OpenVMS
OpenVMS Cluster 構成ガイド


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6.7.13 コンソールについての考慮

ここでは,パラレル SCSI マルチパス・ディスク・デバイスとコンソールを併用する方法を説明します。 FC マルチパス・デバイスとコンソールを併用する方法については, 第 7.6 節 を参照してください。

コンソールでは,一般的な,パス依存の SCSI デバイス名を使用します。たとえば,ディスクのデバイス名形式では,DK の後に,ホスト・アダプタを表す文字,SCSI ターゲット ID,LUN を続けます。

つまり,マルチパス・デバイスでは,アクセス時に使用するすべてのホスト・アダプタ名からなる複数の名前が使用されます。以下のコンソール出力例では,デバイス・コマンド,つまりコンソール・デバイス名が左列に表示されています。中央と右の列は,デバイス・タイプ固有のその他情報です。

ここで,たとえばデバイス dkb100とデバイス dkc100が同じデバイスまでの 2 本のパスとします。 dkb100は,アダプタ PKB0 を通るパスの名前であり, dkc100はアダプタ PKC0 を通るパスの名前です。これは中央の列を見ればわかります。ここでは,情報名に HSZ 割り当てクラスが指定されています。 HSZ 割り当てクラスにより,同じ HSZ デバイスまでの"デバイス"がどれかわかります。

注意

コンソールでは,コンソール INIT コマンドを発行するまで HSZ 割り当てクラスの値の変更を認識できません。


>>>sho dev 
dkb0.0.0.12.0              $55$DKB0                       HSZ70CCL  XB26 
dkb100.1.0.12.0            $55$DKB100                        HSZ70  XB26 
dkb104.1.0.12.0            $55$DKB104                        HSZ70  XB26 
dkb1300.13.0.12.0          $55$DKB1300                       HSZ70  XB26 
dkb1307.13.0.12.0          $55$DKB1307                       HSZ70  XB26 
dkb1400.14.0.12.0          $55$DKB1400                       HSZ70  XB26 
dkb1500.15.0.12.0          $55$DKB1500                       HSZ70  XB26 
dkb200.2.0.12.0            $55$DKB200                        HSZ70  XB26 
dkb205.2.0.12.0            $55$DKB205                        HSZ70  XB26 
dkb300.3.0.12.0            $55$DKB300                        HSZ70  XB26 
dkb400.4.0.12.0            $55$DKB400                        HSZ70  XB26 
dkc0.0.0.13.0              $55$DKC0                       HSZ70CCL  XB26 
dkc100.1.0.13.0            $55$DKC100                        HSZ70  XB26 
dkc104.1.0.13.0            $55$DKC104                        HSZ70  XB26 
dkc1300.13.0.13.0          $55$DKC1300                       HSZ70  XB26 
dkc1307.13.0.13.0          $55$DKC1307                       HSZ70  XB26 
dkc1400.14.0.13.0          $55$DKC1400                       HSZ70  XB26 
dkc1500.15.0.13.0          $55$DKC1500                       HSZ70  XB26 
dkc200.2.0.13.0            $55$DKC200                        HSZ70  XB26 
dkc205.2.0.13.0            $55$DKC205                        HSZ70  XB26 
dkc300.3.0.13.0            $55$DKC300                        HSZ70  XB26 
dkc400.4.0.13.0            $55$DKC400                        HSZ70  XB26 
dva0.0.0.1000.0            DVA0 
ewa0.0.0.11.0              EWA0              08-00-2B-E4-CF-0B 
pka0.7.0.6.0               PKA0                  SCSI Bus ID 7 
pkb0.7.0.12.0              PKB0                  SCSI Bus ID 7  5.54 
pkc0.7.0.13.0              PKC0                  SCSI Bus ID 7  5.54 

コンソールでは,現在のパスで I/O に障害が発生すると,デバイスまでの代替パスに自動的に切り替えます。多くのコンソール・コマンドでは,コンソールがアクセスするデバイスのリストを優先順に指定できます。デバイスの複数のパスに対応するマルチパス構成では,デバイスの複数のパスに対応するコンソール・デバイス名のリストを指定できます。たとえば,以下のようなブート・コマンドでは,最初に DKB100 パスでマルチパス・デバイスがブートされ,それが失敗すると,DKC100 パスでブートされます。


BOOT DKB100, DKC100 


第 7 章
OpenVMS Cluster ストレージ・インターコネクトとしての Fibre Channel の構成

OpenVMS の大きな利点は,ネットワーク構成と OpenVMS Cluster System 構成用のインターコネクトとプロトコルを幅広くサポートしていることです。この章では,シングル・システム用のストレージ・インターコネクトと,マルチホスト OpenVMS Cluster システム用の共用ストレージ・インターコネクトとしての Fibre Channel 用 OpenVMS Alpha サポートについて説明します。

この章の構成は,以下のとおりです。

Fibre Channel 構成のマルチパス・サポートについては, 第 6 章 を参照してください。

注意

この章では,Fibre Channel インターコネクトを模式的に図示します。ノードとストレージ・サブシステムが接続されている部分は水平線で表します。物理的には,Fibre Channel インターコネクトは, 図 7-1 に示すように,スイッチから常に放射状に配線されます。

ストレージ・サブシステムにおける複数の SCSI ディスクと SCSI バスも簡略化されています。 1 つ以上の HSGx コントローラがホストに対する論理ユニットとしてサービスする複数のディスクと SCSI バスは,図では単独の論理ユニットとして表示されています。

この章では,表現を簡略化するために,階層型の Fibre Channel ストレージ・コントローラを意味する HSG という用語で HSG60 と HSG80 を表しています。ただし, 表 7-2 のように, HSG60 と HSG80 の違いを強調する場合は例外です。

7.1 OpenVMS Fibre Channel サポートの概要

Fibre Channel は,他のインターコネクトに比べさまざまな利点を備えた ANSI 標準ネットワークとストレージ・インターコネクトです。その主な特徴と,これらの特徴に対して OpenVMS が提供するサポートを 表 7-1 に示します。

表 7-1 Fibre Channel の特徴と OpenVMS のサポート
特徴 OpenVMS のサポート
高速伝送 OpenVMS は,2 Gb/s,全二重,シリアル・インターコネクトをサポートしています ( 毎秒 200 MB のデータを同時に送受信可能 )。
媒体の選択 OpenVMS は,光ファイバ媒体をサポートしています。
長距離インターコネクト OpenVMS は,リンク当たり 500 m のマルチモード光ファイバ媒体とリンク当たり最大 100 km のシングル・モード光ファイバ媒体 ( インタースイッチ・リンク [ISL]) をサポートしています。
複数のプロトコル OpenVMS は,SCSI--3 をサポートしています。将来的には,IP をサポート予定。
各種トポロジ OpenVMS は,スイッチ FC (高いスケーラビリティの複数同時通信) と複数のスイッチ (ファブリック) をサポートしています。また,StorageWorks Modular Storage Array (MSA) 1000 ストレージ・システムでアービトレート型ループのサポートが予定されています。正式なサポートのアナウンスは,次の URL の OpenVMS の Web ページで行われます: http://www.hp.com/go/openvms

図 7-1 はスイッチ・トポロジを論理的に表した図です。 FC ノードは,Alpha ホストかストレージ・サブシステムのどちらかです。ノードからスイッチまでの各リンクは,専用の FC 接続です。スイッチは,ノード・ペア間で保存/送信パケットの配信をします。非結合ノード・ペア間の同時通信はスイッチでサポートしています。

図 7-1 スイッチ・トポロジ (論理図)


図 7-2 は, Fibre Channel スイッチ・トポロジの実体図を表しています。 図 7-2 は解りやすくするために簡素化しています。一般的な構成では 第 7.3.4 項 に示すように,可用性を高めるために Fibre Channel インターコネクトを多重化しています。

図 7-2 スイッチ・トポロジ (実体図)


図 7-3 に示すのはアービトレート型ループです。 2 つのホスとが,デュアル・ポート StorageWorks MSA 1000 ストレージ・システムに接続されています。 OpenVMS は,このストレージ・システムでのみアービトレート型ループ・トポロジをサポートします。

注意

このトポロジのサポートは次の URL の OpenVMS の Web ページでアナウンスされる予定です: http://www.hp.com/go/openvms

図 7-3 MSA 1000 を使用したアービトレート型トポロジ


7.2 Fibre Channel 構成のサポート

OpenVMS Alpha は, 表 7-2 にリストされている Fibre Channel デバイスをサポートしています。 OpenVMS でサポートされている Fibre Channel ファブリック・コンポーネントについては,最新バージョンの『hp StorageWorks SAN Design』(AA-RMPNFC-TE) を参照してください。

Fibre Channel ハードウェア名の規則では, Fibre Channel 固有のハードウェアを G という文字で表します。他の Fibre Channel 機器による Fibre Channel 構成はサポートしていません。オペレーティング・システムとファームウェアの必要最小バージョンを確認するには,リリース・ノートを参照してください。

すべての OpenVMS Fibre Channel 構成で,実行している OpenVMS バージョン用の最新のアップデート・キットを使用することをお勧めします。

これらのキットのルート名は FIBRE_SCSI です。 FIBRE_SCSI は以前は FIBRECHAN と呼ばれていました。このキットは,次のウェブ・サイトから入手することができます。


http://welcome.hp.com/country/us/eng/support.html 

表 7-2 Fibre Channel ハードウェアの構成要素
構成要素名 説明
AlphaServer 800, 1 1000A, 2 1200, 4000, 4100, 8200, 8400, DS10, DS20, DS25, DS20E, ES40, ES45, ES47, ES80, GS60, GS60E, GS80, GS140, GS160, GS320, および GS1280 Alpha ホスト
Enterprise Virtual Array (EVA) 2 つの Fibre Channel ホスト・ポートを持ち 240 の物理 Fibre Channel ドライブをサポートする Fibre Channel "仮想" RAID ストレージ
HSV110 2 つの Fibre Channel ホスト・ポートを持ち 6 あるいは 12 の SCSI ドライブ・エンクロージャをサポートする Fibre Channel 階層型ストレージ・コントローラ・モジュール (EVA5000 対応)
HSG80 2 つの Fibre Channel ホスト・ポートを持ち 6 つの SCSI ドライブ・バスをサポートする Fibre Channel 階層型ストレージ・コントローラ・モジュール
HSG60 2 つの Fibre Channel ホスト・ポートを持ち 2 つの SCSI バスをサポートする Fibre Channel 階層型ストレージ・コントローラ・モジュール
MDR Fibre Channel Modular Data Router。1 Gb の容量を備えた, SCSI テープまたは SCSI テープ・ライブラリへのブリッジです。 MDR は,Fibre Channel スイッチに接続する必要があります。 MDR は Alpha システムには直接接続できません。
NSR Fibre Channel Network Storage Router。2 Gb の容量を備えた, SCSI テープまたは SCSI テープ・ライブラリへのブリッジです。 NSR は,Fibre Channel スイッチに接続する必要があります。 NSR は Alpha システムには直接接続できません。
Fibre Channel ファブリック・コンポーネント (ホスト・アダプタ,スイッチ,ブリッジ,長距離構成用の Gigabit インタフェース・コンバータ (GBIC) およびケーブル) 最新バージョンの『hp StorageWorks SAN Design』(AA-RMPNF-TE) を参照。


1AlphaServer 800 で,KGPSA をインストールした場合は,必須 S3 Trio を無効にする必要があります。
2 このモデルでは,FC ディスクのコンソール・サポートは使用できません。
3 最新のリストについては,OpenVMS Cluster Software SPD を参照してください。

OpenVMS は,最新の『hp StorageWorks SAN Design』(AA-RMPNC-TE) および Data Replication Manager (DRM) のユーザ・マニュアルで説明されている Fibre Channel SAN 構成をサポートします。これには,以下のサポートが含まれています。

StorageWorks のマニュアルは次の URL の OpenVMS のウェブ・サイトから入手できます。


http://www.hp.com/go/openvms 

HP Storage を選択し (左のナビゲーション・バーの関連リンクから),次にストレージ製品を検索してください。その後,その製品のドキュメントにアクセスできます。

StorageWorks のマニュアルで説明されている構成内では, OpenVMS は以下の機能と制限があります。

この構成サポートは,このマニュアルの改訂時点で有効なものです。

すでに説明した構成に加え, OpenVMS は SANworks Data Replication Manager もサポートしています。これは長距離で Fibre Channel を使用するためのリモート・データ保管ソリューションです。詳細は,次の Compaq StorageWorks のウェブ・サイトを参照してください。


http://www.compaq.com/products/storageworks 


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