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表 A-2 にあるのは,現在,マルチホスト SCSI OpenVMS Cluster システムでの使用が認定されているデバイスです。特に使用が認定されていないディスク・デバイスでも,以下の要件を満たしていればマルチホスト OpenVMS Cluster システムで使用できるものがあります。
"...All commands received with a simple queue tag message prior to a command received with an ordered queue tag message, regardless of initiator, shall be executed before that command with the ordered queue tag message." (強調表記は後から追加したもの。)
[[ 訳 ]] "...整列キュー・タグ・メッセージ付きのコマンドより前に,単純なキュー・タグ・メッセージ付きで受信したすべてのコマンドは, イニシエータとは無関係に,整列キュー・タグ・メッセージ付きのコマンドより前に実行しなければなりません。"
"...The automatic reallocation shall then be performed only if the target successfully recovers the data." (強調表記は後から追加したもの。)
[[ 訳 ]] "...自動再割り当ては,ターゲットが データの回復に成功した場合にだけ実行されなければなりません。"
最後は,デバイスや同じセグメント上の他のデバイスをホット・プラグする場合,そのデバイスは 付録 A.7.6.2 項 の電気的要件を満たさなければなりません。
A.7.8 接地要件
この項では,SCSI OpenVMS Cluster システムにおける電装システムの接地要件について説明します。
接地方法が正しくないと,構成要素のエンクロージャ間に接地オフセット電圧という電圧差が生じます。SCSI インターコネクト上では,たとえ小さな接地オフセット電圧であっても ( 表 A-8 の手順 3 参照) 構成に混乱を生じ,システム・パフォーマンスの低下やデータの破壊を招きます。
表 A-8 は,正しい接地方法に必要な確認事項をまとめたものです。
手順 | 説明 |
---|---|
1 | サイトの配電が地域の電気コードを満たしているか確認します。 |
2 | サイト全体の配電系統が以下の要件を満たしているか認します。
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3 | これらの要件の検査が困難な場合は,ハンドヘルド・マルチメータで,任意の 2 つのキャビネット間の接地オフセット電圧を測定します。電圧を測定するには,マルチメータのリード線をエンクロージャの無塗装金属面に接続します。次に,電圧が以下の許容接地オフセット限度を超えていないか確認します。
マルチメータ方式では,測定の瞬間だけにデータが得られます。接地オフセットの値は,デバイスが追加されてアクティブになったり,同じ電源に接続されると,時間経過とともに変化することがあります。時間が経っても接地オフセットを許容範囲内に収めるには,有資格の電気技術者による電源の調査をお勧めします。 |
4 | 接地状況や,測定したオフセット値が許容範囲を超えているかどうかわからない場合は,有資格の電気技術者によって問題を解決することをお勧めします。オフセットの測定値を削減するには,接地ケーブルをエンクロージャ間に挿入する必要があります。 |
5 | 測定したオフセット電圧が許容範囲を超えていたために接地ケーブルも接続したら,再度電圧を測定して許容範囲内に収まっているかどうかを確認してください。許容範囲を超えている場合は,電気技術者の手で接地オフセット電圧の元を探し出し,その電圧を削減するか取り除く必要があります。 |
この付録では,高度なパフォーマンスを実現するクラスタ・インターコネクト・テクノロジとして MEMORY CHANNEL を説明します。MEMORY CHANNEL は OpenVMS Alpha バージョン 7.1 で導入されたテクノロジであり,複数の構成をサポートします。
この付録の構成は,以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
製品概要 | MEMORY CHANNEL 製品とその長所,ハードウェアの構成要素,構成に関する専門的な概要説明です。 |
技術概要 | MEMORY CHANNEL のはたらきについて,技術的な内容を詳細に取り上げます。 |
MEMORY CHANNEL は,PCI ベースの Alpha システム向けの高度なパフォーマンスを実現するクラスタ・インターコネクト・テクノロジです。待ち時間の短縮,広い帯域幅,直接メモリ・アクセスという利点があるため, MEMORY CHANNEL は,OpenVMS Cluster の独特の機能を補い,また,拡張して,1 つの仮想システムとして機能します。
MEMORY CHANNEL は,CI,DSSI,FDDI,Ethernet といった既存のインターコネクトにおけるノード間のクラスタ・トラフィック (ロック管理通信など) の負荷を軽減し,ストレージやネットワークのトラフィック処理の実効性を強化します。MEMORY CHANNEL は,スループットを大幅に増強する一方で,従来の I/O 処理の待ち時間を大幅に短縮します。
MEMORY CHANNEL は,ノード間で大量のデータを移動するアプリケーションに活かすことができます。リアルタイム処理やトランザクション処理など,高速データ通信が必要なアプリケーションのソリューションとして最適です。さらに,MEMORY CHANNEL により,高度なパフォーマンス・データベースや,大量の OpenVMS Lock Manager トラフィックが生成されるアプリケーションでも,スループットを改善できます。
B.1.1 MEMORY CHANNEL の特長
MEMORY CHANNEL テクノロジには,以下のような特長があります。
B.1.2 MEMORY CHANNEL バージョン 2.0 の特長
OpenVMS バージョン 7.1 で導入した当初,MEMORY CHANNEL は 10 フィートのラジアル・トポロジにより,最大で 4 ノードをサポートしていました。また,1 組の送受信側単位の通信しかできませんでした。MEMORY CHANNEL バージョン 1.5 では,8 ノード,新アダプタ (CCMAA-BA),全メッセージのタイム・スタンプ,堅牢なパフォーマンスをサポートしています。
MEMORY CHANNEL バージョン 2.0 では,以下の機能を提供します。
MEMORY CHANNEL クラスタはハブで相互に結合します。ハブは,システムを結合するデスクトップ PC の大きさのユニットです。ハブとシステムの PCI アダプタは,リンク・ケーブルで接続します。 図 B-1 は,MEMORY CHANNEL のサポート用にノードに必要な 3 つのハードウェア構成要素です。
図 B-1 MEMORY CHANNEL ハードウェアの構成要素
図 B-1 に示す PCI アダプタのメモリ・マッピング・ロジックでは, MEMORY CHANNEL クラスタ内のシステム同士の通信が可能です。
図 B-2 は,ハブが中央にある 4 ノード MEMORY CHANNEL クラスタです。
図 B-2 4 ノード MEMORY CHANNEL クラスタ
2 ノードしかないクラスタでMEMORY CHANNEL ハブは不要です。 図 B-3 に示すような 2 ノード構成では,同じアダプタとケーブルを使用し,PCI アダプタの 1 つが仮想ハブとして機能します。アダプタとケーブルは,構成を拡張してもそのまま使用できます。
図 B-3 仮想ハブ MEMORY CHANNEL クラスタ
3 ノード以上の構成では,中央ハブが MEMORY CHANNEL に必要です。MEMORY CHANNEL ハブには,電源を供給してアクティブな電子構成要素を組み込みます。電源のシャットダウンや構成要素の障害でハブに障害が発生すると,MEMORY CHANNEL インターコネクトの動作は停止します。この種の障害は,CI,DSSI,ほとんどの LAN 構成など,この方式以外のクラスタ・インターコネクトでは発生しません。
MEMORY CHANNEL 構成を使用し,また高可用も求める場合は,以下の構成で二次バックアップ・インターコネクトを採用することをお勧めします。
MEMORY CHANNEL を使用する場合,メモリや診断ツールは一定の要件に従って選択してください。
B.1.5.1 メモリの要件
MEMORY CHANNEL は,通常の操作でもメモリを使用します。MEMORY CHANNEL クラスタの各システムには,メモリが少なくとも 128 MB 必要です。
B.1.5.2 大容量メモリ・システムにおける NPAGEVIR パラメータの使用
大きな非ページ化プール・メモリを組み込んだシステムでは,MEMORY CHANNEL が初期化を終了できないことがあります。その場合,コンソールには以下のメッセージが繰り返し表示されます。
Hub timeout - reinitializing adapter |
この場合は,SYSGEN パラメータ NPAGEVIR の値を調べます。値が 1 GB を超える場合,約半分まで値を下げてください。その後システムをリブートすると,MEMORY CHANNEL による初期化が終了します。
B.1.6 構成
図 B-4 は,ストレージに SCSI インターコネクトを使用する MEMORY CHANNEL の基本クラスタです。この構成には,MEMORY CHANNEL インターコネクトの高いパフォーマンス,そして SCSI インターコネクトの経済性という 2 つの利点があります。
図 B-4 MEMORY CHANNEL ベース・クラスタと SCSI ベース・クラスタ
図 B-4 に示す構成では,MEMORY CHANNEL インターコネクトがノード間通信を処理し,SCSI バスがストレージ通信を処理します。
MEMORY CHANNEL を現在のシステムに追加して統合することもできます。 図 B-5 は,CI ベース・クラスタと SCSI ベース・クラスタの複合アーキテクチャに MEMORY CHANNEL を追加した例です。この例で,BI 方式の VAX システムと XMI 方式の VAX システムは,同じ CI クラスタで PCI 方式の Alpha MEMORY CHANNEL システムに統合されています。
図 B-5 MEMORY CHANNEL の CI 方式と SCSI 方式のクラスタ
MEMORY CHANNEL インターコネクトは,ストレージやブートには使用していないので,ブート・デバイスには他のインターコネクトでアクセスします。たとえば 図 B-5 の場合,全ノードが CI でブート・デバイスに直結されているので,ブート・デバイス用には, CI 方式のディスクのどれかを選択するとよいでしょう。
図 B-6 にあるように,MEMORY CHANNEL は既存の DSSI クラスタに統合することもできます。
図 B-6 MEMORY CHANNEL DSSI 方式のクラスタ
図 B-6 にある,3 つの MEMORY CHANNEL システムと VAX システムからは, HSD コントローラに接続された SCSI ストレージの他,DSSI インターコネクトに直結されたストレージをアクセスできます。この構成で,MEMORY CHANNEL は Alpha ノード間通信を処理し,DSSI はストレージ間通信を処理します。
B.1.6.1 構成サポート
MEMORY CHANNEL は, 表 B-1 に示すプラットフォームと構成をサポートしています。
要件 | 説明 |
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構成 | MEMORY CHANNEL は,以下の構成をサポートしています。
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ケーブル | MEMORY CHANNEL は,以下のケーブルをサポートしています。
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ホスト・システム | MEMORY CHANNEL は,以下のシステムをサポートしています。
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MEMORY CHANNEL バージョン 1.5 ハブと MEMORY CHANNEL バージョン 2.0 ハブのどちらを組み込んだ OpenVMS Cluster システムでもコンピュータを構成できますが,アダプタとケーブルのバージョン番号をハブのバージョン番号に合わせないと MEMORY CHANNEL が正しく機能しません。 つまり,MEMORY CHANNEL バージョン 1.5 アダプタは MEMORY CHANNEL バージョン 1.5 ハブと MEMORY CHANNEL バージョン 1.5 ケーブルに,また,MEMORY CHANNEL バージョン 2.0 アダプタは, MEMORY CHANNEL バージョン 2.0 ハブと MEMORY CHANNEL バージョン 2.0 ケーブルに使用してください。 |
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