日本語 HP DECwindows Motif
for OpenVMS
インストレーション・ガイド


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付録 A
標準版 DECwindows Motif のインストレーション

A.1 インストレーション前の準備

ここでは, POLYCENTERソフトウェア・インストレーション・ユーティリティを使用して,標準版 DECwindows Motif ソフトウェアをインストールするために必要な準備と条件について説明します。

注意

インストレーションを始める前にリリース・ノートをお読みください。オンライン・リリース・ノートが用意されています。リリース・ノートを参照する方法については 付録 A.2.2 項 を参照してください。

この節の構成と内容は次のとおりです。

A.1.1 ライセンス登録

ノードまたはクラスタ上に DECwindows Motif ソフトウェアをインストールして起動する前に,ライセンス管理機能 (LMF) を使用して,プロダクト・オーソライゼーション・キー (ライセンスPAK)を登録しなければなりません。ライセンスとメディアをあわせて注文した場合はライセンスPAKがキットに同梱されています。それ以外の場合は,ライセンスの注文に応じて別途提供されます。

DECwindows Motif ソフトウェアを,すでにライセンス登録済みのノードあるいはクラスタにアップデートする場合は,ライセンス PAK の新規登録の必要はありません。

インストレーション検証プロシージャ(IVP)を起動してソフトウェアを使用する前に, DECwindows Motif のライセンスを登録しておかなければなりません。

ライセンスを登録するには,システム管理者のアカウント(SYSTEM)でログインします。次のいずれかの方法でライセンスを登録してください。

VMSクラスタの複数ノードで DECwindows Motif を使用する場合は,このインストレーションの完了後,他のノードでもライセンスを登録してください。

ライセンス管理機能(LMF)の使用についての詳細は,『 VMS License Management Utility Manual 』を参照してください。

A.1.2 サポートされているハードウェア

DECwindows Motif ソフトウェアは,サポートされているすべてのAlphaプロセッサにインストールすることができます。サポートされているハードウェアの一覧については, OpenVMS Alpha Version 7.3-2 および DECwindows Motif のソフトウェア仕様書(SPD)を参照してください。

A.1.3 インストレーション・プロシージャの前提条件

DECwindows Motif ソフトウェアをインストールし,コンフィギュレーションを行う場合は,前提条件として,対応する OpenVMS オペレーティング・システム・ソフトウェア,十分なメモリ容量,ライセンスが必要です (ライセンスPAKの登録については, 付録 A.1.1 項 を参照してください)。

DECwindows Motif ソフトウェアのインストールは, 付録 A.1.4 項 で提供するオペレーティング・システムの情報に従って,POLYCENTER Software Installation ユーティリティを使用して行います。

A.1.4 必要なオペレーティング・システム・ソフトウェア

HP DECwindows Motif for HP OpenVMS Alpha Version 1.3-1 ソフトウェアは, 表 A-1 に示す DECwindows サポート・オプションとともに OpenVMS Alpha Version 7.3-2 オペレーティング・システムがインストールされていることを必要とします。 DECwindows Motif Version 1.3-1 は OpenVMS Alpha Version 7.3-2 でのみサポートされます。

サポートされているバージョンのOpenVMS がシステムにインストールされていない場合は, DECwindows Motif をインストールしようとするとインストレーションが失敗します。

必要なメモリ・サイズは最低 64MB ですが,少なくとも 128MB のメモリが装着されていることを推奨します。

OpenVMSオペレーティング・システムには, DECwindows Motif をサポートするコンポーネントのサブセットが 2 つ含まれています。 DECwindows Motif ソフトウェアを使用するには, 表 A-1 に示すコンポーネントがインストールされた状態で OpenVMSシステムが稼動している必要があります。

表 A-1 DECwindows Motifサポート・オプション
オプション 説明
DECwindows Motif ネットワーク・トランスポートおよびベース・システム・サポート このコンポーネントは DECwindows Motif のインストレーション,および DECwindows Motif アプリケーションの実行に必要です。 OpenVMSのインストレーション時にこのオプションのインストレーションを行うかどうか問い合わせるプロンプトが表示されます。

OpenVMSのこのオプションがインストールされているかどうか確認するには,次のファイルが存在するかどうかを確認してください。

SYS$LIBRARY:DECW$TRANSPORT_COMMON.EXE

DECwindows X11 ディスプレイ・サーバ,フォントおよびデバイス・ドライバ このコンポーネントは,システムに DECwindows Motif アプリケーションその他のX11アプリケーションを表示するために必要です。 OpenVMS のインストレーション時に,このオプションをインストールするかどうかのプロンプトが表示されます。

OpenVMS にこのオプションがインストールされているかどうか確認するには,次のファイルが存在するかどうかを確認してください。

SYS$SYSTEM:DECW$SERVER_MAIN.EXE

システムにDECW$SERVER_MAIN.EXEファイルがない場合は,ローカル・システムに X Windowアプリケーションを表示することはできません 1。 DECwindows Motif のインストレーション・プロシージャは,ワークステーションのサポートなしでインストレーションを継続するかどうかのプロンプトを表示します。


1 このコンポーネントがローカルにインストールされていない場合は, DECwindows Motif アプリケーションを DECwindows X11 ディスプレイ・サーバがインストールされたリモート・システムに表示させてください。

注意

DECwindows X11 ディスプレイ・サーバについての詳細は,稼動している OpenVMS オペレーティング・システムのバージョンに対応したリリース・ノートおよびカバー・レターを参照してください。

A.1.5 OSF/Motifリリース1.1.3およびXUIプログラミング・サポート

DECwindows Motif ソフトウェアで提供される X Window および OSF/Motifライブラリは, V1.2 より前のバージョンに付属のライブラリとの互換性がありません。実行時の互換性は維持されていますが, OSF/Motifリリース1.1.3およびXUIのプログラミング環境は,それよりあとのOSF/Motifリリース1.2のプログラミング環境との互換性はありません。

DECwindows Motifの旧バージョンで提供されていた XUIおよびOSF/Motifリリース1.1.3環境でのプログラミングは, DECwindows Motif 製品ではサポートされていません。ただし, ( DECwindows Motif のインストレーション前に) システムに存在するXUIおよびOSF/Motifリリース1.1.3のプログラミング・ファイルを保管するためのオプションがあります。これらのプログラミング・ファイルの保管を選択した場合,ファイルはサブディレクトリに移され,プログラミング用にアクセスできるようになります。具体的には, 表 A-2 に示す各ディレクトリに [.DECW$113] というサブディレクトリが作成され,古いファイルが新しい [.DECW$113] サブディレクトリに移されます。

表 A-2 旧バージョンのXUIまたはMotifプログラミング環境用ディレクトリ
ディレクトリ 内容 新しい位置
DECW$INCLUDE Cヘッダ・ファイル SYS$SYSROOT:[DECW$INCLUDE.DECW$113]
SYS$SYSTEM UILコンパイラ SYS$SYSROOT:[SYSEXE.DECW$113]
SYS$LIBRARY 非C言語バインディング SYS$SYSROOT:[SYSLIB.DECW$113]

注意

保存した環境を使用するための手順については,リリース・ノートに説明があります。

A.1.6 設定したブックリーダ・ファイルの保管

インストレーション・プロシージャによって,次のファイルが新バージョンに置き換えられます。

SYS$SYSROOT:[DECW$BOOK]LIBRARY.DECW$BOOKSHELF

カスタマイズしたファイルを保管したい場合は, DECwindows Motif ソフトウェアをインストールする前に,別のディレクトリにコピーするか,名称を変更して削除されないようにします。

カスタマイズしたファイルを別のディレクトリにコピーする場合は,ディレクトリを作成して, DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COM ファイルにグローバル・シンボルを定義します。

次の手順に従って, SYS$COMMON:[DECW$BOOK_LOCAL] という名前のブックリーダ用のディレクトリを作成します。

  1. 次のようにディレクトリを作成し, WORLD の読み取りアクセスを指定します。


    $ CREATE/DIRECTORY/PROTECTION=WORLD:R -
    _$ SYS$COMMON:[DECW$BOOK_LOCAL]
    

  2. 次のように LIBRARY.DECW$BOOKSHELFファイルを新しいディレクトリにコピーします。


    $ COPY SYS$SYSROOT:[DECW$BOOK]LIBRARY.DECW$BOOKSHELF -
    _$ SYS$COMMON:[DECW$BOOK_LOCAL]*/LOG
    

  3. SYS$MANAGERディレクトリに DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COMコマンド・ファイルが存在しない場合は,次のようにテンプレート・ファイルをコマンド・ファイルにコピーします。


    $ COPY SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.TEMPLATE -
    _$ SYS$MANAGER:DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COM/LOG
    

  4. DECW$PRIVATE_APPS_SETUP.COMファイルを編集して次の1行を追加し,グローバル・シンボルのDECW$BOOKがブックリーダのディレクトリを示すようにします。


    $ DECW$BOOK == "SYS$COMMON:[DECW$BOOK_LOCAL]"
    

  5. 製品のインストレーション後およびDECwindowsの起動後 (たとえば,システムのリブート後など) に手順 4 を実行した場合は,次のコマンドを使用して DECwindows Motif を再起動します。


    $ @SYS$MANAGER:DECW$STARTUP RESTART
    

DECwindows Motif 環境の設定手順についての詳細は,『日本語 DECwindows Motif for OpenVMS 環境設定の手引き』を参照してください。

A.1.7 インストレーション・プロシージャの実行に必要な条件

ここでは,PCSI を使用して DECwindows Motif ソフトウェアをインストールする際に必要な条件について説明します。

インストレーション・プロシージャで,以下の点がチェックされます。

A.1.7.1 プロセス・アカウントのクォータ

インストレーション・プロシージャでは,インストールするアカウントに少なくとも 表 A-3 に示されたクォータが必要となります。

表 A-3 インストールするアカウントのプロセス・クォータ
クォータ Alpha値
ASTLM    250
BIOLM    150
BYTLM  64,000
DIOLM    150
ENQLM   2,000
FILLM    100

OpenVMS AUTHORIZEユーテリィティを使用して,利用者登録ファイル(UAF)内のインストレーション・アカウントのプロセス・クォータの確認および変更を行います (サイトによっては,特定のアカウントあるいはユーザに対して, AUTHORIZEユーティリティの使用を制限している場合があります)。たとえば,インストレーション・アカウント account-name の BYTLMクォータを変更するには,次のコマンドを入力してください。


$ SET DEFAULT SYS$SYSTEM
$ RUN AUTHORIZE
UAF> SHOW account-name
UAF> MODIFY account-name /BYTLM = 32768
UAF> SHOW account-name
UAF> EXIT
$ LOGOUT

インストレーション・アカウントのクォータを変更した場合は,新しい値を有効にするために一度ログアウトした後に再度ログインしてください。以上で,インストレーションに進むことができます。

ユーザ・アカウント・クォータは SYS$SYSTEM:SYSUAF.DATファイルに保存されています。アカウント・クォータを変更する手順についての詳細は,『OpenVMS システム管理ユーティリティ・リファレンス・マニュアル』を参照してください。

A.1.7.2 ディスク・スペース

表 A-4 を使用して, DECwindows Motif のソフトウェア・コンポーネントをインストールするために必要な空きスペースがシステム・ディスクにあるかどうか確認します。ただし,すべてのコンポーネントをインストールしない場合は,実際に使用するディスク・スペースはこれよりも少なくなります。

システム・ディスクの空きブロック数を確認するには, DCLプロンプトで次のコマンドを入力してください。


$ SHOW DEVICE SYS$SYSDEVICE

インストレーション・プロシージャは,システム・ディスクの空きスペースをチェックします。空きスペースが十分でない場合は,次のいずれかの方法を選択することができます。

注意

インストール中に必要な空きスペースが不足すると,インストレーション・プロシージャは失敗します。

表 A-4 コンポーネントごとに必要なディスク容量 (ブロック数)
コンポーネント/サブ・コンポーネント 容量 小計 合計
インストレーション・オーバーヘッド:  40,000 1  40,000  40,000
サーバ・ソフトウェア:      
  サーバ・ベース・キット   4,120   4,120  
  ユーロ通貨サポート  19,880  19,880  
  サーバ合計      24,000
LBX サポート:    990    990    990
クライアント・ソフトウェア:      
  クライアント・ベース・キット  57,030  57,030  
  デスクトップ・サポート      
    新しいデスクトップ  43,620    
    DECwindows デスクトップ   7,850    
    新しいデスクトップ用の
リファレンス・ページ
  2,810    
    デスクトップ小計    54,280  
  プログラミング環境      
    C, C++   7,890    
    FORTRAN   2,070    
    Pascal   3,060    
    新しいデスクトップ    150    
    プログラミング小計    13,020  
  サンプル・プログラム      
    サウンド・サンプル   1,550    
    プログラミング・サンプル  10,290    
    新しいデスクトップのサンプル   1,250    
    サンプル小計    13,090  
  翻訳イメージ・サポート  28,330  28,330  
  クライアント合計     165,780
すべてのコンポーネントの合計:     206,740


1 余分のディスク・スペース割り当て(ディスク・クラスタ・サイズに依存), PCSI オーバーヘッド,ログ・ファイルを含む。この値は,LBX,クライアント・ソフトウェアを組み合わせたインストレーションのための値です。


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