Compaq OpenVMS Alpha
V7.3-1 リリース・ノート【翻訳版】


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第 3 章
ユーザのための全般的なリリース・ノート

この章では,OpenVMS オペレーティング・システムのすべてのユーザのための情報をまとめます。一般に使用するコマンドとユーティリティに関する情報が含まれています。

オペレーティング・システムのこのバージョンで提供される新機能については,『OpenVMS Alpha V 7.3-1 新機能説明書』を参照してください。

3.1 SYS$PARSE エラーのレポート---変更

V7.3-1

SYS$PARSE サービス(NAM[L]$V_SYNCHK が設定されている場合は除く)でディレクトリにアクセスします。Version 7.3-1 よりも前のバージョンでは,最下位レベルのディレクトリにアクセスできなかった場合エラーは返されませんでした。Version 7.3-1 では,どのレベルのディレクトリについても,アクセスできなかった場合は RMS$_PRV などのエラーが返されます。

3.2 Compaq Secure Web Browser に必要なメモリの増加(Mozilla ベース)

V7.3-1

OpenVMS ワークステーションで Compaq Secure Web Browser(CSWB)を使用する場合は,128 MB 以上のメモリが必要です。処理を安定させるために,256 MB のメモリをお勧めします。

3.3『OpenVMS Connectivity Developer Guide(コネクティビティ開発者ガイド)』のタイトル変更

V7.3-1

OpenVMS Version 7.3-1 のフル・ドキュメンテーション・キットには,新しい印刷物のマニュアル『COM, Registry, and Events for OpenVMS Developer's Guide』が含まれています。

このマニュアルの以前のタイトルは『OpenVMS Connectivity Developer Guide(翻訳版は「OpenVMS コネクティビティ開発者ガイド」)』でした。このマニュアルは,COM for OpenVMS キットと COM for OpenVMS の web サイトで入手できます。


    http://www.openvms.compaq.com/openvms/products/dcom/index.html    

3.4 AlphaServer GS シリーズ・システム

ここでは,AlphaServer GS シリーズ・システムのユーザに対する情報をまとめます。

3.4.1 サポートされる AlphaServer GS シリーズ・システム

V7.3-1

OpenVMS Version 7.2-2 またはそれ以降では,Compaq AlphaServer GS80,GS160,および GS320 システムをサポートしています。このサポートの内容は,次のとおりです。

ハード・パーティション,OpenVMS Galaxy,または新しい AlphaServer GS シリーズ・システムで OpenVMS の負荷を管理するための OpenVMS RAD 機能の詳細については,『OpenVMS Alpha パーティショニングおよび Galaxy ガイド』を参照してください。

3.4.2 ハード・パーティションとソフト・パーティションのライセンス---修正済み

V7.3-1

ハード・パーティションやソフト・パーティションおよび共有のライセンス・データベース(LDB)を持つ一部の OpenVMS Alpha Version 7.2-1H1/Version 7.3 GS80/160/320 AlphaServer システムでは,OpenVMS インスタンス間でライセンス・ユニットを共有するために非共有ライセンス PAK を変更すると,すべてのパーティションが起動されない場合ことがあります。

OpenVMS Version 7.3-1 と OpenVMS Version 7.2-2 では,この問題は起こりません。この 2 つのバージョンのいずれかを実行している場合は,第 3.4.4 項 に進んでください。

次のパッチ・キットを使用すると,この問題を修正できます。

これらのキットをインストールする前に,次の手順を実行してください。

  1. 回避方法をインストールしている場合は,その回避方法を削除します(第 3.4.3 項 を参照)

  2. ライセンスを適切にインストールします( 第 3.4.4 項 を参照)。

3.4.3 回避方法の使用停止

V7.3-1

ハード・パーティションとソフト・パーティションでの共通ライセンス・データベースの使用に問題がある OpenVMS では,次のような症状が現れます。

共通ライセンス・データベースで非共有ライセンス PAK を使用してハード・パーティションとソフト・パーティション上の OpenVMS インスタンス間でライセンス・ユニットを共有する場合の制限を回避するために,次の 2 つの方法のうち,いずれかを実行することをお勧めしていました。

これらのいずれかの回避方法を使用した場合は,アップグレード・キットをインストールする前にそれらの回避方法の使用を止める必要があります。

個々のライセンス・データベースを設定している場合

個々のライセンス・データベースを設定している場合は,このキットをインストールする前に,共通ライセンスを作成する必要があります。共通ライセンス・データベースの設定方法については,『OpenVMS License Management Utility Manual』を参照してください。

一時的な PAK をインストールしている場合

共通ライセンス・データベースに一時的な PAK をインストールした場合は,次のライセンスに対して,一時的な PAK を無効にします。

OPENVMS-ALPHA
OPENVMS-ALPHA-USER
OPENVMS-ALPHA-ADL

システムにインストールされている一時的な PAK のリストを参照する場合は,次のコマンドを入力します。


$ LICENSE LIST /FULL /BEFORE /TERMINATION_DATE="-120-" - 
_$ OPENVMS-ALPHA, OPENVMS-ALPHA-USER, OPENVMS-ALPHA-ADL 

このコマンドを実行すると,指定した 3 つのライセンスに対して,次のいずれかの条件を満たすライセンスが表示されます。

LICENSE DISABLE コマンドを使用して,上記にリストした一時的な各 PAK を無効にします。たとえば,次のように入力します。


$ LICENSE DISABLE OPENVMS-ALPHA /AUTHORIZATION=authorization-value 

authorization-value は,ライセンスを識別する値です。この値は,一時的な PAK を検索するために使用した LICENSE LIST コマンドを実行すると表示されます。

3.4.4 ライセンスのインストール

V7.3-1

Version 7.3-1 にアップグレードする前に,次の手順を実行して,共通ライセンス・データベースが,ハード・パーティションとソフト・パーティション間でライセンス・ユニットを共有できるようにします。

  1. 必要なユニット数を計算します。

    注意

    OpenVMS 基本ライセンスでは,パーティションではなく物理システムごとに,1 人の操作ユーザのみを割り当てることができます。ただし,各パーティションの OPA0: からいつでもログインできます。操作ユーザを追加する場合は,追加のライセンス・ユニットが必要です。必要なライセンス・ユニット数については,弊社の代理店にお問い合わせください。

  2. 共通ライセンス・データベースにライセンスを追加します。たとえば,次のように入力します。


    $ LICENSE REGISTER license-name /ISSUER=DEC - 
    _$ /AUTHORIZATION=USA123456 - 
    _$ /PRODUCER=DEC - 
    _$ /UNITS=1050 - 
    _$ /AVAILABLITY=H - 
    _$ /OPTIONS=(NO_SHARE)- 
    _$ /CHECKSUM=2-BGON-IAMA-GNOL-AIKO 
    

    LICENSE REGISTER コマンドで /INCLUDE 修飾子を使用して,ライセンスの NO_SHARE 属性を変更することはできません。

  3. ライセンスを編集して,LICENSE REGISTER /INCLUDE=(node-name-list)コマンドで PAK の NO_SHARE 属性を変更します。たとえば,次のように入力します。


    $ LICENSE MODIFY OPENVMS-ALPHA /INCLUDE=(NODEA, NODEB, NODEC)
    

  4. 各パーティションで実行している OpenVMS のインスタンスで OpenVMS Alpha のライセンス・ユニットを利用できるようにするために,SRM 環境変数 SYS_SERIAL_NUM が各パーティションで同じであるか確認します。確認するには,次の手順を実行します。

    1. 各パーティションのマスタ・コンソール(通常はコンソール・ライン 0)で,SHOW SYS_SERIAL_NUM コマンドを使用して,システムのシリアル番号を表示します。たとえば,次のように入力します。


      $ ^P 
      halted CPU 0 
      halt code=1 
      operator initiated halt 
      PC = ffffffff9c0a0aa8 
      P00>>>SHOW SYS_SERIAL_NUM 
      sys_serial_num G2A105 
      

      SYS_SERIAL_NUM の値がブランクの場合は,他の各パーティションのマスタ・コンソールで SHOW SYS_SERIAL_NUM コマンドを使用して,ブランクでないシステム・シリアル番号がないかチェックします。

      注意

      すべてのパーティション・コンソールに SYS_SERIAL_NUM の値がブランクで表示される場合は,0 以外の値を 16 文字以内で作成してください。作成するシステム・シリアル番号が,同じ OpenVMS Cluster の他の AlphaServer GS80/160/320 で使用されていないことを確認してください。

    2. システムのシリアル番号が決まったら,各パーティションのマスタ・コンソールで SET SYS_SERIAL_NUM コマンドを使用して,SYS_SERIAL_NUM の値を適切な値に変更します。たとえば,次のように変更します。


      $ ^P 
      halted CPU 0 
      halt code=1 
      operator initiated halt 
      PC = ffffffff9c0a0aa8 
      P00>>>SET SYS_SERIAL_NUM G2A105 
      

      この手順は,すべてのハード・パーティションとソフト・パーティションで実行する必要があります。

  5. OpenVMS Cluster ライセンス・データベースを正しく更新するために,すべての OpenVMS Cluster 共通ノードをシャットダウンしてからリブートすることをお勧めします。ローリング・アップグレード・タイプのブートでは,共通ライセンス・データベースは適切に更新されません。

注意

システムが,共通ライセンス・データベースを共有する OpenVMS Cluster の一部である場合,AlphaServer GS80/160/320 のハード・パーティションとソフト・パーティションの数を再構成する際には,必ずすべてのパーティションの SYS_SERIAL_NUM を同じ値にしてください。

パーティション間で NO_SHARE ライセンスを共有しているパーティション化可能なマシンでは,システムのブート時に次のエラー・テキストが表示される場合があります。


%LICENSE-E-NOAUTH, DEC OPENVMS-ALPHA use is not authorized on this node 
-LICENSE-F-EXCEEDED, attempted usage exceeds active license limits 
-LICENSE-I-SYSMGR, please see your system manager 
Startup processing continuing... 

このエラー・テキストは無視して構いません。このテキストは,OPENVMS-ALPHA PAK を共有しているシステムにユーザがログインして,使用中になった場合に表示されます。この問題は今後のリリースで修正される予定です。

3.4.5 OpenVMS Galaxy ライセンスの実行

V7.3

OpenVMS Galaxy のコンピューティング環境では,システム・スタートアップ時やインスタンス間での CPU の再割り当てが発生するつど,OPENVMS-GALAXY ライセンス・ユニットがチェックされます。

CPU を起動しようとした時に,それをサポートするには,十分な OPENVMS-GALAXY ライセンス・ユニットがないと,CPU はインスタンスの設定されたセットの中に引き続き残りますが,動作は停止します。その後,適切なライセンス・ユニットをロードすれば,停止している CPU を,システムの実行中に起動することができます。これは,CPU が単独の場合でも,複数の場合でも同じです。

3.4.6 AlphaServer GS80/160/320 システムのデバイスに関する制限事項

V7.3

OpenVMS Alpha Version 7.3 またはそれ以降では,1 つのパーティションあたり,従来型のバス・アダプタ上にあるデバイスのセットが 1 つだけ設定され,サポートされます。このようなデバイスは,次のとおりです。

従来型のバス・アダプタが複数ある場合には,コンソール・ポートを含むアダプタだけが設定され,サポートされます。

3.4.7 AlphaServer GS140 のブート

V7.3-1

Fibre Channel HSG80 システム・ディスクで Alpha Firmware Version 5.7 を使用して AlphaServer GS140 システムをブートすると,システムが自動的にブートするよう設定されている場合には,このシステムはリブートに失敗します。次のコマンドを入力すると,システムが自動的にブートするよう設定されているかどうかが表示されます。


SHOW AUTO_ACTION 

次の方法で対処することをお勧めします。

電源スイッチを切ってすぐに入れ直す操作,または INIT によるブート起動に失敗した後,コンソールから BOOT コマンドを入力し,Return キーを押します。

OpenVMS はシャットダウンされ,リブート・コマンドが期待どおり実行されます。

Alpha Firmware Version 6.2 と OpenVMS Alpha Version 7.3-1 を使用することをお勧めします(第 1.4 節 を参照)。ただし,この問題は,Version 6.2 でも発生する可能性があります。

3.4.8 Galaxy の単一インスタンスは ES45 AlphaServer でサポートされない

V7.3-1

『OpenVMS Alpha パーティショニングおよび Galaxy ガイド』には,Alpha システムは,単一インスタンスの Galaxy として使用できると記載されています。この機能は,ES45 AlphaServer ではサポートされていません。

ES45 AlphaServer で単一インスタンスの Galaxy を作成しようとすると,すべての CPU を示す GCU の通常の表示の他に,このインスタンスが Galaxy でないことを示すメッセージが表示されます。ES45 は特殊なケースであるため,Galaxy インスタンスを作成するかどうかは尋ねられません。ES45 には構成ツリーがすでに存在するため,GCU では構成ツリーは作成されません。

この問題は今後のリリースで修正される予定です。

3.5 AlphaServer DS25 での OpenVMS Alpha のオンボード Gigabit Ethernet ブートのサポート

V7.3-1

オンボード 10/100/1000 イーサネット・ポートを使用した,OpenVMS Alpha Gigabit Ethernet ブートのサポート(保守操作プロトコルのブート)は,AlphaServer DS25 の初期のリリースではサポートされていません。サポートは修正キットで提供される予定です。Gigabit Ethernet ブートのサポートがクラスタへのブートに必要な場合は,オンボード 10/100 イーサネット・ポートを使用してください。

3.6 分散割り込み

V7.3-1

AlphaServer 4100 シリーズのプロセッサでは,分散割り込み機能がサポートされません。分散割り込み機能は,AlphaServer GS Series システムと DS20,ES40,および ES45 システムでのみ機能します。これらのシステムには,分散割り込み機能に必要なハードウェアが搭載されています。

3.7 IDE コントローラを使用する Personal Workstation での OpenVMS V7.3-1 のブート

V7.3-1

Compaq Personal Workstation 433au,500au,または 600au シリーズのシステムで Cypress PCI Peripheral Controller コントローラ・チップを使用している場合は,OpenVMS Version 7.3-1 を IDE CD-ROM からブートできます。Compaq Personal Workstation au シリーズのシステムで Intel Saturn I/O(SIO)82378 コントローラ・チップを使用している場合は,OpenVMS Version 7.3-1 を IDE CD-ROM からブートすることはできません。Intel SIO チップが存在する場合は,SCSI CD-ROM を使用します。

システム構成で使用している IDE チップの種類を確認するには,次の SRM コンソール・コマンドを入力します。


SHOW CONFIGURATION 

Cypress PCI Peripheral Controllerと表示された場合は,OpenVMS をブートできます。

Intel SIO 82378と表示された場合は,SCSI CD-ROM からブートする必要があります。

3.8 OpenVMS Freeware CD-ROM

V7.3-1

OpenVMS Version 7.3-1 CD-ROM キットには,OpenVMS Freeware Version 5.0 CD-ROM が付属しています。Freeware CD-ROM には,アプリケーションを作成し,OpenVMS システムを管理するためのフリー・ソフトウェア・ツールとユーティリティが収録されています。

Freeware CD-ROM をマウントするには,CD-ROM を CD-ROM ドライブに挿入し,マウントするフリーウェア・ボリュームに合わせて次のコマンドを入力します。フリーウェアの詳細については,FREEWARE_README.TXT ファイルを参照してください。

Freeware CD-ROM 1


$ MOUNT ddcu:FREEWARE50_1 
$ TYPE DISK$FREEWARE50_1:[000000]$FREEWARE_README.TXT 

Freeware CD-ROM 2


$ MOUNT ddcu:FREEWARE50_2 
$ TYPE DISK$FREEWARE50_2:[000000]$FREEWARE_README.TXT 

このコマンドでは,ddcuu が,システムのCD-ROM デバイスのユニット番号になります。システムで使用している CD-ROM ドライブの名前がわからない場合は,次のコマンドを使用します。


$ PIPE SHOW DEV DK/FULL | SEARCH SYS$INPUT RRD 

適切な CD-ROM ディスクをマウントしたら,次のコマンドを使用して,メニューを表示します。


$ @DISK$FREEWARE:[FREEWARE]FREEWARE_MENU 


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