Compaq OpenVMS
システム管理者マニュアル


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  1. 大容量のディスクをバックアップする場合は,バックアップに複数台のテープ装置を使用することがある。そうした場合は,次のようにしてバックアップを行う。


    $ ALLOCATE MUA0:,MUA1:,MUA2:(1)
    %DCL-I-ALLOC, MUA0: allocated
    %DCL-I-ALLOC, MUA1: allocated
    %DCL-I-ALLOC, MUA2: allocated
    $ BACKUP/IMAGE/RECORD/NOASSIST/RELEASE_TAPE
    _From: DKA100:
    _To: MUA0:FULL02.SAV,MUA1,MUA2/LABEL=MNTH(2)
    %MOUNT-I-MOUNTED, MNTH mounted on _MUA0:
    %BACKUP-I-RESUME, resuming operation on volume 2
    %MOUNT-I-MOUNTED, MNTH02 mounted on _MUA1:
    %BACKUP-I-RESUME, resuming operation on volume 3
    %MOUNT-I-MOUNTED, MNTH03 mounted on _MUA2:
    $
    


    この例の番号を振ったコマンドはそれぞれ次のことを行う。

    1. バックアップに使用するテープ装置を割り当てる。

    2. DKA100: のすべての内容をセーブ・セットにバックアップする。 BACKUP は,まず MUA0 のテープからセーブ・セットの書き込みを開始する。そして,そのテープが一杯になると,MUA1: のテープを初期化して,セーブ・セットの残りを書き込む。MUA1: のテープのラベルは MNTH02 である。そしてさらに,MUA1: のテープも一杯になった場合は,MUA2: のテープに残りのデータを書き込む。
      /RELEASE_TAPE 修飾子は,セーブ・セットの書き込みを終えた出力テープ装置をディスマウントして,アンロードするよう指示する。/RECORD 修飾子が指定されているので,バックアップした各ファイルのファイル・ヘッダ・レコードにはそのときの日時が記録される。

11.15.3 ディスクへのイメージ・バックアップ

第 11.2 節 で説明したように,ディスクのイメージ・バックアップでは,そのディスクのすべてのファイルの論理的なコピーが作成されます。このバックアップは,ファイルがオープンしているときの問題を考えて,システムに会話型ユーザが存在しない状態で行ってください ( 第 11.15.1 項 参照)。また,システムの性能に影響することがあるため,バックアップは,システムが最も空いているときに行うのが最適です。いくつかのプロセス・パラメータとシステム・パラメータに適切な値を設定することにより,バックアップを効率良く行うことができます ( 第 11.7 節 参照)。

作業方法

ディスクにイメージ・バックアップを行う場合は,次の形式で BACKUP コマンドを使用します。


BACKUP/IMAGE/RECORD   入力装置   出力指定 /SAVE_SET 

/IMAGE 修飾子は,このバックアップがイメージ・バックアップであることを示します。/RECORD 修飾子は,バックアップした各ファイルのファイル・ヘッダ・レコードにそのときの日時を記録します。将来,追加型バックアップを行う場合は,必ずこの /RECORD 修飾子を指定してください。/SAVE_SET 修飾子は,セーブ・セットをディスクに作成することを示します。


  1. 次の例では,DUA2: というディスクに DUA1: というディスクのイメージ・バックアップ・セーブ・セットを作成している。


    $ MOUNT DUA1: USER1
    %MOUNT-I-MOUNTED, USER1 mounted on _DUA1:
    $ MOUNT DUA2: USER2
    %MOUNT-I-MOUNTED, USER2 mounted on _DUA2:
    $ BACKUP/IMAGE/RECORD
    _From: DUA1:
    _To: DUA2:[USER.BACKUPS]USER1.SAV/SAVE_SET
    

  2. 次の例に示すように,BACKUP コマンド行の出力装置指定に複数のディスク装置を指定することもできる。


    $ BACKUP/IMAGE/RECORD
    _From: DUA0:
    _To: DUB24:[USER.BACKUPS]USER1.SAV,DUB25/SAVE_SET
    

11.15.4 テープへの追加型バックアップ

第 11.2 節 で説明したように,ディスクの追加型バックアップでは,前回 /RECORD 修飾子を用いて行われたイメージまたは追加型バックアップ以降に作成または変更されたファイルのコピーしか作成されません。

作業方法

テープに追加型バックアップを行う手順は次のとおりです。

  1. /RECORD 修飾子を使用してイメージ・バックアップを行う ( 第 11.15.2 項 参照)。

  2. 次の例に示すように DIRECTORY/FULL コマンドを使用し,最後に /RECORD 修飾子を使用して行ったバックアップの日付を確認する。


    $ DIRECTORY/FULL LOGIN.COM
    Directory WORK204:[HIGGINS] 
     
    LOGIN.COM;31                  File ID:  (23788,1,0) 
    Size:            7/9          Owner:    [ACC,HIGGINS] 
    Created:  30-APR-2000 14:37:33.98 
    Revised:  30-APR-2000 14:37:34.44 (1) 
    Expires:   <None specified> 
    Backup:   30-APR-2000 20:20:57.37 
    File organization:  Sequential 
    File attributes:    Allocation: 9, Extend: 0, Global buffer count: 0, No version limit 
    Record format:      Variable length, maximum 94 bytes 
    Record attributes:  Carriage return carriage control 
    RMS attributes:     None 
    Journaling enabled: None 
    File protection:    System:RWED, Owner:RWED, Group:RE, World: 
    Access Cntrl List:  None 
     
    Total of 1 file, 7/9 blocks.
    


    上記の "Backup" フィールドに示されているのが,前回 /RECORD 修飾子を使用して行ったバックアップの日付である。この例では,2000 年 4 月 30 日の 20:20:57.37 に行われたことが分かる。

    注意

    /RECORD 修飾子を使用したイメージ・バックアップか追加型バックアップで /IGNORE=INTERLOCK 修飾子も使用する場合は, 第 11.18.3 項 を参照してください。オープンしたままのファイルをバックアップしようとしても,そのファイルは追加型バックアップに含まれません。これは,ファイルのバックアップ日付フィールドの値が,前回 /RECORD 修飾子を使用して行ったイメージ・バックアップまたは追加型バックアップの最新のバックアップより新しくないからです。

  3. 次の形式で BACKUP コマンドを入力する。


    BACKUP/RECORD/SINCE=BACKUP   入力指定 - 
      出力指定[/LABEL=ラベル] [/REWIND] 
    


    /RECORD 修飾子は,バックアップした各ファイルのファイル・ヘッダ・レコードにそのときの日時を記録する。将来,追加型バックアップを行う場合は,必ずこの /RECORD 修飾子を指定すること。/SINCE=BACKUP 修飾子は,前回 /RECORD 修飾子を使用して行ったバックアップ以降の日付のファイルをバックアップすることを指示する。/REWIND 修飾子は任意であり,テープを初期化する場合に指定する。/LABEL 修飾子は,テープのラベルを指定するときに使用する。


次は追加型バックアップを行う BACKUP コマンドの例であり,前回の BACKUP/RECORD コマンド以降に変更された DRA1: のすべてのファイルを 20APR2000.SAV というセーブ・セットに保存します。


$ BACKUP/RECORD/SINCE=BACKUP/RELEASE_TAPE
From: DRA1:[000000...]
To: MIA0:20APR2000.SAV/LABEL=20JUNE

/LABEL 修飾子は,テープのボリューム・ラベルを示します。イメージ・バックアップではなく,追加型バックアップであるため,DRA1:[000000...] を明示的に使用して,DRA1 のすべてのファイルをバックアップ対象にすることを指示する必要があります。 /SINCE=BACKUP 修飾子は,前回 /RECORD 修飾子を使用して行ったバックアップ以降に作成または変更されたすべてのファイルを保存しなさいという指示です。 /RELEASE_TAPE 修飾子は,BACKUP がセーブ・セットを書き込んだ後, /RECORD 修飾子の処理を行う前に出力テープ装置をディスマウントして,アンロードします。

11.15.5 ディスクへの追加型バックアップ

第 11.2 節 で説明したように,ディスクの追加型バックアップでは,前回 /RECORD 修飾子を用いて行われたイメージまたは追加型バックアップ以降に作成または変更されたファイルのコピーしか作成されません。

作業方法

ディスクに追加型バックアップを行う手順は次のとおりです。

  1. 追加型バックアップを行うためには,まず /RECORD 修飾子を使用してイメージ・バックアップを行う ( 第 11.15.2 項 を参照)。

  2. 次の例に示すように DIRECTORY/FULL コマンドを使用し,前回 /RECORD 修飾子を使用して行ったバックアップの日付を確認する。


    $ DIRECTORY/FULL LOGIN.COM
    Directory WORK204:[HIGGINS] 
     
    LOGIN.COM;31                  File ID:  (23788,1,0) 
    Size:            7/9          Owner:    [ACC,HIGGINS] 
    Created:  30-APR-2000 14:37:33.98 
    Revised:  30-APR-2000 14:37:34.44 (1) 
    Expires:   <None specified> 
    Backup:   30-APR-2000 20:20:57.37 
    File organization:  Sequential 
    File attributes:    Allocation: 9, Extend: 0, Global buffer count: 0, No version limit 
    Record format:      Variable length, maximum 94 bytes 
    Record attributes:  Carriage return carriage control 
    RMS attributes:     None 
    Journaling enabled: None 
    File protection:    System:RWED, Owner:RWED, Group:RE, World: 
    Access Cntrl List:  None 
     
    Total of 1 file, 7/9 blocks. 
     
    $
    


    上記の "Backup" フィールドに示されているのが,前回 /RECORD 修飾子を使用して行ったバックアップの日付である。この例では,2000 年 4 月 30 日の 20:20:57.37 に行われたことが分かる。

    注意

    /RECORD 修飾子を使用してイメージ・バックアップか追加型バックアップを行ったとき,同時に /IGNORE=INTERLOCK 修飾子も使用した場合は, 第 11.18.3 項 を参照してください。オープンしたままのファイルをバックアップしようとしても,ファイルは追加型バックアップに含まれません。これは,ファイルのバックアップ日付フィールドの値が,前回 /RECORD 修飾子を使用して行ったイメージ・バックアップまたは追加型バックアップの日付より新しくないからです。

  3. 次の形式で BACKUP コマンドを入力する。


    BACKUP/RECORD/SINCE=BACKUP   入力指定 - 
       出力指定 /SAVE_SET 
    


    /RECORD 修飾子は,バックアップした各ファイルのファイル・ヘッダ・レコードにそのときの日時を記録する。追加型バックアップの第 1 ステップはイメージ・バックアップである ( 第 11.15.2 項 参照)。将来,追加型バックアップを行う場合は,イメージ・バックアップを行うときに必ずこの /RECORD 修飾子を指定すること。 /SINCE=BACKUP 修飾子は,前回 /RECORD 修飾子を使用して行ったバックアップ以降の日付のファイルをバックアップすることを指示する。/SAVE_SET 修飾子は,セーブ・セットをディスクに作成することを指示する。


  1. 次のコマンドは,DJC12: にある順編成ディスク・セーブ・セットに DUA55: のディスクの追加型バックアップを行う。


    $ MOUNT DUA55: DISK1
    %MOUNT-I-MOUNTED, DISK1 mounted on _DUA55:
    $ MOUNT/FOREIGN DJC12:
    %MOUNT-I-MOUNTED, DISK2 mounted on _DJC12:
    $ BACKUP/RECORD/SINCE=BACKUP
    _From: DUA55:[000000...]
    _To: DJC12:USER1.SAV/SAVE_SET
    

  2. 次の例に示すように,BACKUP コマンド行の出力装置指定に複数のディスク装置を指定することもできる。


    $ MOUNT DUA0: USER1
    %MOUNT-I-MOUNTED, USER1 mounted on _DUA0:
    $ MOUNT/FOREIGN DUB24:
    %MOUNT-I-MOUNTED, DISK2 mounted on _DUB24:
    $ MOUNT/FOREIGN DUB25:
    %MOUNT-I-MOUNTED, DISK3 mounted on _DUB25:
    $ BACKUP/RECORD/SINCE=BACKUP
    _From: DUA0:[000000...]
    _To: DUB24:USER1.SAV,DUB25/SAVE_SET
    

11.15.6 OpenVMS サーバ用の PATHWORKS を使用した追加型バックアップの実行

PATHWORKS for OpenVMS Macintosh サーバの追加型バックアップ操作と, OpenVMS の追加型バックアップ操作には互換性がありません。これが原因で BACKUP は,(サブディレクトリとそのファイルまでを含めた) ディスクやディレクトリ構造の全体がセーブされることがあります。

BACKUP ユーティリティでは,ファイル・ヘッダ内の Backup Date フィールドに示された日付以降にディレクトリ・ファイルが変更されているかどうかを検出できます。ディレクトリ・ファイルが変更されている場合は,そのディレクトリのサブディレクトリとファイルが後の復元操作に備えてすべてセーブされます。

OpenVMS システムでは,ディレクトリ・ファイルの変更日付のアップデートは,通常は行われません。ただし,名前変更でディレクトリ・ファイルの位置を変えた場合などには,アップデートが行われることがあります。これとは対照的に,PATHWORKS Macintosh サーバでは,Macintosh ユーザのディレクトリ・ファイルの変更日付が保持されます。つまり,各ディレクトリ変更,ファイル作成,およびファイル削除について変更日付のアップデートが行われます。

このことが原因となって, Macintosh ユーザに対するファイルのサービスに PATHWORKS が使用されている場合に,ディスクの追加型バックアップを行うと,前回の追加型バックアップ操作以降に作成または変更されたユーザ・ファイルだけでなく,ディスク全体あるいはディレクトリ全体が (その下のサブディレクトリやファイルを含めて) セーブされることになります。

不必要に保存しないようにするには,次のいずれかの方法をとります:

11.15.7 ワークステーションのディスクのバックアップ

スタンドアロン型のワークステーションでは,たいていシステム管理者がユーザ・ディスクのファイルのバックアップを行います。 第 11.15.7.1 項第 11.15.7.2 項 ,および 第 11.15.7.3 項 では,それぞれワークステーション上でユーザ・ディスクのイメージ・バックアップ,追加型バックアップ,会話型バックアップを行うためのコマンド・プロシージャを紹介します。

また SYS$EXAMPLES ディレクトリには,BACKUP コマンド・プロシージャの設計に役立つ 2 つのテンプレート・コマンド・プロシージャが用意されています。それらコマンド・プロシージャの名前は,BACKUSER.COM と RESTUSER.COM です。

コマンド・プロシージャの使い方がわからない場合は,『Compaq OpenVMS ユーザーズ・マニュアル』を参照してください。

11.15.7.1 コマンド・プロシージャによる夜間イメージ・バックアップ

ここでは,毎晩イメージ・バックアップを行うコマンド・プロシージャを紹介します。MUA0 の磁気テープの,FULL_BACKUP.SAVE というセーブ・セットに DUA2: ディスクのすべてのファイルをバックアップします。このプロシージャは,MicroVAX システムやワークステーションでのファイルのバックアップに特に有用です。

作業方法

夜間のイメージ・バックアップ用コマンド・プロシージャを使用する手順は次のとおりです。

  1. システムのバッチ・キューが使用可能な状態にあることを確認し ( 第 14.3 節 を参照),コマンド・プロシージャを 1 度だけキュー登録する。このコマンド・プロシージャは毎日午前 2:00 に動作する。すなわち,プロシージャは毎朝 2:00 に自動的に自身を再度キュー登録する。ただし,毎日のテープの物理的なセットは人間が行う必要がある。これを怠った日は,バックアップ・プロシージャは動作しないが,その後,正しくテープがセットされれば,再び自身をキュー登録して,動作する。

  2. SYS$MANAGER ディレクトリから次の内容のコマンド・プロシージャを作成し,SYSTEM_BACKUP.COM という名前を付ける。


    $! 
    $! Resubmit this procedure -- 
    $ SUBMIT/AFTER="TOMORROW+2:0" SYS$MANAGER:SYSTEM_BACKUP 
    $! 
    $  ON ERROR THEN GOTO FAILURE 
    $  SET PROCESS/PRIVILEGES=ALL 
    $! 
    $  REPLY/ALL - 
        "Full Backup About to Begin.  Open Files Will Not Be Saved" 
    $! 
    $  BACKUP /IMAGE   DUA2:   MUA0:FULL_BACKUP.SAV /REWIND /IGNORE=LABEL_PROCESSING 
    $  DISMOUNT MUA0: 
    $  EXIT 
    $! 
    $FAILURE: 
    $  WRITE SYS$OUTPUT "---> Backup failed" 
    $  WRITE SYS$OUTPUT "" 
    $  DISMOUNT MUA0: 
    $  EXIT 
    

  3. 実行環境に合せてコマンド・プロシージャを編集する。

  4. 設定したセーブ・セット名を書き留める。

  5. 次のコマンド行を入力して,コマンド・プロシージャをキュー登録する。プロシージャに SYS$MANAGER:SYSTEM_BACKUP.COM 以外の名前を付けた場合は,プロシージャ名をその名前に置き換えること。


    SUBMIT/NOPRINT/AFTER="TOMORROW+2:0"/QUEUE= キュー名 - 
       SYS$MANAGER:SYSTEM_BACKUP 
    

  6. 必ず,テープを毎日入れ換え,また指定した装置に物理的にセットしておくこと。バックアップが終了したら,バックアップ・テープを安全な場所に保管する。別のイメージ・バックアップを取るのでないかぎり,保管したテープは使用してはならない。

キュー登録後にプロシージャの実行を中止する場合は, DELETE/ENTRY コマンドを使用します。エントリ番号が判らない場合は,次の例に示すように SHOW ENTRY コマンドで調べることができます。


$ SHOW ENTRY
  Entry  Jobname         Username     Blocks  Status 
  -----  -------         --------     ------  ------ 
     14  SYS_BACKUP   TPROULX                 Holding until 19-APR-2000 02:00 
         On generic batch queue CLUSTER_BATCH 
$ DELETE/entry=14


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