Compaq OpenVMS
システム管理者マニュアル


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  1. ファイルの復元先である DRA2: ディスクをマウントする。ディスクは,マウントする前に必ずセットしておくこと。

  2. DRA2: を初期化して,効率良くディスクの既存のデータを消去し,さらに,FULL_BACKUP.SAV セーブ・セットから DRA2: ディスクにディレクトリ構造とすべてのファイルを復元する。BACKUP は DRA2: ディスクにファイルを連続して書き込むので,ディスクのフラグメンテーションも解消される。
    /IMAGE 修飾子があると,元のディスクの論理的な複製が作成されて,ディレクトリ構造全体が復元され,ファイルがそれぞれのディレクトリに書き込まれる。

  3. ディスクをディスマウントする。

11.16.2 追加型バックアップの復元

イメージ・バックアップの後に追加型バックアップを行ったときのファイルの復元は,2 段階に分かれます。第 1 段階は,最後に行ったイメージ・バックアップの復元です。その後で,最新のものから始めて,順次各追加型バックアップの復元を行います。

アクセス可能なディレクトリ構造のレベルについては, 第 11.14.1 項 を参照してください。

作業方法

追加型バックアップを復元する手順は次のとおりです。最初の数ステップは,イメージ・バックアップの復元手順と同じです。

  1. MOUNT /FOREIGN コマンドを使用してファイルの復元先のディスクをマウントする(MOUNT コマンドについての詳細は, 第 11.8.2 項 を参照)。

  2. ディスクの最新のイメージ・バックアップ・コピーを含むテープかディスク,またはディスケットをセットする。バックアップ・セーブ・セットが複数のボリュームにまたがる場合は,セットの最初のボリュームをセットすること。バックアップ・コピーがディスクまたはディスケット・セーブ・セットにある場合は,続いてボリュームをマウントする。

  3. セーブ・セット名が分からない場合は,次のいずれかの操作を行う。

  4. 次の形式で BACKUP コマンドを入力する。


    BACKUP/IMAGE    装置:セーブ・セット指定 [/SAVE_SET]    出力装置 
    


    /IMAGE 修飾子は,行おうとしているバックアップがイメージ・バックアップであることを示す。ディスクまたはディスケット・セーブ・セットの場合は,セーブ・セット指定 (装置: セーブ・セット指定) の直後に /SAVE_SET 修飾子を指定する必要がある。

  5. セーブ・セットが複数のテープかディスク,またはディスケットにまたがっている場合は, BACKUP からプロンプトが表示されるので,その時点で次のテープまたはディスケットをセットすること。

  6. /NOUNLOAD 修飾子を使用して,ファイルを復元したばかりのディスクをディスマウントする。

  7. 次の形式で MOUNT コマンドを使用し,復元するディスクをファイル構造を持つボリュームとしてマウントする。


    MOUNT   装置名:ボリューム・ラベル 
    


    装置名には,マウントするボリュームがセットされている装置の名前を指定する。 ボリューム・ラベルは, INITIALIZE コマンドでボリュームに割り当てた, 1 文字から 6 文字の長さの英数字からなる識別名である。

  8. イメージ・バックアップ・コピーが含まれている媒体をディスマウントして,最新の追加型バックアップ・コピーが含まれているテープ,ディスク,またはディスケットをマウントする。

  9. 最新の追加型バックアップから始めて,順番に追加セーブ・セットを復元する。この復元では,次の形式で BACKUP コマンドを使用する。


    BACKUP/INCREMENTAL    セーブ・セット指定 [/SAVE_SET] - 
       出力装置 
    


    ディスクまたはディスケット・セーブ・セットの場合は,セーブ・セット指定の後に必ず /SAVE_SET 修飾子を指定すること。
    最後のイメージ・バックアップ以降に行ったすべての追加型バックアップを処理し終えるまで,新しいものから古いものの順に追加型バックアップの復元を行う。追加型バックアップが複数のボリュームにまたがる場合は, BACKUP からプロンプトが表示されるので,その都度,次のボリュームをセットする必要がある。
    復元は,最も古い追加型バックアップの復元を終えた時点で終了する。


ここでは,次のことを前提に,一連の追加型バックアップが行われたディスク全体を復元する例を紹介します。


$ MOUNT/FOREIGN DUA2:(1)
%MOUNT-I-MOUNTED, WORK_B mounted on _DUA2:
$ BACKUP/IMAGE DUA3:WORK_BACKUP.SAV/SAVE_SET DUA2:(2)
$ DISMOUNT/NOUNLOAD  DUA2:(3)
$ MOUNT DUA2: WORK_B (4)
%MOUNT-I-MOUNTED, WORK_B mounted on _DUA2:
$ BACKUP/INCREMENTAL  DUA3:WORK_18_JAN.SAV/SAVE_SET  DUA2:(5)
$ BACKUP/INCREMENTAL  DUA3:WORK_17_JAN.SAV/SAVE_SET  DUA2:(6)
$ BACKUP/INCREMENTAL  DUA3:WORK_16_JAN.SAV/SAVE_SET  DUA2:(7)
 

この例の番号を振ったコマンドはそれぞれ次のことを行います。

  1. ファイルの復元先である DUA2: ディスクをマウントする。 /FOREIGN 修飾子が使用されていることに注意すること。

  2. WORK_BACKUP.SAV セーブ・セットから DUA2: ディスクにディレクトリ構造とすべてのファイルを復元する。これは,イメージ・バックアップの復元である。追加型バックアップ・セーブ・セットを復元する場合は,その第 1 段階としてイメージ・バックアップ・セーブ・セットを復元する必要がある。

  3. DUA2: ディスクを論理的にディスマウントする。

  4. DUA2: ディスクを,今度は Files-11 ボリュームとして再マウントする。

  5. 最新の追加型バックアップを復元する。

  6. 次の追加型バックアップを復元する。

  7. 最も古い追加型バックアップを復元する。
    ファイルを復元する最も効率的な方法は,発生の逆順に追加型バックアップを復元する方法である。最も古い追加型バックアップの復元を終えた時点で,復元は終了する。

11.16.2.1 ターゲット・ディスク構造への復元

BACKUP は,ターゲット・ディスクとセーブ・セットの内容を検査して,セーブ・セットのどの項目を無視し,ターゲット・ディスクのどの項目を削除するか決定します。BACKUP が,ターゲット・ディスクからディレクトリやその他のファイルを削除しようとして,特権エラーを検出すると, BACKUP は,そのファイルの保護を変更してファイルを削除します。

BACKUP は,変更されたディレクトリ・ファイルを検出すると,その後で,名称変更されたディレクトリを適切に復元できるように,そのディレクトリとサブディレクトリの内容を保存します。

注意

ディレクトリの名前は変更しないようにしてください。また,ディレクトリの機密保護情報を変更すると,変更日が変わります。そのため,ファイルの保護や機密保護情報が変わると,ディレクトリが "名称変更"されたように見え,内容が追加型セーブ・セットに含まれることがあります。名称変更したディレクトリの内容が追加されると,追加型セーブ・セットのサイズが増加します。

BACKUP は,ディレクトリのレベルごとに,ターゲット・ディスクのディレクトリ構造をアルファベット順に処理します。このため BACKUP は,ターゲット・ディスクに追加型セーブ・セットを正しく復元できないような状況が生じることがあります。たとえば,ターゲット・ディスク上の元のディレクトリやその内容を削除しなければ,ターゲット・ディスクには,新たに「名称変更」されたディレクトリとその内容を入れるのに十分なスペースがない場合もあります。

ディスク・スペースが不十分なために追加型の復元ができない場合には, (他の操作を行う前に) もう一度追加型のセーブ・セットを適用する,という解決方法もあります。これにより,最初の追加型の復元が継続され,ディレクトリとその内容が削除されて,ターゲット・ディスクの使用可能スペースが増加します。セーブ・セットからファイルを選択して復元するという方法もあります。

BACKUP は,別名ファイルや同義語ファイルのエントリの複数処理を指定しない,追加型の復元処理 (/NOALIAS) で,別名ファイルや同義語ファイルのエントリを復元しようとします。別名ファイルのエントリが適切に復元できない場合, BACKUP はエラー・メッセージを表示して,別名ファイルのエントリ,その 1 次ファイル,失敗の原因を示す 2 次状態を表示します。

/LOG 修飾子を指定すると,別名ファイルのエントリが正しく復元されたときに, BACKUP はメッセージを表示します。

/VERIFY 修飾子を指定すると,BACKUP はチェック・パスの間に別名ファイルのエントリを復元しようとします。指定しない場合には,別名ファイルのエントリの復元は,通常のファイル復元と同時に行なわれます。これは,BACKUP は,1 次ファイルを全部復元してから,これらのファイルを参照する別名ファイルのエントリを復元しようとするからです。

11.16.3 ボリューム・シャドウ・セットの復元

ボリューム・シャドウイング機能は,シャドウ・セットを構成する各ディスクに同一データの複製を作成するため,シャドウ・セットの復元には特別な注意が必要です。シャドウ・セットの復元方法については,『Volume Shadowing for OpenVMS』を参照してください。

注意

BACKUP 出力装置 (シャドウ・セット) は, /FOREIGN 修飾子を使用してマウントする必要があります。そのため,コンパックではイメージ・セーブ・セットの仮想ユニットへの復元操作をサポートしていません。

11.17 システム・ディスクのバックアップと復元

次のような条件の下では,システム・ディスクのバックアップが非常に大切です。

OpenVMS Alpha または VAX オペレーティング・システムのディストリビューション・コンパクト・ディスクにアクセスできる場合は,そのディスクのメニュー・システムを使用して,システムをバックアップしてください。メニュー・システムの使用についての詳細は, 第 11.17.1 項 を参照してください。

注意

メモリの少ない VAX システム (メモリ 32 MB 未満) 上で大規模なシステム・ディスクのバックアップを行うと,BACKUP ユーティリティがページングを必要とするために操作に失敗する可能性があります。この問題が起こる場合は,スタンドアロン BACKUP を使用して VAX 上のシステム・ディスクのバックアップを行ってください。

OpenVMS VAX オペレーティング・システムのディストリビューション・コンパクト・ディスクにアクセスできない場合は,スタンドアロン BACKUP を使用して,システム・ディスクのバックアップと復元を行ってください。スタンドアロン BACKUP についての詳細は 第 11.17.2 項 を参照してください。

11.17.1 メニュー・システムの起動

OpenVMS Alpha または VAX オペレーティング・システムのディストリビューション・コンパクト・ディスクにアクセスできる場合には,この項で説明するメニュー・システムを使用して,システム・ディスクとユーザ・ディスクのバックアップまたは復元を行います。

作業方法

  1. オペレーティング・システムが実行中でなければ,ステップ 2 へ進む。
    オペレーティング・システムが実行中であれば, SYSTEM アカウントにログインする。次のコマンドを入力して Return キーを押す。


    $ @SYS$SYSTEM:SHUTDOWN
    


    質問に応答する。自動システム・ブートを実行するかどうかをプロシージャが問い合わせてきたら,NO と答える (Return キーを押す)。プロシージャが終了すると,次のメッセージが表示される。


    SYSTEM SHUTDOWN COMPLETE 
    


    VAX システムの場合,次のメッセージも表示される。


    USE CONSOLE TO HALT SYSTEM 
    


    このメッセージが表示されたらシステムを停止する。

  2. システムをブートする。

    注意

    使用するブート・コマンドは,ユーザが使用しているシステムのタイプによって異なります。システムのブートについての詳細は,使用しているコンピュータのインストールおよび操作マニュアルを参照してください。

  3. システムのブートが実行されるとメニューが表示される。 DCL コマンドおよびプロシージャを実行するメニュー項目を選択する。

  4. DCL プロンプトが表示されると,システム・ディスクおよびユーザ・ディスクのバックアップと復元を実行できる。
    システム・ディスクのバックアップ・コピーを作成する場合には, 第 11.17.3 項 を参照してください。
    システム・ディスクを復元するには, 第 11.17.4 項 を参照してください。

11.17.1.1 例

次に,OpenVMS VAX システムにおけるメニュー方式のプロシージャの起動方法の例を示します。


>>>  B/R5:10000100 ESA0
Bootfile: ISL_SVAX_071
-ESA0 
 Network Initial System Load Function 
 Version 1.1 
 
 
  FUNCTION        FUNCTION 
    ID 
    1     -       Display Menu 
    2     -       Help 
    3     -       Choose Service 
    4     -       Select Options 
    5     -       Stop 
 
 Enter a function ID value: 3
  OPTION          OPTION 
    ID 
    1     -       Find Services 
    2     -       Enter known Service Name 
 
 Enter an Option ID value: 2
Enter a Known Service Name: VMS071
   OpenVMS VAX Version 7.3 Major version id = 1 Minor version id = 0 
 
%SYSINIT-E, error opening page file, status = 0000025C 
%SYSINIT-E, error opening swap file, status = 0000025C 
%SYSINIT, primary PAGEFILE.SYS not found; system initialization continuing 
%SYSINIT, no dump file - error log buffers not saved 
%SYSINIT-E, error mounting system device, status = 00000F64 
$!  Copyright (c) 2000 Compaq Computer Corporation.  All rights reserved. 
$set noverify 
 
 
 
    Copyright 0 (c) 2000 Compaq Computer Corporation.  All rights reserved. 
 
 
    Installing required known files... 
 
    Configuring devices... 
 
    **************************************************************** 
 
    The menu can be used to execute DCL commands and procedures for 
    various "standalone" tasks, such as backing up the system disk. 
 
    Please choose one of the following: 
 
        1)  Execute DCL commands and procedures 
        2)  Shut down this system 
 
Enter CHOICE or "?" to repeat menu: (1/2/?)) 1
    WARNING -- 
 
    The normal VMS startup procedure has not executed. 
    Some commands and utilities will not work as documented. 
 
 
    Enter DCL commands -- Enter "LOGOUT" when done. 
    When you enter "LOGOUT" a logout message will be displayed, 
    and you will be returned to the menu. 
 
$$$ 


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