OpenVMS
OpenVMS Cluster 構成ガイド


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3.5 可用性について

OpenVMS Cluster システムは,高度に統合された環境であり,複数のシステムがリソースのアクセスを共用します。このリソース共用により,サービスとデータの可用性を強化できます。 OpenVMS Cluster システムには透過的かつ自動的なフェールオーバ機能があり,システム管理者やユーザはほとんど手を下す必要がありません。

関連項目: このフェールオーバ機能と可用性の詳細については, 第 8 章第 9 章 を参照してください。

3.6 パフォーマンスについて

以下の要素は,システム・パフォーマンスに影響を与えます。

これらの要件を念頭に置いて, Alpha 仕様と VAX 仕様におけるプロセッサ・パフォーマンス,I/O スループット,メモリ容量,ディスク容量を後で比較します。

3.7 システム仕様

Alpha,Intel のワークステーションとサーバの発注および構成については, HP の Web サイトを参照してください。また,ストレージ・デバイス,プリンタ,ネットワーク・アプリケーションについての詳細なサポート情報もあります。

HP の Web サイトへは,以下の URL でアクセスしてください。


http://www.hp.com/ 


第 4 章
OpenVMS Cluster インターコネクトの選択

インターコネクトは,コンピュータ同士,およびコンピュータとストレージ・サブシステムを接続する物理パスです。 OpenVMS Cluster システムは,最も適切で効率的な方法を使用して,メンバが相互におよびストレージと通信できるように,多様なインターコネクト (バスとも呼ぶ) をサポートしています。

OpenVMS Cluster システムでインターコネクト経由の通信を行うためのソフトウェアを SCS (System Communications Services) と呼びます。ノード間 SCS 通信をサポートするインターコネクトを クラスタ・インターコネクト と呼びます。1 つのクラスタ内でのノードとストレージ間の接続を可能にするインターコネクトを 共用ストレージ・インターコネクト と呼びます。CI および DSSI などの一部のインターコネクトは,クラスタ・インターコネクトとストレージ・インターコネクトの両方の役割を果たすことができます。

OpenVMS は,以下のタイプのインターコネクトをサポートします。

注意

SMCI は,OpenVMS Galaxy インスタンスに固有です。SMCI および Galaxy の構成についての詳細は,『OpenVMS Alpha パーティショニングおよび Galaxy ガイド』を参照してください。

4.1 特徴

この章で説明するインターコネクトにはいくつか共通の特徴があります。 表 4-1 に,これらの特徴をまとめました。

表 4-1 インターコネクトの特徴
特徴 説明
スループット インターコネクトを経由して転送されるデータ量。

インターコネクトによっては,より多くのプロセッサ・オーバヘッドが必要になります。たとえば,Ethernet インターコネクトと FDDI インターコネクトには, CI や DSSI よりも多くのプロセッサ・オーバヘッドが必要です。

パケット・サイズが大きければ,小さい場合よりも高いデータ転送速度 (スループット) が可能になります。

ケーブル範囲 3 m から 40 km の範囲で相互接続します。
最大ノード数 1 つのインターコネクトに接続できるノード数は,インターコネクトのタイプによって異なります。OpenVMS Cluster システムの設定時には,このことを忘れないでください。
サポートされるシステムとストレージ 各 OpenVMS Cluster ノードとストレージのサブシステムごとに,内部システム・バスとインターコネクトを結ぶアダプタが必要です。インターコネクト・タイプの選択時には,まずストレージとプロセッサの I/O パフォーマンスを考え,次にアダプタ・パフォーマンスを考えてください。

4.2 インターコネクト・タイプの比較

表 4-2 は,各種インターコネクトの主な仕様です。

表 4-2 インターコネクト・タイプの比較
インターコネクト 最大スループット (Mb/s) ハードウェア支援データ・リンク1 ストレージへの接続 トポロジ クラスタあたりの最大ノード数 最大長
汎用
ATM 155/622 No MSCP 対応 スイッチに対しラジアル 96 2 2 km 3/300 m 3
Ethernet/
Fast/
Gigabit
10/100/1000 No MSCP 対応 ハブやスイッチに対しリニアまたはラジアル 96 2 100 m 4/100 m 4/550 m 3
FDDI 100 No MSCP 対応 ツリーに対しデュアル・リング,ハブやスイッチに対しラジアル 96 2 40 km 5
CI 140 Yes 直結と MSCP 対応 ハブに対しラジアル 32 6 45 m
DSSI 32 Yes 直結と MSCP 対応 バス 8 7 6 m 8
共用ストレージ専用
Fibre Channel 1000 No 直結 9 スイッチに対しラジアル 96 2 10 km 10
/100 km 11
SCSI 160 No 直結 9 バスまたはハブに対しラジアル 8-16 12 25 m
ノード間 (SCS トラフィック専用)
MEMORY CHANNEL 800 No MSCP 対応 ラジアル 4 3 m


1ハードウェア支援データ・リンクを利用すればプロセッサ・オーバヘッドを節約できます。
2OpenVMS Cluster コンピュータ。
3マルチモード・ファイバ (MMF) を基準とします。ATM,DS3 などの共通キャリアを使用して,このインターコネクトと WAN インタースイッチ・リンク (ISL) 間をブリッジすることによって,より長距離に対応できます。
4シールドなしツイスト・ペア・ケーブル (UTP) を基準とします。 ATM,DS3 などの共通キャリアを使用して,このインターコネクトと WAN インタースイッチ・リンク (ISL) 間をブリッジすることによって,より長距離に対応できます。
5シングル・モード・ファイバ,ポイント・ツー・ポイント・リンクを基準とします。 ATM,DS3 などの共通キャリアを使用して,FDDI と WAN インタースイッチ・リンク (ISL) 間をブリッジすることによって,より長距離に対応できます。
6最大 16 台の OpenVMS Cluster コンピュータ; 最大 31 台の HSJコントローラ。
7最大 4 台の OpenVMS Cluster コンピュータ; 最大 7 台のストレージ・デバイス。
8DSSI ケーブル長は,キャビネット・ケーブルによって異なります。
9直接接続されている SCSI および Fibre Channel ストレージは,汎用のクラスタ・インターコネクトのいずれかを介して MSCP に対応させることができます。
10シングル・モード・ファイバ,ポイント・ツー・ポイント・リンクを基準とします。
11シングル・モード・ファイバを使用した,インタースイッチ・リンク (ISL) を基準とする長距離 (最大 100 km) のサポートです。さらに,DRM 構成では,Open Systems Gateway および Wave Division Multiplexor を使用した長距離 ISL を提供します。
12最大 3 台の OpenVMS Cluster コンピュータ。DWZZH-05 および適切なアービトレーションにより最大 4 台,最大 15 台のストレージ・デバイス。

4.3 複数インターコネクト

複数のインターコネクトを使用すると,以下の利点があります。

4.4 複合インターコネクト

複合インターコネクトは,1 つの OpenVMS Cluster システムに 2 種類以上のタイプのインターコネクトを組み合わせたものです。複合インターコネクトでは,それぞれのタイプの利点を組み合わせて OpenVMS Cluster システムを拡張します。たとえば,Fibre Channel,SCSI,または CI 接続を追加することにより,Ethernet クラスタでさらに多くのストレージが必要になっても拡張が可能です。

4.5 Alpha システムと VAX システムがサポートするインターコネクト

表 4-3 は,Alpha システムと VAX システムがサポートする OpenVMS Cluster インターコネクトを示したものです。

インターコネクトのサポートについては,最新の OpenVMS Cluster SPD (ソフトウェア仕様書) も参照してください。

表 4-3 クラスタ (共用ストレージを含む)・インターコネクトのシステム・サポート
システム CI DSSI FDDI Ethernet ATM MEMORY CHANNEL SCSI Fibre
Channel
AlphaServer ES47,ES80,GS1280  
AlphaServer GS160,GS320  
AlphaServer GS60,GS80,GS140   1
AlphaServer ES40
AlphaServer ES45  
AlphaServer DS25,DS20E, DS10L, DS10 2  
AlphaStation ES40 3  
AlphaStation DS25,DS20E 2      
AlphaStation DS10/XP900      
AlphaStation XP1000        
AlphaServer 8400,8200 1
AlphaServer 4100,2100,2000 1 1 4
AlphaServer 1000A   1 5
AlphaServer 400   1      
DEC 7000/10000 1        
DEC 4000   1        
DEC 3000     1 1      
DEC 2000     1        
VAX 6000/7000/10000        
VAX 4000,MicroVAX 3100   1        
VAXstation 4000     1        


1サテライト・ノードとしてインターコネクト経由でブート可能。
2AlphaServer DS25 または AlphaStation DS25 のサポートはなし。
3MEMORY CHANNEL バージョン 2.0 ハードウェアのサポートのみ。
4AlphaServer 4100 のみサポート。
5コンソール・サポートはなし。

表 4-3 にあるように,OpenVMS Cluster は,広範囲なインターコネクトをサポートしています。 第 2 章 で説明しましたが,注意すべきことは,どれだけの I/O が必要かということです。

ほとんどの場合,I/O 要件がどれか 1 つの OpenVMS Cluster インターコネクトの能力を上回ることはありません。I/O キャパシティに十分な余裕があることを確認し,その他の必須機能に基づいてインターコネクトを選択してください。

関連項目: 各 AlphaServer システムでサポートされるインターコネクトとアダプタについての詳細は,次の OpenVMS の Web サイトを参照してください。


http://hp.com/go/openvms 

左ナビゲーション・パネルから「AlphaSystems」を選択してください。その後,知りたい AlphaServer システムを選択し QuickSpecs を選択します。各 AlphaServer の QuickSpecs には,そのシステムでサポートされるアダプタなど,すべてのオプションが簡単に紹介されています。


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