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ここでは,パラレル SCSI マルチパス・ディスク・デバイスとコンソールを併用する方法を説明します。 FC マルチパス・デバイスとコンソールを併用する方法については, 第 7.6 節 を参照してください。
コンソールでは,一般的な,パス依存の SCSI デバイス名を使用します。たとえば,ディスクのデバイス名形式では,DK の後に,ホスト・アダプタを表す文字,SCSI ターゲット ID,LUN を続けます。
つまり,マルチパス・デバイスでは,アクセス時に使用するすべてのホスト・アダプタ名からなる複数の名前が使用されます。以下のコンソール出力例では,デバイス・コマンド,つまりコンソール・デバイス名が左列に表示されています。中央と右の列は,デバイス・タイプ固有のその他情報です。
ここで,たとえばデバイス dkb100とデバイス dkc100が同じデバイスまでの 2 本のパスとします。 dkb100は,アダプタ PKB0 を通るパスの名前であり, dkc100はアダプタ PKC0 を通るパスの名前です。これは中央の列を見ればわかります。ここでは,情報名に HSZ 割り当てクラスが指定されています。 HSZ 割り当てクラスにより,同じ HSZ デバイスまでの"デバイス"がどれかわかります。
コンソールでは,コンソール INIT コマンドを発行するまで HSZ 割り当てクラスの値の変更を認識できません。 |
>>>sho dev dkb0.0.0.12.0 $55$DKB0 HSZ70CCL XB26 dkb100.1.0.12.0 $55$DKB100 HSZ70 XB26 dkb104.1.0.12.0 $55$DKB104 HSZ70 XB26 dkb1300.13.0.12.0 $55$DKB1300 HSZ70 XB26 dkb1307.13.0.12.0 $55$DKB1307 HSZ70 XB26 dkb1400.14.0.12.0 $55$DKB1400 HSZ70 XB26 dkb1500.15.0.12.0 $55$DKB1500 HSZ70 XB26 dkb200.2.0.12.0 $55$DKB200 HSZ70 XB26 dkb205.2.0.12.0 $55$DKB205 HSZ70 XB26 dkb300.3.0.12.0 $55$DKB300 HSZ70 XB26 dkb400.4.0.12.0 $55$DKB400 HSZ70 XB26 dkc0.0.0.13.0 $55$DKC0 HSZ70CCL XB26 dkc100.1.0.13.0 $55$DKC100 HSZ70 XB26 dkc104.1.0.13.0 $55$DKC104 HSZ70 XB26 dkc1300.13.0.13.0 $55$DKC1300 HSZ70 XB26 dkc1307.13.0.13.0 $55$DKC1307 HSZ70 XB26 dkc1400.14.0.13.0 $55$DKC1400 HSZ70 XB26 dkc1500.15.0.13.0 $55$DKC1500 HSZ70 XB26 dkc200.2.0.13.0 $55$DKC200 HSZ70 XB26 dkc205.2.0.13.0 $55$DKC205 HSZ70 XB26 dkc300.3.0.13.0 $55$DKC300 HSZ70 XB26 dkc400.4.0.13.0 $55$DKC400 HSZ70 XB26 dva0.0.0.1000.0 DVA0 ewa0.0.0.11.0 EWA0 08-00-2B-E4-CF-0B pka0.7.0.6.0 PKA0 SCSI Bus ID 7 pkb0.7.0.12.0 PKB0 SCSI Bus ID 7 5.54 pkc0.7.0.13.0 PKC0 SCSI Bus ID 7 5.54 |
コンソールでは,現在のパスで I/O に障害が発生すると,デバイスまでの代替パスに自動的に切り替えます。多くのコンソール・コマンドでは,コンソールがアクセスするデバイスのリストを優先順に指定できます。デバイスの複数のパスに対応するマルチパス構成では,デバイスの複数のパスに対応するコンソール・デバイス名のリストを指定できます。たとえば,以下のようなブート・コマンドでは,最初に DKB100 パスでマルチパス・デバイスがブートされ,それが失敗すると,DKC100 パスでブートされます。
BOOT DKB100, DKC100 |
OpenVMS の大きな利点は,ネットワーク構成と OpenVMS Cluster System 構成用のインターコネクトとプロトコルを幅広くサポートしていることです。この章では,シングル・システム用のストレージ・インターコネクトと,マルチホスト OpenVMS Cluster システム用の共用ストレージ・インターコネクトとしての Fibre Channel 用 OpenVMS Alpha サポートについて説明します。
この章の構成は,以下のとおりです。
Fibre Channel 構成のマルチパス・サポートについては, 第 6 章 を参照してください。
この章では,Fibre Channel インターコネクトを模式的に図示します。ノードとストレージ・サブシステムが接続されている部分は水平線で表します。物理的には,Fibre Channel インターコネクトは, 図 7-1 に示すように,スイッチから常に放射状に配線されます。 ストレージ・サブシステムにおける複数の SCSI ディスクと SCSI バスも簡略化されています。 1 つ以上の HSGx コントローラがホストに対する論理ユニットとしてサービスする複数のディスクと SCSI バスは,図では単独の論理ユニットとして表示されています。 この章では,表現を簡略化するために,階層型の Fibre Channel ストレージ・コントローラを意味する HSG という用語で HSG60 と HSG80 を表しています。ただし, 表 7-2 のように, HSG60 と HSG80 の違いを強調する場合は例外です。 |
Fibre Channel は,他のインターコネクトに比べさまざまな利点を備えた ANSI 標準ネットワークとストレージ・インターコネクトです。その主な特徴と,これらの特徴に対して OpenVMS が提供するサポートを 表 7-1 に示します。
特徴 | OpenVMS のサポート |
---|---|
高速伝送 | OpenVMS は,2 Gb/s,全二重,シリアル・インターコネクトをサポートしています ( 毎秒 200 MB のデータを同時に送受信可能 )。 |
媒体の選択 | OpenVMS は,光ファイバ媒体をサポートしています。 |
長距離インターコネクト | OpenVMS は,リンク当たり 500 m のマルチモード光ファイバ媒体とリンク当たり最大 100 km のシングル・モード光ファイバ媒体 ( インタースイッチ・リンク [ISL]) をサポートしています。 |
複数のプロトコル | OpenVMS は,SCSI--3 をサポートしています。将来的には,IP をサポート予定。 |
各種トポロジ | OpenVMS は,スイッチ FC (高いスケーラビリティの複数同時通信) と複数のスイッチ (ファブリック) をサポートしています。また,StorageWorks Modular Storage Array (MSA) 1000 ストレージ・システムでアービトレート型ループのサポートが予定されています。正式なサポートのアナウンスは,次の URL の OpenVMS の Web ページで行われます: http://www.hp.com/go/openvms |
図 7-1 はスイッチ・トポロジを論理的に表した図です。 FC ノードは,Alpha ホストかストレージ・サブシステムのどちらかです。ノードからスイッチまでの各リンクは,専用の FC 接続です。スイッチは,ノード・ペア間で保存/送信パケットの配信をします。非結合ノード・ペア間の同時通信はスイッチでサポートしています。
図 7-2 は, Fibre Channel スイッチ・トポロジの実体図を表しています。 図 7-2 は解りやすくするために簡素化しています。一般的な構成では 第 7.3.4 項 に示すように,可用性を高めるために Fibre Channel インターコネクトを多重化しています。
図 7-2 スイッチ・トポロジ (実体図)
図 7-3 に示すのはアービトレート型ループです。 2 つのホスとが,デュアル・ポート StorageWorks MSA 1000 ストレージ・システムに接続されています。 OpenVMS は,このストレージ・システムでのみアービトレート型ループ・トポロジをサポートします。
このトポロジのサポートは次の URL の OpenVMS の Web ページでアナウンスされる予定です: http://www.hp.com/go/openvms |
図 7-3 MSA 1000 を使用したアービトレート型トポロジ
OpenVMS Alpha は, 表 7-2 にリストされている Fibre Channel デバイスをサポートしています。 OpenVMS でサポートされている Fibre Channel ファブリック・コンポーネントについては,最新バージョンの『hp StorageWorks SAN Design』(AA-RMPNFC-TE) を参照してください。
Fibre Channel ハードウェア名の規則では, Fibre Channel 固有のハードウェアを G という文字で表します。他の Fibre Channel 機器による Fibre Channel 構成はサポートしていません。オペレーティング・システムとファームウェアの必要最小バージョンを確認するには,リリース・ノートを参照してください。
すべての OpenVMS Fibre Channel 構成で,実行している OpenVMS バージョン用の最新のアップデート・キットを使用することをお勧めします。
これらのキットのルート名は FIBRE_SCSI です。 FIBRE_SCSI は以前は FIBRECHAN と呼ばれていました。このキットは,次のウェブ・サイトから入手することができます。
http://welcome.hp.com/country/us/eng/support.html |
構成要素名 | 説明 |
---|---|
AlphaServer 800, 1 1000A, 2 1200, 4000, 4100, 8200, 8400, DS10, DS20, DS25, DS20E, ES40, ES45, ES47, ES80, GS60, GS60E, GS80, GS140, GS160, GS320, および GS1280 | Alpha ホスト |
Enterprise Virtual Array (EVA) | 2 つの Fibre Channel ホスト・ポートを持ち 240 の物理 Fibre Channel ドライブをサポートする Fibre Channel "仮想" RAID ストレージ |
HSV110 | 2 つの Fibre Channel ホスト・ポートを持ち 6 あるいは 12 の SCSI ドライブ・エンクロージャをサポートする Fibre Channel 階層型ストレージ・コントローラ・モジュール (EVA5000 対応) |
HSG80 | 2 つの Fibre Channel ホスト・ポートを持ち 6 つの SCSI ドライブ・バスをサポートする Fibre Channel 階層型ストレージ・コントローラ・モジュール |
HSG60 | 2 つの Fibre Channel ホスト・ポートを持ち 2 つの SCSI バスをサポートする Fibre Channel 階層型ストレージ・コントローラ・モジュール |
MDR | Fibre Channel Modular Data Router。1 Gb の容量を備えた, SCSI テープまたは SCSI テープ・ライブラリへのブリッジです。 MDR は,Fibre Channel スイッチに接続する必要があります。 MDR は Alpha システムには直接接続できません。 |
NSR | Fibre Channel Network Storage Router。2 Gb の容量を備えた, SCSI テープまたは SCSI テープ・ライブラリへのブリッジです。 NSR は,Fibre Channel スイッチに接続する必要があります。 NSR は Alpha システムには直接接続できません。 |
Fibre Channel ファブリック・コンポーネント (ホスト・アダプタ,スイッチ,ブリッジ,長距離構成用の Gigabit インタフェース・コンバータ (GBIC) およびケーブル) | 最新バージョンの『hp StorageWorks SAN Design』(AA-RMPNF-TE) を参照。 |
OpenVMS は,最新の『hp StorageWorks SAN Design』(AA-RMPNC-TE) および Data Replication Manager (DRM) のユーザ・マニュアルで説明されている Fibre Channel SAN 構成をサポートします。これには,以下のサポートが含まれています。
StorageWorks のマニュアルは次の URL の OpenVMS のウェブ・サイトから入手できます。
http://www.hp.com/go/openvms |
HP Storage を選択し (左のナビゲーション・バーの関連リンクから),次にストレージ製品を検索してください。その後,その製品のドキュメントにアクセスできます。
StorageWorks のマニュアルで説明されている構成内では, OpenVMS は以下の機能と制限があります。
この構成サポートは,このマニュアルの改訂時点で有効なものです。
すでに説明した構成に加え, OpenVMS は SANworks Data Replication Manager もサポートしています。これは長距離で Fibre Channel を使用するためのリモート・データ保管ソリューションです。詳細は,次の Compaq StorageWorks のウェブ・サイトを参照してください。
http://www.compaq.com/products/storageworks |
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