supervisor Version 2.0 for OpenVMS リリース・ノート』を参照してください。

19.1 DIGITAL Colorwriter LSR 2000+ プリンタ

DIGITAL Colorwriter LSR 2000+ プリンタは, DIGITAL Colorwriter LSR 2000 のアップグレード機種です。 DCPS ドキュメントの DIGITAL Colorwriter LSR 2000 についての記述は, DIGITAL Colorwriter LSR 2000+ プリンタについても適用されます。

19.1.1 装着されていない用紙サイズへの印刷要求

プリンタでサポートされていても,現在給紙トレイに装着されていない用紙サイズを指定した場合,プリンタは指定した用紙サイズを装着するよう要求します。別のプリンタの場合は,SIZNOTAVL エラーを表示して要求を拒否します。

19.1.2 INPUT_TRAY および PAGE_SIZE あるいは SHEET_SIZE パラメータ

Colorwriter LSR 2000 プリンタの制限により, DCPS では用紙サイズと給紙トレイの両方を指定することはできません。両方を指定しようとした場合,NOSHEETANDTRAY エラーが表示されます。いずれか一方だけであれば指定することができます。

19.1.3 ANSI トランスレータの 64 行出力の制限

Colorwriter LSR 2000 プリンタの上部マージンの最小値は 0.5 インチです。このため,A4 サイズの用紙に省略時のフォント・サイズで表示する場合に必要な 66 行よりも短い行に印刷領域を制限します。各ページの先頭行が印刷領域からはずれることを避けるために, ANSI トランスレータは通常の出力を 64 行に制限します。

(NUMBER_UP=1) あるいは (LAYUP=COLORWRITER-2000-FULL-PAGE)パラメータを指定することにより,66 行を出力することができます。これらのパラメータにより,DCPS はイメージを縮小して印刷領域に収まるようにします。

19.2 DIGITAL DECcolorwriter 1000 プリンタ

19.2.1 プリンタ固有のセットアップ・モジュール

次の表に示すセットアップ・モジュールを使用することにより,各種プリンタの属性をユーザのプリント・ジョブ用に変更することができます。

セットアップ・モジュール 説明
DCW1000_STANDARD 300 x 300 dpi,2 ppm の最速印刷
DCW1000_ENHANCED 300 x 300 dpi,ディザ拡張,1.5 ppm
DCW1000_HIGHRES 300 x 600 dpi,ディザ拡張,1 ppm
DCW1000_VIVDBLUE 紫よりも青
DCW1000_DISPLAY 写真輝度,モニタ表示のシミュレーション
DCW1000_SIMPRESS 新聞印刷シミュレーション
DCW1000_NOCORECT 色補正なし,省略時の設定

たとえば,次のコマンドでは,300 x 600 DPI で鮮明な青色を印刷します。


$ PRINT/NOTIFY/SETUP=(DCW1000_VIVDBLUE,DCW1000_HIGRES) filename

19.3 DIGITAL DEClaser 1152 プリンタ

19.3.1 AppleTalk 使用時のジョブ削除後のプリンタのハング

DEClaser 1152 プリンタに印刷中のジョブを削除した場合に,次のすべての条件が存在すると,その次のジョブがハングします。

次のジョブは印刷されず,"Printing" 状態でキューに残り,キューは "Stalled" 状態となります。この問題は,プリンタが AppleTalk 接続がレディ状態となる前に AppleTalk 接続を受け付けたためです。ハングしたジョブは一度削除した後に,再度登録しなければなりません。ジョブを削除するために,最大 90 秒かかります。

19.4 DIGITAL DEClaser 3500 プリンタ

19.4.1 プリンタ固有のセットアップ・モジュール

この項で説明されるモジュールは,DEClaser 3500 プリンタのみに適用されます。これらのモジュールは,解像度を拡張したり,トナー節約モードを有効にしたり, DECimage-Lite イメージ拡張技術のバージョンをプリンタにダウンロードするものです。

19.4.1.1 解像度の拡張用のセットアップ・モジュール

解像度の拡張用のセットアップ・モジュールは,テキストおよびグラフィックスの両方についてスムージング処理を行います。スムージングのレベルは,DARK セットアップ・モジュールで増加させ, LIGHT セットアップ・モジュールで減少させます。 DARK 設定は細い線をやや太くしますが,望ましいものでない可能性があります。プリンタの工場出荷時の設定は,medium です。

19.4.1.2 トナー節約モード用のセットアップ・モジュール

トナー節約モード用のセットアップ・モジュール DL3500_TSAVER は,すべての文字をアウトラインで印刷し,同様にグラフィックスの暗い部分もアウトラインで印刷します。この機能は文書のドラフトの印刷に有用であり,ページの解像度を medium とします。

19.4.1.3 DECimage-Lite 用のセットアップ・モジュール

DECimage-Lite 用のセットアップ・モジュールは,次の 5つの異なるコントラスト (パンチ) を提供します。

DL3500_DI_HC コントラストを 20% だけ増加させます
DL3500_DI_LC コントラストを 20% だけ減少させます
DL3500_DI_BRIGHTER 輝度を 10% だけ増加させます
DL3500_DI_DARKER 輝度を 10% だけ減少させます
DL3500_DI_FLAT グレイ・レベルの調整なしで,特別なハーフトーンを適用します。

注意:

19.4.1.4 セットアップ・モジュールの使用例

次の例は,特定のプリント・ジョブに対して暗さを強調するものです。


$  PRINT/SETUP=(DL3500_RET_DARK) filename

19.4.2 FAX オプションの使用

[SYSHLP.EXAMPLES.DCPS] にあるファイルの例を使用することにより, DEClaser 3500 プリンタで FAX メッセージを送信することができます。また,これらのファイルをドライバ開発者およびエンド・ユーザに自由に配布することも可能です。これらのファイルは,DEClaser 3500 を FAX 送信機として使用するアプリケーションを持たない OpenVMS,UNIX,DOS の各オペレーティング・システム上でも使用することができます。 Microsoft Windows 3.1 および Macintosh システムについては, FAX 送信用のドライバが利用可能であり,上記のファイルの代わりにそのドライバを使用しなければなりません。

DEClaser 3500 プリンタから FAX 送信する実際の PostScript ファイルあるいはテキスト・ファイルの前にこれらのヘッダ・ファイルを送信し,各アプリケーションに応じてヘッダ・ファイルを変更するようにします。各ファイルには多くのコメント行が含まれており,それらのファイルの編集法および使用法についての情報を含んでいます。さらに,[SYSHLP.EXAMPLES.DCPS]FAX_3500_PRINTME.PS ファイルは,ヘッダ・ファイルの使用法を説明しています。

DEClaser 3500のファックス・オプションを使用すると,すでにサポートされているPostScriptおよびテキスト・ファイルだけでなく ANSI 文書をファックス送信することができます。印字可能なASCII文字列だけで構成された文書は, SYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.DCPS]FAX_3500_PRINTME.PSに記述されている命令に従うテキスト・ファイルとして送信することができます。あるいは,次に説明するANSI文書として送信することができます。タブ,改行,その他の制御文字,ANSIエスケープ・シーケンスを含む文書は,次に示す命令を使用して送信しなければなりません。

ANSI文書をファックス送信するには,最初にOpenVMS特権ユーザがファックス受信者に関する情報を含むファックス設定モジュールを作成する必要があります。設定モジュールが作成されると, PRINT/SETUPコマンドを使用してANSI文書を受信者に送信することができます。

  1. 特定の受信者のファックス情報を含むファックス設定ファイルを作成します。ファックスをCCITT標準ファックス・マシンに送信するのか, DEClaser 3500などのPostScriptファックス・デバイスに送信するかに応じて, SYS$COMMON:[SYSHLP.EXAMPLES.DCPS]DL3500_SEND_FAX_PS.PSあるいは DL3500_SEND_FAX_PS_SENDPS.PSをテンプレートとして使用します。

  2. ユーザ独自の PostScript 装置制御ライブラリがない場合は,システム管理者に作成を依頼してください。


    $ LIBRARY /CREATE /TEXT SYS$COMMON:[SYSLIB]library_name
    


    ここで library_name は,ライブラリとして選択する名前です。

  3. システム管理者は,DCPS_LIB論理名が DCPS装置制御ライブラリ (DCPS$DEVCTL) およびユーザ独自の装置制御ライブラリの両方を示していることを確認しなければなりません。詳細については,『日本語DECprint Supervisor for OpenVMSシステム・マネージャーズ・ガイド』およびSYS$STARTUP:DCPS$STARTUP.COMコマンド・プロシージャのコメント行を参照してください。
    DCPS_LIBの定義を変更した場合,ファックス送信に使用しているDCPSキューを一度停止した後に,再度起動する必要があります。

  4. 続いて,システム管理者はファックス設定ファイルからファックス設定モジュールを作成します。


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