Compaq OpenVMS Alpha
V7.3-1 リリース・ノート【翻訳版】


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第 4 章
システム管理に関するリリース・ノート

この章では,システムの保守と管理,性能の管理,ネットワーキングに関連する情報をまとめます。

このバージョンで提供される新機能の詳細については,『OpenVMS Alpha V 7.3-1 新機能説明書』を参照してください。

4.1 拡張ファイル・キャッシュ(XFC)

V7.3-1

Version 7.3 で XFC を無効にする原因となった問題は,Version 7.3-1 で解決されました。データの破損とシステムのハングを引き起こす問題は修正され,同時に XFC の性能も向上しました。XFC を有効にすることをお勧めします。

XFC が割り当てるメモリの最小容量が約 0.25MB から 3.2MB へ拡張されました。3.2MB は VIOC のデフォルト値と同じです。

OpenVMS Version 7.3 の XFC キットは間もなくリリースされます。このキットには,OpenVMS Version 7.3-1 に組み込まれている XFC のすべての修正が含まれる予定です。

OpenVMS Alpha または OpenVMS VAX の以前のバージョンを含む OpenVMS Cluster システムを使用し,OpenVMS Version 7.3 またはそれ以降で XFC を使用したい場合は,OpenVMS の以前のバージョンを実行しているシステムに,修正キットをインストールする必要があります。必要なキットについては,第 4.22.8 項 を参照してください。

警告

これらの修正キットでは,XFC の前身である VIOC のキャッシュ・ロック・プロトコルのエラーが修正され,古いバージョンのキャッシュを新しい XFC で安全に操作することができます。修正キットの機能を使用しないと,システムまたはプロセスがハングする場合があります。

4.2 必要な Compaq X.25 Version 1.6 へのアップグレード

V7.3-1

Compaq X.25 for OpenVMS Alpha システム・ソフトウェアを使用している場合は,OpenVMS 7.3-1 にアップグレードする前に X.25 のバージョン 1.6 にアップグレードする必要があります。アップグレードしないと,7.3-1 のシステムは,ブート中に SPLINVIPL バグ・チェックでクラッシュします。

4.3 BACKUP ユーティリティ---/[NO]ALIAS 修飾子の制限事項

V7.3-1

BACKUP/IMAGE コマンドでは,/ALIAS または /NOALIAS 修飾子を使用しないことをお勧めします。現在のデフォルトの動作は,ほとんどすべての場合において問題ありません。OpenVMS Version 6.2 以前の非常に古いセーブセットから復元する場合に限り,/ALIAS 修飾子が役立つことがあります。

Version 7.3-1 の『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル(上巻)』に記載されている,/ALIAS を使用した BACKUP/IMAGE に関する警告は誤りで,このマニュアルの次の更新時に修正される予定です。

BACKUP/IMAGE コマンドでの /[NO]ALIAS 修飾子の使用については,弊社のサポート担当者にお問い合わせください。

4.4 CDRECORD.COM の制限事項

V7.3-1

新しい CDRECORD.COM プログラムを使用して CD-R ディスクに書き込みを行う場合には,いくつかの制限事項があります。以降の節では,それらの制限事項を 1 つずつ説明し,回避方法がある場合はそれも示します。Open Source Tools for OpenVMS CD-ROM には,第 4.4.3 項第 4.4.4 項 の制限が解消された修正版 CDRECORD.COM が収録されています。

『OpenVMS システム管理者マニュアル』には,CDRECORD ソースと適用可能な GNU Public License が Compaq OpenVMS Freeware の web ページで入手可能という記述がありますが,これは間違いです。OpenVMS CDRECORD ソースは,現在,Open Source Tools CD でのみ利用できます。この CD は OpenVMS Version 7.3-1 キットに付属しています。

4.4.1 ターゲットの CD-R ディスクを初期化できない

CDRECORD.COM を使用して CD-R ディスクに書き込みを行わない限り,CD-R ディスクは初期化できません。初期化されていない CD-R ディスクをマウントしようとすると,次のエラー・メッセージが表示されます。


$  MOUNT/OVERRIDE=ID  DQA0 
%MOUNT-I-OPRQST, volume is not software enabled 

4.4.2 CDRECORD.COM はローカル・ドライブでのみサポートされる

CD-R ディスクへの書き込みは,ローカル・ドライブでのみサポートされます。ただし,ローカル以外の CD-R または CD-RW ドライブに書き込みをしようとしても,エラーは報告されません。書き込み操作は実行できる場合と,実行できない場合があります。

4.4.3 クラスタ・システムのデバイス名の指定に関する問題

CDRECORD.COM では,デバイス名に割り当てクラス(またはノード名)を使用できません。OpenVMS Cluster システムでは,割り当てクラスを含むデバイス名を指定すると,プログラムによって,指定したデバイス名と一致するローカル・ドライブが選択されます。ただし,割り当てクラスを含めずにデバイス名を指定すると,プログラムの実行中に,クラスタ内で一致するすべてのデバイスが割り当てられます。この問題を回避するには,ターゲットのデバイスで,次のように論理名を定義してください。

ノード名を含むデバイス名を指定する場合は,次の形式の DEFINE コマンドを使用してください。


$ DEFINE DQcu NODE$DQcu 

割り当てクラスを含むデバイス名を指定する場合は,次の形式の DEFINE コマンドを使用してください。


$ DEFINE DQcu $2$DQcu 

どちらの場合も,c はコントローラ ID ,u はユニット番号を表します。たとえば,次のようになります。


$ DEFINE DQA0 $2$DQA0 

CDRECORD.COM では,ターゲットの CD-R ドライブの場合は DQ デバイス・タイプ,論理ドライブの場合は LD デバイス・タイプとみなされます。

4.4.4 書き込み速度とプロセスの優先順位の指定に関する問題

CDRECORD コマンド行で書き込み速度またはプロセスの優先順位を指定する場合に問題が発生します。回避方法は 2 つあります。CDRECORD のプロンプトを表示して,これらのパラメータを指定できるようにするか,次のようにしてシンボルを定義します。

CDRECORD WRITE コマンドの構文は次のとおりです。


$  @SYS$MANAGER:CDRECORD WRITE filename LDAn: DQnn: laser speed priority 

priority に 0 以外を指定すると,書き込み操作の後に優先順位をリセットするかどうかの確認が行われます。

speed または priority のデフォルト値を変更するには,最初にそれらの値をシンボルとして定義する必要があります。また,書き込み操作の後に元の優先順位に再設定する場合は,元の優先順位の値を指定する必要もあります。たとえば,次のように指定します。


$ SPEED = 66 
$ PRIORITY = 5 
$ CUR_PRIORITY = F$GETJPI("","PRI")
$ @SYS$MANAGER:CDRECORD WRITE SMALL.DSK LDA6 DQA0 0 66 5 

4.5 Compaq Graphical Configuration Manager(GCM)

V7.3-1

ここでは,Compaq OpenVMS Graphical Configuration Manager(GCM)に関するリリース・ノートをまとめます。

注意

GCM は頻繁に更新されます。新しいバージョンに更新されていないか,定期的に次の web サイトをチェックしてくだい。


    http://www.openvms.compaq.com/openvms/     

4.5.1 Java JRE と OpenVMS パッチ・キット

V7.3-1

Compaq OpenVMS Graphical Configuration Manager クライアント・インストール・キットでは,Java JRE Version 1.2.2-3 と Fast VM Version 1.2.2-1 の独自のコピーがインストールされ,インストールされている Java が正しいバージョンかどうか確認されます。インストールを実行する前に,あらかじめ必要なすべての OpenVMS パッチ・キットがインストールされているか確認する必要があります。あらかじめ必要なパッチ・キットのリストについては,次の web サイトを参照してください。


    http://www.compaq.com/java/download/jdk_ovms/vmspatches.html    

4.5.2 TCP/IP アドレスの解決に必要な DNS ネーム・サーバ

V7.3-1

TCP/IP アドレスを解決するためには,GCM サーバに,ネットワーク上で機能する DNS ネーム・サーバが必要です。ネットワーク上に DNS ネーム・サーバが存在しない場合,GCM サーバは,エラーを返す前に長時間ハングしたように見えます。

このエラーを防ぐためには,システムのローカル・ホスト・データベースでアドレスを定義します。

4.5.3 シャットダウン・シーケンス

V7.3-1

システム・シャットダウン・コマンドの対象として複数のインスタンスを選択すると,GCM は,他のすべてのインスタンスにシャットダウン・コマンドが送られる前に,コマンドを実行しているクライアントをホストするインスタンスをシャットダウンする場合があります。この問題を回避するには,別の後続のコマンドを使用して,クライアントをホストするインスタンスをシャットダウンしてください。

この問題は,今後のリリースで修正される予定です。

4.5.4 システム・レコードの再構築

V7.3-1

管理権限を持つユーザが,システム・レコードを追加または削除して,アクティブな連係システム集合の既存のシステム・レコードを変更すると,連係しているサーバのリストが,アクティブな連係システム集合とは異なるリストになることがあり,この結果,アクティブな連係システム集合を保持できなくなります。この問題を回避するには,システム・レコードを追加,削除,または変更した後に,その連係システム集合のすべてのサーバを再起動する必要があります。

この問題は,今後のリリースで修正される予定です。

4.5.5 保存されたモデルにすべての連係システムが含まれない

V7.3-1

Save Model および Load Model 機能は,クライアント・セッションをホストするシステムの CPU 割り当てにのみ適用され,連係システム集合のすべてのシステムを含みません。

この問題は,今後のリリースで修正される予定です。

4.5.6 クラスタ化されていないソフト・パーティションの属性にアクセスできない

V7.3-1

ソフト・パーティションがクラスタ化されていない場合,一部のインスタンス・パラメータ(Operating System Version,Galaxy Membership State,Galaxy Member Join Time など)が使用できなくなります。

この問題は,今後のリリースで修正される予定です。

4.5.7 OpenVMS GCM クライアントでの見かけ上のハング

V7.3-1

存在しないサーバの検出を試み,「GCM Window」または「Discovery」ダイアログ・ボックスのどこかをクリックすると,OpenVMS Graphical Configuration Manager(GCM)クライアントがハングしたような状態になります。GCM クライアントは,「Discovery」ダイアログ・ボックスのいずれかの場所をクリックするとハングしたようになりビープ音を発生します。この現象は,接続が確立していないことを示すエラー・メッセージが GCM クライアント・ウィンドウの背後に隠れていることが原因で発生します。

このエラー・メッセージを表示するには,GCM クライアント・ウィンドウでAlt キーを押しながら F3 キーを押します。次に,「 OK 」をクリックして,エラー・メッセージを閉じます。

この問題は,今後のリリースで修正される予定です。

4.5.8 Windows Client Java の制限事項

V7.3-1

Microsoft Windows GCM クライアントは,Java Version 1.2.2 〜 Version 1.3 を使用するシステムにのみインストールされます。

4.5.9 マルチモニタはサポートされない

V7.3-1

Graphical Configuration Manager Version 1.0 では,Microsoft Windows 2000 のマルチモニタ構成がサポートされていません。これは,マルチモニタ・サポートには Java Version 1.3 またはそれ以降が必要ですが,Graphical Configuration Manager では Java Version 1.2.2 を使用していることが原因です。Graphical Configuration Manager の今後のバージョンではこの制限を無くす予定です。

4.5.10 インストール・ディレクトリでの OpenVMS Client の起動

V7.3-1

OpenVMS Graphical Configuration Manager クライアントは,このクライントをインストールしたディレクトリから起動する必要があります。クライアントを起動する場合は,常にこのディレクトリから起動してください。これによって,クライアント内で設定したプリファレンスがすべて,セッション間で継承されます。

4.5.11 OpenVMS のブラウザの位置を表すために必要な設定

V7.3-1

「File」メニューの「Open Library」機能を使用して,アクティブなインスタンスからドキュメントを表示するには,ブラウザをクライアント・システムにインストールする必要があります。OpenVMS では,インストールされたクライアント・ディレクトリ SYS$COMMON:[GCM_CLIENT] のファイル GCM_BROWSER.COM を編集して,ブラウザの論理名に,ブラウザを起動するのに必要な完全修飾パスと実行可能イメージの名前を割り当てる必要があります。たとえば,次のように割り当てます。


 BROWSER := SYS$COMMON:[NETSCAPE.ALPHA]NETSCAPE-JAVA.EXE 

4.5.12 Windows Client で正しく表示されない OpenVMS ファイル

V7.3-1

特定のタイプの OpenVMS ファイルは,Microsoft Windows Client に正しく表示されない場合があります。これは,そのファイル・タイプを処理するために使用する Windows のデフォルトのアプリケーションが原因です。.COM,.LOG および .TXT ファイルを「Edit Admin Database」の「Library」タブに追加するときに,「Process As」プロパティを「DEFAULT」ではなく「TEXT」に設定します。また,.TXT ファイルを表示するデフォルトのアプリケーションをメモ帳からワードパッドに変更します。ワードパッドを使用すると,.TXT ファイルや .LOG ファイルで改行が適切に処理され,.COM ファイルは実行可能ファイルではなく表示可能ファイルとみなされます。

4.6 CI と LAN との間の切り替えによるクラスタの性能の低下

V7.3-1

CI と複数の FDDI の両方,100Mb/s または Gb/s のイーサネット・ベースの CIRCUIT を含む OpenVMS Cluster 構成では,SCS 接続が CI 回線と LAN 回線の間を数秒単位で移動することがまれにあります。この頻繁な回線の切り替えが原因で,クラスタの性能が低下する場合があります。

PEdriver では,数秒間継続している LAN 輻輳を検出し,対応することができます。LAN パスでの遅延時間の大幅な増加やパケットの損失が検出されると,その LAN は使用できなくなります。パスの性能が回復したことが確認されると,そのパスは再度使用できるようになります。

限界条件下では,LAN パスにクラスタ・トラフィックで使用する負荷が追加されると,遅延やパケットの損失が容認できる限界を超える場合があります。このような状態が検出され,クラスタの負荷が取り除かれると,パスの性能は再度使用できる状態まで回復できる場合があります。

LAN 回線の負荷クラスに限界 LAN パスを割り当てると,その回線の負荷クラスが増加して CI の負荷クラス値 140 を超えて限界パスが対象となる場合,また,反対に LAN 回線の負荷クラスが減少して 140 を下回り限界パスが除外される場合に,SCS 接続は CI 回線と LAN 回線の間を移動します。

LAN 回線と CI 回線間の接続の移動を確認するには,CONNECTION クラスと CIRCUITS クラスを追加した SHOW CLUSTER を使用します。

回避方法

接続の移動が頻繁に行われている場合は,次のいずれかの回避方法を使用してください。


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