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OpenVMS DECwindows アプリケーションの出力先を設定します。ワークステーションを含めた任意のプロセッサ上の DECwindows アプリケーションの出力先を,任意の DECwindows ワークステーションに設定できます。出力元と出力先は,同一ネットワーク内でなければなりません。
SET DISPLAY [表示装置]
表示装置
作成または変更される,ワークステーション・ディスプレイを指す論理名を指定します。出力先を複数のワークステーション・ディスプレイに設定する場合は,各々の装置に異なる論理名を設定することができます。パラメータが省略された場合は,論理名 DECW$DISPLAY が使用されます。つまり省略時設定では, DECW$DISPLAY で参照されるワークステーション表示装置に出力されます。SHOW DISPLAY コマンドを入力することによって,関連装置,スクリーン,およびトランスポート情報と同様に,アプリケーションが表示される省略時のワークステーション・ノードを知ることができます。
また,SET DISPLAY/CREATE コマンドで装置を指定した場合には,その装置を指す論理名も SHOW DISPLAY コマンドで出力されます。
DECwindows には,ネットワーク経由でアプリケーションを実行する機能があります。 SET DISPLAY コマンドを使用すれば,次の操作を実行できます。
- ワークステーションで動作しているアプリケーションの出力を,別のワークステーションにダイレクトする。
- 遠隔プロセッサで動作しているアプリケーションの出力を,ユーザのワークステーションにダイレクトする (アプリケーションは別のプロセッサで動作していますが,ユーザのワークステーションで ローカルに 動作している他のアプリケーションと同じように見えます)。
遠隔プロセッサでアプリケーションを実行し,それをローカルのワークステーション・モニタに表示すると,ユーザは特定のコンピュータ操作に適したより大きなコンピュータを利用できるようになります。省略時の設定では,ユーザのワークステーションで動作しているアプリケーションは,ローカルのワークステーションに表示されます。DECwindows は両方のノードで使用可能でなければなりませんが,ワークステーションでなければならないのは表示ノードのみです。
SET DISPLAY コマンドは,コマンドを入力したプロセスから実行されるアプリケーションのみに影響します。つまり,あるアプリケーションをユーザのワークステーションで実行し,別のワークステーションに表示する場合でも,引き続きローカルのワークステーションの別のウィンドウに表示するために,ユーザのワークステーションでアプリケーションを実行できます。
図 DCLII-1 を参照してください。
図 DCLII-1 遠隔アプリケーションとローカル・アプリケーションの実行
アプリケーション出力を別の DECwindows ワークステーションにダイレクトするには,次の形式の SET DISPLYA コマンドを入力します。
SET DISPLAY/CREATE/NODE=表示させるワークステーション/TRANSPORT=transport_name |
/TRANSPORT 修飾子を指定しなかった場合は,論理名 DECW$SETDISPLAY_DEFAULT_TRANSPORT によって定義されている値が使用されます。この論理名も定義されていない場合には,DECNET の値が省略時の値として使用されます。
あとで表示を別のワークステーション装置にリダイレクトするには,次の形式の DCL コマンドを入力します。
SET DISPLAY/NODE=表示させるワークステーション |
省略時の設定では,ユーザのワークステーションでアプリケーションをローカルに実行できます。別のノードにログインし,アプリケーションをユーザのワークステーションで表示するようにダイレクトするには,まずそれを実行する明示的な許可が必要です。こうすれば,ネットワーク上の他のノードの無許可ユーザが,許可なく出力を他のユーザのワークステーションにダイレクトしたり,他のユーザのワークステーションの入力を受信することを防止できます。
SET DISPLAY コマンドで指定するノード名が,アプリケーションの表示を許可されたノード名と一致することを確認してください。たとえば,ユーザのノード ZEPHYR から SET DISPLAY/CREATE/NODE=HUBBUB を指定しても,DECwindows ワークステーション HUBBUB でアプリケーションを表示する許可がない場合は, HUBBUB の表示装置を使用する許可がないことが報告されます。別のワークステーション・ノードでアプリケーションを表示する方法と,DECwindows セッション・マネージャを使用して遠隔接続を許可する方法の詳細については, DECwindows のマニュアルを参照してください。
作成している装置のモードを指定するには,/EXECUTIVE_MODE,/SUPERVISOR_MODE,または /USER_MODE 修飾子のいずれかを使用します。省略時の設定は,/SUPERVISOR_MODE 修飾子です。
詳細は, SHOW DISPLAY コマンドの説明も参照してください。
/CREATE
DECwindows アプリケーションを表示するワークステーション表示装置 (WSAn:) を作成します。最初の SET DISPLAY コマンドでは必ず /CREATE 修飾子を指定しなければなりませんが,引き続いて出力先を他のワークステーションに変更する場合は,以降の SET DISPLAY コマンドでこの修飾子を指定する必要はありません。/CREATE 修飾子を /NODE 修飾子なしで指定すると,ワークステーション装置は省略時の設定で現在のノードになります。さらに,/TRANSPORT 修飾子を省略すると,トランスポートは省略時の設定で,DECW$SETDISPLAY_DEFAULT_TRANSPORT 論理名によって指定されている値 ( この論理名が定義されている場合 ),または DECNET になります。
/DELETE
論理名 DECW$DISPLAY を取り消して出力先の設定を無効にし,表示装置を削除します。SET DISPLAY/CREATE コマンドで表示装置パラメータを指定した場合は, SET DISPLAY/DELETE 表示装置コマンドで無効にできます。DECwindows セッション・マネージャは,ターミナル (DECterm)・ウィンドウ作成時に DECW$DISPLAY をジョブ論理名で定義します。SET DISPLAY/CREATE コマンドで出力先を他のワークステーションに変えると,プロセス論理名で DECW$DISPLAY が定義されます。これはジョブ論理名に優先します。つまり, SET DISPLAY/CREATE を実行したプロセスで実行するアプリケーションの出力は,プロセス論理名 DEC$DISPLAY で参照されるワークステーションに出力されます。アプリケーションの出力がどこへ出力されるかは,SHOW DISPLAY コマンドで分かります。DECW$DISPLAY がどのように定義されているかは,SHOW LOGICAL DECW$DISPLAY コマンドで確認できます。
SET DISPLAY/DELETE コマンド実行後も DECW$DISPLAY がまだ定義されている (たとえば,ジョブ論理名にある)場合は,プロセスで実行する DECwindows アプリケーションの出力は,そのワークステーション装置に表示されます。どのノードに出力されているか調べたい場合には,SHOW DISLAY コマンドを使用してください。
警告
ジョブ論理名の DECW$DISPLAY が変更/削除されると,他のセッションを開始できなくなります。SET DISPLAY/CREATE コマンドを実行していないにもかかわらず, SET DISPLAY/DELETE コマンドを実行することがないようにしてください。
/DELETE と /CREATE 修飾子とは同時に指定できません。
/EXECUTIVE_MODE
エグゼクティブ・モードの装置を作成し,それを指すように論理名 DECW$DISPLAY を定義します。必ず,/CREATE とともに使用します。/EXECUTIVE_MODE 修飾子付きで作成された装置は,以下の場合にのみ削除されます。
- /DELETE を指定して明示的に削除された場合
- システムを再ブートした場合
EXECUTIVE モードの装置を変更または削除するには,SYSNAM ( システム論理名 ) 特権が必要です。
/NODE=ワークステーション・ディスプレイ
DECwindows アプリケーションの出力先にするワークステーションのノード名を指定します。クラスタの別名 (OpenVMS Cluster を構成する複数のノードに対して付けられた代表名 ) は,指定できません。出力先を変更するためには,前もって SET DISPLAY/CREATE コマンドを使用して表示装置を作成しておかなければなりません。 SET DISPLAY/CREATE コマンドを実行せずに, SET DISPLAY/NODE=ワークステーション・ディスプレイ コマンドを使用しないでくだい。
/NODE 修飾子を指定せずに /CREATE 修飾子を指定した場合,ワークステーションは現在のノードになります。
指定するワークステーション上で,ユーザの DECwindows アプリケーションの出力が許可されていなければなりません。DECwindows セッション・マネージャを使用して他のノードからの出力を許可する方法についての詳細は, DECwindows のマニュアルを参照してください。
出力先と出力元の両ノードが,お互いのネットワーク・ノード・データベースで定義されていなければなりません。たとえば,ノード ZEPHYR から HUBBUB へ出力しようとする場合, HUBBUB のネットワーク・ノード・データベースには ZEPHYR が, ZEPHYR のネットワーク・ノード・データベースには HUBBUB が,それぞれ定義されていなければなりません。さらに,ZEPHYR のユーザは, HUBBUB の DECwindows セッション・マネジャにアプリケーションの出力を許可されていなければなりません。ネットワーク・ノード・データベースへのノード登録方法は,『DECnet for OpenVMS Networking Manual』および 『DECnet for OpenVMS Network Management Utilities』 マニュアルを参照してください。これらのマニュアルはドキュメンテーション CD-ROM に用意されています。
/SCREEN=スクリーン番号
表示装置に対応づけられるスクリーンを定義します。ハードウェア構成によっては複数のスクリーンをサポートしています。このような場合に,出力が表示されるスクリーンを指定します。/SERVER=サーバ番号
SET DEVICE コマンドの表示装置パラメータで指定した,表示装置に対応づけられるサーバを定義します。サーバは,トランスポート・メカニズムを用いてユーザとアプリケーション間のデータ転送を行います。ハードウェア構成によっては複数のサーバをサポートしています。この様な場合に,出力が表示されるサーバを指定します。表示装置をコマンド・パラメータで指定しなかった場合,論理名 DECW$DISPLAY の示す表示装置とサーバを対応づけます。/SUPERVISOR_MODE (省略時の設定)
スーパーバイザ・モードの装置を作成し,それを指すように論理名 DECW$DISPLAY を定義します。必ず,/CREATE とともに使用します。ログアウト時に,装置は削除されます。/TRANSPORT=トランスポート名
DECwindows アプリケーションとワークステーション間で情報転送を行うメカニズム (DECnet または LOCAL) を指定します。トランスポート・メカニズムは,ユーザからのアプリケーションへの入力,およびアプリケーションからディスプレイ装置への出力の転送方法です。トランスポート名 は次の値のうちの 1 つになります。
- TCPIP または DECNET
異なるノード上で実行,表示されるアプリケーションに割り当てる適切なネットワーク・トランスポートを指定します。ジョブ,プロセス,またはシステム・テーブルの中で DECW$SETDISPLAY_DEFAULT_TRANSPORT 論理名を定義することで,SET DISPLAY/CREATE コマンドで使用される省略時のトランスポート値を指定することができます。その後,この論理名の値は, SET DISPLAY/CREATE コマンドを /TRANSPORT 修飾子なしで実行するたびに使用されるようになります。修飾子も論理名も指定しなければ,値 DECNET が省略時の値として使用されます。
- LOCAL
同じノード上で実行,表示されるアプリケーションの性能を最適化します。
/USER_MODE
ユーザモードの装置を作成し,それを指すように論理名 DECW$DISPLAY を定義します。必ず,/CREATE 修飾子とともに使用します。ユーザ・モード装置は, 1 つの DECwindows イメージだけで使用できます。つまり,ユーザモード装置は, DECwindows イメージ終了時に削除されます。
#1 |
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$ SHOW DISPLAY Device: WSA1: [super] Node: 0 Transport: LOCAL Server: 0 Screen: 0 $ SET DISPLAY/CREATE/NODE=ZEPHYR/EXECUTIVE_MODE $ SHOW DISPLAY Device: WSA2: [exec] Node: ZEPHYR Transport: DECNET Server: 0 Screen: 0 $ SPAWN/NOWAIT/INPUT=NL: RUN SYS$SYSTEM:DECW$CLOCK $ SET DISPLAY/DELETE $ SHOW DISPLAY Device: WSA1: [super] Node: 0 Transport: LOCAL Server: 0 Screen: 0 |
この例では,ユーザはワークステーション ( 装置 WSA1:) にログインしています。 ( これは 0 によりわかります。0 は自ノードを参照する標準略記です。) その後 DECwindows Clock を起動して,その出力を他のワークステーション ZEPHYR に表示しようとしています。ZEPHYR での表示が許可されているので,SET DISPLAY コマンドで ZEPHYR に出力先を変更できます。ZEPHYR 上に作成された装置は,エグゼクティブ・モード装置です。また,SHOW DISPLAY コマンドで,出力先を確認しています。そして Clock を起動します。Clock を終了した後,SET DISPLAY/DELETE コマンドで出力先の設定を無効にしています。最後に,SHOW DISPLAY コマンドで,その後に実行するアプリケーションが再びその実行ノードに表示されることを確認しています。
SET DISPLAY/CREATE コマンドにより,新しいワークステーション表示装置 WSA2 が作成されます。SET DISPLAY/DELETE コマンドでこれを無効にした時に, DECwindows アプリケーションの出力は再び元の装置 WSA1 に戻ることに注意してください。
#2 |
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$ SET DISPLAY/CREATE/NODE=FLOPSY RABBIT $ SHOW DISPLAY RABBIT Device: WSA2: [super] Node: FLOPSY Transport: DECNET Server: 0 Screen: 0 $ RUN/DETACHED/OUTPUT=WSA2: SYS$SYSTEM:DECW$CLOCK $ SET DISPLAY/CREATE/NODE=ZEPHYR ZNODE $ SHOW DISPLAY ZNODE Device: WSA3: [super] Node: ZEPHYR Transport: DECNET Server: 0 Screen: 0 $ RUN/DETACHED/OUTPUT=WSA3: SYS$SYSTEM:DECW$CALENDAR $ RUN SYS$SYSTEM:DECW$BOOKREADER $ SHOW DISPLAY Device: WSA1: [super] Node: 0 Transport: LOCAL Server: 0 Screen: 0 |
この例では,ログイン ( 装置 WSA1:) 後,同一セッション内でいくつかのワークステーション・ディスプレイへ DECwindows アプリケーションの出力を設定しています。SET DISPLAY コマンドで異なる論理名を指定しているため, DECW$DISPLAY の論理名定義を変更せずに出力先を設定できます。このようにすれば,特定のアプリケーションだけ他のワークステーションに表示するようにできます。また自ノード上でアプリケーションの実行および表示を続けることもできます。この例では,Clock がノード FLOPSY で,Calendar がノード ZEPHYR で,そして Bookreader が自ノードでそれぞれ表示されます。DCL コマンド RUN/DETACHED でアプリケーションを起動するには, SET DISPLAY コマンドで指定した論理表示装置名と同じ装置名を指定しなければなりません。この装置名は SHOW DISPLAY コマンドで確認できます。
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